昨年末、イタリアで私の二冊目の単行本”Virtus”が発売され、手元にも本が送られてきました。
版元はRen Booksという新興の会社。
担当編集者のニーノ・ジョルダーノ氏は、ヒゲもじゃの巨漢で見るからに熊さん系ながら、かなりの日本オタク、それもオカマテイストの入った系のオタク氏で、『ガラスの仮面』や『キャンディ・キャンディ』の話をすると止まらなくなるという好漢で、聞くところによるとプライベート用のメールアカウントが「月影千草」だという話(笑)。
拙作『ウィルトゥース』イタリア語版商品ページは、こちら。既に竹本小太郎さんのイタリア語版マンガ単行本なども出しており、今後もオークラ出版「肉体派」のマンガ単行本のイタリア語版を出版予定(のはず)です。
で、このイタリア語版『ウィルトース』ですが、収録作は表題作のみとなっており、サイズはA5と、共に先に出たフランス語版と一緒。
造本はペーパーバックで、表紙はしっかりとした厚手の紙にグロスPP貼り。本文の紙質も良く、印刷も良好。
内容は、表題作のみ収録という点以外は、基本的には日本語版と同じですが、フランス語版と同様にセンサーシップの関係で、幼少時のクレスケンスが父親の玩具にされるくだりに、ちょっと絵の差し替えや修正が入っています。
また、以前出たイタリア語版単行本“Racconti estremi”では、編集氏の「カッコいいから」という要望で、効果音等の日本語の手書き文字をそのまま残した形でしたが、今回は、他のフランス語版やスペイン語版単行本と同様、手書き文字を全て外して絵だけにした状態の画像データを渡し、そこに改めてあちらで先方で効果音を欧文で入れて貰うというという形(これまた編集氏の要望による)になっています。
で、この新たに加えられた欧文の効果音が、実に元の私の手書き文字の雰囲気を上手く再現してくれていて、これはちょっと感激。参考のために比較画像を作ってみましたが、こういった細やかさという点では、今まで出た外国語版単行本の中でもベストな出来かも。
あと、ちょっと興味深かったのが、この効果音に関してなんですが、例えばスペイン語版『外道の家』なんかのユニークな擬音と違って、このイタリア語版『ウィルトゥース』のオノマトペは、何故かそこだけアメコミ風というか、英語になってたりします。
例えば、剣が縦にぶつかる場面では《CLANG》、ブスリと刺さる場面では《STAB》という具合。足音は《TAP》、そしてキスシーンは《SMACK》……って、なんかスヌーピーみたい!(それは違う)
そんなこんなで、まぁ古代ローマを舞台にしたストーリーなので、作者としては、いわばキャラクターたちを帰省させるみたいな思いもちょっとありまして、あちらの読者にも楽しんで貰えたらな〜、と願っております。
もし入手したいという方がいらっしゃいましたら、前出の出版社のリンクから直接か、もしくはイタリアのアマゾン(Virtus [Rilegato] Gengoroh Tagame)からも購入可能です。