音楽」カテゴリーアーカイブ

最近のBGM

 相変わらずクラシックづいております。

コープランド傑作集 アーロン・コープランド『バレエ組曲 アパラチアの春、他』
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック

 コープランドはオムニバス盤とかで数曲を聴いたことがあるだけだったので、まとめて聴いてみようと購入。同時収録曲は『バレエ組曲 ロデオ』『バレエ組曲 ビリー・ザ・キッド』『市民のためのファンファーレ』。
 そっか〜、EL&Pの「ホウダウン」って、この『ロデオ』の中の一曲だったのか〜、知らんかった(笑)。コープランドの原曲も、実にカッコイイですな。ちょっと調べてみたら、同じくEL&Pの「庶民のファンファーレ」も、このアルバム収録の『市民のためのファンファーレ』を元にしているらしいけど、「庶民の……」が入っているEL&Pの『四部作』は持っていないので、そっちはよー判らず。
 カッコイイといえば、『ビリー・ザ・キッド』の「再び、果てなき大平原」も、タダモノならぬカッコヨサで背中がゾクゾクします。『アパラチアの春』の「第2曲 アレグロ」なんかも、実にタマンナイ。
 全体的に、いかにもアメリカのフォークソングを基調にしているといった感じで、雄大さ、明快さ、勢いの良さ、陽性の叙情、ノスタルジー感、などなど、かなりツボに直撃でした。

Reinhold Gliere: Symphony No. 1/The Red Poppy Suite レインゴリト・グリエール『交響曲第1番/バレエ組曲 赤いケシの花』
ダウンズ/BBCフィルハーモニック

 先日の『交響曲第3番 イリヤ・ムーロメッツ』に比べると、この『交響曲第1番』はグッと爽やかな感じ。でもやっぱり第1楽章の出だしを聴いていたら、このまま『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の前奏曲になっちゃうんじゃないか……なんて、ふと思っちゃいましたけど(笑)。
 でも、あいかわらず印象的なメロディーが頻出するし、時に田園的な感じもする素朴さとか、とにかく全体を通じて清々しい感じが気持ちいい、なかなか魅力的な佳品でした。
 もう一つの『赤いケシの花』は、とにかく聴いていて楽しい楽しい。はじける躍動感、横溢する異国情緒と東洋趣味、優美なロマンティシズム……といった要素を、キャッチーなメロディーとカラフルなオーケストレーションで、華麗にタップリ楽しませてくれます。
 野性的でダイナミックな「第1曲 英雄的な苦力(クーリー)の踊り」、シノワズリ満開の「第3曲 中国の踊り」、チャイコフスキーばりの優美な「第5曲 ワルツ」、ロシア風味タップリの「第6曲 ロシアの水兵の踊り」なんかが、特にお気に入り。

Kodály: Choral Works for Male Voices ゾルタン・コダーイ『男声合唱曲集』
ラクナー/ベーラ・バルトーク男声合唱団

 ここで注文したヤツが、無事に届きました。良かった良かった(笑)。
 一曲目「孔雀」から、憂愁あふれるメロディーを、ときに静かにときに力強く歌い上げる男声合唱に、思っくそ心を奪われました。
 もちろん、本来のフォークソングのような荒々しいまでの力強さはないんですが、解体再構成された土俗性やとでもいった趣の、洗練された美しさがあります。教会音楽の敬虔さに通じる感触の静謐な曲あり、ロシア民謡みたいな泣きや哀愁の曲もあり、威勢や景気の良い曲もありで、タップリ楽しめました。
 ただ、やっぱり全体的にお行儀が良いので、聴き終わったときに反動で、もっとゴツゴツしたグルジアやコルシカの民族音楽系の男声合唱なんかを、改めて聴きたくなった……という側面もあり。
 そういえばこのCD、どういうわけかハンガリー語で歌われている(らしい)「ラ・マルセイエーズ」が入っていて、コダーイ編曲バージョンなんだろうけど、その一曲だけミョーに浮いていました(笑)。

また本日のBGM

Balakirev: Symphonies 1 and 2; Russia; Tamara; Overture on Three Russian Themes ミリイ・バラキレフ『交響曲第一番、交響詩 ロシア、他』
スヴェトラーノフ/フィルハーモニア

「ロシア五人組って、リムスキー=コルサコフとムソルグスキーとボロディンと……あと誰と誰だっけ?」ってな感じのお一人のバラキレフさん(私的には、ですよ〜)ですが、今まで『イスラメイ』しか聴いたことがなかったので、購入してみました。
 二枚組で、他の収録曲は『三つのロシアの主題による序曲』『交響詩 タマーラ』『交響曲第二番』。
 エキゾでチャカチャカ楽しかった『イスラメイ』とはぜんぜん違って、どれもえらく重厚で本格的な作品群でビックリ(笑)。基本的に絶対音楽より標題音楽を好む私は、やっぱ二つの交響詩が気に入りました。
 でも、素晴らしいし聴き応えもタップリなんだけど、先日のグリエール『交響曲第三番 イリヤ・ムーロメッツ』と併せて、三枚続けて聴いていたら、ちょいと重厚さに胸ヤケ気味になった(笑)。
 というわけで、次はこれをチョイス。

ドビュッシー:3つのソナタ、小組曲、6つの古代碑銘他(再プレス) クロード・ドビュッシー『小組曲、神聖な舞曲と世俗的な舞曲、六つの古代碑銘、他』
パイヤール室内管弦楽団、他

 ドビュッシーはピアノ曲ばっかで、管弦楽は『牧神の午後への前奏曲』と『交響詩 海』くらいしか聴いたことがなかったので、これを買ってみました。他の収録曲は『フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ』『チェロ・ソナタ』『ヴァイオリン・ソナタ』。
 あ〜、爽やかだ(笑)。特に『フルート、ヴィオラ……』はホント、魂が洗われるような気分に。ドビュッシーというよりフォーレみたいなビュッセル編曲の『小組曲』も典雅で洒脱で美しいし、パイヤール編曲の『六つの古代碑銘』も清涼で神秘的でステキ……と、何故か感想が乙女っぽくなってきたぞ(笑)。
 もひとつ、こんなのも。

Tango Argentino Victor Villadangos “Tango Argentino”

 アルゼンチン(多分)のクラシック・ギター奏者(多分)が、アルゼンチンの作曲家(多分)のタンゴを演奏しているアルバム。「多分」ばっかりでスイマセン、英文ライナー読んでる余裕がないもんで(笑)。
 収録曲のうち、知っている作曲家はアストル・ピアソラ(「リベルタンゴ」「ブエノスアイレス午前零時」なんかをクラシック・ギターで演奏しています)とカルロス・ガルデル(この人は名前を知っているだけで歌をちゃんと聴いたことがない)だけでしたが、Eladia Blazquez(エラディア・ベラスケス?)の”Kite-flying Dream”とか、Julian Plaza(ジュリアン・プラザ?)の”Melancholic”とか、Lito Vitale(リト・ヴィターレ?)の”71 Milonga”なんて曲も気に入りました。
 クラシック・ギターの上品さのせいか、パッションは控えめ、メランコリーと優美さが目立つ感じで、でも泣きは控えめの演奏で、これはこれでなかなか良きかな。夜中に静か〜に流しておくのに、うってつけって感じです。

本日のBGM

 すいませんね、CDネタばっかで。マンガ作業中は、これくらいしか楽しみがないもんで。
 そんなこんなで、もう二週間以上外出していません(笑)。

ピラニア軍団 『ピラニア軍団』ピラニア軍団

 ちょいと「男の世界」に精神をトリップさせようと、棚の奥から引っ張り出して再聴。
 故・川谷拓三や若かりし頃の小林稔侍や室田日出男など、東映ヤクザ映画などで殺され役を演じていた、大部屋たちが集結したグループを、三上寛がプロデュースした音楽アルバム。編曲には、やはり若かりし頃の坂本龍一の名も。
 無名役者やはぐれ者の心情や人生を謳った、シアトリカルな内容の歌が多く、かといって演歌ほどベタではないので、その味わいはさながら「男汁シャンソン」のよう。
 名曲揃いですが、個人的に一番好きなのは、役者稼業を歌い上げる歌詞と、それに突っ込む胴間声のヤジの応酬で綴られる「ソレカラドシタイブシ」。何度聴いても、いい曲だなぁ〜。
 残念ながら廃盤のようなので、中古で見つけたら迷わずゲットをオススメします。

Reinhold Gliere: Symphony No. 3 'Ilya Muromets' レインゴリト・グリエール『交響曲第三番 イリヤ・ムーロメッツ』
ダウンズ/BBCフィルハーモニック

 届きました〜。\(^o^)/
 いや〜、ワーグナーしてるなぁ(笑)。実に壮大で重厚。
 相変わらずキャッチーなメロディーに、カラフルなオーケストレーション、スラブ味もしっかり。題材が題材ということもあって、展開も実に視覚的。良い良い。
 この気宇壮大さとか、曲の長さ(第一楽章だけで22分以上、全曲通すと80分近く!)とかは、ロマン派的な志向が肥大した結果なんでしょうけど、爛熟はあれども退廃はしないあたりが、ひょっとするとグリエールの最大の持ち味なのかも、なんて思ったり。
 まあ、長尺なだけあって冗長な部分があるのは否めないし、ずっと聴いているとけっこう疲れたりもするんですが(笑)、でも好きです、この曲。

下がったり上がったりとか、ハンガリーとか

 締め切りが一本片づいて、ホッと一息。
 とはいえ、一部並行進行で進めていた次の締め切りが、これまたすぐに迫っているので、このままテンションをキープして突っ走るぞ〜!
 と思っていたところ、ちょっとテンション下がるメールが。
 うむむ……。
 とはいえ、このままテンション下がっていても、仕事は片づかない。
 特にこの仕事は、慣れているようで初めてのような、自家薬籠中の物なんだけど未知の経験でもあるみたいな、何とも自分でも不思議な感じがする手応えのシロモノ(よーワカラン説明ですいません、箝口令が敷かれているもんで、具体的なことは書けないんです)なのだ。
 というわけで、ネームの段階から既に大苦戦したくらいなので、ここは無理矢理にでもテンションを再アップせねば!

 そんなこんなで、昨日からずっと、テンション上げるために聴いているBGMがこちら。

コダーイ:ハーリ・ヤーノシュ ゾルタン・コダーイ『組曲 ハーリ・ヤーノシュ、他』
ドラティ/フィルハーモニア・フンガリカ

 相変わらずクラシックづいています。ここんところ、名を知るのみで曲は聴いたことがない作曲家の作品とか、今まで名前すら聞いたことがなかった作曲家とか、そんなのを集中的に聴いているんですけど、このコダーイは前者、前回のピエルネやレブエルタスは後者です。
 ハンガリーの音楽というと、クラシックでバルトーク、トラッド系でマルタ・セバスチャンおよびムジカーシュくらいしか聴いたことがなかったけど、どっちも大好きなので、このコダーイもちょっと期待して購入しました。
 で、結果。
 もう、大好き!!!!!!
『組曲 ハーリ・ヤーノシュ』も『ガランタ舞曲』も『ハンガリー民謡<孔雀>による変奏曲』も『マロシュセーク舞曲』も、CDのアタマからシッポまで全部好き! おかげでテンションも上がりまくりです(笑)。
 早々に他のアルバムもゲットしたい気分になったので、いろいろ漁った中から、男声合唱曲集のCDをチョイス。でも、品切れお取り寄せだったから、無事入手できるかしらん……。

 さて、上で「ゾルタン・コダーイ」とか「マルタ・セバスチャン」とか書きましたが、ハンガリーは日本と同じく、姓を先に名を後に表記するので、厳密には「コダーイ・ゾルターン(Wikipediaによる)」や「セベスチェーン・マールタ(これは確か中村とうよう氏がそう表記していた)」と書くべきなのかも。
 些細なことですが、一応追補をば。
 マルタ・セバスチャンといえば、その歌がアニメ『おもひでぽろぽろ』で使われていた(外国映画だと、アンソニー・ミンゲラの『イングリッシュ・ペイシェント』でも使われてたっけ)ので、ご存じの方もけっこう多いかも?
 私自身は、このアニメはテレビでやっていたときにチラっと見ただけで、未だに通しでちゃんと鑑賞したことがないんですけど、何の予備知識もなく見ていたら、いきなり彼女の音楽が流れたんで、ひどくビックリしました(笑)。確か、カーステか何かで音楽をかけるシーンで、男性キャラが「農民の歌だから俺も好きなんだ」みたいなことを、のたまっていたような記憶が。で、確かそれで興味を惹かれて、そのまま暫く見続けたら、今度は農作業だかのシーンで、ブルガリアン・ヴォイスが流れて、またビックリしたような(笑)。
 似たような例で、前に邦画『橋のない川』を見た(東陽一監督のカラー版の方)ときも、日本の農村なのに音楽がフォルクローレだったんで、ビックリしつつも意外とマッチするもんだなぁ、なんて感心しましたっけ。

 マルタ・セバスチャンで、もう一つマニアックな話をしますと、彼女がレヴェンテ・セレーニというアーティストと組んだアルバムで”Loverecord”(その昔『愛の歌』というタイトルで日本盤CDも出ました)というのがあります。こちら(ただし、現在amazonなどで売られているCDは、ジャケットが別のものに替わっている模様)。
cd_loverecord
 で、この絵、ずっと好きだったんですけど、ちょっと前に、思わぬところでこの絵と再会しまして。
 DVD『ハンガリー・アニメーション傑作選DVD BOX』の、『ムーン・フィルム/ドーラ・ケレステシュ作品集 』に入っていた監督インタビュー映像を見ていたら、喋る監督の背後に、この絵が飾ってありました。
「おや!」と思ってCDを確認したら、裏に「デザイン by ドーラ・ケレステシュ、イシュトヴァーン・オロス」というクレジットが。CDを買ったのが89年、DVDを買ったのが去年ですから、およそ20年を経てのリンクとなります。
 オッサンになると、こんな感じで、それぞれ別に好きなものが、意外な形で出会うってなことがままあって、なかなか楽しいです(笑)。

 ついでに。
 ドーラ・ケレステシュのアニメーションは、YouTubeにアニドウがアップしたPRビデオがあったので、貼ってみませう。
 大好き。

 も一つ、ついでに。
 マルタ・セバスチャンのCD、上では”Loverecord”について書きましたが、これはあんまりビギナー向けのアルバムではない(トラッドにシンセサイザー等を併せた実験作)ので、もし買ってみようという方がおられましたら、何よりかによりオススメなのがこれ。これはホントに傑作。幸い、今なら再プレスされたものが安価で出ているみたい。

プリズナーズ・ソング プリズナーズ・ソング
価格:¥ 2,000(税込)
発売日:2007-08-08

 あともう一枚、これもオススメなんだけど、残念ながら廃盤みたい。

Muzsikas Muzsikas
価格:¥ 1,551(税込)
発売日:1991-07-01

 ちょっとトラッドからポップス寄りになった、こっちも良アルバムです。これは、中古でも良ければ、わりと入手しやすいみたい。

Kismet Kismet
価格:¥ 1,129(税込)
発売日:1996-02-06

つれづれ

 最近聴いているCD。
 ここんところ、ちょっとクラシックづいています。

ピエルネ:シダリーズと牧羊神、ハープ小協奏曲他(再プレス) ガブリエル・ピエルネ『シダリーズと牧羊神、他』
マルティノン/フランス国立放送管弦楽団

 初めて聴く作曲家で、フランス近代の人。
『シダリーズと牧羊神』が、瀟洒で楽しくて実にヨロシイ。特に、第一曲「牧神たちの学校(小牧神の入場)」の楽しさといったら!
 全体的に、印象派がちょっとロマン派に回帰したような感じなので、何となくフランスつながりで、ドリーブとドビュッシーを足して二で割ったみたいだな〜、なんて思ったり。

レブエルタス作品集 シルベストレ・レブエルタス『センセマヤ、他』
サロネン/ロスアンジェルス・フィルハーモニック

 これも初めて聴く作曲家で、20世紀メキシコの人。
 土俗的なダイナミズムを感じる『センセマヤ』、ひねくれたマリアッチみたいな『オチョ・ポル・ラディオ』、などなど、民族性タップリで面白い曲多し。
 特に、組曲形式の『マヤ族の夜』が、雄大で荘厳な第一曲「マヤ族の夜」、軽妙で楽しい第二曲「ハラナスの夜」、ロマンティックで美麗な第三曲「ユカタンの夜」、ドラマティックで土俗的な第四曲「エンカミィエントの夜」など、どれもツボを突かれまくり。
『ガルシア・ロルカへの讃歌』も、前にヒナステラを聴いたときもそうだったけど、これまたラテン版ストラヴィンスキーみたいで面白い。
 最近いただいた本。
 ポット出版さんからいただきました。

二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ 二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ
大塚隆史

 日本におけるオープンリー・ゲイの表現者としての大先輩、大塚隆史さんの最新著書。
 大塚さんが長年取り組んでおられる、恋愛の次段階としての「パートナーシップ」を、いかに育み保持していくかといった命題を、御自身の波瀾万丈のライフ・ヒストリーも交えて、平易な文章で論考されておられます。
 タイトルに「技術」とあるように、信頼のおける人間関係を築いていくための、ある種の指南書的な側面もあるので、そういったことで悩んだことがある人であれば、ゲイだろうとノンケだろうと、この本から何かヒントを得ることができるかも知れません。

『隊長ブーリバ(タラス・ブーリバ)』音楽三題

 前回、新作ロシア版映画のDVDについて書きましたが、それとは別に、これは全くの偶然なんですが、音楽でも最近『隊長ブーリバ』絡みのCDを続けて二枚入手したので、以前から持っていたもう一枚と併せてご紹介しませう。
フランツ・ワックスマンの『隊長ブーリバ』

cd_taras-bulba 『隊長ブーリバ/OST』フランツ・ワックスマン

 ユル・ブリンナー主演映画のサウンドトラック。ずっと廃盤状態で入手できずにいたところ、つい先日、リイシューCDが発売されたので、大喜びで購入したばっか。
 映画自体、ときおり「ミュージカルですか?」ってな感じがするくらい、音楽の比重が大きい作品なので、当然のごとくサントラも大充実。音楽で映像を饒舌かつ明快に彩ってくる、昔の劇伴の見本みたいな内容。
 中でも、この映画一番の見所(だと個人的に思っている)シーンで使われている「ドウブノへの騎行」(この曲自体は、前にここで紹介したオムニバスCDにも入っていましたが)は、やっぱり良いなぁ。ただ、私はワックスマンの音楽だと、その優美さに特に惹かれる(『フランケンシュタインの花嫁』の「創造」とか、『レベッカ』の「メイン・タイトル」とか)んですが、この『隊長ブーリバ』の場合は、そういった要素があまり感じられないのは残念。
 このCD、限定1000枚のプレスなので、欲しい方はお早めに。アマゾンでは扱っていないので、リンク先はサントラ専門店すみや楽天市場店です。

レインゴリト・グリエールの『バレエ組曲 タラス・ブーリバ』

Gliere: Taras Bulba/Stankovych: Rasputin Gliere: Taras Bulba/Stankovych: Rasputin

 先日ここで書いたように、グリエールが気に入ったのでイロイロと漁っていたら見つけたCD。早速注文したら、それ以前に注文した他のヤツより先に届いちゃいました(笑)。
 先日の映画は、ゴーゴリ生誕200周年でしたが、このバレエ曲は、没後100年記念に作曲されたものらしいです。次に紹介するヤナーチェクと比べるとかなり軽いですが、キャッチーなメロディーラインとカラフルなオーケストレーションが楽しめるのは、先日の『青銅の騎士』と同じ。
 民族風味は満載で、中でも、哀愁メロディの第五曲「広大なるウクライナの草原」とか、いかにもな感じの第九曲「ザバロジエ人の踊り」なんかがお気に入り。ただ、ある種の通俗性があるので、好きな人は好き、駄目な人は駄目、と、ハッキリ分かれそう。
 カップリングは、イーヴェン・スタンコヴィチの『バレエ組曲 ラスプーチン』。初耳の作曲家(1942年生まれなので現代の人)ですが、これはけっこう拾い物。
 現代的な和声を用いた不穏な雰囲気の中に、パッと印象的なメロディが登場する第一曲、ブカブカ鳴る金管に木管の速いフレーズが絡み、打楽器が打ち鳴らされ、一瞬雄叫びみたいなコーラスまで飛び出すという、まるでチェンバー・ロックみたいな第二曲、うって変わって美麗で雄大な第三曲、恐ろしげだけど感動的な第四曲……と、全曲かなり聴き応えあり。

レオシュ・ヤナーチェクの『交響的狂詩曲 タラス・ブーリバ』

ヤナーチェク:シンフォニエッタ/タラス・ブーリバ ヤナーチェク:シンフォニエッタ/タラス・ブーリバ

 これは以前から持っていたヤツ。カップリングは(っつーかメインは)『シンフォニエッタ』で、演奏はノイマン/チェコフィル。
 第一曲のロマンティックとダイナミックの対比、第三曲の民族味とコーダ部分の鐘と金管(ここは何度聴いても感動する)なんかが、それぞれ特に大好きポイント。第二曲は、静かなイントロが一転してテンポアップするところなんかは好きなんですが、最後がちょっと戯画的に過ぎる感じがするのが、個人的なマイナスポイント(って何を偉そうに)。
 主要登場人物三名の、それぞれの死の情景に絡めて作曲されているので、キャラクター性やストーリーを把握したうえで聴くと、なおさら興味深いです。
 因みに『シンフォニエッタ』の方は、(おそらく)ご多分に漏れず、あのファンファーレが大好きなので、やっぱ第一楽章(もう「おぉ〜、かっちょええ〜!」の一言)と第五楽章(後半で「待ってました〜!」って気分に)がたまりませぬ(笑)。優美さでスリリングさをサンドイッチしたみたいな第三楽章も好きだけど、同じ「好き」でも、その度合いはかなり違うかなぁ。第三楽章が「好き」なら、第一楽章は「チョー好き」ってカンジ(笑)

『青銅の騎士』グリエール

Reinhold Gliere: Bronze Horseman Suite/Concerto for Horn & Orchestra, Op. 91 『組曲 青銅の騎士/ホルン協奏曲』レインゴリト・グリエール
“Bronze Horseman Suite / Concerto for Horn and Orchestra” Reinhold Gliere
(Sir Edward Downes / BBC Philharmonic)

 訳あってプーシキンについて検索していたら見つけたクラシック音楽で、面白そうだったので購入。
 寡聞にして、私自身はこの作曲家の名前は初耳で、つい「何じゃそのチーズみたいな名前は」とか思っちゃったんですが(笑)、この『青銅の騎士』という曲、吹奏楽では有名らしいです。
 Wikipediaによると、グリエールは帝政末期のロシアからソビエト時代にかけて活躍した作曲家で、タネーエフの弟子で、プロコフィエフやハチャトゥリアンのお師匠さんとのこと。
 曲の方は、ロマン派+国民楽派といった感じ。判りやすくキャッチーなメロディーライン、カラフルで華麗なオーケストレーション、処々で顔を出すスラブ的な雰囲気……と、かなりツボのド真ん中を押される好みの作風。
 どうも、検索して判ったことを総合すると、革新性や独自性という意味では特筆すべき個性がなく、かつ当時でも既に時代遅れな作風だったために、忘れられ埋もれてしまっていたけれど、それらを抜きにして改めて振り返ると、親しみやすい佳品をいろいろと残した作曲家……ってな感じなのかな?
 バレエ音楽を基にした組曲『青銅の騎士』は、序曲の「まんまワーグナー!」なカンジにはちょっとビックリしましたが(笑)、その後繰り広げられる、活気のある情景では思いっきり楽しく、ロマンティックな情景では徹底的にウットリさせてくれる、メロディアスな曲の数々にすっかり魅了されました。とても視覚的な楽曲揃いで、リムスキー=コルサコフとか連想したり。
 中でも、ストラヴィンスキーの『ペトルーシュカ』から前衛性を抜いたとゆーか、あるいはケテルビーの『ペルシャの市場にて』を本格的にしたとゆーか、そんなカンジの第三曲(トラックは7番目)「踊りの場」なんか、特に好きだなぁ。
 あと、ラストを飾る壮大な第九曲(トラックは13)「偉大なる都市への賛歌」は、聴いていると、こちとらロシア人でもサンクトペテルブルグ市民でもないのに、ついつい愛国心に燃えちゃったりして(笑)、そのくらい気分が盛り上がります。
 カップリングの『ホルン協奏曲』も、聴き応えという点ではそれほどではないにせよ、やはりメロディアスで華麗で優美。時に柔らかく時に力強いホルンの音色や、キラキラしいオーケストレーションは、けっこう楽しめました。
 というわけですっかり気に入った(特に『青銅の騎士』は)ので、同じ作曲家の、やはりバレエ曲を基にした組曲『赤いケシの花』と、好みの題材を扱っている『交響曲第三番 イリヤ・ムーロメツ』を聴いてみたくなり、CDを追加注文。
 早く届かないかな〜♪

最近の500円DVD

 PD映画の500円DVDなんだけど、書籍扱いなのでアマゾンのDVD検索で引っかからないヤツの中から、わりと最近見たものを幾つかご紹介。
 どれも古い映画ですし、500円DVDなので画質とかはそれなりですけど、史劇好きなら見て損はないかと。500円だし(笑)。

ポンペイ最後の日[DVD] 『ポンペイ最後の日』(1935)アーネスト・B・シュードサック
“The Last Days of Pompeii” (1935) Ernest B. Schoedsack

 てっきり、エドワード・ブルワー=リットンの小説の映画化かと思ってたら、しょっぱなに字幕で「違います」と出てビックリ(笑)。
 ストーリーは、貧しいが正直者だった鍛冶屋が、身内の不幸などアレコレあって「金の亡者」と化し、剣闘士や商人などを経てのし上がっていくが、しかし……というのが本筋。それに、イエスの磔刑やピラトとの関係とかいった、聖書劇っぽい要素を絡めつつ、クライマックスのヴェスビオ山の大噴火というスペクタクル・シーンになだれこむ……という、実に盛り沢山で波瀾万丈なオリジナル・ストーリーです。
 まあ、パターンとしては『ベン・ハー』の焼き直しという感じだし、いかにも「キリストの話とポンペイの滅亡を一緒にすれば、ダブルでお得じゃない?」的な浅はかさが透けて見える感はあるんですけど、でも、ベタな娯楽作としては充分以上に面白い展開だし、たっぷり楽しめる内容になっています。「大作娯楽映画のクリシェは全部入れました!」みたいなサービス感も、また楽し。
 そういう意味では、クライマックスのポンペイの滅亡シーンが、実に上出来。町の崩壊もパニック・シーンも大迫力だし(ここいらへんは、スティーヴ・リーヴス版を遥かに上回ります)、はたまたジョン・マーティンばりの絵画的な構図が出てきたりで、もう大満足。ただまあ、そんな期待を裏切らない一大スペクタクルの中でも、「ほら、感動しなさい!」と言わんばかりのコテコテのドラマが、やっぱり出てくるんですけど、ここまで徹底してくれれば、もう目くじらもたてずに楽しく見られます(笑)。
 役者さんは、ピラト役のベイジル・ラスボーンという名前には、何だか見覚えがありますけど(フィルモグラフィーを見ると、エロール・フリンの『海賊ブラッド』『ロビンフッドの冒険』とか、タイロン・パワーの『怪傑ゾロ』とか、幾つか見たことのある映画はありますが、正直どんな役だったかまでは記憶になし)、それ以外は全く知らない方々。因みに主演は、プレストン・フォスターという人。物語の中で剣闘士になったりするので、そこそこ立派な体格。30年代から50年代にかけて、戦争映画とか西部劇に出ていたみたいですね。

ゴルゴダの丘[DVD] 『ゴルゴダの丘』(1935)ジュリアン・デュヴィヴィエ
“Golgotha” (1935) Julien Duvivier

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は、高名を知るのみで実は作品を見たことがなく、今回が初体験。
 DVDとしては、確か以前にも東北新社かどっかから出ていた記憶がありますが、そっちは既に廃盤みたいですね。内容は、イエスの生涯を、エルサレム入城から磔刑、復活までに絞って描いたもの。
 冒頭、エルサレム全景をスクリーン・プロセスでパンする映像から、神殿内でユダヤ教の祭司たちがあれこれ案じて会話する移動撮影になり、次にイエスのエルサレム入城をこれまた移動撮影で捉えたシーンに繋げ……という、有機的に連動した流麗なカメラワークによるオープニングが絶品。ただ、いざ本編に入ると、全体のバランスがいささかぎこちなくバラけている感があり、全体を通して何をやりたいのか、ちょいと焦点が絞り切れていないみたいな印象。
 とはいえ、捕縛シーンとかで見られるジョルジュ・ド・ラ・トゥールみたいな陰影法とか、ヘロデ・アンティパスのクローズアップで表現されるイエスとの対面シーンとか、映像的にはあちこち「おぉっ!」と目を見張らされる表現が。セットやモブのスケール感は大したものだし、イエスの造形が、映画だと良く見られるルネッサンス的なそれではなく、ゴシック様式の教会にある聖像のような、中世彫刻的なそれなのも興味深い。
 宗教的な解釈等は、特に目新しいものはなく、わりと「そのまま素直に」絵解きとして描いている印象。
 ただ興味深いのは、フォーカスが受難劇そのものではなく、その周囲の人間たちに置かれているということ。受難劇そのものは定型的なそれをなぞりながら、ポンテオ・ピラトや題祭司カヤパやイスカリオテのユダといった人物から、その場に居合わせた一般民衆など、周囲の人々の反応を、日常的な目線で細かく捉えていくという視点が感じられます。それを通じて、人間の「普通」な反応が、このような場では「卑俗」なものとして浮かびあがってくるので、それを見せることで「あなたならどうする?」という問いかけをする、という目的があるのかも。
 特に、鞭打ちのシーンで描かれる、まるで、人間には普遍的にサディズムが内包されている、と、示唆するかのような表現とか、カヤパやユダやピラトが、自らの保身ゆえに決断を下す部分が強調されていたり、十字架の道行き上でも、病気の治癒を求める人がいたり……と、人間の「身勝手さ」を問うような部分は、かなり興味深く見られました。
 役者さんは、私が知っているのはジャン・ギャバン(ピラト役)とエドウィジュ・フィエール(ピラトの妻役)のみで、イエス役がロベール・ル・ヴィギャン、ヘロデ役がアリ・ボールという人。さほど演技的な見所らしきものはなく、それより、前述したような役名もないような人々の表情とかの方が、印象に残る感じ。
 音楽がジャック・イベール。クラシック畑の人で、私は『寄港地』しか聴いたことがないんですけど、この映画の劇伴は饒舌すぎて、残念ながらあまり映像と合っていない感じ。
 あ、でも『寄港地』自体は、エキゾチカ音楽みたいで大好きです。
 こんな曲なんですが、レス・バクスター好きだったらゼッタイにオススメ。
 因みに、私が良く聴いていたのは、父親がLPで持っていたこのアルバム。

ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」 [XRCD] ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」
シャルル・ミュンシュ指揮・ボストン交響楽団

 そういや、CDではまだ持っていないなぁ、今度買おう。

鉄仮面 [DVD] 『鉄仮面』(1929)アラン・ドワン
The Iron Mask (1929) Allan Dwan

 ダグラス・フェアバンクス主演の痛快娯楽活劇。原作はもちろん、アレクサンドル・デュマ(大デュマ)の『鉄仮面』こと『ブラジュロンヌ子爵』。
 ダグラス・フェアバンクスも、名を知るのみで映画は見たことがなかったので、これが初体験。なるほど、ここからエロール・フリンやタイロン・パワーへと、系譜が繋がっていくのかな、なんて感じで納得の、西洋チャンバラ映画でした。
 ストーリー的に『三銃士』とかよりも怪奇味が強いので(子供の頃に児童向けのバージョンで読んだときも、けっこう怖かった覚えが……)、とうぜんそれっぽい雰囲気もあるんですが、でもやっぱり楽しい痛快活劇といった印象が上回る。とにかく調子よく話がパッパカパッパカ進むので、見ていて楽しいことこの上ない。
 というのもコレ、サイレントとトーキーの過渡期のものらしく、基本はサイレントで役者の声は入っておらず、でも中間字幕ではなく、状況やセリフはナレーションで説明される、というもの。それに加えて、全編景気の良い音楽も鳴り響くので、動く絵付き(それもコマ落とし調でパタパタ動く)の楽しい語り物といった味わい。こーゆータイプの映画って、たくさんあるのかなぁ。すっかり気に入っちゃったので、もっと見てみたいカンジ。
 スケール感は申し分ないし、美術も凝っていてステキだし、サイレント映画は退屈だって人でも、これは楽しく見られると思います。ウチの相棒なんか、大喜びしてました(笑)。

予約したモノと検討中のモノ

八甲田山 八甲田山
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2009-11-20

 祝・初CD化! 発売を知って、即予約。
 芥川也寸志は、正直なところ、私の好みとはちょっと外れる部分もなきにしもあらずなんですが、これはガチで好きです。

THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD] THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD]
価格:¥ 7,140(税込)
発売日:2009-11-06

 祝・日本盤発売! 即予約。
 前にここで紹介した、タイ製歴史スペクタクル映画『キング・ナレスワン(King Naresuan)』の第1部と第2部が、併せて待望の日本盤DVDに。
 あと一ヶ月〜、うほほい、うほほい(歓喜の舞い)。
 さあこの勢いで、『クイーンズ・オブ・ランカスカ』、『スリヨータイ』、『バーン・ラジャン』も、ぜひ!

手塚治虫 生誕80周年「冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集」
価格:¥ 10,500(税込)
発売日:2009-11-18

 検討中。
 5枚組ということで、かなり惹かれているんですが、具体的な収録曲の情報が、まだどこを探しても出ていないので、検討&保留中。
 主題歌ばっかだったら、欲しいヤツは既に大概持っているからパスだし、前に出た『ジャングル大帝BOX』とか、ガキの頃から愛聴している交響組曲版に+αした仕様とかだったら、これまた持ってるから意味ないし。
 でも、『リボンの騎士』の主題歌インスト版とか、『クレオパトラ』の劇伴とかが入っていたら、問答無用の即買い。

ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD] ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD]
価格:¥ 9,975(税込)
発売日:2009-10-21

 検討中。
 超偏愛映画なので、問答無用で買い……と言いたいところなんだけど、アメリカ盤、旧盤ときて、更にこれを買うと3枚目になってしまう(LD時代から数えたら4枚目だ)から、つい二の足を。特典も、未公開映像は見たいけど、ドキュメンタリーとなると、ちょっと微妙だしなァ……。
 デジタルリマスターも魅力だけど、旧盤も別に画質がアレだったってわけでもないし……だったらいっそ、ブルーレイで出してくれりゃ、これを機会にハードも併せて買っちゃおうか、ってなくらい、好きな映画なんですけどね。
 う〜ん、悶々。

最近のBGM

Cantus Buranos 2 “Cantus Buranos II” Corvus Corax

 前にここで紹介した、何故かヘビメタ好きにウケている(らしい)、ドイツの古楽演奏グループCorvus Coraxの、昨年発売されたアルバム。カール・オルフが楽曲化したことで有名な中世詩歌集『カルミナ・ブラーナ』を基に、オルフとは異なった新たなオリジナル楽曲として作曲演奏するプロジェクトの、これが二枚目らしいです。
 メンバーによる古楽器の演奏だけではなく、大規模なオーケストラとクワイヤを導入。というわけで、荘厳さが格段にアップ。同時に、大仰さも大々的にアップ(笑)。
 感触としては、楽器構成やヴォーカルなんかはクラシック寄りなんですけど、曲のノリは相変わらずロック的なので、オーケストラ曲なのに、ヘドバンしたくなってきます(笑)。
 ヴォイチェフ・キラールのオッカナイ系楽曲好き、エピック映画のバトルシーンみたいな派手目な映画音楽好き、荘厳でゴシックな雰囲気が好き、大仰なプログレが好き……なんて方々にはピッタリかと。

El Che Vive! “El Che Vive!” various artists

 チェ・ゲバラへのトリビュート曲を集めたオムニバス盤。カルロス・プエブラ(Carlos Puebla)、ヴィクトル・ハラ(Victor Jara)、アタワルパ・ユパンキ(Atahualpa Yupanqui)、マリア・ファラントゥーリ(Maria Farandouri)なんかの歌を18曲収録。19トラックめには、演説するゲバラの肉声も。
 キューバ、チリ、アルゼンチン、ウルグアイといった、ラテン・アメリカ諸国のミュージシャンが主ですが、ギリシャやフランスやロシアといった国のものも数曲あり。
 個人的には、マカロニ・ウェスタンの主題歌みたいなPatricio Manns(パトリシオ・マンス?)、切々としたユパンキ、フォルクローレっぽいAngel Parra(アンヘル・パラ?)といった曲が気に入りました。逆に苦手だったのは、ミュージカルの舞台みたいなMiguel Angel Filippini(ミゲル・アンヘル・フィリピーニ?)の二曲。
 ハードカバーのデジパック仕様で、本体と一体化したブックレットは、ゲバラのミニ写真集的な趣もあり。ただ、歌詞の英訳が付いていないのは残念。このテの歌は、やっぱり詩を理解しないで聴いても、あまり意味がないからねぇ……。

cd_il-ladro-di-bagdad “Il Ladro di Bagdad” Carlo Rustichelli

 DIGIT MOVIESから出ている、イタリア製ソード&サンダル映画の復刻サントラ第13弾、スティーヴ・リーヴス主演の『バグダッドの盗賊』。
 映画の方は、色彩感覚がカラフルでポップで、ファンタジックで愛らしくて、内容もそこそこ楽しめるとゆー、軽〜い娯楽作。音楽の方も似た感じで、軽〜くイージーリスニング的には楽しめます。
 ただ、映画が「そこそこ」止まりなように、音楽も、やっぱ「そこそこ」。プラスαの魅力や、特徴には欠けるかな。とはいえ、映画の題材が題材なので、音楽の方にもエキゾチカ風味があるのは、個人的には嬉しいところです。
 CDは、いつものようにピクチャーディスク仕様で、ブックレットにもスチル写真がアレコレと。リーヴスの脱ぎ場も責め場もロクにない映画だったハズなのに、裏ジャケとかディスクの下とかいった目立つ場所に、それぞれセミヌードやら首を絞められてる格闘シーンとかが載ってるのは、マニア向けのサービスかしらん(笑)。