投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ

ベルリン個展&サイン会&英語版新刊”Gunji”のお知らせ

 3月7日からドイツのベルリンで個展をやります。
 お話し自体は一昨年からいただいていたのですが、昨年は既にトロント&ニューヨーク行きとパリ個展の予定があったために、色々あってこのタイミングでの開催となりました。
 で、この話が本決まりになった昨年の秋の段階で、拙英語版単行本”Endless Game”の版元であり、ベルリンに拠点を置く出版社Bruno Gmünderが、それならばそのタイミングに合わせて、同社からの二冊目の単行本を出そうという話になりました。
 そして今回、個展のオープニングに合わせてベルリンに行くよと、同社に知らせたところ、同社のアレンジでベルリンとロンドンでサイン会も行うことになりました。 トラブル発生のため渡航は急遽中止、個展のスケジュール自体に変更はありませんが、オープニングに出席はできず。会期末の4月後半に改めて渡航し、サイン会もその時期に合わせて延期となりました。詳細はまだ調整中。
 サイン会は4月20日。キャラリーのクロージング、4月20日には在廊します。
 というわけで、それらの詳細情報をまとめてアップします。
 海の向こうのことなので、お気軽にとは申しづらいんですが、ベルリンおよびロンドン在住の方、および期間中に渡航予定のある方は、是非いらしてください。

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【ベルリン個展】
・3月7日〜4月20日
Xavierlaboulbenne Galleryにて
  Schoenleinstrasse 5 10967 Berlin
・オープニングは3月7日(金) 18:00〜21:00 <詳細>
・期間中、画廊のオープンは毎週火曜日〜土曜日、午後2時〜6時となります。

 ゴリゴリのコンテンポラリー・アートのギャラリーで、過去には有名どころでは、ロバート・メイプルソープや、映画『シェイム』『それでも夜は明ける』等のスティーヴ・マックイーンなどの展示を開催。
 というわけで、オープニングにどんな人が集まるのか、ちょっと不安だったり(笑)。ゲイ・コミュニティー向けの宣伝とかも、全くやっていない様子なので……。

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【ベルリンでのサイン会】
3月8日(土) 15:00〜17:00 4月に延期、日程は調整中。
 4月19日(土) 15:00〜17:00
Eisenhertzにて
  Motzstr. 23, 10777 Berlin

大きな地図で見る
・Facebookのイベントページ:https://www.facebook.com/events/1429217567317220/
 クィア書籍を扱う本屋さんだそうです。

【ロンドンでのサイン会】
3月14日(金) 18:00〜20:00 4月に延期、日程は調整中。 中止決定。

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【新刊英語版単行本”Gunji”】
・3月初頭発売
・出版社:Bruno Gmünder
・160ページ/17 x 23.8 cm
・ISBN 978-3-86787-675-9
・収録作:『軍次』四部作+『大江山綺譚(2014年改稿版)』
・見返し部分にカラーイラスト4点収録

『軍次』四部作に関しては、基本的には日本で出たバージョンと同じ。ただし、当然のことながら性器修正はありませんし、またフランス語版のときと同様に、キャラクターの年齢を調整するために、あちこちセリフをいじっています。
『大江山綺譚(2014年改稿版)』は、絵を全面的に手直ししています。旧版との最大の違いは、キャラ(スヴェン)の体毛。
 これは、当時自分のイメージではスヴェンは赤毛であり、身体にも赤い体毛がモジャモジャ生えている感じだったんですが、それを上手く絵的に表現する手段が思いつかず、結果的に無毛にしてしまったという経緯がありまして。ところが、ちょっと前にCLIP STUDIO PAINTをいじってみたところ、このペンを使えばグレースケールで自分の意図する効果が出せるのではないかと思い、実験してみたところ満足のいく結果を得られたので、今回の英語版出版を機に、思い切って全面改稿することに。
 その絡みで、最終的な仕上げをいつもような白黒二値化ではなく、グレースケールのまま完成させることにしたので、それに併せてトーン効果もあちこち手直し。結果、情感の描出も向上したと思います。
 また、冒頭と末尾のト書きを、日本の昔話に馴染みがない外国人向けに、より判りやすく噛み砕いた内容に変えてあります。
 この新バーションは本邦未公開ですし、今のところ国内での発表の予定もないので(なにしろオリジナル版収録単行本がまだ現役ですので)、レアものとして入手の価値大かも知れませんよ?
 ……などと販促を試みる(笑)。
 内容見本は、こちらで。

 残念ながら日本のアマゾンでは取り扱っていませんが、アメリカやイギリスのアマゾンなら既に予約受付中なので、よろしかったら是非お買い求めを(”Endless Game”のときの経験から言うと、同じヨーロッパということなのか、アメリカよりイギリスの方が発売が早く、在庫切れもありません)。

「映画秘宝」4月号に『ホビット 竜に奪われた王国』のレビュー書きました

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 本日発売の雑誌「映画秘宝」4月号の、特集「『ホビット 竜に奪われた王国』完全攻略ガイドブック!」に、錚々たる面子の方々に混じって、私、同映画のレビューを書かせていただいております。
 ま、レビューっつーと聞こえがいいですが、完全にファン丸出し(&ゲイ丸出し)の感想文みたいなもんです(笑)。
 同誌では前作『ホビット 思いがけない冒険』のときにも、同様の文章を書かせていただいたんですが、今回の記事見出しに「恒例!」って付いていて、あら、じゃあ完結編のときにもまた書かせて頂けるのかしら……などと期待してしまったり(笑)。因みに本見出し(編集さんが付けてくれたもの)には、語尾にハートマークなんぞも付いており、私、レビューバランス的には、乙女目線担当ってことなのかしら(笑)。
 ともあれ、好きな小説の好きな映画化作品について、好きな雑誌で書かせて頂くという、私的にはトリプル嬉しい記事でもあるので、皆様ぜひお買い上げくださいまし。
 私のヘナチョコ感想文はともかく、ピーター・ジャクソン、マーティン・フリーマン、ベネディクト・カンバーバッチのインタビューは勿論、痒いところに手が届く詳細なキャラ&舞台&アイテム解説、荒俣宏さんのインタビュー、添野知生さんのツボを抑えた解説コラム、朱鷺田祐介さんのガッツリ検証……などなど、小さい文字でビッシリ、読み応えタップリの特集になっております。

 それともう一つ、大西祥平さんのマンガ紹介コーナーでは、現在「コミックビーム」で『あれよ星屑』を連載中の、山田参助さんのインタビューも載ってます(単行本情報もあるよ!)。更に同コーナーの欄外コラムでは、熊田プウ助さんの新刊『トーキョーホモルン定食』のショートレビューも。
 というわけで、ゲイクラスタ的にも注目号なので、しつこいですが、皆様ぜひお買い上げくださいまし!

映画秘宝 2014年 04月号 [雑誌] 映画秘宝 2014年 04月号 [雑誌]
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2014-02-21

『奴隷調教合宿』一回お休みです

 そろそろバディ4月号が店頭に並ぶ頃ですが、拙連載マンガ『奴隷調教合宿』、申し訳ないんですが一回お休みとなります。ごめんなさい。
 とはいえこの4月号、『鉄の驢馬』等のZINさんがバディ初登場の読み切りコミックを描いていますし、HOSSYさんディレクションの表紙シリーズは相変わらずいかしているし、読書ガイドなんていう面白特集も載ってますし、皆様ぜひヨロシクお買い上げください。

Badi (バディ) 2014年 04月号 [雑誌] Badi (バディ) 2014年 04月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2014-02-21

『すべすべの秘法』日本初上映+トークショー出演のお知らせ

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『初戀』『家族コンプリート』など、日本でゲイ映画を積極的に撮り続けている今泉浩一監督の最新作『すべすべの秘法』が、2013年のベルリンポルノ映画祭での初上映を経て、2月5日〜8日の4日間、渋谷アップリンクにて日本初公開されます。
 プログラムは『すべすべの秘法』上映(全日)の他、今泉監督が男優として出演している、ピンク四天王の一人・佐藤寿保監督のヘテロ向けピンク映画3本(5日〜7日)、『家族コンプリート』のアンコール上映(8日)となり、各日それぞれトークショーなどが予定されていますが、私は2月8日(土)の『すべすべの秘法』(15:00〜)の上映後トークショーに出演させていただきます。
 詳しい上映スケジュール等は、以下のリンクを参照。
UPLINK:RETRO今泉浩一×佐藤寿保~『すべすべの秘法』日本初公開特別凱旋上映~
 ただいま予約受け付け中。
 で、『すべすべの秘法』ですが、タカサキケイイチさんがアンソロ『ウラゲキ』に発表した同名マンガを原作にしたもので、仕事の研修で京都からやってきた青年が、東京の「ヤリ友」の家で過ごす数日間の様子を、二人の心理的距離感の推移や作劇的なレトリックなどを交えて描いた内容です。
 私、この上映プログラムのフライヤーに、短いコメントも書かせていただいているので、ご参考までにそれを以下に再掲します。

 セックスから始まった関係で、ヤリ友と恋人の境界はどこにあるのか。現代日本のゲイを描いたドラマとして実にリアルなモチーフ。
 そこに肌荒れを絡ませたのも技あり。セックスにおいて皮膚感覚は重要な要素。だからこそ逆に、セックス描写自体にもっとそういう表現が欲しかった。エロス的にはちとドライで物足りない。
 でも、肌荒れの治癒へのロマンティックな思い込みに、すかさず即物的なツッコミが入るあたりのバランスは上々。恋愛なんて単なる思い込みや勘違いかも知れないけど、そのおかげで人生が少し豊かになったり前に進めたりもする。
 そんなドライとウェットの拮抗が、リアルの人生同様ちょっぴり可笑しくて愛おしい。主人公のステキな胸毛や、ブリーフ越しの勃起したペニスのシルエットみたいに。

 何の変哲もない日本のゲイの日常を、ちょっぴりヒネリを効かせて描いていて、ある意味で世界のゲイ映画のトレンドともシンクロしている感じ。
 ゲイ映画の、特に日本のインディーズ・ゲイ映画の上映は、なかなか厳しい状況にある中、それを見られる貴重なチャンスでもあるので、私が出演するトークショーのみならず他日の上映も、スケジュールが合う方は是非足をお運び下さい。レイトショーなので、仕事の後でも間に合いますよ!
 なお会場では、今泉監督の旧作DVDも販売予定。あと、この『すべすべの秘法』の原作マンガを収録したタカサキさんの同人誌も、現在急遽制作中とのことで、間に合うようだったら(これは何としてでも間に合わせて欲しいんですけど、タカサキくん!)会場販売されるそうです。
【追加情報】『すべすべの秘法』原作マンガ冊子(タカサキケイイチ作)、無事に会場で販売されるとのことです。
 それでは、ご予約&ご来場お待ちしております!

『映画秘宝』2013年度ベスト&トホホ10

 明日、1月21日発売の雑誌「映画秘宝」3月号の「2013年度ベスト&トホホ10」で、投票&コメントで参加させていただいております。
 去年の暮れの段階では、とある2本の映画で「う〜ん、どっちを1位にすんべぇ……」という感じで「これ!」といった決め手がなく悩んでいたんですが、締め切りギリギリに見た1本が、問答無用で「こ れ だ !」という感じだったので、前述の2本もそのまま2位と3位へスライド……という感じで、わりとすんなり決められた感じ。
 とはいえ、やはり泣く泣く落とした作品というのもあります。実際にベスト10に何を選んだかは、雑誌を買ってコメントと共に見ていただくとして、残念ながらそれから洩れてしまったのは、『塀の中のジュリアス・シーザー』、”Ardhanaari“、”Keep the Lights On“あたり。
 というわけで、宜しかったら是非お買い求めくださいませ。

映画秘宝 2014年 03月号 [雑誌] 映画秘宝 2014年 03月号 [雑誌]
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2014-01-21

ちょっと宣伝、『奴隷調教合宿』第6話掲載です

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 1月21日発売「バディ」3月号に、集中連載マンガ『奴隷調教合宿』第6話掲載です。
 前回に引き続き、羞恥責めスパイス追加のエロエロ展開。かつては甲子園のアイドルとして鳴らした大学野球部員の主人公、マゾ奴隷として順調にどんどん堕ちております。
 あと今号には、バディゆかりのマンガ家さんやイラストレーターさんの年賀状紹介コーナーが、カラーページに載っておりまして、その中に私の年賀状も入っております。小さいですけど、使用図版は展覧会用の作品で、印刷媒体では未発表のものなので、まぁそこそこお楽しみいただけるかと(笑)。
 もう一つ、情報ページに今泉浩一監督の新作ゲイ映画『すべすべの秘法』の日本初公開情報が載っております。
 私、この上映でトークショーに出させていただくんですが(詳細とご予約はこちら)、雑誌付録DVDにはバディ特別編集版の予告編も収録とのことなので、こちらのほうも宜しかったら是非に。

Badi (バディ) 2014年 03月号 [雑誌] Badi (バディ) 2014年 03月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2014-01-21

児雷也画伯から児雷也スウェットいただきました

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 児雷也画伯から米国Massive製児雷也スウェットシャツとグリーティングカードいただきました。アメリカンXXLサイズなので私の身体でも大丈夫(笑)。
 着て街に出るのは勇気がいるし、そもそも汚しちゃうと勿体ないので、脱いで畳んで密閉保存させていただきます!
 お買い求めはMassiveのサイトで。国外発送もやってくれるので(もちろん送料はかかりますが)日本からも注文できます。

ダウンロード・フリーPDFカレンダー、Bears, illustrated 2014

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 世界の熊系キャラを描くゲイ・アーティスト12人がコラボレーションした、PDFカレンダー”Bears, illustrated”の2014年版が、同サイトから無料でダウンロードできます。
http://www.bears-illustrated.com/
 私は1月の絵を担当。
 他にも、カナダのニッキー・チャールズ、ペルーのレオナルド・グティエレス、フランスのオリヴィエ・フランドロワなどが参加。
 カレンダー企画自体は今年で五年目となり、これで総計60名のアーティストが参加したことに。過去のカレンダーもダウンロード可能なので、タイプも国籍も様々なベアー・イラストレーションの数々が楽しめます。

“At the Gate of Ghost” (2011) M.L. Pundhevanop Dhewakul

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“At the Gate of Ghost” (2011) M.L. Pundhevanop Dhewakul

 2011年のタイ映画で、黒澤明『羅生門』のタイ版リメイク。原題は”U mong pa meung (อุโมงค์ผาเมือง)”。”The Outrage”という別の英題もあり。
 既に物故しているタイの文豪が、映画『羅生門』の脚本を元に、舞台を16世紀のタイに変えて、演劇用に翻案した戯曲の映画化らしい。
 森雅之に相当する役に『心霊写真』『ランカスカ海戦 パイレーツ・ウォー』などのアナンダ・エヴァリンハム、京マチ子に相当する役に『地球で最後のふたり』のライラ・ブンヤサック。

 ストーリーラインは基本的に『羅生門』と同一なので省略。
 捕縛された盗賊の初登場シーンなど、演出自体もなぞっている部分があり。セリフも同様。樵や法師が雨宿りする羅生門は、荒れ寺の隧道に変更。更に各々のキャラクターの過去が点景的に描かれるというアドオンもあり。
 映像は美しく演出も手堅いが、演出の凄みを感じさせるような表現はなし。反面、追加されたキャラクターの背景描写のおかげもあり、エモーショナルに訴えかける部分は増している印象。
 また後述するように、全体的に仏教的視点で再構成した仕掛けの効もあって、最後はなかなか感動的に仕上がっています。
 役者陣はいずれも熱演で、特に京マチ子役(変な言い方だけど)のライラ・ブンヤサックが見事。千秋実の法師役は、アイドル的な美青年が演じていて、これまた静かな佇まいや全体の構成と呼応していて、なかなか良い効果を出していました。
 仏教的なアレンジの件。
 映画全体を、事件の聴取に立ち会ったために、仏の道を志すことに疑問を持ち、寺を出た青年僧侶という視点で通しており、ラストはオリジナル版のヒューマニズム要素を仏教的に膨らませて、この僧侶が最終的に信仰心を取り戻すという構造になっています。
 特にラストが良く、雨宿り場所だった恐ろしげで暗い隧道というのが、それを人の心の闇に重ね合わせていたことが明示され、ここがけっこうじんわりと感動的。エモーショナルな要素と上手く呼応して、オリジナル版とはまた違った魅力になっている印象です。

 というわけで、作品的な凄みには欠けるものの、オリジナルを忠実になぞりつつ、そこに別の魅力を加味することにも成功している、真面目にしっかりと撮られた良い映画という感じでした。
 ちょっと薄味なのは残念ですが、あちこち見所はありますので、興味のある方だったらしっかり楽しめるかと。