投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ

ちょっと宣伝、新連載『エンドレス・ゲーム』スタートです

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 12月21日発売の雑誌「バディ」2月号から、新連載マンガ『エンドレス・ゲーム』スタートです。
 今回は《現代もの/キャラは若め/エロはハード》ってな感じでいきたいと思っております。
 前にここで、主人公をどんなタイプにするか思案中と書きましたが、ヒゲボウズでいくことにしました。最初に考えていたのは、もう少しスレンダーなアスリート体型だったんですけれど、プロットを練るうちにイマイチしっくりこなくて、最終形態はけっこうガチムチ系に(笑)。
 どのくらいの長さにするかは、まだちょっと決めかねておりまして、アバウトに6回〜10回ってところかなぁ……ってな感じで、キャラが良く動くようなら長め、そうでもなければ短くなるかもということで、編集さんからもOKをいただいております。

 そういうわけで、長目になるにせよ短く切り上げるにせよ、仮に10回だと160ページになるので、どの道そんなに長編って感じ(因みに『ウィルトゥース』が124ページ、『童地獄・父子地獄』が158ページ)にはならないかな?
 今回の第一話は、まだイントロって感じですけれど、次号以降どんどんエロ場面を増やしていくつもり(笑)なので、しばらくの間よろしくお付き合いいただけると嬉しいです。

Badi (バディ) 2012年 02月号 [雑誌] Badi (バディ) 2012年 02月号 [雑誌]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2011-12-21

endlessgame-PR
 それと新連載なので、またHypeを使ってアニメーション効果付きのバナーを作ってみました。
 本家サイトのメニューページにも貼ってありますが、こちらにも単体でアップしましたので、よろしかったらご覧あそばせ。まだ1話しか描いていないので、使えるイメージも少なく短めですが、ひょっとしたら2話か3話を描いた段階で、もうちょっと内容を足すかもしれません(笑)。【公開終了】

メリー・クリスマス

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 クリスマスも近いので、ちょっとしたお遊びをこちらにアップしました。
 クリックでサンタクロースを脱がせる、HTML5を使ったアニメーションです。透過PNGを使ったので、IEだと上手く見られないかも(書き出し時にそんなメッセージが)……駄目だった方はごめんなさい。

スペインの雑誌”UXXS Magazine”にインタビュー掲載

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 スペインはカナリア諸島で発行されているゲイ向けフリーペーパー”UXXS Magazine” No. 46に、拙インタビューと作品数点(カット)が掲載されました。
 フリーペーパーとはいっても、フルカラーで70ページもある下手な雑誌顔負けの冊子。スペインのカナリア諸島というローカルエリアで、これだけのものがフリーペーパーとして成り立つとは、今更ながらあちらのゲイ・マーケットの強固さと層の厚さに溜め息……日本だと考えられませんね、こんなの……。

 内容は、クラブやショップの広告、イベントカレンダーやマップなどの合間に、HIV、アート、リゾート、映画、ピープル等々、様々な記事が入っているもので、ざっと見た感じ、記事が65%の広告が35%くらい?
 エディターさん曰く、フリーペーパーなので性器の露出はNGということでしたが(というわけで私の作品も、それを避けたセレクトになっています)、カバー写真からもお判りのように、なかなかセクシーな誌面になっています。

 で、私のインタビュー・ページは、こんな感じ。
uxxs_inside
 例によってメールで英語のQ&Aをやりとりしたもので、質問内容は「どうして今の仕事をするようになったの?」とか「インスピレーションはどこから?」とか「『外道の家』を描くのにどのくらいかかった?」とか「初めて男の裸を描いたのはいつ?」などなど。
 ちょっと変わったところでは、「他の多くの日本のゲイ・アーティストと違って、貴方の作品は主に強く逞しく毛深い男が凌辱されるけれど、それが貴方の成功の一因となった?」なんて質問も(笑)。

 この雑誌ですが、発行元のサイトでPDFファイルがフリーでダウンロードできますので、興味のある方はどうぞ。
www.uxxsmagazine.com
 6ページ目の見開きなんか、けっこうグッときますぞ(笑)。

ちょっと宣伝、ボディースーツ&触手マンガ描きました

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 11月22日発売のコミック・アンソロジー「肉体派ガチ! vol.1」に、8ページの読み切りショートコミック掲載です。
 タイトルは『モンスター・ハント・ショー』で、内容は……ちょいSci-fi系のボディースーツ&触手もの。
 お題が「戦うおっさん」ということなので、まぁそういう内容になっています。ノリは軽め。
 このアンソロジー、vol.1となっていますが、要するに旧「肉体派」シリーズの仕切り直しで、編集さんも同じです。版元がオークラ出版からオークスに変わりましたが、これも元を辿れば同じ系列会社。
 というわけで「肉体派」シリーズがお好きだった方なら、何の違和感もなくお楽しみいただけるかと。
 コミック好きの皆様、ぜひ一冊お買い上げくださいませ。
【追記】アマゾンでは取り扱いがなくなったので、楽天ブックスとかでどうぞ。
肉体派ガチ!(1)楽天ブックス

メキシコの雑誌”Anal Magazine”に作品&記事掲載

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 メキシコのアート系ゲイ雑誌”Anal Magazine”(スゴい名前…… ^^;)にメール取材を受けて、作品と記事が掲載されました。
 と言ってもこれは随分前のことで、掲載誌が送られてきたのは今年の2月、取材を受けたのは確か去年のことだったと思います(笑)。ツイッターではリアルタイムでつぶやいたんですが、こっちのブログの方では、何かタイミングを逃して紹介しそびれてしまいました。
 で、昨日の”Mein schwules Auge 8″のエントリーをアップしたとき、はっと思い出してこっちもアップした次第。
 雑誌のサイトはこちら(注意:音出ます)。
 サイトトップのイメージ動画からもお判りのように、なかなか洒落たカッコいい雑誌です。
 私の作品&記事は第2号に掲載で、他のページもこんな感じで、かなりスタイリッシュ。取り上げている作品も、面白いものが多いです。
analmagC2
 クラブ・カルチャーともリンクしている模様で、第2号のビデオ・フライヤーがこちら。

 テロップで私の名前も出てきます。
 雑誌の入手方法とかはちょっと判らないんですが、前述の雑誌のサイトにネットショップもあるので、興味のある方は問い合わせてみてください。

ドイツのゲイ・アートブック”Mein schwules Auge 8″に作品掲載されました

MeinSchwulesAuge8
 過日、ドイツのKonkursbuchという出版社から、同社の”Mein schwules Auge”というゲイ・アートブックに私の作品を掲載させてもらいたいというメールをいただきました。
 コンタクトいただいた編集氏の言によると、”Mein schwules Auge”とは”My Gay Eye”という意で、副題に”The Yearbook of Gay Eroticism”とあるところを見ると年鑑のよう。で、2011年度版のテーマはRebels, Outlaws and other Bad Boysなんだそうな。
 何度かやりとりした後、作品画像や私のデータ等をお渡しし、それが今年の春から夏にかけてのことだったんですが、震災やら個展やらいろいろあったせいもあり、何かもうすっかりそのこと自体を忘れてしまっていたところ、先日できあがった本が送られてきました。

 本のサイズはA5。ペーパーバックですが、フルカラーで320ページと、なかなかのヴォリューム。
 構成は[グラフィック4:テキスト1]くらいの割り合いで、ドイツ語は読めないので良く判りませんが、テキスト組みの雰囲気と部分的に理解できる単語から察するに(笑)、どうもショート・ストーリー、詩、ルポルタージュ記事などのようで、それプラス、絵や写真が大量に掲載されている……ってな構成のようです。
 で、私の作品掲載ページは、こんな感じ。
MeinSchwulesAuge8_tagame
 これが先頭ページで、この後しばらく絵のみ、合計7ページの掲載となっています。
 作品セレクトは、いちおう先方のリクエストに併せて、こちらから候補作の低解像度イメージを複数点数送り、その中から先方が希望する作品を選んでもらい、改めてそれらの高解像度ファイルを送るというやり方。結果、せっかくのフルカラー本なのに、掲載作品は全てモノクロ作品に。ちぇっ(笑)。
 因みにこういうとき、いつもは自前か先方のサーバ経由でFTPで受け渡しするんですが、なじかは知らねど(ドイツ風w)先方でダウンロード・トラブルが発生したため、今回は最終的にはYouSendItサービス(宅ファイル便とかの国際版みたいなもの)を使いました。
 こんな感じで様々な作家の作品が載っていて、巻末には各作家の簡易バイオ、コンタクト・アドレス、ウェブサイトなどが記載されています。

 他の掲載作家は、とりあえず私の友人&知り合い関係で言うと、ドイツのBDSM/フェティッシュ系カメラマン、ユーリ・リヒター、
MeinSchwulesAuge8_uli

フランスのサブカル系アーティスト、トム・ド・ペキンなど。
MeinSchwulesAuge8_pekin

 メジャーどころでは、トム・オブ・フィンランド、
MeinSchwulesAuge8_tom

レックス、
MeinSchwulesAuge8_rex

ブルース・ラ・ブルースなど。
MeinSchwulesAuge8_bruce

 今回初めて知った/見る系だと、体毛やヒゲへのフェティッシュを感じさせるAngel Pantojaの写真、
AngelPantoja

ちょいとドイツ表現主義の流れなんかも感じさせるSabatino Cersosimoのペインティング、
SabatinoCersosimo

硬質で静かな画面構成と品の良いエロスが印象的なAnthony Gaytonの写真、
AnthonyGayton

挑発的な映画の一コマか報道写真のようなMiron Zownirの写真、
MironZownir

ポルノ的で直截的なエロとユーモアの混在が面白いMaster Patrickの写真/コラージュなんかが、個人的には特に興味深かったです。
MasterPatrick

 こんな感じで、同じゲイ・アートブックでも、Bruno Gmünderが出している本とかと比べると、かなりアクが強いセレクトで、本全体の印象もけっこうとんがった感じ。ヴォリュームもクオリティもバッチリなので、これは自信を持ってオススメできます。
 こういう面白い本が既に第八弾だと聞くと、バックナンバーも集めたくなっちゃいますね(笑)。
 取り扱いは、本国ドイツのamazonの他、アメリカのamazonでも取り扱いあり。イギリスamazonフランスamazonでは、マーケット・プレイス出品でした。日本のアマゾンでは、つい2日前に私がツイッターでつぶやいたときは取り扱いがありましたが、現在はデリートされた模様。
 これって以前のJoe Oppedisanoの写真集や、Tom of Finland画集、拙作が掲載された“Erotic Comics: vol. 2”なんかの時と同じパターン。マメにチクリを入れる人でもいるのかしらん(笑)。

ちょっと宣伝、企画展『CONDENSED VANILLA ~ヴァニラ・セレクション2011~』のご案内

 銀座のヴァニラ画廊で来週の月曜日、11月7日から始まる企画展『CONDENSED VANILLA ~ヴァニラ・セレクション2011~』に、作品1点を出品します。会期は19日まで。

ヴァニラ画廊の直近の活動が俯瞰できる展覧会として、毎年多くの来場者が訪れる好評企画展です。 情緒溢れる昭和的エロスの絵画から、幻想的なオブジェ、スタイリッシュな写真作品まで、今年は総勢23名の作家陣が一堂に会します。
ヴァニラ・セレクション作家の極上のエッセンスが濃縮され、刺激に満ちた展示作品をこの機会に是非ご賞玩ください。
【出品作家】
朝倉景龍/安蘭/小妻容子/笠間しろう/カレン・サイア/小山哲生/城景都/三代目彫よし/田亀源五郎/たま/つつみ進/照沼ファリーザ/春川ナミオ/福山フキオ/古川沙織/亡月王/前田寿安/ミストレスノール/水元正也/宮西計三/森馨/山下昇平/横井まい子

 私の出品作は、今年の2月に同画廊で開催された企画展『幽霊画廊 ~世にも怪異な魂の競作展~』に出したものと同じになりますが、ヴァニラ画廊が今年取り扱ってきた、ジャンルも指向も様々な作家の作品が一同に回する、とても興味深く見応えのある展示になると思いますので、よろしかったら皆様、ぜひ足をお運び下さいませ。
 場所、営業時間、休廊日等の詳細は、ヴァニラ画廊のサイトでご確認ください。
 また、この企画展に出品する拙作も収録された、ヴァニラ画廊のオリジナル・カレンダー2012年度版も、同画廊で絶賛発売中ですので、こちらもよろしかったら是非お買い求めを。
 通信販売でも購入可能です。詳しくはこちら

“Henri 4 (Henry of Navarre)”

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“Henri 4” (2010) Jo Baier
(英盤DVDで鑑賞→amazon.co.uk

 2010年製作のドイツ/フランス/チェコ/スペイン映画。
 ハインリヒ・マン(トーマス・マンの兄)の歴史小説(未読)を原作とした、16世紀フランスのユグノー戦争と、アンリ4世の生涯を描いた史劇。

 ナバラ国(フランスとスペインの境にあった国)王子アンリは、幼少時にノストラダムスから、将来フランス王になると予言される。当時のフランスはカソリックとユグノー(プロテスタント)の争いで内戦状態にあり、アンリもまだ幼いうちからユグノーの盟主として戦場に立つことになる。
 アンリが成長すると、フランス王母后カトリーヌ・ド・メディシスは、カソリックとユグノーの講和のため、アンリと自分の娘マルゴとの婚姻を持ちかける。アンリの母であるナバラ女王ジャンヌ・ダルブレもそれに同意しパリに赴くが、遅れてアンリがパリに入ったときには、母は謎の死をとげていた。
 アンリとマルゴは反発しあいながらも結婚するが、程なくして聖バーソロミューの虐殺(カソリックによるユグノーの虐殺)が起き、アンリは兄弟の身を守るためカソリックに改宗し、そのままルーブル宮に幽閉されてしまう。
 しかし暫くの雌伏を経た後、狩りの際に遁走しユグノーを率いて兵を起こし……とまあ、こういった感じで時系列に準じて歴史が綴られていき、最終的にアンリ4世の死で幕を下ろすという内容。

 宗教戦争と権力闘争が絡み合ったドロドロの内容に、戦闘シーンや愛欲シーンなんかも交えた盛り沢山で面白い内容ではあるんですが、いかんせん、この内容で148分という尺は短すぎ。
 どうしても一つ一つのエピソードや、キャラクターの内面等が掘り下げ不足の感は拭えず、エピソードのつなぎもスポ〜ンと省略されたりするので、面白いんだけど、何だか総集編を見させられているような、ちょっと手応え不足とか味わい不足な印象。
 また、視点があくまでもキャラクター寄りで、全体を俯瞰するマクロなものが出て来ないので、前述したストーリー的なダイジェスト感とも相まって、映像的な物量は決して貧弱ではないのに、意外にスケール感に乏しい。
 とはいえ、これはエピック的な見応えという点に関しての話で、コスチュームものとしての雰囲気や、映像的な説得力自体は佳良。ゴージャス感はさほどないものの、衣装や美術は決して悪くないし、合戦シーンのも見応えもそこそこ。
 雰囲気としては、BBCの歴史ドラマを、ちょい映画寄りにスケールアップしたみたいな感じ。

 表現手法的には、あちこち面白い試みもあり。
 例えば合戦シーンは、ある合戦では戦場での殺し合いを、ダイレクトに血生臭く見せたかと思うと、別の合戦ではテント内で怯える女性の姿と、戦いの物音と天幕に写る影法師だけで描ききったり。
 また、女好きで知られるアンリ4世の話らしく、主人公の濡れ場がけっこう多いんですが、王妃マルゴとの険悪かつ獣的な、挑戦的に互いを貪り合う表現なんかも、なかなか面白かったです。

 というわけで、まああちこち物足りない感はありますし、重要な登場人物の死がセリフでサラッと流されたりして、背景事情に疎いと取り残されてしまう感もありますが、絵解き再現ドラマだと割り切れば、史劇好きならそこそこ楽しめるかと。
 ただし、過大な期待は禁物(笑)。

“BearCity”

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“BearCity” (2010) Douglas Langway
(米盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2010年製作のアメリカ映画。ニューヨークのベア・コミュニティを舞台に、痩せ形でヒゲも体毛もないけどベア好きな若者と、その友人たちを巡るアレコレを描いたゲイ・ベア版ロマンティック・コメディ。
 キャッチコピーは「ロマンスは毛深くなれる」(笑)

 主人公タイラーは、NYに住む役者志望の青年。ゲイで、好きなタイプは「ヒゲ+毛深い+デカい」のベア系なのだが、自分は細くてヒゲも体毛もないので、ベア系の掲示板に登録しているプロフィールは写真なし、キレイ系の男が好きなルームメイトのゲイにも、自分はベア好きだとカムアウト出来ずにいる。
 そんなタイラーだったが、ある日、掲示板のチャットで話しかけられたことを切っ掛けに、勇気を出してベア系ゲイバーのイベントに出掛ける。そこにいるのはベア、ベア、ベア。そんな中に偶然、タイラーがオーディションを受けたときのカメラマンで、彼がちょっと意識していたベア系のフレッドがいた。
 フレッドはタイラーを、パートナーのブレントや他の仲間に紹介する。フレッドたちの部屋に空き部屋があり、ルームシェアの相手を探していた。タイラーはそこに引っ越し、更にブレントの働くベア・コーヒーショップでの職も得る。
 こうしてベア・コミュニティ内に入ったタイラーは、そこで出会った年上の男ロジャーを好きになる。ロジャーもタイラーを意識するのだが、彼のライフスタイルは特定のパートナーを持たない自由なもので、二人が何となくいい感じになりかけても、すぐに邪魔が入ってしまい……といった内容。

 こういったアウトラインをメインに、付き合って長いので倦怠期っぽくなっているカップルが、公認浮気や3Pに挑戦しようとするエピソードや、痩せるために胃の縮小手術をしようとする男と、それに反対して気まずくなってしまうパートナーとかいったエピソードが、合間合間に挿入されます。
 まあ何と言うか、いかにも「ベア系ゲイが、ベア系ゲイのために作った、ベア系ゲイの映画」といった感じの映画。
 というわけで、扱っている世界が良くも悪くも狭いので、ベア好きのゲイならけっこう楽しめると思うけれど、それ以外の人には……う〜ん、ちょっとどうなんだろうなぁ(笑)。
 コメディとしては、笑いのとり方が「あるある」系の小ネタと、ゲイゲイしい会話の応酬なので、クスクス笑えるネタは盛り沢山。個人的にお気に入りなのが、ベア好きなのをカムアウト出来ない云々の件で「ホントはジョン・ グッドマンがタイプなんだけど、人には『ブラピかっこいい!』とか心にもないことを言っちゃうんだよね……」ってヤツ(笑)。
 ただ、笑いがそういった小ネタに終始していて、大きな仕掛けがないのはちょっと残念。
 でもサービス精神は実に旺盛で、ヌードもカラミもエッチ場面もあり。主人公がなかなかラブをゲットできない分、脇キャラがあれこれにぎにぎしく動いてくれて、エッチ場面もロマンティックから3Pや乱交まで、もうタップリ入ってます(笑)。
 また、実際にNYのベア・コミュニティの人々が主体となって作っているらしく、そういったコミュニティ内を描いたリアル感は素晴らしい。出てくる人がホントに、実際にそこで生活しているゲイにしか見えないほどで、ベア系ゲイ・カルチャーを探訪できる観光映画的な魅力は大。

 というわけで、基本的には罪のないロマコメで、ベア好きのゲイだったらお楽しみどころも多々ありますが、それ以上のものはなし。
 個人的には、もうちょっとキャラの内面に迫るとか、普遍性や批評性とかいったプラスアルファが欲しいというのは正直な感想ですけど、まあこれはこれで良いのかな(笑)。
 ベア系ゲイが好きな人にとっては、実に愛らしい映画であることは確かです。軽〜い気持ちでお楽しみあれ。

 で、この”BearCity”、台湾版の公式予告編があったんだけど、タイトル『慾望熊市』…って、なんかスゴいわぁ(笑)。

 でもって、この台湾版予告編の中で「Who wants to eat my ass?」の中文字幕が「誰要品嘗我的熊菊?」ってのにも大ウケ(笑)。「熊菊」って(笑)。
 更にこの映画、ラストで「次はサンフランシスコだ!」みたいな感じで終わるんですが、何とホントに続編ができたようで、先日その続編”BearCity 2″のティーザー予告編が公開されました。

 来春アメリカ公開だそうな。
 相変わらずベア好きゲイ限定御用達の軽いロマコメっぽいですが、スタッフもキャストも続投している様子なので、なんかちょっと楽しみに(笑)。