2月21日発売「バディ」4月号に、新作マンガ『肉人参』(前編)掲載です。
編集氏から「日本の昔の話とか……」とリクエストされたので、久々の髷物……時代劇です。
後編は1号飛ばして6月号(4月発売号)に掲載予定。
時代物好きの方、是非お買い上げ&お読みください。
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Kindle版はこちら↓
投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ
単行本『奴隷調教合宿』2月14日発売/発売記念トークショー2月24日/電子版発売のお知らせ
ゲイエロマンガの新刊単行本『奴隷調教合宿』が、2月14日にポット出版プラスから発売されます。
《紙版単行本のお知らせ》
希望小売価格:2,400円 + 税
ISBN978-4-86642-004-2 C0979
A5判 / 288ページ /並製・函入
アマゾン:奴隷調教合宿
版元ドットコム
収録作品は、大学野球部員が監禁調教されていくハードコアSM長編「奴隷調教合宿」と、週末に欲望を解放する野郎系工員の姿を描いた短編「金曜の夜は四つん這いで」の二編。
内容は以下のリンクをご参考に。
・奴隷調教合宿
・金曜の夜は四つん這いで
装丁は、いつものポットさんからの単行本と同じく、無地にテキストとワンポイントが入った外函入り。
本体の表紙と裏表紙には、それぞれ描きおろしのカラーイラストが入っています。紙質や仕上げは、今回はツルテカな感じが良いんじゃないかな〜……などと考えていたところ、私がそれを言い出す前に、ポットの担当編集さんからも「ツルテカな感じが良いのでは」と用紙をご提案をいただき、もうすんなり決定。良い感じになっていると思います。
マンガ本文は、雑誌掲載分(『バディ』)に新規描きおろしを含む加筆修正あり。
また、これもいつものように、後書き&著者解説も新たに書いております。
《発売記念トークイベントのお知らせ》
単行本発売を記念して、2月24日(金)に下北沢にて、エスムラルダさんと一緒にトークショーを行います。イベント終了後には、ご希望者対象のサイン会もあり。
ご予約はポット出版のサイトにて。定員は先着50名となります。
【新刊『奴隷調教合宿』紙版電子版同時発売記念】
田亀源五郎トークイベント
「田亀源五郎におけるエロとSM」出演:田亀源五郎(漫画家、ゲイ・エロティック・アーティスト)
聞き手:エスムラルダ(女装パフォーマー、エッセイスト)
日時:2017年2月24日(金)
18:30開場 19:00開演 20:30終了
場所:レインボー倉庫下北沢
https://rainbowsoko.com/rent/shimokita/
参加費:1,000円(当日会場でお支払いください)
定員:50名(先着順)
※終了後サイン会を行います
《電子版同時発売&修正の差異のお知らせ》
単行本『奴隷調教合宿』は、Kindleを含む電子版も発売されます。
いちおう同時発売を目指していますが、紙の本と電子書籍とでは販売ルートが異なるため、発売時期には若干のズレが出るかも知れません。日頃お使いの電子書店で、情報のチェックをお願いいたします。
紙版と電子版では、基本的にコンテンツは同じですが、以下の違いがあります。
①電子版は紙版より安価になります
②局部修正は、紙版は白の細線消しなのに対して、電子版ではモザイク処理となり、修正面積も広くなります。
局部修正の違いは、下記にサンプル画像を用意しましたので、ご確認ください。(クリックで拡大表示)
《電子版の複数バージョン発売について》
『奴隷調教合宿』電子版は、以下の三種類が同時発売されます。
①修正の差異以外は、内容は紙本と全く同じバージョン
https://amzn.to/3UefXVI
②「奴隷調教合宿」のみ収録の分冊版(後書き/初出一覧/プロフィールは入っていません)
https://amzn.to/49A37FJ
③「金曜の夜は四つん這いで」のみ収録の分冊版(後書き/初出一覧/プロフィールは入っていません)
https://amzn.to/4cSI9on
というわけで、紙本と同じ内容の電子版が欲しい方は①を、収録作のどちらか一編だけで良いという方は②か③を、それぞれ紙版より安価なお値段(収録ページ数に応じて変動)でご利用いただけます。
選択肢が増えましたので、「やはり自分は、全部欲しい」「いや、これは欲しいけど、こっちはいらない」「とりあえず安い値段のもので試してみたい」などなど、用途やご希望に合わせてどうぞ。
例えば、「紙本を買ったけど、『奴隷調教合宿』だけは、いつでもどこでも読めるように、電書版も持っておきたい」なんていうリクエストにも、これでお応えできます!
《『奴隷調教合宿』電子書籍配信状況(2/16現在)》
●配信中
アマゾン Kindle
honto
Google Play
楽天 kobo
●2月下旬配信開始予定
コミックシーモア
ニコニコ静画
Yahoo! ブック
BOOKWALKER
GALAPAGOS STORE
Sony Reader Store
ブックパス
読書のお時間です
ソク読み
DMM.com
漫画全巻ドットコム
セブンネットショッピング
ブックプレイス
ネオ・ウィング
※版元さん情報に基づくリリース。《配信中》については版元さんが確認済み。ただアダルト書籍ということもあり、何らかの事情でいきなり配信がなくなる等の可能性もあり。各自ご自身でご確認の上ご利用ください。
(成人向け書籍の電子版に関しては、プラットフォームによって要求される修正の程度が異なっていたり、販売店側の事情で取り扱いがなくなったり、いろいろ厄介だったり不透明だったりする部分があるらしく、リリース情報が100%確実という保証ができないのです……)
それでは、ご購入よろしくお願いします!
『弟の夫』第24話掲載です
「映画秘宝」3月号発売、ベスト&トホホ参加
1月21日発売の雑誌「映画秘宝」3月号で、恒例の「2016年度ベスト&トホホ10」に参加しております。ベスト10、ベスト男優、ベスト女優、ベストシーン、トホホ3を、それぞれコメント付きで選ばせていただいております。
それと「輝く!! ドラマ OF THE YEAR 2016」にも、ちょびっと参加。『ロンドン・スパイ』(映画ドラマ含めて、去年のマイベスト一位!)と『RIVER リバー』について、簡単にコメント。
因みに、「これは日本公開は難しいかもな〜」などと思って、輸入ソフトなどで観賞した結果、前年度以前にベストに選んだ作品は、ダブりを避けるために選択肢から外すようにしています。というわけで今回は、2015年度にベスト3と4に選んでいた、『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』と『人生は小説よりも奇なり』を、泣く泣く除外しました。
ここのところ、「これは日本公開されないだろうな〜」と予測していた作品が、まさかの公開やDVDスルーということがけっこうあって、これは嬉しい傾向。
海外ドラマの方は、去年自分が見た中では前述の『ロンドン・スパイ』『RIVER リバー』、そしてもう一つ『ベルサイユ』が自分的なスリートップ、続けて『ピーキー・ブラインダーズ』という感じ。この『ベルサイユ』もコメントを書いたのですが、誌面では未掲載。ついでに以下にアップしておきます。
『ベルサイユ』
ルイ14世の王宮ドラマを、主要人物にロックスターのような美青年たちを配し、豪華絢爛な美術や衣装で描くスタイルは、まるでリアル少女マンガの世界。同性愛要素がゲイの目から見てもちゃんと楽しめるのも良い。
その他のコメント内容や順位などは、誌面でお確かめを。というわけで、是非一冊お買い上げください。
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大串祥子写真展『少林寺』記念トークショウ登壇のお知らせ
1月8日〜21日の期間、銀座のヴァニラ画廊で「大串祥子写真展『少林寺』」が開催されております。
つきましてはその関連イベントとして、1月15日(日)に開催されるトークイベント「武僧というアンビヴァレンス」に、私ゲストスピーカーで登壇いたします。大串さんとトークショーでご一緒するのは、2014年11月に開催された、「大串祥子写真展『美少年論 Men Behind the Scenes』 記念トークイベント」以来となります。
大串さんは、男性の美というものに対して、揺るぎない独自の視点と哲学をお持ちなので、前回のイベント同様に今回もまた、喋って楽しい/聞いて楽しいトークができるのではないかと、出演者ながら今から楽しみにしております。
トークイベントは現在ご予約を承り中。ご希望の方はヴァニラ画廊の該当ページからどうぞ。よろしくお願いいたします。
1月15日(日)『少林寺』トークイベント
「武僧というアンビヴァレンス」
大串祥子 feat. 田亀源五郎
17:30〜19:30
料金:2,000円(1D付)
もちろん、展示の方にも是非足をお運びください。
先頃、大串祥子写真集『少林寺 Men Behind the Scene II』(リブロアルテ刊)をご恵投いただき、一足お先に中身を拝見しましたが、少林寺の僧侶たちの日々の佇まいをナチュラルに捉えた、まるで映画の一コマのような写真の一枚一枚から、秘めやかな男の色気がしっかりと香りくるような、そんな素晴らしい作品群です。大串さんとは男の趣味がバッティングしないから、ある意味で安心……なんて思っていたんですが、この少林寺シリーズはちょっとヤバいかも(笑)。
また、アジア人男性の美というものにフォーカスした写真集というのは、それだけでも貴重な一冊と言えるかも知れません。
会場での販売もあり(ヴァニラ画廊オリジナル特典のポストカード付き)とのことで、オススメしたい写真集です。
少林寺展と同時に、2014年に開催された、英国イートン校・ドイツ軍兵士・近代五種選手の「男性の美」を捉えた『美少年論』展も、別展示室でアンコール開催されておりますので、そちらもお見逃しなく。
以下、ヴァニラ画廊のウェブサイトからの引用となります。
写真集『少林寺 Men Behind the Scenes II』出版記念展覧会
大串祥子写真展『少林寺』
Photo Exhibition by Shoko Ogushi “Shaolin Temple: Men Behind the Scenes II”【会期】2017 年1 月8 日(日)~ 1 月21 日(土)
【入場料】入場料AB共通500円
平日 12時〜19時 / 土日祝 12時〜17時
(1月13日(金)のみイベントのため18:30までの営業です)1998年にスタートしたプロジェクト『Men Behind the Scenes』にて、秩序、階級、制服、規則、不条理にいろどられた究極の男性社会に潜入し、女性の視線から男性の美と謎を追い求めてきた写真家・大串祥子。アジア篇初のプロジェクトは、中国・嵩山少林寺。始祖・達磨大師によってもたらされた中国禅宗発祥の地であり、世界遺産の歴史的寺院にて、禅に生き、武術を心得、医術を施す老若の僧侶たち。今日、勃興する中国に向けられる脅威や嫉妬とは対照的に、少林武術への羨望と崇敬の念は果てしなく、夢見る少年を旅に駆り立て、やがて僧侶に変えていく。立入禁止エリアでの撮影を許可され、僧侶たちの日々に密着した3年間。批判も嫉妬も先入観もない、一人の女性の好奇心あふれるまなざしを通じて、少林寺の重き門がここに開かれる。
大串祥子 プロフィール
写真家
佐賀県生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒業。株式会社電通にてコピーライター・CMプランナーとして勤務。
退社後渡英、ロンドン・カレッジ・オブ・プリンティング・ディストリビューティブ・アンド・トレード(現:ユニバーシティ・オブ・ザ・アーツ・ロンドン)写真学部フォトジャーナリズム学科(Postgraduate Diploma)にて写真を学ぶ。
在学中の1998年に始めたプロジェクト「アドニスの森 Men Behind the Scenes」では、イギリスの名門パブリックスクール・イートン校(’98年)、ドイツ連邦軍の兵役(’99年)、コロンビア軍麻薬撲滅部隊(2000-’01年)など、秩序、制服、階級、不条理にいろどられた究極の男性社会に潜入し、女性の視線から男性の美と謎を追い求めている。
’04-’11年まで近代五種を撮影。’08年、北京五輪における国際近代五種連合UIPM公式フォトグラファーに任命され、同種目を撮影。09年、ドイツのRalf-Hellriegel-Verlagより写真集『MODERN PENTATHLON』を出版。
’11年秋から’13年夏にかけて、「Men Behind the Scenes」 第2章 アジア篇を中国・少林寺にて撮影。
’14年、ヨーロッパ篇の集大成となる写真集『美少年論 Men Behind the Scenes』を佐賀新聞社より出版。銀座ヴァニラ画廊にて、同テーマの個展を開催。
’17年1月、「Men Behind the Scenes」アジア篇初の写真集『少林寺 Men Behind the Scenes II』を株式会社リブロアルテより出版予定。銀座ヴァニラ画廊にて、同テーマの個展を開催。
謹賀新年
新単行本『奴隷調教合宿』、来春発売です!
お待たせしました、ゲイエロマンガの新しい単行本『奴隷調教合宿』が、来年の早い時期にポット出版プラスから発売になります。
収録作は、表題作『奴隷調教合宿』(222ページ)と、『金曜の夜は四つん這いで』(48ページ)の二本。共に雑誌「バディ」に連載した作品です。
具体的な発売日に関しては、もう少しお待ちください。決定次第、随時お知らせいたします。
版元がポットさんなので、いつものように直接予約してくださった方対象のサイン本キャンペーンなどがあると思いますが、そういった情報もTwitter(これが一番早いです)やこのブログで随時更新予定。
単行本用作業は着々と進行しており、マンガ本編の作業(各話の扉ページを抜いて、代わりにつなぎのページを新規描きおろすとか、トーン作業など仕上げに満足がいっていなかった部分の修正とか)は既に完了。
本体表紙&裏表紙用のカラーイラストや、外函用のワンポイントなど、次々に片付けては版元さんにお渡ししております。
それでは、発売までもうしばらくお待ち下さい!
『弟の夫』フランス語版、アングレーム国際漫画祭のオフィシャル・セレクションに
『弟の夫』フランス語版(Le mari de mon frère)が、フランスで来年1月末に開催されるアングレーム国際漫画祭2017(Festival international de la bande dessinée d’Angoulême)の、オフィシャル・セレクションに選ばれました。
公式サイト:SÉLECTION OFFICIELLE 2017
「アングレーム国際漫画祭って何?」という方は下の記事をご参考に。
BD file:アングレーム国際漫画祭とは何か
オフィシャル・セレクションに選ばれたということは、すなわち賞獲りレースにノミネートされたということなわけですが、まぁ結果はともあれ、フランス国内ではノミネート自体にけっこうな話題性があるらしいので、これがあちらでの単行本のセールスに結びついてくれると嬉しい。
あちらの版元さんによると、本にもこういうシールが貼られるそうで。
因みにこちらの記事によると、今回ノミネートされた日本の漫画作品は、以下の通りになるそうです。
《オフィシャル・セレクション》
『ちいさこべえ』望月ミネタロウ
『いぬやしき』奥浩哉
『弟の夫』田亀源五郎
『SUNNY』松本大洋
《子ども向け作品賞セレクション》
『はずんで!パパモッコ』山本ルンルン
『僕のヒーローアカデミア』堀越耕平
《遺産賞セレクション》
『離婚倶楽部』上村一夫
『弟の夫』第23話掲載です
11月25日発売の「月刊アクション」1月号に、マンガ『弟の夫』第23話「日々」掲載です。
今回は基本的に日常回なんですが、自分にとってはいささか実験的な回でもあって、演出しながら(つまりネームというコンテを切りながら)気分はさながら小津安二郎(笑)。何の変哲もない日常の諸相から浮かびあがる、様々な気配や感情をじっくり味わっていただければと思います。
さて、来月号は一回お休みをいただき、再来月号(3月号)から連載は再スタートします。
そろそろ予定している残り回数も少なくなり、モノガタリの完結に向けてカウントダウンがスタート……という感じ。どうか最後まで、よろしくお付き合いください。
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“Tha Last Match (La partida)” (2013) Antonio Hens
“Tha Last Match (La partida)” (2013) Antonio Hens
(イギリス盤DVDで観賞→amazon.co.uk、日本のアマゾンでも取り扱いあり)
2013年のキューバ/スペイン製ゲイ映画。
ハバナの貧困地域を舞台に、サッカー友達である二人の親友が、貧困によって運命を狂わされていく様子と、ラブストーリーを絡めて描いたシリアスもの。
キューバ、ハバナ。貧困地域に暮らす二人の若者、レイニール(レイ)とヨスバニは、いつか手にする未来を夢見て、空き地で日々一緒にサッカーに興じている。
しかしレイには既に妻子がおり、更に妻の母親と一緒に暮らしている。レイの生活は日々の食事にも事欠く有様で、金銭を得るために夜の街に立ち、外国人ツーリスト相手に身体を売っている。そんな中レイは、フアンという中年のスペイン人ツーリストと出会う。
一方のヨスバニは、物品の販売などでこの地域一帯を取り仕切るボスに、娘の将来の婿として見込まれており、ボスの家で暮らしながら、物質的には何不自由ない暮らしを送っている。
レイの義母は、彼がフアンという上客を掴んだことを知ると、そのままスペインについて行って向こうで結婚し、それから私たちを呼び寄せろなどとけしかける。しかしヨスバニは、レイとフアンが親しくしているのを見て嫉妬してしまう。そしてある晩、夜遊びの最中にドラッグでハイになったヨスバニは、レイにキスをすると、その身体を求めて迫る。レイは「何の真似だ、俺を本当のホモだと思っているのか」と抗うが、しかし彼もまたドラッグでハイになり、結局はヨスバニを受け入れる。
やがて二人は、廃屋の屋上でひっそりと逢瀬を重ねるようになる。その一方で、ヨスバニとボスの娘の結婚の準備は着々と進み、フアンとの関係も続けているレイにも、ナショナルチームのテストを受けられるというチャンスが巡ってくる。しかしレイは、ボスに前借した金の返済に窮してしまい、ボスはその取り立てをヨスバニに命じる。しかしヨスバニは、ボスの命令通りにレイを殴ることができず、その結果、二人の関係をボスに気付かれてしまい……といった内容。
なかなか見応えあり。BGMを廃した現実音だけの構成、手持ちカメラによる揺れる映像、日差しのきつさや湿度の高さなど空気感が伝わってくる雰囲気、極めて自然でリアルなキャラクターの演技……と、映画的な見所は多々あり。
ストーリー的には重く、後味もかなりビターなので、ここは好き嫌いが分かれる感はありますが、個人的には、そういったドラマを捉える視点自体が、ウェット過ぎずドライ過ぎずいい塩梅だという印象。
レイの義母や妻が、彼の男相手の売春を知りつつも、それを何の問題視もしていないあたりや、ヨスバニの婚約者が、父親に「あいつはホモだ!」と言われても「だから何?あたしにはそれは何の問題もなかったわ!」などとやり返すあたりは、ちょっと他のゲイ映画には見られない興味深いポイント。その一方で、生活のための売春であれば同性相手でも問題視はされないが、金銭の絡まない同性愛関係(つまりレイとヨスバニの関係)だとスティグマ、つまり非難や軽蔑の対象になるという、そんな社会状況が興味深く、ここはもうちょっと突っ込んで見てみたかった感じです。
こういった諸々の状況には、貧困や社会的な閉塞といった背景があるわけですが、ラブストーリー好きの人が見ると、メインの二人がそれぞれ性別を問わず複数の相手と関係しつつ、しかし話は純愛的な方向に転がっていくので、ちょっと違和感があるかも知れません。しかし個人的には、その純愛的な展開が、愛だの恋だのといったエモーショナルな衝動なのか、それとも逃避なのかといった視点が感じられて、そこもまた興味深かったポイント。因みに私の解釈では、片方は愛、片方は逃避による行動と見ました。
モチーフが興味深いがゆえに、もうちょっと描き込んで欲しい感はあちこち残るものの、ゲイというモチーフをクローズドなラブストーリーとしてではなく、社会全体との関わりの中で描くあたりが、作品的な深みを増しています。
社会派的な視点あり、センシュアルなエロスあり、モチーフの独自性と映画的な見応えありで、結末に関して好き嫌いは分かれそうですが、見て損はない一本。
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