前回、私がラブになった(笑)Giovanni Cianfriglia君、せっかくなので”Hercules The Avenger”からのキャプチャ画像をアップしてみませう。ポップアップ・ウィンドウでデカくなりますんで、興味のある方はクリックしてください。
これが、「地味め」「奥目気味」「平仲明信を男前にしたみたい(筆者独断)」な顔。
これが「マッチョだけどバルクはさほどない」「でも、何となくエッチ(筆者独断)」な身体。
ついでに、レグ・パークとのタイマンレスリング対決も。
以上。……って、何て無意味な記事だ(笑)。ま、たまにはいいでしょ、こんなのも。
因みに私、前回で名前を「ジョヴァンニ・シャンフリーリア」と表記しましたが、goo映画だと「チアンフリグリア」となってますね。う〜ん、カナ表記って難しい。
「マッチョ」カテゴリーアーカイブ
“Hercules The Avenger” + “Hercules And The Black Pirates”
“Hercules The Avenger(La Sfida Dei Giganti)” (1965) Maurizio Lucidi + “Hercules And The Black Pirates (Sansone Contro Il Corsaro Nero)” (1964) Luigi Capuano
米盤輸入DVDのご紹介。例によってソード&サンダルものです(笑)。
レグ・パーク主演のヘラクレスものと、アラン・スティール主演の変わり種ヘラクレスものの、2 in 1ディスクなんですが、内容に触れる前に、まずこのジャケからダウト!
このジャケはレグ・パークでもアラン・スティールでもなくって、スティーヴ・リーヴス主演の『鉄腕ゴライアス・蛮族の恐怖』”Goliath And The Barbarians (Il Terrore Dei Barbari)” (1959)のポスター・ヴィジュアルだぁ〜ッ!
とゆーわけで、このヒゲマッチョはリーヴスで、抱きついている女人は同映画のヒロイン、チェロ・アロンソです。どっちもこのDVDには、出てこないからねっ! ……まったく、いい加減な仕事してるなぁ(笑)。
さて、ではまず”Hercules The Avenger”から。
これは、ミスター・ユニバース・コンテストでスティーヴ・リーヴスのライバルで、アーノルド・シュワルツェネッガーの憧れのヒーローでもあった、レグ・パークの最後の映画出演作。
とはいえ、実はその内容は、見せ場のほとんどは彼主演の旧作『アトランティス征服』”Hercules And The Captive Women (Ercole Alla Conquista Di Atlantide)” (1961)と『ヘラクレス 魔界の死闘』”Hercules In The Haunted World (Ercole Al Centro Della Terra)” (1961)の名場面をツギハギして、それに幾つか新しい場面を足して、全く別の話に仕上げた、というもの。そんなわけで、ちょっと「……インチキ(ぼそっ)」と言いたくなるタイプの作品ではあるんですが(笑)、まあそれを気にしなければけっこう楽しめる内容です。
物語は、とある国の女王が、求婚者たちに言い寄られて悩んでおり、一方ヘラクレスの家では、彼の息子がライオン狩りの最中に大怪我を負ってしまう。ヘラクレスは神託を受け、息子の命を救うために大地の奥底に降りていくが、その途中で無人島に置き去りにされそうになったり、ドラゴンと闘ったり、煮えたぎる沼の上を綱渡りしたり、空飛ぶミイラに引っ掻かれたり(笑)と、さまざまな艱難辛苦を受ける。
その頃、件の女王は、助けを求めてヘラクレスの留守宅を訪れ、その帰途でヘラクレスに似た男に会う。実はこの男は、大地の女神ガイアの息子アンタイウスで、ヘラクレスの不在時を狙って彼の後釜になろうとしていた。女王は、この偽ヘラクレスと共に国へ帰り、彼の助力で求婚者たちを追い出すが、偽ヘラクレスはそのまま宮殿に居座ってしまう。やがて、苦難の果てに無事息子の命を救って家に戻ったヘラクレスは、ある国で自分の偽物が暴虐をふるっていると知る。再び神託を受けたヘラクレスは、偽物を滅ぼすために立ち上がる……ってな内容です。
でまあ、こういった中でのスペクタクルな見せ場、例えばヘラクレスの地底世界での冒険の数々とか、クライマックスの火山の噴火と都市の崩壊とかが、全て旧作の流用なわけです。本作オリジナルの部分では、こういったスペクタキュラーな見せ場は全くない。唯一それっぽいのは、偽ヘラクレス対ヘラクレスのシーンなんですが、これもギャラリーなしのタイマン勝負だしねぇ(笑)。まあ、肉弾戦としての魅力はあるけど(偽ヘラクレスは母である大地から足を離さない限り無敵である、なんていう神話伝説好きには嬉しい擽りもあります)、スペクタクル・アドベンチャーを見たいのなら、素直にオリジナルの二本を見とけって感じでしょうか。
とはいえ、ツギハギのわりには上手く工夫されていて、話としては決して悪くない。あと、流用元の旧作は、『ヘラクレス 魔界の死闘』のホラー風味が加わった幻想性といい(監督は後にホラーの巨匠となるマリオ・バーヴァ)、『アトランティス征服』のスケール感や都市の崩壊の大迫力といい、どちらも良い出来映えなので、たとえ流用とはいえども、スペクタクル・シーンの見応えは充分あります。考えようによっては、これ一本で二本分美味しい……と言えなくもないし(笑)。
ただし、いわゆる責め場は皆無。筋肉美は堪能できるし、艱難辛苦で苦しむとかはありますが、捕まって縛られたり、拷問されたりは一切なし。あ、野郎じゃなくても良ければ、ブロンド美女の髪吊りがあるけど(笑)。
しかし、実は個人的に捨てがたいのが、偽ヘラクレスことアンタイウス役のジョヴァンニ・シャンフリーリア(Giovanni Cianfriglia)。
マッチョではありますがバルクはさほどなく、身体のデカいレグ・パークと比べるとかなり細く見えるんですが、なんだかエッチな身体でねぇ(笑)。ゴードン・スコットやリチャード・ハリソンに少しウェイト足して、筋肉のキレも良くしたような体系……と言えばイメージが伝わるかな? 無理か(笑)。
あと、顔。ブサイクではないものの華はあまりなく、奥目気味の地味〜な顔なんですが、これが私的にはかなりイケちゃうタイプなのだ。どことなく、ボクサーの平仲明信をもうちょっと男前にした感じで、顔としてはレグ・パークよりも断然好き(笑)。
調べてみると、この人、このテのソード&サンダル映画ではけっこうクレジットされているんですが、他作品では正直印象に残っていません。もともとスタントやボディ・ダブルの方らしく、スティーヴ・リーヴスの代役もやっていたらしい。後にはケン・ウッドと名前を変えて、マカロニ・ウェスタンにも出ていたようなので、そっち系に詳しい方ならご存じかも。
私的には、このジョヴァンニ君を見れるだけでも、充分オッケーな作品でゴザイマス。もう、ラブよ、ラブ(笑)。
収録は、シネスコのレターボックスでスクイーズ。画質は、多少ボケたり滲んだりしている感があったり、フィルムの傷が目立つシーンもありますが、退色は気にならない範囲だし、米盤としては佳良な方。中の上クラスってとこでしょうか。独盤や仏盤の高画質に慣れちゃうと、正直かなり劣る感はありますが、日本で普通に売られているマイナーどころの旧作とかでも、これ以下の画質のときもあるし。字幕はなし。リージョンコードはフリー。両面ディスクです。
因みに、元ネタの『ヘラクレス 魔界の死闘』は米盤が、『アトランティス征服』は仏盤があり、これがどちらも、メジャーのソフトそこのけの高画質&ハイクオリティ。前述のようにどちらも良作(あ、こーゆーのが好きな物好きにとっては、ですよ、あくまでも)ですから、興味のある方はお試しあれ。ご参考までに、ジャケ写を載っけときます。
左が『魔界の死闘』米盤、右が『アトランティス征服』仏盤。
あ、もちろん『アトランティス征服』はPAL盤。音声も字幕も伊語と仏語のみ、英語はありません。
さて、余談ですが、前述のジョヴァンニ君、実は以前ここで紹介した”Kino Kolossal” (2000)というソード&サンダル映画の歴史を綴ったドキュメンタリーでも、すっかりオジイチャンになって(とはいえ、えらくマッチョなオジイチャンですが)出演しています。
で、当時の仕事仲間のミンモ・パルマーラ(先日紹介した『ロード島の要塞』の他にも、リーヴスの『ヘラクレス』のイフィトゥス役や『大城砦』のアイアース役で印象に残ってます。やはり後には、ディック・パーマーという名前でマカロニ・ウェスタンに出ているらしい)と一緒に、当時の裏話を語ったり、二人で剣戟やガン・アクションを再現してくれたり。
このドキュメンタリー、言葉が判ればホント面白そうなんだけどなぁ……悔しい(笑)。
もひとつ余談ですが、Reg Parkの表記が「レグ」か「レジ」かが悩みの種。
最初に見たときはすんなり「レグ」と読んだんですが、こういった映画にリアルタイムで親しんでいた世代の友人が「レジ」と呼んでいたことと、何かの予告編(アメリカ版)でハッキリ「レジ」と発音していたので、一度は「レジ」でファイナルアンサーかとも思ったんですが、今度は前述の”Kino Kolossal”で、イタリア語の発言の中で「レグ」と発音していて、またグラグラ。
しかし、彼は確かイギリス人だよなぁ……だが、allcinema ONLINEだと「レグ」だなぁ……でも、Reginaldの略だから、やっぱ「レジ」かなぁ……(笑)。
では、続いて”Hercules And The Black Pirates”。
え〜、ぶっちゃけた話、これはいわゆるソード&サンダルものじゃありません。フツーの海賊映画……ってか、それとも違うか。主人公は海賊じゃなくて、海賊と闘う政府側の人間だから。
まあ、ハッキリ言って、かなり「安い」です。冒頭の海戦シーンとか、他の映画の流用だってのが見え見えで、炎上する帆船の映像とかに、スティールのアップ画像をオーバーラップさせて、戦闘に「参加」させてるあたり、ちょっと切なくなるし(笑)。もちろん本編に入っても、アクションはせいぜい甲板で斬り合いするか、小舟で帆船に乗り込むかくらいで、軍艦同士の海戦なんてスペクタクルは微塵もありません。
舞台は、スペイン統治下のカリブ海かどっか。そこに何故かヘラクレスがいるわけですが、マチステものとかにあるみたいな、異世界にマッチョが召還されるパターンですらなくって、フツーに「いる」んですな。海賊退治に功績があった将官たちに、提督が名前を尋ねるシーンがあるんですが、他が皆「何たらメンドーサです」「ホセ何たらです」なんて、いかにもスパニッシュな名前を答えていくのに、スティールだけ唐突に「ヘラクレスです」だもん(笑)。まあ、エルキュール・ポワロみたいに、ファースト・ネームが「ハーキュリーズ」なだけかも知れないけど、そこんとこのツッコミも何もない(笑)。
でまあ、提督の娘との身分違いの恋があったり(このヘラクレス君は、漁師の息子だそうな)、実は裏で海賊と通じている裏切り者の高官がいたり、少女が悪人に誘拐されちゃったり、話的にはお約束のテンコモリ。意外性はカケラもないので、安心して(笑)ゆっくりまったり観られます。劇判がいかにもスペイン風な、フラメンコか闘牛みたいな陽気なノリなのも、更にまったり感に拍車をかけます(笑)。
主演のスティール君は、ヒゲなし&チュニックでも腰布でもないってのは、個人的な趣味から言えば「下げ」要素ではありますが、それでもマッスル・ムービー的には、それなりに工夫あり。
まず、しょっぱなから宮廷の宴会で、力自慢の軽業師相手に上半身裸でレスリング。海賊との乱闘シーンでは、次第にシャツが破れていき、最後には上半身裸に。で、海賊にとっ捕まった後、泳いで逃げだすんですが、岸辺に着いたときには、ズボンも脱げていて下着一枚になってる(笑)。まあ、ズボンはすぐまたはきますが、上半身は何故かす〜っと裸のまま。で、めでたしめでたしのラストシーンだけ、革のベストみたいのを着るんですが、これがまたミョ〜に胸ぐりが深いベストで、何だかフェチ系ショップで売っている、ラバーのタンクトップみたいなシルエットなの(笑)。
……ってな具合で、このテの映画の見せ所としては、けっこうツボは押さえている……かな? まあ少なくとも、ボディビル男優は脱いでナンボというのは、制作者も心得ているようで(笑)。アクション・シーン全般が、剣戟よりも殴り合いメインなのも、いかにもマッスル・ムービー的でご愛敬。
責め場としては、まあ捕まったヘラクレスが、海水が浸水してくる船倉に、鎖で縛られて放置されるくらい。まあ、鞭打ちとかに比べるとヌルい責め場だし、拘束自体もアッサリ抜け出してしまうんですが、そこから脱出までは、それなりに引っ張って見せてくれる。あと、この拘束が両手を頭上にあげる形で、黒いワキ毛がモジャモジャしてるのが見えるのが、個人的にはプラス・ポイント(笑)。
ですが、実は個人的な最大の収穫は、別にありまして。
前述した、軽業師とのレスリング場面。この相手のマッチョ軽業師が、何と、”Hercules The Avenger”の偽ヘラクレスこと、ジョヴァンニ・シャンフリーリア君なのだよ! ヒャッホ〜、すっげー得した気分(笑)。まあ、アップはほとんどないし、すぐに退場しちゃうんだけど、上半身裸だしヒゲもあるしね、嬉しい嬉しい(笑)。
というわけで、このDVD、私的には「ジョヴァンニ・シャンフリーリア・パック」ということで、もう強引に「アタリ」判定(笑)。
収録は、4:3のテレビサイズ。画質はかなりボケていて、”Hercules The Avenger”よりもだいぶ劣りますが、それでも何とか色は残っています。あ、でも最後のロールだけ退色していて、画面が急に赤くなっちゃうけど(笑)。まあ画質的には下の上ってトコでしょうか。
“Hercules The Avenger + Hercules And The Black Pirate” DVD (amazon.com)
今日(21日)から新宿にて直道さんの個展開催
11月21日(月)から30日(水)まで、『ジーメン』『薔薇族』などゲイ雑誌で活躍中の画家・直道(奥津直道)さんの個展が、新宿コミュニティセンターaktaで開催されます。
直道さんの描く、和の伝統を感じさせつつ、様式美と現実感が心地よく併存している男絵は、個人的に大好きなので、見に行くのが楽しみです。ファンの方はもちろん、アート好きの方、興味のある方、お近くまで御用の方、などなど、よろしかったらぜひお出かけあれ。
直道さんの絵は、Rainbow Artsのサイトのサイトで見られます。
会場であるaktaの場所は、こちらを参照。
『海賊の王者』
『海賊の王者』(1961)プリモ・ツェリオ&アンドレ・ド・トス
“Morgan il pirata” (1961) Primo Zeglio & Andre de Toth
我が愛しのスティーヴ・リーヴス様の海賊映画。そのイタリア盤DVDのご紹介です。因みに英題は “Morgan, the Pirate”。
イタリア語はさっぱり判らないけど、幸いこれは英語版を見たことがあるし、Goo映画にあらすじ紹介もあるので、内容解説も何とかなりそう(笑)。
17世紀末、スペイン領パナマ。ヘンリー・モーガン(スティーヴ・リーヴス)は奴隷市場で鞭打たれていたところを、通りがかりの令嬢イネス(ヴァレリー・ラグランジェ)に救われる。しかし、モーガンはイネスの高慢さに反発、何やかんやあって、今度はガレー船の漕ぎ手にされてしまう。が、反乱を起こして船を乗っ取り、海賊として名乗りをあげる。それから海賊モーガンは、他の海賊の捕虜になっていた令嬢イネスを救い出したり、英国の対スペイン戦に協力したり、船を沈められて死んだかと思ったり……などなど、まあ波瀾万丈、恋あり戦いあり女装あり(笑)の、古式ゆかしき痛快冒険活劇モノです。
監督は二人とも良く知らなかったので調べてみたら、あら、アンドレ・ド・トスって、ヴィンセント・プライス主演のリメイク版『肉の蝋人形』(1953)を撮った人だったのね。(因みにこの『肉の蝋人形』、今年また『蝋人形の館』としてリメイクされましたね。パリス・ヒルトンが出演してるとか、変な方で話題になってたけど)フィルモグラフィーを見る限りでは、西部劇とか冒険モノとか史劇とか戦争モノとか、アクション系の痛快娯楽作を撮った職人監督さんなのかな。プリモ・ツェリオの方も、海賊映画や史劇などの娯楽作を撮った人らしいけど、残念ながら未見のものばかり。
で、本作ですが、とにかく話がテンポ良くパカパカ進むので、肩の凝らない娯楽作として充分以上に楽しい。戦闘シーンなんかけっこう迫力あるし、セットやモブも貧乏くさくないし、美術や衣装も難点なし。まあ、意外性とか飛び抜けた個性とかはないけど、予定調和的な楽しさはバッチリです。
意外だったのは、画面構成のスケール感。実は前に見たときは、もっとこぢんまりしたTV映画っぽい画面づくりだったような記憶があったんですが、どうやらそれは、その時のビデオが4:3の画面用に左右がトリミングされていたせいらしい。今回のDVDはノートリミングのシネスコ版なんですが、これで見ると拡がりも奥行きもたっぷりある、実に堂々たる画面構成です。海岸のシーンなんかで、近景で人がゴチャゴチャ動いていて、遠景の青い海には帆船が浮かんでる……ってな構図は、やっぱワクワクさせられますな。パナマの街なんかも、安手の映画にありがちな「狭さ」を感じさせない。そんなこんなで、全体的にかなりいい感じ。
で、気になって調べてみたら、うわ、撮影のトニーノ・デリ・コリって、ピエル・パオロ・パゾリーニの諸作(『アッカトーネ』『奇跡の丘』『豚小屋』『デカメロン』『カンタベリー物語』『ソドムの市』などなど)や、フェデリコ・フェリーニの『ジンジャーとフレッド』『インテルビスタ』、セルジオ・レオーネの『ウエスタン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』、ジャン=ジャック・アノーの『薔薇の名前』、最近ではロマン・ポランスキーの『赤い航路』とかロベルト・ベニーニの『ライフ・イズ・ビューティフル』なんかを手掛けている、いわゆる巨匠ってお方じゃないですか! ひゃ〜、ちっとも知らんかった(笑)。
因みに音楽のフランコ・マンニーノという人も、調べてみたらルキノ・ヴィスコンティの『ルードウィヒ/神々の黄昏』『家族の肖像』『イノセント』なんてのがヒットしてビックリ(笑)。
主演のスティーヴ・リーヴスは、ヒゲ好きの私としては、ヒゲをたくわえてるシーンは全体の3分の1以下ってのは寂しいし(ヒゲなしのリーヴスって、ハンサムではあるけれど、いまいち個性やオーラには欠ける気が)、ヘラクレスものみたいな終始半裸or諸肌脱ぎってこともないんで、そこいらは残念ではありますが(笑)、それでもいおう奴隷のシーンとか決闘シーンとかで「脱ぎ場」は用意されてます。
で、この決闘シーン、シャツを脱いだリーヴスの身体にびびって、相手は脱ぎかけたシャツをまた着ちゃうのだ(笑)。あと、最初はちゃんとサーベルで闘っているのに、それが折れちゃって、結局はいつもの半裸レスリングになったり(笑)。
ヒロインのヴァレリー・ラグランジェは、まあ美しくはありますが、いまいち印象が薄い。さほど清楚というわけでもなく、かといってセクシーなわけでもなく、何となく中途半端なんですな。インパクト的には、恋敵のチェロ・アロンゾの方が上。でも、この人っていつも「エキゾチックでちょっと鉄火肌のオネエチャン」役だよなぁ(笑)。んでもって、必ずダンス・シーンがあるの(笑)。今回もしっかり、夜の海辺で焚き火に照らされながら、エキゾなカリビアン・ダンスを踊ります。
イタリア盤なので、当然PAL。で、ちょっと良く判らないのが、ジャケには4:3フォーマットと記載されていて、たしかにS-VHS接続で見ると、4:3スクイーズなしのレターボックスなんですが、コンポーネント接続のプログレッシヴ再生で見ると、なぜか16:9スクイーズのレターボックスになる。こんな現象の出るディスク、初めてだ(笑)。
画質は極めて良好。多少の退色はあるけれど、まあこの程度だったら、メジャーどころのクラシック作品と比較しても遜色がないと言えそう。試しにキャプチャ画像をアップしてみました。こちら。参考までに、米版VHSとも比較。このVHSも、このテのソフトとしては、画質はかなり上等の部類ではあるんですが、やはりディテールの再現性や発色といった点では、今回のDVDの方が段違いに上。あと、こうして比較してみると、トリミングによる構図の狂いというのが、かなり大きく影響を及ぼすというのがお判りいただけるかと。
音声は伊語のみ、伊語字幕付き。特典は当時のスチル写真を集めたフォト・ギャラリー。あと、なんだかテキストによる解説らしきものが幾つかありましたが、なんせ伊語だから何のことやら(笑)。
では、恒例の責め場紹介。
まず冒頭、奴隷市場にて、鎖をブンまわして暴れる上半身裸のリーヴスを、数人がかりでおさえこみ、そのまま裸の胸と腹を何発か鞭打ち。あとは、罪人として木の檻に入れられて馬車で運ばれたり、暗い船倉に半裸で鎖に繋がれたり……なんてシーンもあります。リーヴス以外では、太った半裸のヒゲオヤジが馬裂きの刑にされるシーンもあり。
まあ、どれも比較的アッサリしているんで、ちょい食い足りないかな(笑)。
ソード&サンダル映画ドイツ盤DVDボックス(3)
以前、こことここで紹介した、ドイツe-m-s社のクラシック・ソード&サンダル映画DVDボックス”Cinema Colossal”、シリーズ最後の”5 – Mars”が発売されました。む〜ん、これで終わりなのね。毎回届くのが楽しみだったから、ちょっと悲しい。
まだ未見だし、見たことのある作品もないので、とりあえず覚え書き程度のご紹介。
“Cinema Colossal 5 – Mars”
1)コーネル・ワイルド主演『コンスタンチン大帝』”Konstantin Der Grosse” (1960)
伊題”Constantino Il Grande”、英題”Constantin The Great” aka “Constantin And The Cross”
共演はクリスチーネ・カウフマン、ベリンダ・リー。マッシモ・セラートも出てますが、まあどう見てもマッスル・ムービーじゃなくて、普通の史劇だろうな、コレ。マッシモ・セラートといえば、前に「ニコラス・ローグの『赤い影』に出てたなんて、ちっとも覚えてない(笑)」と書きましたが、先日『赤い影』がDVD化されたんで買って見たら、まあ随分老けてはいたけど、すぐ判りました。ソード&サンダル映画ばっか見て、ようやく顔を覚えられたってわけですな(笑)。
2)ジーン・クレイン主演 “Nofretete, Konigin Vom Nil” (1961)
伊題”Nefertiti, Regina Del Nilo”、英題”Nefertiti, Queen Of The Nile”
ジーン・クレインって、オスカー&ハマースタインのミュージカル『ステート・フェア』の主演女優さんですね。それが主演の古代エジプトものって……ちょっと見るのが楽しみ。でもまあ、これもどう見てもマッスル・ムービーではないけど(笑)。共演者にはヴィンセント・プライスの名前も。
リチャード・ハリソン主演『勇者ヘラクレスの挑戦』”Der Letzte Der Gladiatoren” (1964)
伊題”L’Ultimo Gladiatore”、英題”Messalina Against the Son of Hercules”
今回マッスル・ムービーはこの一本だけかな。でも、リチャード・ハリソンなんでバルクは期待できないけど(笑)。い〜んだ、顔は好きだから(笑)。これは確か、Movies Unlimitedのカタログで米盤DVDを見た記憶が。でも、他で見たことがないところをみると、おそらくDVD-Rだろうなぁ。
とまあ、今回はマッスル・ムービー的な見どころはあんまりなさそうですが、オマケのポストカードの方は、ブラッド・ハリスの『ヘラクレスの怒り』(多分)はDVDのジャケとは違う絵柄だし、ボックスには収録されていない”Herkules Im Netz Der Cleopatra”なる映画の絵柄がちょっとイカしてました。
さて、マッスル・ムービーついでに、ちょいと最近の話題を。
少し前に、ホールマーク・エンタテイメント社が、新作テレビ映画のヘラクレスものを制作するという話を聞き(そもそもは『ロード・オブ・ザ・リング』絡みで、ショーン・アスティンが出るとかいうニュースで知ったんですけどね)、以来ちょくちょく情報をチェックしてたんですが、先日www.hallmarkent.comを覗いたら、予告編動画やスチル・ギャラリーがアップされてました。
で、さっそく見たんですが、肝心要のヘラクレス役者は……う〜ん、身体はいいんだが、顔はちっとも好みじゃなかった(笑)。ヒゲもないし(笑)。コスチュームもね、何だかヘラクレスっつーかロビンフッドみたいで、チュニックや腰布が大好物(笑)の私としては、ちょい残念。身体はムキムキなんだけどな〜。
でもまあ、ホールマーク製ならそうそう大ハズレってことはないだろうし(ここのテレビ映画は、スケール感やSFXのクオリティとか、テレビ映画にしちゃ大したものだと感心させられるし、内容的にも、極端に良かったり個性やクセがあったりはしないけど、そのかわりいつも手堅くしっかり見せてくれるので、けっこう好きです)、キャストには個人的にごひいきのタイラー・メイン(『X-メン』のセイバートゥース役とか『トロイ』のアイアース役のプロレスラー俳優さん)が入ってるし、まだまだ楽しみ。
日活さんあたりが、ちゃんとノーカット版のDVDを出してくれることを願います。
『キングダム・オブ・ヘブン』追補
前回「あと、最初の方に出てきたゲルマン人風の大男、良さそうじゃんと思ってツバつけといたら、あっという間に死んじまうし、港でバリアンを案内する男も、いいカンジと思ってたら、それっきりもう出てこないし……ううう(泣)」と書いた男優さん、どっかで見たことあるような……と、ずっと思ってたんですけど、ようやく判明。
最初のゲルマン人は、ヴェルナー・ヘルツォークの『神に選ばれし無敵の男』で、主役の怪力男を演じていた、ヨウコ・アホラですな。NHKの深夜とかにたまにやっている「ストロンゲスト・マン・コンテスト」のチャンピョンだった人で、確か役者としては素人だったはず。
で、もう一方の港の男は、たぶんTVムービー『レジェンド・オブ・サンダー』の前編で、スコットランド女王メアリーと恋に落ちるボスウェル役を演ってた、ケヴィン・マクキッド。(あたしゃ見てないんですが『トレインスポッティング』とかにも出てるんですな、この方)
いやぁ、どっちも見ながら「なかなかいいなぁ」と惚れ惚れした人たちだから、あはは、嬉しくも儚い再会だったってわけだ(笑)。
とゆーわけで、私同様にこの二人が気になった方(いるのか、そんな人)は、前述の二作をご覧あれ。どっちもメイン・キャストだし、役柄もオイシイし……あと、ヌードもあるし(笑)。
因みに『神に選ばれし無敵の男』は、個人的には問答無用の傑作。ナチスのホロコースト絡みの重いテーマながら、詩情と神秘性があり、悲劇ではありながら陰鬱ではなく、物語的には娯楽性もある。
唯一の欠点は、音楽がヘルツォーク組のフローリアン・フリッケではないことだけど、まあ故人だからいたしかたなし。
もう一つの『レジェンド・オブ・サンダー』は、英国史もので、いささかこぢんまりとしつつも、目立った欠点も破綻もない、肩の凝らない娯楽作。
ただ、前編のメアリー女王とボスウェルを軸にした、エピック&ロマンチックな雰囲気と、後編のジェームズ1世になってからの、野心陰謀欲望コンプレックス渦巻き、感情移入できるキャラクターなんて一人もいやしないっつー、ひたすらドロドロ世界のギャップがスゴイんだよね(笑)。ケヴィン・マクキッドが出るのは、前編だけ。
あ、でも後編も、フツーにお話しとしても面白いし、ガイ・フォークス役のマイケル・ファスビンダーという役者が、なかなかいい男だったし(しかも拷問シーンもあるし)、あと、男色家のジェームズ1世(『フル・モンティ』とかのロバート・カーライル)が、家臣にホモセクハラしたりする(露骨な描写はないですけどね、確かノンケの臣下の頼みを聞くことと引き替えに、フェラを強要するんだったかな?)シーンなんつーのもあるし、レンタルで見る分には損はないと思いますよ。
以上、どーでもいいよーな追補でした(笑)。
ソード&サンダル映画ドイツ盤DVDボックス(2)
以前ここで紹介した、ドイツe-m-s社のクラシック・ソード&サンダル映画DVDボックス、”Cinema Colossal”シリーズの”4 – Eros”が届いたので、一つ前の”3 – Saga”とまとめて、とりあえず一緒にご紹介。既に見たことがあるものに関してのみ、簡単な備考を併記しました。
なお、ボックス一つに三作品(DVD三枚)収録というパターンは同じですが、3からそれと一緒に、「コレクターズ・カード」と銘打った葉書サイズのカードが、それぞれ6枚ずつ封入されています。
“Cinema Colossal 3 – Saga”
1)カーク・ダグラス主演『ユリシーズ』”Die Fahrten Des Odesseus”(1954)
伊語原題”Ulisse”、英題”Ullyses”。
ディノ・デ・ラウレンティスとカルロ・ポンティという大物二人が、共同プロデュースでホメロスの『オデュッセイア』を映画化した大作。
共演はシルヴァーナ・マンガーノ、ロッサナ・ポデスタ、アンソニー・クインなど。
まあ、マッスル・ムービー的な見所はあまりなく、カーク・ダグラスの半裸と、レスリング・シーンくらいでしょうか。あと、サイレンのエピソードの際のボンデージ(笑)姿。
でも、真っ当な意味での見所は、なかなか盛り沢山。宮殿や船のスケール感とか、ちょっと独特で美しい衣装とか、シルヴァーナ・マンガーノの美しさ(ペネロペとキルケーの一人二役というのが面白い)とロッサナ・ポデスタの可愛さ(ナウシカ役です)とか、一つ目巨人サイクロプスの特撮映画的な楽しさとか、キルケーのエピソードの夢幻的な雰囲気とか。ただ、スペクタクル的な見せ場や盛り上がりという点には、いささか欠ける感もあり。
DVDは米盤や伊盤もあり。米盤の画質もそれほど悪くはないんですが、伊盤やこの独盤と比べると、やはり見劣りすることは否めませんな。
2)ロジャー・ムーア主演『サビーヌの掠奪』”Der Raub Der Sabinerinnen”(1961)
伊語原題”Il Ratto Delle Sabine”、英題”Romulus And The Sabines”。
後のジェームズ・ボンド役者主演による史劇。共演はミレーヌ・ドモンジョ。
3)カーク・モリス主演”Kampf Um Atlantis”(1965)
伊語原題”Il Conquistatore Di Atlantide”、英題”Conqueror Of Atlantis”。
ソード&サンダル+Sci-Fiもの。裏ジャケに載っている、怪しげなメカやらチューブやら、青い全身タイツ姿の怪人軍団なんかを見るだけで、B級好きなら血が騒ぐはず(笑)。
米盤DVDは、Something Wired社から発売されているマーク・フォレスト主演”Goliath and the Dragon”(豪勇ゴライアス)に、オマケとして収録されています。(Bayside Entertainment Distribution社から出ている廉価盤ではないので要注意)
“Cinema Colossal 4 – Eros”
1)ロリー・カルホーン主演『ロード島の要塞』”Der Koloss Von Rhodos”(1960)
伊語原題”Il Colossi Di Rodi”、英題”The Colossus Of Rhodes”。
非マッスル・ムービー。何故か邦題は「要塞」となっていますが、要するに世界七不思議の一つ「ロードス島の巨像」が見せ場のスペクタクル史劇。
監督はセルジオ・レオーネ。共演はジョルジュ・マルシャル。マッスル系の脇役でちょくちょくお見かけするミンモ・パルマーラも出演してます。
メイン・キャストにあまり魅力がないのが難点ではあるんですが、セットのスケール感はあるし、巨像が実は巨大な秘密兵器で、手に持った器から火を落として航行する船を焼き尽くしたり、頭がパックリ割れて炎を射出したりといったアイデアもあるし、クライマックスは大地震と嵐で、巨像は倒壊し町も破壊されるという一大スペクタクルだし、見せ場はタップリあります。
また、責め場系もなかなか充実。
まず、半裸のマッチョが何人も縛られたり吊されたりしているダンジョン。ここでジョルジュ・マルシャルは、鞭痕も鮮やかな半裸で、柱で後ろ手に縛られている。で、その上から巨大な釣り鐘のようなものをかぶせられ、それを棍棒でガンガン打ち鳴らす「音責め」を受けるんですが、責めが終わって釣り鐘が持ち上げられると、マルシャルは失神しており、更には鼓膜が破れたのか耳の穴から鮮血が……なんていう嬉しい(笑)ディテールが。
マルシャル君の受難はこれだけではなく、後にも再度捕らえられ、仲間と一緒に大観衆の待つ闘技場に引き出される。で、両手首を縄で縛られ、そのままチャリオットで引きずり回し。チャリオットの車輪には回転する刃が付いており、二人の囚人を引きずったまま、鎖に繋がれた囚人たちの列の間を走り抜ける。反対側には炎が焚かれているので、囚人たちはよけることができず、必死にジャンプして迫り来る刃を跳び越える。その間にも、傍らではミンモ・パルマーラが横柱から両手吊りにされていて、その下にはライオンが待ち構える縦穴が。それを兵士達が弓矢で狙い、縄を切って囚人を穴に落とそうとする……ってな具合の盛り沢山さ。
DVDは仏盤もあり。この独盤も、ノートリミングのスクィーズ収録ですし、多少の退色や傷は目立つにせよ、まあ良好と言って良い画質なんですが、仏盤の画質はそれを凌ぐ美麗さで、メジャーそこのけのハイ・クオリティ。伊語音声も収録されているので、どれか一枚なら仏盤をオススメ。
2)ブラッド・ハリス主演”Der Kampf Der Makkabaer”(1962)
伊語原題”Il Vecchio Testamento”。
まだ未見ですが、シリアの圧政に立ち向かう、イスラエルのユダヤ人……といった話みたい。
3)ダン・ヴァディス主演”Die Siegreichen Zehn”(1964)
伊語原題”Il Trionfo Dei Dieci Gladiatori”、英題”Triumph Of The Ten Gladiators”。
てっきり”Spartacus And The Ten Gladiators (Gli Invincibili Dieci Gladiatori)”の独盤かと思っていたところ、再生してみたら別の映画でした。まだちゃんと見てはいないんですが、こっちの方がユーモア描写も多い軽い娯楽作っぽいのかな。
どーでもいいけど、ダン・ヴァディスって、顔はともかく(笑)身体は好き。
……とまあ、ボックスの紹介は以上なんですが、実は他にも、ここんところこのテのDVDのリリースが続いておりまして。
米盤だとレグ・パークの”Hercules The Avenger”とアラン・スティールの”Hercules And The Black Pirates”の2in1や、スティーヴ・リーヴスの『マラソンの戦い』と”The Avenger”の2in1、ジョルジュ・マルシャルの”Ulysses Against the Son of Hercules”、独盤もスティーヴ・リーヴスの『大城砦』、ダン・ヴァディスの”Spartacus & Die Zehn Gladiatoren”(こっちが前述の”Spartacus And The Ten Gladiators”の独盤でした)、リチャード・ハリソンの”Titan Der Gladiatoren”なんてのが出てるんですが、なかなかちゃんと見る暇がないのが困りモン(笑)。
『クオ・ヴァディス』追補
『クオ・ヴァディス』(TV版)
『クオ・ヴァディス』(2001)イェジー・カヴァレロヴィチ “Quo Vadis?” (2001) Jerzy Kawalerowicz |
キリストの磔刑から30年ほど後のローマを舞台に、青年軍人マルクス、マルクスが恋をしたクリスチャンの少女リギア、リギアの従者で怪力のウルスス、暴君ネロ、マルクスの叔父でネロの寵臣でもある好事家ペトロニウス(『サテリコン』の著者ですな)、地下活動で布教を続けている使徒ペテロ……といった多彩な登場人物が織りなす、「人は人としていかに生きるべきか」を描く、壮大な大河ドラマ。
原作は、ノーベル文学賞を受賞したシェンキェーヴィチの同名著作。それをシェンキェーヴィチの母国ポーランドと、アメリカが合作でTVムービー化。(ただ、残念ながら私は浅学にして原作は未読ですし、また、マーヴィン・ルロイ監督、ロバート・テイラー、デボラ・カー、ピーター・ユスティノフ出演の1951年度版の映画も未見なので、それらとの比較等はできません)
監督は『尼僧ヨアンナ』の……って、これまたタイトルを知るのみで見たことはないんだけど(笑)、イェジー・カヴァレロヴィチ。
とにかく、キャラクターが良く立っている。多彩な登場人物は、いずれも魅力的。加えて物語がめっぽう面白いので、先が気になって目が離せない。さらにDVDにして3枚組、トータルで4時間半以上という長尺。連続ドラマを見る気分で(実際、内容は6話に別れている)、三日ほどかけて見れば、もう、じっくりタップリ楽しめること請け合い。
絵的には、正直TVムービー的な限界を感じさせる部分も幾つかあり。頑張ってはいるものの、それでもやはりスケール感の乏しさは否めない。特に、ローマの炎上のようなスペクタクル・シーンでは、そういった弱点が露呈してしまった感じ。
反面、コロッセオにおけるキリスト教徒たちの一大殉教シーンは、流石に物語全体のクライマックスらしく、かなり力を入れており、スケール感もスペクタクル性もあり。人々が次々にライオンに喰い殺されていくあたりの、心理的な圧迫感がある描写や、磔刑に処された人々が色鮮やかな花綱で飾られているような、ちょっと不思議な悲愴美とか、見応えもタップリ。
最近制作された史劇の中では、アクション・シーンの比重は少なく、また、カメラもあまりアクロバティックには動かないせいか、全体的には落ち着いた品の良さがあります。ただ、発色が鮮やか過ぎるのは、好みが分かれるところかも。個人的には、色彩設計はもう少し落ち着きのあるものにして欲しかったかな。ちょっと内容に対して、絵が軽い印象。
しかしまあ、「物語を楽しむ」という面に関しては、TVシリーズという長所を生かしきっており、いわゆる劇場向け長編映画を見たときとは、また別の意味での満足感があります。歴史や史劇好きの人なら、見て損はないですよ。
役者陣も、いずれもなかなかの好演。
主人公マルクス役のパヴェウ・デロングは、割と今風のハンサムさんなれど、コスチュームや立ち居振る舞いもしっかり板に付いていて違和感なし。尊大で傍若無人な若者が、他者の影響で次第に人格的に成長していく様を、上手く演じているように感じました。
リギア役のマグダレナ・ミェルツァシュは、やはりモダンな顔をした美人さん。華奢なせいもあり、清楚で純真にも見えるんですが、ただちょっと口元がユルくて淫らっぽい(笑)ので、どこか「こいつ本当はスキもんなんとちゃうか?」なんてことも感じちゃうカットも(笑)。
ネロ役のミハウ・バヨルは、悪くはないが、迫力という点ではもうひとつ。暴君のオーラやカリスマ性に乏しいので、何となく小粒感が漂う。ローマの大火を見ながら自作の歌を吟じるあたりは、滑稽さと同時に鬼気迫る狂気なんてのを期待したのだが……。
ペトロニウス役のボグスワフ・リンダは、これはお見事。単純に善とも悪とも言い切れない、ある意味で最も現代人的な感性を持つキャラクターを、魅力的かつ説得力をもって見せてくれます。物語のオブザーバー的な存在でもあるので、この役者が決まっていることが、全体の出来にかなり影響して好結果になった印象。
キロン役のイェジー・トレラもなかなかで、その卑怯な小悪党ぶりは見ていてムカツクんだけど(笑)、人物造形としては魅力的なキャラになってます。
ペトロニウスに恋する女奴隷エウニケ役の女優さんも、少ない出番ながらも、感情を奥に秘めた微笑みがステキ。個人的には、リギアよりもこっちの方が好きかも。
しかし、私的な収穫は、何といっても巨人ウルスス役のラファウ・クバッキ! いや〜、何てカワイイんでしょ!! マッチョな巨躯、むさいヒゲモジャ、強面なんだけど目は可愛くて、笑うと人が良さげな顔に……うむむむ、ツボのド真ン中でございます。もー、「おばさん、アンタを見てるだけで、ゴハン三杯いけちゃうわよ!」ってカンジ(笑)。あんまりカワイイんでググってみたら、この方、柔道の世界チャンピョンだったのね。小川直也のライバルだったそうな。どーりで、演技は大ダイコンだったわけだ(笑)。まあ「寡黙な力持ち」役なんで、ダイコンでもあんまり支障はないけど(笑)。熊系好きなら必見。(だいいち、確かウルススって、ラテン語の熊じゃなかったけか?)
責め場に関しては、まあコロッセオの一大シーンがありますが、「責め」じゃなくて「大虐殺」だからなぁ。あんまり下心が入り込む余地はありません。
それでも列挙だけしますと、前述のライオンの餌や集団磔以外にも、生きながら松明として燃やされたりするシーンがあります。あと、我が愛しのウルスス君が、裸の美女を救わんがために、巨牛と素手で一騎打ち、なーんて場面も。
あ、そうだ、もう一人マッチョな剣闘士も出てきたな。さほど見せ場はないけれど、ウルスス君と格闘したりします。
もう一つ。これは本当にどーでもいいことなんですが、思いのほか大胆なヌード・シーンもあり、「うーむ、ポーランドのTVでは、唇で乳首を挟む描写があってもオッケーなのか」と、変なトコロで感心してしまいました(笑)。
『ジーザス』
ジーザス(1999)ケヴィン・コナー “Mary, Mother of Jesus” (1999) Kevin Connor |
物語は、イエスの誕生以前から復活に至るまでを、マリアの視点をメインに、一時間半足らずという、ものすごいスピードで展開。
見所は、特になし(おい)。まあ、洗礼者ヨハネとマグダラのマリアと盗賊バラバを同一シーンに登場させて処理するとか、山上の説教もなしにエルサレム入城してから磔刑までがビックリするほど猛スピードとか、アレンジや省略具合を楽しむといった意味なら、それなりの見所がないわけじゃないけど。
しかしまあ、そもそもTVムービーだし、お手軽な絵解きやちょっと豪華な再現ドラマだと思えば、それなりに楽しめないわけでもない。固いこと抜きにすれば、ね。
役者は、イエスがクリスチャン・ベイル。老いてからのマリアがシミ・スカイウォーカー……じゃなくて、ペルニラ・アウグスト。洗礼者ヨハネの母エリザベト役がトーニャ……じゃなくて、ジェラルディン・チャップリン。かつて『クリスタル殺人事件』『愛と哀しみのボレロ』『モダーンズ』あたりで親しんでいたお顔なので、元気でご活躍なだけで何だか嬉しい。
監督はケヴィン・コナー。……って、どっかで聞いたことあると思ったら、よく考えたらローティーンの頃に見た『恐竜の島』(大好きなE・R・バローズの「キャスパック」シリーズの映画化と聞いて、ヨロコビ勇んで見に行って……ガックシ)、『地底王国』(これまたバローズの、しかも自分が一番好きな「ペルシダー」シリーズの映画化と聞いて……以下同文)の監督じゃんか! うっわ〜、なっつかし〜(笑)! 『アトランティス 七つの海底都市』とか『地獄のモーテル』とか『豪華客船ゴライアス号の奇跡』とかも、この監督だったよな〜。そうと判ると、この『ジーザス』も何となく愛おしくなってくる(笑)。
で、私がコレを借りたのは、ずばりクリスチャン・ベイルがお目当てでゴザイマス。いや、『サラマンダー』と『リベリオン』で、思いのほか逞しいスジ筋ボディに惚れちゃいましてね(笑)、イエス役なら絶対責め場もあるだろうと、もう下心丸出しで(笑)。
というわけで、以下は「不謹慎」な感想になりますんで、お嫌な方は読まれないように。
一番楽しみにしていたのは「笞打ち」なんだけど、これはなくってガッカリ。え〜い、省略すんな!
でも十字架の道行きは、なかなかグッドです。まず、珍しく上半身裸というスタイルなんですな。おかげで背中の笞跡も鮮やか。お次にこれまた珍しく、十字架を担ぐのではなく、外した横木に両腕を縛られたスタイル。こーゆー姿での引き回しってのは、けっこうマイ・フェイバリットの一つ。とどめは、首に縄を掛けられて、それ持って犬みたいに引きずり回し。いやぁ、こりゃあかな〜りオイシイ。ここだけでも借りた甲斐があった(笑)。この部分の尺が短いのは残念で、この調子で『パッション』みたいに延々とやってくれたら、もうヌレヌレだったのに(どこが?)。
磔シーンは、特筆するほどのものはないけれど、とりあえず「髭面のクリスチャン・ベイルが腰布一丁で磔にされる」ってだけで、私的には既に目的達成(笑)。流血が控えめなので、無惨味よりは単なるボンデージっぽいですが。
とゆーわけで、半裸のクリスチャン・ベイルの責め場を見る分には、それなりにお楽しみドコロが。
こーゆー重厚感や悲壮感のカケラもない、お手軽でスピーディな展開ってのも、罪悪感なく下心に浸りやすいって意味では、あんがい悪くないのかも(笑)。