映画」カテゴリーアーカイブ

最近の500円DVD

 PD映画の500円DVDなんだけど、書籍扱いなのでアマゾンのDVD検索で引っかからないヤツの中から、わりと最近見たものを幾つかご紹介。
 どれも古い映画ですし、500円DVDなので画質とかはそれなりですけど、史劇好きなら見て損はないかと。500円だし(笑)。

ポンペイ最後の日[DVD] 『ポンペイ最後の日』(1935)アーネスト・B・シュードサック
“The Last Days of Pompeii” (1935) Ernest B. Schoedsack

 てっきり、エドワード・ブルワー=リットンの小説の映画化かと思ってたら、しょっぱなに字幕で「違います」と出てビックリ(笑)。
 ストーリーは、貧しいが正直者だった鍛冶屋が、身内の不幸などアレコレあって「金の亡者」と化し、剣闘士や商人などを経てのし上がっていくが、しかし……というのが本筋。それに、イエスの磔刑やピラトとの関係とかいった、聖書劇っぽい要素を絡めつつ、クライマックスのヴェスビオ山の大噴火というスペクタクル・シーンになだれこむ……という、実に盛り沢山で波瀾万丈なオリジナル・ストーリーです。
 まあ、パターンとしては『ベン・ハー』の焼き直しという感じだし、いかにも「キリストの話とポンペイの滅亡を一緒にすれば、ダブルでお得じゃない?」的な浅はかさが透けて見える感はあるんですけど、でも、ベタな娯楽作としては充分以上に面白い展開だし、たっぷり楽しめる内容になっています。「大作娯楽映画のクリシェは全部入れました!」みたいなサービス感も、また楽し。
 そういう意味では、クライマックスのポンペイの滅亡シーンが、実に上出来。町の崩壊もパニック・シーンも大迫力だし(ここいらへんは、スティーヴ・リーヴス版を遥かに上回ります)、はたまたジョン・マーティンばりの絵画的な構図が出てきたりで、もう大満足。ただまあ、そんな期待を裏切らない一大スペクタクルの中でも、「ほら、感動しなさい!」と言わんばかりのコテコテのドラマが、やっぱり出てくるんですけど、ここまで徹底してくれれば、もう目くじらもたてずに楽しく見られます(笑)。
 役者さんは、ピラト役のベイジル・ラスボーンという名前には、何だか見覚えがありますけど(フィルモグラフィーを見ると、エロール・フリンの『海賊ブラッド』『ロビンフッドの冒険』とか、タイロン・パワーの『怪傑ゾロ』とか、幾つか見たことのある映画はありますが、正直どんな役だったかまでは記憶になし)、それ以外は全く知らない方々。因みに主演は、プレストン・フォスターという人。物語の中で剣闘士になったりするので、そこそこ立派な体格。30年代から50年代にかけて、戦争映画とか西部劇に出ていたみたいですね。

ゴルゴダの丘[DVD] 『ゴルゴダの丘』(1935)ジュリアン・デュヴィヴィエ
“Golgotha” (1935) Julien Duvivier

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は、高名を知るのみで実は作品を見たことがなく、今回が初体験。
 DVDとしては、確か以前にも東北新社かどっかから出ていた記憶がありますが、そっちは既に廃盤みたいですね。内容は、イエスの生涯を、エルサレム入城から磔刑、復活までに絞って描いたもの。
 冒頭、エルサレム全景をスクリーン・プロセスでパンする映像から、神殿内でユダヤ教の祭司たちがあれこれ案じて会話する移動撮影になり、次にイエスのエルサレム入城をこれまた移動撮影で捉えたシーンに繋げ……という、有機的に連動した流麗なカメラワークによるオープニングが絶品。ただ、いざ本編に入ると、全体のバランスがいささかぎこちなくバラけている感があり、全体を通して何をやりたいのか、ちょいと焦点が絞り切れていないみたいな印象。
 とはいえ、捕縛シーンとかで見られるジョルジュ・ド・ラ・トゥールみたいな陰影法とか、ヘロデ・アンティパスのクローズアップで表現されるイエスとの対面シーンとか、映像的にはあちこち「おぉっ!」と目を見張らされる表現が。セットやモブのスケール感は大したものだし、イエスの造形が、映画だと良く見られるルネッサンス的なそれではなく、ゴシック様式の教会にある聖像のような、中世彫刻的なそれなのも興味深い。
 宗教的な解釈等は、特に目新しいものはなく、わりと「そのまま素直に」絵解きとして描いている印象。
 ただ興味深いのは、フォーカスが受難劇そのものではなく、その周囲の人間たちに置かれているということ。受難劇そのものは定型的なそれをなぞりながら、ポンテオ・ピラトや題祭司カヤパやイスカリオテのユダといった人物から、その場に居合わせた一般民衆など、周囲の人々の反応を、日常的な目線で細かく捉えていくという視点が感じられます。それを通じて、人間の「普通」な反応が、このような場では「卑俗」なものとして浮かびあがってくるので、それを見せることで「あなたならどうする?」という問いかけをする、という目的があるのかも。
 特に、鞭打ちのシーンで描かれる、まるで、人間には普遍的にサディズムが内包されている、と、示唆するかのような表現とか、カヤパやユダやピラトが、自らの保身ゆえに決断を下す部分が強調されていたり、十字架の道行き上でも、病気の治癒を求める人がいたり……と、人間の「身勝手さ」を問うような部分は、かなり興味深く見られました。
 役者さんは、私が知っているのはジャン・ギャバン(ピラト役)とエドウィジュ・フィエール(ピラトの妻役)のみで、イエス役がロベール・ル・ヴィギャン、ヘロデ役がアリ・ボールという人。さほど演技的な見所らしきものはなく、それより、前述したような役名もないような人々の表情とかの方が、印象に残る感じ。
 音楽がジャック・イベール。クラシック畑の人で、私は『寄港地』しか聴いたことがないんですけど、この映画の劇伴は饒舌すぎて、残念ながらあまり映像と合っていない感じ。
 あ、でも『寄港地』自体は、エキゾチカ音楽みたいで大好きです。
 こんな曲なんですが、レス・バクスター好きだったらゼッタイにオススメ。
 因みに、私が良く聴いていたのは、父親がLPで持っていたこのアルバム。

ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」 [XRCD] ドビュッシー:交響曲「海」/イベール:交響組曲「寄港地」
シャルル・ミュンシュ指揮・ボストン交響楽団

 そういや、CDではまだ持っていないなぁ、今度買おう。

鉄仮面 [DVD] 『鉄仮面』(1929)アラン・ドワン
The Iron Mask (1929) Allan Dwan

 ダグラス・フェアバンクス主演の痛快娯楽活劇。原作はもちろん、アレクサンドル・デュマ(大デュマ)の『鉄仮面』こと『ブラジュロンヌ子爵』。
 ダグラス・フェアバンクスも、名を知るのみで映画は見たことがなかったので、これが初体験。なるほど、ここからエロール・フリンやタイロン・パワーへと、系譜が繋がっていくのかな、なんて感じで納得の、西洋チャンバラ映画でした。
 ストーリー的に『三銃士』とかよりも怪奇味が強いので(子供の頃に児童向けのバージョンで読んだときも、けっこう怖かった覚えが……)、とうぜんそれっぽい雰囲気もあるんですが、でもやっぱり楽しい痛快活劇といった印象が上回る。とにかく調子よく話がパッパカパッパカ進むので、見ていて楽しいことこの上ない。
 というのもコレ、サイレントとトーキーの過渡期のものらしく、基本はサイレントで役者の声は入っておらず、でも中間字幕ではなく、状況やセリフはナレーションで説明される、というもの。それに加えて、全編景気の良い音楽も鳴り響くので、動く絵付き(それもコマ落とし調でパタパタ動く)の楽しい語り物といった味わい。こーゆータイプの映画って、たくさんあるのかなぁ。すっかり気に入っちゃったので、もっと見てみたいカンジ。
 スケール感は申し分ないし、美術も凝っていてステキだし、サイレント映画は退屈だって人でも、これは楽しく見られると思います。ウチの相棒なんか、大喜びしてました(笑)。

つれづれ

 ここ数日のあれこれ。

 上野の西洋美術館で『古代ローマ帝国の遺産』展鑑賞。
 キュレーションに特に目新しいものはなく、展示点数も決して多いとは言えないけれど、展示品はおしなべて高クオリティでかなり満足。
 壁画に良いものが多く、特に、「庭園の風景」の大きさと色彩の美麗さには目を奪われる。「カノポスのイオ」や、小品ながら「聖なる風景画」の幽玄な雰囲気も素晴らしい。
 ブロンズの工芸品も、デザインの洗練され具合がいいなぁ。細工も高度で、みていてついつい「欲しい!」とか思っちゃう作品がイロイロと。中でも「シレノスのカンデラブルム」は、メールヌード作品としても良く、腰のあたりの肉付き具合なんか、何ともタマリマセヌ。
 サイズが大きな彫像だと、やはり「皇帝座像」と「アレッツォのミネルウァ」が印象に残る。前者は、腕や足の甲の血管の表現に目を奪われたけど、図録によれば、それらは18世紀になされた修復部分だったようだ。
 ミュージアム・ショップでガラスのペーパーウェイトを、その美麗さに惚れて衝動買い。「アウグストゥスのアウレウス金貨」のヤツと「カノポスのイオ」のヤツ。後者は、近々遠方に引っ越してしまう友人(女性)に、お餞別としてプレゼント。
 帰りにアメ横で、靴を一足購入。
 安かったので、店員さんに「これ下さい」と言うと、「はいっ、1万3千円をお値引きで2千8百円になります!」という返事。いや、値札で確認していたから買ったんですが、いざそう言われると、改めて安さを実感してビックリ(笑)。
 サンマが7尾で5百円ってのにも惹かれたけど、いくらサンマ好きでも、いっぺんに7尾は多すぎるから、残念ながら断念。

 デアゴスティーニの『モスラ対ゴジラ』購入。
「マハラ・モスラ」は、ガキの頃から好きな歌だったけど、改めて聴いても、やっぱり良いなぁ。歌バージョンもさることながら、劇伴でも、このモチーフが出てくると背中がゾクッとくる。
 古関裕而の「モスラの歌」は、「イヨマンテの夜」や「黒百合の歌」の作曲者らしい、ポップ味のあるエキゾ歌謡の名曲だけど、伊福部昭の「マハラ・モスラ」は、より土俗性を感じさせる、いかにも古代の異教儀式といった趣で、これまた甲乙つけがたい名曲。
 東宝特撮のDVDは、高価さもあって買い逃がしているものがあるので、そこいらへんはこのシリーズで買おうかな。

 長年の友人(女性)のヘルプで、初めての土地へ。
 とはいえ、たかが電車で30分、そこからバスで30分の距離だし、行った先もただの住宅街なのだが、過去にあまり見た記憶のない雰囲気の場所で、しかもなかなか気持ちの良いところだったので、ちょっとした小旅行気分に。
 用件は撮影の手伝い。彼女がビデオ、私が写真を担当。
 終了後、バスに乗って大都会に戻り、遅めのランチをとっていたら、ほんの一時間前の出来事だというのに、さっきの場所が、まるで異次元にでも行ってきたかのように感じられて、何だか不思議な気分。
 そんな気分は後々まで続き、彼女と一緒に拙宅に戻り、二人で撮影した素材の整理などして、それから仕事から帰宅した相棒も交えて、三人で夕飯なんぞを作っている頃には、昼間の出来事が、とてもその日のこととは思えないような感覚に。

 イタリア人から、「バディ」のバックナンバー購入についての問い合わせが。
 単行本効果かな? だったら嬉しい。

つれづれ

 どうでもいい独り言。
 ク○フーとD○Cが、どーしてもアタマの中でスムーズに繋がってくれないんだよね〜。理解はしていても、イメージのギャップを、どーしてもアタマが納得してくれないカンジ。「美」のベクトルの向きが、なんか正反対なんだもん。
 ……と、あんまり余所様のコメ欄で雑談を続けるのもアレなので、こっちに書きました。判る人だけに判るネタ(笑)。
 さて、イタリアの出版社から、以前契約を交わしたイタリア語単行本(短編集です)が、先々週無事に発売されたとの連絡がありました。ただ、まだ見本が届かず。
 本のタイトルは”Racconti estremi”で、これは「エクストリーム・ストーリー」という意味だそうな。
 詳しい紹介は、実際に本が届いて内容を確認してからにしますが、とりあえず表紙画像だけなら、出版社のサイトで見られます。
 DVDネタ。

ヴァレンティノ [DVD] 『ヴァレンティノ』(1977)ケン・ラッセル
“Valentino” (1977) Ken Russell

  久々に鑑賞。テレビ放映されたのを見て以来だから、20年ぶりくらい?
 この映画あたりから、ラッセルの勢いが衰えてきたという印象があったんですけど、改めて再見すると、これはこれで力もあるし、見所も多いな。
 冒頭の、斎場に乱入する群衆のシーンとか、レスリー・キャロン絡みのシーンのブッ飛び具合とか、シンメトリックだったりデコラティブだったりする構図の数々とかは、やっぱり「ラッセル印!」ってカンジの悪趣味スレスレのケレン味が素晴らしい。窓の外でファンたちが、ポエトリー・リーディング(っつーかシュプレヒコールっつーか)するシーンとかも好き。
 ただ、留置所のシーンなんかは、これでも充分エグいんですけど、ラッセルにしては物足りない感じがしてしまうのは否めないし、映画のラスト、ボクシングの試合以降の映像力がイマイチ弱いせいで、全体の印象も弱くなってしまった感はあり。
 ああ、あとメールヌード絡みで、ルドルフ・ヌレエフのフルヌードが、引き締まった裸身(特にお尻)が美麗極まりない……ってのは記憶通りで嬉しかったんですけど、今回のDVDでは醜いボカシがなくなって、フロント部分がチラチラ「見え」るのも、少し得した気分だった(笑)。
 ゲイ絡みだと、男同士でタンゴを踊るシーンがちょっと有名ですけど、実は私は個人的には、こーゆー耽美趣味にはあんまりピンとこない。ホモセクシュアルにデカダンな幻想は抱いていない、とでも言うか。
 とはいえ、私は自分のことを「耽美作家」だと思っているんですけどね(笑)。ただ、私にとっての「美の追求」というものが、「体毛を執拗に描き込む」とか「ヒゲのマッチョが苦悶する」とかいった、あまり一般的には共感されにくそうなものだ、というだけで。「道徳的功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く立場」(広辞苑)という点では、耽美主義以外の何者でもない、と、自分では思っています。
 閑話休題。
 しかし、どーしてラッセルの映画って、比較的どーでもいいものばかりDVD化されて、マジでスゴいヤツは出ないんだろうなぁ。
 まあ、『トミー』や『マーラー』が出たのは嬉しいし、『ヴァレンティノ』『アルタード・ステーツ』『クライム・オブ・パッション』もいいんですけど(『サロメ』『レインボウ』『白蛇伝説』になると、私的にはわりと「どーでもいい」部類)、やっぱ『恋する女たち』『恋人たちの曲/悲愴』『肉体の悪魔』『ゴシック』という、個人的に大々々好きな4本を、何とかDVD化して欲しい。

予約したモノと検討中のモノ

八甲田山 八甲田山
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2009-11-20

 祝・初CD化! 発売を知って、即予約。
 芥川也寸志は、正直なところ、私の好みとはちょっと外れる部分もなきにしもあらずなんですが、これはガチで好きです。

THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD] THE KING 序章~アユタヤの若き英雄~/~アユタヤの勝利と栄光~ [DVD]
価格:¥ 7,140(税込)
発売日:2009-11-06

 祝・日本盤発売! 即予約。
 前にここで紹介した、タイ製歴史スペクタクル映画『キング・ナレスワン(King Naresuan)』の第1部と第2部が、併せて待望の日本盤DVDに。
 あと一ヶ月〜、うほほい、うほほい(歓喜の舞い)。
 さあこの勢いで、『クイーンズ・オブ・ランカスカ』、『スリヨータイ』、『バーン・ラジャン』も、ぜひ!

手塚治虫 生誕80周年「冨田勲 手塚治虫作品 音楽選集」
価格:¥ 10,500(税込)
発売日:2009-11-18

 検討中。
 5枚組ということで、かなり惹かれているんですが、具体的な収録曲の情報が、まだどこを探しても出ていないので、検討&保留中。
 主題歌ばっかだったら、欲しいヤツは既に大概持っているからパスだし、前に出た『ジャングル大帝BOX』とか、ガキの頃から愛聴している交響組曲版に+αした仕様とかだったら、これまた持ってるから意味ないし。
 でも、『リボンの騎士』の主題歌インスト版とか、『クレオパトラ』の劇伴とかが入っていたら、問答無用の即買い。

ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD] ざくろの色 プレミアム・エディション 「ざくろの色」デジタルリマスター版+「パラジャーノフ・コード」 [DVD]
価格:¥ 9,975(税込)
発売日:2009-10-21

 検討中。
 超偏愛映画なので、問答無用で買い……と言いたいところなんだけど、アメリカ盤、旧盤ときて、更にこれを買うと3枚目になってしまう(LD時代から数えたら4枚目だ)から、つい二の足を。特典も、未公開映像は見たいけど、ドキュメンタリーとなると、ちょっと微妙だしなァ……。
 デジタルリマスターも魅力だけど、旧盤も別に画質がアレだったってわけでもないし……だったらいっそ、ブルーレイで出してくれりゃ、これを機会にハードも併せて買っちゃおうか、ってなくらい、好きな映画なんですけどね。
 う〜ん、悶々。

最近のイロイロ

 最近見たDVDの中から、テーマ別(笑)にイロイロとピックアップ&一口メモ。

復讐無頼~狼たちの荒野 スペシャル・エディション [DVD] 『復讐無頼 狼たちの荒野』ジュリオ・ペトローニ

 最近見た祝日本盤発売。
 映画の内容(……と、責め場)については、前にここでイタリア盤DVDと一緒に紹介済み。
 ちょいと補足しますと、前回「圧制者としての官と自由を求めて闘う農民というシンプルな構図」と書いたんですが、改めて日本語字幕付きで見たら、そういった中にもきちんと、システムのもたらす矛盾や、大義を利用することへの批判とかいった、社会派的に硬派な要素も、サラリとですけど入っていました。英語のヒアリングのみだと、そこまで拾いきれなかった。
 というわけで、初見時よりも後味が更に感動的に。やっぱ革命は燃える(笑)。
 あと、ヘンリー医師役のジョン・スタイナー、前回「『悪魔のホロコースト』と『炎の戦士ストライカー』は見たことあるはずなんだけど、正直ちっとも覚えてない」と書きましたが、今回DVD特典のキャスト解説に、ダリオ・アルジェントの『シャドー』が入っているのを見て、相棒と二人同時に「ああ、あの斧でアタマをカチ割られる!」と叫んでしまった(笑)。

狼の時刻 (特別編) [DVD] 『狼の時刻』イングマール・ベルイマン

 最近見た映像美。
 島暮らしの画家(マックス・ フォン・シドー)が奇怪な城の住人たちと関わりあって、次第に精神に変調をきたしていく様子を、妻(リヴ・ウルマン)の目を通して描いた内容。
 ホラー的な内容ではありますが、モノガタリやロジックからくる恐怖ではなく、映像効果からもたらされる感覚的な「不安感」や「不気味さ」に特化した内容。
 何といっても、後半の城の中を彷徨う、怪奇幻想シーンの美麗さが素晴らしい。その美しさに、見ていてゾクゾクしっぱなしでした。中盤に出てくる、サイレントによる不条理な殺人劇も忘れがたし。
 個人的偏愛映画の殿堂入り、決定。

dvd_Henry8 『キング・オブ・ファイヤー』ピーター・トラヴィス/ピーター・ミドルトン
(『ブリティッシュ・キングダム DVD-BOX』収録)

 最近見た責め場。
 酷い邦題ですが、原題は”Henry VIII”なので、つまりヘンリー八世の生涯を描いた、グラナダTV制作の歴史ドラマ。英国史劇では毎度お馴染みの、カトリックとプロテスタントの確執に加えて、有名な六人の妻も加わるもんだから、ドロドロ模様は更にパワーアップ。
 キャスト良し、美術や衣装良し、内容すこぶる面白くて良し……の、上質なテレビ映画。192分タップリ楽しめるので、歴史好きなら見て損はなし。ヘンリー八世役のレイ・ウィンストンは、見た目も肖像画で周知のイメージに近いし、トンデモナイヤツなのに人間的な魅力も感じさせるあたりは、なかなかのもの。ジャケ写になってるもう一人、ヘレン・ボナム=カーターはアン・ブーリン役。
 責め場は二ヶ所。まず、二枚組の前編。ダンジョンで白髯の老紳士が、上半身裸の両手吊りで焼きゴテ拷問。
henry8_1
 続いて後編。屈強な壮年弁護士(……っても見た目は騎士ですな)が、上半身裸で城門に吊され、三日間死ぬまで晒し者に。こっちは被虐者はショーン・ビーンだし、公開処刑なのでギャラリーもいるし、城門のスケール感(本物の城かな?)も相まって、極めて滋味あり。
henry8_2
 あと、責め場じゃないですが、主演のレイ・ウィンストンが、演技の良さもさることながら、実に量感タップリのオイシソウな肉体で、しかも尻丸出しの全裸シーンもあるので、太目年配系ヒゲ熊好きだったら、眼福間違いなし(笑)。こんなにオイシソウな身体してるんなら、ゼメキス版『ベオウルフ』の全裸戦闘シーンも、3DCGじゃなくてご本人の姿で見たかったぞ(笑)。
 因みに、同DVD-BOX収録の別作品『レジェンド・オブ・サンダー』も、これまた責め場と、あとホモ絡みもあり(笑)。

さよならS(エス) [DVD] 『さよならS』エリック・ゾンカ

 最近見たイラマチオ。
 パン職人見習い生活に嫌気のさした若者が、道を踏み外してギャングの仲間に入るが、やがて抜き差しならない状況になり……という内容。
 ストーリー的にはクライム・ムービーっぽいけど、そのテの話としては、ギャングたちのすることが、さほどダークだったり非情だったりするわけではないので、映画の感触も青春映画っぽい感じです。その分、クライマックスはけっこうショッキングなんですけど、事後の処理が良くて後味は爽やか。短い映画だし(一時間ちょいしかない)小品ではあるけど、好感の持てる佳品でした。
 で、主人公の青年(と言うよりは、少年と青年の中間くらいって感じ)が、ギャングの兄貴分に拳銃突きつけられて、強制フェラチオ(つまりイラマチオ)させられるシーンあり。
 作劇的には「酷いことをされる」シーンなんですが、厄介なことに私の性癖からすると、キズ面ヒゲ面コワモテの粗暴な男に、道具のように手荒く扱われてセックスするってのは、思っくそコーフンするシチュなので、見ていて「酷い」どころか「羨ましい」と思ってしまった(笑)。加えてこの悪役、ルックスがイケるうえに、怪我で片手が不自由というフェチツボも押してくるし……困った困った、私的には監督の意図と正反対の反応しかできないぞ、このシーン(笑)。

『ハムレット』

メル・ギブソン ハムレット [DVD] 『ハムレット』(1990)フランコ・ゼフィレッリ
“Hamlet” (1990) Franco Zeffirelli

 お〜、我が偏愛映画の一本がDVD化! もう、いそいそと買ってきました。
 公開当時、劇場で見て以来だから、ほぼ20年ぶりの再見です。
 何で偏愛対象かというと、まず下世話なことから言うと、とにかくメル・ギブソン演じる髭面ハムレットが、もうイケまくりでして(笑)。自分が見たことのあるハムレット役の中では、このメル公が一番好み(髭フェチのたわごとです)。
 加えて脇も、ガートルードにグレン・クローズ、クローディアスにアラン・ベイツ、オフィーリアにヘレナ・ボナム=カーター、ポローニアスにイアン・ホルム、父王にポール・スコフィールド……と、魅力的&実力派の面々が揃い踏み。
 実在の城とランドスケープを、存分に生かした映像も魅力的。

 ただ、ちょっと不幸な映画でもあります。
 シェイクスピア劇の映画化としては、充分に水準以上の出来映えだと思うんですが、何しろ『ハムレット』の映画ときたら、過去には48年のローレンス・オリヴィエ版と64年のグリゴーリ・コージンツェフ版、この後にも96年のケネス・ブラナー版という、錚々たる名作が揃い踏みなわけで、それらの中に混じると、どうしても印象が薄くなってしまうし、いささか小粒な感じがするのは否めない。

 とはいえ、再見してみると、やはり色々と見所がある映画でした。
 まず、メル・ギブソンの髭面ハムレットですが、静的で内省的な独白部分になると、ちょっと画面を保たせきれないきらいはあるものの、それでも充分に好演だと思うし、鬱屈した激情の荒々しさや、ある種のセックス・アピールを見せるという面で、他のハムレットには見られない魅力もあります。
 ヘレナ・ボナム=カーターのオフィーリアは、白状すると、当時劇場で見たときは、ジョン・エヴァレット・ミレーの絵やオリヴィエ版のジーン・シモンズの印象が強かったせいか、清楚さや気品に欠けて見えるうえに、狂気のシーンがロマン主義的に美化されたものではないせいもあって、正直あまり良い印象はなかったんですけど、今回改めて再見したところ、その狂気のシーンに圧倒されました。素晴らしい。
 う〜ん、年を経て再見すると、こんなに印象が変わるものか……と、ビックリ。
 他の役者さんも、おおむね素晴らしくて、強いて言えば、ホレイショーとレアティーズという若手勢が、ちょっと弱いかなと感じたくらい。
 衛兵たちにヴァイキングっぽいのがいたり(デーン人だからね)、旅役者たちや墓掘りの味わい深いご面相とか、美術や衣装の佳良さとか、史劇的なディテールも楽しめます。

 内容に関しては、以下、幾つか具体例とかが含まれるので、ちょっとネタバレになるかも知れません。
 お嫌な方は、次の段は飛ばして下さい。

 演出面だと、まず、ハムレットと父王の亡霊の対面シーンが面白かった。オリヴィエ版やコージンツェフ版のような怪奇幻想味はないんですけど、このシーンの二人は、決して二人同時に画面にフレームインしないんですな。つまり、亡霊との会話を客観的な事実とはせずに、ハムレットの妄想や狂気の所産という解釈も可能にしている。400年前に書かれた戯曲を、現代の映画にする際に、いかにアダプテーションするかという点で、なかなか興味深いシーンです。
 また、ハムレットがガートルードと対峙するシーンで見られる、エレクトラ・コンプレックス的な解釈を拡大して、まるでインセストのように見える演出。まるで、息子が母親をレイプしているように見える上に、ガートルードの「お前の言葉は刃のように突き刺さる!」というセリフで、もうヤバい感が倍増。
 ハムレットとガートルードの歳が、さほど離れているようには見えない(現実の役者さんの年齢も、たった九歳しか離れていない)んですが、おそらくそれも、こういったインセスト的なニュアンスを強調するための、計算尽くなんじゃないだろか。
 このインセスト以外にも、性的なニュアンスは、オフィーリアの狂気のシーンでも見られます。陰茎を撫でさする行為の、かなりあからさまな暗喩。アグレッシブさという意味では、控えめな方ではありますけど。
 ここいらへん、もっと露悪的に突き進めても、面白かったんじゃないかな〜、なんて、ちと思ったり。
 解釈や再構成の見所は、これはまあ、私もオリジナルがどういうものか、はっきりとは覚えていないので、自分の判った範囲内だけで言いますが、有名な「尼寺へ行け!」の場所を変更しているところに、興味を惹かれました。
 この変更によって、ハムレットがオフィーリアに「この復讐劇に巻き込まれないよう逃げて欲しい」と願っているようなニュアンスが付加され、哀れなオフィーリアに、僅かながらの「モノガタリ的な救い」が与えられているように見えるのが、何となくこちらとしても「救われた」気持ちになります。

 とまあ、そんなこんなで、たとえ『ハムレット』映画のベストではないにせよ、それでもたっぷり楽しめる佳品なので、シェイクスピア好きで未見の方は、ぜひ御一見を。

 さて、ついでに文中で触れた他の『ハムレット』映画についても、一口メモ。

ハムレット〈デジタルニューマスター版〉 [DVD] 『ハムレット』(1948)
ローレンス・オリヴィエ版

 格調高い正統派、というのが定評だと思いますが、私にとっての最大の魅力は、演出の大胆さ。特に、カメラワークを用いた、舞台劇を映画という別のメディアに変換する、その意義への挑戦心と実験性、及びその結果、という面で、大いに見応えがあって大好きな映画です。
 サー・ウィリアム・ウォルトンによる音楽も大好きで、特にファンファーレは、ジョン・バリーの『冬のライオン』なんかと並んで、「映画に出てくる大好きファンファーレ」の中の一つ。
 私が持っているDVDは、上の写真の「デジタル・リマスター版」ですが、PD映画なので、500円DVDとかでも何種も販売されています。

ハムレット [DVD] 『ハムレット』(1964)
グレゴリー・コージンツェフ版

 重厚さや格調の高さという点では、このロシア版の方が、オリヴィエ版を越えているのでは。見応えタップリ、満足感も大保証、重厚な映像美も素晴らしい。そのぶん、いささか「重い」ですけど。
 アナスタシア・ベルチンスカヤ演じる、オフィーリアの清楚な愛らしさも必見!
 そしてこれまた、ドミートリイ・ショスタコーヴィチの音楽が素晴らしい。

ハムレット [DVD] 『ハムレット』(1996)
ケネス・ブラナー版

 豪華絢爛なら、これ。美術や衣装はもちろんのこと、セリフのないチョイ役にまで有名俳優尽くし(言い方は悪いですけど、ちょっと「新春スター隠し芸大会ですか?」ってな楽しさ)という、とにかくひたすらゴージャスです。
 そういった要素が、ある種の「重さ」を相殺しているのか、4時間以上という長尺も苦になりません。
 時代設定を変えるアレンジも、効果的で納得。
『ハムレット』の映画というと、実はもう一本、マイケル・アルメレイダ監督、イーサン・ホーク主演の2000年版も見ていますが、正直これは、個人的には「古典のアレンジという名目で、考えなしに舞台を現代に置き換えただけ」とゆー、典型的な失敗例としか言いようがない内容で……(笑)。ゲイ雑誌にレビューを書くための試写で見たんですけど、何かもう罵詈雑言しか書けそうになかったので、お願いして記事はパスさせてもらったくらい。
 ただ唯一、エンド・クレジットで流れた、Acceleradeckの”Greentone”って曲だけが良かったので、そのためだけにサントラ盤は買いました(笑)。

最近の非・責め場

 最近見たDVD。
 今回は、責め場がないヤツ(笑)について、一口メモ。

狩人の夜 『狩人の夜』

 サスペンス映画かと思いきや、途中から雰囲気が童話的で幻想的なものにスライドしていき、最後はほっこりした気持ちになる……とゆー、不思議な感触の映画でした。
 水底に沈んだ死体、子供たちを乗せて漂う小舟、地平線に浮かぶ狩猟者のシルエット……と、心に残る美麗映像がテンコモリ。
 あ、監督がゲイです。

リボルバー DTSスペシャル・エディション [DVD] 『リボルバー』

 ガイ・リッチーは、「復調した」と聞いた『ロックンローラ』を見て、正直「え、これで?」とか思っちゃったんですが(悪くはないんだけど、どうしても『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』と『スナッチ』の縮小再生産に見えちゃって)、一つ前のこっちを見たら、納得しました(笑)。
 観念的なテーマを扱うんだったら、もうちょい論理的にしてくれないと、ツラいものがあるなぁ。映像も、スタイリッシュでカッコイイんだけど、イマジネーションとしてはパワー不足な感じだし。
 ただ、意欲は感じるので、嫌いじゃありません。

ピーターラビットと仲間たち【ユニバーサル・セレクション1500円キャンペーン/2009年第4弾:初回生産限定】 [DVD] 『ピーターラビットと仲間たち』

 着ぐるみ着ながら、これだけバレエを踊るってだけで、もう感嘆。ネズミの群舞が、ちゃんとシッポも使った振り付けだったりして、かなり楽しい(笑)。
 でも、せっかくファミリー向けの内容なのに、出てくる英語の看板や新聞記事に日本語字幕が付いてないってのは、ソフトの作りとして、ちょっとどうかと思います。

花の谷 ―時空のエロス― [DVD] 『花の谷 ―時空のエロス―』

 ヘンな映画(笑)。惹句が「禁断のスピリチュアル・エロス、解禁!」なんだけど、別にエロスでも何でもないぞ。
 ヒマラヤの雄大な風景、神秘主義風のストーリー、主演男優のルックス等々、前半はかなり好きツボを押されたんだけど、後半、舞台が現代の東京に移ると、違和感とヘンテコ感がグングンと加速していき、最後は、オチも含めてスットコドッコイな後味に(笑)。

哀しみのトリスターナ(1970) 【ベスト・ライブラリー 1500円:第2弾】 [DVD] 『哀しみのトリスターナ』

 う〜ん、女はコワイ(笑)。
 見終わった後、相棒と「私らホモで良かったね〜」なんて語り合ってしまい、で、つい「これは男同士に置き換えても成立する話だろうか?」とか考えちゃったんですが、やはりどうも話の根底に、男女の差による断絶感という共通認識が必要な気がするので、男同士でこれをやるのは難しいかなぁ。
 自分でも、描いてみたいタイプの話ではあるんですが。

dvd_ougonbatto 『黄金バット 』

 昔、テレビでやってたのを見て、髭をたくわえた千葉真一が、胸板も分厚くてカッコよかったのが印象的だったんですが、再見しても、やっぱカッコよかったです。でも、当時まだ20代だったと知ってビックリ。ぜったい30は越えていると思っていた(笑)。
 映画を見ているうちに、何だか、黄金バットとナゾー様が「笑い上戸」に見えて来ましたが(笑)、前半の浮上したアトランティス大陸(……と、劇中では言ってましたが、解説書にはムー大陸と書いてあった。日本近海っぽいから、ムーの方が妥当ですな)のシーンとか、東京に出現したナゾータワーとか、特撮は決して悪くないと思います。
 特撮映画があまり好きではない相棒は、横で仏頂面をしながらも、「この女の子が、鳩山邦夫の奥さんだよ」とか、「これが『ピラニア』や『殺人魚フライングキラー』を制作した筑波久子だよ」とか、オーディオ・コメンタリーしてくれました(笑)。
 で、私もお返しに、「この映画、『吸血鬼ゴケミドロ』と同じ監督だよ」と教えたり(笑)。
 あ、そういやこの映画には、責め場があったっけ。今思い出した(笑)。

最近の責め場

 備忘録を兼ねて、最近見たDVDの中から、責め場があったヤツだけ(笑)をピックアップ。
 映画そのものの感想は、今回は超簡易版で(笑)。

ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト [DVD] 『ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト』

 真面目で社会派で感動的で、しかも考えさせられるという、フツーに良い映画。
 アパルトヘイト下の南アフリカで、主人公の黒人政治犯とその若い友人が、半裸で殴る蹴る&麻袋被せられて水責めの拷問に。フラッシュバックなのでカットは短いですが、残酷度は高し。

アイバンホー [DVD] 『アイバンホー』

 サー・ウォルター・スコット原作、BBC制作の、真面目な中世騎士もの。いささか地味ではありますが、このテのコスチューム・プレイが好きだったら、充分に楽しめる内容。
 しょっぱなからいきなり、髭マッチョ主人公の半裸フロッギング・シーンでスタート。二枚組DVDだったから、再生するディスクを間違えたかと思った(笑)。

地獄で眠れ [DVD] 『地獄で眠れ』

 チャールズ・ブロンソン主演の、モノガタリのディテールが何もない(笑)B級アクション映画。
 これまたしょっぱなっからいきなり、鬼畜医師による拷問の公開デモンストレーションでスタート。細身の髭男が全裸でバーに吊され、血を吐いて死ぬまで電気拷問。このシーン、ちらっとですけど「見え」ます(笑)。

キング・オブ・バイオレンス [DVD] 『キング・オブ・バイオレンス 』

 バイオレンスの連鎖を描いた、シニカルなサスペンス映画。ヘンな話なんだけど、けっこう面白かった(笑)。
 拉致監禁された主人公の青年(なかなかいい身体)が、白ブリーフ一枚で椅子に縛り付けられ、頭にウレタンマットを巻かれ、顔面が変形するまでゴルフクラブでブッ叩かれ続けます。監禁シーンは長く、その間ずっと汚れ下着一枚で虫ケラ扱い。

イラク-狼の谷- [DVD] 『イラク-狼の谷-』

 トルコ人のヒーローが、アメリカ相手に活躍するアクション映画。善悪が紋切り型ではあるけれど、娯楽映画としては手堅い作り。
 アブグレイブ刑務所の囚人虐待を再現。強制脱衣(全裸)や、放水責め、人間ピラミッドなど。被虐者の中には太目白ヒゲ熊オヤジ(これまたちらっと「見え」ます)も。

サーズデイ [DVD] 『サーズデイ』

 足を洗ったワルが、かつての仲間に巻き込まれて、スッタモンダの一日を過ごす、ブラックユーモア満載のクライム映画。
 主人公(『パニッシャー』や『ミスト』のトーマス・ジェーン)が、エロ女に椅子に縛られて逆レイプ(ただし着衣)。その後、髭面の快楽殺人鬼(けっこういい身体)に、電ノコで切り刻まれそうになりますが、こちらは未遂。

レストストップ デッドアヘッド [DVD] 『レストストップ デッドアヘッド 』

 アメリカの田舎で、ドライブ中のカップルが殺人鬼に出くわし、追いつめられたヒロインが逃げまくるとゆー、新味も何もないホラー映画。ヘンに超常っぽい要素も入っているんだけど、新味というより悪あがきとしか(笑)。
 殺人鬼に拉致された青年が、全裸で台上に固定され、カッターで肌を切られたり、ニッパーで舌を切り取られたりという、『ホステル』系の猟奇拷問あり。

レディダルタニアン 新・三銃士<ノーカット完全版> [DVD]” /></a></td>
<td valign=『レディダルタニアン 新・三銃士』

 ダルタニアンと三銃士の子供たちが活躍するとゆー、デュマの二次創作みたいな話。悪役までいちいち、オリジナル版に対応させるようなキャラで揃えていたり、老いたダルタニアン役が、リチャード・レスター版と同じマイケル・ヨークだったりするので、ますます二次創作臭がプンプンと(笑)。でも、罪のない娯楽作としては、気楽に楽しめました。
 捕らえられた若い銃士(なかなかいい身体)が、上半身裸でダンジョンのトーチャー・ラックに。拷問そのものではなく事後シーンのみですが、雰囲気は佳良。

地球外生命体捕獲 [DVD] 『地球外生命体捕獲』

 ヘンな映画(笑)! かつて宇宙人にアブダクションされて、生体実験をされ人生を狂わされた男たちが、逆襲して宇宙人をとっ捕まえて復讐しようとするが……なんてB級臭プンプンの話を、ヘンにもったいぶって描いております。そのもったいぶった部分と、宇宙人の着ぐるみに代表されるミモフタモナサの、アンバランスさがスゴくって、これを真面目に作っているとしたら、かなり「天然系」だと思うぞ(笑)。
 責め場ってのとはちょっと違いますが、ムサい系髭男が、宇宙人に腸を引きずり出されて綱引き状態という、珍シーン(笑)が。あと、髭の巨漢が身体を壁に釘で打ち付けられ、これまた腸を引きずり出されてる(でもまだ生きている)なんてシーンもあるけど、肝心の、アブダクションされて人体実験されてるシーンは皆無。

つれづれ

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 いよいよ今週末発売になる、新しいマンガ単行本『髭と肉体』ですが、ぼちぼちネットショップとかで、予約可能になっているようです。
 当然のことながら、だいぶ前に無事全て校了済みなので、あとは本が届くのを待つばかり。
 詳しい内容紹介(を兼ねた宣伝)とかは、それから改めてアップしますが、せっかくなので今回は予告を兼ねて、校正紙の画像なんぞを初公開。こんな感じの校正紙の山に、編集さんと協力してそれぞれ赤を入れて、マズい部分を直していくわけであります。
 以前、アクリル絵の具とかで描いたカラーイラストを、原画やポジでアナログ入稿していた頃は、色校正の段階で色調が極端に転んだ(赤味とか黄味とかが、色調がヘンに強く出たり偏ったりすること)りして、「アカ版洗う(マゼンタ版を文字通り「洗って」網点を小さくする=赤味を抑えるということ)」とか、「シアン盛る(印刷時にシアンインクを多めに盛る=青味を強めるということ)」なんていう、今から思うとビックリするくらいアナログな指示入れて戻したりして、それでも直らなくて出来上がりに泣いたりしましたが、デジタル入稿にしてからは、そうそうビックリするような色調の転びとかはなくなったので、それはホントにありがたい。
 というわけで、今回の単行本のカラーも、とってもキレイに出していただきました。

 さて、単行本作業も終わり、雑誌用の原稿もアップしたところで、新規のクライアント(一般系)さんと、近所の茶店で初顔合わせ&打ち合わせしてきました。
 一般系の編集さんとお会いするときは、自分が日頃あまり馴染みのない業界事情とか、大物マンガ家先生の逸話なんかをお聞きできるのが楽しみなんですが、今回もまた、昔から好きだった大物先生の話を聞けて、喜びつつも逸話の破天荒さに目が点。
 どんなお仕事かは、時期が来たときに、また改めてお知らせします。

 その帰り道、本屋に寄って何冊か購入。
 帰宅後、さてどれから読もうかと楽しみに袋を開いたら、買ったのはほとんど資料用のものばかりで、趣味的な本は雑誌『芸術新潮』1冊だけだったことに改めて気付き、ちょいガックリ。
 その『芸術新潮』で、現在パリで「ターザン展」をやっていると知り、うが〜、見に行きたいと地団駄。
 アテネで新装オープンしたという、新アクロポリス博物館にも行きたいなぁ。しかし、パルテノンの破風彫刻、い〜かげんギリシャに返せよな、大英博物館。
 因みに、同じくアテネの国立考古学博物館にある、アルテミシオンのポセイドン像は、私のフェイバリット彫塑作品の一つなので、アテネに行ったとき(これまで3回行ってます)には、かならず「会って」きます(笑)。
 来週から始まるという、「和田三造展」の広告も載っていて、これも行きたいんだけど、う〜ん、姫路市立美術館かぁ……遠いなぁ。因みに和田三造ってのは、ホモならみんな教科書で目が釘付けになったはず(笑)の、あの『南風』の作者です。まあ、『南風』だけ見るんだったら、いつもは上野の国立近代美術館にあるから、東京在住の私には気軽に行けるわけで、そう考えると、姫路が遠いとかヌカしてるのは、ただのゼイタクってもんですね。
 そういえば、昔、晩三吉先生と御一緒して上野に美術展を見に行ったとき、同美術館のミュージアム・ショップで、晩先生がこの『南風』のポストカードを何枚も購入なさっていましたっけ。「そっち系の知り合いに手紙を出すときに使うから、いつも一定枚数ストックしている」んだそうで、それを伺って、「ああ、そーゆーのも粋でいいなぁ」、なんて思ったことを覚えています。

 アート&海外絡みでは、いつものパリのギャラリーから、今度やる企画展用に出品して欲しいとの打診あり。ちょうど条件に合う作品も見つかりそうなので、前向きに検討すると返事。

 もう一件、イギリスから、こっちは出版物用に作品提供の依頼あり。協力すること自体はやぶさかではないんだけど、条件的に合うものがあるかどうか、ちょい微妙なところなので、摺り合わせが必要な感じ。

 海外ネタで、もう一つ。
 前に一度お会いしたことがある、シンガポールのカメラマン、ワイ・テイク氏から、「今年のミスター・シンガポール・ボディビル大会で、85kg級のチャンピオンになったよ」と、YouTubeのアドレス付きでメールがきたので、せっかくだからご紹介。

 こういうバキバキの彼も、もちろんカッコイイんだけど、何てったってご本人がチョーいい男(←もちろん右側の人ですよ)なので、私としては、ご本人が「ちょっとたるんだ」と嫌がるオフのときの方が、やっぱりステキに見えるなぁ(笑)。
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 まあ、そもそも私は、コンテスト時のパンパンに膨らんだボディビルダーの身体は、ちょっと趣味から外れる部分もありまして。彼と会ったときも、彼が「何でもっと血管を描かないんだ」と聞くから、「ボディビルダーの血管って、何だかキャベツみたいで、あんまりセクシーじゃないから」と答えたら、はたかれそうになりました(笑)。

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 映画は、DVDで『ガンマン大連合』を鑑賞。
 ひゃ〜、チョー面白かった! 燃えるわ、泣けるわ、考えさせられるわ。
 マカロニ・ウェスタンには疎い私は、セルジオ・コルブッチの映画って、ソード&サンダルの『逆襲!大平原』と『闘将スパルタカス』くらいしか見たことなくて、この映画も、フランコ・ネロとトーマス・ミリアンが見られりゃ、それでいいか、ってな軽い気持ちだったんですが……しまったなぁ、こんな面白いヤツ見ちゃうと、ハマってしまいそうだ(笑)。とりあえず、『続・荒野の用心棒』と『殺しが静かにやってくる』にトライかなぁ。
 で、前にブログでも「脱ぎっぷりも責められっぷりもいい」と書いたトーマス・ミリアンですが、やっぱこの映画でも「脱いで責められる」のね(笑)。
 あと、主題歌がチョーかっこよかったので、観賞後は即座にサントラ盤を注文。その主題歌が聴けるイタリア版予告編が、YouTubeにあったので、それも下に貼っときましょう。

 この「♪ヴァモサマタ〜、ヴァモサマタ〜、コンパニェ〜ロ〜!」ってフレーズ(「殺っちまおうぜ、同志!」って意味だそうな)、サイコーです。
 いいかげん長くなったので、最近聴いている他のCDに関しては、また後日まとめて。

レックス・バーカー(Lex Barker)版ターザン映画のDVD

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 レックス・バーカー主演のターザン映画のDVD(アメリカ盤)が届いたので、ご紹介。
 ラインナップは、以下の5本。
『ターザン 魔法の泉 Tarzan’s Magic Fountain』(1949)
『ターザンと女奴隷 Tarzan and the Slave Girl』(1950)
『ターザンと密林の女王 Tarzan’s Peril』(1951)
『ターザンの憤激 Tarzan’s Savage Fury』(1952)
『ターザンと巨象の襲撃 Tarzan and the She-Devil』(1955)

 今年の3月に米ワーナー・ブラザースが始めた、ワーナー・アーカイブ・コレクションという、オンデマンド・サービスによるDVDです。
 オンデマンドDVDなので、ジャケットはプリンタ出力による簡素なもの。ディスクはDVD-Rで、メニュー画面もいたってシンプル。字幕や音声の切り替え等はなし、チャプターも10分刻みに機械的に入っているだけ。
 ただし、画質は(おそらく)ビデオソフト化時にレストアされたマスターを使っているので、制作年代を考慮しても充分に美麗です。多少のゴミや傷が見られるだけで、ハイライトのトビやシャドウのツブレは皆無、ディテールの再現性も上々。良くあるパブリック・ドメインの廉価DVDと比較すると、雲泥の差と言っても良く、ここらへんは流石に正規盤ならでは。
 ちょっと悔しいのが、米ワーナーのサイトから直接購入すれば、5本パックで買うと半額になる割引サービスがあるのに、日本からの注文は受け付けてくれない(ダウンロード購入なら、直接購入も可能みたいだけど、Macには対応していないみたい)ってトコ。仕方なく、米アマゾンで購入しましたが、そうすると割引サービスはなし。
 まあ、それでも買えるだけマシかな。

 というわけで、とりあえず『ターザン 魔法の泉』を鑑賞。
 秘境に存在する若返りの泉を狙う悪人と、その企みを防ぐターザンのストーリーに、アクション(ターザンの活躍)やスリル(ジェーンのピンチ)や笑い(コミック・リリーフとしてのチータ)が、満遍なく散りばめられる……という、ターザン映画のテンプレート通りの内容ですが、手堅く楽しませてくれました。
 ただ、スペクタクル性には、ちと欠けるかな。猛獣とターザンの取っ組み合いとか、象の大群の大行進とか、秘境にある遺跡のスケール感とか、そういったのもターザン映画のお約束なんですけど、そこいらへんはイマイチ食い足りない感もアリ。良くも悪くも、こぢんまりと纏まった感じはします。
 先代のジョニー・ワイズミューラーからバトンタッチした、10代目ターザン役者のレックス・バーカーは、ルックスはハンサムで、肉体もご立派。
 特に、ボディラインのしなやかな美しさという点では、先代ワイズミューラーや、この後のゴードン・スコットよりも上かも。アスリート系の肉体美好きなら、文句なしの眼福でしょう。何と言っても、徹頭徹尾腰布一丁で、シャツを着るシーンなんて一瞬たりともゴザイマセンので(笑)。
 ジェーン役のブレンダ・ジョイスは……う〜ん、残念ながら、あまり魅力は感じられない。さして美人でもないし、モーリン・オサリヴァンと比べると、かなり落ちるかなぁ。
 チンパンジーのチータは、コミカルなシーンではその芸達者ぶりを存分に見せてくれ、しかも決めるところではちゃんと大活躍。なかなかの名演です。

 さて、ターザン映画というと、ターザンがとっ捕まってふん縛られる……なんてのもお約束のシーンなんですが、そっちもちゃんと(笑)入ってます。
 今回ターザンは、結果として秘境に余所者を招き入れてしまったので、反ターザン派の住人たちは、彼が二度と秘境に来られなくするために、その目を潰してしまおうと企む。
 で、ターザンは、洞窟の岩場に磔に縛られ、目を焼き潰すための二叉の矛状の道具が炎で灼かれ……ってな展開になるんですけど、まあ責め場としてはアッサリめなので、これは残る4本に期待かな(笑)。
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