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“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”

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“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”

 ヘテロ系ヴィンテージ・フェティッシュ・アート画集(洋書)のご紹介。
 書名からもお判りのように、この本は、誰でも知っているアメコミ由来のスーパーヒーロー『スーパーマン』の生みの親の一人、作画担当のジョー・シャスターが、”Nights of Horror”というアンダーグラウンドなフェティッシュ雑誌に発表した、イラストやマンガを集めた画集です。
 まず、何よりかにより、アメリカ的な健全明朗さを絵に描いたようなスーパーマンの、オリジナル・クリエーターが、こんなボンデージ画やサドマゾ画を描いていた……という事実にビックリ。
 もちろん私は、そのオリジナル版アメコミの『スーパーマン』は読んだことがないので、実感としては良く判りませんが、それに慣れ親しんできたアメリカのファンにとっては、この画集に収録されているフェティッシュ・アートの数々は、どう見ても「クラーク・ケントやロイス・レーンやジミー・オルセンやレックス・ルーサーが、裸でSMに興じている」としか見えないらしく(……と、解説にそんなことが書いてあります)、そりゃ、衝撃度やお宝感もさぞや大きいんだろうなぁ……なんて思ったり。
 とはいえ、件のアングラ雑誌は、発行されていたのが1950年代ということもあり、絵の内容自体は、現在の我々の目には、ごくごく大人しく映ります。
 拘束された裸の男女が、鞭で打たれていたり焼きゴテを押されたりしてはいても、陰部は決して露出しない。絵柄が淡泊で表情もシンプルなせいもあり、性的や暴力的な情景が描かれていても、何となくノンビリほんわかしたムードがあって、時としてキュートで愛らしくさえ見えます。
 というわけで、この画集の場合、絵の内容そのものよりも、スキャンダラスな話題性の方が大きい、という感は、正直否めません。
 じっさい、同じくヴィンテージ・フェティッシュ・アートでも、ジョン・ウィリーやエネグやエリック・スタントンなんかの作品と比べると、エロティック・アートとしては、かなり薄味ですしね。

 ただ、個人的に、この人の描く「マゾ男」には、大きく興味を惹かれます。
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 本書の収録作のうち、表紙や上のサンプル画像のような「男マゾもの」の絵は、全体のおよそ3〜4割と、決して多くはないんですが、そこで描かれている被虐者には、世間一般で見られる「男マゾもの」とは、ちょっと異なる特徴があるんですな。
 概してノンケ作家さんの描く「男マゾもの」は、美しく強い女性から、侮蔑され虐げられながら、そこにマゾ男は被虐の悦びを感じ、女性を女王や女神として崇める……といった構図が多い。絵画だと、古くはエリック・スタントンから現在では我が国の春川ナミオに至るまで、被虐者の男の「情けなさ」や「みじめさ」が強調されている。
 ところが、このジョー・シャスターの描く「男マゾもの」には、それがほとんど見られない。シャスターのマゾ男には、スタントンのマゾ男の「哀れさ」や、春川ナミオのマゾ男の「矮小さ」といった要素は、微塵も見られない。また、フェミナイズによる恥辱といった要素も皆無です。
 そもそも体型からして、被虐者の男は皆、筋肉隆々のヒーロー体型ですし、責めを受けているときの表情も、「惨めに泣き叫ぶ」ではなく、「男らしく耐える」風に描かれている。いかにも『鋼鉄の男』と賞される世界的なヒーローの、生みの親らしい作風。
 つまり、シャスターの男マゾ絵は、世間的に(おそらく)多勢を占めるであろう、「自らを貶めることに酔うマゾ」とは、明らかに異なっている。画家自身のマゾヒズム傾向の有無や、その指向性については、私は何とも言えませんが、しかし少なくとも彼の描いた絵からは、以前ここで『野郎系パルプ雑誌の表紙絵』について書いたときと同様に、「苦難に耐える自分の男らしさに酔うナルシシズム系のマゾ」の香りが、濃厚に漂ってきます。
 それが、私の変態アンテナにビンビン反応するので、こうしてご紹介する次第。

 まあ、前述したように、エロティシズムそのものは薄味ですが、例え直截的なエロスは期待できなくても、絵そのものには、サブカル好きの方にウケそうな、ちょっとユルくてキュートな魅力があるし、その絵の雰囲気を活かした、ポップで明るくて品の良いデザインやレイアウトも、実にいい感じ。
 約22センチ四方の正方形という、版型のコンパクトさも、本の内容に良く合っています。造本もしっかりしていて、印刷も美麗。ちょっと、ギフト・ブック的なかわいさもあったりして。
 あと、作家の生い立ちや、時代背景などを絡めた解説も読み応えありそう(けっこう長いんで、まだほとんど読んでないんですけど)だし、序文がスタン・リー、裏表紙の推薦文はアレックス・ロスという豪華さなので、アメコミに興味のある方なら、資料的な価値も高いかも?
“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”(amazon.co.jp)

“XXL” Tom of Finland

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 ゲイ・アートのマエストロ、トム・オブ・フィンランドの新しい画集が、TASCHEN社から出ました。
 トム・オブ・フィンランドの作品集としては、同じTASCHEN社から、既に”The Art of Pleasure”という分厚い画集や、”Kake”などのコミックス集などが出ており、また、Tom of Finland Foundationからも、画集”Retrospective”シリーズ(全三巻)が出ていて、それらを既に所持している自分としては、この新しい画集”XXL”を買うのは、悩ましいところではありました。値段もけっこうするし、中身も、ひょっとして”The Art of Pleasure”の焼き直しかも知れないし……。

 しかし、思い切って購入してみたところ、これがスゴい画集だった!
 何と言っても、本のサイズがデカいのにビックリ! 横29センチ×高さ40.5センチ……なんてスペックだとピンとこないかもしれませんが、まあこの比較画像(笑)をご覧あれ。
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この大きさで、厚みも8センチ近くあるもんだから、まあ持っていて重いこと重いこと(笑)。

 流石にこれだけ大判だと、絵の方もド迫力です。
 1ページ1点、あるいはドカンと見開き1点の掲載は、例えそれが既に見知っている作品でも、受けるインパクトが段違いで、ページを開いた瞬間「ひゃ〜っ!」ってな感じです……って、何のこっちゃい(笑)。しかも、折り込みページもあったりして、それを拡げるともっとスゴいことになって、レザーマンたちのデュオのポートレイトが、6組12名、幅1メートル以上の横長の画面に、ずらりと並んで立っている(ま、跪いている人もいますけど)様は、もう圧倒されちゃって溜め息もの。
 中身のサンプルは、いちおうTASCHENの商品ページにありますが、それ以外にも、下絵と本描きの比較とか、
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“Kake”のような連作画とか、
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ポートレイトと春画のコンビネーションとか、
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同一テーマのバリエーションとか、
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とにかく全ページが見応えあり。
 こんな感じで650ページ以上続くんですから、もう大満足。お腹一杯、ごちそうさま(笑)。

 印刷は、極めて良好。前述の”Retrospective”シリーズや”The Art of Pleasure”と比較すると、それらを遥かに凌ぐ高品質で、原画の再現性はバッチリ。私は、以前トムの原画を、Tom of Finland FoundationやニューヨークのFEATUREギャラリーで目にしたことがあり、以来、あの原画の美しさと比べると、世に出ている印刷物の品質には、どうしても不満があったんですけど、この”XXL”は、そういう意味でも、これまでのベスト。
 全体の構成は、総論を冒頭に置き、以下、世に出る以前の40年代、初期スタイルの50年代、スタイルが確立された60年代、円熟の70年代、ポートレイト群などで更なる高みに達し、そして亡くなるまでの80年代、と、編年体になっていて、それらに様々な各論が、それぞれ英独仏の三ヶ国語で付いています。
 巻末には、原画の所在が行方不明になった作品リスト(図版付き)、グリーティングカード、展覧会の記録などが付属。
 造本も、高級感のある凝ったもので、カバーの絵の部分がバーコ印刷になっていて、ツヤツヤとレリーフ状に盛り上がっています。カバーを外すと、本体は黒いマットなクロス装のハードカバーで、そこにタイトルやシンボルが、黒のグロスでエンボス箔押し。本体には、リボン状の栞も付いています。そして、ご覧のようなキャリング・ケース入り。
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 というわけで、内容、品質、共に価格に見合った高品質でした。円高の今だと、逆に、これでこの値段は安く感じるくらい。
 幸い、日本のアマゾンでも取り扱っています。現時点では、まだ発刊前の予約状態になっていますが、私はそこで予約していたのが今日届いたので、そろそろ入荷するのでは。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
 ただ、ちょっと気になることがあって、実は以前、同じTASCHENから出た、トムの”The Complete Kake Comics”という本が、日本のアマゾンで予約を受け付けていたにも関わらず、発売直前になって、急に取り扱いがなくなってキャンセルされたことがあったんです。その例を考えると、ひょっとしたらこの”XXL”も、後になって取り扱いがなくなったりもしかねないので、入手は早めの方がいいかも知れません。
<続報>
 やっぱり、なくなっちゃいました……。
<続々報>
 と思ったら、また復活しました。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
<続々々報>
 と思いきや、また消滅したり復活したりの繰り返しで、もうワケワカラン状態。

マニア向け500円DVD、二本立て

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本屋やディスカウントショップで良く見かける500円DVDで、『空軍大作戦』を購入。プロパガンダ・アニメーションだというから、何となく面白そうだと思ったんだけど、再生してみたら、ディズニーの『空軍力の勝利 (Victory Through Air Power)』でした。
 オリジナルはカラー作品ですが、このDVDはモノクロ版。とはいえ、おそらく制作の時点で、カラーとモノクロ両方の上映を前提にしているんでしょうね。明度設計がしっかりしているので、モノクロ映画として見ても、特に違和感はありませんでした。ただ、YouTubeにあるカラー版の予告編を見ると、やはり色が付くと、画面の力がまたいっそう増しているのが判りますし、アメリカではカラー版DVDも出ているみたいです。
 内容はともかくとして、表現面だけに絞って言えば、飛行機の歴史をカートゥーン調で判りやすく、かつ楽しく説明してくれる前半部分、第二次世界大戦(つまり制作当時)の世界情勢や軍事戦略を、三次元的なデザイン表現で見せる中盤、戦争に勝利するための方針提案を、まるで「空想化学兵器大図解」といった味わいで見せる後半、そしてクライマックス、日章旗が化けた大ダコ(つまり日本) VS 白頭鷲(つまりアメリカ)の「怪獣大決戦」と、大いに面白く見応えあり。
 内容的には、所詮プロパガンダ映画なので、それ相応の不快さがあります。こういった思想の上に、無差別爆撃や原爆の使用が正当化されたのかと思うと、それはそれで興味深いことではありますけれどね。
 ただ、ドラマ仕立てではなく、ドキュメンタリー的&データ的な見せ方の作品なので、プロパガンダにしては、まだ客観性がある方かもしれません。戦意昂揚を煽る要素はあっても、情緒面を刺激して戦争を正当化したり、正義や悪といった概念があまり目立たっていないのが救いでした。
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 このテのワンコインDVDといえば、以前雑誌の編集後記とかで紹介したことのある、個人的にけっこう好きな映画『地下拷問室』が、いつのまにか500円DVDで出ていました。
 映画の内容は、女が男を地下室に監禁して、パンツ一丁の裸で椅子に縛り付け、延々拷問するってだけの話です。
 ものすごく低予算……ってか、ほとんど自主制作映画という感じなので、過度の期待は禁物ですけど、トイレに行かせてもらえない男が、パンツ越しに失禁しちゃうシーンとか、ケツにむりやりディルドを突っ込まれて、強姦被害者の気持ちを体験させられるシーンとか、目隠しをされてスプーンで口に入れられたものを当てるゲーム(SM好きなら御期待どおりのモノを、いろいろ喰わされる)とか、個人的にはけっこうそそられるシーンがあるんですよね(笑)。
 後半は、猟奇風味が増していくんですけど、そちらもアイデア的には、なかなか面白いもの多し。ただ、前述したような低予算モノなので、見せ物としてのスゴさは期待しちゃダメ。そーゆーダイレクトな過激さをお望みなら、素直に『SAW』シリーズとかをご覧になった方がヨロシイかと。
 男責め的な見所以外では、全編に漂うイカニモ実験映画風のアングラ臭とか、観念的な展開とか、ほんのチョイ役でパム・ホッグが出てるとか、好きな人だったら、そこそこツボを刺激される要素もあり。
 この紹介文を読んで、惹かれるモノがある方だったら、500円だし、けっこうお得だと思いますよ。なんせ、前に私がコレ買ったときには、4935円もしたんだから(笑)。

“Die Horden des Khan”

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“Die Horden des Khan” ((1962) Remigio Del Grosso
 例によって、イタリア製ソード&サンダル映画のDVD(ドイツ盤)なんですが……う〜ん、久々に変なヤツを見てしまった(笑)。
 伊語原題は”Ursus e la ragazza tartara”、英題は”Ursus and the Tartar Princess”で、いちおうウルスス(英語読みだとアーサス)ものなんですが、実はウルスス君は脇役で、主役は別だったりします(笑)。
 ストーリーは、タタールの侵攻を受けているポーランドで、捕虜になったマッチョな樵のウルスス(この時点で既に変)とポーランドの王子(こっちが主役)が、奴隷にされているポーランド人たちと脱出し、大戦闘の末に勝利する……ってな内容。で、そこにポーランドの王子とタタールのお姫様と恋やら、樵のウルススと攫われた息子との再会やら……ってなエピソードが、挟まっていく。
 まあ、これだけだったら、さほど変テコでもないんですが、サービス精神旺盛というか、それらに加えて、西洋史劇の「お約束」シーンが、節操なくドバドバ投入されるんです、この映画。
 例えば、ポーランドの捕虜たちはキリスト教徒で、タタールはその棄教を迫るなんてエピソードがある。で、これが、捕虜たちが洞窟で秘密裏にミサを行っていたところ、タタールの姫が愛する男を慕って忍んで行き、やがて主催の神父が捕らえられ、両腕にタールを塗られて火責めにされているところを、賛美歌と共に、一天にわかにかき曇り、雷鳴が轟き豪雨が降って火を消し止め、それを見て姫は改宗を決意し……ってな、『クォ・ヴァディス』や『ベン・ハー』のつまみ食いみたいな塩梅。
 かと思えば、タタールの姫を巡って、ポーランドの王子とハーンの部下の恋の鞘当てなんてのもあり、これがまた、中世騎士ものよろしく、馬に跨り槍を構えて、一対一の御前試合。他にも、ウルススと姫の侍女の悲恋だの、実は娘思いだったタタール将軍の悲劇だの、とってつけたような「泣かせる」シーンが、ロクな前振りもなくトートツに入ってくる(笑)。
 もちろん、肉体派男優の売り的な見せ場も、抜かりなく、しかし珍妙に配されています。
 そもそも鎧兜で完全武装して銃までぶっ放しているポーランド軍の中に、一人だけ、まさかり振りかざした肌も露わなマッチョ(つまり、樵のウルスス君)が混じってるという絵面からしてヘンテコなんですけど、周囲は剣で斬り合っているのに、ウルスス君だけは、相手をねじ伏せたり投げ飛ばしたりの肉弾戦。更に、タタールの生き残りが樹に登って隠れようとしたところを、怪力で幹を揺すぶって振り落とす……なんて展開は、もうギャグかと(笑)。
 他にもウルスス君は、捕虜仲間と一緒に洞窟に脱出口を掘っていて、その怪力で巨岩を担いで引っこ抜くとか、無事脱出した後も、まさかりと怪力で橋桁を弛ませて、追っ手を阻止したりしますが、ストーリーのメインには殆ど絡んでこない役なので、英雄大活躍じゃなくて、単なるオマケ、刺身のツマ程度にしか見えない(笑)。
 また、昔のエピック映画に欠かせない、音楽や踊りのサービスもきっちりあるんですが、これの入り具合が、またヘンテコ。
 脱出口を掘っている捕虜たちは、バラライカを持った見張りを一人立てていて、その演奏でタタールの巡回が来たかどうか知らせるんですけど、その巡回がバラライカの演奏を気に入って、暢気なことに、自分たちの宴会に連れていくんですな。で、捕虜たちは、そこに踊りの名手や怪力ウルススを同行させて、見事なコサックダンス(かなりの上手さで見応えはありましたが)を披露し、敵の気を弛ませたところで、逆襲に転じて武器を強奪、脱出に成功する……って、展開がマヌケ過ぎるだろう(笑)。
 他にも、広場でエキゾチックな歌と踊りが繰り広げられる、けっこう大規模なシーンもあるんですが、どうやら他の映画からの流用らしく、これまたトートツなことこの上ない(笑)。
 スペクタクルな見せ場、つまり大戦闘シーンとかも、いちおうあることはあるんですが、これまたやっぱり、全て他の映画からの流用。
 で、その結果、クライマックスの、タタール軍対ポーランド軍の大決戦シーンで、主人公一行が何をしているかというと、山小屋に隠れて、食事を作ったり昼寝したりしながら、窓から戦況をチェックしているだけなのだ(笑)。まあ、流石に最後の最後には、彼らも外に打って出ますが、戦闘に加わると言ったって、ただ、俳優と青空以外は何も写っていない、剣を振りかざしているクローズアップが、モブシーンの合間に入るだけです(笑)。
 という具合に、安手なクセに変にテンコモリなので、もうシッチャカメッチャカ(笑)。
 いやぁ、久々にヘンテコなヤツ、見ちゃったなぁ(笑)。ツッコミどころだらけで、実に楽しかった(笑)。
Ursus_joe_robinson ウルスス役は、ジョー・ロビンソン。IMDbによると、有名なレスリング一家の息子で、本人もヨーロッパ・チャンピオンになったレスリング選手だそうな。ソード&サンダル映画だと、”Taur, il re della forza bruta (Tor: Mighty Warrior)”や”Le Gladiatrici (Thor and the Amazon Women)”などに出ているらしいですが、いずれも未見。
 なかなか立派な身体で、ボディービルダー系と比べると筋量は少ないですけど、個人的には、このくらいの自然な筋肉の方が、セクシーさは感じますね。顔は、とりあえず今回はフルフェイスのおヒゲさんなので、ぎりぎりクリア(笑)。でも、ヒゲがなかったら、きっと見向きもしないタイプ(笑)。
 主役のポーランドの王子は、エットレ・マンニ。フィルモグラフィーを見ると、けっこうソード&サンダル系では見ている映画も多いんですけど、すいません、ちっともお顔が記憶にゴザイマセン(笑)。
 タタールの姫役に、海外で活躍した日本人女優のはしり、ヨーコ・タニこと谷洋子。ソード&サンダル系では、前にここで紹介した”Samson and the Seven Miracles of the World”、それ以外でも、日本盤DVDが出ているスタニスワフ・レム原作のSF映画『金星ロケット発進す』(これはなかなか面白かった!)などで拝見しております。今回、改めて見ると、ちょっとチャン・ツィイーに似ているような気も。
 ま、映画が映画ですんで、役者的な見所は皆無です(笑)。ジョー・ロビンソンの半裸だけ(笑)。
Ursus_torture 責め場の方は、前述の神父の火責めの他にも、広場でセント・アンドリューズ・クロスに磔にされているポーランド人捕虜のシーンがあります。
 神父同様、これも両腕に薪が巻かれて火を点けられているという、ちょっと変わった火責めになってるんですけど、これは、タタールのヨーロッパ侵攻の際、そういう処刑があったという逸話でもあるんでしょうかね? 日本だと、元寇の際、捕虜が掌に穴を開けられて、そこに縄を通して吊されたという、有名な伝承(因みに私は、この話を小さい頃に父から聞かされました)がありますけど、ちょっとそれを連想しました。
 あと、これはおそらく他の映画からの流用シーンだと思いますけど、タタールに攻め込まれた村で、捕らえられた村の男たちが、上半身裸で杭に磔にされているってなシーンも出てきます。
 そんなこんなで、肝心のウルスス君の責め場がないのは物足りませんが(笑)、公開処刑好きとしては、そこそこお得感はあったかな。

“Uncensored” by Joe Oppedisano

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 Joe Oppedisano(ジョー・オッペディサーノ……でいーんだろーか、読み方は?)は、アメリカのカメラマン。
 ファッション写真からメールヌードまで、幅広く手掛けている人ですが、何と言っても私にとって魅力的なのは、BDSMやラフ・セックスの香りが濃厚な、一連の野郎系メールヌード写真です。特に、2006年にBruno Gmunderから出た第一作品集”Testosterone”は、ここ数年のメールヌード写真集の中でも、一番といっていいくらいのお気に入りでした。
 そんなOppedisanoが、第二作品集”Uncensored”を発表。「無修正」というタイトル通り、セクシャルな表現という意味では、手法の過激さが増し、いわゆるポルノ写真との境界線が、限りなく曖昧になっています。

 もちろん、前作”Testosterone”で見られたような、シンプルかつスタイリッシュなメールヌードとか、レザーやユニフォームやボンデージといったフェティッシュ味、暴力的なセックスを連想させる描写などは、今回も健在なんですが、前作はそれらが、あくまでもスタイリッシュなラインを崩さず、ポルノグラフィ的にはギリギリのところで寸止めされていたのに対して、今回はどうやら、そういったスタイルを意図的にはぎ取ったようで、より直截的で生々しく「性」を表現している。
 一例を挙げると、例えば”Testosterone”に収録されていた、廃工場内で縛られている警察官の写真は、後ろ手に掛けられた手錠、ダクトテープの猿轡、はだけたシャツと膝まで降ろされたズボンとパンツといった具合に、暴力と性の臭いを濃厚に漂わせながらも、直截的なセックスの描写は、股間に警棒をダクトテープで固定し、それを屹立させるといった具合に、あくまでも比喩的に表現されていた。
 ところが、今度の”Uncensored”では、例えば、レザーギャッグをされ、後ろ手に縛られた刺青マッチョの股間には、剥きだしの男根が隆々と勃起している。或いは、両腕を挙げてチェーンで縛られ、汚れた床に座り込んだ全裸の男が、半勃起したペニスの先から尿を迸らせ、その瞬間をカメラが捉えている。
 また、路地裏や公衆トイレでは、レザーマンや、レスリングやアメフトなどのユニフォームに身を包んだマッチョたちが、相手の性器に舌を伸ばしていたり、さらにはっきりと口中に入れていたり、はたまたリミングしていたり、と、明白なオーラル・セックスが描かれている。
 更に、グローリーホールから付きだしたペニスのアップでは、穴の周囲は白濁した液体で汚れ、公衆トイレの床に這って、尻を突き出している男の肛門からは、白い液体が噴水のように迸り、更には、少し口を開いたアヌスのアップから、白濁液が滴り落ちている、など、疑似ではあるのだろうけれど、あからさまな精液のイメージも登場する。

 もちろん、そういった路線と並行して、前作同様の、スタイリッシュで非ポルノグラフィー的な作品も収録されていはいるんですが、前作で見られたような、コンポジションの厳密さや演劇的な人工性は、かなり薄くなっている。まるで、自らの作家性というものを追求していった結果、様式美のような表層的な要素や、パブリック・ベースのファッション性から離れ、よりパーソナルでコアなもの、つまり、作家本人の、個としての欲情を最重要視する、エロティック・アートに接近しているように見える。これは、個人的に大いに好感度が大。
 また、エロティック・アートという文脈で言うと、前作でも見られた、トム・オブ・フィンランドへのオマージュ作品が、今回もしっかり入っていました。こういった、自分に影響を与えた先達、それもエロティック作家に対して、公にリスペクトを捧げるという姿勢も好きです。
 というわけで、かなりオススメできる写真集です。

 中身のサンプルについては、ちょっとこのBlogで紹介するのは憚られるので、とりあえずサンプルが見られるページにリンクを貼っておきます。でも、リンク先で見られるのは、実はこれでも「ソフト」なページだったりします。
 この写真集、ありがたいことに日本のアマゾンで扱われているので、欲しい方はお早めにどうぞ。
“Uncensored” Joe Oppedisano (amazon.co.jp)

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 さて、ついでに前作”Testosterone”についても、今まで書いたことがなかったので、ちょっと紹介してみましょう。
 前段でも触れたように、”Testosterone”では、レザー、タトゥー、ユニフォーム、ボンデージ、スポーツ、バイオレンス……といった要素が、フェティッシュかつスタイリッシュに描かれています。
 エロティシズムの表現の違いに関しては、前段で述べたこと以外にも、”Uncensored”は、比較的「白日の下に赤裸々にさらけ出す」というようなニュアンスが強いのに対して、この”Testosterone”では、「暗がりの中にひっそり浮かび上がる」といった感じのものが多い。じっさい、写真の背景も黒バックだったり、何かが写り込んでいる場合も、”Uncensored”のそれよりも暗く沈んでいます。
 照明も、スポットライト的に明暗をくっきりと浮かびあがらせるものが多く、暗い背景とも相まって、何だかカラヴァッジオのような雰囲気があり、正直に言うと、映像的な質感だけに限って言えば、私はこの”Testosterone”の方が好みだったりもします。
 また、”Testosterone”では、取っ組み合い、殴り合い、リンチ、レイプといった暴力的なシーンを、血糊なども使って演劇的に描いた一連の作品があり、こういった傾向も好きだったんですが、残念ながら”Uncensored”では、そうした純粋暴力的な要素は後退しています。

 一方、作家性としては、”Testosterone”の段階では、まだ固まりきっていないというきらいがありました。没個性的な作品も、数は少ないものの、混じっていたし、先達からの影響も色濃かった。しかし、”Uncensored”になると、似たようなコンポジションのピンナップでも、性的な誘惑やエクスタシーを示唆する等、表現として、より挑戦的でパワフルなものになっていて、作家性も強くなった。
 つまり、改めて二冊並べて見ると、「けっこう好きなカメラマン」だったのが、「大いに興味を惹かれるアーティスト」に変わった、って感じです。
 というわけで、どちらの写真集も、単品でも充分に良い内容なんですが、二つ見比べるとより面白くなるので、機会があったら、こちらもぜひ入手をオススメします。
 こちらの内容見本は、カメラマン本人のサイトのギャラリー・ページで、収録作品がけっこう見られます。Edge Gallery、Erotic Gallery、Sport Gallery、Tom of Finlandといったコンテンツが、”Testosterone”の主な収録作。
 ただ、書籍の方は残念ながら、日本のアマゾンでは扱っていないので、こっちはアメリカのアマゾンにリンクを貼っておきます。
“Testosterone” Joe Oppedisano (amazon.com)

 さて、このJoe Oppedisano、今後はどういった方向に進むのか、そこも興味が尽きません。
 しかし、”Uncensored”のエピグラフには、フランク・シナトラの言葉が、まるで決意表明のように、力強い手書き文字で引用されています。
 内容を簡単にまとめると「自分は、自分が口に出来る量以上のものを口に入れてきたが、いつだって、口に合わないものは吐き捨てた。人間が自分自身でいられないのなら、それは無価値だ。真実を語れ、おべっかは無用だ。自分は、自分が思うままに生きてきた」といった感じ。
 これを読むと、もう大いに期待してしまいますね。

『エンド・オブ・ワールド』

Pompei
『エンド・オブ・ワールド』(2007)パオロ・ポエッティ
“Pompei, ieri, oggi, domani” (2007) Paolo Poeti
 イタリア製テレビ映画。
 ジャケットと裏の煽り文句からは、どー見ても現代が舞台のディザスター・パニック映画としか思えないんですけど、蓋を開けて見ると、実は中身は西洋史劇とゆー、サギ邦題系(笑)ソフト。
 いちおう映画のアタマは、現代のナポリで不穏な地震が起き、これはひょっとして、かつてポンペイを滅ぼしたあのヴェスヴィオ火山が、再び噴火する兆候ではないか……といった、いかにもディザスター・パニック映画の導入っぽい感じで始まります。
 で、値崩れしたロック・ハドソンみたいな火山学者と、ジャーロ映画の殺される娼婦役とかが似合いそうな美人大学助手というコンビが、反発しながらも次第に惹かれ合い……ってな、コテコテのラブロマンスの気配を漂わせながら、ポンペイの遺跡に行く。そして美人助手が、抱き合いながら死んだ犠牲者の石膏型を指して、「互いに庇い合っているように見えない? きっとこの二人は、深く愛し合っていたのよ……」なんてカンジで、当時のポンペイの様子を語り始める。
 はい、以上イントロ、映画開始からここまで、約8分間。
 ここからあと1時間40分、ひたすら古代のポンペイを舞台に、その時代を生きた人々と、それが噴火で滅びるまでのドラマが描かれます。まあ、ビックリ(笑)。
 というわけで、現代モノのパニック映画を期待して借りた人だったら、「うが〜、だまされた〜!」ってなること必至なんですけど、史劇好きなら無問題、ってか、却ってお得感あり……かな? 少なくとも、私は嬉しかったけど(笑)。
 史劇パートの主人公は、奴隷剣闘士。それが、同じ奴隷の召使い女と恋に落ちたり、そこにポンペイの執政官の妹がちょっかいを出したり、執政官は執政官で、正体不明の謎の奴隷女に入れ込んだり、かと思いきや、妹は兄の側近の軍人にも色目を使ったり……と、「昼ドラですか?」ってな恋愛劇が繰り広げられます。
 それと並行して、闘技場での闘いやら、キリスト教徒の受難やらといったドラマが加わってくるんですが、まあ何というか、昔から良くある古代ローマもの映画のお約束シーンを、あれこれツギハギしたみたいなお話(笑)。因みに、エドワード=ブルワー・リットンの『ポンペイ最後の日』とは、全く違う内容。
 そんなこんなで、内容的には既視感のオンパレード、キャラクターも類型的なものばかりなので、きっと音声なし字幕なしで見ても、あらかたの筋は把握できるだろうってくらい、コテコテの展開でした(笑)。セットとかのスケール感はそこそこあるし、衣装や小道具も佳良の範疇と言えるんだけど、ストーリー展開の安易さと、キャラクター造形の浅さのせいで、どうも全体的に「安っぽい話」になっちゃってますな。
 せっかく、冒頭で現実に存在する亡骸の石膏型なんてのを出したんだから、せめて「この亡骸は主人公たちなのか、それとも他のカップルなのか?」ってことを、もっと上手くミスリードとか混ぜて引っ張るだけで、だいぶ面白くなると思うんだけど、もったいないっス。
 ただ、IMDbで調べてみると、これ、元々は三時間あるミニシリーズなんですな。で、このDVDは、それを二時間足らずに縮めたダイジェスト版らしい(またかい)。
 となると、展開の安易さは、伏線がカットされたせいかもしれないし、キャラクターの浅さは、エピソードが削られたせいなのかも。三分の一も削られちゃったら、どんな映画だって、無惨な結果になるだろうし。
 でも、俳優陣がいずれも、お世辞にも「上手い」とは思えないから、例え完全版になったとしても、やっぱそれほど期待はできないかなぁ(笑)。
 まあ、細かい部分に限って言えば、主人公がトラキア人だという設定は、古代ローマの剣闘士の種類に「トラキア剣闘士(トラークス)」ってのがあったことを踏襲しているんだろうし、ポンペイ滅亡の約10年前、ユダヤ戦争におけるエルサレム陥落を絡めたキャラクターがいたり、『クオ・ヴァディス』を意識したのか、キリスト教徒の指導者が「マタイ」(字幕ではマシュー)と「トマス」という意味深な名前だったり……と、ちょっと面白い要素や着眼点も、そこそこあります。
 あとはまあ、剣闘士が主人公ですから、裸のマッチョはいっぱい出てくるし(笑)、前述したように、イマドキ珍しいくらいにアナクロな、ソード&サンダル映画的な「ツボの押さえ方」をしてくるので、往年のマカロニ史劇ファンとしては、ついつい頬がゆるんでしまう(笑)。宴会シーンでダンスシーンなんつー「お約束」を、21世紀の映画で見られるなんて、もうビックリ! ただし、踊りのド下手さにもビックリしたけど(笑)。
 そういう作りなので、そのテのマニア向けサービス(なのか?)は、なかなか行き届いています(笑)。
 主人公はなかなかのマッチョで、着ているチュニックも、破れたのか生地が伸びたのか、ルーズタンクトップみたいなシルエットになっていて、着衣でも肌見せはバッチリ(笑)。養成所での訓練や闘技場での殺し合いの他にも、剣闘士どもの集団入浴シーンまで、マニアが見たがるシーン(ホントか?)は、ちゃんと押さえてくるのが嬉しい(笑)。
 もちろん主人公の責め場も、伝統に則って(笑)ちゃんとあります。これは、最後にまとめて後述。
 役者さんですが、主人公の奴隷剣闘士は、なかなか良い身体をしてますし、胸毛もあるし、無精ヒゲだし、薄汚い系の長髪だし、割といい感じ。顔も、まあ『L’UOMO VOGUE』の表紙とかに載ってそうな、そこそこのハンサム。身体も含めると、『EXERCISE FOR MEN ONLY』とか『MEN’S EXERCISE』に載ってる、フィットネス・モデルみたいな感じかな。
 他の役者はね〜、う〜ん……(笑)。
 いちおう有名どころでは、現代パートで年長の火山学者を演じているのが、マチュー・カリエールだったりしますけど、はっきり言ってドーデモイイ役だし、そもそも、この現代パート自体が、「別に。なくてもいいじゃん!」ってなどーでも良さだからなぁ(笑)。だいいち、この構成だったら絶対に、(以下ネタバレなので反転)最後に現代のヴェスヴィオ山も噴火すると思ったのに、けっきょく何もなく、学者と助手の三文恋愛ドラマでお話しが締めくくられたのには、もー、チョーびっくり(笑)。
 やけにアゴが長いヒロインを筆頭に、お色気要因の女性陣も、イマイチ美人には見えないか、美人っちゃあ美人なんだろうけど、安っぽかったり(笑)。主人公の剣闘士仲間には、そこそこオイシソウなのもいるんだけど、役柄的に刺身のツマにすらなってないからなぁ(笑)。
 というわけで、あまり他人にオススメするようなもんでもないんですが、懐かしのB級史劇好きの方と、コスプレ・マッチョ好きの人だったら、かなり楽しめると思いますし、史劇だったらとりあえず見てみたいという方でも、さほどハチャメチャなナンチャッテ史劇ってわけでもないので、見ても損はないと思いますよ。
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 さて、では責め場関連。
 まずは、奴隷である主人公が暴れ回っているところに、通りかかった興行主が目を付け、投網で取り押さえられたところを、奴隷剣闘士にするために買うんですが(……って、ホントお約束パターンだな)、檻状の馬車の上、横木に両腕を縛られたボンデージ姿で、ポンペイまで連行。
 もう一つ、ヒロインの奴隷娘が、剣闘士養成所で酒をこぼして鞭打たれそうになる。そこに主人公が助けに入り(……って、またベッタベタのお約束)、反抗の罰として、テーブルに腹這いに押さえつけられて、裸の背中をフロッギング
 まあ、展開も古風なら、見せ方も古風で、イマドキのCGIや特殊メイクで、エグいものを見せてくれるわけではないです。鞭打ちシーンはミミズ腫れすらないし、後半の闘技場での殺し合いシーンでも、切った刺したの瞬間は、アングルで隠したり返り血で表現したりという奥ゆかしさ(?)なので、そーゆー意味では物足りない(ヘンタイ)ですけど、ま、個人的にはけっこうお得感アリでした(笑)。

イタリアのゲイナイトのPVとか

 MySpace経由で、今月末にローマで開催されるパーティーの案内をいただきました。
 いや、いっつも案内もらっても、行けるわけはないんですけど(笑)、そのパーティーのPRビデオが、かな〜りステキ(笑)だったので、ちょっとお裾分け。

 このボール・ギャッグ、ステキすぎ(笑)。
 あ、でも、ネタ系とはいえ、いちおう熊系(それもヘビー級)のBDSMネタなので、好きな方だったらタマランワイだと思いますが、そーゆーのが苦手な方はご注意あれ。

お正月に見たDVDとか

Dvd_newyear2009『明治一代女』伊藤大輔
 伊藤大輔監督は良く知らなくて、映画を見るのも、たぶんこれで三本目くらいだと思うけれど、そのたびに「上手いな〜」と感心させられます。
 今回は殺人劇のシーンで、橋を挟んだ向こう側とこちら側という状況を使い、ドラマとしてのモノガタリを見せると同時に、明治という時代状況そのものも表現してみせるあたりに、ひたすら感嘆。
 メインのドラマや役者さんの演技という本筋以外にも、生活風俗の描写などディテールの見所も多く、大満足の一本。あ〜、『銀の華』を描く前に、これを見ておきたかったなぁ(笑)。
明治一代女 (amazon.co.jp)
『ミツバチのささやき』ビクトル・エリセ
 前に出たBOXを持っていたので、再購入するかどうか散々迷ったんですけど、画質向上や初収録作品や特典の魅力に負けて、けっきょく買っちゃいました。
 とりあえず、一枚だけ見ましたが、画質に関しては、前のがちょっとアレだったせいもあって、この新盤は佳良だったので一安心。特典等は、まだ未見。
 実は、ビクトル・エリセ作品で一番好きなのは『エル・スール』なんですけど、それを見るのは、次の仕事明けのお楽しみに……と、とってあります(笑)。
ビクトル・エリセ DVD-BOX(amazon.co.jp)
『トゥルーへの手紙』ブルース・ウェーバー
 私、犬好きなもので(笑)。それに、カメラマンとしてのブルース・ウェーバーは、大学生の頃に憧れのマエストロの一人でした。
 一緒に見ていた熊が「スクラップ・ブックみたいな映画だ」と言いましたが、様々な素材をコラージュすることによって、テーマやメッセージが浮かびあがっていくという手法が、ドキュメンタリー映画に詩情を加味するという点や、映像表現の方法論として、興味深くて好きなポイント。
 でも、いちばんビックリしたのは、今回は再見だったにもかかわらず、ウチの相棒が、前に一緒に見たのをすっかり忘れていたこと(笑)。
 あ、これだけゲイ関係(監督がゲイ)だな。
トゥルーへの手紙(amazon.co.jp)
『ロードキラー』ジョン・ダール
 主演のポール・ウォーカーは、最近の若手(っても、もう三十代なのね)の中では、けっこうお気に入りの一人。
 まぁ、流石に八年前の映画ともなると、まだちょっと若くて甘チャン過ぎて、さほどツボは押されなかったけれど、それでも謎の犯人に強要されて、馬鹿兄貴(スティーブ・ザーン)と二人一緒に、全裸でドライブインに入って食べ物をオーダーさせられる……なんて展開は、はっきり言って私にしてみりゃ、下手なポルノよりよっぽどエロかった(笑)。
 因みに、そーゆーこと抜きにしても、ホラー風味のサスペンスとして、立派に水準以上に楽しめる良作。
 でも、やっぱポール・ウォーカーだけに限って言えば、ひたすら脱ぎっぱなしの『イントゥ・ザ・ブルー』や、映画の出来はともかくとしても、アイドル映画的なコスプレが楽しかった『ボビーZ』の方がいいなぁ(笑)。
ロードキラー(amazon.co.jp)
『スパルタクス』ワージム・デルベニョフ&ユーリー・グリゴローヴィチ
 アラム・ハチャトゥリアンのバレエを、ボリショイ・バレエが踊ったものを、モスフィルムが映像化した77年度作品。
 舞台の記録という枠組みを逸脱せず、なおかつ映画的な醍醐味も存分に感じさせてくれる逸品でした。華美な装飾や少女趣味的なロマンティシズムを廃した、ストイックなまでの美術や衣装や、モノトーンを基調にして、ポイントカラーに赤だけを使うといった色彩設計も素晴らしい。
 バレエのことは良く知りませんけれど、スパルタクス役のウラジミール・ワシリーエフの踊りは、ダイナミズムと繊細な表現力を共に兼ね備えた感じで、実にお見事。他の踊り手も、メインの数人から一糸乱れぬ群舞も含めて、隅から隅まで修練と高い技術力を感じさせて、ひたすら感心。男性的で力強いコレオグラフも、私好み。クライマックスのケレン味から荘厳な幕切れに至る流れも、実に感動的。
スパルタクス(amazon.co.jp)
“1612: Khroniki smutnogo vremeni” Vladimir Khotinenko
 前にここで予告編を紹介したロシア映画ですけど、我慢しきれなくて、ロシア語オンリー字幕なしにも関わらず、ロシア盤DVDを買ってしまった(笑)。
 てなわけで、内容の方はナニガナンダカサッパリワカラナイんですけど(笑)、クライマックスのモスクワ攻城戦はマジでスゴい! ここは、セリフはわかんなくても、迫力や展開の面白さに、マジで目が釘付けになる。スペクタクル以外も、衣装や美術などステキ映像テンコモリ。
 え〜、因みに、責め場(フロッギング)もこんな感じでかなり痛々しく、やっぱり目が釘付けに(笑)。
 ご贔屓のミハウ・ジェブロフスキーは、悪役だし、剃髪するとちょっとお鉢がデコボコなのが目立ったりはしましたが(笑)、でも出番はいっぱいあった(笑)。これで再び惚れ直したので、その勢いで『ファイヤー・アンド・ソード』『コンクエスタドール』『THE レジェンド 伝説の勇者』『パン・タデウシュ物語』を再鑑賞(『パン・タデウシュ』だけ日本盤DVDが出ていないので、英語字幕付きのポーランド盤で)。それでもまだ治まらないので、『コンクエスタドール(Wiedzmin)』の長尺版VCD(字幕なし)を、思い切ってポーランドに注文しようかどうしようか、悩み中(笑)。
『キング・ナレスワン 序章~アユタヤの若き英雄誕生~』『キング・ナレスワン ~アユタヤの勝利と栄光~』チャートリーチャルーム・ユコーン
 バンコク在住の友人に、「『スリヨータイ』の監督の新作だよ」と教えてもらい、ネットで予告編を見てビックリ。「これは見ねば!」と思っていたら、何と、去年の夏に東京や大阪でイベント上映されていたと、後から知ってもうガックシ。
 で、我慢できなくて、これまたタイ語オンリー字幕なしにも関わらず、タイ盤DVDを購入(笑)。
 もう、スケールがトンデモナイ。戦闘シーンの物量がスゴくて、それだけでも一見の価値アリではあるんですが、それ以上に、日常シーンのスゴさにビックリ。映画のために町一個まるまる作っちゃったそうだけど、そうしただけあって、近景のドラマだけではなく、遠景でも絶えず人が何かしら動いているのだ。まるで、タイムトラベルしてロケしてきたみたいな映像。もちろん、衣装から小道具からセットから、その充実っぷりはハンパじゃなく、徹頭徹尾とてつもなく贅沢な映像。
 まあ、論より証拠、公式サイトへどうぞ。
 ネットで予習してから見たので、粗筋程度は把握できましたが、やっぱディテールが全く判らないのは残念。特に『序章』は、王の幼年時代を描いた、ジュヴナイル的なキャラクター・ドラマだし、大河ドラマ的伏線らしき描写も、そこかしこで見られるので、いつかはセリフをきちんと理解しながら見たいもの。
 第二部の方は、とにかく成長したナレスワン王が、カッコよすぎてウットリです(笑)。この方、現役の軍人さんなんだそうですが、ハンサムな上に所作はキレ良くきびきびと、背筋はすっと伸びて風格あり、更に、脱いだら脱いだで、いかにも自然な筋肉美。ついでに、脇の連中もなかなか魅力的で、更に、セリフも役名もなさそうなその他大勢でも、ついつい、こんなのとかこんなのとかこんなのに、目が奪われてしまったり(笑)。
 全部で三部作らしいですが、完結編である第三部の完成が遅れているらしいのが、ちょっと心配です。
 いちおうここを見ると、この二作の日本盤DVDが、2009年12月31日に発売ってなってますけど、ホントかしらん。だったら嬉しいけど、でもやっぱ劇場でも見たいなぁ。

『アラトリステ』

『アラトリステ』(2006)アグスティン・ディアス・ヤネス
“Alatriste” (2006) Agustín Díaz Yanes
 17世紀スペイン支配下のヨーロッパを舞台に繰り広げられる、孤高の剣士の生涯を描いた歴史ロマン……という設定からは、つい、アクション・アドベンチャー系のヒーローものを期待してしまいますが、そんな単純なものではありませんでした。
 以前、英語字幕付きの輸入盤DVDを見たとき、私の語学力ではハードルが高すぎて、どーもヨーワカラン部分が多々あったんですが、今回、日本語字幕で鑑賞して納得。これだけ複雑でブンガク的な内容だと、こりゃあ私の英語力じゃ太刀打ちできないわけだ(笑)。
 まず、時代背景と、それに絡まるパワーバランスからして、複雑なんですな。
 当時のスペイン王国とその周辺諸国の衝突だけではなく、カソリックとプロテスタント(やユダヤ教)の対立や異端審問、スペイン内部の傀儡政権を巡るパワーゲーム、当時のスペインにおける貴族と平民の関係、エトセトラ、エトセトラが、当然既知のものとして、解説らしい解説もなく次々と繰り広げられるので、キャラクターの所属を把握するだけでも一苦労。
 加えて、複数巻に渡る大河小説を、二時間半近くあるとはいえ、一本の映画に納めているせいもあり、どうしてもエピソードがブツ切りなダイジェスト感は否めないし、前述した状況設定の複雑さゆえに、誰が何のために何をしているのかといった、モチベーション的なものも掴みにくい。
 とりあえず、劇場で販売されているパンフレットに、原作小説の訳者さんによる、平明でコンパクトな解説や年表が載っているので、映画が始まる前に、ざっと目を通して予習しておくことをオススメします。私は、映画を見終わってから読んだんですけど、「しまった、先に読んでおけばよかった!」と、思っくそ後悔しました(笑)。
 とはいえ、じゃあナニガナンダカワカンナイ映画だったり、つまらない映画なのかと言うと、それが全くそうではないのが面白い。
 というのも、この映画は歴史上の様々な出来事を描きながらも、そのプロセスを説明するのではなく、そういった時代背景の中で、主人公を始めとする様々な人々が、いったいどのように生きたか、ということに、焦点を絞って描いているからです。
 一例を挙げると、例えば都市の攻略戦一つを描くにしても、どんな作戦がどう功を奏して、主人公がどんな活躍をするのか……といった、叙事的な要素は全くと言っていいほど描かれません。対して、そんな時代状況の中、歴史上は名もない歩兵たちが、どのように戦いどのように死に、何を考え何を感じていたか、それが身の丈の視点から、徹底したリアリズムで描かれます。
 その結果、昔も今も変わらぬ、我々の生きる現実世界の矛盾が浮かびあがり、交わされるセリフも、モノガタリの説明や推進のためとしてのそれよりは、世界のあり方や人の生き方を問いかけるような色合いが濃い(ここいらへんが、ブンガク的と感じた由縁)。そういった、人間や世界を描くという点では、ものすごく惹き込まれる要素が多々あり、それが実に魅力的。
 私は個人的に、世界とは決して美しくもなければ優しくもないと思っているので、そんな世界に生を受けつつ(主人公の言を借りると「人生はクソ」なのだ)、欲や損得に流されることなく、かといって盲目的な大義に身を委ねるわけでもなく、地を這いずりながらも、あくまでも自分の信念を曲げないことに徹するという、主人公の生き方のカッコヨサや気高さには、もう、ものごっつう感動してしまいました。
 ラストシーン、最後のカットの鮮やかさと同時に、完璧なタイミングでティンパニが鳴り響き、続いて勇壮なブラスに導かれてエンド・クレジットが始った瞬間、「もう一度最初から見たい!」と思ったくらい。
 とはいえ、正直なところ、私個人のポリシーとして、娯楽と芸術、大衆性と文学性といったものは、決して二項対立するものではなく、モノガタリというものは、そういった要素を多層的に包含しうるシステムだと考えています。
 そういった意味では、もうちょっとやりようがあったのではないか、ちょっと惜しいな、とも思います。
 映像美や映像表現の力強さも、大きな見所。
 映像美では、ベラスケスの名画の活人画的再現を筆頭に、バロック期のスペイン絵画やフランドル絵画やネーデルランド絵画の名品もかくやという、美麗極まりない光と陰影表現や、堅牢な構図の数々が、ふんだんに目を楽しませてくれます。
 ディエゴ・ベラスケス、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ、ホセ・リベーラ等の、特に風俗画や肖像画が好きな人だったら必見。小道具の壷や衣服の破れ目一つ見ても、嬉しくなっちゃうこと請け合いですぞ(笑)。
 表現の力強さという点では、前述した戦闘シーンや、暗殺のシーンなどで見られる、もう「純粋な殺し合い」としか言いようのない、身の丈サイズのリアリズムがスゴイ。
 斬る、刺すなんて当たり前。それどころか、ブスブス刺す、刺してグリグリえぐる、衝突した槍ぶすまをかいくぐり、這いずり、取っ組み合いながら殺し合う、凍える、噎せる、窒息する……と、残酷美すら介在しない容赦ないリアリズムで、ああ、実際こうだったんだろうなぁ、という、説得力や生々しさが素晴らしい。
 かと思えば、剣士が登場するシーンとかになると、今度は、鍔広の帽子や長いマントといった衣装の効果も相まって、これがまた実にケレン味があってカッコいい。何だかまるで、フラメンコ舞踏の決めポーズみたいに見えてくる。
 衣装や小道具、美術方面の質の高さも素晴らしい。実に渋くて、重厚な味わいです。
 役者さんは、主演のヴィゴ・モーテンセンを筆頭に、男優さんは皆さん実にカッコイイ。ま、男はヒゲ面ばっかで、しかも薄汚いのも多いという、私の個人的な趣味もありますけど(笑)。
 ただ、キャラクターとしては、前述したようなダイジェスト感があるせいで、もうちょっと脇の面々も突っ込んで描いて欲しいという、食い足りなさは残ります。登場人物が、離れては出会い、出会っては離れ……という、大河ドラマ形式なのに、個々のキャラクター描写が不足しているので、そういった運命の変転に際して、湧いてしかるべきエモーションが、もうひとつ足りないのは惜しかった。
 あと、個人的な意見ですけど、少年から青年に成長する副主人公のイニゴが、少年時代はけっこうな美少年だったのに、青年に育ったら、何だか下ぶくれの、美青年でも何でもない顔になっちゃって、ちょっと「……え?」って感じ(笑)。
 女優さんは……う〜ん、メインのお二人は、もうちょっと美人にして欲しかったかな(笑)。ただ、演技は良いし、キャラクターとしても胸に迫るものがありました。
 さて、最後にオマケの責め場情報(笑)。
 流血残酷はふんだんにあるものの、いわゆる責め場はなし。個人的には、悪名高いスペイン宗教裁判の拷問が見たかったんだけどな〜(笑)。
 とはいえ、罪人がガレー船の漕ぎ手にされるシーンがあったのが、ちょっと嬉しかった。ま、17世紀のスペインのガレー船でも、やっていることは、ローマ時代のそれと同じなんですけどね。漕ぎ手のリズムを取るのが、太鼓からホイッスルに変わっているくらいで。

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“Pathfinder”

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“Pathfinder” (2007) Marcus Nispel
 アメリカ大陸に取り残されたバイキングの少年が、ネイティブ・アメリカンによって育てられ、やがて成長して侵略者であるバイキングと戦う……といった内容の、アクション・アドベンチャー映画。
 監督は『テキサス・チェーンソー』のマーカス・ニスペル、主演は『ロード・オブ・ザ・リング』でエオメルを演じていたカール・アーバン。
 元ネタは1987年のノルウェー映画『ホワイトウイザード』で、これはそのリメイク(とはいえ、舞台を変えているので翻案なのかな?)なんだそうですが、寡聞にしてオリジナルについては何も知らず。
 ただ、その年のアカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされているし、IMDbや米アマゾンのレビューでも、概して評判はいいですね。

 コロンブスより600年前、バイキングは既にアメリカ大陸に到達していた。彼らは自分たちが入植するために、原住民であるネイティブ・アメリカンの皆殺しを企てたが、一人のバイキングの少年が、その残虐行為に絶えられず、罰を与えられた後、独り置き去りにされてしまう。
 少年は、ネイティブ・アメリカンの女性に保護され、彼女の息子として育てられ、やがて逞しい青年に成長した。しかし彼は、その皆とは異なる外見や出自によってゴーストと呼ばれ、部族と完全に同化することもできずにいた。
 そんなある日、再びバイキングの船がやってきた。ゴーストのの部族は皆殺しにされてしまう。辛うじて生き延びたゴーストは、交易相手だった隣村に辿り着くが、侵略者の魔の手はそこにも伸びようとしていた。
 そして、襲い来るバイキングの軍団対ゴーストの戦いが始まる……ってな内容です。

 発想としては、なかなか面白い。
 ただし、作品の作りとしては、あくまでもモノガタリの舞台背景に、歴史的なニュアンスを持ってきたというだけで、全体のノリは完全にヒロイック・ファンタジー。全体設定から歴史モノを期待してしまうと、まったく期待はずれに終わるので要注意。
 ヒロイック・ファンタジーとしては、ヴィジュアルがかなりいい線をいっているので、それだけでも充分楽しめます。DVDのジャケットからもお判りのように、完全に「実写版フランク・フラゼッタ」の趣。公式サイトを見ると、もっと良く判るかも。
 特に前半部、ゴーストとバイキングが森の中や水辺で戦うシーンなんて、絵面が見事なまでにフラゼッタフラゼッタしてます。フラゼッタ風という点では、シュワルツェネッガーの『コナン』はもとより、監督から「フラゼッタを意識した」との発言があった『300』よりも、更には本家の『ファイヤー・アンド・アイス』よりも、フラゼッタっぽい(笑)。

 ストーリーとしては、色々と伏線も使って、手堅くまとまってはいるんですが、ただ、設定の旨味は生かし切れていない。
 二つの文化的背景を持つ主人公が、自分のアイデンティティを確立していくというネタの方は、けっこうちゃんと描かれているんですが、異文化同士の衝突という点では、残念ながら完全に掘り下げ不足。ネイティブ・アメリカンは、無辜で無力で善良な民でしかないし、敵役のバイキングも、単純で記号的な純粋悪でしかない。別に、歴史的背景を使わなくても描けるじゃん、ってな内容ではあります。
 戦いとかも、盛りだくさんではあるんですが、設定から期待されるような「バイキング vs ネイティブ・アメリカン」といった集団戦は出てこない。ネイティブ・アメリカン側のほとんどは、もっぱら虐殺されて逃げ出すだけ。バイキングと戦うのは、主人公プラス数人だけなので、エピック的なスケール感はなく、あくまでも、アクション主体の内容。
 アクションものとしては、手を変え品を変え様々なアイデアが繰り出されるし、テンポも悪くないし、監督が監督なので残酷描写も手加減なしだし……と、けっこう楽しめる内容です。

 まあ、主人公が悩み多きキャラクターで、しかもさほど強者というわけでもないせいもあって、シンプルな爽快感には欠けるとか、その分、頭脳戦っぽい要素が入るんですが、これも、引っかかる方がマヌケっぽい感じだとか、悪役として魅力的なキャラクターがいないとか、ストーリー的なツッコミどころも色々あるとか、贅沢を言い出せばきりはないけど、世の中にはもっとヒドい映画が幾らでもあるし(笑)。
 映像的には、極端に彩度を落とした色調とか、黒みが多く深い陰影とか、多用されるスローモーションとか、ヴィジュアルにはこだわりを持って作られています。鎧兜のデザインなんかも、なかなかカッコいい。
 ただ、ムードはあるけれどケレン味はなく、様式美的な要素もさほどないので、個人的な趣味から言うと、もうちょいプラスアルファが欲しい感じ。
 また、監督のマーカス・ニスペルは、前に『デュカリオン』を見たときにも感じたんですけど、画面のムードはいいんだけど、演出がそれに流れすぎの感があり。『テキサス・チェーンソー』のときは、もうちょっとタイトだったような気がするんだけどな。

 主演のカール・アーバンは、フラゼッタの絵と比べると筋量は少ないですけど(笑)、それでもなかなか立派な裸身を、ふんだんに見せてくれます。基本的には、さほど好きな顔じゃないけれど、ヒゲ+長髪+ヨゴレ+腰布……といったトッピングの良さもあり、個人的には充分佳良。
 ヒロイン役のムーン・ブラッドグッドは、角度によっては、ちょっと青木さやかに見えたりもしましたが(笑)、スッキリとした凛々しさがあり、役柄にも合っていて佳良。
 他には、キャラクター的なものもあって、先導者(pathfinder)役のオジサン、主人公と行動を共にする笛吹きの男、主人公のライバル的な男なんかが印象に残ります。
 バイキングの方は、兜で顔の判別がほとんどつかないことや、キャラクターが立っていないこともあり、役者さんの印象は、ほぼゼロ。エンド・クレジットを見て、初めてTV版コナン役者のボディービルダー男優、ラルフ・モーラーが出ていたと知ったんですが、未だにどのバイキングだったのか判らない(笑)。

 DVDはアメリカ盤、リージョン1、スクィーズのワイド、音声は英語とスペイン語とフランス語、字幕は英語とスペイン語。
 オマケは、監督のオーディオ・コメンタリー、削除シーン、メイキング・クリップ数種、予告編数種。
 前回に引き続き、これも何だかそのうちDVDスルーで、日本盤が出そうですな。
 最後に、責め場情報。
 主人公のライバルのネイティブ・アメリカン戦士が、バイキングに捕らえられ、上半身裸の後ろ手縛りで、焚き火の上に逆さまに吊られて火あぶりにされるシーンあり。ここはけっこうヨロシイので、火あぶりフェチ(そんなヤツはいねぇよ、と思われるかもしれないけれど、いるんですよ、そういう人も!)なら、見て損はなし。
 もう一つ、長老が二本の立木の間に大の字に吊されて、馬裂きにかけられるシーンもありますが、着衣だし、決定的瞬間はフレームアウトしちゃうので、それほど面白みはなし。
 あと、映画のそこかしこで虐殺シーンがある内容なので、半裸の男が殺されたり、死体が吊されたりといったシーンは、ふんだんにあります。残酷ものオッケーだったら、そこいらへんは見応えがあるかも。

 おっと忘れてた、追記追記。
 少年が背中を鞭打たれるシーンもありました。裸の背中にCGIで鞭痕が刻まれていきますが、ミミズ腫れなんて生易しいもんじゃなく、まるで切り傷のような痕で、けっこう迫力あり。
“Pathfinder (Unrated Edition)” DVD (amazon.com)
【追記】『レジェンド・オブ・ウォーリアー 反逆の勇者』の邦題で日本盤DVD出ました。

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