・はじめに
私のやり方は、ペン入れまではアナログ、ベタ塗り以降のトーン処理や仕上げはPhotoshopを使ってデジタルという方法です。
デジタル処理の基本的な流れは、まず線画は白黒二値にして、アミ点のトーンはグレーで塗ってからスクリーニング(グレーの画像を白黒二値のアミ点や万線、ディザなどに変換すること)、柄モノのトーンなどはこれに
(株)セルシスのPhotoshopプラグイン「パワートーン」を併用するという方法になります。
・準備
ペン入れと消しゴムかけが済んだ原稿をフラットベッド・スキャナ(EPSON ES-6000Hを使用)で600dpiグレースケールでスキャニング、それをPhotoshop 6に取り込みます。以降の作業も基本的に同解像度のグレースケールで行います。
・線画の二値化とセル状加工
取り込んだ原稿をトーンカーブを使って階調補正し
参考図、600dpiのまま仕上がりサイズに縮小、そして二階調化します(私の場合はグレースケール画像を一度「イメージ/モード/モノクロ二階調/50%を基準に二階調に分ける」でモノクロ二階調の画像にし、それを「イメージ/モード/グレースケール/サイズ比1」で再度グレースケール画像に戻すやり方をしていますが、「イメージ/色調補正/二階調化」を使ってもいいはずです)。
次に新規レイヤーを作成し「選択範囲/選択範囲を読み込む/チャンネル-背景ブラック(K)/反転をチェック/編集/塗りつぶし/黒」でセル状の線画レイヤーにします。
STEP 1
・ベタ塗りとトーン貼りの準備
そしてこの線画レイヤーにバケツツールでベタを塗っていきます。
STEP 2
次に線画レイヤーの下層に、新規レイヤーを必要な分だけ作成します。基本はテクスチャー用の透明レイヤーと、アミ処理用レイヤー(60線用と80線用に二つ。それぞれ白で塗りつぶし上層のレイヤーを乗算で重ねておく)の三つです。
参考図
あとは必要に応じて同様の「白で塗りつぶして乗算で重ねたレイヤー」を、そのつど必要なだけ増やしていきます。例えばスクリーニングは丸いアミ点だけではなく、四角い点や万線にも変換できます。また、ちょっと工夫すれば点描みたいな加工もできます。そういった「アミ60線」や「アミ80線」以外の加工をしたい場合は、それぞれ新しいレイヤーを作成して作業します。
コラム:作業効率をアップする
上述の「トーンカーブによる階調補正」から「基本レイヤー追加」までは、アクションに登録してファンクションキーに割り振っておけば、指一本で自動的にできるようになります。これ以外でも、いつも使う基本の作業(後述するスクリーニングとか、文字の白フチ付けとか)は、アクションを有効に活用しましょう。
参考図 またショートカットも極力マスターしましょう。これらをするとしないとでは、作業効率がけた外れに違います。省力化というのは、デジタルの大きなメリットの一つです。
・トーン貼り〜その1
砂目(パワートーン使用)や既成のパターンをスキャニングして二階調化して背景を透明に加工したものなど、後でアミ化する必要のないものは、テクスチャー用レイヤーに貼り込みます。
STEP 3
最終的に網点にしたいグレーのベタ面や、自分で作ったグレーの効果や柄物は、それぞれの効果に応じて60線用と80線用のレイヤーに、グレーのまま塗ったり貼ったりしていきます。欲しい効果に合わせてバケツツール、自動選択ツール、投げ縄ツール、クイックマスク、ペンツール、ブラシツール、エアブラシツール、グラデーションツールを併用し、オリジナルトーンは別ファイルの画像を「選択範囲/全てを選択/コピー/選択範囲内にペースト」で、それぞれのレイヤーに貼り込みます。角度やサイズの調整は「編集/自由変形」で行います。
STEP 4
コラム:オリジナル・トーンについて
パワートーンのバージョンが3になってから、「トーンメーカー」を使って自作の柄やパターンをパワートーン用素材に変換できるようになったので、最近ではトーン貼りは8割方パワートーンで行うようになりました。自作トーンのうち、版権フリー素材を加工して作ったもの以外を、幾つか
ここでフリー配布していますので、よろしければお使い下さい。
ベタフラッシュやトーンフラッシュには
デジコミツールズも使用します。特にトーンフラッシュを作るのには重宝。ただし、このソフトは万能ではなく得手不得手があり、手描きの方がいい場合も多いので、目的によって使い分けています。特に、集中線全般と入り抜きのある流線は、ほぼ全てを手描きしています。
・トーン貼り〜その2
全てのトーンを貼り終わったら、60線用レイヤーと80線用レイヤ-をそれぞれスクリーニングして二階調化します。これはパワートーンのトーンチェンジャー機能を使ってもいいんですが、スクリーニング精度に不満があるので、現状ではまずそれぞれのレイヤーを「選択範囲/全てを選択/コピー」して、同寸同解像度の新規ファイルを作成し、そこにペーストします。そしてそれを「イメージ/モード/モノクロ二階調/ハ-フト-ンスクリーン」で、それぞれの線数で二階調化します。それを再度もとの画像に「全てを選択/コピー/ペースト」して、上層のレイヤーを乗算にします。このとき元のグレー状態のレイヤーはもう不必要なので、非表示にしておきます。
STEP 5
コラム:スクリーニングについて〜その1
パワートーンのトーンチェンジャーですが、2001年度時点にパワートーン2を使っていたときは上記のようにスクリーニング精度に不満がありましたが、パワートーン3になってからは、Photoshop本体と遜色のない品質のスクリーニングが可能になったようです。
コラム:スクリーニングについて〜その2
ときおりデジコミのハウツー本で、アミ点トーンの生成にカラーハーフトーン・フィルターを使う方法が紹介されていて、600dpi以下でグラデーションを40線以上の線数で二値化するとトーンジャンプが起きてしまうので、それを避けるためのノウハウ等(二値化をディザで行うなど)が載っていますが、上記の方法ならば最終的に全てのデータを二値化したときにも、600dpi/80線のグラデーションでもトーンジャンプは全く発生しません。またモアレが生じる可能性もありません。詳しい理由は説明しませんが、最終的にデータを二値化する場合は、アンチエイリアスがかかったアミ点でスクリーニングを擬似的に再現するカラーハーフトーン・フィルターは、画質の劣化を極力回避するという意味でも、使用しない方が賢明だと思います。
・手書き文字とホワイト
効果音等の手書き文字は別紙に描いてスキャニングして、背景を透明化して白フチなどの加工をした後、それをレイヤー最上層にペーストします。またヨダレや粘液といったホワイト効果は、ホワイト用レイヤーを作成してペンタブレットで直接描画します。
STEP 6
・仕上げと納品
こうして、最終的に表示レイヤーが全て二階調化された状態(レイヤー構成は上から、文字/通常、ホワイト/通常、線画/通常、テクスチャ/通常、60線アミ化済み/乗算、80線アミ化済み/通常、となっています)にして
参考図、それを「イメージ/モード/モノクロ二階調/50%を基準に二階調に分ける」でモノクロ二階調の画像にし、それをEPSで保存します。
納品は、最近はもっぱらFTPでオンライン。締め切りギリギリまで作業を粘れるし、送料もいらないし、どう比較してもメディアに焼いて納品するより便利なもんで(笑)。
・オマケ〜TIPS集
ディザを使った点描風加工
How to Draw ケツの穴(笑)