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“Bang Rajan”

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"Bang Rajan" (2000) Tanit Jitnukul

 タイの史劇映画です。
 興味を持ったきっかけは、何かで目にしたスチル写真が、えらく気に入りまして。口ヒゲ&強面で上半身裸のマッチョたちが、ずらりと並んでこっちを睨み付けている白黒写真で、えらくカッコよくってねぇ(笑)。で、調べてみたら「タイ映画の歴代観客動員数の記録を塗り替えた!」とか「オリバー・ストーンが惚れ込んで配給権を獲得!」みたいな、にぎにぎしい惹句が出てきたもんだから、えいやと思い切ってアメリカ盤DVDを購入してみました。

 タイの史劇映画というと、私は日本盤が出ているもので、『ラスト・ウォリアー』ってのと『セマ・ザ・ウォリアー』ってのを見ています。
 クレジットでは『ラスト…』の監督はタニット・チッタヌクン、『セマ…』の監督はサニット・ジトヌクル、となっている。ところが、今回IMDBで調べて見たら、これ、どっちも同じ人で、この"Bang Rajan"の監督の Tanit Jitnukul なんですね。表記の揺れってのは難しい問題だけど、多少強引でもいいから統一してくれないと、余計な混乱を招きますなぁ。

 で、正直なところ『ラスト…』は、ちょっとウムムな出来でした(笑)。歴史モノかと思っていたら途中から伝奇モノになって、まあそれはそれで構わないんですが、主人公があまりにもトンデモナイ男でして(笑)。まったく、自分を慕う娘を抱いて、妊娠すると腹を裂いて胎児を取り出し、それをミイラにして式神にする……なんて男の、いったいどこに感情移入せいっちゅーんじゃ(笑)。そんなこんなで、先の予測のつかない展開と、行動原理が理解できないキャラクターたちに振り回されて、半ばボーゼンと見ていると「え〜っ、ここで終わりかよ〜っ!」ってな驚愕のエンディングという、かな〜りスットコドッコイな映画(笑)。ま、そのぶんヘンな面白さはあるんで、キワモノ好きの方だったら一見をオススメしますが(笑)。
 それに比べると、『セマ…』の方はだいぶマトモで、農民が兵士になって、紆余曲折がありながらも頭角を現していく様子と、お偉いさんの娘との身分違いの恋とか、恋敵との確執なんかを絡めた、それほどビックリもしない内容。ただ、キャラクターの内面描写がイマイチだったり、エピソードのつなぎがぎこちなかったり、その時代のタイの人々の価値観に馴染めなかったりとかあって、もうひとつモノガタリには乗り切れない。 
 で、この"Bang Raljan"、DVDが届いてから同じ監督だと気付いて、「うわ、失敗した!」とか思ったんですが、ところがどっこい、いざ見てみると、『ラスト…』や『セマ…』とは桁違いに出来が良かった!

 物語の舞台は、18世紀中頃、ビルマ(現ミャンマー)の侵攻に押されている、シャム(現タイ)のアユタヤ王朝末期で、国境近くの村々は、ビルマ軍による掠奪や虐殺の憂き目に晒されている。
 それでも何とか生き延びた村人たちは、タイトルにもなっているバング・ラジャンという村に集結する。村人たちは、王都アユタヤに使者を送って、ビルマ軍に対抗する大砲をくれと頼むが、その願いは聞き入れられない。
 敵の猛攻に晒されながらも、母国からは見捨てられた村人たちは、バング・ラジャンの砦に立て籠もり、自分たちの手でゼロから大砲を鋳造し、数でも力でも圧倒的に勝るビルマ軍に、絶望的な戦いを挑む……ってな具合で、コレ系が好きな人だったら、この筋立てだけで、もうグッとくるのでは。

 映画の構成は、ビルマ軍との戦いという見せ場を作りながら、その合間合間に村人たちの日常の描写を挟み、登場人物のキャラクターを立てていき、枝葉を入れたり寄り道することもなく、クライマックスの大戦闘シーンに繋いでいく。
 基本的には群像劇で、戦いで負傷した村の長、その後を継がせるべく新たに迎え入れた戦士、妻思いの弓の名手と夫に気遣う妻、ちょっと三の線の若造と村娘の恋模様、いつも酔っぱらっているが腕は立つ過去に謎のある戦斧の使い手、村人たちの精神的な中核となっている僧侶……といった多彩なキャラクターが、それぞれ日常的なちょっとしたエピソードを得て、生き生きと動く。神話的な英雄や伝説的な勇者を出すわけではなく、あくまでも、農村の村人たちが生きるために力の限り戦うという軸は外さない。
 戦闘シーンの迫力はかなりのもので、モブやセットのスケール感や戦いの臨場感も充分。流血描写も容赦なしで、切ったり刺されたりの描写はかなり「痛い」し、突く刺すだけでなく「寄ってたかって殴り殺す」なんてシーンなんかは、見ていて「ひぃ〜、この殺され方だけはイヤ〜ッ!」って感じ。虐殺された村人たちの死体の山の描写なんかも、けっこう生々しくてショッキング。
 とはいえ、それらの描写は決してスプラッター趣味や露悪趣味には走らず、リアリズムの重さという範疇にきちんと収まっている。これは、リドリー・スコットの『グラディエーター』などと同様の、おそらくはプライベート・ライアン・シンドロームとでも言うべき現象の一環なんでしょうが、オリバー・ストーンが惚れ込んだというのも納得で、彼の『アレキサンダー』の戦闘描写は、けっこうこの"Bang Rajan"に影響されているような気も。
 そんなこんなで、キャラクターのドラマのような「静」の部分と、アクションやスペクタクルといった「動」の部分のバランスは極めて良く、しかもモノガタリ全体は、娯楽映画的なツボをしっかりと押さえて過不足のない堂々たる筋運び。ただ、仏教的な死生観が濃厚なので、そこを把握しておかないと、ちょっとモヤモヤが残る可能性はあり。
 あと、情緒面の描写が過剰に過ぎるきらいはあって、おかげでせっかくの感動シーンも、心が揺さぶられる前に鼻白んでしまう感がなきにしもあらずではあります。でもまあそれは、くさいと感じてしまった自分の心が汚れていると思うか、民族性の違いだと思って、ガマンしましょう(笑)。
 また、ちょっと全体的に色調補正がキツ過ぎて、シャドウ部がベッタリ潰れてしまっていたり、色カブリを起こして黒が黒じゃなくなっていたりするのは気になりました。監督やカメラの意図と言えばそれまでなんですが、これが気にならないのは、正直いささか無神経な気はします。

 俳優さんたちは、まあとにかく皆さんカッコいいわ(笑)。
 徹頭徹尾腰布一丁の半裸で、ヒゲや刺青もあって、しかもマッチョ揃いとくれば、もう私のツボは押されまくりではあるんですが(特にメインの二人は、もう惚れ惚れ)、それを抜きにしても、皆さん精悍で、実にいい目をしている。強さも弱さもあるキャラクター描写とか、それを堂々と演じている俳優の佇まいとか、戦いの際の剣さばきのケレン味とか、男のカッコ良さは存分に堪能できます。
 まあ良かったら、Bang RajanでGoogleのイメージ検索でもしてみてください。このBlogにアップしたアメリカ盤DVDのジャケ写は、正直あんまり良くないんで。他のスチルを見れば、私がカッコいいカッコいいと連呼しているわけが、もう一目瞭然でしょうから(笑)。
 野郎どもの濃いキャラに押されて影が薄くなりがちではありますが、女優さんたち(目立つのは二人だけだけど)も佳良です。

 というわけで、これが未公開でビデオスルーですらないってのは、何とも惜しい気がします。『ラスト…』と『セマ…』が出ていて、この"Bang Rajan"が出ていないってのは、監督さんにとっても気の毒だと思うんで。
 ただ、この三本では"Bang Rajan"が一番古いってのは、監督の作家性としては、ちょいと問題アリって気もしますけど(笑)。
 米盤DVDはリージョン1、収録はスクィーズ。音声はタイ語で英語字幕付き(字幕のON/OFFはできず出っぱなし)。映像特典等は何もなし。
 ストーリーがシンプルで真っ直ぐなせいもあり、内容把握の難易度も低めなので、よろしかったらぜひご覧あれ。オススメです。

 最後に残酷ネタ。
 え〜、惨殺されるマッチョを見るのが好き、とゆー私の魂の同志諸君。見どころタップリですぞ、この映画(笑)。

“Bang Rajan” DVD (amazon.com)

 YouTubeに米国版予告編があったので、貼っ付けておきます。

ラスト・ウォリアー [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2005-06-03
セマ・ザ・ウォリアー [DVD] セマ・ザ・ウォリアー [DVD]
価格:¥ 5,040(税込)
発売日:2006-03-03

『聖女の臀堂』春川ナミオ

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 中野タコシェさんから、春川ナミオさんの図録『聖女の臀堂』が発売されました。
 春川ナミオさんといえば、エロティック・アートに興味のある方、特にノンケSMの男マゾ系ジャンルでは、もう知らない人はいないだろうというくらい有名な画家。
 一貫して描かれる、「巨女のお尻に小柄な男が下敷きにされている」という緻密で繊細な鉛筆画は、他に類を見ない個性といい、絵画的な完成度の高さによる美麗さといい、日本のエロティック・アート界が誇る至高の存在の一人、と言いたくなってしまうほど、本当に素晴らしい。
 かく言う私もずっとファンでして、今回の図録の解説で、自分が入手しそびれている画集が三冊もあると知り、悔しさに歯噛みをしているところです(笑)。
 じっさい、SM好きではあってもゲイである私には、氏の描かれるような、巨女への屈服といったファンタジーはありません。しかし氏の作品には、そんなセクシュアリティの差異を越えて、私を圧倒する完成度とパワーがあります。
 ちょうど、つい先日発売されたばかりの雑誌『QJr』の対談で、私は自分の感じるところのエロティック・アートの魅力を、「作者のファンタジーのみを母体として生まれ、それを突き詰めれば突き詰めるほど、ユニークで濃くなっていく、自己表現としての『純粋さ』や『アーティスティック』さ」といったニュアンスで喋っているんですが、春川ナミオさんの作品は、まさにこれにドンピシャ。
 かつて世間一般では、マイナーなセクシュアリティに対して、良く「歪んだ欲望」とか表現されたもんですが、馬鹿言っちゃいけません。表現としてこんなに「真っ直ぐ」なものは、アート全般を見渡しても、そうそうあるものではなく、だからこそ春川ナミオさんの作品は、こんなにも清々しく力強く美しい。
 もちろんテクニックや表現力といった、タブローとしての完成度の高さも、その美しさには一役買っております。紙の目を生かしながら柔らかく重ねられた、鉛筆の粉が描き出す陰影の美しさ。それによって描き出された艶やかに漲る臀部は、作者からの崇拝という無償の愛があってこその所産なのだ。
 そういった意味でエロティック・アートとは、それが生み出されるに至る原動力に、宗教芸術と似た構造を持っている……というのは、かねてからの自分の持論。
 アートついでにもうちょっと脱線すると、例えば春川ナミオ作品で描かれる、主観的なデフォルメと客観的なリアリズムが混淆した尻や太腿のフォルムを見ていると、私はどこかしらピエール・モリニエの作品との共通点を感じます。更に言えば、林良文は春川ナミオに大きく影響を受けたのではないかと、ひっそり考えていたりもします。
 もっと脱線すると、春川ナミオと同傾向のセクシュアリティを伺わせるマンガ家である、たつみひろしの絵を見ていると、ダイナミックなパースで描かれた圧倒的な肉の量感や、よりエスカレートしたスカトロジーやバイオレンスやファルスの描写などから、今度はシビル・ルペルトを連想します。
 こういった具合に、作品が表現として純化していくと共に、ポルノグラフィやイラストレーションといったジャンルや枠を跳び越えて、作者の思惑を離れたところで、純粋に作品の持つ力によって、モダン・アートの世界にも接近していく、というのも、私の感じるところの優れたエロティック・アートの魅力の一つ。
 そんなこんなもあって、やはり春川ナミオさんの作品は、圧倒的なまでに素晴らしい。
 今回の図録は2001年以降の作品を収録とのことですが、描かれている世界はいつもと変わらず、福々しくも凛とした顔立ちの美女たちの巨大な臀球に顔を埋める、小さく哀れな裸のマゾ男たち。
 でも、ぱっと見て「全部同じじゃん」と思うのは、それは観察眼が足りません。
 よくご覧あれ。巨尻による顔面騎乗という行為こそ同じでも、その置かれているシチュエーションは、男にまだ人格が残っているセクシャルなプレイの一環であったり、人格も喪って人間椅子のような器具化されていたり、男が己の意志で奴隷として美神に屈服する図であったり、逆に女が力によって男を征服するアマゾネスであったりと、実は千差万別なのだ。
 サド・マゾヒズムを扱ったエロティック・アートは、こういったディテール、すなわち一枚の絵から導き出される数多のモノガタリ性を、じっくりタップリねぶるように味わってこそ、その醍醐味を充分に堪能できるんです。パラ見は禁物、絵を能動的に「読みながら」鑑賞しましょう。因みに、私の一番のお気に入りは、4ページ目の「二人向かい合わせに縛られて、人間椅子にされている」やつ。
 ただ、妄想が奇想にまでエスカレートしている系の作品、例えば『巨女渇愛 vol.2』の「幻の女権帝国」に見られたような、人間椅子レベルの器具化も越えて、アクセサリーのように「女の尻から尻尾のようにぶら下がっている男」系の作品が収録されていないのが、個人的にはちょっと残念ではあります。あの、まるでチョウチンアンコウの男女関係(笑)みたいな姿は、視覚的にかなりインパクト大だったので……。
 図録はタコシェさんで、税込み1000円で発売中。
 ぜひお手にとって、じっくりとご鑑賞あれ。

『ヘラクレス(ワイド版)』+ “Mole Men Against the Son of Hercules”

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 前にドイツ盤フランス盤を紹介した、スティーヴ・リーヴスの『ヘラクレス』ですが、ワイドスクリーン・エディションのアメリカ盤DVDが出たのでご紹介。因みに、アメリカ盤DVDは既に何種類か発売されていますが、いずれもテレビサイズのトリミング版で、ワイド版はおそらくこれが初めて。あ、VHSならワイド版も出ていましたけどね。

 で、気になる品質ですが、おおむねオッケーでした。とりあえずは、キャプチャ画像をご覧あれ。
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 経年劣化による色の変化はあるものの、発色は自然だし、質感などのディテールの再現性もかなり良いのがお判りになるかと。ご覧の通り画面サイズはシネスコで、スクィーズ収録。
 画質は、暗部に若干の潰れがあり、エンコード品質のせいか全体的にちょっと粒状感があるのと、少しボケもあって、フランス盤よりは劣る感はあるものの、それでも色は良く残っています。少なくとも、これまで出ていたテレビサイズのアメリカ盤とは、比べものにならないくらい画質は向上しています。前述の粒状感やボケも、さほど大きくないモニターならまず気にならないであろう程度。
 音声は、割れや歪みがちょっと気になりますし、全体に低いノイズがのっていて、これはフランス盤はもとより、ドイツ盤と比べても落ちるかも。ただ、鑑賞の邪魔になるほどでもないので、まあ許容範囲内といったところでしょうか。でも、米amazonのカスタマー・レビューを見ると、「吹き替えのバージョンがイマイチ」なんつー、マニアックなご意見もあり(笑)。
 尺はフランス盤とほぼ同じ97分。タイトルバックもフランス盤やドイツ盤同様の、赤地に黒の飾り罫に白抜き文字のパターンで、これまでのアメリカ盤のハンナ・バーベラ風(笑)じゃありません。
 リージョン・コードもフリーなので、PALには手を出すつもりがない方であれば、最初の一枚としてオススメです。もちろん、既にテレビサイズ版DVDをお持ちの方も、買い換えの価値は充分アリだと思いますよ。
 日本で売られているPDのDVDの中には、もっと酷い画質のものも幾らでもあるから、どっかの会社がこのマスターを買って、日本語字幕付きの日本盤を出してくれないもんですかねぇ。

 そしてこのDVD、更に2in1のオマケ付き両面ディスクだったりもします。
 で、カップリングされているのが、マーク・フォレスト主演の “Mole Men Against the Son of Hercules” (1961) Antonio Leonviola、伊語原題 “Maciste, l’uomo pi forte del mond”。
 これは「モグラ人間対ヘラクレスの息子」なんてタイトルからも察せられるように、まあ内容的にはけっこうスットコドッコイな映画(笑)。
 要するに、ヘラクレスの息子・マチステが、地底人と戦って打ち負かすんですが、地底人の国にはセクシー女王がいて、案の定それが次第にヒーローに惚れてしまい……ってな、お約束もテンコモリのファンタジー・アドベンチャー。で、ヒーローのマチステがマーク・フォレスト、女王が「ソード&サンダル映画の安い悪の女王ならアタシにおまかせ!」のモイラ・オルフェイ。
 でも、それなりに頑張ってはいて、地下帝国の宝石採掘に使われている巨大機械のスケール感なんか、かなりいい感じだし、話も危機また危機で飽きさせず悪くない。一連の Son of Hercules もの(見たことある方ならお判りだと思うけど、ミョーに脳天気な「♪ざ〜まいてぃ〜さん〜おぶ〜は〜きゅり〜ず……」って主題歌のヤツね)の中では、けっこう上出来な部類ではないかと。
 しかし、個人的に最大の見どころというと、この映画、責め場がかなり良いのだ(またかい)。マーク・フォレストにヒゲがないのは残念だけど、その欠点(じゃないだろ)を補って余りある充実した内容。加えて、メインのマーク・フォレスト以外にも、サブ・ヒーローのポール・ウィンターという黒人ボディービルダーがいまして、これまたタップリ責められてくれるもんだから、もう二倍オイシイ。

 で、具体的にはどんな感じかと言いますと…
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 二人仲良く後ろ手に縛られて、地底人に連行されるマチステ(マーク・フォレスト)とバンゴ(ポール・ウィンター)。画像だと判りにくいけど、後ろ手と喉に繋がって縄が掛けられているあたりの凝り方が、またウレシイ(マニア視点)。この後、互いに戦わせられたり、檻の中に入れられてゴリラだか猿人だかと戦わせられたりします。
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 一度は脱出したマチステだが、バンゴを助けるために罠にかかって再度捕まり、もう一人の仲間も加えて、三人一緒に拷問にかけられる。頭上に石版の重石を次々に乗せられ、重みに耐えかねてマチステが屈んでしまうと、縛られて寝かされた仲間二人を刃が貫いてしまうという仕掛け。
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 このシーン、最初は立っていたマチステがじりじりと膝をついていく様子を、ロングもアップも取り混ぜて、尺も長くタップリとネッチリと見せてくれるので、かなり満足感アリです。
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 マチステは試練に耐えたものの、バンゴは引き続き地下牢で吊されて拷問。
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 他にも、マチステは首枷付きの内側にナイフが突き出した檻に入れられたり、はたまた鉱山の採掘用の重石に押し潰されそうになったり。
 バンゴはバンゴで、初登場シーンからしてボンデージだし、その後も棒状の猿轡噛まされて立木に縛られて囮にされたり、猿轡のままマチステを閉じこめた檻を担いで運ばされたり、そうやってヘタったところを水をぶっ掛けられて足蹴にされたり。
 あと、二人一緒に他の奴隷たちに混じって、鞭打たれながら鉱山採掘の巨大機械を押して回したり、とにかくオハナシの大半が「地底人に捕まっている」状況なので、当然のように、縛られてたり鎖に繋がれてたり檻に閉じこめられてたりするシーンも多い……ってわけです。
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 あと、脇キャラですが、この責め場もお気に入り。地底人だから、日の光に当たるとエライコトになっちゃって悶え苦しむ……ってなシーン。
 ってなわけで、まあ、フィルムは退色しまくっているし、キズやらボケやら当たり前だし、左右も切れちゃっていますが、マッチョの責め場好きには、けっこうお得感アリですよ、この “Mole Men Against the Son of Hercules”。
“Hercules + Mole Men Against the Son of Hercules” DVD (amazon.com)
 因みに、つい先日紹介した “Warriors 50 Movie Pack” にも入っています。画質は似たようなもんですが、エンコードの品質のせいか、今回のDVDの方がちょっとだけマシかなぁ。まあ、あくまでも「ちょっとだけ」ですけど(笑)。

“Warriors 50 Movie Pack”

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“Warriors 50 Movie Pack”
 米Mill Creek Entertainmentから出た、ソード&サンダル映画50本セットDVDのご紹介。
 これはいわば激安モノで、簡素なペーパー・スリーヴに入った、表裏合わせて映画を4本ずつ収録した両面ディスク×13枚が、やっぱり簡素な紙箱に入ってます。で、値段は$29.98っつー安さなんですが、Video Universeとかだと更に値引きで、$17.95とかで売られています。
 実は同社の同シリーズでは、”Sci-Fi Classics 50 Movie Pack”という商品に、60年代のB級SFや日本のガメラ映画なんかに混じって、ソード&サンダル映画も何本か収録されていたり、また、ソード&サンダル映画+ターザン映画の”Adventure 10 Movie Pack”なんて商品があり、そのうち紹介しようかなぁなんて思っていたんですが、こんなもんが出ちゃあ、もう意味なしですな(笑)。ソード&サンダル映画だけに関して言えば、真打ち登場ってとこでしょうか。

 まあ、このシリーズは安いだけあって、画質や音質などは決して褒められるシロモノじゃありません。フィルムのキズ、ボケ、退色、音声の歪みなんかは、あって当たり前の世界。パッケージも極めてチープ。
 ただ、アメリカで販売されているソード&サンダル映画のDVDは、ごく一部の例外を除くと、フィルムの状態はズタボロなものばかりなので、それらも画質的には、この”Warriors 50 Movie Pack”とどっこいどっこい。あと、流石に50本もあると、単品ではDVD化されていない(であろう)作品も多いので、まあ値段を考えても、このテのものが好きだったら、けっこうお買い得だと思いますよ。
 中身のレビューは、とてもじゃないけど50本全部見るのは時間もかかるんで、それは後の機会に譲るとして、今回はとりあえずご参考までに、収録先品のリストをば。

スティーヴ・リーヴス主演作
“Hercules Unchained”「ヘラクレスの逆襲」
“The Giant of Marathon”「マラソンの戦い」
“The White Wattior”「怪傑白魔」
“Sandokan, Pirate of Malaysia”

レジ・パーク主演作
“Hercules and the Haunted World”「ヘラクレス 魔界の死闘」
“Hercules and the Captive Women”「アトランティス征服」
“Maciste in King Solomon’s Mine”

ゴードン・スコット主演作
“Samson and the Seven Miracles of the World”
“Hercules and the Princess of Troy”
“Hero of Rome”
“Gradiators of Rome”

マーク・フォレスト主演作
“Son of Samson”「マチステ」
“Goliath and the Dragon”「豪勇ゴライアス」
“Goliath and the Sins of Babylon”「鉄腕マチステ」
“Hercules Against the Barbarians”「ヘラクレス/闘神伝説(ヘラクレス対バーバリアン)」
“Hercules Against the Mongols”「ヘラクレス/モンゴル帝国の逆襲」
“Kindar the Invulnerable”
“The Lion of Thebe”
“Mole Men Against the Son of Hercules”

カーク・モリス主演作
“Colossus and the Headhunters”
“Devil of the Desert Against the Son of Hercules”
“Triumph of the Son of Hercules”

ゴードン・ミッチェル主演作
“Atlas in the Land of Cyclops”「片目の巨人」
“Fury of Achilles”
“Ali Baba and the Seven Saracens”

アラン・スティール主演作
“Hercules Against the Moon Men”
“Hercules and the Masked Rider”

キャメロン・ミッチェル主演作
“The Last of the Vikings”「海賊王バイキング」
“Caesar the Conqueror”

ダン・ヴァディス主演作
“The Son of Hercules in the Land of Darkness”
“The Ten Gladiators”

エド・フューリー主演作
“Ursus in the Valley of the Lions”「獅子王の逆襲」
“Ursus in the Land of Fire”

リチャード・ハリソン主演作
“Gradiators Seven”「七人のあばれ者」
“Two Gladiators”

ブラッド・ハリス主演作
“Fury of Hercules”「ヘラクレスの怒り」

サムソン・バーク主演作
“Vegeance of Ursus”

レグ・ルイス主演作
“Fire Monsters Against the Son of Hercules”

ジョー・ロビンソン主演作
“Thor and the Amazon Women”

リチャード・ロイド主演作
“Vulcan, Son of Jupiter”

ジョルジュ・マルシャル主演作
“Ulyssess Against the son of Hercules”

ピーター・ラパス(ロック・スティーヴンス)主演作
“Hercules and the Tylants of Babylon”

ロッド・テイラー主演作
“Colossus and the Amazon Queen”「アマゾンの女王」

ローランド・キャレイ主演作
“The Giants of Thessaly”

リク・バッタリア主演作
“The Conqueror of the Orient”

ガイ・ウィリアムス主演作
“Damon and Pythias”

アラン・ラッド主演作
“Duel of Champions”

エドマンド・パードム主演作
“Herod the Great”「エロデ大王」

ロジャー・ムーア主演作
“Romulus and the Sabines”「サビーヌの掠奪」

デブラ・パジェット主演作
“Cleopatra’s Daughter”

 ……ってな具合で、リスト後半はマッスル・ムービーじゃないのも混じってますけど、全体的にはなかなか充実しているかと。
 個人的には、高画質な独盤や仏盤は持っているもののセリフが判らないのが残念だったヤツの、英語バージョンが幾つかゲットできたとか、映画自体は珍作の類だけど、責め場がなかなか良いレジ・パークの”Maciste in King Solomon’s Mine”を、DVDで入手できたとか、「ヘラクレスの逆襲」のオンファーレ役でお気に入りだったシルヴィア・ロペスが出ているので気になっていた「エロデ大王」が入っていたりとか、嬉しいポイントはけっこう多々ありでした(笑)。
 あ、因みに、パッケージには”Spartacus and the Ten Gladiators”と表記されているのに、実際に収録されているのは、同じダン・ヴァディス主演でも”The Son of Hercules in the Land of Darkness”だった、なんてミスも発見。まだ中身を全部確認したわけではないので、このテのミスはまだあるかも。
“Warriors 50 Movie Pack Collection” DVD (amazon.com)

“Les Pirates de Malaisie”

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“Les Pirates de Malaisie” (1964) Umberto Lenzi
 先日の『逆襲!大平原』に引き続き、スティーヴ・リーヴス主演映画フランス盤DVDのご紹介。
 伊語原題 “I Pirati della Malesia”、英題 “The Pirates of the Seven Seas” aka “The Pirates of Malaysia”。日本未公開らしく邦題は不明。

 これはソード&サンダル映画じゃなくて、タイトル通り海賊ものです。リーヴス演じるのは、主人公の義賊サンドカン。おそらく同じ監督の『サンドカン総攻撃』(1963) の続編なんでしょうが、残念ながら『サンドカン…』は未見のため、詳細は判らず。
 で、どうやらこのサンドカンってのは、イタリアでは有名な児童文学だか大衆文学だそうで。調べてみると、海賊に扮した虎のキャラクターのアニメーションとか、お懐かしやカビール・ベディ主演のテレビシリーズなんかがヒットする。カビール・ベディっつーと、中学生の頃だったか『バグダッドの盗賊』って映画を見に行きましてね、ムサい髭面に惚れたもんです(三つ子の魂百まで)。まあ映画そのものは、ガキながら「何だか安っぽいな〜」なんて思いましたが。あ、あと忘れられないのが、ヒロインを演じてたバブラ・ユスティノフ! ピーター・ユスティノフの娘なんだけど、これがブスでねぇ(笑)。まあ、パトリシア・ヒッチコックほどの破壊力じゃないけど(笑)。
 話がズレました。で、このサンドカンってのは、インド人だかインド系マレー人だかで、植民地時代、英国人に両親を殺されるかなんかして、民族の独立のために立ち上がって戦う義賊になった……みたいなキャラクターらしいです。

 続編(たぶん)のこの映画では、漂流している小舟に乗った男が、サンドカンの船に助けられるところから始まる。サンドカンは助けた男の口から、知人のインド人大公が誘拐監禁され、家族は皆殺しになったとことを知る。犯人は、黄金の採掘権を狙った英国軍人。こうしてサンドカンと英国軍人の闘いが始まる。
 展開は盛り沢山で、サンドカンは水夫に化けて黄金の輸送船に潜入したり、そこで殺されたと聞いていた大公の姫と会ったり、でも姫は、目の前で母親を殺されたショックから放心状態で、サンドカンのことも判らなかったり。はたまた大公の居所を探るために、今度は難破した貴族になりすまして、大胆不敵にも仇敵の懐に飛び込んだり、捕らえられて殺されそうになった仲間を、ロミオとジュリエットみたいな計略を働かせて助け出したり。
 かと思えば、アジトにしていた僧院の寝込みを襲われ、あわや殺されるところを、姫の懇願で除名されて、鉱山の強制労働に送り込まれたり、そこで他の囚人を扇動して暴動を起こしたり。次から次へと繰り出されるアイデアは、なかなか楽しめます。ただ、盛り沢山なわりには、これぞという大ヤマに欠けるので、ちょっと全体にチマチマした印象もあり。海賊と銘打つわりには、海のシーンより陸の戦いの方が多いし、アクション的にもスペクタクル的にも、どうも小粒感が拭えない。絵面そのものはシンガポールロケで良い雰囲気を出しているし、風景のスケール感なんかもけっこうあるんですけどね。

 監督のウンベルト・レンツィは、前述の『サンドカン総攻撃』の他にも、リチャード・ハリソン主演の『勇者ヘラクレスの挑戦』なんかも撮っていますが、後にはマカロニ・ウェスタンやジャーロ映画やB級アクションやホラーを手掛けた、B級職人監督さん。と言っても、実は私、その中で見たことのあるのは『人喰族』(『食人族』じゃないのよ)だけなもんですから、個人的には「サイッテーの監督!」というイメージが(笑)。
 この『人喰族』、巷では残酷描写のドギツさで悪名高いですけど、私としてはそれはOKなんですが、それより前半、動物虐待によるグロを延々と見せられるのが、とにかく不愉快でして。「動物ばっか殺してないで、さっさと人喰えや、ゴラァ!」と、マジで怒りが込み上げてきた記憶があり。
 でもまあ、この海賊映画を見ている限りでは、それほどヒドくもないですな。一人称カメラの切り替えで見せる、鉱山でも殴り合いのシーンなんか、けっこう迫力があってイイ感じだし、画面のスケール感なんかも、ショボくて情けなくなる程でもない。ただ、場面ごとの出来不出来のムラがあり、特にこの映画でマズかったのは、クライマックスに当たる断崖絶壁の上に立つ僧院での銃撃戦と、仇敵との一騎打ちのシーンが、とにかくショボショボでさまにならないこと。おかげで全体の印象も低下。残念ながら総合点では、同じリーヴス主演の海賊映画で比べても、前に紹介した『海賊の王者』よりも、かなり劣ると言わざるを得ないかな。
 ちょっと興味深かったのは、鉱山での暴動でリーヴスが敵をマシンガンで撃ち殺していくのを、延々と見せるシーン。このシーンは敵を倒すというより、圧倒的に勝る力で虐殺しているように見えるせいか、どこか暗い翳りのようなものが感じられます。本作はリーヴスのフィルモグラフィの中でも最後期(最後から二本目)に位置し、時代も史劇が廃れてマカロニ・ウェスタンへと移行していくあたり。そういった時代の結節点の反映が、このシーンに見られるような気がします。因みにリーヴス自身も、この映画から4年後、自ら脚本にも加わったマカロニ・ウェスタン『地獄の一匹狼』を最後に、映画界から引退しています。
 また、このシーンの後にも、共に鉱山を脱出した連中が、意見が分かれて道を別にしたところ、反乱だか戦争だかに巻き込まれて、あっさり全員殺されてしまう……といった、シニカルな展開があります。他にも、墓穴を掘っているとシャレコウベが出てくるシーンとか(これはアメリカ版ビデオではカットされていました)、土の中に生き埋めにされてしまうシーンとかも、やはり何となくマカロニ・ウェスタンへの過渡期を感じさせるような。

 主演のリーヴスは、今回はラウンドひげ。白いシャツを腹の上で縛った海賊スタイルや、キラキラゴージャス系のエキゾ衣装なんかも見せてくれますが、脱ぎ場は少なく、着替えのシーンと鉱山のシーンのみ。分量的には『怪傑白魔』や『逆襲!大平原』と同程度。
 冒頭で助けられる漂流船の男に、ソード&サンダル映画の脇ではお馴染みのミンモ・パルマーラ。
 大公の姫に、ジャクリーヌ・ササール。余談ですが、ガキの頃に読んでいた『スクリーン』で、よく「青春スター特集」みたいな記事があり、そういうときに必ず載っていた女優さんなんで、この人の顔は『芽生え』というタイトルとセットでアタマに刷り込まれています。おかげで、何となく麻丘めぐみとイメージがダブってますが(笑)。で、私は『芽生え』も『お嬢さん、お手やわらかに!』も見ていないので、動くササール嬢を拝見するのはこれが初めてなんですが、動きが少ない役柄だし、レンツィ監督の撮るラブシーンがぜんぜん良くないせいもあって、正直あまり印象に残らない。でも、スキッとしたキレイな顔だとは思います。顔をドーランで黒く塗って、インド人に化けているんですが、それほど珍妙でもない。少なくとも、『黒水仙』のジーン・シモンズとかよりは、よっぽど様になってます(笑)。
 で、またまたどっかにジョヴァンニ・チアンフリグリア君が出ていないかと目を凝らしていたんですが、残念ながら今回は見当たらず。ただ、オープニング・クレジットにドメニコ・チアンフリグリアという名があり、ひょっとしたら兄弟か何かかしらん。サンドカンの手下に、ちょっとジョヴァンニ・チアンフリグリアに顔が似ていて身体は少し細い男がいて目を引かれたんですが、ひょっとしてアレがそうかな? この人、確か『逆襲!大平原』でも、ゴードン・スコットの背後にいるその他大勢の中にいて、やっぱり目を引かれたんだけど(笑)。

 さて、恒例の「責め場」ですが、残念ながら今回は、リーヴスのそれはなし。
 その代わりといっちゃあ何ですが、ミンモ・パルマーラの責め場があります。川縁で強制労働させられているところ、脱走しようとした罰に、川の中に突っ立った杭に、胸の下まで水に浸かる形で後ろ手に縛られる。で、裸の胸板をナイフで切られる。すると、滴って水に混じった血の臭いに引かれて、河原にいたでっかいワニが川の中に。身動きできな囚人に向かって、ワニがゆっくり泳いで近寄ってくる……ってなシーン。
 まあ、リーヴスじゃないのは残念だけど、ミンモ・パルマーラもガタイはいいし、アイデア的にも面白いので、責め場としては悪くない。ただ、個人的にこの人の顔が好みじゃなくってねぇ……(笑)。でもまあ、これは単に好みの問題だから、シルベスタ・スタローンとかが好きな人ならオッケーだと思います(笑)。
 DVDはフランス盤なのでPAL。スクィーズなしのシネスコのレターボックス収録ですが、画質はこの間の『逆襲!大平原』以上に良好で、ボケやらキズやらにじみなどはもちろん、経年劣化による退色すらなし。アップになると、リーヴスの肌に浮かぶ汗の滴まで見えます。スクィーズではないものの、画質は下手なメジャーのクラシック作品以上。どのくらい美麗かは、キャプチャ画像をご覧あれ。
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 音声は仏語のみ、字幕なし、特典なし、チャプターすらなし(笑)という仕様は『逆襲!大平原』と同じ。
 ランニングタイムは、パッケージには80分と表記されているんですが、再生してみると実際は110分ほど。前述したように、米版VHSでは見られなかったシーンもあるので、IMDbのデータを見る限り、どうやら全長版のよう。他の国でのDVDソフト化は、今のところ情報なし。VHSなら米版が入手可能ですが、これは画質がかなりメタメタで、シャドウは潰れて画質も暗く、薄暮や夜のシーンなんか鑑賞するのが辛いくらい。しかも、そーゆーシーンが多いんだ、この映画(笑)。

『悪魔の棲む家』

悪魔の棲む家 (2005) アンドリュー・ダグラス
The Amityville Horror (2005) Andrew Douglas
 リメイクの話を聞いたとき、実は「あ、けっこういいアイデアかも」と思いました。っつーのもオリジナルの1979版は、有名なわりにはそれほど恐くも面白くないから(笑)、オリジナルを越えるリメイク版の制作も、あながち夢じゃないと思いまして。
 で、結果は……微妙(笑)。まあ、退屈はしないしそこそこ楽しめるけど、それだけ。テンポはオリジナル版より良いけど、その反面、話の構成は雑に。脅かし系のショッカー演出は頻出するけど、恐いっつーよりビックリするっつー感じだし。可もなく不可もないという意味では、オリジナルもリメイクもどっこいどっこいかなぁ。
 まあ、マジメに考えるといろいろ言いたいことはあります。恐怖の対称が、惨殺された子供の幽霊と、惨殺した殺人鬼の憑依と、元凶となった過去の因縁と、三つあるんですが、その絡ませ方や盛り上げ方がぎこちなく、フォーカスが散ってしまっているとか、神父を出すタイミングが明らかに間違っていて、おかげで出す意味すらなくなっているとか、あそこで××を殺しちゃだめだろう、××は家族の一員なんだから、それを殺しちゃったら、いくら脱出しても家族の絆は再生しないだろうとか、まあ他にもいろいろと。
 でもまあ、そーゆーことに目くじらをたてなければ、それなりには楽しめます。世の中、もっとヒドいホラーはいくらでもあるし(笑)。
 で、実は私、オリジナル版はさほど好きではないにも関わらず、DVDは持ってたりします。値段が999円だったっつーのもあるんですが(笑)、最大の理由は主演のジェームズ・ブローリンでして。
 ちょっとバッチイひげモジャでね、それが話が進むにつれて、どんどん憔悴してドロドロになっていく様が、もう何とも言えずに色っぽくて。もう、それ見たさだけでオリジナル版のDVDを買ったといって過言ではない(笑)。『ジャグラー/ニューヨーク25時』のDVDも出ないかなぁ。このときのブローリンも実に良くて、しかも映画そのものも面白いから、DVDが出たら即買いなんだけど。
 つまりまあ、私にとってオリジナル版『悪魔の棲む家』の最大の魅力とは、ホラー的な見せ場でも何でもなくって、実はジェームズ・ブローリンの姿形だったりするのだ(笑)。
 で、今回のリメイク版ですが、これまた同じで、個人的に最大の魅力は、オトーサン役のライアン・レイノルズという役者さんでした(笑)。もう、やっぱりちょいバッチイひげモジャでね、加えて身体はゴツくて、ブローリンよりずっとマッチョ。
 で、こいつが悪霊に取り憑かれて、ドロドロになっていく様子が、これまた何とも色っぽくて(笑)。パジャマの下だけを腰で履いているヌード姿とか、風呂場でバケモノに襲われるシーンとか、もう実にステキで嬉しくなっちゃいました(笑)。スルーしてた『ブレイド3』、今度借りてこなくちゃ。
 とゆーわけでオリジナル版とリメイク版、私的には「ホラー映画としては可もなく不可もなくの出来」だけど「主演のオトーサン役がツボに直撃なんで全てオッケー!」という意味で、ホント全く同じような作品でしたとさ(笑)。
 リメイク版のDVDも、出たら買うと思います、たぶん(笑)。
 最後に、ちょっと残酷ネタ。
 リメイク版で、オトーサンが「ネイティブ・アメリカンを拷問・虐殺していた地下室」を幻視するシーンがあるんですけど、ここで出てくる、ネイティブ・アメリカンのサンダンスの儀式や、ファキール・ムサファーのパフォーマンスみたいな、「胸の肉に鉄鉤を刺して吊られている裸の男」のシーンは、短いんだけど、拷問図的にはけっこう良くて、お得感アリ。
 まあ、これをネイティブ・アメリカンへの「拷問」にするのは、ちと変ではありますが、この際そーゆーツッコミはなしということで(笑)。

『逆襲!大平原』

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『逆襲!大平原』(1962)セルジオ・コルブッチ
“Romulus et Remus” (1962) Sergio Corbucci

 新着ソード&サンダル映画DVDのご紹介。フランス盤。伊語原題 “Romolo e Remo”、英題 “Duel of the Titans” aka “Romulus And Remus”。
 スティーヴ・リーヴスとゴードン・スコットの共演ということで、その筋のマニアには「ヘラクレス vs ターザン」ってな感じで有名な作品です。
 で、早速ですが、またまたジャケがダウト(笑)。これ、同じスティーヴ・リーヴス主演でも、『逆襲!大平原』じゃなくて、『マラソンの戦い』のスチルです(笑)。
 それにしても『逆襲!大平原』って……ヒドい邦題だなぁ(笑)。原題を見ればお判りのように、これはローマの建国神話・ロムルスとレムスの話なんですが、この邦題から誰がそれを想像できよう(笑)。

 ローマ建国以前に栄えていたアルバロンガ王国で、国を乗っ取る陰謀のため、王位継承者の双子の兄弟・ロムルスとレムスは、赤子のときに川に流されてしまう。それを雌狼が拾い乳を与えて育てた後に、雌狼を射た羊飼いに拾われ、その息子として育てられる。やがて逞しく成人した二人は、自分たちの出自を知って敵を倒すが、二人の母(巫女です)の今際の際の予言で、アルバロンガ王国を継ぐことはせず、別天地に「永遠の都」を築くため、民草を率いて旅立つ。ここまでが前半。
 このとき、王女ユリアはロムルスを愛して同行するのだが、レムスもまた彼女を愛してしまう。しかもロムルスには野心がないのに対して、レムスは「自分が王になりたい!」という権力欲に取り憑かれてしまい、二人の間には次第に溝が拡がっていく。それと並行して、新天地を目指して放浪する一行を、ユリアの婚約者とユリアの父王が、軍勢を率いて追い……ってのが後半。

 物語的には、良く知られたローマの建国神話を元にしつつ、娯楽映画的に大幅にアレンジされています。
 前半は、細かなアレコレよりも娯楽映画的な見せ場を重視した作りで、アルバロンガの祭りの狂乱、炎を馬で跳び越える障害物レース、捉えられたロムルスが競技場でかけられる処刑と、それを救出しにきた仲間たちの大暴れといった具合に、次から次へとヤマ場を盛り込んで、なかなか見せる。
 それに比べると、放浪と心理劇が主体の後半は、地味になってしまうんですが、その中にも、ちょっとした合戦を使ってヒロイックな見せ場を作ったり、レムスがロムルスと袂を分かって、自らに従う民を率いて別天地を目指すと、火山の噴火に会ってしまうといった、スペクタクル映画的な見せ場はあり。
 あと、後半は物語自体の工夫が面白く、例えば、ロムルスに同行する王女ユリアなんてのは、伝説にはないオリジナルのエピソードっぽいんですが、実はユリアはアルバロンガではなくサビーヌの王女。で、最終的にユリアの父王とロムルスの闘いは、ユリアが「私は自分の意志でロムルスと一緒になったんです」とか語ることで回避されるんですが、なるほど、これは伝説としてはこの話より後の出来事の、サビーヌの女たちの掠奪のエピソードを踏まえてあるわけですな。
 また、火山の噴火なんてエピソードを挟みつつも、それでも兄弟の最後の闘いは、ロムルスが鋤で地面に線を引き「この境界線を越えた者は敵だ」とか宣言しているところに、噴火から生き延びたレムスが現れ、その線を踏みにじってロムルスに闘いを挑む……といった具合に、これまたレムスがローマの城壁を飛び越えたことで殺されるという伝説と、ちゃんと重ね合わせています。
 恋愛要素も、ロムルスとレムスとユリアとユリアの婚約者という四角関係に加えて、レムスに報われない想いを寄せる女戦士とか、ユリアの侍女とレムスの部下の恋なんてエピソードも絡めて、話の転がり方やキャラクターの立て方に工夫している。
 まあ正直なところ、アクション主体の娯楽大作としては、いささか辛気くさい要素や悲劇的な要素が多いし、逆にシリアスな歴史スペクタクルとしては、物量や重厚感に欠けるといった具合に、いささか虻蜂取らずになってしまっているきらいはあるんですが、それでも頑張って作っているとは思います。

 ロムルス役のスティーヴ・リーヴスは、まあ良い役どころではあるんですが、キャラそのものがいい人過ぎてイマイチ魅力がないのと、得意の筋肉生かして超人的な大暴れといったシーンもないので、どうも全体的に影が薄い。ヒゲもないし(笑)、キャラクター的には『ポンペイ最後の日』のときみたいな弱さが。ただし、「そっち系」のリーヴス・ファンには、ちゃんと「見せ場」は用意されております。これは後述(笑)。あと、この映画とは直接は関係ないけど、リーヴスは同年に『大城砦』で、このロムルスとレムスのご先祖様にあたる、アエネイアスも演じてるってのが、何か面白いですな(笑)。
 レムス役のゴードン・スコットは、逆に複雑な役どころなので、いささか力不足の感は否めませんし、この人は「気さくなアンチャン」といった面構えなので(ちょっと「犬っぽい」んだよね)、影のある役には不向きだとは思いますが、それでも頑張ってはいると思います。ま、個人的にけっこう好きな顔だし、贔屓目もあるかも知れませんが(笑)。あと「肌見せ」系では、リーヴスよりもシーン多いです。
 因みに、プロデューサーは当初リーヴスの一人二役を考えていたけれど、リーヴスがそれを辞退して、代わりにスコットを推薦した……なんてエピソードが、IMDBのトリビアに載ってました。なんか、いい話っぽいですな。
 ヒロインのユリアにヴィルナ・リージ、ユリアの婚約者にジャック・セルナス、ユリアの父王にマッシモ・ジロッティと、ワキにはそこそこ名のある役者や、ある程度の大物を揃えるというのは、このテの映画のお約束ですな。
 そうそう、ほんの一瞬だけど、例のジョヴァンニ・チアンフリグリア君も出てました(笑)。アルバロンガの祭礼のシーンで、半裸で信者たちをを鞭打つ男たちの一人で、ヴィルナ・リージを引っぱたこうとしたところ、リーヴスに殴り飛ばされちゃう役。セリフも一言だけあり(笑)。
 あと、これは一緒に見ていた相棒の言ですが、群衆の中の一人のユーモラスな太ったオジサンが、「『ローマの休日』に出ていた愉快なオッサン」だそうです(笑)。
 監督のセルジオ・コルブッチは、マカロニ・ウェスタンで有名な人ですね。あたしゃソッチ系には疎いんで良く判りませんが、本作では特にだれたり白けさせたりすることもなく、しっかり手堅く演出しています。パン・フォーカスで顔のアップと遠景を同時に見せたり、目だけの極端なクローズアップをしたりといった、このテの映画にしては凝った画面も見せてくれます。同じくリーヴス主演で『闘将スパルタカス』も撮ってますね。
 音楽のピエロ・ピッチオーニは、最近でもラウンジ系コンピとかで人気ですが、本作ではもちろん内容が内容ですから、人気のジャズ・ボッサとかじゃありません(笑)。でも、キャッチーで力強いハッキリしたメロディーを据えながら、裏で転調しながらのリフレインでグイグイ盛り上げていく曲とか、ちょいと異教的な感じのする曲とか、なかなかカッコ良いし雰囲気も良くて、個人的にはお気に入り。
 因みに脚本には、セルジオ・レオーネの名も。

 さて、前述の「そっち系の見せ場」、つまり、リーヴスの責め場です。
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 とっ捕まったリーヴスが、ダンジョンで回転するセント・アンドリュース・クロスに縛られ、グルングルン回されながら鞭でビシバシ引っぱたかれます。で、この回転が半端じゃなく早い(笑)。相棒は「すごいね〜、これじゃ目が回っちゃうんじゃない?」とか申しておりましたが、いや、拷問だからね、目を回すためにやってるんだと思います(笑)。
 短いシーンではありますが、ダンジョンのセットは凝ってるし(手前で男が逆さ吊りにされてるのが嬉しいねぇ)、回転が止まった後のアップもあるし、責め場としてはなかなか楽しめる好シーンです。……とゆーわけで、キャプチャ画像をサービス(笑)。
 因みにこのあとリーヴス君は、半裸のまま闘技場に引き出され、両手は鎖で繋がれ、背後は尖った杭の突き出た木格子で後退できないという状態で、素手で熊と戦わされます。

 DVDはフランス盤なのでPAL。スクィーズなしのシネスコのレターボックス収録ですが、キャプチャ画像でもお判りのように、画質はかなり良好。経年劣化による退色はありますが、ボケやらキズやらにじみなどは、ほぼ気にならず。少なくとも、前に持っていた米版VHSとは、もう月とスッポンの美麗さです。音声は仏語のみ、字幕なし、特典もなし。それどころか、実はチャプターすらない(笑)。メニュー画面で選べるのは「再生」だけなんて、今どき珍しい必要最低限な作りのソフトだなぁ(笑)。
 米版VHSのランニングタイムは90分ですが、今回のDVDは105分。ロムルスが捉えられた後、救出に向かう前に、レムスと他の仲間との間で一悶着あって剣を交わすとか、兄弟の育ての親の死のシーンがちょっと長いとか、炎上するアルバロンガで母親とはぐれてしまった少女が、新天地へ向かう途中で路傍に泥だらけの犬を見つけて、駆け寄って抱きかかえたときに母親とも再会できるとかいった、細かなシーンがちょこちょこ増えてます。
 同じメーカーからは、やはりリーヴス主演の海賊映画 “Les Pirates de Malaisie”(共演はジャクリーヌ・ササール)のDVDも出てます。そっちの紹介は、またの機会に。

【追記】ドイツ盤DVDに英語音声収録。画質良好。
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『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』

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『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』(1959)カルロ・カンポガリアニ
“La terreur des Barbares” (1959) Carlo Campogalliani
 先日、ここで「これはレグ・パークでもアラン・スティールでもなくって、スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』だぁ〜ッ!」とジャケにダウトを出しましたが、せっかくだからちゃんとした『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』(伊語原題 “Il Terrore dei barbari”、英題 “Goliath and the Barbarians”)の輸入DVDもご紹介しませう。
 フランス盤です。これは中身もちゃんと同映画なんですが、う〜ん、ジャケは先日のダウト盤の方が良いかも(笑)。
 映画の内容は、ヘラクレスものやマチステものとは違い、神話やファンタジー風味はなく、ゲルマン民族の大移動で、6世紀中頃にランゴバルド族に侵略されたイタリアを舞台にした歴史物。
 とはいえ本格史劇ではもちろんなく、立ち上がって侵略者に対抗したヒーローを描く、アクション・アドベンチャーです。で、そのヒーローのエミリアーノ役がスティーヴ・リーヴスで、その勇猛さから伝説の巨人ゴライアスと呼ばれる……ってのがタイトルの由来。でもさぁ、ゴライアスってゴリアテのことでしょ? 伝説だとダビデにパチンコで殺されちゃうわけで、あんまり縁起のいい呼び名じゃないような気もするんだけど(笑)。
 まあともかく、リーヴスはそんなこんなで大暴れ、敵将の娘で小悪魔系のチェロ・アロンゾとのロマンスもあり、戦闘シーンもセクシーダンスもある。大作感のない小粒ではあるものの、娯楽に徹した作りが小気味良く、さほどツッコミどころも度を超したチープさもない、手堅くまとまった佳品です。
 リーヴスのコスチュームが、時代背景と関係なく毛皮の腰布一丁とゆーサービス具合だとか、音楽が個人的にご贔屓の、ラウンジ&エキゾチカ系の名人レス・バクスターだってのも、個人的な好きポイント。
 しかし、何といっても一番なのは、責め場の良さなんですな(笑)。リーヴスの責め場の中では、この映画のそれが一番なのはもちろんのこと、ソード&サンダル映画全体の中でもトップクラスかも(笑)。
 とゆーわけで、今回はキャプチャ画像付き責め場解説(笑)。
 まず、最初はコレ。
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 とっ捕まって横木に縛られたリーヴスを、蛮族の将軍がナイフでいたぶる。
 で、次はコレ。
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 判りづらいけれど、リーヴスの首枷は、背後から綱引きよろしく、数人の男たちに引っ張られている。で、背後の板からは槍の穂先が何本も突き出していて、そのままジリジリ引きずられいくと、背中にブッスリ刺さってしまうという仕掛け。
 そして、最後はコレ。
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 お馴染みの(笑)馬裂きです。縄で縛られた両腕を、左右から二頭の馬に引っ張られている。
 この一連の責め場を、尺もけっこう長くタップリと見せて、リーヴスもしっかり熱演してくれるもんだから、このテのが好きな人間には、もうタマランワイなわけです(笑)。
 オマケに、こんな感じの筋肉美の見せ場もしっかり用意されてます。
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 まあ、そんなこんなで私はこの映画を、個人的にひたすら愛しているわけでゴザイマス(笑)。
 どのくらい愛しているかというと、コレくらい愛している(笑)。
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 初公開、私のパソコンのデスクトップ画像(笑)。サイン入りスチル写真の画像を、個人的な趣味でセピアにしてます。
 因みに、もう一台のパソコンも、壁紙をリーヴスにしておりまして、そっちは『ヘラクレスの逆襲』のスチル写真だったりするのだ(笑)。
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 DVDはフランス盤なのでPAL。画質は、キャプチャを見ての通り、なかなか佳良。暗かったり色調が偏っているのは、これが夜のシーンのせい。若干ボケた感じはありますが、退色や傷はほぼ問題なし。画面はノートリミングのワイドで、スクィーズなしのレターボックス収録。音声は仏語のみ、字幕なし。
 アメリカ盤DVDは出ていない様子ですが、VHS版だったら、Steeve Reeves International Society のサイト(www.stevereeves.com)で販売しております。私はここで何度か買い物をしており、”STEVE REEVES His Legacy in Films” という写真満載のオンデマンド本とか、”Steve Reeves The Man The Legend” というドキュメンタリーDVDとか、かなりお気に入りではありますが、通信販売は at your own risk だというのはお忘れなく。

“Hercules The Avenger” + “Hercules And The Black Pirates”

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“Hercules The Avenger(La Sfida Dei Giganti)” (1965) Maurizio Lucidi + “Hercules And The Black Pirates (Sansone Contro Il Corsaro Nero)” (1964) Luigi Capuano
 米盤輸入DVDのご紹介。例によってソード&サンダルものです(笑)。
 レグ・パーク主演のヘラクレスものと、アラン・スティール主演の変わり種ヘラクレスものの、2 in 1ディスクなんですが、内容に触れる前に、まずこのジャケからダウト!
 このジャケはレグ・パークでもアラン・スティールでもなくって、スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』”Goliath And The Barbarians (Il Terrore Dei Barbari)” (1959)のポスター・ヴィジュアルだぁ〜ッ!
 とゆーわけで、このヒゲマッチョはリーヴスで、抱きついている女人は同映画のヒロイン、チェロ・アロンソです。どっちもこのDVDには、出てこないからねっ! ……まったく、いい加減な仕事してるなぁ(笑)。
 さて、ではまず”Hercules The Avenger”から。
 これは、ミスター・ユニバース・コンテストでスティーヴ・リーヴスのライバルで、アーノルド・シュワルツェネッガーの憧れのヒーローでもあった、レグ・パークの最後の映画出演作。
 とはいえ、実はその内容は、見せ場のほとんどは彼主演の旧作『アトランティス征服』”Hercules And The Captive Women (Ercole Alla Conquista Di Atlantide)” (1961)と『ヘラクレス 魔界の死闘』”Hercules In The Haunted World (Ercole Al Centro Della Terra)” (1961)の名場面をツギハギして、それに幾つか新しい場面を足して、全く別の話に仕上げた、というもの。そんなわけで、ちょっと「……インチキ(ぼそっ)」と言いたくなるタイプの作品ではあるんですが(笑)、まあそれを気にしなければけっこう楽しめる内容です。
 物語は、とある国の女王が、求婚者たちに言い寄られて悩んでおり、一方ヘラクレスの家では、彼の息子がライオン狩りの最中に大怪我を負ってしまう。ヘラクレスは神託を受け、息子の命を救うために大地の奥底に降りていくが、その途中で無人島に置き去りにされそうになったり、ドラゴンと闘ったり、煮えたぎる沼の上を綱渡りしたり、空飛ぶミイラに引っ掻かれたり(笑)と、さまざまな艱難辛苦を受ける。
 その頃、件の女王は、助けを求めてヘラクレスの留守宅を訪れ、その帰途でヘラクレスに似た男に会う。実はこの男は、大地の女神ガイアの息子アンタイウスで、ヘラクレスの不在時を狙って彼の後釜になろうとしていた。女王は、この偽ヘラクレスと共に国へ帰り、彼の助力で求婚者たちを追い出すが、偽ヘラクレスはそのまま宮殿に居座ってしまう。やがて、苦難の果てに無事息子の命を救って家に戻ったヘラクレスは、ある国で自分の偽物が暴虐をふるっていると知る。再び神託を受けたヘラクレスは、偽物を滅ぼすために立ち上がる……ってな内容です。
 でまあ、こういった中でのスペクタクルな見せ場、例えばヘラクレスの地底世界での冒険の数々とか、クライマックスの火山の噴火と都市の崩壊とかが、全て旧作の流用なわけです。本作オリジナルの部分では、こういったスペクタキュラーな見せ場は全くない。唯一それっぽいのは、偽ヘラクレス対ヘラクレスのシーンなんですが、これもギャラリーなしのタイマン勝負だしねぇ(笑)。まあ、肉弾戦としての魅力はあるけど(偽ヘラクレスは母である大地から足を離さない限り無敵である、なんていう神話伝説好きには嬉しい擽りもあります)、スペクタクル・アドベンチャーを見たいのなら、素直にオリジナルの二本を見とけって感じでしょうか。
 とはいえ、ツギハギのわりには上手く工夫されていて、話としては決して悪くない。あと、流用元の旧作は、『ヘラクレス 魔界の死闘』のホラー風味が加わった幻想性といい(監督は後にホラーの巨匠となるマリオ・バーヴァ)、『アトランティス征服』のスケール感や都市の崩壊の大迫力といい、どちらも良い出来映えなので、たとえ流用とはいえども、スペクタクル・シーンの見応えは充分あります。考えようによっては、これ一本で二本分美味しい……と言えなくもないし(笑)。
 ただし、いわゆる責め場は皆無。筋肉美は堪能できるし、艱難辛苦で苦しむとかはありますが、捕まって縛られたり、拷問されたりは一切なし。あ、野郎じゃなくても良ければ、ブロンド美女の髪吊りがあるけど(笑)。
 しかし、実は個人的に捨てがたいのが、偽ヘラクレスことアンタイウス役のジョヴァンニ・シャンフリーリア(Giovanni Cianfriglia)。
 マッチョではありますがバルクはさほどなく、身体のデカいレグ・パークと比べるとかなり細く見えるんですが、なんだかエッチな身体でねぇ(笑)。ゴードン・スコットやリチャード・ハリソンに少しウェイト足して、筋肉のキレも良くしたような体系……と言えばイメージが伝わるかな? 無理か(笑)。
 あと、顔。ブサイクではないものの華はあまりなく、奥目気味の地味〜な顔なんですが、これが私的にはかなりイケちゃうタイプなのだ。どことなく、ボクサーの平仲明信をもうちょっと男前にした感じで、顔としてはレグ・パークよりも断然好き(笑)。
 調べてみると、この人、このテのソード&サンダル映画ではけっこうクレジットされているんですが、他作品では正直印象に残っていません。もともとスタントやボディ・ダブルの方らしく、スティーヴ・リーヴスの代役もやっていたらしい。後にはケン・ウッドと名前を変えて、マカロニ・ウェスタンにも出ていたようなので、そっち系に詳しい方ならご存じかも。
 私的には、このジョヴァンニ君を見れるだけでも、充分オッケーな作品でゴザイマス。もう、ラブよ、ラブ(笑)。
 収録は、シネスコのレターボックスでスクイーズ。画質は、多少ボケたり滲んだりしている感があったり、フィルムの傷が目立つシーンもありますが、退色は気にならない範囲だし、米盤としては佳良な方。中の上クラスってとこでしょうか。独盤や仏盤の高画質に慣れちゃうと、正直かなり劣る感はありますが、日本で普通に売られているマイナーどころの旧作とかでも、これ以下の画質のときもあるし。字幕はなし。リージョンコードはフリー。両面ディスクです。
 因みに、元ネタの『ヘラクレス 魔界の死闘』は米盤が、『アトランティス征服』は仏盤があり、これがどちらも、メジャーのソフトそこのけの高画質&ハイクオリティ。前述のようにどちらも良作(あ、こーゆーのが好きな物好きにとっては、ですよ、あくまでも)ですから、興味のある方はお試しあれ。ご参考までに、ジャケ写を載っけときます。
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 左が『魔界の死闘』米盤、右が『アトランティス征服』仏盤。
 あ、もちろん『アトランティス征服』はPAL盤。音声も字幕も伊語と仏語のみ、英語はありません。
 さて、余談ですが、前述のジョヴァンニ君、実は以前ここで紹介した”Kino Kolossal” (2000)というソード&サンダル映画の歴史を綴ったドキュメンタリーでも、すっかりオジイチャンになって(とはいえ、えらくマッチョなオジイチャンですが)出演しています。
 で、当時の仕事仲間のミンモ・パルマーラ(先日紹介した『ロード島の要塞』の他にも、リーヴスの『ヘラクレス』のイフィトゥス役や『大城砦』のアイアース役で印象に残ってます。やはり後には、ディック・パーマーという名前でマカロニ・ウェスタンに出ているらしい)と一緒に、当時の裏話を語ったり、二人で剣戟やガン・アクションを再現してくれたり。
 このドキュメンタリー、言葉が判ればホント面白そうなんだけどなぁ……悔しい(笑)。
 もひとつ余談ですが、Reg Parkの表記が「レグ」か「レジ」かが悩みの種。
 最初に見たときはすんなり「レグ」と読んだんですが、こういった映画にリアルタイムで親しんでいた世代の友人が「レジ」と呼んでいたことと、何かの予告編(アメリカ版)でハッキリ「レジ」と発音していたので、一度は「レジ」でファイナルアンサーかとも思ったんですが、今度は前述の”Kino Kolossal”で、イタリア語の発言の中で「レグ」と発音していて、またグラグラ。
 しかし、彼は確かイギリス人だよなぁ……だが、allcinema ONLINEだと「レグ」だなぁ……でも、Reginaldの略だから、やっぱ「レジ」かなぁ……(笑)。
 では、続いて”Hercules And The Black Pirates”。
 え〜、ぶっちゃけた話、これはいわゆるソード&サンダルものじゃありません。フツーの海賊映画……ってか、それとも違うか。主人公は海賊じゃなくて、海賊と闘う政府側の人間だから。
 まあ、ハッキリ言って、かなり「安い」です。冒頭の海戦シーンとか、他の映画の流用だってのが見え見えで、炎上する帆船の映像とかに、スティールのアップ画像をオーバーラップさせて、戦闘に「参加」させてるあたり、ちょっと切なくなるし(笑)。もちろん本編に入っても、アクションはせいぜい甲板で斬り合いするか、小舟で帆船に乗り込むかくらいで、軍艦同士の海戦なんてスペクタクルは微塵もありません。
 舞台は、スペイン統治下のカリブ海かどっか。そこに何故かヘラクレスがいるわけですが、マチステものとかにあるみたいな、異世界にマッチョが召還されるパターンですらなくって、フツーに「いる」んですな。海賊退治に功績があった将官たちに、提督が名前を尋ねるシーンがあるんですが、他が皆「何たらメンドーサです」「ホセ何たらです」なんて、いかにもスパニッシュな名前を答えていくのに、スティールだけ唐突に「ヘラクレスです」だもん(笑)。まあ、エルキュール・ポワロみたいに、ファースト・ネームが「ハーキュリーズ」なだけかも知れないけど、そこんとこのツッコミも何もない(笑)。
 でまあ、提督の娘との身分違いの恋があったり(このヘラクレス君は、漁師の息子だそうな)、実は裏で海賊と通じている裏切り者の高官がいたり、少女が悪人に誘拐されちゃったり、話的にはお約束のテンコモリ。意外性はカケラもないので、安心して(笑)ゆっくりまったり観られます。劇判がいかにもスペイン風な、フラメンコか闘牛みたいな陽気なノリなのも、更にまったり感に拍車をかけます(笑)。
 主演のスティール君は、ヒゲなし&チュニックでも腰布でもないってのは、個人的な趣味から言えば「下げ」要素ではありますが、それでもマッスル・ムービー的には、それなりに工夫あり。
 まず、しょっぱなから宮廷の宴会で、力自慢の軽業師相手に上半身裸でレスリング。海賊との乱闘シーンでは、次第にシャツが破れていき、最後には上半身裸に。で、海賊にとっ捕まった後、泳いで逃げだすんですが、岸辺に着いたときには、ズボンも脱げていて下着一枚になってる(笑)。まあ、ズボンはすぐまたはきますが、上半身は何故かす〜っと裸のまま。で、めでたしめでたしのラストシーンだけ、革のベストみたいのを着るんですが、これがまたミョ〜に胸ぐりが深いベストで、何だかフェチ系ショップで売っている、ラバーのタンクトップみたいなシルエットなの(笑)。
 ……ってな具合で、このテの映画の見せ所としては、けっこうツボは押さえている……かな? まあ少なくとも、ボディビル男優は脱いでナンボというのは、制作者も心得ているようで(笑)。アクション・シーン全般が、剣戟よりも殴り合いメインなのも、いかにもマッスル・ムービー的でご愛敬。
 責め場としては、まあ捕まったヘラクレスが、海水が浸水してくる船倉に、鎖で縛られて放置されるくらい。まあ、鞭打ちとかに比べるとヌルい責め場だし、拘束自体もアッサリ抜け出してしまうんですが、そこから脱出までは、それなりに引っ張って見せてくれる。あと、この拘束が両手を頭上にあげる形で、黒いワキ毛がモジャモジャしてるのが見えるのが、個人的にはプラス・ポイント(笑)。
 ですが、実は個人的な最大の収穫は、別にありまして。
 前述した、軽業師とのレスリング場面。この相手のマッチョ軽業師が、何と、”Hercules The Avenger”の偽ヘラクレスこと、ジョヴァンニ・シャンフリーリア君なのだよ! ヒャッホ〜、すっげー得した気分(笑)。まあ、アップはほとんどないし、すぐに退場しちゃうんだけど、上半身裸だしヒゲもあるしね、嬉しい嬉しい(笑)。
 というわけで、このDVD、私的には「ジョヴァンニ・シャンフリーリア・パック」ということで、もう強引に「アタリ」判定(笑)。
 収録は、4:3のテレビサイズ。画質はかなりボケていて、”Hercules The Avenger”よりもだいぶ劣りますが、それでも何とか色は残っています。あ、でも最後のロールだけ退色していて、画面が急に赤くなっちゃうけど(笑)。まあ画質的には下の上ってトコでしょうか。
“Hercules The Avenger + Hercules And The Black Pirate” DVD (amazon.com)

『海賊の王者』

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『海賊の王者』(1961)プリモ・ツェリオ&アンドレ・ド・トス
“Morgan il pirata” (1961) Primo Zeglio & Andre de Toth
 我が愛しのスティーヴ・リーヴス様の海賊映画。そのイタリア盤DVDのご紹介です。因みに英題は “Morgan, the Pirate”。
 イタリア語はさっぱり判らないけど、幸いこれは英語版を見たことがあるし、Goo映画にあらすじ紹介もあるので、内容解説も何とかなりそう(笑)。
 17世紀末、スペイン領パナマ。ヘンリー・モーガン(スティーヴ・リーヴス)は奴隷市場で鞭打たれていたところを、通りがかりの令嬢イネス(ヴァレリー・ラグランジェ)に救われる。しかし、モーガンはイネスの高慢さに反発、何やかんやあって、今度はガレー船の漕ぎ手にされてしまう。が、反乱を起こして船を乗っ取り、海賊として名乗りをあげる。それから海賊モーガンは、他の海賊の捕虜になっていた令嬢イネスを救い出したり、英国の対スペイン戦に協力したり、船を沈められて死んだかと思ったり……などなど、まあ波瀾万丈、恋あり戦いあり女装あり(笑)の、古式ゆかしき痛快冒険活劇モノです。
 監督は二人とも良く知らなかったので調べてみたら、あら、アンドレ・ド・トスって、ヴィンセント・プライス主演のリメイク版『肉の蝋人形』(1953)を撮った人だったのね。(因みにこの『肉の蝋人形』、今年また『蝋人形の館』としてリメイクされましたね。パリス・ヒルトンが出演してるとか、変な方で話題になってたけど)フィルモグラフィーを見る限りでは、西部劇とか冒険モノとか史劇とか戦争モノとか、アクション系の痛快娯楽作を撮った職人監督さんなのかな。プリモ・ツェリオの方も、海賊映画や史劇などの娯楽作を撮った人らしいけど、残念ながら未見のものばかり。
 で、本作ですが、とにかく話がテンポ良くパカパカ進むので、肩の凝らない娯楽作として充分以上に楽しい。戦闘シーンなんかけっこう迫力あるし、セットやモブも貧乏くさくないし、美術や衣装も難点なし。まあ、意外性とか飛び抜けた個性とかはないけど、予定調和的な楽しさはバッチリです。
 意外だったのは、画面構成のスケール感。実は前に見たときは、もっとこぢんまりしたTV映画っぽい画面づくりだったような記憶があったんですが、どうやらそれは、その時のビデオが4:3の画面用に左右がトリミングされていたせいらしい。今回のDVDはノートリミングのシネスコ版なんですが、これで見ると拡がりも奥行きもたっぷりある、実に堂々たる画面構成です。海岸のシーンなんかで、近景で人がゴチャゴチャ動いていて、遠景の青い海には帆船が浮かんでる……ってな構図は、やっぱワクワクさせられますな。パナマの街なんかも、安手の映画にありがちな「狭さ」を感じさせない。そんなこんなで、全体的にかなりいい感じ。
 で、気になって調べてみたら、うわ、撮影のトニーノ・デリ・コリって、ピエル・パオロ・パゾリーニの諸作(『アッカトーネ』『奇跡の丘』『豚小屋』『デカメロン』『カンタベリー物語』『ソドムの市』などなど)や、フェデリコ・フェリーニの『ジンジャーとフレッド』『インテルビスタ』、セルジオ・レオーネの『ウエスタン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、ジャン=ジャック・アノーの『薔薇の名前』、最近ではロマン・ポランスキーの『赤い航路』とかロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』なんかを手掛けている、いわゆる巨匠ってお方じゃないですか! ひゃ〜、ちっとも知らんかった(笑)。
 因みに音楽のフランコ・マンニーノという人も、調べてみたらルキノ・ヴィスコンティの『ルードウィヒ/神々の黄昏』『家族の肖像』『イノセント』なんてのがヒットしてビックリ(笑)。
 主演のスティーヴ・リーヴスは、ヒゲ好きの私としては、ヒゲをたくわえてるシーンは全体の3分の1以下ってのは寂しいし(ヒゲなしのリーヴスって、ハンサムではあるけれど、いまいち個性やオーラには欠ける気が)、ヘラクレスものみたいな終始半裸or諸肌脱ぎってこともないんで、そこいらは残念ではありますが(笑)、それでもいおう奴隷のシーンとか決闘シーンとかで「脱ぎ場」は用意されてます。
 で、この決闘シーン、シャツを脱いだリーヴスの身体にびびって、相手は脱ぎかけたシャツをまた着ちゃうのだ(笑)。あと、最初はちゃんとサーベルで闘っているのに、それが折れちゃって、結局はいつもの半裸レスリングになったり(笑)。
 ヒロインのヴァレリー・ラグランジェは、まあ美しくはありますが、いまいち印象が薄い。さほど清楚というわけでもなく、かといってセクシーなわけでもなく、何となく中途半端なんですな。インパクト的には、恋敵のチェロ・アロンゾの方が上。でも、この人っていつも「エキゾチックでちょっと鉄火肌のオネエチャン」役だよなぁ(笑)。んでもって、必ずダンス・シーンがあるの(笑)。今回もしっかり、夜の海辺で焚き火に照らされながら、エキゾなカリビアン・ダンスを踊ります。
 イタリア盤なので、当然PAL。で、ちょっと良く判らないのが、ジャケには4:3フォーマットと記載されていて、たしかにS-VHS接続で見ると、4:3スクイーズなしのレターボックスなんですが、コンポーネント接続のプログレッシヴ再生で見ると、なぜか16:9スクイーズのレターボックスになる。こんな現象の出るディスク、初めてだ(笑)。
 画質は極めて良好。多少の退色はあるけれど、まあこの程度だったら、メジャーどころのクラシック作品と比較しても遜色がないと言えそう。試しにキャプチャ画像をアップしてみました。こちら。参考までに、米版VHSとも比較。このVHSも、このテのソフトとしては、画質はかなり上等の部類ではあるんですが、やはりディテールの再現性や発色といった点では、今回のDVDの方が段違いに上。あと、こうして比較してみると、トリミングによる構図の狂いというのが、かなり大きく影響を及ぼすというのがお判りいただけるかと。
 音声は伊語のみ、伊語字幕付き。特典は当時のスチル写真を集めたフォト・ギャラリー。あと、なんだかテキストによる解説らしきものが幾つかありましたが、なんせ伊語だから何のことやら(笑)。
 では、恒例の責め場紹介。
 まず冒頭、奴隷市場にて、鎖をブンまわして暴れる上半身裸のリーヴスを、数人がかりでおさえこみ、そのまま裸の胸と腹を何発か鞭打ち。あとは、罪人として木の檻に入れられて馬車で運ばれたり、暗い船倉に半裸で鎖に繋がれたり……なんてシーンもあります。リーヴス以外では、太った半裸のヒゲオヤジが馬裂きの刑にされるシーンもあり。
 まあ、どれも比較的アッサリしているんで、ちょい食い足りないかな(笑)。