音楽」カテゴリーアーカイブ

つれづれ

dm_group_naomichi
 奥津直道さんから、グループ展のご案内をいただきました。

gender series vol.2『男が描く男・女が描く女』
2009.6.8(月)〜6.14(日)
12:00-19:00まで/最終日17:00まで
ジェンダーシリーズの第二回目として「人物」を取り上げてみた。同性が描く同性の像は、異性が捉えるものと微妙な温度差があるように思う。どこに魅力を感じ、どのような世界観を伝えたいのか八人の作品の中から見えてくるものを検証したい。/柴田悦子画廊
出品作家: 阿部清子/奥津直道/勝連義也/木村浩之/伴清一郎/平野俊一/佛淵静子/松谷千夏子
柴田悦子画廊
〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-1第3太陽ビル2F
TEL & FAX:03-3563-1660
http://www.shibataetsuko.com/

 私が監修および出品している「伊藤文學コレクション/薔薇族周辺のゲイ・エロティックアート展」と、会期も重なっているし会場も近くなので、来週以降銀座にお出かけする方は、ぜひハシゴしてみてはいかがでしょう?

book_zangeroku
 ポット出版さんからご本をいただきました。

『懺悔録〜我は如何にしてマゾヒストとなりし乎』沼正三
戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』の著者・沼正三、ついに逝く─
●沼正三がその死の直前までSM専門誌「S&Mスナイパー」(ワイレア出版、現在は休刊)に書き続けた実体験エッセイ、「ある異常者の体当たり随想録」から選集。
●未完の短編小説「化粧台の秘密」、2006年に受けた生前のインタビューを特別収録!!
出版社による本の紹介ページ

 現在締め切り明けホヤホヤなので、まだ序文とインタビューしか読んでいないんですが、なにはともあれ、この装丁がカッコイイなぁ。
 上の書影では判らないと思いますが、風合いのあるマットな黒の中に、バーコ印刷(だと思う)で入れてあるグロスの黒のワンポイント。カバーを外した本体も、黒の中に黒でデザインされていて、光の当たり方で文字や図柄が浮かびあがってくる。
 ステキ、ステキ。所有しているのが嬉しくなっちゃうタイプのご本でした。
 アマゾンでのお買い求めは、こちらから。

CD_MOROCCO
 音楽は、ここんところモロッコで買ってきたCDばっかり聴いています。
 どこの国の音楽でも、私は懐メロ系というか、古めの録音のものが大好物なので、今回の旅行でも「なんか古いのちょ〜だい!」と言って買ってきました(笑)。
 ただ、帰国してから検索してみたんですが、左上のNass El Ghiwane(ナス・エル・ギワン)以外の情報は、ほぼゼロだったので、詳しいことは何も判りません。
 まず、そのNas El Ghiwaneから。ガイドブックにも書いてありましたが、70年代にこのNass El Ghiwaneが、グナワなどのモロッコの民族音楽を発展させた大衆音楽を発表したことによって、モロッコにバンド・ブームのようなものが起こったそうです。「モロッコのビートルズ」とか「モロッコのローリングストーンズ」なんて異名もとっているとか。
 確かに、伝統音楽をルーツにしつつも、グルーヴィなポップさがあるような。聴きやすい反面、トランス感はあまりなし。
 右上のIzanzarenは、もっとルーツ寄りなのかな。一曲一曲が長いし、聴いていて何となく語り物みたいな感触がある。ゆったりとした長い前奏は叙情的にしっとり聴かせ、それからテンポがアップ。パーカッションと撥弦楽器のアルペジオのリフレインに乗せて、ソロや掛け合いやコーラスで、どこかノスタルジックな感じのするメロディーを聴かせてくれます。
 いやぁ、これは個人的に大当たり。いぶし銀といった感じの柔らかなオヤジ・ヴォーカルの魅力もあって、何とも癒される。ダウナー系のトランス感もあり。
 ちょっと面白かったのは、聴いていて「え? これ、インドかネパールの音楽じゃないの?」とか、「まるで沖縄民謡!」みたいな曲がありました。全体的に、アッパーなグルーヴ感はなし。
 左下のH. Mehdi b. Mubarekは、Izanzarenより更に激シブ。
 ヴォーカル自体は、Izanzarenより張りがあって、唱法も歌い上げる感じなんですが、無伴奏の独唱に、擦弦楽器や撥弦楽器や笛やコーラスによる短くてシンプルなメロディーが、合いの手みたいに入ってくるだけ……と思いきや、一瞬だけ金属質のパーカッションが乱入してきて、ぐわっとテンションが上がった……かと思ったら、次の瞬間にはもう退場、ふたたび渋〜い歌が……ってな塩梅。ダウナーなトランス感が、Izanzarenより更にアップ。
 あと、これまたちょっと面白かったのが、笛が入ってくる曲が、音の質感やメロディーのせいか、何だかバルカン音楽っぽい感じに聞こえました。
 右下のArchach(これがホントにグループ名なのかどうか自信なし)は、Nass El GhiwaneとIzanzarenの中間な感じなので、ひょっとして件のバンドブームで出てきた人たちなのかも。
 ユニゾンのコーラスと撥弦楽器とパーカッションのリフレインに、後半部分的にアドリブっぽいフレーズが絡んでくるとか、ソロの語り物みたいなルーツ寄りっぽいものもあれば、そこにドラムセットが加わってグルーヴ感がアップしている曲もあり。Nass El Ghiwaneよりポップ感はないけれど、まったりとした和み度はアップ。
 という感じで、けっこうどれも気に入って愛聴しています。
 モロッコ音楽って、実は今までハッサン・ハクムーンとかグナワ・ディフュージョンくらいしか聴いたことがなく、さほど「好き!」って感じでもなかったので、今回の旅行ではCDはちょびっとしか買わなかったんですが……しまったな〜、こんなに気に入るんだったら、もっといっぱい買ってくれば良かった(笑)。

テンションを上げたいときに聴く現代音楽集

 ここんところ締め切りが連続しており、全部終わるまで気を抜けない状態なので、マンガ描くのにもテンション上げていきたい。
 というわけで、ここんところ作業中は、もっぱらこんなのをBGMにしてますよ、というのを、YouTubeからピックアップしてみました。
ヒナステラ『バレエ音楽 エスタンシア』
Alberto Evaristo Ginastera “Estancia”
 ストラビンスキーとラテン音楽が合体したみたいで、もうアゲアゲのカッコよさ。

 CDは、これ
キラール『オラヴァ』
Wojciech Kilar “Orawa”
 映画音楽で知って以来、オリジナルにもハマりました。特に『クシェサニ』がサイコ〜! なんですが、残念ながらYouTubeにはなかった。

 CDは、これ。『クシェサニ(Last.fmで試聴)』も入っているし、ダークで内省的な『コルベ神父へのレクイエム』も素晴らしいので、オススメの一枚。
ゴリホフ(ゴリジョフ)『歌劇 アイナダマール(涙の泉)』
Osvaldo Golijov “Ainadamar”
 フェデリコ・ガルシア・ロルカをテーマにした現代オペラなんですけど、馬の蹄の音が、そのままカスタネットの音に重なっていく前奏曲から、もう心は鷲掴み。クラシックとフラメンコとサンプリングが入り乱れる、ジャンル不問、ボーダレスな傑作。

 CDは、これ
伊福部昭『シンフォニア・タプカーラ』
 テンション上げたいとき、やっぱ伊福部センセイは定番です、私の場合(笑)。

 CDは、これ
 オマケ。
キーニ(クーネ)『エレベーター・ミュージック』
Graeme Koehne ” Elevator Music”
 YouYubeに映像はなかったけど、これも現在ヘビーローテーション中の一枚で、オーケストラ版ルンバ。(Last.fmで試聴)
 バーンスタイン(『ウェストサイド物語〜シンフォニック・ダンス』とか)や、ゲルニカ/上野耕路(アルバム『新世紀への運河』とか)を好きな方にオススメしたい逸品。
 CDは、これ

シャハラーム&ハーフェズ・ナーゼリー”The Passion of Rumi”、追補

 前回に引き続き、今回も前々回に紹介したCDの追補で、シャハラーム&ハーフェズ・ナーゼリー編。
 YouTubeにライブ・ビデオが幾つかあったので、二つほど見繕って貼ってみます。
 CDと同じく、ペルシア古典楽器のみによるアンサンブル。

 ケマンチェ(胡弓みたいなペルシアの擦弦楽器)がチェロとヴァイオリンに置き換わった、少し西洋寄りのアンサンブル。

 改めて調べたところ、件のCD”The Passion of Rumi”の収録曲は、シャハラーム・ナーゼリーのMySpaceで、2曲が試聴可能でした。変拍子に乗せて9分以上繰り広げられる表題曲は、まさに圧巻。プログレ好きにもオススメです(笑)。
さて、これらが気に入った方には、こっちのアルバムもオススメ。
Cd_book_of_austerity“The Book of Austerity” Shahram Nazeri + Farrokhzad Layegh
 シャハラーム・ナーゼリーが、Farrokhzad Layegh(えーっと……ファロゥザード・ライェー? ははは、読めやしない)という、若手(46歳だから、古典音楽の世界だと、たぶん「若手」なんだと思う……)作曲家と組んだアルバム。
 この作曲家は、ハーフェズ・ナーゼリー同様に、やはりペルシア古典音楽と西洋音楽を共に学んだ人のようです。こちらは、ルーミーのような古典ではなく、現代の詩人の作品をベースにしたもの。
 アンサンブルは、ペルシア古典楽器による六〜七人編成。”The Passion of Rumi”では使われていなかったサントゥール(ツィンバロムやダルシマーみたいな打弦楽器)が加わり、この楽器の音が好きな私には嬉しいポイント。
 知識がないのでアバウトな印象ですけど、音楽としては、ハーフェズ・ナーゼリーよりも伝統寄りな感じ。それとも、ひょっとしてこれは、クルド的な要素が希薄ってことなのかしらん……。う〜ん、ヨーワカラン(笑)。
 エグゼクティブ・プロデューサーにハーフェズ・ナーゼリーの名があり、彼のMySpaceで4曲が試聴&ダウンロード可能。構成も複雑で聴かせる長尺の曲がないのが残念だけど、とりあえず、ダイナミズムやミニマル的な酩酊感なら”Ardor”、ECMとかの内省的な雰囲気な曲が好きな人だったら”Oceanic Chant”なんか、いかがでしょう。
“The Book of Austerity” Shahram Nazeri + Farrokhzad Layegh(amazon.co.jp)

クジェシミール・デブスキの『ファイアー・アンド・ソード』サントラ関係

 前回のエントリーに関連して。
 クジェシミール・デブスキによる『ファイアー・アンド・ソード』のサントラですが、ファンが多いのか、YouTubeにMADビデオがウジャウジャあったので、良心的(笑)なものを幾つかセレクトして、貼ってみませう。
 いや、マジで好きなサントラなので、布教活動だと思って(笑)。
 メイン・モチーフ。哀愁泣きメロ。

 エピックな感じの変奏。荘厳です。

 コサックの進軍。ガンガンいきます。

 で、こっちがポーランド軍。こっちも負けてません。

 愛のテーマ、みたいなもの。美麗。

 ウクライナ賛歌、みたいなものなのかな? 原曲は民謡かも。

 前回、国内での取り扱いは見つからずと書きましたが、改めて検索してみたら、Vol.1と2のセットが、楽天市場のここと、Yahoo!ショッピングのここにありました。
 あと、Vol.1のみだったらHMVのカタログにもありました。
 amazon.co.jpのカタログにもあるんですけど、こちらは残念ながら、「現在お取り扱いできません」状態。
 ついでにオマケ。
 前にここでちらっと触れた、ホセ・クーラとエヴァ・マラス=ゴドレフスカの共演盤『ソング・オブ・ラブ』から、クジェシミール・デブスキ作曲の表題曲をば。アンドレア・ボチェッリとかサラ・ブライトマンとか、そこいらへんのテイスト。

 CDは既に廃盤みたいですが、amazon.co.jpのマーケット・プレイスには出ています。

最近のお気に入りCD

Cd_passion_of_rumi“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri
 現在におけるペルシア古典声楽家ツートップの一人、シャハラーム・ナーゼリーが、息子ハーフェズ・ナーゼリーと共演したアルバム。
 スーフィズムの詩人ルーミーの詩を元に、息子ハーフェズが作曲したもので、小編成のペルシア古典楽器によるアンサンブルの演奏に、父シャハラームの、繊細かつ情熱的な、美しくも力強い歌声が響き渡る。
 ハーフェズは、アメリカで西洋クラシック音楽も学んだそうで、なるほど、確かに通常のペルシア古典音楽とは、ちょっと味わいが異なっています。曲調は緩急がはっきりしており、展開もドラマティック。そのせいかシャハラームの歌も、普段より更にエモーショナルな感じもします。
 主題の変奏も聴き応えがあるし、西洋的な和声も取り入れられているので、ペルシア古典音楽はもとより、民族音楽全般に馴染みのない方でも、すんなり入り込めそう。神秘的で美しく、哀感を帯びながら情熱的で、ジャンルを問わず、音楽として実に素晴らしい。オススメです。
“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri (amazon.co.jp)
Cd_morteza_mahjoubi_p1“The Art of The Piano” Morteza Mahjubi
 1900年生まれのイラン人ピアニスト(1965年没)による、ペルシア古典音楽をピアノで演奏したアルバム。
 ピアノが、微分音のある伝統的なペルシア音階(乱暴に言うと、ミとファの間に、もう一つ音があるってこと)に調律されているので、ペルシア音楽やアラブ音楽を聞き慣れない人には、かなり不思議に感じられるかも知れませんが、とにかく優美で美しい音楽。第二集も出ています。
 録音が古いので、とうぜん音質もいささかこもり気味ですが、ノイズや歪みは皆無で、逆に、このくぐもったような柔らかさが心地良いくらい。ペルシア古典音楽好きにはもちろん、音響派とか現代音楽、アンビエント好きにもオススメ。
 残念ながら、amazon.co.jpやHMVといった大手では、取り扱いがないみたいですが、日本国内で輸入販売しているところも幾つかあるようです。因みに私は、ここで購入。
 あと、iTunes Storeでダウンロード購入も可能です。こちら
Cd_high_kings“The High Kings” The High Kings
 見事なコーラスワークを、アカペラとトラッド楽器のアンサンブルを取り混ぜて聴かせる、アイリッシュ・トラッド、男性4人組。
 ケルト的な泣きのたっぷりあるスローバラード、ジグやリールなどの舞曲系、叙事詩的で壮大な曲など、選曲のバランスは申し分なく、演奏も、地味すぎず大仰すぎずといった感じで、実にバランスが良ろしい。
 歌い方にグリークラブ的なお行儀の良さがあって、フォークロリックな荒さがないので、トラッドにあまり馴染みのない方でも、すんなりと聴きやすいはず。ケルトっぽいの好きだけど、いっぱいありすぎてどこから手を出していいかワカンナイなんて方には、特にオススメかも。
“The High Kings” The High Kings (amazon.co.jp)
 以下三枚は、映画のサントラ。
Cd_stara_basnCd_gniem_i_mieczem_12Cd_alatriste
 左が『THE レジェンド 伝説の勇者/Krzesimir Debski』。ハリウッド的なエピック調に、ポーランドっぽい民族性が加味された好スコア。エンドクレジットで流れるポップス調の主題歌も、ちゃんと入っています。
 中央が『ファイヤー・アンド・ソード/Krzesimir Debski』。前にここで紹介したサントラ盤と、それとは別売の、劇中歌などを収録した第二集を、一つのパッケージにカップリングした二枚組。
 この二つは、日本国内で取り扱っている様子はなし。因みに私は、ポーランドのショップから個人輸入しました。
 右が『アラトリステ/Roque Banos』。スパニッシュ・ギターをフィーチャーした哀愁タップリの曲や、宗教歌風の荘厳な曲など、聴き所は様々で聴き応えも大いにありますが、やはり何と言っても、エンディングで流れる”Fanfarre y creditos”が、燃えるわ泣けるわ荘厳だわで、もう最高!
 これは、amazon.co.jpでは在庫切れですけれど、タワレコにはまだ在庫があるようなので、欲しい方はお急ぎあれ。こちら

たまにはゲイ系YouTube映像とか

 YouTubeにあるゲイ系映像のお気に入りを幾つか。
 あ、あらかじめ言っときますけど、エロいのはないですよ(笑)。
 MySpaceで知り合った、フランスの映像作家tom de pekinの、”jean, paulo, erik, riton”という、ジャン・ジュネをモチーフにしたアニメーション作品。

 毒を含んだキュートなポップさ、パタパタ動くちょいガロ系な感じのドローイングと、BGMに使われているMikadoを彷彿とさせるエレポップのマッチング、ってなところが好き。
 気に入ったら、同じ作者による、ピエール・モリニエをモチーフにした同傾向作品、“molinier is my revolution”も、ぜひどうぞ。
 Tomboyのゲイ・アンセム・ソング、”Its O.K. 2 b gay”(「ゲイでいいんだよ」ってとこでしょうか)のPV。

 ハッピーなダンス・チューンで、過剰さや人工性や祝祭性といった、いわゆるゲイ・テイストを前面に出した典型的な例。
 クローゼットにかかったチェーンを切るシーンから始まり、最後は「このビデオの制作にあたって、ストレートを虐待していません」というエンド・クレジット(ハリウッド映画の最後に出てくる「動物は虐待していません」のパロディね)で締めるといった、洒落っ気もステキ(笑)。
 アルゼンチン出身の映像作家Javier Pratoのショートフィルム、” Jesus Will Survive – Jesus Christ! The Musical”。

 一発ネタみたいな内容ですが、初見時のショーゲキがスゴかった(笑)。作家ご本人がゲイかどうかは不明だけど、曲のセレクトからしてゲイゲイしいです。
 ただし、マジメなクリスチャンの方は、見ない方が吉かも。
 オランダの熊系アイドル・グループ(?)、Bearforce1(オフィシャル・サイトによれば、「世界初、”真のベア・バンド”だそうな)の”Shake That Thing”のPV。

 テイストが、日本の野郎系ゲイ・ナイトとかで見られるパフォーマンスに近いので、何となく親近感が(笑)。必要以上のナルシシズムや露悪趣味がない、自然体な感じがするのが好き。
 今年のアムステルダム・ゲイ・プライドのライブ映像もありますが、さすがアムステルダム、船で運河をパレードしてます(笑)。

最近お気に入りのCD

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“Meek Warrior” Akron/Family
 Larkin Grimmが気に入ったので、フリー・フォーク周辺を漁っているうちに見つけた一枚。
 音的には、完全に60’s〜70’sのサイケデリック音楽のテイスト。基本は、アコースティック・ギターをメインにした美麗メロディーに、ゆる〜い男声ヴォーカルが乗るアシッド・フォーク風のものが多いが、中には、パーカッションやギターノイズなどによるインプロヴィゼーションが繰り広げられるといった、サイケデリック・ロック風もあり。メンバーのルックスも、ヒッピーとかナチュラリスト風です。
 一番のお気に入りは、前述のアシッド・フォーク風で始まり、そこにウィンド・インストゥルメンツやドローン的なホーンが加わり、更にエスニックなテイストも感じさせながら、ダウナーでトランシーなインプロが延々と展開される4曲目”No Space In This Realm”。これは、かな〜りキモチイイ。バンドのMySpaceでフルコーラス聴けますので、よろしかったらお試しあれ。
“Meek Warrior” Akron/Family (amazon.co.jp)

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“Sun Giant” Fleet Foxes
 これも、フリー・フォーク周辺で見つけたグループ。これまた、60’s〜70’sっぽいテイストが濃厚で、メンバーのルックスも、やっぱ長髪+ヒゲという、その時代風。
 様々な楽器を使った、良く練られて繊細なアンサンブルは、何となくPearls Before Swineとかを連想させるせいか、アシッド・フォーク風ではありますが、エバー・グリーン・ポップといった感じのメロディアスな曲を、優しいコーラス・ワークで聴かせてくれるあたりには、The Beach Boysみたいなメジャー感もあり。かと思えば、トラッド風の香りもちょっとあったりして、全体的に、基本的な雰囲気は陽性なんだけど、同時にその中に湿った翳りも感じさせるのが、かなりヨロシイ。トランス感はなし。
 一番のお気に入りは、牧歌的な雰囲気に程よくタイトさが加わった3曲目”English House”。これまたMySpaceでフルコーラス聴けるのでオススメ。あと、このEPには収録されていない曲ですが、同じページで見られる、人形アニメーションによる”White Winter Hymnal”という曲のPVも良いですよ。
“Sun Giant” Fleet Foxes (amazon.co.jp)

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“Venus Vina Musica” Corvus Corax
 え〜、ジャンルはガラリと変わります。いちおう、フォーク・メタルとかメディーバル・メタルとかいうジャンルに、分類されてることが多いみたいなんですが、それに関しては後述。
 興味を持ったきっかけは、グループのルックスでした。パンクかゴスかといったヘアスタイルやメイクをした半裸の男どもが、古楽器や民族楽器(バグパイプやらハーディ・ガーディとか)を持っている写真を見て、「うわ、何じゃこりゃ」と思って聴いてみたのがきっかけ。具体的には、これをご覧あれ(笑)。
 ルックスは完全にイロモノっぽいんですけど、音の方は意外としっかりとした古楽です。ただ、古楽を貴族的や教会的にではなく、それを大衆的な土俗性という視点で解釈して演奏している。
 というわけで、はっきり言って音的には、メタルはおろかロックでもない。しかし、解釈や演奏姿勢がロック的。ロックというスタイルの中に古楽を取り入れるのではなく、また、古楽を電気楽器で演奏するのではなく、古楽を古楽器を使いながらロック的に演奏している。これは、かなり面白いしカッコイイ。最近一番のヘビー・ローテーションです。
 というわけで、後期のDead Can Danceとかが好きな方には、もちろんオススメなんですけれど(あ、平沢進が好きな方とか、シアトリカルなプログレ好きにもいいかも)、デヴィッド・マンロウやグレゴリオ・パニアグアなんかがお好きな方にも、それらと比較しながら、再現としての古楽ではなく再生としての古楽とか、或いは古楽のトライバル的な側面といった感じで聴かれると、面白いかも知れません。
 個人的には、幻想としてのゴシックっぽい音楽は好きなんだけど、耽美性や大仰さが前面に出すぎるものは苦手だし、かといってシンフォ系プログレやメタル系の様式美も苦手だし……ってなところに、上手い具合にハマってくれた理想的な「マッチョ・ゴシック」、ってな感じでした(笑)。
 とりあえず、このアルバムの収録曲はないんですけどLast.fmで試聴していただければ、全体の雰囲気は掴めると思います。
“Venus Vina Musica” Corvus Corax(amazon.co.jp)
 因みに、ステキなジャケット(笑)なベスト盤も出ていますが、選曲が、ちょっとロック的に聴きやすいものに偏っている節があるので、古楽的な興味で聴くのなら、ベストではなくアルバム単位のほうがいいと思います。

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“Mongol (O.S.T.)” Tuomas Kantelinen
 前にここで、「サントラ買う気満々で映画館を出たんですが……残念、出てないのね」と書いた、映画『モンゴル』のサントラ盤、無事に外国盤で出たのでゲット。
 が、下調べをを怠ったため、曲数が少ないのに気付かず、アメリカ盤を買ってしまった……。リンク先のイギリス盤を買い直すかどうか、思案中(笑)。
“Mongol (O.S.T.)” Tuomas Kantelinen (amazon.co.jp)

続・finetuneとか

 前回のエントリーで書いたfinetuneですが、今度はもうちょっとジャンルを絞ったプレイリストを作ってみました。ノスタルジックをキーワードに、トラッドを中心にして、プラス映画のサントラなんかも、ちょっと混ぜてみたり。

 スティーライ・スパンやジョン・レンボーン・グループがちゃんとあったのは嬉しいけど、でもカパーケリー(カパケリ)の『クロスウィンズ』やジューン・テイバーの『アカバ』がなくて残念とか、アンディ・スチュアート&メイナス・ラニーの『ダブリン・レディ』もなかったけど、表題曲だけはオムニバスに入っているのを発見できて嬉しかったとか、でも、ザ・コリーズの「グレンリヨンの悲歌」やプランクシティの「タイム・ウィル・キュア・ミー」といった、死ぬほど好きな曲がなくって残念とか、いろいろとデータベースを掘っくりかえしているだけで、けっこう楽しいです(笑)。
 それに、データベースに入っている曲は、それぞれ30秒ずつ試聴ができるので、今まで名のみ知るのみで実際に曲は聴いたことがなかったアーティストを、いろいろ発掘できるのも嬉しいですね。
 気に入ったアルバムが見つかれば、そこからダイレクトにアマゾンの商品ページへ飛べるんですが、これは残念ながら、当然アメリカのアマゾンです。ただ、同様にiTuneミュージックストアへも飛べるので、ダウンロード購入をする方だったら便利なのでは?
 あと、このBlog絡みで言うと、前にここで紹介している、『オリバー・ツイスト』や『ケリー・ザ・ギャング』のサントラなんかも、今回のプレイリストには入れてみました。
 また、掘っくりかえしているうちに、やはり前にここで「ハマっている」と書いた、18世紀アメリカの宗教合唱曲のSocial Harp(Shape notes)の、なかなか良いヤツを見つけたので、これもCDは持ってないけど追加。
 そんなこんなで、よろしかったらお聴きあそばせ。

finetuneとか

 finetuneという音楽ベースのSNSが、ちょっと面白そうだったので覗いてみました。
 登録(無料)すると、200万曲のデータベースの中から、自分で選曲したプレイリストを、ストリーミング配信できます。全米レコード協会が設立した、SoundExchangeという機関を通しているので、著作権的にも合法。
 イマドキの洋楽はもとより、クラシック・ロックからプログレ、テクノやハウス、フォークやトラッドやカントリー、ワールド・ミュージックに民族音楽、クラシックから現代音楽……などなど、ジャンルの幅が広いのも嬉しい。ま、流石にJ-Popは少ないし(それでも、あるだけでもスゴいけど)、ヨーロッパ系も弱い印象はありますけど。
 プレイリストを公開するには、一つのリストに45曲以上含まれていることと、一アーティストにつき三曲までという条件をクリアすることが必要。また、再生はランダムで、数曲以上は続けてスキップできない、という制限もあり。
 というわけで、ちょっくら自分でもプレイリストを作ってみたので、公開してみませう。

 曲のジャンルは、現代音楽に民族音楽にテクノに……とゴチャマゼですが、個人的に「クラクラするくらい気持ちいい〜ッ!」ってな曲を集めたもの。ひょっとしたら、聴いているとトリップできるかも(笑)。
「そーゆー、ワケノワカンナイのはイヤ!」な方には、こちらをどうぞ。

 これまた、時代もジャンルもゴチャマゼですが、Pop寄りで大好きな曲ばかり集めてみました。中には「どこがポップなんじゃい!」ってな曲もあるかも知れませんが、ま、私にとってはPopに感じられるということでご勘弁を(笑)。
 こーゆーのって、個人のホームページのプロフィールに、「好きな音楽」って感じで貼っ付けても面白そう。現に、プレイリストにはMySpace用のembedコードとかがあったし。
 音楽好きの方、よろしかったら一度お試しあれ。

写真撮影と『アイアンマン』とLarkin Grimmと『ラビナス』

 先日、イタリアの出版社の人と会って、自宅近郊のカフェでインタビューを受けました。日本語ペラペラの方なので、インタビュー自体は苦もなく終わったんですけど、問題は、その後の写真撮影。
 撮影の場所が、そのカフェの入っているビル内や、近くの路上だったんですが、人通りが多い場所の上に、カメラマンがガイジンさんだってのも悪目立ちするのか、道行く人にジロジロ見られる。
 いや、もともと写真を撮られるのには慣れていないけど(いつもシャッター降りる直前に、自分の軀が緊張でブルブル震えるのが判るんですよ)、地元で写真を撮られるのが、こんなに恥ずかしいとは……(笑)。
 この写真やインタビューは、来年イタリアで刊行される予定の、私のマンガ単行本と出版社のウェブサイトなんかに掲載される予定ですが、まぁ、過去の経験から言って、海外での出版は予定が遅れて当たり前なので、果たして日の目を浴びるのはいつになりますやら(笑)。

 海外出版の刊行の遅れというと、一昨年だったかに契約書にサインした、次のフランス語版単行本なんか、諸般のトラブルで遅れに遅れまして、もう半分諦めかけてたくらいなんですが、先日ようやく、翻訳が完了したので出版準備に入りたいという連絡がありました。
 で、急遽カバー画なんかを描くことになったんですが、この単行本の表紙廻りの打ち合わせをしたのは、もう去年の夏のこと。もともと整理整頓が苦手な私なので、ラフ画がファイルの奥底に埋もれてしまっていて、それを発掘するだけで一苦労(笑)。
 しかも、いざ発掘したら、それはラフではなく下絵段階まで進めていたものだった。というわけで、一年以上前に描いた下描きにペン入れをするという、前代未聞の体験をすることに(笑)。

 さて、件のイタリア人との打ち合わせの翌々日、今度は日本の一般誌の取材を受けました。
 で、またまた写真撮影があって、これまた場所が路上(笑)。まあ、今度は幸い人通りがあまりなかったし、シューティングの時間も短かったので、地元でもないので、前回ほどは恥ずかしくもなかった(笑)。
 こちらは、確か来月発売と伺ったので、また発売日前後になりましたら、改めてお知らせします。

 さて、そんなこんなで外出ついでに、映画『アイアンマン』を見ました。
 なかなか楽しい映画ではあったんですけど、それでも野暮を承知で、「そもそも『正義』とか『悪人』って、何よ?」とか、「自分が過去、無責任に製造販売していた兵器を叩き潰すといっても、そのためのアーマーを作る金が、そもそも軍需産業で儲けた金だってのがなぁ……」とか、どうしてもチラチラと頭をよぎってしまったなぁ。
 でも、ストーリーの進行と共に話のスケールがどんどん小さくなってってるのに、テンションはそれに反比例してグイグイあがっていくのは、何とも愉快で痛快でした。
 あと、思いのほかロバート・ダウニー・Jrがカッコよくて、「アンタ、ヒゲと筋肉がありゃ、何でもオッケーなのかい!」と、我ながら自分の節操のなさが可笑しくなったり(笑)。それと、ジェフ・ブリッジスとニック・ノルティとカート・ラッセルとパトリック・スウェイジが、皆さん歳をとったら見分けがつかなくなってきた……とか(笑)。

larkingrimm_parplar_cd
 映画の後でレコ屋に寄ったところ、店内で流れていたCDが気に入ったので、購入しました。
 Larkin Grimmという女性の“Parplar”というアルバムで、昔のアシッド・フォークみたいな、サイケ寄りのトラッド・フォークみたいな、ちょっと不思議なねじれ感のある、アコースティックな歌ものです。
 家に帰ってから、ちょっと検索してみたら、最近は「フリー・フォーク」なんてゆージャンルがあるんですな。ぜんぜん知らんかった。ここんところPops & Rock関係には、すっかり疎くなっちゃってます。
 個人的には、ちょっとアメリカ南部のルーツ音楽っぽかったり、東欧っぽかったりするチューンが、特にお気に入り。声色を使い分けながら、エキセントリックになる直前で寸止めしてるみたいな、ヴォーカルのバランス感覚の良さも好みです。あと、ジャケットやブックレットに使われている、Lauren Beckという人の絵も、かなり好き。

ravenous_cd
 そんなこんなで、これを聞いていたら、そのルーツ音楽がコンテンポラリー的にねじれているような感覚に、ジャンルはぜんぜん違うんだけど、Michael NymanとDamon Albarnがやった、映画『ラビナス』のサントラ
を思い出しました。
 いや〜、これ、大好きでしてね、一時期狂ったように聴きまくってました(笑)。
 因みに映画本編も、実は個人的に偏愛対象でして、観るといつも泣きそうになる。それも、満身創痍のガイ・ピアースが、穴から這いだして雪の中を彷徨うシーンと、ラストシーンの二回。
 ただし、これで泣くってのは、自分でもかなりヘンなツボを押されているせいだという自覚はありまして、間違っても「泣けるよ」とか「感動するよ」と、他人様にオススメはいたしません。ウチの相棒に言わせると「泣けるどころか、ぜんぜん面白くない映画」だそうだし。
 因みに、映画のテーマはカニバリズム。なのに、描き方とかは、カニバリズムに珍奇設定が加わって、まるで吸血鬼映画みたいなノリ。
 ……ま、有り体に言って「ヘンな映画」ではあります(笑)。でも、大好き。