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『マラソンの戦い』+ “War of the Trojans” 新盤DVD

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 先日アメリカで、スティーヴ・リーヴス主演の史劇二本、『マラソンの戦い』と”War of the Trojans”(輸入DVDショップとかで、同時収録作が『大城砦』になってたりしますが、これは間違い)が収録された新盤DVDが、”The Steve Reeves Collection”と銘打って発売されたので、ご紹介。
 二本とも、既に米盤DVDは何種か発売されおり、同じ組み合わせの”Gods of War”というソフトもありますが、今回の新盤の売りはワイド画面のスクィーズ収録。それに惹かれて購入してみたら、画質もかなり良好になっていて、なかなか「当たり」の好ディスクです。
 ジャケが例によって、『マラソンの戦い』でも”War of the Trojans”でもなくて、『ヘラクレス』の画像なのは、まあご愛敬(笑)。
 というわけで、それぞれのレビューをばいたしませう。
『マラソンの戦い』(1959)ジャック・ターナー
“The Giant Marathon” (1959) Jacques Tourneur
Marathon_scene 伊語原題”La Battaglia di Maratona”。監督は『キャットピープル』(もちろんナスターシャ・キンスキーのリメイク版じゃなくて、オリジナルの方ね)のジャック・ターナー。
 いちおう、紀元前5世紀のギリシャとペルシャの戦争を題材にした、スペクタクル史劇なんですが、まあイタリア製のソード&サンダル映画ですから、本格的なものでは勿論ないです。歴史をネタに、ヒーローの恋と冒険を描いた、娯楽アクション作品、といった味わい。
 前半部分は、リーヴス演じるオリンピック競技の優勝者と、ミレーヌ・ドモンジョ演じるヒロイン、ヒロインの婚約者で実は売国奴の敵役、主人公に色仕掛けで近付く敵役の情婦といった面々が繰り広げる、すれ違い恋愛劇。そして後半は、ペルシャ軍とギリシャ軍の戦闘スペクタクル、といった塩梅になっています。
 正直、映画のストーリーそのものは、恋愛部分と戦争部分のギャップがキツかったり、展開が恣意的に過ぎて鼻白んだりと、イマイチな感じもするんですけど(冒頭でイーリアスを朗読するドモンジョに、女友達が「パリスとヘレネーのくだりを読んで!」とせがむシーンがあったりして、個人の恋愛劇と国家間の戦争劇をモノガタリ的に絡ませて描く、という狙いは判るんですけどね、あまり成功しているとは言えない)、各々のシーンには、そういった欠点を凌駕して余りある見所が多い。それらの映像的な見所を見るだけでも、充分におつりがくるくらいの充実した内容です。
 では、見所を幾つかご紹介。
 まずしょっぱなのタイトルバック。青空の下で健康的な筋肉青年たちが、白いブリーフ状の腰布一枚で、様々なオリンピック競技を繰り広げるという、まるで「動く『フィジーク・ピクトリアル』誌」みたいな、実に美しい絵面で楽しませてくれます。
Marathon_jama ただ、クレジットの文字が邪魔なんだよな〜(笑)。例えばこーゆーのとか、もうホント、「文字どけろ!」と言いたくなる(笑)。まあ、これは一番極端な例ですけど、こんな具合に終始文字がかぶってくるもんだから、実にフラストレーションが溜まる(笑)。これが、昨今の気の利いたソフトだったら、ノン・クレジット版オープニングとかが、ボーナスで入ったりするんだけど……(笑)。
 恋愛中心の前半では、ロマンチックで美しい美術の数々が楽しめます。昼間のシーンは、白大理石、色とりどりの衣装、瑞々しい緑、咲き乱れる花……と、まるでサー・ローレンス・アルマ・タデマの絵のような味わい。夜のシーンは、いかにも撮影担当のマリオ・バーヴァらしい、大胆な色彩設計による夢幻的な雰囲気が素晴らしい。
 リーヴス(ヒゲなし)は古風なハンサムだし、相手役のミレーヌ・ドモンジョも文句なしの愛らしさ。美男美女の組み合わせで、しっかりロマンティックに魅せてくれます。特にドモンジョは、リーヴス映画のヒロインとしては、『ヘラクレス』シリーズのシルヴァ・コシナ、『ポンペイ最後の日』のクリスティーネ・カウフマン、『逆襲!大平原』のヴィルナ・リージ、等々と比肩する美しさ。
 余談ですが、ミレーヌ・ドモンジョというと、あたしゃ『悲しみよこんにちは』くらいしか見たことないんですけど、先日、相棒と一緒に『あるいは裏切りという名の犬』を見ていたら、バーの老マダムの顔がアップになったとたん、相棒が「うわ、これ、ミレーヌ・ドモンジョじゃない!」と、驚いて大声を上げてました(笑)。お元気なようで、何よりです。
 さて、アクション・スペクタクルになる後半も、おそらく予算はさほどないであろうに、ミニチュアやマット画や合成などを上手く使って、なかなかのスケール感と物量感を感じさせてくれます。邦題にもなっているマラトンの戦いも、ローアングルや一人称カメラなどを上手く使っていて、かなりの迫力。
 ところが、このマラトンの戦い、実はこの映画の本当のクライマックスではない。マラトンの戦いでアテナイに守備兵がいなくなっているのに乗じて、裏切り者である件の敵役は、海からアテナイを攻めようと企てる。そしてそれを知った主人公が、マラトンからアテナイまで走り抜き(……と、ここで、例のマラソン競技の起源となった伝説が、内容を大幅にアレンジされて登場します)、仲間を率いてペルシャ船団に立ち向かう……ってのが、真のクライマックス。
 そして、この真のクライマックスが、もう問答無用で素晴らしいのだ!
 まず、完全武装のペルシャ軍に大して、主人公率いるアテナイ勢は、兵士ではなくオリンピック競技の仲間たち。しかも、水際ということもあってか、冒頭の競技シーンと同じ、素っ裸に白フン一丁というスタイル。兜やマントや手っ甲脚絆の類すらないので、メールヌード比率は『300』も顔負け。「鎧兜の軍団 vs 白い海パン一丁のアスリート軍団」とゆー、映画史上前代未聞の戦闘シーン(ホントか?)が繰り広げられるのだ!
 とはいえ、何も男の裸がいっぱい出てくるから素晴らしいと力説しているわけでもなく(まあ、もちろんそれも素晴らしいんですが)、戦闘の内容そのものも見応えがあるんですな。
 例えば、先の尖った長い棒を海底に立てて、敵の船を座礁させるとか、船の先端がトゲトゲの付いたペンチ状になっていて、それで相手の船を鋏んで砕くとかいった、アイデアのユニークさ。実現性に疑問はあるけれど、ミニチュアと、大仕掛けなセットと、大規模な水中撮影を駆使して見せる画面は、迫力も臨場感もタップリ。
 他にも、攫われたヒロインは船首に縛られるわ、海パン軍団が得物を手に海に飛び込み、水中から敵船の舟板を引っぺがしたり、舵をへし折ったりという戦法をとるわ、それをペルシャ兵が船上から矢で射殺すわ、海に落ちた兵士たちが短剣片手に水中で戦うわ……と、もう目が釘付けになる面白さです。
 他に、ソード&サンダル映画好きにとってのマニアックな見所としては、チョイ役なんですが、リーヴス演じる主人公の盟友となるスパルタ人を演じているのが、セルジオ・チャンニこと、後に”Hercules Against the Moon Men”などのC級ヘラクレス映画のスターとして活躍する、アラン・スティールだったりします。ヒゲなし、脱ぎ場なし。
Marathon_death 残念ながら(?)責め場とかはないんですけど、個人的には、前述したクライマックスの水中戦で、白パン一丁のアスリートどもが、次々と矢で射殺されていくシーンは、重力から解放された肉体の動きの美しさと、派手な血煙の効果が相まって、なかなかそそられます。「裸のマッチョが殺されるシーンが好き!」とゆー、あまり他人には言えない趣味をお持ちの同志の方(笑)には、このシーンはオススメ(笑)。
 あと、前述したように、リーブスはかなりのシーンで、その肉体美を惜しみなく披露してくれますので、特殊趣味をお持ちでない方でも、お楽しみどころは盛りだくさんです。槍を投げるシーンとかで見せる、古代彫刻さながらの、筋肉がピンと張りつめた肉体美とか、メールヌード好きにはたまらないはず。リーヴスの股間のドアップとかもありますぜぃ(笑)。
 あと、個人的には、前述のクライマックスの他にも、上半身裸のリーヴスが汗まみれになって、苦しげにマラトンからアテナイまで走り抜くシーンなんかもお気に入り。
Marathon_gashitu ソフトとしては、既発売の旧盤はビスタの非スクィーズ収録でしたが、この新盤はシネスコのスクィーズ。しかも、画質もかなり向上しています。
 もちろん、経年劣化かデュープのせいかシャドウ部が潰れていたり、フィルムの傷やコマ落ちが目立つシーンもありますが、色は良く残っているし、映像のボケもそれほど気になりません。ソード&サンダル映画のアメリカ盤DVDとしては、充分に上々の部類。ただし、PAL盤も含めて比較すると、退色も傷も全くといっていいほど見あたらない、スペイン盤DVDには負けます。
 参考までに、それぞれのジャケをアップ。左が旧米盤、真ん中が同カップリングの旧米盤、右がスペイン盤。
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では、続いて、もう一本のカップリング作をご紹介。
“War of the Trojans” (1962) Giorgio Venturini
Aeneas_scene 最初に書いたように、これはトロイア戦争を描いた『大城砦』ではなくて、その続編にあたる”La Leggenda di Enea”(伊語原題)です。他にも、”The Avenger”や”The Last Glory of Troy”といった英題でも知られていますが、どうやら日本では未公開らしいです。
 前作『大城砦』で、生き残りを率いてトロイアを脱出した、リーヴス演じるアエネイアスとトロイア人たちの後日譚。ウェルギリウスの叙事詩『アエネーイス』は未読なんですが、ネットで梗概を調べてみたところ、この映画は叙事詩の前半部分はバッサリ割愛して、放浪の果てにイタリアに辿り着いたアエネイアス一行が、ラティウムの王ラティヌスと、その娘ラウィニアに出会い、戦いでトゥルヌスを打ち負かし、後のローマの礎となる国を築くという、後半部分のみを映画化したものです。
 ただ、残念ながら映画の出来は、あまり良くないです。
 前作『大城砦』と比べると、予算が大幅にダウンしているらしく、ほとんどのシーンが、トロイア人たちが村を築いている野っ原と、ラティヌス王の宮殿と、その前のちんまりとした広場だけで進行するので、話のスケールに比べて、絵的に物足りないことはなはだしい。
 また、登場人物が色々といるんですが、いずれもキャラは立っていないし、魅力にも欠ける。その生き死にも、どうやら原典の叙事詩に即して描かれている様子ですが、およそ盛り上がりに欠ける。
 では、単純なアクション・スペクタクル的な面白さはというと、これまた乏しく、とにかく見せ場らしい見せ場がないのが辛い。リーヴス演じるアエネイアスは、どちらかというと内省的で、戦いを忌避する性格なので、ヒーロー的な活躍も見られないし。
 何度かある合戦シーンも、人海はそこそこ使っているものの、見せ方が下手なのか、どうも盛り上がりに欠ける。クライマックスが、チャリオットで仇敵と一騎打ちという見せ場を持ってきながら、場所は前述の野っ原だし、しかも途中から森に入ってしまい、最終的にはチャリオットからも降りて、ギャラリーなしの河原で斬り合いのタイマン勝負っつーショボさなのも痛い。
 そんなこんなで、全体的にどうもパッとしない、退屈な内容になっちゃってます。
 ただ、細かい部分で面白い要素もなくはなく、例えば、アエネイアスがラティヌス王の宮殿で、トロイア戦争を描いたフレスコ画を見て、喪われた祖国と戦いの記憶に苦しむあたりは、『大城砦』のシーンを使ったモンタージュの効果もあいまって、リーヴスが微妙な表情の変化だけで、なかなか良い演技を見せてくれます。
 実際この映画では、戦いをエピックとして堂々と謳い上げるのではなく、その空しさを嘆いているかのような、どこか厭世的な空気が終始漂っている。これはどうやら、原典に見られる平和志向が反映されたものらしいんですが、そのスペクタクルな戦闘シーンに飽いているような雰囲気が、今になって見ると、何となくソード&サンダル映画の流行の終焉していく様子そのものにも見えるのが面白い。
 あと、細かいところでは、合戦シーンで、砦に射込まれた敵の矢を、女子供が楯を担いで走り回って、拾い集めては再利用するなんてディテールが見られるのが、ちょっと新鮮で面白かった。タイトルバックのデザインも、なかなかカッコイイ。
 とはいえ、リーヴス主演のソード&サンダル映画の中では、やはり出来はかなり下の方。脱ぎ場も一カ所だけだしね(笑)。
Aeneas_gashitsu 画質は、『マラソンの戦い』同様、既発売の旧盤と比べると向上しています。ただし、色の抜け具合とか絵のボケ加減とか、『マラソン…』よりは数段落ちる画質。良くなった、というよりは、マシになった程度かな。PAL盤では、ドイツ盤とイタリア盤が出ていますが、それらはいずれもこの米盤(新盤)と比べても、遥かに良好な画質です。
 あと、イタリア盤と比べてみると、米盤とドイツ盤では冒頭シーンがカットされていて、イタリア盤の方が五分ほど長い。
 下のジャケは、左がドイツ盤、右がイタリア盤。
Aenea_germanAeneas_italy
 というわけで、カップリングの”War of the Trojans”はイマイチなものの、前述したように『マラソンの戦い』は一見の価値ありですし、リージョンコードもフリーなので、リーヴスのファンなら買って損はない一枚でしょう。
 オススメです。
“The Steve Reeves Collection / The Giant Marathon + War of the Trojans” DVD (amazon.com)

『エド・ウッドの牢獄の罠』

Jailbait
『エド・ウッドの牢獄の罠』(1954)エドワード・D・ウッド・Jr(エド・ウッド)
“Jail Bait” (1954) Edward D. Wood Jr. (a.k.a. Ed Wood)
 スティーヴ・リーヴス出演作の日本盤DVDがついに出た〜ッ! ……と思ったら、よりによって “Jail Bait” かよ……(泣)。orz
 ま、これはいちおうリーヴスがテレビや舞台でキャリアを積んだ後、スクリーン・デビューをしてから二作目で、セリフもあれば演技もしてるんですが、正直なところ「スティーヴ・リーヴスのファンの私」にとっては、リーヴスのフィルモグラフィーの中では、もっとも「どーでもいい映画」なんだよなぁ、コレ(笑)。
 でも、「トラッシュ映画好きの私」としては、お楽しみどころがいろいろとありました(笑)。
 映画の序盤は、良くできた親に反発する気弱なダメ息子が、悪い仲間の誘いと、拳銃の魔力で道を踏み外して、ついには人を殺してしまい……という、ある種の社会派(?)的な要素もある犯罪映画風味なんですが、そこはまあ、最低映画監督として名高い、あのエド・ウッドの撮った映画ですから、そうそう一筋縄ではいきません。詳しい内容はネタバレになっちゃうので書きませんが、途中から誰が主人公か判らなくなっちゃうし、ジャンルも、クライム・サスペンスなんだか、ミステリーなんだか、ホラーなんだか判らなくなってくる。
 まあ、エド・ウッドの作品の中では、特に話題にされない作品なので、破綻具合とか破壊力は控えめですけど、それでもやっぱり、マジメに考えると空しくなるような破綻しまくりのストーリーとか、オツムが足りないとしか思えない行動をとる登場人物たちとか、伏線かと思いきや何の意味もないエピソードだったとか、「ありえね〜!」と叫びたくなるような展開とかは、見ていて思わず目が点になっちゃいます(笑)。
 ほとんどのシーンが、俳優がセットに棒立ちになって喋っているだけなのも、カーチェイスとか銃撃とか、たま〜に動きのあるシーンが入っても、全てがユッルユルなのも、全編を通して流れる、シーンに全く合っていない、ギターのトレモロによるミョ〜にうら寂しい音楽と相まって、まったりダウナー気分を醸し出してくれます(笑)。
 そう思って見れば、全体の雰囲気とか、ものすご〜く良く言えば、デヴィッド・リンチみたいな感じのような気もしてくるし、基本のアイデアも、手塚治虫の短編とかにありそうだし……って、やっぱ違うか(笑)。
 で、スティーヴ・リーヴスは、犯人を追う刑事の役。……とはいえ、この映画の場合、誰が何の犯人なんだよって感じですし、更に言えば警察も、おめーら捜査らしい捜査もしてねーだろって感じなんですけどね(笑)。
 とりあえずファンとしては、背広姿で現代劇の演技が見られるってだけで、貴重といえば貴重。何せ彼の18本の出演映画のうち、現代劇はこれと “Athena” だけで、あとはぜ〜んぶコスプレものだから。
 ただ見所も、その「貴重だ」ってことだけで、他はな〜んもなし(笑)。現代劇を演っても、決して下手ではないことが判りますが、かといって、これといった見せ場があるわけでもなし。まあ、上半身裸を見せるサービスカットが、あることはありますが、これもほんの一瞬だしなぁ。
 とゆーわけで、トラッシュ映画好きならともかく、単にリーヴス目当ての場合は……う〜ん、マニアかコレクターでもない限り、やっぱりオススメはしかねるなぁ(笑)。
 まあ私の場合、米盤DVDを注文するほどのもんでもね〜かな〜、と、スルーしてたヤツだったし、トラッシュ系はトラッシュ系で好きなので、国内盤が980円という安価で出たのは嬉しい限り。ホクホクと喜んで購入いたしました。
 あと、こういうPDものとかの廉価DVDって、安価な反面、画質の当たり外れが激しいくて、例えば去年出た、やはり往年のマッスル男優ミッキー・ハージティ主演の拷問映画『美人モデル 惨殺の古城 (The Bloody Pit of Horror)』なんかは、Something Weird Videoから出ている米盤DVDと比べると、かなり残念な画質だったけど、それに比べるとこの『牢獄の罠』は、そこそこ佳良と言える画質だったので、ホッとしました(笑)。
『エド・ウッドの牢獄の罠』(amazon.co.jp)

『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』+ “Goliath and the Vampire” 米盤DVD

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 祝・NTSC盤発売!
 スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』(伊語原題 “Il Terrore dei barbari”、米題 “Goliath and the Barbarians”)の、アメリカ盤DVDが出たのでご報告。
 この映画のDVDは、いままでフランス盤、スペイン盤、イタリア盤が出ていましたが、このアメリカ盤発売で、ようやくPALの再生環境をお持ちでない方でも、DVDで見られるというわけです。しかもリージョン0なので、普通のDVDプレイヤーで再生可能。
 映画の内容については、前にここで熱く(笑)語っているので省略します。ここでは、気になる画質についてレポート。
 とりあえずは下のキャプチャ画像をご覧あれ。
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 ご覧のように、極度の退色や傷などがない、全体的には佳良と言える品質。色彩は経年劣化で全体に黄味がかった感じで、ディテールもはっきりクリアとは言えませんが、それでも50〜60年代のソード&サンダル映画のソフトとしては、十分に上クラスの画質。ノートリミングのシネスコ版なので、構図の狂い等もなし。ただ、スクィーズ収録ではないのは残念。
 本編以外の作りもしっかりしており、映像特典として、スライドショーと米国版予告編が付いています。このスライドショーが充実していて、スチル写真はもちろんのこと、公開時の世界各国のポスター、ロビーカード、パンフレットなどの画像が、たっぷり収録されています。日本のも、ちゃ〜んとありました。
 DVDソフトとしては、手持ちのフランス盤、スペイン盤、イタリア盤と比較しても、頭一つ飛び抜けた品質。『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』のDVDを購入するのなら、この米盤がベストの選択と言えるでしょう。
 さて、このDVDは両面ディスク仕様になっていて、B面にはゴードン・スコット主演の “Goliath and the Vampires (Maciste contro il vampiro)” (1961) が収録されています。監督は、アラン・スティールの “Hercules Against the Moon Men (Maciste e la regina di Samar )” を撮ったジャコモ・ジェンティローモ(Giacomo Gentilomo)。
 ゴードン・スコット扮するゴライアス(原版ではマチステ)が、自分の村を焼き払われ、仲間を虐殺され、許嫁を攫われてしまい、復讐と奪還に向かう……というのが大筋なんですが、タイトルからも判るように、お話しが進むにつれて、そこに伝奇ホラー風味がミックスされていきます。
 まず、さらわれた娘たちが、短剣で腕を切られて生き血を杯に絞りとられ、その杯をカーテンの影から奇怪な腕が伸びて受け取る……なんてあたりから、ちょいとそれっぽい雰囲気が漂い始める。それでも、ゴライアスがアラビアン・ナイト風の街に辿り着き、攫われた娘の一人を奴隷市場から助けて大暴れしたり、ジャック・セルナス扮する謎の男と出会ったり、捕まって王宮に連行されるあたりまでは、まだ史劇風味の方が強い感じ。
 しかし、許嫁を助けて脱出したゴライアスが、砂嵐にあい、地下の都に迷い込むあたりから、風向きが決定的に代わり、後半は、地下都市に住む「青い人々」と共に、黒魔術を使う魔王コブラックを倒し、魔術で石化されてしまった人々を救うといった、完全にファンタジー映画の趣になる。
 前半の史劇風パートも、セットやモブもけっこうゴージャスで、アクションや残酷趣味も盛りだくさんで、けっこう楽しませてくれるんですが、それよりも特筆したいのは、やはり後半のファンタジー風パートの方。
 この後半は、コブラック配下の生き人形にされたノッペラボウ軍団とか、肌の色から服装から食べるパンまで青い「青い人々」(ちょっと『続・猿の惑星』のミュータントを連想させます)とか、錬金術めいたビーカーやフラスコとか、ゴライアス VS 偽ゴライアスとか、ファンタジーやSci-Fiテイストが、ふんだんに登場します。ここいらへんのアイデアとか、チープさも含めた見所は、他のソード&サンダル映画と比較しても、頭一つ飛び抜けている感じなので、クラシックSF映画ファンなら、かなり楽しめるはずなので、ぜひ一見をオススメしたい。
 ただ、映画全体としては、盛りだくさん過ぎるのが仇になっている感はあり。エピソードのつなぎがギクシャクしているし、ストーリー的にとっ散らかった感じがするのは否めません。
 ゴードン・スコットは、ヒゲがないのは個人的には残念だけど、最初から最後までほぼ腰布一丁なのは嬉しいポイント。筋肉美を誇るタイプではないから、怪力発揮とか肉体の見せ場になると、ちょいと同時代の他のボディービルダー男優と比べると見劣りしますが、恋人を喪った怒りと悲しみとか、偽ゴライアス役のときの憎々しい表情とか、なかなかの熱演を見せてくれます。
 ヒロインのレオノーラ・ルッフォは、まあ奇麗なだけという感じですが、対する悪のヒロイン、魔女アストラ役が、スティーヴ・リーヴスの『ヘラクレス』のアマゾンの女王や、やはりリーヴスの『闘将スパルタカス』にも出ていた、ジャンナ・マリア・カナーレだったのが嬉しい。似たようなキャラを演じても、やはりモイラ・オルフェイあたりよりは、だいぶ存在感が違う。余談ですが、DVDジャケット裏面の解説によると、この人『怪傑白魔』を撮ったリッカルド・フレーダ監督の奥様なんですな。
 ジャック・セルナスは……ロバート・ワイズの『トロイのヘレン』ではパリス役だったのに、何かもう、すっかりB級臭が……(笑)。同じソード&サンダル映画でも、『逆襲!大平原』や『闘将スパルタカス』のときは、こんなキワモノっぽい感じじゃなかったけどなぁ(笑)。
 あと、監督はジャコモ・ジェンティローモですが、かなりの部分をセルジオ・コルブッチが撮っていると、やはりジャケ裏の解説にありました。コルブッチは脚本でもクレジットされています。
 さて、責め場関係ですが、ゴードン・スコットの責め場は、まず前半、居酒屋で暴れていたところを投網で捕らえられて、宮殿に連行されます。ここで、大きな木の枷をはめられて鎖に繋がれたりしますが、あっさりと脱出してしまうので、このシーンはさほど見所はなし。
 そして後半、今度は魔王コブラックに捕らえられ、竪穴に入れられた上に巨大な鐘をかぶせられ、「音波で脳髄を破壊して奴隷に変える」という責めを受けます。拘束はなしですけど、苦しみ悶える演技はけっこう佳良。ただし、このシーンの前に、こっそり蝋で耳栓をしておいた(『オデュッセイア』からの引用ですな)というエピソードが入っているので、この苦悶も演技なのだということが、観客にはわかっているので、責め場としてはちょっと興ざめ。
 責め場以外では、クライマックスの「ゴライアス vs 偽ゴライアス」の格闘シーンが、撮り方も凝っていて楽しめます。「もっこり好き」の方は、このシーンは要チェック(笑)。
 スコット君以外の責め場では、冒頭の村人虐殺シーンなんてものありますが(着衣ではあるものの、逆さ吊りにされた男どもが、ちょっとヨロシイ)、その後に出てくる、公開処刑の方が見応えあり。ゴライアスが街に着くと、広場で上半身裸の男が木の棒に昇らされていているんですが、ついに力尽きて棒から落ちると、下に並んで突き立った刃にグッサリ刺さって絶命、というシーン。ここはなかなかヨロシイ。
 画質は、ノートリミングのワイドではあるものの、退色、傷、共にかなり激しいです。ただ、酷くて見てられないというほどではなく、二束三文で叩き売られている廉価ソフトと比べれば、これでもだいぶマシなほう。メインは『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』で、こっちはオマケだと思えば、そうけなしたもんでもなし。
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 A面の『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』同様、こちらもスライドショーと予告編の特典付き。スライドショーの内容はA面同様に充実しているし、予告編も、何と本編よりも画質が良かったりします。
 というわけで総合的には、内容よし、ソフトの作りよし、という、かなりオススメできる一枚。値段も$19.95と標準的。
 リリース元のWildeastは、マカロニ・ウェスタンをメインに発売している会社のようですが、カタログ・ナンバーが古いものは既に廃盤になっていたりするので、欲しいという方は、お早めのご購入を。
“Goliath & the Barbarians, Goliath & the Vampires” DVD (amazon.com)

Colton Ford発Joe Gage行き

 ひょんなことで目にした、コルトン・フォードというシンガーの、”That’s Me”という曲のプロモーションビデオが、余りにもマッチョでエロかったので、YouTubeにあったビデオを貼り付けてみます。何か、もう映像のエロさが強すぎて、逆に、どんな曲だったか音印象が残らないくらいです(笑)。

 さて、実はこのお方、元ゲイポルノスターらしい。ならば、このエロさも納得ですな。私は出演作を見たことがないんですけど、ちょっと調べたら、GayVN Awards(VNはvideo newsの略で、まあアメリカのゲイAV大賞みたいなものです)で2003年度のGay Performer of the Yearを獲得したりしています。
 現在では音楽活動と並行して、here!制作のゲイドラマ”The Lair”なんかにも出演しているらしいですね。彼の経歴を追ったドキュメンタリー映画”Naked Fame”(「裸の名声」ってとこでしょうか)なんてのもあるみたいで、これはちょっと面白そうなので見てみたい。
 しかしまあ、このPVを見てると、80年代にMan2Manの”Male Stripper”なんかにドキドキしてたことを思うと、隔世の感があります。で、こっちもYouTubeにあったので、貼り付けてみる。

 ど〜です、ババァの元クラバーには懐かしいでしょう(笑)。
 当時は、Man2Manはこの一曲しか知らなかったんですが(12インチシングルを持ってた)、数年前にCDで欲しくなってベスト盤を購入したら、他の曲もぜ〜んぶ同じ曲にしか聞こえなかったという、キョーフの金太郎飴アーティストだった(笑)。
 さて、ゲイポルノとクラブミュージックという繋がりで、もう一つ思い出した曲があって、探してみたらそれもYouTubeにあったので、貼ってみます。Man Parrishの”Heatstroke”という曲。ちょいとイントロが長いですけど。

 今回、改めて調べて初めて気付いたんですけど、前出のMan2Manをプロデュースしてたのって、このMan Parrishだったのね。知らなかった。
 で、この曲の何がどうゲイポルノなのかと言うと、実はこれ、元々はアメリカの伝説的なゲイポルノ映画監督、ジョー・ゲージが撮った”Heatstroke”というゲイポルノ映画のテーマ曲だったんですな。それが後にオーバーグラウンドでもヒットした。個人的には、映画で使われていた女声コーラスとかが入っていないバージョンの方が、音は多少チープでもストイックなアングラ臭があって好み。
 ジョー・ゲージの映画は何本かDVDを入手してるんですが、個人的に特に名作だと思っている、この”Heatstroke”のDVDは、未だ発見出来ず。あと、同様に名作の”Closed Set”(1980年版)のDVDも見つからず。また、入手出来た”Kansas City Trucking Co.”三部作のDVDも、ビデオ版と比べるとシーンがカットされた短縮版だったりするので、これまた残念な限りです。
 で、このジョー・ゲージ監督ですが、80年代中頃にゲイポルノからは退き、ティム・キンケイド名義で『虐殺バッドガールズ・地獄の女刑務所』だの『アンドロイド・バスターズ/残虐メカ帝国の逆襲』だの『ミュータント・ハント』だの『エネミー・テリトリー』だのといったB級映画を撮っていた。(とはいえ私自身は、この時代の監督作品で見たことがあるのは、エンツォ・G・カステラッリと共同監督している、ルー・フェリグノ主演の”Sinbad of the Seven Seas”だけなんですけど)
 やがて2000年代に入ると、ティム・キンケイド監督は再びゲイポルノを、ジョー・ゲージ名義で撮るようになる。何本か見ましたが、70年代中頃から80年代前半にかけて作品に見られた、あの圧倒的なパワーと比較してしまうと、残念ながらお年を召されてしまったなぁ、という感じでした。
 そんな作品の中に、これは未見なんですが、2002年の”Closed Set: The New Crew”というのがありまして、ここで最初に出てきたコルトン・フォードが、メインスターでクレジットされてる。むむむ、こうなると、見てみたいという欲求が、ムクムクと頭をもたげてくるなぁ(笑)。
……という具合に、PVのエロさに興味を持って調べ始めたら、自然に話題が一周して繋がっちゃった。自分でもちょっとビックリです(笑)。

Dieux Du Stade 2008 カレンダー

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“Dieux Du Stade – Callendrier 2008 par Steven Klein”
 毎年出ている、フランスのラグビー代表選手のヌード・カレンダー、2008年版。今回のカメラマンはスティーヴン・クライン(Steven Klein)。
 この人は、かなり毒があったり、退廃的なイメージの作品を撮る作家という印象がありますが、このカレンダーでは、さほどアグレッシブな画面作りはしておらず、この作家にしては、ぱっと見は比較的大人しめの印象。

 とはいえ、表紙からしていきなり、全裸のラグビー選手が、金属製のラグビーボール型オブジェに、チェーンと手錠で繋がれている……なんて絵がくることからもお判りのように、単なる口当たりの良いピンナップというわけではなく、どこかビザールだったり性的だったりする仕掛けが、あちこちに散りばめられています。
 ビザール面では、鎖と枷というモチーフが頻繁に登場します。美術館か宮殿のような室内で、ギリシャ彫刻のようなポーズをとる全裸のラグビー選手の両足に、さりげなく足枷がはめられていたり、向かい合ってレスリングのようなポーズをとる二人が、足枷と鎖で連結されていたり。中には、バンザイ・ポーズで鉄格子に手錠でつながれている男……なんていう、まんまボンデージな写真もあります。
 ただ、流石にサドマゾヒズム的なところまでは突っ込めなかったのか、ハッタリを効かせたわりには、ちょいと消化不良な感じもあり。

 性的なほのめかしという点では、かなり挑戦的です。特に、小道具としてビデオカメラが配された作品が面白い。
 このシリーズは二点あり、一つは椅子に座って股間を手で覆った男と、それを見下ろすようにビデオを構えている男という構図、もう一つは、レスリングのポーズで組み合う二人の男を、別の男がビデオ撮影しているというポーズ。これらの作品は、鑑賞者に必然的にポルノビデオの撮影現場を連想させます。前者はオーディションかマスターベーション、後者はズバリセックスシーン。
 こういった、ポルノ産業的な連想を引き起こすことよって、実際に写真で描かれているもの以上の、より性的で淫靡なエロティシズムが、鑑賞者の内面に、自動的に生成されるという仕掛けになっている。アート的なアプローチを使って、ヌードとポルノグラフィーの境界を混乱させるという、巧妙かつ興味深い作品。

 この、境界の恣意的な混乱という面では、他にも幾つか面白い作例が見られます。
 例えば、片手で股間を抑えて椅子に座るという、何ということのないポーズが、一枚の鏡を配することで、自慰のイメージへと転じている作品。
 あるいは、大理石の壁龕の中に立ち、法悦的な表情でギリシャ彫刻のような力強いポーズをるという、まるで教会にあるバロックの彫刻の聖人像のようなコンポジションを用いつつ、同時に、彫刻にはあるまじき滝のような汗を流させることによって、生きた肉の存在感を強調し、肉欲的なエクスタシーも連想させるような作品。
 また、裸の男とモーターサイクルという、いささかありふれた組み合わせを使いながらも、男をバイクの正面から向かい合わせに跨らせることによって、まるで人間と機械のファックのようにも見える作品。
 こういった、一見するとさほどアグレッシブには見えないが、実はかなり挑戦的な意図が存在している作品群は、かなり面白く見応えがあります。

 このように、鎖や枷といったビザール的な作品、性的な仄めかしのある作品、そして、詳述はしませんでしたが、もっとシンプルな、純粋に肉体美やコンポジションを追求したヌード作品が、このカレンダーには、入り交じって配置されています。
 カレンダーとはいえ、6枚綴りや12枚綴りではなく、一ヶ月が二枚に分かれている上に、ボーナスページも加わった、総計30枚というカレンダーらしからぬヴォリュームです。しかもサイズはA3と大判で,使い終わっても切り離さずに保存できるリング製本。ページ全面が写真で、カレンダーのタマ(日付など)は上部に小さく一行入っているだけ。
 これを壁にかけても、ぱっと見ただけじゃ日付は判らないし、メモを書き込み余白もなし、といった具合で、カレンダーとしてはおよそ実用的ではないですが(笑)、紙質や印刷は文句なしのハイ・クオリティ、28ユーロというお値段に相応しい、持っていて嬉しい立派な写真集になっています。

 残念ながら、日本のアマゾンでは扱っていない様子。2007年版はあったのに、ここんところホント、日本のアマゾンはこういったものの取り扱いが渋くなっちゃいましたね。紀伊國屋BookWebにはあったんだけれど、残念ながら現時点では「入手不能」の表示が。
 本国フランスのアマゾンには、まだ在庫がある模様。アメリカのアマゾンでも、マーケット・プレイスに出品がありますが、既にプレミア扱いなのか、かなり割高です。

“Con Games”


“Con Games” (2001) Jefferson Edward Donald

 前回の“Lash!”のついでに、同書の米アマゾン商品ページの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」で出てくる、野郎責めB級ビデオ映画のDVDをご紹介。

 刑務所モノです。上院議員だか何だかの息子が、強姦罪だか何だかで投獄されたところ、獄中で殺されてしまい、その上院議員に雇われた主人公が、殺人の真相と暴力刑務所の実像を探るために、囚人になって潜入する……とかいった内容。確か、主人公の父親が別件で服役中で、その減刑が報酬なんだったかな?
 撮影なんかは、雰囲気もあってそれほど悪くはないんですが、全体のテンポが、このテの映画にしてはユルくて、ちょいとチンタラした感じかな。ストーリーに変に社会派っぽい要素を絡めていて、それも教科書的なお行儀の良さなのが、パワフルさや爽快さに欠けてしまったのかも。
 でも、一部のマニアの間では、けっこう評判が良かったりもします。どんなマニアかというと、ズバリ、ゲイの拷問マニア(笑)。私がこの映画のことを知ったのも、アメリカのそれ関係のメールグループとかで、キャプチャ画像やら動画やらが流布していたもんで(笑)。

 では、そこいらへんの解説。
 まずはタイトルバック。薄暗い刑務所の廊下を、ツナギを着た黒人の囚人が、ボール・ギャッグに手錠足錠という姿で、二人の看守に連行されて歩いてくる。囚人は独房に放り込まれ、後ろで扉を閉められてオドオドしていると、いきなり上半身裸でスキンヘッドでヒゲのマッチョにタックル喰らって、床に押し倒されてプリズン・レイプ。
 まあ、ポルノじゃないんでファックシーンはブラックアウトですが、いちおう事後、床に突っ伏した囚人のツナギが破れていて、尻だけ丸出しになっている、なんてカットはあります。あと、レイピストのスキンヘッドが、ハンパじゃなくガタイが良い。
 次の責め場の被虐者は、主人公と一緒に入所した、ゴーティーで胸毛付きの白人マッチョ。こいつはスタンガンくらった後、タンクトップを破かれ両手吊りにされてガットパンチング。
 お次は、ハンサムでスベスベお肌の、白人マッチョ主人公。ツナギの上半身をはだけた姿で床に這いつくばったところを、革靴で蹴飛ばされまくった後、警棒でタコ殴り。
 主人公の受難はまだ続きます。しばらくたった後、今度は上半身裸の両手吊りで、ガットパンチング。続いて、水を掛けられて電気拷問。このシーン、責め手の看守が「俺のお気に入りの映画は『リーサル・ウェポン』でね」なんて言うあたりが可笑しい。でも、そーゆーわりには、本家ほどの迫力はないんだけど。あと、身体をホールドするためのサスペンダーが丸見えだったりするのも、ちと興ざめ。でも、尺はけっこうあって楽しいし、電極を当てられた事後の肌が焦げていたりするディテールは佳良。

 責め場はこんなもんですが、男優陣はメインも脇も、演技はともかくとして顔はおしなべて悪くないし、なかなかのマッチョ揃い。刑務所モノのお約束っぽいスキンやらタトゥーやらもいるし、ちょいヨゴレ入った熊系もいます。で、そーゆー連中が、けっこう意味なく脱いでくれるので、そーゆー目の保養的なサービスも良し。
 ちなみに、サディスト看守を演じているのはエリック・ロバーツ。ジュリア・ロバーツのお兄さんだけど、すっかりB級専門になっちゃったみたいですね。

 まあ、そんな感じで、一部マニアを除いては、特にオススメできる出来でもないんですが、上記のような内容がお好きな方だったら、けっこう楽しめる内容ではないかと。少なくともアタクシは、じゅうぶん堪能いたしました(笑)。
“Con Games” DVD (amazon.com)

“Achilles”

Achilles_scene
“Achilles” (1996) Barry Purves
 私の好きなアニメーション作家で、バリー・パーヴスというイギリス人がいます。
 リアル系の人形アニメーションで、初めて見たのは『ネクスト』(1989)という作品でした。シェイクスピアをネタにした5分の短編なんですが、人形の表情も含めたアニメーションの精緻さと、古典趣味に基づく豪華絢爛な美術、そして、舞台劇風の様式美に満ちた演出が、もう何から何までツボだったので、びっくり仰天&驚喜乱舞したもんです。
 そして、次に見たのが『スクリーン・プレイ』(1993)。中世日本を舞台に、タカコとナオキという若い男女の悲恋を歌舞伎風に描いた、11分の短編。これまた演出の様式美が素晴らしくって、更にグラン・ギニョール的な残酷趣味も加味されていて、再びすっかり虜になりました。
 以来、「もっと作品を見たい、見たい、見たい!」と切望していたんですが、なかなかその機会に恵まれませんでした。特に、何年か前に出たアート・アニメーション系のムックで、この人のフィルモグラフィーが載っていて、その中に”Achilles”という作品名を見つけたときには、こりゃもう間違いなくギリシャ神話やホメロスネタだろうと、もう見たくて見たくてたまらなくなったもんです。
 で、つい先日のこと。ちょっとしたきっかけで、この”Achilles”が、実はゲイ・アニメーションだと知りました。
 もう驚いたのなんのって! だって、良く知らないまま、想像だけで恋い焦がれていた映画の内容が、よりによってゲイものだったなんて……もう、「丘の上の王子様の正体はアルバート様だった!」みたいなもんで(笑)。
 そうと知ったからには、これはもう何としてでも見なければ! ……と決意して調べていたら、割とすんなりアメリカ盤DVDを見つけることができました。
Achilles
 DVDのメインは、Neil HunterとTom Hunsingerという監督の、”Boyfriends”(1996)というゲイ映画なんですけど、そのオマケとして”Achilles”が収録されています。もう、とりあえず”Boyfriends”は放っておいて、届いたその日に”Achilles”を鑑賞。
 内容は、もうそのものズバリのイーリアスネタで、トロイア戦争を背景に、アキレウスとパトロクロスの同性愛関係を描いたもの。
 アキレウスとパトロクロスは、大理石か石膏っぽいイメージの白いフィギュアで、アキレウスはヒゲモジャのマッチョ、パトロクロスはアポロン型美青年という造形になっています。その他のモブは、テラコッタっぽい赤茶のフィギュアで、シークエンスに合わせて、ギリシャ悲劇風の仮面や動物の頭の形の兜などをかぶっている。
 これらの人形が、いかにもバリー・パーヴスらしい舞台劇風の様式的な演出で、アキレウスの誕生からヘレネー誘拐などのトロイア戦争のあらましを語り、その随所に絡めて、アキレウスとパトロクロスの同性愛関係のもつれが描かれます。
 ナレーションは、イギリスの名優デレク・ジャコビ。ゲイ的には、フランシス・ベーコンを演じた『愛の悪魔』が忘れがたいですね。
 ゲイ映画としての内容は、アキレウスとパトロクロスの間の、まだホモセクシュアルを無自覚の、ホモソーシャル的なリレーションシップに、ホモセクシュアル的な欲求が絡んでくることによって、その関係性に軋みが生じる、という構造になっています。
 次の段、ちょいと実例を挙げての解説になるので、ネタバレがお嫌な方は飛ばしてください。
 アキレウスとパトロクロスは、最初は子供がじゃれるように、無邪気に湯船で戯れたりしているんですが、二人の間に愛情や肉欲が目覚めていくに従い、次第に関係性がぎこちなくなっていきます。
 例えば、二人は戯れあいの延長として性行為に及びそうになるんですが、アキレウスは寸前で拒否してしまう。そんな二人でも、仮面をつけてパリスとヘレネーを演じることによって、愛を交わすことも性交もできるようになる。しかし、行為の最中に仮面が外れてしまうと、やはりそれ以上は続かない。この演出は、ヘテロセクシュアル的な価値体系から脱却できずに、自己の性的指向を受容できずにいるホモセクシュアルの姿を、端的かつ象徴的に描いていて秀逸でした。
 やがてアキレウスは、パトロクロスの眼前でブリュセイスを犯す、つまり、アキレウスが己はヘテロセクシュアルであると、自分自身にもパトロクロスに対しても証明しようとする。しかしこの強姦劇も、その目的は達しえない、つまり、アキレウスは女性相手の性交を貫徹できずに終わってしまう。
 興味深いのは、この場面では上述した要素と並行して、ブリュセイスを演じているのも、実は仮面をつけた男性であるという仕掛けがあることです。つまり、モノガタリ上ではヘテロセクシュアル的な行為なんですが、その更に外枠、つまりモノガタリの外側から見れば、それが男性同士によって演じられるヘテロセクシュアルのパロディという、実にゲイ的なものになる。
 こういった、同一の事象であるにも関わらず、それを捉える視点の位置によって、その意味性が逆転するという面白さは、人形アニメーションによる舞台劇という、その構造自体に二重の虚構性が含まれている、バリー・パーヴスの作風ならではの効果ですね。
 さて、話を戻しますと、こうしてブリュセイスはアガメムノンの手に渡ってしまい、屈辱に打ちひしがれたアキレウスに、パトロクロスが手を差し出す。しかしアキレウスは、相変わらずそれを拒否して、孤独とコンプレックスを癒すために酒に溺れていく。
 酔ったアキレウスは、自慰をして、逞しい男たちが現れる淫夢に襲われ、自分を心配して訪れたパトロクロスに襲いかかる。パトロクロスは、強姦者のようにのしかかり、泣きながら自分を打擲するアキレウスに、優しく口づけをする。こうして二人は、ようやく性交に至ります。
 こういった具合で、セクシュアリティの目覚めによるアイデンティティの揺らぎとか、自己自認を拒むことを原因としたゲイのホモフォビアなど、ゲイ映画として見ても、テーマがしっかりとしていて硬派な味わいです。加えてこれらは、私自身が自作でよく取り扱うテーマでもあるので、親近感もわいてくる。
 たったの11分という短編なのに、これだけの内容の濃さで、しかも、人形アニメーションとしてもハイ・クオリティで、ゲイ映画としても秀逸。これは、かなり凄い作品ですぞ。
 エロティック作品としても、もちろんハードコア的な直截さはありませんが、ギリシャ彫刻的なセクシーな造形の人形たちが、まるで生きているようように互いの身体に触れあい、睦みあう姿は、必要十分なエロティシズムに溢れています。
 DVDは、字幕こそないものの、ありがたいことにリージョン・フリーですので、興味のある方はぜひどうぞ。激オススメ。米amazonで検索する場合は、”Achilles”だとヒットしないので、”Boyfriends”で探すのが吉。
 あと、バリー・パーヴスのオフィシャル・サイトのギャラリー・ページにも、スチル写真がありますので、そちらもどうぞ。
“Boyfriends (+ Achilles)” DVD (amazon.com)
 あと、前述の『ネクスト』と『スクリーン・プレイ』は、それぞれ日本版DVDも出ています。
 『ネクスト』はこちら、『スクリーン・プレイ』はこちら
 ついでにもう一つ、バリー・パーヴスがヴェルディのオペラ『リゴレット』を人形アニメーションに仕立てたものがこちら

関西クィア映画祭で”Desert Dungeon”上映

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 前にここここで書いた、趣味でシコシコ自主制作している3DCGアニメーション "Desert Dungeon" が、7月20日から24日まで大阪で開催される関西クィア映画祭で、上映されることになりました。
 日時は7月20日(金)19:30から、同映画祭のオープニング・プログラム「タイヘン×ヘンタイ」の中で上映されます。チケットや場所等の詳細は、関西クィア映画祭の公式サイトをご覧ください。前売りは6/10(日)から発売開始だそうです。

 この "Desert Dungeon"、昨年11月にも渋谷のアップリンク・ファクトリーにて、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』刊行記念イベントの一環として上映されました。そのときのバージョンは、act 1から6までの合計約20分でしたが、今回の関西クィア映画祭では、それに未発表分も含めた act 7から9までを追加した、約30分バージョンでの上映になります。
 基本的にひたすら趣味で制作して、自分のサイトで公開してきたシリーズですが、容量の問題から小さいサイズでの公開でしたし、しかもサーバ負荷の問題から、過去のactは順次公開終了せざるをえない状況。こうしてパブリックな場での上映機会をいただけるのは、本当に嬉しい限り。お招きくださった同映画祭スタッフの方には、感謝感激であります。
 で、この作品、実は現在もう一つ、海外のインディペンデント映画祭からもお誘いを受けております。まだ調整中でどうなるか判りませんが、これも実現してほしいもの。

 で、お話しをいただいたときに「予告編とかはありますか?」とのお問い合わせがありまして、そんなものはなかったんですけど、せっかくだからいい機会なので作ってみました。

 例によってiMovieで制作したもの。YouTubeの規制に引っかからないよう、念のためにマスクをかけました。BGMは、前に作った "Memnon" という自作曲を、尺に合わせてエディット。

 そんなこんなで皆様、よろしかったらぜひご来場くださいませ。
 あ、それと映画祭ではボランティア・スタッフの募集もしているそうです。
 どんなイベントでも、人手不足や資金難はつきもの。更にこーゆーイベントって、スタッフとして参加すると、お客さん視点とはまた違った楽しさがあるものです。興味のある方は、尻込みしていないで、じゃんじゃんお手伝いしちゃいましょう。

「闘将スパルタカス」「ヘラクレス 魔界の死闘」サントラ

「闘将スパルタカス (Il figlio di Spartacus)」サントラ
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 セルジオ・コルブッチ監督、スティーヴ・リーヴス主演の「闘将スパルタカス」のサントラCD。映画の内容については、前にここで紹介しました。
 音楽はピエロ・ピッチオーニ。復刻サントラで有名なDIGITMOVIESから出ている、ソード&サンダル映画サントラ集 “The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズ、第四弾。これで、このシリーズのリーヴス主演映画のサントラは二枚目。うふふ、この調子でもっと出してくれぃ(笑)。
 リフレインしながらじわじわと盛り上がっていくストリングスに、勇壮に吹き鳴らされるホーンが重なり、ティンパニがダダダダ〜ッと加わって盛り上がっていくテーマ曲は、スペクタクル系の壮大さと、西洋チャンバラ的軽快さが上手い具合にブレンドされていて、なかなかいい感じ。いかにもヒーロー映画といった趣が、気分を高めてくれます。
 スローテンポな曲や、宴会シーンの音楽などで顔を出す、民族楽器を使ったいかにも西洋史劇的なエキゾ風楽曲も、かなり魅力的です。反面、ウットリ系のスウィート成分や、ロマンティック成分は控えめ。
 ピクチャー・ディスクで、CD盤面には上半身裸のリーヴス様がデ〜ンと。8ページあるブックレットはフルカラーですが、おそらくほとんどはDVDからのキャプチャ画像っぽい。その他は、人着された当時の宣材スチル一点、公開当時のアメリカやイタリアのポスター画像、スペイン盤DVDのジャケなんかが載ってます。
「闘将スパルタカス」サントラ(amazon.co.jp)
 この “The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズ、前にここで第一弾の「ヘラクレス/ヘラクレスの逆襲」を紹介しましたが、第二弾でジュリアーノ・ジェンマ主演の「タイタンの逆襲 (Arrivano i titani)」、第三弾でジュゼッペ・ヴァリ主演の "Roma contro Roma (War of the zombies)" が既に発売されています。でも、私は映画を未見なのでスルー。
「ヘラクレス 魔界の死闘 (Ercole al centro della terra)」サントラ
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 マリオ・バーヴァ監督、レジ・パーク主演の「ヘラクレス 魔界の死闘」のサントラ。映画については、前にちょっとここで触れました。
 音楽はアルマンド・トロヴァヨーリ。以前、渋谷系とかが流行ったときに持て囃されましたが、このサントラはそーゆーヒップ系じゃないです。これもDIGITMOVIESからの復刻なんですが、”The Italian Peplum Original Soundtrack Anthology” シリーズではなく、バーヴァ監督映画のサントラ・シリーズの第五弾として発売されています。
 映画が「ソード&サンダル映画 meets ホラー映画」という変わり種なので、音の方もまさにそんな感じ。基本はホラー系で、不安感を煽る怪しい旋律、不協和音、パーカッション群の乱打、ストリングスのトレモロなどで、じわじわと不気味感を煽ってくるんですが、たまにホーンによるスペクタクル系の壮大&勇壮なモチーフや、木管やハープによるエレガントでロマンティックなモチーフが顔を出したりして、でもまたすぐにホラー系に戻る……ってな調子で、何とも不思議な感じ。
 幾度も顔を出す、低音のピアノやティンパニによるリフに、怪しい電子音やストリングスが重なり、ホーンが高らかに吹き鳴らされるメイン・モチーフは、不気味かっこよくて、けっこうクセになります。
 情緒的だったりエモーショナルだったりする要素は希薄ですが、現代音楽的な面白さがあり、雰囲気的にはジェリー・ゴールドスミスの「猿の惑星」のスコアとかに近い感じ。
 12ページのブックレットは、各国版ポスター、スチル写真などがたっぷり。う〜ん、やっぱりレジ・パークは、筋量たっぷりのいい身体してるなぁ(笑)。盤面もカラーのピクチャー・ディスク使用。
「ヘラクレス 魔界の死闘」サントラ(amazon.co.jp)

ゴードン・スコット追悼

 去る4月30日、ターザン映画やソード&サンダル映画でお馴染みの、ゴードン・スコットが亡くなりました。このブログでも何度か書きましたが、個人的に好きな俳優さんでした。享年80歳。合掌。
 ということで、追悼を兼ねて現在入手可能なゴードン・スコット主演映画のDVDを並べてみました。残念ながら日本盤はありませんが……。
“Tarzan and the Trappers” (1958)
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 ターザン役者として有名なスコットだけど、DVD化されているのは、おそらくまだこの一作だけ。日本未公開らしく、邦題も見つかりませんでした。
 写真左はバスター・クラブ主演の『蛮勇タルザン』”Tarzan the Fearlee” (1933) とのカップリングのアメリカ盤。
 右は、同じくバスター・クラブ版と、エルモ・リンカーン主演の『ターザン』”Tarzan of the Apes” (1918)、ハーマン・ブリックス(ブルース・ベネット)主演の『鉄腕ターザン』”Tarzan and the Green Goddess” (1938)(クリフハンガー・シリアル『ターザンの新冒険』”New Adventures of Tarzan” (1935) の再編集版)、グレン・モリス主演の『大ターザン』”Tarzan’s Revenge” (1938) がカップリングされた二枚組。アメリカ盤。
 画質はどれも「古かろう、安かろう、悪かろう」の、似たり寄ったりです。
 因みに、エルモ・リンカーンのやつとグレン・モリスのやつは、日本盤DVDも出てます。特にグレン・モリスの『大ターザン』は380円と安価なので、ターザン好きならぜひゲットしておきたいところ。(ここで買えます)
『逆襲!大平原』”Romolo e Remo” (1961)
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 スティーヴ・リーヴスと共演した、ローマ建国神話ネタのスペクタクル映画、フランス盤。前にここで紹介しました。DVDは、ドイツ盤とスペイン盤も出ていますが、持っていないので内容は未確認。
“Maciste alla corte del Gran Khan” (1961)
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 これもここで紹介済み。「マチステ中国に行く」といったキワモノ系ネタにも関わらず、けっこう見応えのある良作。アメリカ盤。
“Il Gladiatore di Roma” (1962)
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 これまたここで紹介済み。責め場好きなら、これがマスト。イタリア盤。
“Goliath e la schiava ribelle” (1963)
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 アレクサンダー大王に協力して、ペルシャの暴君を滅ぼす冒険活劇。スコット君自身の脱ぎ場や責め場はありませんが、筋肉美は黒人ボディービルダーのサージ・ヌブレットが見せてくれます。あと、共演のミンモ・パルマーラが、普段はまったくイケない私ですが、この映画だとヒゲ&胸毛&露出度高めの衣装というトリプルコンボで、かなりセクシーでイケてます。ジョルジュ・マルシャル主演のソード&サンダル映画とのカップリング。ドイツ盤。ノートリミングで画質も極めて良好。
“Ercole contro Molock” (1963)
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 邪教の生贄の美女を救い、暴君を倒して民衆を解放する系の、アクション・スペクタクル。ボンデージはあるけど、責めと脱ぎはなし。犬みたいな鉄仮面のモロク神と、髪を振り乱して太鼓を叩く半裸の美人巫女集団絡みのシーンが、サイケなホラー・テイストでちょっと面白いです。ドイツ盤。ノートリミングだけど画質はイマイチ。
“Il Colosso di Roma” (1964)
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 ローマもの。ローマ軍人スタイルのスコット君、なかなかコスチュームが決まってカッコイイです。ビリビリに破けたチュニック&血まみれで、岩山の丸木橋を渡るシーンがセクシー。炎の中に自ら手を差し入れて苦痛に耐える、なんてシーンもあり。脱ぎ場はなし。左がドイツ盤、右がアメリカ盤。
 アメリカ盤はワイドスクリーン・エディションと謳っていますが、これは一度テレビサイズにトリミングされたものを、更に上下にマスクをかけたインチキワイド。画質も、マスターは8ミリですかってなくらいのザッラザラ。リチャード・ハリソンのグラディエーター映画とのカップリング盤。
 ドイツ盤は、オマケは何もないけれど、ノートリミングで画質も佳良。
“Coriolano: eroe senza patria” (1964)
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 ローマもの。ジャケはグラディエーターものみたいですが、こんなシーンはないし、剣闘士も出てきません(笑)。あ、でもスコット君がチュニックをはだけて、酷たらしい古傷を見せるシーンがあったから、もしかしたら元剣闘士の話なのかな。ドイツ盤。ノートリミング、画質はまあまあ。
“Hercules and the Princess of Troy” (1965)
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 テレビ映画のヘラクレスもの。海の怪獣と闘います。チープだけど、モンスター好きなら楽しめるかも。左がゴードン・ミッチェルの “Atlas in the Land of Cyclops” と、リチャード・ハリソンの “I Giganti di Roma” とのカップリング盤。右がゴードン・ミッチェルの “The Giant of Metropolis” とのカップリング盤。どちらもアメリカ盤。
 因みに “The Giant of Metropolis” は、ソード&サンダル meets Sci-Fi の果てしなく安っちい怪作なんですが、キワモノ好きならオススメの逸品。責め場も、怪光線(……に見立てた、ただのスポットライト)とか、ハイテク電撃棒(……に見立てた、木の枝みたいなただの杖)とか、毛むくじゃら侏儒猿人軍団に噛みつかれるとか、見どころ(?)いっぱいです。
その他、ボックスセット系。
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 ”Tarzan and the Trappers” 収録。他の収録作は、ハーマン・ブリックス版とグレン・モリス版のターザンものと、スティーヴ・リーヴス、レジ・パーク、アラン・スティール、ダン・ヴァディス、ロッド・テイラー、ピーター・ラパス、カーク・モリスのソード&サンダル映画。三枚組、アメリカ盤。画質はボロボロ。
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 ”Ercole contro Molock” 収録。その他に、スティーヴ・リーヴス、マーク・フォレスト、ミッキー・ハージティ、ダン・ヴァディスのソード&サンダル映画が7本収録された4枚組。アメリカ盤。トリミング版ですが画質は佳良。
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 ここで紹介済み。
 オマケの珍盤。
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 これはスティーヴ・リーヴスの『怪傑白魔』のDVDなんだけど、なぜかジャケ写がゴードン・スコットっつーシロモノ(笑)。リーヴス君は遠慮がちに、下の方に小さく横たわってます(笑)。