ちょっと宣伝、スペイン語版『外道の家』1巻、発売です

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 先月末、スペインで『外道の家』の1巻が発売されました。
 スペイン語タイトルは“La Casa de los Herejes ~ volumen 1”。
 どんな感じなのか、オンラインのスピーチアプリで、このタイトルを喋らせてみました。……こんな感じ(笑)。
 herejesというのは、たぶん英語のhereticと同根の言葉だと思うんですが、異教徒とか異端者とかいった意味。casaってのは、カーサ・ミラとかでお馴染みのように、家という意味。というわけで「異端者の家」という感じなので、ちょっと不思議に思われる方もおられるかもしれませんが、外道というのも元来は「非仏教徒、仏道に外れた者」という意味で、それが転じて現在よく使われるような意味になったので、つまりまんま直訳なんですな。スペイン語でもherejesに「人の道を外れた者」みたいな罵倒のニュアンスがあるのかしらん……。
 出版社はこちら、Ediciones La Cúpula
 児雷也画伯のスペイン語版単行本を出しているところと同じ出版社で、今ならサイトのトップページに新刊書が並んでいて、私の“La Casa de los Herejes ~ volumen 1”もそこに混じってます。右隣がかのロバート・クラムなのが、なんか嬉しいわぁ(笑)。

 さて、そんなスペイン語版『外道の家』1巻ですが、出版社が送った著者見本数冊が、先週の土曜日に私の手元にも届いたので、中身も含めてちょっとご紹介しませう。
 まず装丁ですが、ご覧のように、日本語版と同じようなイメージになっています。ただ、このスペイン語版は左開き(日本語版は右開き)なので、それに併せたのか、表紙イラストも左右反転されちゃってます。……う〜ん、普通するか? イラストの左右反転なんて……。
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 ただまあ、日本語版の表紙は、私自身で文字組からレイアウトまでデザインしたものなので(実はタイトルロゴの筆文字も、私自信が苦労して書いた文字だったりするのだ)、そのイメージを尊重してくれたのは嬉しいです。で、日本版をデザインする際に私がイメージしていたのが、「日本をモチーフにした本のペーパーバック洋書」というものだったので、こうしてスペイン版が出来上がってみると、まんまそのイメージしていた通りの本になったというわけで、なんだか面白いです(笑)

 裏表紙はこんな感じで、やはり日本語版と同様のイメージなんですが、地紋や文字が減ってスッキリしている分、何となく文芸書みたいな味わい。ステキ、ステキ。
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 背表紙はこんな感じで、これはなかなかカッコイイぞ。ドラゴンのワンポイントも効いている。
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 さて、中身の方はというと、当然のごとく、登場人物は皆流暢なスペイン語を喋っています(笑)。寅蔵くん、けっこうラテン系の顔立ちなので(?)、「ムーチャス・グラシアス」とか喋ってても、あんま違和感ないような。…ってホントかよ(笑)。

 ただ、前述したように日本語版とは綴じが逆になっているわけで、つまり中身の絵も全部逆版、鏡像になっているわけで……ぎゃ〜、デッサンがあちこち……ひぃ、心臓に悪くって直視できない(笑)。
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 あ、絵をやっている人間には周知のことなんですけど、一般的に絵って、左右反転させるとデッサンの歪みとかがはっきりするもんなんですよ。だから自分で絵を描く際も、デッサンの狂いをチェックするために、裏から透かして見たり鏡に映したりするんです。
 で、まあこの本は全編その状態になっているもんだから、もう眺めていると冷や汗タラタラ(笑)。フランス語版とイタリア語版は、日本と本の綴じを揃えて絵もそのままだったから、こんな冷や汗はかかなくて済んだんですけどね(笑)。
 和服のあわせも全て反転しちゃってるので、登場人物全員が死人状態(笑)。

 擬音なんかも欧文に置き換わっているんですが、フォントを変えたり日本語の文字をキレイに消去してくれているフランス語版に比べると、このスペイン語版は、正直そこまでの神経は行き届いていないかなぁ、って感じではあります。手書き文字のセリフ(悲鳴とか)が、日本語の文字が反転している上に、欧文が被さるように乗っているので(まあ白フチとかで可読性は全く問題ないんですが)、スペイン人には気にならないんでしょうけど、私なんかはやっぱりちょっと目に付いちゃう感じ。
 でも、手書き文字でも、もともと欧文のもの(Gen.ってサインとか、used B.G.M. is…ってヤツとか)なんかは、マメにそこだけ鏡像にならないようにしてあったりするんですけどね。丁寧なんだか雑なんだか(笑)。
 で、そんな擬音とかの中で、ちょっと気に入っちゃったのが、これ。
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 ZUMBA! ZUMBA! ってヤツ。
 この「ズンバ」ってのが、何だか昭和のニューリズム歌謡の造語(城卓矢の「トンバで行こう」とか……ね)みたいだと、1人でウケていたんですが、Twitter経由で、今ホントに「ZUMBA」なるものがあると判明してビックリ。
 こんなものだそうです、ズンバ(笑)。

 さて、この単行本発売に際して、出版社主催でちょっとしたイベントが、バルセロナの本屋さんで行われたそうです。
 どうも、出版社の人とジャーナリストとスペインのアーティストの3人で、トークショーみたいなことをして、本をプレゼンテーションしてくれたようで。
 で、編集さんがその会場写真をメールで送ってくれたので、その中から何枚かアップいたしましょう。
 向かって一番右の人が出版社の方なんだそうですが、あとは良く判らず(笑)。

 最前列に陣取っているのが、「いかにも!」って感じなのが、なんか嬉しい(笑)。フランスでの個展やサイン会でも、真っ先に駆けつけてくれるのは、たいがいこういったタイプの方たち。
 ちょびっと女性もいらっしゃいますが、女性比率は日本のイベントの方が高いかも。