待って待って待って、あれこれ紆余曲折を経て、ようやく登場! ああ嬉しや。
予告編を見る限り、かなり落ち着いた本格的な雰囲気で美術等も良く、これは期待が高まります。……んが、予告で散々期待させておいて出来上がりがアレだった『ライラの冒険 黄金の羅針盤』みたいな先例もあるので、あまり過度に期待しちゃうのは禁物かも(笑)。
ともあれ、完成品を見るまでは死ねないぞ!
“John Carter”
アメリカ公開予定:2012年3月
監督:アンドリュー・スタントン(『ファインディング・ニモ』『ウォーリー』)
出演:テイラー・キッチュ、リン・コリンズ、ジェームズ・ピュアフォイ
投稿者「Gengoroh Tagame」のアーカイブ
ちょっと宣伝、『冬の番屋』完結です
7月21日発売の「バディ」9月号に、短期連載マンガ『冬の番屋』最終話が掲載です。
当初の予定より少し長く、全7回で完結した当連載、しっとりしっぽりの情緒メインというプラン通り、最終話も情感を大切にして描かせていただきました。ハードエロやSMがお好きな方には、こういった作品はいささか物足りないのではとも思いますが、作者としては良く動いてくれたキャラクターに愛着もあり、全体として過不足のない満足のいく仕上がりになったと思っております。
最後までお付き合いくださった皆様、どうもありがとうございました。
さて、満足のいく作品になったとはいえ、この連載中はそれと同時に「うが〜、エロ描きたいな〜」ってな欲求が溜まっていたのも、また事実でありまして(笑)、来月号からは少しハードめのヤツを、3話くらい使って描いてみたいな〜……なんて思っております。
お楽しみに。
で、「バディ」9月号なんですが、リニューアルしてからは毎号表紙が楽しみで、今号もまた「漁師風コスプレ」と、ちょっと従来のゲイ雑誌の夏号とは異なる、新鮮なんだけれど訴求力もあるイメージに感心。
それと表紙のモデルさんなんですが、身体の線は比較的細めながら、胸毛の毛並みの美しさに惚れ惚れ(笑)。本文グラビアのリーマン・スタイルもいいな〜(笑)。
というわけで、宜しかったら是非お買い求めくださいませ。
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Badi (バディ) 2011年 09月号 [雑誌] 価格:¥ 1,500(税込) 発売日:2011-07-21 |
“The Valley of the Bees (Údolí včel)”
“The Valley of the Bees” (1968) Frantisek Vlácil
(英盤DVDで鑑賞→amazo.co.uk)
1967年製作のチェコスロヴァキア映画。原題”Údolí včel”。フランチシェク・ヴラーチル監督作品。
中世のヨーロッパを舞台に、テンプル騎士団から脱走した青年とその兄弟子の関係を通じて、教条主義の矛盾や悲劇を描いた説話的な内容で、ホモソーシャル/ホモセクシュアルの要素もあり。
主人公の少年は、領主の息子で蜂の世話をしている。ある日、父親が再婚することになるのだが、新しい母は自分と大して歳の違わない若い娘だった。少年は結婚の祝いに、義母となる娘に花籠を贈るのだが、花の下には蝙蝠が入っていた。
この悪戯に父親はカッとなって、思わず息子を壁に叩きつけてしまう。瀕死の息子を見て我に返った父親は、息子の命を托すから救ってくれと聖母マリアへ祈りを捧げる。
その結果、息子は一命を取り留め、遠く北の地にあるテンプル騎士団の修道院に預けられ、やがて成長して騎士団の一員となり、兄弟子にあたる青年と親密な仲になる。
ある日、騎士団から脱走者が出る。脱走者は捕らえられ処刑されるが、主人公の青年もまた、脱走者を見逃した責を問われて監禁される。そして兄弟子が様子を見に行ったときには、彼もまた脱走していおり、兄弟子は彼を連れ戻そうと後を追う。
兄弟子の追跡を振り切り、主人公が故郷に辿りついたときには、父親は既に亡くなっており、まだ若い義母は寡婦となっていた。二人は互いに惹かれ合いつつも、義母と息子という関係に煩悶するが、やがて地元の世俗主義の神父の祝福も受け、晴れて結婚することになる。
しかし、そこに後を追ってきた兄弟子が現れ……という話。
このフランチシェク・ヴラーチルという監督は全く知らなかったんですが、何でも代表作『マルケータ・ラザロヴァー』が20世紀チェコ映画の最高傑作に選ばれているほどの巨匠だそうです。DVDジャケにも「黒澤とエイゼンシュテインの融合」「チェコのオーソン・ウェルズやパラジャーノフ」なんて惹句がありました。
ストーリーの骨子としては、艶笑抜きの『カンタベリー物語』とかの一挿話といった雰囲気。そういったシンプルな構図の中に、人間の自由を阻むカトリックの教条的な側面と、異教的な土着信仰も取り込んだ、より大らかな世俗的な信仰との対比が、力強く美しいモノクロの映像で描かれています。
まず、この映像の力強さが大いに魅力的。
お伽噺的なロマンティズムやファンタジー的な華美さではなく、中世という時代の暗さ、貧しさ、厳しさを感じさせる美術、自然や土着信仰を描いた場面の土俗的な美しさ、シンメトリーが印象的な構図といった、シンプルでありながら重厚な画面が、民間伝承的な物語の雰囲気を醸し出すと同時に、そこに骨太な説得力を与えています。
俳優たちの抑えた演技や、言葉少なめの台詞、静と動の切り返しが巧みな演出、宗教合唱曲や古楽のみによる、効果的な音楽の使い方も素晴らしい。
それともう一つ、テンプル騎士団という集団のホモソーシャル性と、主人公と兄弟子の間のホモセクシュアルとしての関係性が、暗喩という形ではあるものの、しっかり描かれているあたりが興味深い。
ホモセクシュアル性は、まず、修道院に来た少年が全裸で渚で沐浴し、兄弟子がその手をとって「友だちになろう」と語りかけることから始まります。そこから、字幕による年月の経過説明を経て、青年に成長した主人公と兄弟子が、やはり渚で共に全裸で横たわっている場面に繋がります。
ここで注目したいのは、渚で波に洗われる二人の姿が、打ち寄せる波、渦巻く水、表情、手……といった映像を使って、はっきりとセックスの暗喩となっているところ。
68年製作のチェコスロヴァキア映画で、しかも宗教的なモチーフを扱った作品で、こういった表現が見られるということには、ちょっと驚かされました。
つまり、この映画が描き出す「悲劇」は、教条主義と世俗主義の拮抗であると同時に、同性愛関係のもつれともとれるように作られており、特にエンディングは、同性愛のストーリーとして解釈した方がスッキリするくらいです。
というわけで、中世を舞台とした寓意的な内容、力強く美しい映像、ホモセクシュアル性……といった具合に、個人的にはかなりツボを突かれる内容。モチーフに惹かれる方であれば、かなりオススメできる逸品かと。
予告編は見つからなかったので、本編からのクリップを2つ。
まず、脱走した修道士が処刑される場面。これ見て「すげ!」ってなって、即DVDを探して購入しました(笑)。
もう1つ、冒頭の、若い花嫁に蝙蝠入りの花籠を贈る場面。
スウェーデンの企画展に出品中です
告知をすっかり忘れていましたが、スウェーデンのヨーテボリ(イエテボリ Göteborg)にあるデザイン美術館、The Röhsska Museum of Fashion, Design and Decorative Artsで、5月31日〜8月28日まで開催されている、日本のゲイ・アートの企画展に、作品数点を出品しています。
同博物館の詳細(英文)は、こちら。
先日、その展示会場の写真が届いたので、ご紹介。
こちらで、もうちょっと何枚か会場写真を見られます。
スウェーデンにお住まいの方で、このブログをご覧になっている方など、そうそういらっしゃらないとは思いますけど(笑)、お近くにお越しの際には是非お立ち寄りを!
ちょっと宣伝、映画『LAゾンビ』特別上映&トークショーのご案内
本日7月11日〜23日まで、銀座のヴァニラ画廊にて、映像作家ブルース・ラ・ブルースの写真展が開催されております。
このエクシビションの一環として、同氏の新作映画にして問題作、ゾンビとゲイポルノが融合した作品 “L.A. Zombie” の特別上映イベントが、同ギャラリーにて開催されます。
映画の上映は15日(金)、16日(土)、18日(月・祝)の3回になりますが、そのうち16日(土)の上映イベントにて、私、トークショーに出演させていただきます。
以下、エクシビションおよび上映イベントの詳細。
お問い合わせ等は、直接ヴァニラ画廊さんへお願いします。
ブルース・ラ・ブルース写真展
[“Polaroid Rage: Survey 2000 – 2010 ]
~ Additional Photos from Otto; or, Up with Dead People and L.A. Zombie~
■7月11日(月)~7月23日(土)
■入場料500円
2007年ヴァニラ画廊にて衝撃的な写真展を開催したブルース・ラ・ブルースの新作展!
2000年から2010年のあいだの実験的パフォーマンスを綴った記録をポラロイド作品300枚以上におさめたシリーズ[“Polaroid Rage: Survey 2000 – 2010 ]。このシリーズは2011年、2月にポルトガルのThe Wrong Weather Galleryにて発表され 非 常に高い評価を得ています。
そして自身が監督した映画OTTO ; or, Up with Dead People (2008)とL.A.Zombie(2010)からの新作写真もあわせて展示致します。
Bruce LaBruce ブルース・ラ・ブルース / プロフィール
カナダのトロント在住。映画監督、写真家、ライターなど幅広く活躍する。
アート・シーンの異端児。’80年代に発表した8mmフィルムによる超低予算のポルノアート・フィルムは、ガス・ヴァン・サントにも大きな影響を与えた。 ’90年代からは、「ノー・スキン・オフ・マイ・アス」「SUPER8 2/1」「ハスラー・ホワイト」など過激なセクシャリティを武器にした長編を発表。クィーア・フィルムの代表として、世界的な人気を得る。2008年には 「Otto; Up with Dead People」2010年には「L.A. Zombie」を公開。
1998年から写真家としても活動を開始し、多くの雑誌でフォトグラファーとして活躍する外、欧米で個展を多数開催している。
■展覧会特別イベント
ブルースラブルース監督作品『LA ゾンビ』特別上映!
7月15日(金)上映のみ
19時半開場 ¥1,300(1D付)
7月16日(土)上映&作品解説&スニークプレヴュー付
18時開場 ¥1,800(1D付)
トークゲスト:田亀源五郎&鈴木章浩
7月18日(月・祝)上映のみ
18時開場 ¥1,300(1D付)
上映作品
『LA ZOMBIE』
Directed by Bruce La Bruce 2010年/70分
Produced by Owen Hawk Screenplay by Bruce La Bruce Story by Bruce La Bruce
Starring Francois Sagat Matthew Rush Erik Rhodes Francesco D’Macho Wolf
Hudson
Music by Kevin D Hoover Jack Curtis Dubowsky
2010年、権威あるロカルノ国際映画祭コンペティション部門に正式招待されながらも、オーストラリアのメルボルン国際映画祭では上映拒否。強行上映しようとした映画祭の事務局から警察によって上映用マスターが押収され焼却されるなど、世界各地で物議をかもし出している真の問題作。ゲイ・ポルノとして製作されながらも、性と死と血のオージー(乱交)によって、独特の哀しみと詩情に溢れる世界を作り出した本作は、「 ゾンビとポルノの本当に美しい融合…」とブルース・ラ・ブルース監督が語るように、残酷な美しさに満ちている。日本公開絶望と思われていた衝撃作が今回限りの特別上映!必見!!
で、この「LAゾンビ」なんですけど、どんな映画かというと……とりあえず予告編を貼っておきましょうかね(笑)。
私は一足お先に拝見させていただいたんですけど、まぁ何と言いましょうか……エログロ・アートフィルムって感じ? メルボルン国際映画祭のスタッフが「ただのポルノじゃねぇか!」って上映拒否した気持ちも……まぁ判らなくはない(笑)。
興味のある方だったら、一見の価値はアリなので、展示共々、よろしかったらぜひお出かけくださいませ。
<追記:7月16日>
メルボルンでの上映ができなかった件ですが、鈴木章浩さんに伺ったところによると、必ずしも映画祭のスタッフが上映を拒否したわけではなく、フィルムが税関で引っかかってしまったのが最大原因なんだそうです。それを強行突破しようとしたか何かで、上記の様な大事になってしまったらしい。どういった理由で税関で止められたのかは、鈴木さんも良くご存じではないとのこと。
<追記:7月18日>
映画『LAゾンビ』と件のトークショーのレビュー。
『L.A. ZOMBIE』鑑賞|隊長日誌
おそらく日本で一番詳しいのでは(笑)。
最近見た「責め場あり」系の映画3本
『冷酷処刑人 ~父なる証明~』(2008)スティーヴン・カストリシオス
“The Horseman” (2008) Steven Kastrissios
(日本盤DVDで鑑賞→amazon.co.jp)
2008年製作のオーストラリア映画。娘を亡くした父親が、娘の死に関わった人物を捜し出し、一人ずつ処刑していくが…というスリラー。
B級スプラッター・ホラーかと思いきや、意外とマジメな作りでした。抑えた静かなシーンと鮮烈なバイオレンスがサンドイッチになった構成で、演出も佳良。ドラマの緩急やコントラストが魅力的で、けっこう作品世界に引き込まれます。
ストーリーとしては、けっこう手垢のついた内容で新味はないものの、サイドエピソードを絡めたり、程々にツイストを入れたり、省くところはバッサリ省いたり、適度に回想を配したり…と、全体のバランス感覚が良く、構成的にも冗長さを上手く回避しているので、これまたなかなか面白い。
バイオレンス描写は、けっこう即物的というか肉体的というか……特殊メイクでゲロゲロなものを見せるわけではなく、見せ物感覚で過剰なわけでもないのに、生々しい迫力や痛みを感じさせる演出で、けっこう見ていて肩に力が入ります。
役者さんもいずれも佳良で、全体的なクオリティも上々なので、興味のある方なら見て損はないでしょう。
責め場関係。まず基本的に、手がかりを探す父親→関係者発見→拷問して他の連中の居所を吐かせる→そいつを発見→拷問して別のヤツの居所を吐かせる……という繰り返しなので、わりと映画の全編に渡って、責め場はあちこち登場します。返り討ちにあって、逆に自分が拷問されるというお約束展開もあり。
で、このおとっつぁんなんですが、素人さんにしてはヤケに拷問方法がヘンタイちっくというか(笑)……映画見ながら「あれ、私こんなシーン、マンガで描いたことあるなぁ」なんて思うこと、数回。具体的には(ネタバレ気味なので白文字で)サオだかキンタマだかにポンプで空気を注入するとか、ペニスに釣り針を引っかけてクンクンするとか、乳首をペンチで引き千切るとかいった拷問が出てきます。
というわけで、そこそこエグくても大丈夫とか、逆に、残酷男責め大好きという人には、かなりオススメできる一本でした。
『スティーヴ・オースティン ザ・ストレンジャー』(2010)ロバート・リーバーマン
“The Stranger” (2010) Robert Lieberman
(米盤Blu-rayで鑑賞→amazon.com、日本盤DVDあり→amazon.co.jp
)
2010年製作のオリジナル・ビデオ映画。愛しのストーンコールド・スティーヴ・オースティン様主演の、記憶喪失の男がFBIに追われながら自分の過去を探っていき……みたいな内容のアクション映画なんですが、実際の出来の方はこういう具合だというので、もう多くは期待せず完全に責め場だけ目当てで見ました(笑)。
というわけで、メキシコ警察に捕まったスティーヴ・オースティンが、上半身裸で椅子に縛られて、ナイフでスパスパやられるシーンは、実に良うゴザイマシタ(笑)。クレーンに両手縛りで吊るされて、角材でタコ殴りされるシーンは、責めのアイデア自体はオッケーなんですけど、着衣なのが残念(笑)。
ま、しょ〜もない感想ですが、見所はそれだけってことで(笑)。
因みにFacebookで「見所はスティーヴ・オースティンの身体だけだった〜!」と愚痴ったら、「ヤツの映画はいっつもそうだよ!」と外国の方からもご賛同いただけました(笑)。
“A Serbian Film” (2010) Srđan Spasojević
(イギリス盤Blu-rayで鑑賞→amazon.co.uk、日本のアマゾンでも購入可能→amazon.co.jp
2010年製作のセルビア映画。原題”Српски филм / Srpski film”。
引退して幸せな家庭を築いていた元ポルノスター男優が、アートなポルノ制作という誘い文句と高額の報酬に釣られて復帰したところ、とんでもないゴアゴアな罠に嵌められて…という内容。
内容のアモラルさとエログロさに、かなり物議をかもした映画らしいですが、まあ確かに過激で鬱々な内容です。私が見たのは英盤Blu-rayで、これは一部カットされたバージョンらしいんですが、それでも内容は「とにかく酷い話に!」ってな感じで、いわゆる鬼畜描写がテンコモリ。
どんだけエグいシーンがあるかは、ちょいとググればレビューが出てくるので割愛しますけど、正直なところポルノグラフィの持つ即物的な力は、一般映画(とはいえイギリス盤でも18禁指定なんですが)には超えられない壁なので、そういう意味ではこの映画も、そこはクリアできていない印象。そんなわけで、内容のエクストリームさと同時に、映画の限界のようなものも同時に感じてはしまいましたが、それでもかなりギリギリまで迫ろうとする意欲とか、徹底してブレない姿勢とかは好印象。
ただ、事前に覚悟していたほどは、見終わったときにイヤ〜ンな気分にはならなかったなぁ。確かに容赦ない鬱展開だし、スゴいっちゃあスゴいんだけど、ぶっちゃけ私は、これ見て引くほど良識的な人間じゃないし、このくらいの展開だったら自分でも考えつくしな〜……ってな感もあり(笑)。
でも、一緒に見た相棒は、見終わった瞬間「ひっどい話だね!」と憤慨していました(笑)。
男責めとしては、具体的なアレコレよりも、シチュエーション的にグッとくるものがあり。
主人公のポルノ男優は、一服盛られて意識を失ってしまい、正気にかえってから撮影されたビデオを見て、自分が何をしていたかを知るんですが、それが、麻薬と媚薬漬けにされて(以下ネタバレ含むので白文字で)女を犯しながら殺したり、男にカマを掘られていたり、何とか逃げ出したものの発情を抑えられなくて路上でズリセンぶっこいたり、自分のチンコを切り落とそうとしたり、まだ幼い実の息子のカマを掘っていたり……ってな具合で、ここいらの展開は良かったな〜。罠にはめられた男が酷い目にってのも、媚薬で発情アニマル化ってのも、どっちも大好物のネタなので(笑)。
因みに、イギリスではR18指定になっただけあって(ちょっとアレな情報なので、また白文字)、作り物の付けチンポコですけど、ブラ〜ン状態もフル勃起状態もガン見えでした(笑)。
そんなこんなで、とにかくアモラルで鬱々な、極めて露悪趣味的な映画なので、例えホラー好きの方でも、流石にこれはキツいというのはあるかも知れません。
でも、氏賀Y太先生や早見純先生のマンガが好きな方だったら、一見の価値はありかと。
《追記》『セルビアン・フィルム』の邦題で日本公開&ソフト化されました。
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セルビアン・フィルム 完全版 [Blu-ray] 価格:¥ 4,935(税込) 発売日:2012-07-27 |
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セルビアン・フィルム 完全版 [DVD] 価格:¥ 3,990(税込) 発売日:2012-07-27 |
ちょっと宣伝、『冬の番屋』第6話です
本日発売の「バディ」8月号に、短期連載マンガ『冬の番屋』第6話掲載です。
最終回1話前のオーラスですが、内容は相変わらず、しっとり&しっぽり系。
「アナルファック→アザラシ→アナルファック」などという、我ながらちょっと斬新かもという展開なんかもあります……って、実際に読めば、どうってことないと思いますけど(笑)。
来月の最終話まで、気を抜かずに頑張りますので、どうか最後までお付き合いくださいませ。
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Badi (バディ) 2011年 08月号 [雑誌] 価格:¥ 1,500(税込) 発売日:2011-06-21 |
“Grimm Love (Rohtenburg)”
“Grimm Love” (2006) Martin Weisz
(米盤DVDで鑑賞→amazon.com)
2006年製作のドイツ映画。原題は”Rohtenburg”。
ドイツで実際にあったという、双方合意のもとで男が男を食べた人肉食事件を題材にしたホラー映画。……という括りになっているけれど、実際はホラー映画を期待すると肩すかしをくらう系の、わりとマジメな映画でした。
主人公は一応、犯罪心理学を専攻する女子学生。その女子学生が、かつて起きた、男を食べたいという欲望を持つ男性と、男に食べられたいというゲイの男が、ネットで出会って本当に事に及んだという事件に興味を持ち、それを追跡調査していくという形で、二人の生育史から始まり、その出会い、そしていざ事に及ぶまでを、再現ドラマ的に描いていきます。
静かに淡々と、しかし緊張感を含んで描かれる再現ドラマ部は、役者さんの演技力もあって実に魅力的。カニバリズム等の描き方も、けっこう踏み込んで描きつつも露悪的ではない。
ゲイ映画的な要素の方も、なかなかしっかり描かれています。
被捕食オブセッションにとりつかれている「被害者」は、同性の恋人もいて幸せなのに、その恋人に自分のマゾヒスティックなオブセッションを打ち明けることは出来ず、日常的な幸福とオブセッションの間で引き裂かれて煩悶し、捕食側の「加害者」もまた、真剣に「食べられたい」と思っている男を募集したつもりが、ようやく見つかった相手は、単にSMプレイのつもりだったり。
そんな「被害者」と「加害者」が、やがて出会い、おずおずと互いの距離を埋めて近付いていき、やがて事に及ぶ様は、一種異様なロマンティシズムというか、奇怪で猟奇的なんだけれども、しかし純愛物語のような雰囲気すら帯びてきたりして、そこいらへんは大いに魅力的で惹きこまれます。
捕食者を演じるのは、けっこう色々な映画で見かけるトーマス・クレッチマン。私はけっこう好きな男優さん(『ゴッド・ディーバ』の主人公ニコポル、『キング・コング』の船長、『ウォンテッド』の組織を裏切った殺し屋なんかが、個人的には印象深いかな)なんですが、今回も、いわゆる類型的なサイコ野郎ではなく、ナイーブで、ある意味では優しいとも言える、しかしオブセッションに憑かれてカニバリズム殺人鬼となってしまう男を、実に繊細に演じています。
被捕食者役のThomas Huber(トーマス・ヒューバー?)という役者さんも、捕食者に負けず劣らず内気でナイーブな男性を好演しており、この二人の「魂の共鳴」とでもいう要素がしっかり描かれているので、映画自体のクオリティや、ゲイ映画的な魅力も、グッとアップしている感じ。
そういうわけで、事件自体を描いたパートは大いに見応えがあって良いんですが、惜しむらくは、そこにオブザーバーとして件の女学生を加えてしまったこと。
この女学生の視点を介した結果、描かれる「再現ドラマ」は、映画という純然たるフィクションの中で描かれる「事実」ではなく、キャラクターの一人でしかない彼女の、脳内妄想でしかない可能性を含んでしまい、描かれた内容が受け手に迫ってくる力を弱めてしまっている。また、二人の男を描くパートのせっかくの緊張感も、彼女の取材を描いたパートで分断されてしまうのもマイナス。
更に彼女の存在が、結果として「異常性に対する正常性からのエクスキューズ」としてしか機能していないのも、大いに不満。映画の終盤で彼女は、事件の実際が自分の想像を超えたおぞましいものであることに恐怖し、それを拒絶するんですが、それは正常性からのエクスキューズであると同時に、だったら何故こういうテーマで映画を撮ったのかという、動機自体への疑問点を生んでしまっている。
その結果この映画は、事件自体を描いたパートは優れているにも関わらず、映画総体としては、単に「猟奇的な世界を好奇心で覗き見した結果、やっぱフツーの人にはついていけないよね、こんな世界」というだけの、何とも浅はかなシロモノへと堕してしまった感があり。
ここいらへんは見る人によって評価が分かれそうですが、私的には、彼女という観察者の存在が、映画全体に対しては、ほぼ全てにおいてマイナス方向に作用している、よって不要、観察者を配したこと自体が失敗、という印象です。
ただし、前述したように男性二人のパートに関しては、猟奇的な側面にせよゲイ的な側面にせよ、あるいはある種の猟奇的なロマンティシズムという面にしても、大いに魅力的なので、題材自体に興味がある方なら見て損はないです。ただし、扇情的なホラー味は期待しないように。米盤DVDは字幕なしでしたが、台詞は少なく難易度も低め。
完全お邪魔虫の女子学生は……見なかったことにしよう(笑)。
追記。
さほど直截的な描写はなくとも、題材が題材ですから、それなりにエグいシーンもあります。個人的には(ちょいネタバレなので白文字で)、まだ意識がある状態で、全裸の被害者のペニスから食べようということになり、最初は直接歯で食いちぎろうとするんですが、上手くいかずにナイフで切り落とし……ってなあたりは、色んな意味でけっこうキました(笑)。
猟奇/責め場系の見所に関しては、ここにちょっとスチルあり。
“Flexing with Monty”
“Flexing with Monty” (2010) John Albo
(米盤DVDで鑑賞→amazon.com)
トレヴァー・ゴダード主演、ジョン・アルボ監督による、2010年度作品…なんだけど製作開始は1994年だそうです。しかし、映画が完成する前に、主演男優が亡くなり、そしてプロデューサーも亡くなり……といったトラブルを経て、14年後の2008年にようやく完成、2010年にビデオリリース…ということらしいです。
主演のトレヴァー・ゴダードは、『モータル・コンバット』(1995)、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』(2003)などの脇に出ていたらしい、B級(多分)肉体派男優。
主人公のモンティ(トレヴァー・ゴダード)は、身体を鍛えることに取り憑かれている30過ぎの男で、まだ10代の弟と二人暮らし。両親は子供の頃に亡くなり、兄が筋肉に取り憑かれているのと同様、弟は母親とセックスと宗教のオブセッションに憑かれている。そこに謎の尼僧が現れて、二人の関係に変化が……というのが、話の大筋なんですが……。
実際の内容は、いかにヘンな物を見せ、キテレツな話にするか……という、トラッシュな味わいを最初から狙った感じのもので、よく言えばジョン・ウォーターズ風の味わいで、そこにジェームズ・ビッドグッド的なゲイ・テイストのキャムプ感が加味された、という感じでしょうか。
というわけで主人公のモンティ君は、「モンティ〜!」と叫びながら、ひたすらトレーニングしていて、その合間に、自分のポージング写真を壁に投影しながら、ケツ丸出しでダッチワイフと交尾するとか、レザールックのハスラーになってホモ狩りするとか、カウボーイルックで熊の剥製と交尾するとか、もうトラッシュ一直線(笑)。
一方の弟の方も、「珍獣」と称して鳥カゴに入った変な男を飼っていたり、セックスと宗教がゴチャマゼになった淫夢だか悪夢だかを見たりで、まあ似たり寄ったりの変態キャラ(笑)。
そこに聖書おちょくりネタとか、オカルトや黒魔術やホラー風味なんてのが絡んでくるんですけど、これまた死んだ後にアストラル・ボディがペニスに留まって、勃起したそこがパンツ越しに動き回り、それを「成仏しろ!」と銃で撃ったり、キッチュなボディ・ペイントで黒ミサまがいのことをしながら、バスタブで死体をバラバラに切り刻んだり……と、こちらもひたすらトラッシュ一直線(笑)。
というわけで、IMDbの評価は驚異の3.2点、amazonのユーザーレビューも星一つという具合なんですが(笑)、とりあえず、モンティことトレヴァー・ゴダードが見事なビーフケーキで、弟役もそこそこ美青年&キレイな身体だったりするので、トラッシュやヘンなもの好きのゲイだったら、けっこう楽しめるのではないかと思います。
DVDが字幕なしで、ヒアリングオンリーの鑑賞だったもんで、ぶっちゃけ30%くらいしか内容を理解できなかったんですけど(笑)、それでもさして退屈もせず、早送りもしないで最後まで見られました(笑)。