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“The Savage Art of Bob Larkin (Volume One)”

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 最近買った画集、その1。
 アメコミのカバー画などを描いてきたアーティスト、ボブ・ラーキンの画集。米ウィキペディアによると、どうやら主にマーヴェルで仕事をしていた方のようですね。
 表紙はご覧のようなセクシーねーちゃんですが、中身は下にあるサンプルでお判りのように、半裸のマッチョや暑苦しい野郎どもばっかです。
 前にここここで書いた、コナンのアメコミ”The Savage Sword of Conan”のカバー・イラストレーションや、ドク・サヴェイジ、パニッシャー、ハルク、スター・トレック、スター・ウォーズから、聖書ネタ、西部劇ネタ、ヴェトナム戦争ネタまで幅広く収録。
 この出版社、女性のセクシー・ピンナップ画集ばっか出してるトコなので、表紙だけで中身を確かめずに買ったアメリカのスケベ野郎どもが、ページを開いて激怒しないか、他人事ながら心配になってしまう、そのくらい男絵ばっかだった(笑)。

 画風としては、コテコテのアメリカン・リアリズム、パルプ風味。
 特に目立った個性はないタイプの絵ですが、とにかくリアリズム的に達者なので、それ系が好きな人だったら、文句なく楽しめるはず。作品ごとに出来不出来もなく、職人芸的なイラストレーションを堪能できます。
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 強いて言うなら、いかんせん画風がクラシカルなリアリズムなので、原色使いの奇抜なコスチュームのアメコミ・ヒーロー系は、ちょっと収まりが悪い感じがする程度。あと、パルプ系の色彩感覚(乱暴に説明すると、ちょっとケバくてドギつい感じ)が、私はそーゆーのも大好きなんだけど、苦手な方もおられるかも。

 画集としては簡素な造りで、サイズはA4強の大判ですが、ソフトカバーで、ページ数も64ページと少なめ。
 テキストも、序文(ジョー・ジャスコ)と後書き(アレックス・ロス)のみで、バイオグラフィーすらないのには、ちとビックリ。
 反面、絵は誌面をフルに使って、ページ1〜4点の割合でふんだんに入っているので、薄さのわりには、満足感はけっこうあります
 高級感はないけれど、画集としては、決して悪くないという感じ。
“The Savage Art of Bob Larkin, Volume One”(amazon.co.jp)
 いちおう日本のアマゾンでも扱っていますが、現状マーケット・プレイスのみ。約20ドルの本なのに、5000円以上ふっかけている業者もあるので、要注意。
 アメリカのアマゾンだと、在庫アリなんだけどなぁ……。

 この画集の序文を書いている、同傾向のイラストレーター、ジョー・ジャスコの画集も、最近購入したので、近日中に紹介記事をアップ予定。
 お楽しみに(笑)。

最近DVDで見たTV映画あれこれ

 備忘録を兼ねて、最近見たB級作品のDVDの中で、色々と難はあれども、でも決して嫌いじゃないな〜、ってなヤツを幾つか。

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『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』(2007)ニック・ライオン
"Grendel" (2007) Nick Lyon

 見終わって相棒が一言。
「ホモを騙してやろうと思って、こんなジャケにしたんだね」
 とゆーわけで、こんなステキな肉体美は、映画の中では全く拝めません。主人公は確かにこの顔ですけど、衣装は最初から最後までフル装備、ヌードのヌの字も出てきませんでした(笑)。
 まあ、それは横に置いて、内容は叙事詩『ベーオウルフ』のグレンデル退治モノ。ジャケからはB級の臭いがプンプン漂ってきますが、確かにCGはショボショボで、スケール感も皆無。
 でも、ストーリのポイントが、シンプルな英雄譚に絞られているので、肩の凝らないヒロイック・ファンタジーとしては、そこそこ楽しめます。逆に、今どきこーゆーストレートな英雄譚を作ろうとするあたりが、却って新鮮だった。セリフまわしが、いかにもエピック風なそれだったりするのも楽しいし。
 前述のシャツすら脱がないベオウルフも、お顔はレイフ・ファインズから知性を抜いてジェイソン・ステイサムを振りかけた……みたいな、何とも地味で華のないタイプなんですが、それなりに無骨な魅力はあって、なかなか良きかな。フロースガール王は、ベン・クロス。あたしゃ別に、ファンでも何でもありませんが、何故かこのブログに出てくる頻度高し(笑)。
『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』(amazon.co.jp)

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『ゴーストハンター』(2007)マット・コッド
"Lost Colony" (2007) Matt Codd

 宣伝文句はアクション・スペクタクルみたいだけど、実際は地味系の怪異譚モノ。
 十六世紀、イギリスから新大陸アメリカに渡り、ロアノーク島に植民した開拓団177名が、忽然と姿を消してしまった……という、有名な実話(だそうです)を元にした内容。
 ネタの美味しさのわりには調理が下手で、見ながら「そこはもっとこうしろよ〜!」と言いたくなる部分が頻出だったんですが、時代物っぽい雰囲気は、低予算ながらそこそこ出ている感じ。もうちょいマトモな脚本と監督だったら、けっこう佳品になりそうなのに、勿体ないなぁ。
 まあ、こういう奇譚の類ってのは、真相が判らないから魅力的だったりゾクゾクするわけで、種明かしみたいなことをされても、却って魔法が解けて魅力半減、みたいになっちゃうので、いたしかたない部分はあるかも。正直、真相の解釈部分はイマイチだったけど、怪異譚の無情さに微かな救いをプラスした、ストーリーの方向性自体は好みです。
 主人公は、ちょいコリン・ファレル系のヘナチョコ顔で、けっこうタイプ(笑)。コスチュームもヒゲも、よく似合っています。ヒロインは、ヒラリー・スワンク似のブス(失礼)。
 いちおうホラーなので(ちっとも怖くないけど)、残酷系では、生きながらバケモノに手足をもぎ取られたりするシーンはあり。あと、全て着衣ではあるものの、主人公のボンデージと、悪役三人の首枷晒し刑のシーンもあり。
『ゴーストハンター』(amazon.co.jp)

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『ファイティング・アルティメイタム』(2005)ジェシー・ジョンソン
"Pit Fighter" (2005) Jesse V. Johnson

 これはTV映画じゃなくて、DVDスルーの劇場映画みたい。舞台はメキシコ。地下格闘場で闘犬のように闘っている、記憶喪失のアメリカ人ファイターの話です。
 主人公の正体と、フラッシュパックする記憶という謎を軸に、格闘場を主催しているマフィアとのいざこざ、主人公とコーチの間のバディ・ムービー的な関係などを絡め、更に、人種や経済的格差という要素や、宗教的なモチーフなども合わさって、けっこう重層的な面白さがあります。ただ、ラストに向けて、ちょっとさばききれていないのが残念。
 ファイト・シーンも、かなりの迫力。特に斬新という感じではないものの、アクションやバイオレンスの見せ方には、監督のこだわりが感じられる。ただ、これまたラストの銃撃戦がイマイチだったのが残念。
 あと、この監督(脚本も兼任)、ひょっとしたらマカロニ・ウェスタン好きなんじゃないだろうか。話に無理が生じている部分も、これがもしメキシコ革命時代を背景にしていたら、もっとしっくりくる感じだし、前述したバディものっぽい感じとか、破滅の美学を感じさせるエンディングとか、どうもマカロニ・ウェスタンっぽい香り(あんまり詳しくないですけど)があるような。
 主人公役のドミニク・ヴァンデンバーグというお方は、IMDbに”Free Style ‘Full Combat’ champion”とあるので、どうやら総合格闘技系の人らしいんですが、いかにもそんな身体つきの立派な筋肉。脱ぎっぷりも良く、ファイト・シーンを含め上半身裸のシーン多し。顔は、ちょいテレンス・スタンプっぽくて、さほど好みじゃないんですが、マッチョ+ヒゲ+スキンヘッド+タトゥーという合わせ技と、役柄が好みのキャラだったので、好感度がぐぐっとアップ。他の役者も、ヒゲ、強面、マッチョ、刺青……のオンパレードなので、これまたポイント・アップ(笑)。
 そんなこんなで、半裸のマッチョの血まみれ格闘好きなら、けっこう楽しめると思いますよ。
『ファイティング・アルティメイタム』(amazon.co.jp)

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『ドラゴン・スレイヤー 炎の竜と氷の竜』(2008)ピトフ
"Fire & Ice" (2008) Pitof

 同じ監督の『ヴィドック』が好きなので(あと『キャットウーマン』も、実はけっこう好き)ちょっと期待してたんですが、う〜ん、残念ながら「そこそこ」止まり。
 ストーリーは、ありがちな中世風ファンタジーです。炎の竜に襲われる王国を救うため、お転婆なお姫様が伝説の竜退治の勇者を探し、その息子と出会い……ってな内容。
「竜には竜を!」ってことで、炎の竜に対して氷の竜を目覚めさせ、二匹の竜を闘わせる……ってのが、まあオリジナル要素ではあるんですが、それと並行して語られる、王国を狙っている隣国との確執のエピソードが、オリジナリティもなければ面白いわけでもなく、しかも竜のエピソードと乖離しちゃっているのが痛い。
 ただ、SFXは前述の『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』なんかと比べると、ずっとちゃんとしているし、スケール感、セット、衣装なども、一定レベルはクリアしているので、全体の雰囲気は決して悪くない。
 そんな感じで、ウェルメイドなファンタジー映画としては、まあそこそこ楽しめる感じ。怪獣映画っぽい楽しさもあるし。
 ヒーロー役のトム・ウィズダムは、『300』でスパルタの青年兵士を演じていた人らしいですが、そう言われなきゃ判りませんでした(笑)。他には、ジョン・リス=デイヴィスやアーノルド・ヴォスルーなんかも出てます。
『ドラゴン・スレイヤー 炎の竜と氷の竜』(amazon.co.jp)

『アポカリプス 黙示録』

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『アポカリプス 黙示録』(2002)ラファエル・メルテス
“San Giovanni – L’apocalisse” (2002) Raffaele Mertes

 DVDのジャケはパニック映画みたいなノリになってますが、実際は地味でマジメな聖書モノ。
 新約聖書の「ヨハネの黙示録」絡みのTV映画なんですが、それをまんま映像化しているというわけでもなく、いちおうメインのストーリーは、別にあります。
 一世紀のローマ帝国、迫害を受けるキリスト教徒を支えていたのは、十二使徒の最後の生き残り、ヨハネからの手紙だった。ローマ側はキリスト教徒の精神的支柱を断つために、キリスト教徒側は救いを求めて、手紙の発信元であるパトモス島の監獄に、それぞれ使者と間者を差し向ける……ってのが、おおまかな流れです。
 で、その合間に、ヨハネが幻視する黙示録の光景や、ローマ人青年とキリスト教徒の娘の恋愛なんかが、描かれていく。

 映画オリジナルのドラマ部分に関しては、キャラクターさばきは上々だし、心理ベースのドラマを上手く使ったり、タイムリミットを使ったイベントで、クライマックスに向けて盛り上げたり……と、作劇的な工夫があって、けっこう面白いです。
 ただ、基本的に「キリスト教のPR映画」もしくは「信徒用の教育映画」なので、どうしても、非キリスト教徒には退屈な部分もあり。
 また、黙示録の視覚化という点では、これは期待しない方が吉。イメージ自体が、可もなく不可もなしといった感じの凡庸さだし、VFXも安っぽい。これだったら、ケン・ラッセルの『アルタード・ステーツ』(黙示録風の幻覚シーンがあります)の方が、ずっと上出来。
 史劇として見ると、話自体がいささか地味に過ぎるものの、セットや衣装、役者さんなどは、そこそこ佳良なので、それなりの雰囲気は味わえます。

 というわけで、まあ特にオススメという程でもないんですが、個人的には、けっこう「ツボ」な要素がありまして、まあ、特定趣味層限定なら、オススメできるかな、と。
 ……はい、もうお判りですね(笑)。

 まずこの映画、ほとんどパトモス島の監獄(っつーか、強制労働キャンプ)の中だけで、話が進むんですな。
 つまり、薄汚れた半裸の男どものが、汗まみれヒゲぼうぼうで、鎖に繋がれてウロウロして、虐待されているシーンが、延々と続く(笑)。
 で、ご期待(誰のだよ)通り、責め場もちゃんとあります。
 フロッギングと
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 ケイニング。
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 特に、後者の被虐者はこーゆー感じでツボのタイプなので、かな〜り得した気分(笑)。
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 あと、ヨハネが幻視するキリストの笞刑や磔なんかもあるし、
ま、私と同じ趣味をお持ちの方だったら、お楽しみ要素もイロイロあるのではないかと(笑)。
『アポカリプス 黙示録』(amazon.co.jp)

“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”

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“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”

 ヘテロ系ヴィンテージ・フェティッシュ・アート画集(洋書)のご紹介。
 書名からもお判りのように、この本は、誰でも知っているアメコミ由来のスーパーヒーロー『スーパーマン』の生みの親の一人、作画担当のジョー・シャスターが、”Nights of Horror”というアンダーグラウンドなフェティッシュ雑誌に発表した、イラストやマンガを集めた画集です。
 まず、何よりかにより、アメリカ的な健全明朗さを絵に描いたようなスーパーマンの、オリジナル・クリエーターが、こんなボンデージ画やサドマゾ画を描いていた……という事実にビックリ。
 もちろん私は、そのオリジナル版アメコミの『スーパーマン』は読んだことがないので、実感としては良く判りませんが、それに慣れ親しんできたアメリカのファンにとっては、この画集に収録されているフェティッシュ・アートの数々は、どう見ても「クラーク・ケントやロイス・レーンやジミー・オルセンやレックス・ルーサーが、裸でSMに興じている」としか見えないらしく(……と、解説にそんなことが書いてあります)、そりゃ、衝撃度やお宝感もさぞや大きいんだろうなぁ……なんて思ったり。
 とはいえ、件のアングラ雑誌は、発行されていたのが1950年代ということもあり、絵の内容自体は、現在の我々の目には、ごくごく大人しく映ります。
 拘束された裸の男女が、鞭で打たれていたり焼きゴテを押されたりしてはいても、陰部は決して露出しない。絵柄が淡泊で表情もシンプルなせいもあり、性的や暴力的な情景が描かれていても、何となくノンビリほんわかしたムードがあって、時としてキュートで愛らしくさえ見えます。
 というわけで、この画集の場合、絵の内容そのものよりも、スキャンダラスな話題性の方が大きい、という感は、正直否めません。
 じっさい、同じくヴィンテージ・フェティッシュ・アートでも、ジョン・ウィリーやエネグやエリック・スタントンなんかの作品と比べると、エロティック・アートとしては、かなり薄味ですしね。

 ただ、個人的に、この人の描く「マゾ男」には、大きく興味を惹かれます。
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 本書の収録作のうち、表紙や上のサンプル画像のような「男マゾもの」の絵は、全体のおよそ3〜4割と、決して多くはないんですが、そこで描かれている被虐者には、世間一般で見られる「男マゾもの」とは、ちょっと異なる特徴があるんですな。
 概してノンケ作家さんの描く「男マゾもの」は、美しく強い女性から、侮蔑され虐げられながら、そこにマゾ男は被虐の悦びを感じ、女性を女王や女神として崇める……といった構図が多い。絵画だと、古くはエリック・スタントンから現在では我が国の春川ナミオに至るまで、被虐者の男の「情けなさ」や「みじめさ」が強調されている。
 ところが、このジョー・シャスターの描く「男マゾもの」には、それがほとんど見られない。シャスターのマゾ男には、スタントンのマゾ男の「哀れさ」や、春川ナミオのマゾ男の「矮小さ」といった要素は、微塵も見られない。また、フェミナイズによる恥辱といった要素も皆無です。
 そもそも体型からして、被虐者の男は皆、筋肉隆々のヒーロー体型ですし、責めを受けているときの表情も、「惨めに泣き叫ぶ」ではなく、「男らしく耐える」風に描かれている。いかにも『鋼鉄の男』と賞される世界的なヒーローの、生みの親らしい作風。
 つまり、シャスターの男マゾ絵は、世間的に(おそらく)多勢を占めるであろう、「自らを貶めることに酔うマゾ」とは、明らかに異なっている。画家自身のマゾヒズム傾向の有無や、その指向性については、私は何とも言えませんが、しかし少なくとも彼の描いた絵からは、以前ここで『野郎系パルプ雑誌の表紙絵』について書いたときと同様に、「苦難に耐える自分の男らしさに酔うナルシシズム系のマゾ」の香りが、濃厚に漂ってきます。
 それが、私の変態アンテナにビンビン反応するので、こうしてご紹介する次第。

 まあ、前述したように、エロティシズムそのものは薄味ですが、例え直截的なエロスは期待できなくても、絵そのものには、サブカル好きの方にウケそうな、ちょっとユルくてキュートな魅力があるし、その絵の雰囲気を活かした、ポップで明るくて品の良いデザインやレイアウトも、実にいい感じ。
 約22センチ四方の正方形という、版型のコンパクトさも、本の内容に良く合っています。造本もしっかりしていて、印刷も美麗。ちょっと、ギフト・ブック的なかわいさもあったりして。
 あと、作家の生い立ちや、時代背景などを絡めた解説も読み応えありそう(けっこう長いんで、まだほとんど読んでないんですけど)だし、序文がスタン・リー、裏表紙の推薦文はアレックス・ロスという豪華さなので、アメコミに興味のある方なら、資料的な価値も高いかも?
“Secret Identity: The Fetish Art of Superman’s Co-creator Joe Shuster”(amazon.co.jp)

つれづれ〜フリーペーパーとかゲイアートとか

 締め切りラッシュの間に、溜まりに溜まってしまったメールの返事をせっせと書き、それが終わって、これでようやく渡航&バカンスの準備に入れる……と思いきや、新たなアレコレがイロイロと。
 そんなわけで、現在、日本とイタリアとスペインとベルギーで、イロイロな話が進行中。
 ハッキリした結果が出たら、おいおいご報告します。
Sexsexwork そんな最中、シモーヌ深雪さんから、”セックスの安心と安全を考える情報誌”、フリーマガジン『SEX & SEXWORK』の001号をいただきました。
 企画編集で名を連ねているシモーヌさんを筆頭に、松沢呉一、張由紀夫、マーガレット、ゴッホ今泉、オナン・スペルマーメイド……などなど、錚々たる面子が揃い踏み。
 デザインも誌面もとっても美麗で、これが無料だなんてビックリ。これに限らず、最近のHIV関連のフリーペーパー等は、ほんとクオリティ高いですよね。将来の文化史的な体系化に備えて、どなたかがきちんと収集保存していらっしゃればいいんですけど。
 この冊子がどこで配布されているのか、ちょっと判らないんですけど(新宿aktaや堂山distaなんかにあるのかな?)、問い合わせ先がせくすばっとなっていたので、興味のある方はぜひどうぞ。
Alexeyalexey かたや先日、アレクセイ&アレクセイ(Alexey and Alexey)という、ロシアの二人組ゲイ・アーティストから、ファンメールと彼らのサイトの案内がきました。「暮らしをゲイ・アートで飾る」というコンセプトで、作品を制作・展示・販売しているそうな。
 ペインティングやドローイングもあるんですが、個人的には左上のサンプル画像のような、ガラス細工のシリーズが気に入りました。ポップでカラフルで、造形的にはフォークアート風の魅力があって、それでいて同時に、しっかりエロティック(かつマッチョ)というのが良い感じ。
 ロシアというと、ソビエト時代からゲイに対しては抑圧的だという印象がありますが、そんな中で、こうしてゲイ・アーティストとして頑張っている人たちがいることを知るのは、何だか嬉しいですね。
 よろしかったら、ぜひ一度、彼らのサイト(ちょっとサーバが重いですけど)で作品をご覧あれ。露英二ヶ国語表記です。
Patrick_poivre もう一人、パトリック・ポワヴル(Patric Poivre)という、フレンチ・カリビアンのサン・マルタン在住の、フランス人アーティストからも、ファンメールとサイトの案内を貰ったので、ご紹介。
 熱帯地方と旅の記憶をテーマにした、ペインティングがメインで、ダイナミックな筆致と美麗な色遣いがステキです。詩的でロマンティックなメールヌードがあるかと思えば、古典絵画の引用もあり。水兵を描いた作品なんかを見ると、いかにもジュネやコクトー直系の、フランス的ホモエロスって感じがするのが面白い。あと、いかにもトロピカルなお宅の壁に描かれたトロンプルイユ(騙し絵)作品なんてのは、もうその制作環境が羨ましい限り(笑)。
 アダルト・ギャラリーもありますが、こちらはパスワード制(メールで貰えます)になってます。これまた、コクトーの「白書」を更にコッテリさせた、みたいな感じの、いかにもファイン・アーティストの描く「秘画」といった感じで、イラストレーション的なエロティック・アートとは、また違う味わいがあります。
 サイトは仏英二ヶ国語表記。こちらも、よろしかったら是非ご覧あれ。
 あと、品切れになっていたフランス語版”Gunji”ですが、版元のH&Oから、増刷したという連絡があり、第二刷の著者謹呈分コピーが送られてきました。
 内容的には初版と何も変わっていませんが、造本のみ、表紙のフラップ部分がなくなっています。先日出た”Goku – L’ile Aux Prisonniers vol.1″も、同様の造本だったので、H&Oの方針なんでしょうけれど、フラップ部分に載っていた著者紹介文が、丸々消えちゃったのは、ちょっとウムムな感じ。

また、Michael 4とか

Olympia このあいだ書いたように、Michael 4君の使い勝手がなかなか良いので、タイプの違うキャラを作るのも、けっこう楽。
 というわけで、新キャラ(笑)作ってみました。
 自作で言うところの、『外道の家』の「太吉」とか、『童地獄/父子地獄』の「左門」みたいなイメージ。……ってことは、ひょっとして次郎ちゃん好きかしら、この新キャラ(笑)。
 そんなこんなで、先日のキャラと一緒にポーズとらせて、Carraraでレンダリング。
 二人並べて立たせただけだと、ちょっと画面が淋しかったので、テキトーにギリシャ風の円柱を置いてみました。意味不明な絵面だけど、ちょっと、古代オリンピックのレスリング会場っぽい?
 ……違うか(笑)。

Michael 4とかVue 6とか

M4vue 昨日の続き。
 Michael 4を、今度はVue 6 Espritにインポートして、レンダリングしてみました。Vueってのは、景観作成ソフトで、『Desert Dungeon』の屋外シーンは、全てこれで作ってます。
 使用したPoserのシーンファイルは、昨日と同じもの。
 景観作成ソフトの利点が、全く活かされていない作例ですけど(笑)、いちおうプリセットで入っているシーンファイルの一つです。フィギュア以外のオブジェクトは何もなし。最終レンダリング品質で、所要時間は約25秒。
 Vue 5 Espritのときは別売だった、Poser用のプラグインMoverが、6からEspritには標準装備されているので、インポートは問題なくクリア。Poser 7にもダイナミック・クロスにも対応している……はず(実はダイナミック・クロスのインポートを、Vue 6 Espritになってからは試したことがないのだ)なので、アニメーションに関しては無問題かな。
M4vue2 さて、余りにもVueらしからぬ作例だけなのも何なので(笑)、もう一点、いかにもVueという作例も。
 せっかくだから、今度はポーズも変えてみました。Michael 4君は、なかなかいいケツしてる(笑)ので、それを見せるポーズ&アングルで。早朝、誰もいない浜辺で、素っ裸で一泳ぎ、ってな感じ。
 これもプリセットに入っているシーンファイルで、こころもち露出を上げています。オブジェクトは水面のみ追加。こっちは、ヴォリュメトリック質感の雲や、グローバル・イルミネーションを用いたスペクトル大気を使っているせいか、流石にレンダリングにも時間がかかって、約15分かかりました。
 
 さて、Vueといえば、既に日本語版サイトで、英語版の7(日本語版への無償アップデート付き)の販売が始まってますが、何故か上位グレードで高価なInfiniteとxStreamしかない。
 一瞬、「げ、ラインナップからEspritみたいな中間のヤツは、なくなっちゃったの?」と、ショックを受けましたが、本家のサイトに行ってみたら、ちゃんとEspritとPro StudioとCompleteってヤツがありました。
 とはいえ、ちゃんと日本語版も出るんだろうか。日本語版のディストリビューターが、Carraraと同じトコなだけに、ちょいと不安です。

Michael 4とかCarrara 7とか

 DAZ 3Dから「今ならCarrara 7が50%OFF!」というメールが来たので、英語版をダウンロード購入しました。
 Carraraというのは3DCGソフトで、安価なのに多機能、Poserとの連携もバッチリということで、自作アニメーション『Desert Dungeon』を筆頭に、いろいろと愛用していたんですけれど、残念なことに日本語版のリリースは5でストップしています。そして今回、6の日本語版が出ないまま、7が発売されたので、こりゃもう日本語版は待つだけ無駄だ、と見切りを付けて、英語版の購入に踏み切ったというわけです。
 というわけで、アップグレードではなく新規買い直しなのが悔しいけれど、まあそこいらへんは、50%OFFということでギリギリ相殺って感じ。
 購入したのは、機能別で二種類あるうちの、上位バージョンのCarrara 7 Pro。するとオマケに、PoserとCarraraと両方で使えるDAZのフィギュアMichael 4が、モーフターゲットやテクスチャ込みで付いてきました。
 というわけで、そのMichael 4君を、さっそくPoser 7にインストールして、ちょっくら使い勝手を試してみました。
M4gm まず、Michael 4をプリセットのモーフダイヤルを使って、マッチョ化してみましたが……おっとビックリ、全身の体型を簡単に調節できるFull Bodyモーフのうち、BodyBuilderとBulkの二つのパラメータをいじっただけなのに、好みの体型が簡単に出来た(笑)。
 プリセットのテクスチャを当ててみたところ、何だか総合格闘家とかにいそうな雰囲気だったので、それ系のポーズをとらせて、Carrara 7でレンダリングしてみたのが、左上の画像です。
 これまで使っていたCarrara 5をインストールしていたのが、Power PC G4のMac miniだったのに対して、今回の7はIntel iMac core 2 duoなので、ただでさえ速いCarraraのレンダリングが、ますます速くなりました。二ヶ所から同時に画像をレンダリングしている様子が、画面上に1と2という番号が出て視認できるのが、「お〜、ちゃんと働いとるねぇ」って感じで、何か楽しい(笑)。
 このサンプル画像のレンダリング所要時間は、10秒。ご参考までに、品質はPhotorealsticのデフォルト。大気なし、グローバル・イルミネーションなし。ライトは3灯で、うち、ヴォリュメトリック・ライト一つ、レンズフレア一つ。ライトは全てに、ソフトシャドウを適用してます。
 さて、こうなるとMichael 4とCarrara 7で、何かアニメーションを作ってみたくなりますが、そこで障害が一つ。
 Carrara 7 Proには、Poser用のインポート・プラグイン、TransPoserが入っている(……はずなんだけど、実は見あたらなくって困ってる。う〜ん、別途ダウンロードが必要なのかな、調べようにも、今はその時間がない)んですけど、これがPoser 7には対応してないらしい。
 TransPoserを使わなくても、ネイティブでPoserのシーン・ファイルはインポートできるんですけれど(今回のテストも、ネイティブのインポートを使いました)、私がよく使うPoserのダイナミック・クロスが、これだと読み込めないんですな。
 いっぽう、Poserの日本語版サイトからは、「今ならPoser Proがお安く先行予約できるよ〜」という案内が来まして、それに外部ソフトへのエクスポート用プラグインが付随しているらしいんですが、うむむ、3ds MaxにMayaにCINEMA 4DにLightWaveって……私はホビーユーザーで、しかも主たる目的がPoserの外部レンダラーなのに、そんな高価なソフト買えるかい(笑)。
 というわけで、アニメーションに関しては、しばらくお預けなんですけど(ま、今は作ってる時間もないしね)、せっかくなんで話をMichael 4に戻して、もう二つばかり作例を載せておきましょう。
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 左が、体型のモーフをいっさいいじっていない、デフォルト状態のMichael 4君。右が、Heavyモーフをプラス方向にいじった(まだMAXではない)状態。
 まあ、こんな感じで、ガチムチ好きからデブ専まで、幅広い趣味層のユーザーに対応しています(笑)。
 ゲイのPoserユーザーには、かなり使い勝手が良いんじゃないでしょうか、このMichael 4君は。

“XXL” Tom of Finland

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 ゲイ・アートのマエストロ、トム・オブ・フィンランドの新しい画集が、TASCHEN社から出ました。
 トム・オブ・フィンランドの作品集としては、同じTASCHEN社から、既に”The Art of Pleasure”という分厚い画集や、”Kake”などのコミックス集などが出ており、また、Tom of Finland Foundationからも、画集”Retrospective”シリーズ(全三巻)が出ていて、それらを既に所持している自分としては、この新しい画集”XXL”を買うのは、悩ましいところではありました。値段もけっこうするし、中身も、ひょっとして”The Art of Pleasure”の焼き直しかも知れないし……。

 しかし、思い切って購入してみたところ、これがスゴい画集だった!
 何と言っても、本のサイズがデカいのにビックリ! 横29センチ×高さ40.5センチ……なんてスペックだとピンとこないかもしれませんが、まあこの比較画像(笑)をご覧あれ。
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この大きさで、厚みも8センチ近くあるもんだから、まあ持っていて重いこと重いこと(笑)。

 流石にこれだけ大判だと、絵の方もド迫力です。
 1ページ1点、あるいはドカンと見開き1点の掲載は、例えそれが既に見知っている作品でも、受けるインパクトが段違いで、ページを開いた瞬間「ひゃ〜っ!」ってな感じです……って、何のこっちゃい(笑)。しかも、折り込みページもあったりして、それを拡げるともっとスゴいことになって、レザーマンたちのデュオのポートレイトが、6組12名、幅1メートル以上の横長の画面に、ずらりと並んで立っている(ま、跪いている人もいますけど)様は、もう圧倒されちゃって溜め息もの。
 中身のサンプルは、いちおうTASCHENの商品ページにありますが、それ以外にも、下絵と本描きの比較とか、
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“Kake”のような連作画とか、
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ポートレイトと春画のコンビネーションとか、
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同一テーマのバリエーションとか、
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とにかく全ページが見応えあり。
 こんな感じで650ページ以上続くんですから、もう大満足。お腹一杯、ごちそうさま(笑)。

 印刷は、極めて良好。前述の”Retrospective”シリーズや”The Art of Pleasure”と比較すると、それらを遥かに凌ぐ高品質で、原画の再現性はバッチリ。私は、以前トムの原画を、Tom of Finland FoundationやニューヨークのFEATUREギャラリーで目にしたことがあり、以来、あの原画の美しさと比べると、世に出ている印刷物の品質には、どうしても不満があったんですけど、この”XXL”は、そういう意味でも、これまでのベスト。
 全体の構成は、総論を冒頭に置き、以下、世に出る以前の40年代、初期スタイルの50年代、スタイルが確立された60年代、円熟の70年代、ポートレイト群などで更なる高みに達し、そして亡くなるまでの80年代、と、編年体になっていて、それらに様々な各論が、それぞれ英独仏の三ヶ国語で付いています。
 巻末には、原画の所在が行方不明になった作品リスト(図版付き)、グリーティングカード、展覧会の記録などが付属。
 造本も、高級感のある凝ったもので、カバーの絵の部分がバーコ印刷になっていて、ツヤツヤとレリーフ状に盛り上がっています。カバーを外すと、本体は黒いマットなクロス装のハードカバーで、そこにタイトルやシンボルが、黒のグロスでエンボス箔押し。本体には、リボン状の栞も付いています。そして、ご覧のようなキャリング・ケース入り。
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 というわけで、内容、品質、共に価格に見合った高品質でした。円高の今だと、逆に、これでこの値段は安く感じるくらい。
 幸い、日本のアマゾンでも取り扱っています。現時点では、まだ発刊前の予約状態になっていますが、私はそこで予約していたのが今日届いたので、そろそろ入荷するのでは。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
 ただ、ちょっと気になることがあって、実は以前、同じTASCHENから出た、トムの”The Complete Kake Comics”という本が、日本のアマゾンで予約を受け付けていたにも関わらず、発売直前になって、急に取り扱いがなくなってキャンセルされたことがあったんです。その例を考えると、ひょっとしたらこの”XXL”も、後になって取り扱いがなくなったりもしかねないので、入手は早めの方がいいかも知れません。
<続報>
 やっぱり、なくなっちゃいました……。
<続々報>
 と思ったら、また復活しました。
“XXL” Tom of Finland (amazon.co.jp)
<続々々報>
 と思いきや、また消滅したり復活したりの繰り返しで、もうワケワカラン状態。

“Die Horden des Khan”

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“Die Horden des Khan” ((1962) Remigio Del Grosso
 例によって、イタリア製ソード&サンダル映画のDVD(ドイツ盤)なんですが……う〜ん、久々に変なヤツを見てしまった(笑)。
 伊語原題は”Ursus e la ragazza tartara”、英題は”Ursus and the Tartar Princess”で、いちおうウルスス(英語読みだとアーサス)ものなんですが、実はウルスス君は脇役で、主役は別だったりします(笑)。
 ストーリーは、タタールの侵攻を受けているポーランドで、捕虜になったマッチョな樵のウルスス(この時点で既に変)とポーランドの王子(こっちが主役)が、奴隷にされているポーランド人たちと脱出し、大戦闘の末に勝利する……ってな内容。で、そこにポーランドの王子とタタールのお姫様と恋やら、樵のウルススと攫われた息子との再会やら……ってなエピソードが、挟まっていく。
 まあ、これだけだったら、さほど変テコでもないんですが、サービス精神旺盛というか、それらに加えて、西洋史劇の「お約束」シーンが、節操なくドバドバ投入されるんです、この映画。
 例えば、ポーランドの捕虜たちはキリスト教徒で、タタールはその棄教を迫るなんてエピソードがある。で、これが、捕虜たちが洞窟で秘密裏にミサを行っていたところ、タタールの姫が愛する男を慕って忍んで行き、やがて主催の神父が捕らえられ、両腕にタールを塗られて火責めにされているところを、賛美歌と共に、一天にわかにかき曇り、雷鳴が轟き豪雨が降って火を消し止め、それを見て姫は改宗を決意し……ってな、『クォ・ヴァディス』や『ベン・ハー』のつまみ食いみたいな塩梅。
 かと思えば、タタールの姫を巡って、ポーランドの王子とハーンの部下の恋の鞘当てなんてのもあり、これがまた、中世騎士ものよろしく、馬に跨り槍を構えて、一対一の御前試合。他にも、ウルススと姫の侍女の悲恋だの、実は娘思いだったタタール将軍の悲劇だの、とってつけたような「泣かせる」シーンが、ロクな前振りもなくトートツに入ってくる(笑)。
 もちろん、肉体派男優の売り的な見せ場も、抜かりなく、しかし珍妙に配されています。
 そもそも鎧兜で完全武装して銃までぶっ放しているポーランド軍の中に、一人だけ、まさかり振りかざした肌も露わなマッチョ(つまり、樵のウルスス君)が混じってるという絵面からしてヘンテコなんですけど、周囲は剣で斬り合っているのに、ウルスス君だけは、相手をねじ伏せたり投げ飛ばしたりの肉弾戦。更に、タタールの生き残りが樹に登って隠れようとしたところを、怪力で幹を揺すぶって振り落とす……なんて展開は、もうギャグかと(笑)。
 他にもウルスス君は、捕虜仲間と一緒に洞窟に脱出口を掘っていて、その怪力で巨岩を担いで引っこ抜くとか、無事脱出した後も、まさかりと怪力で橋桁を弛ませて、追っ手を阻止したりしますが、ストーリーのメインには殆ど絡んでこない役なので、英雄大活躍じゃなくて、単なるオマケ、刺身のツマ程度にしか見えない(笑)。
 また、昔のエピック映画に欠かせない、音楽や踊りのサービスもきっちりあるんですが、これの入り具合が、またヘンテコ。
 脱出口を掘っている捕虜たちは、バラライカを持った見張りを一人立てていて、その演奏でタタールの巡回が来たかどうか知らせるんですけど、その巡回がバラライカの演奏を気に入って、暢気なことに、自分たちの宴会に連れていくんですな。で、捕虜たちは、そこに踊りの名手や怪力ウルススを同行させて、見事なコサックダンス(かなりの上手さで見応えはありましたが)を披露し、敵の気を弛ませたところで、逆襲に転じて武器を強奪、脱出に成功する……って、展開がマヌケ過ぎるだろう(笑)。
 他にも、広場でエキゾチックな歌と踊りが繰り広げられる、けっこう大規模なシーンもあるんですが、どうやら他の映画からの流用らしく、これまたトートツなことこの上ない(笑)。
 スペクタクルな見せ場、つまり大戦闘シーンとかも、いちおうあることはあるんですが、これまたやっぱり、全て他の映画からの流用。
 で、その結果、クライマックスの、タタール軍対ポーランド軍の大決戦シーンで、主人公一行が何をしているかというと、山小屋に隠れて、食事を作ったり昼寝したりしながら、窓から戦況をチェックしているだけなのだ(笑)。まあ、流石に最後の最後には、彼らも外に打って出ますが、戦闘に加わると言ったって、ただ、俳優と青空以外は何も写っていない、剣を振りかざしているクローズアップが、モブシーンの合間に入るだけです(笑)。
 という具合に、安手なクセに変にテンコモリなので、もうシッチャカメッチャカ(笑)。
 いやぁ、久々にヘンテコなヤツ、見ちゃったなぁ(笑)。ツッコミどころだらけで、実に楽しかった(笑)。
Ursus_joe_robinson ウルスス役は、ジョー・ロビンソン。IMDbによると、有名なレスリング一家の息子で、本人もヨーロッパ・チャンピオンになったレスリング選手だそうな。ソード&サンダル映画だと、”Taur, il re della forza bruta (Tor: Mighty Warrior)”や”Le Gladiatrici (Thor and the Amazon Women)”などに出ているらしいですが、いずれも未見。
 なかなか立派な身体で、ボディービルダー系と比べると筋量は少ないですけど、個人的には、このくらいの自然な筋肉の方が、セクシーさは感じますね。顔は、とりあえず今回はフルフェイスのおヒゲさんなので、ぎりぎりクリア(笑)。でも、ヒゲがなかったら、きっと見向きもしないタイプ(笑)。
 主役のポーランドの王子は、エットレ・マンニ。フィルモグラフィーを見ると、けっこうソード&サンダル系では見ている映画も多いんですけど、すいません、ちっともお顔が記憶にゴザイマセン(笑)。
 タタールの姫役に、海外で活躍した日本人女優のはしり、ヨーコ・タニこと谷洋子。ソード&サンダル系では、前にここで紹介した”Samson and the Seven Miracles of the World”、それ以外でも、日本盤DVDが出ているスタニスワフ・レム原作のSF映画『金星ロケット発進す』(これはなかなか面白かった!)などで拝見しております。今回、改めて見ると、ちょっとチャン・ツィイーに似ているような気も。
 ま、映画が映画ですんで、役者的な見所は皆無です(笑)。ジョー・ロビンソンの半裸だけ(笑)。
Ursus_torture 責め場の方は、前述の神父の火責めの他にも、広場でセント・アンドリューズ・クロスに磔にされているポーランド人捕虜のシーンがあります。
 神父同様、これも両腕に薪が巻かれて火を点けられているという、ちょっと変わった火責めになってるんですけど、これは、タタールのヨーロッパ侵攻の際、そういう処刑があったという逸話でもあるんでしょうかね? 日本だと、元寇の際、捕虜が掌に穴を開けられて、そこに縄を通して吊されたという、有名な伝承(因みに私は、この話を小さい頃に父から聞かされました)がありますけど、ちょっとそれを連想しました。
 あと、これはおそらく他の映画からの流用シーンだと思いますけど、タタールに攻め込まれた村で、捕らえられた村の男たちが、上半身裸で杭に磔にされているってなシーンも出てきます。
 そんなこんなで、肝心のウルスス君の責め場がないのは物足りませんが(笑)、公開処刑好きとしては、そこそこお得感はあったかな。