ゲイ・カルチャー」カテゴリーアーカイブ

今日はパレード&トークショー&お知らせあれこれ

 本日は第7回東京プライドパレードの日。
 そしてヴァニラ画廊のトークショーの日。
 早起きできたら、画廊に行く前にちょっとパレード会場も覗きに行きたいとは思っているんですが、アレコレ用事を片付けていたらもうこんな時間(午前5時)になってしまったので、果たして起きられるかどうか……(笑)。
 パレード会場では、ここでお知らせした、私のチャリティ缶バッヂも販売されています。
 グッズ類の売り上げは、全て貴重なパレード運営資金となりますので、会場においでになった皆様、どうか他のアレコレと併せてお買い上げくださいませ。
 トークショーの方は、銀座のヴァニラ画廊で夕方17:00からのスタートになりますが、予約制ではなく先着順で、それに合わせて個展会場である画廊の営業時間も変更がありますので、こちらに書いた注意事項をご確認のうえ、お越し下さい。
 皆様と会場でお会いできるのを楽しみにしております。
 なお、同じエントリーでご報告したように、最初のアナウンスと異なり、15日(日)も画廊がオープンしていただけることになりました。個展開催期間中のお休みが日曜日しかなくて諦めていたという方は、どうぞこの機会を逃さずお越し下さいませ。

 さて、ご報告が一つ。
 昨日のエントリーでご紹介した、個展のお土産のエクス・リブリス(蔵書票)ですが、来場者数が当初の想定以上に多く、在庫が心許なくなってきたそうです。
 いちおう、本日急遽追加印刷の手配はしましたが、いかんせんお盆期間中のこと、印刷所もお盆休みに入ってしまい、特急仕上げでも増刷分が届くのが19日(木)ということになってしまいそうです。
 最悪、来週頭のどこかで、お土産が品切れになってしまうことも考えられますし、また3種類全てを増刷したわけではないので、どれかが個展終了前までになくなってしまい、「これが欲しい」というご希望に沿えなくなる場合もありますので、なにとぞご了承ください。

 では、恒例の写真レポートをば。

 まず、先日画像をご紹介しそびれた、ライターのよしひろまさみちさんからいただいたお花。
vanilla_hana_yoshihiro

 お花といえば、初日のレポで紹介した、親友のRが花屋さんに個展のフライヤーを持参して、「この絵のイメージでアレンジメントお願いします」と頼んだいうお花について、その花屋さん(白金の「花猫庵」さん)が、お店のブログに、件の花についての写真や記事をアップしてくださいました。
 こちら。私の個展の紹介も併せてしてくださっていて、ありがたい限りであります。
 Rに聞いたところによると、お店の名前の通り猫がいる花屋さんなんだそうな。なるほど、ブログにも花と一緒に猫もイッパイ。
 花好き&猫好きの方、ぜひ一度お出かけになっては?

 続いて記念写真アレコレ。

 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス代表にして、かつてはゲイ雑誌編集長、はたまたドラァグ・クイーンとか、或いはポエトリー・リーディングのパフォーマーとか、ホント多彩な顔を持つ、ピンクベアことベアリーヌ・ド・ピンクこと長谷川博史さん。長いお付き合いの間いろいろありましたが(笑)、年長の友人であり、同じ時代を走り抜けてきた大事な戦友でもあります。
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 リーマン時代からの友人、疋ちゃん。専門はSEで、現在は独立。……あ、ノンケです、念のため(笑)。
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 大学時代からの友人、しょーこちゃん。学生時代、よく一緒につるんでいた仲間の1人。こちらもノンケ(笑)。
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 会場にいらしていたお客様2人。
 こんな具合に会場には、男子も女子もゲイもビアンもヘテロも、ホント様々な方がいらっしゃるので、ヘンに敷居が高いとか臆せずに、どうかお気軽にお立ち寄りくださいませ。
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 また、もしこんな感じで「顔出しOKなので、一緒に記念写真をブログにアップされたい!」という方がいらっしゃいましたら(いるのか、そんな人w)、私が会場にいるとき、気軽に声をかけてください(笑)。

東京プライドパレードの缶バッヂ到着

TokyoPrideCanBadge2010
 8月14日に開催される、第7回東京プライドパレード。(公式サイトはこちら
 今回も、会場で販売されるチャリティ缶バッヂで、ご協力させていただきます。
 この私の缶バッヂは、実際に身につけるにはちょいと度胸がいる図柄ですが(笑)、まあ私の場合、コンセプト優先でデザインっぽいものにしたり、もっと無難でファンシーな絵にするよりも、こういった一目で「田亀!」と判る図柄にした方が、おそらく売り上げという点で貢献できるかと思っての判断です。
 こういったLGBTのようなセクシュアル・マイノリティのプライド・パレードというのは、営利目的で開催されるイベントではなく、また、海外のプライド・パレードとは異なり、日本では一般の企業や地方自治体が後援してくれるということも、あまりありません。
 そんな中で、缶バッヂ等グッズ類の売り上げは、全てパレードの貴重な運営資金になります。パレードに参加される方、パレード見物に行かれる方は、ぜひ、他の方々のイラストやデザインの缶バッヂと併せて、まとめてお買い上げくださいませ。
 実際に身につける用に、他の方のもっとオシャレでカワイイやつを買い、コレクターズ・アイテムやこっそりしまっておく記念品として、私のバッヂも買う……というのが、オススメなチョイスかと(笑)。

Rainbow Arts 11th Exhibition 2010のご案内

 毎年恒例、セクシュアル・マイノリティのアートグループRainbow Artsによる夏の作品展が、今年も無事開催されるそうで(何ともう11回目!)、ご案内をいただいたのでご紹介いたします。
 アートを見るのを好きな方も、表現者の方も、これから何かやってみたいという方も、この機会にぜひ足を運ばれてはいかがでしょう?
 以下、いただいたご案内からの引用となります。

Rainbow Arts 11th Exhibition 2010
Rainbow Artsは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー/トランスセクシュアル)をはじめとするセクシュアル・マイノリティのアートグループです。年1回夏の作品展を中心に、活動をしています。
イラスト、絵画、立体、映像、写真、工芸、音楽、パフォーマンスなど、作品ジャンルもキャリアも多彩なアーティスト達が、自由に参加しています。
LGBTの交流の場としても、出場する人、観に来てくれる人、みんなが楽しめるアートの祭典です。
日時:2010年7月24日(土)〜7月31日(土) 10:00〜20:00
  7月24日は16時開場、オープニングパーティーあり
  7月31日は13時よりクロージングパーティー、17時終了
開場:全労済ホール スペース・ゼロ
  東京都渋谷区代々木2-12-10 全労済会館B1
入場料:無料
WEB:http://www.rainbowarts.info/
出展予定アーティスト(ABC順):
武裸奴、藤島茂雄、月槌と一角、はる、HiDE、日下田治久、Isee.、jiro、楓、加瀬世市、克、Kenji Ishii、KENTO、Кэнъя Симидзу、K.I、小林 世界、kow、正、nama、Noe、Re:Creation 日向燦太、Reo、サトルちゃん、シャム子、SuGuRu、龍谷 尚樹、飛助、鶴羽正高、安貴之、Yosuke、悠、悠次郎、Yuki Nishimura

ちょっと宣伝、アートブック”Hair – Hairy Men in Gay Art”に作品数点掲載されました

book_hair
 先頃ドイツの出版社Bruno Gmunderから出た、”Hair – Hairy Men in Gay Art”というアートブックに、作品数点を提供しています。
「ゲイ・アートの中の毛深い男たち」という副題からもお判りのように、体毛(ヒゲも胸毛も腕毛も脛毛も、とにかく全部)の濃い男たちを、写真に撮ったり絵に描いたりしているゲイ・アーティストの作品を集めた写真集&画集です。
 裏表紙はこんな感じで、中身も同様にとにかく毛深い男のオンパレード。
book_hair-cover
写真と絵の比率は、写真の方が多めといったところでしょうか。

 私の絵はこんな感じで、1ページ1点ずつで6ページ。
book_hair-inside
 版元のBruno Gmunderのサイトでも、本の詳細やプレスリリースが見られますので、よろしかったらどうぞ。こちら

 収録されているアーティストは、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアと広範囲で、日本からは私以外にも、市川和秀先生の作品が掲載されています。
 今回、私が個人的に特にいいな〜と思ったのは、画家では、抜群の技術で太目な熊パパのポートレイトなどを描いているチャーリー・ハンター(イギリス)や、ベアー系好きに幅広く受けそうなディチューイ・ドゥードゥルズ(ニュージーランド)など。
 カメラマンでは、バイカーやトラッシュ、ラフ系のモデルを使って、バイオレンス風味もあるエロティックな写真を撮っているインクド・ケニー(カナダ)、ベア系モデルを使って、凝ったシチュエーションの写真を撮っているベアファイター(ドイツ)、タトゥーやレザーなどのテイストの入った、典型的なアメリカン野郎系といった味わいの写真を撮るマイケル・アラゴ(アメリカ)なんかが収穫。
 他には、まず大御所のトム・オブ・フィンランド、私が面識のあるところで、フランスのグザビエ・ジクウェル、オーストラリアのピーター・スキロウ、アメリカのリック・カストロ、メールなどで知己のあるところで、ザ・ハン(アメリカ)、ロブ・クラーク(アメリカ)、フランツ&アンドレ(イタリア)など。
 前から作品を知っていたり好きだったりというものだと、画家では、ラルフ・コーニッヒ(ドイツ)、マイケル・カーワン(アメリカ)、セップ・オブ・ヴィエナ(オーストリア)、カメラマンでは、ジョー・オッペディサーノ(アメリカ)、デヴィッド・ゴールデンバーグ(イギリス)、トム・ビアンキ(アメリカ)……などなど、総計50名近くの毛深男好きアーティストが集合(笑)。

 というわけで、私の作品が好きだという方はもとより、毛深系、熊系、野郎系などなど好きには、かなり充実した内容のアート・ブックだと思います。少なくとも、凡百のメールヌード本と比べると、テイストがはっきり前に打ち出されている分、好みのあう人にはばっちりマッチするはず。
 本のサイズは18×23.6センチと、 A5より一回り大きめ。しっかりとしたハードカバーで、フルカラー260ページ、厚みも3センチほどあります。各アーティストの顔写真やコンタクト先などのデータも記載。
 残念ながら日本のアマゾンでは扱っていないんですが、アメリカやイギリスのアマゾンで購入可能。とりあえずアメリカに商品リンクを貼っておきます。
“Hair: Hairy Men in Gay Art” (amazon.com)
 というわけで、よろしかったらぜひどうぞ!

気になる未公開映画&TVの予告編あれこれ

 最初はトルコの連続TVシリーズ(らしい)”Adanalı”。刑事ドラマみたいです。

 コレを見つけたきっかけが、先に私がアップしたCDケースの分解動画の関連動画だったので、思わず笑ってしまった。「ヒゲ男の拷問」だから、確かに「私」には関係あるけど、CDケースとは無関係だろう、と(笑)。
 でまあ、責め場とゆーのもさることながら、このヒゲ男クンのルックスに、かなりツボの真ん中を突かれちゃいまして。で、調べた結果、Mehmet Akif Alakurt(メフメット・アキフ・アラクルト?)という、モデル出身の男優さんらしい。調査途中にFacebookも発見。いや〜、いい男だわ。
 因みにこの”Adanalı”34話は全編YouYubeにアップされちゃってるので、この責め場もノーカットで鑑賞可能。けっこうネチっこく責められていて滋味ありなので、興味のある人は探してください(笑)。
 スロバキア、チェコ、ハンガリー、イギリスの合作映画、”Bathory”。

 タイトル通り、自分の若さと美貌を保つために、処女の生き血を絞って浴びたという、エリザベート・バートリーの映画らしいです。
 コスチューム・プレイだし、猟奇ネタだし、ご贔屓のフランコ・ネロも出てるし…と、見たいポイントは数多くあれど、ドイツのアマゾンでDVDに星一つレビューが付けられちゃってるのが、ちょっと気になるところ(笑)。
 ロシア映画、”Поп”。

 前にここで紹介した「1612」を撮った、ウラジミール・コチネンコ監督の新作。
 この監督は、つい先日DVDで見たロシア製潜水艦映画「72M」もとっても良かったので、この新作も何とかして見たいところ。内容は、ちょっと重そうですけど…。
 インド映画、”Raavan”。

「ボンベイ」のマニ・ラトナム監督の新作。
 主演は、このブログでも何度か出てきているアイシュワリヤ・ラーイと、先日ここで紹介した「ボリウッド好きゲイならマスト!」な”Dostana”のアビシェク・バッチャン夫妻。
 予告編に使われているA・R・ラフマーンの”Beera Beera”という曲が実に良くって、アビシェク・バッチャンの表情とかも迫力があるし、実にカッコイイ予告編。
 ロシアのTV映画(?)”Паршивые овцы”。

 予告編の最後にも出てきますが、DVDのジャケが余りにもヤバかっこよかったので探してみたヤツ。
 何でも、タイトルが「カサブタだらけの羊」とかゆー意味だそうで、これまたちょいとキツそうなんですが、重いシリアスなのか、バイオレントな娯楽作系なのか、ちょっと判断できず。
 オマケ。
 映画じゃないけど、BARB@ZULというグループの”I Don’t Care”という曲のミュージック・クリップ。

 熊系ペット・ショップ・ボーイズ? ってな感じの、スペインのゲイ・ポップ・デュオ。
 ドラマ仕立てになってるんですが、これがまあ、どこの少女マンガだよってな感じの、乙女とゆーか女々しいとゆーか、そーゆー恋の物語になっています(笑)。恋愛シーンでこーゆー態度は、あんま男らしくないよーな気はするんですが、そこいらへんもある意味リアルっちゃあリアルかも(笑)。
 でもセクシー・ショットとかもあるし、バルセロナ・プライドとかでも活動しているようなので、同じゲイとしては、応援したい気持ちになりますね。
 因みに、上のクリップの後半に、Metroというバルセロナの老舗ゲイ・ディスコが出てくるんですが、実は私も15年ほど前に一度だけ行ったことがあったり(笑)。

奥津直道さんからグループ展のお知らせ

 ゲイ雑誌等でも作品を発表し、先日のシドニーの企画展にも出品されていた奥津直道さんから、グループ展のご案内をいただいたのでご紹介いたします。

6月14日(月)から始まるグループ展に出品いたします。
”同性が描く同性”がテーマの展示で、私の作品は小品2〜3点です。
近くへお出かけの際は、ぜひお立ち寄り下さいませ。(奥津直道)
「男が描く男・女が描く女」
2010.6.14(月)〜6.22(火)
12:00〜19:00まで/日・祝18:00まで/最終日17:00まで
ふと回りを見渡すと世の中は男と女であふれていると今更ながら思う時がある。同性が同性を描くと異性を描く時とは違う視点が生まれると、身近に接する画家たちの作品を見ながら企画した昨年の「男が描く男・女が描く女」展。今展では新しく紹介するメンバーも加え、さらに表現の可能性を探ってみたい。/柴田悦子
出展作家/阿部清子・奥津直道・木村浩之・コヤマイッセー・中千尋・伴清一郎・佛淵静子・平野俊一・松谷千夏子
柴田悦子画廊
〒104-0061 東京都中央区銀座1-5-1第3太陽ビル2F
TEL & FAX / 03-3563-1660
http://www.shibataetsuko.com/

 というわけで、お時間のある皆様は、ぜひどうぞ!

5月下半期に家で見た映画(from Twitter)

 先日上半期分をやったので、今回は下半期分。5月16日〜31日までの分。

Blu-ray_ElephantMan
『エレファント・マン』〜イギリス盤Blu-ray
 これまた公開時に劇場で見て以来だから、30年ぶりくらい。長らく再見してなかったのは訳があって、これみてコワイキモチワルイオッカナイと思ってしまった自分に自己嫌悪があったのと、自分の中の(当時は)認めたくない部分をえぐり出されてしまった感じがして、それがトラウマだったから。
 要するに、見せ物に群がる醜悪な人間像をイヤ〜ンと感じながら、でもこの映画を見に来た自分も彼らと相通じる部分がある…なんて思って、ハイティーンの頃の自分はけっこう落ち込んでしまったのですよ。でも今は、自分は聖人君子ではないと既に知っているから、再見しても大丈夫だった。
 今回鑑賞したStudio Canal Collectionのブルーレイ(英盤)は、日本語字幕も入っていてメニューも日本語化されてるし、リージョンもフリーだし、フィルムの粒状感を残しながら高精細な画質も文句なし!
 とゆーわけで、同時購入した「去年マリエンバードで」と「カタリーナ・ブルームの失われた名誉」も、見るのが楽しみなり。^^
 これに味をしめて、次はブニュエル「昼顔」とヴィスコンティ「夏の嵐」とロージィ「恋」を、ポンドが安いうちに注文だッ!…と思ったのに、この3つには日本語字幕が付いてないみたいで、ガッカリ。 (´・ω・`)

厳戒武装指令 [DVD]
『厳戒武装指令』〜国内盤DVD

 …こーゆーどれがどれだかワカンナクなる戦争映画の邦題って何とかして欲しいw
 で、印象は「変な映画!w」いちおう、チェチェン紛争に赴き友人と一緒に捕虜になってしまった若いロシア兵が主人公なんですが、次から次へと色んなエピソードが出てきて「お、これから面白くなるかな?」と思ったところ、どれもこれもショボ〜ンと収束して…の繰り返しとゆー内容。
 まあ、こんなにとっちらかった映画も珍しいw ある意味、現在のロシアの混乱が、そのまま作劇に出ているような…と言ったら褒めすぎかw おそらく様々な点景を配して「今わが国はこういう状況にあるのだ」とゆー感じにしたかったんだと思うけど、肝心の技量も感覚もB級以下なので、何ともはや…
 そんなこんなで、見ていて「…へっ?」てな感じの連続なので、ヘンな映画好きの方はどうぞ。もはや出来が良い悪いとゆーレベルを超越した、ストーリーのとっちらかり具合が見物です。透けチクビで馬に跨る美少女のイメージショットとか、クライマックスの三文青春ドラマとか、ホントビックリよw
 因みにDVDは、ドンキとかで500円で売ってます。^^
 この手の500円戦争映画では、セルゲイ・ボンダルチュクの「バトル・フォー・スターリングラード(祖国のために)」、ニコライ・レペデフの佳品「東部戦線1944」、ダニエル・クレイグやキリアン・マーフィが塹壕を舞台に繰り広げる密室劇「ザ・トレンチ」なんかが、掘り出し物なのでオススメ。
 チェチェン紛争関係のロシア映画でマジメにオススメなのは、セルゲイ・ボドロフの「コーカサスの虜」とアレクセイ・バラバーノフの「チェチェン・ウォー」、あと前につぶやいたアレクサンドル・ソクーロフの「チェチェンへ アレクサンドラの旅」かな。

カティンの森 [DVD]
『カティンの森』〜国内盤DVD

 この題材でアンジェイ・ワイダだから、それなりに身構えていていたつもりだけど…うわぁ、それでもまだ甘かった…。色々感じるものは多々あるんだけど、とにかくラスト10分ほど、胃がキリキリするようなクライマックスに茫然自失、それまでの全てが吹き飛んでしまった感じ…。
 それまでにも、動的と静的のカメラワークの対比の見事さとか、抑制された語りすぎない語り口とか、最小限にして効果的なペンデレツキの音楽とか、いわゆる映画的な素晴らしさはいっぱいあるんだけど、終幕、映画から現実に、唐突に放り出されてしまうので、それが一番こたえる。
 ビックリしたことが一つ。昨夜見たヘンテコ映画「厳戒武装指令」に出てたヒロインの父親役の人が、今夜の「カティンの森」でもチョイ役だけどヒロインを助けるソ連将校というけっこう印象的な役で出ていた。偶然なんだけど、映画の内容も出来も天と地ほど違うだけに、何ともミョーな感じ。
 アンジェイ・ワイダは「パン・タデウシュ物語」の日本盤DVDが出ないかと、ずっと期待してるんだけど、望み薄なのかなぁ…。劇場公開もされてるし、VHSは出てるのに…。
 「カティンの森」予告編、何か情緒的なヒューマン感動作みたいになムードだけど、トンデモナイっす…。 (´・ω・`) http://youtu.be/tzZG5KjlA8s

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0 [Blu-ray]
『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』〜アメリカ盤Blu-ray

 既存の完成品に手を入れて今様にするというのは、なかなか難しいものがありますね…。キャラクターが3DCGになっているカットは、オリジナルの方が良かったと思うけど、ラストカットなんかは2.0の方が効果的…なんて感じで、正直あんまりニュートラルな気持ちでは楽しめなかった。
 まあ、どっちを先に見ているかで、それぞれ印象も変わってくるんだろうし、あんまりアレコレ考えないで、バージョン違いを楽しむつもりで気軽に見た方が良かったのかも。だから、得たモノもあれば喪われたモノもあり。
 原作マンガだと、ラストで素子が入ったのが実は男の義体だったというトコで、性別の無効化まで示唆されてたのが面白かったけど、映画だとそれがなくて残念だった代わりに、人形使いの見た目と声のギャップが、そこを補ってるように感じられて良かったんだけどな〜…(注・人形使いの声優が男性から女性に変わったことについてのつぶやき)

玉割り人ゆき [DVD]
『玉割り人ゆき』〜日本盤DVD

 まぁ判る人にはお判りでしょうが、ええ、ええ、川谷拓三のチ×切りシーン(あ、×ン切られシーンか)目当てですとも!w 折檻されて傷だらけの拓ボン、越中が良く似合っててステキ。後半の乞食ルックも良く似合っていてステキ。あ〜…ステキ。
 映画自体もしっとり叙情的で面白かった。でもピンクシーンになって女優さんがアンアン喘ぎだすと窓を閉め、終わると開けて、またアンアン始めるから締めて…と、鑑賞しながら立ったり座ったり、かなり忙しかったw
 政治がロマンやセンチメンタルの色を帯びているというのは、自分には全くない感覚なので、ちょっと不思議な感じがする。少し羨ましい気も…。

Blu-ray_Saawariya
『Saawariya』〜米盤Blu-ray
 期待通りの超高画質で、映像の美麗さにますますウットリ。DVDで欠けていた歌の歌詞の字幕も、ブルーレイではちゃんと入っていた。
 しかしこの字幕、英仏独西あたりはもちろん、ギリシャ語やアイスランド語やブルガリア語などヨーロッパ各言語に加え、中国語や朝鮮語やタイ語やトルコ語やアラビア語まで収録されているのに、しかもソニー・ピクチャー・エンタテイメント製なのに、何で日本語はないんだよッ! ヽ(`Д´)ノ

キッスで殺せ [DVD]
『キッスで殺せ!』〜日本盤DVD

 ビックリした〜!フィルム・ノワールだっつーから、てっきり技巧的でロマンティシズムのある世界なのかと思ってたら、ドライでパワフルな演出と破綻すれすれのギリギリ感で、有無をいわさず映画に引きずられていく感じ。荒削りなところも、また良きかな。

ロシアン・ブラザー [DVD]
『ロシアン・ブラザー』〜日本盤DVD

 社会主義崩壊後のロシア社会の混迷を背景に、兵役を終えた純朴な青年が、ペテルブルグ裏社会の抗争に巻き込まれて殺し屋に…ってな感じで、ストーリーだけ抜き出すとハードな感じがするけど、実際は細やかな人間模様とオフビートなユーモアが散りばめられた、実に「面白い」映画。
 殺し屋としての腕は抜群ながら無邪気で純真、なのに屈折もしていなく男根主義的でもなく、少年の爽やかさすら漂わせる、天然ボケすれすれの主人公キャラの魅力と、それを演じるセルゲイ・ボドロフ・Jrの魅力が絶品!つくづく早逝が惜しまれる。未ソフト化の続編があるらしい。見てみたいなぁ。

Blu-ray_Dostana
『Dostana』〜アメリカ盤Blu-ray
 前半見終わった。ボリウッド映画は長いので、半分ずつ。 ^^;
 同性愛が非合法のインドで2008年に作られた「ゲイ映画(?)」。ぶっちゃけ主人公達はゲイではなく、米国のマイアミで住居やビザのためにゲイカップルのふりをする男2人組とゆー「チャックとラリー おかしな偽装結婚!?」タイプの話ですが、ゲイの観客もきちんと意識した作り。
 まだ後半を見ていないので何とも言えませんが、同性愛差別が根深いインドで、ゲイを扱った映画をコマーシャルベースで作るという、背景事情などを鑑みると、前半を見る限りでは、その頑張りは称賛に値するのではないかと。明日見る予定の後半が楽しみ。
 後半見終わった。
 意外なことに、ゲイ関係のネタは昨日の前半部分で終了して、後半はそこから発展した「男と女の友情」というテーマに。ボリウッドらしい盛り沢山さと、いささかの強引さを含みつつ、全体的にはウェルメイドな味わいで、しっかり楽しめる内容になってます。
 さて、主に前半に見所が集中している「制約がある中でのゲイを扱った映画」としては、まず、ゲイであること自体(行動とか素振りとか)で笑いをとろうとはせず、あくまでも、ゲイ・カップルを偽装したために起きるアクシデントをコメディにしているのが気持ち良い。
 この点に関してはかなり良く考えられており、例えば「ノンケの主人公が咄嗟に自分たちの出会いとロマンスをでっちあげた回想シーン」では、いかにもなオーバーアクトのオカマ演技を見せつつ、ストーリー中で本当にゲイである登場人物の演技は、より自然な抑えたオネエ演技という具合。
 また、前述したゲイを偽装したことによるトラブルによって、例えば主人公の母親がそれに悩んで、しかし結局は受け入れるとか、逆に息子がゲイであることを母親に隠し続けていた苦悩を、第三者が想像して母親に語るとかいった具合に、現実の問題をサラリと、しかもユーモアたっぷりに含めている。
 こういったことは、インドのようなホモフォビアの強い社会において、ゲイに対して夢を、ヘテロに対しては啓蒙を、という制作者の姿勢が見られるようで気持ち良い。そしてクライマックスにもう一つ、大きな仕掛けが用意されている。
 詳細は省くが主人公たちは、最終的には皆の前で、男同士でキスをすることになる。おそらくインドではタブーでありショッキングなことなのだろうが、この映画ではそれがハッピーエンドへ向けた喝采と共に行われる。制約の中、同性間のキスを祝福ムードで描けたこと自体が、称賛に値するだろう。
 他にもゲイの観客に向けたサービスとしては、カップルの片方をモデル出身のハンク男優にして、しかもしょっちゅう脱がせてマッチョなセミヌードを披露させるとか、マイアミという地で繰り広げられるオシャレで楽しそうな同棲生活を見せるとかいった点も挙げられるだろう。
 というわけで「Dostana」は、ゲイ映画ではないけれど、インド映画でタブーとされていたゲイという要素を作中に盛り込み、ゲイの観客もしっかり視野に入れつつ、同時に一般向けの娯楽作としても着地できているという、なかなか見所の多い映画でした。ボリウッド好きのゲイ(いるのか?)は必見。
「Dostana」から、息子がゲイだというのでパニクる母親の姿を、ユーモアたっぷりに描いたミュージカル・シーン。歌詞は「ママの坊やがヘンになっちゃった/息子は花嫁の輿に乗るの/何てこと!?」てな感じ。 http://youtu.be/nTcwRjlWx9M
 因みにこの後、ママは息子の同性愛を受け入れるんですが、結果、古式ゆかしきインド風の花嫁を迎え入れる儀式で息子のボーイフレンドを招き入れ、しかもそれが、身分違いの恋で勘当された息子と親の和解を描いた国民的大ヒット映画「家族の四季」のパロディーという、ボリウッド好きには爆笑展開にw

まぼろしの市街戦 [DVD]
『まぼろしの市街戦』〜国内盤DVD

 戦争で住民が逃げ出してカラッポになった街で、残された精神病院の患者たちと、街にやってきた若い兵士が繰り広げる、カーニバルのようにカラフルな寓意劇。…なるほど、こりゃカルトだわ。エミール・クストリッツァの映画のご先祖様を見た気分。
 期待していた映画が、いざ見たら期待以上の内容だったときって、ホント嬉しいな〜。シュールな絵面にステキな衣装、ちょいと切なくて風刺の効いた内容、いやぁ素晴らしかった。愛しのアラン・ベイツ様も、まだお若いけど、最後の最後でしっかりかましてくれたしw

蜘蛛女 [DVD]
『蜘蛛女』〜国内盤DVD

 悪徳警官だけど小物のゲイリー・オールドマンが、ファム・ファタールに出会って自滅していく様子を、シャープだけどムードもたっぷりの演出で描いた、今様フィルム・ノワール。…いやぁ、ツボった。どーして私はこう、しょーもない男の話とか、男が尾羽打ち枯らしていく話が好きなんだろう。
 オープニングとエンディングが絶品。特にエンディング、切なさにマーク・アイシャムの音楽が追い打ちをかけて、ちょっと泣きそうになった… 。・゚(゚⊃ω⊂゚)゚・。 このテのムードがあるクライム映画は大好きなので、最近だと「ソルトン・シー」なんかがお気に入り。
 監督のピーター・メダックは、どにかく傑作「チェンジリング」(最近のじゃなくて昔のオカルト映画ね)を、何とかソフト化してくれ〜!…ってワシしょっちゅう言ってるな、コレw
 マーク・アイシャムの映画音楽では、何と言っても「モダーンズ」が大好き。特にこの「聞かせてよ愛の言葉を」のカバーは絶品。もう、泣ける泣ける。 http://youtu.be/A95f74Kvsq8

副王家の一族 [DVD]
『副王家の一族』〜国内盤DVD

 19世紀半ば、イタリア統一に向かう激動の時代を背景に、シチリアの名門貴族の父子の確執や利権を巡る争いを描いたドロドロ劇。なんか山崎豊子のイタリア版みたいな印象。衣装や美術が重厚で絢爛豪華…なのにDVDとしては画質がイマイチなのが残念。
 キャラクターが掘り下げ不足だとか、厭世的なテーマなので共感しづらいとかカタルシスに欠けるとか、いろいろと不満点はあるけれど、贅沢を言わなければ、ストーリー自体の起伏は充分だし、エモーショナルに盛り上がるシーンもあるので、史劇好きなら充分に楽しめるかと。

ポー川のひかり [DVD]
『ポー川のひかり』〜国内盤DVD

 イタリアの大学図書館で、貴重な古書の数々が太い釘で床や机に打ち付けられるという事件が発生。犯人の若い哲学教授は人里を離れ、河畔の廃墟に住み着く。彼はその風貌から、近隣のホームレスたちから「キリストさん」と呼ばれて慕われるようになるが、そこに開発による立ち退き要求が…といった内容。
 現代の文明や人間社会に対する疑問といったテーマが、重かったりシビアになりすぎたりせず、詩情豊かなスケッチのようにサラリと描かれるのがすごく魅力的。ただ、ヨーロッパにおける「文明と人間社会」なので、それがキリスト教と密接に結びついてくるあたりは、ちょっと観る人を選ぶかも。
 個人的には、寓意性と人情話が同居したような話法が、とても魅力的だった。監督は「木靴の樹」のエルマンノ・オルミ。劇中とエンドクレジットで使われる「忘れな草(私を忘れないで)」のメロディが、作品のテーマをスッと押していて、その優しいさりげなさが心に沁みる。
 実際の映画の印象より、予告編がアグレッシブに感じられるけど、それだけ「欧米的にはかなり涜神的なテーマ」だってことなんでしょうね。 http://youtu.be/_DrhuLuYxDo

Blu-ray_FolsomPrison
『Folsom Prison』〜アメリカ盤Blu-ray
 買っちまったよ、初ゲイポ×ノBlu-ray…が届いたなう。
 ひゃ〜っっっ!!!ディテールが!毛の一本一本が!液体や粘膜のシズル感がっっっ!!!! …うむむむ、意外なソフトでハイビジョンの実力を思い知ってしまった…ヤバいわ、これw

dvd_DobunezumiSakusen
『どぶ鼠作戦』〜国内盤DVD

 やっぱりこの一連の中では最初の「独立部連隊」が一番好きという感想に変わりはないけど、でもたっぷり楽しませていただきました。相変わらず良く立ったキャラに加え、今回はちょっとずらしたキャスティングが効果的。チョイ役で大御所お馴染み色々と顔を出してくれるのも楽しい。
 藤田進が良かったな〜。水野久美と田崎潤はチョイ役すぎてビックリw 中谷一郎、今回は髭がなかったのは残念。正直、ガキの頃から見ていた風車の弥七をイイと思ったことはないんだけど、この頃の髭付きの中谷一郎って、なんかスゴく好きなんだよねw
 あら、部連隊とミスタイプしてたw(注・正しくは『独立愚連隊』)「西へ」も「どぶ鼠」も面白かったけど、やっぱ最初の無印の方が好き。あんま見たことないんだけど谷口千吉も好きなので、「やま犬作戦」も見てみたい…
 あ、「やま猫作戦」だったw

 以上、2010年5月に家で見た映画でした〜。

5月上半期に家で見た映画(from Twitter)

 ふと思い立って、Twitterで呟いていたことの中から、その日に見た映画の感想だけを抜き出してまとめてみました。とりあえず、5月1日〜15日の分。
 ……でも、やってみると、けっこうメンドクサイな、これ(笑)。

スーパーマン ディレクターズカット版 [Blu-ray]
『スーパーマン(ディレクターズ・カット版)』〜国内盤Blu-ray

 公開時に見た後は、ソフト購入はせず、テレビのエアチェック(ベータだ!)を数回見たくらいだから、20年ぶり以上だろうか。よってディレクターズ・カット版を見るのは、もちろん初めて。
 うん、やっぱスーパーマンはシンプルで明快に限る!色のくすんだジャージ生地のコスチュームで、精神年齢の低い恋愛劇で悩んでちゃイカンのだ…と、改めて思ったりして。職人芸に支えられた堂々たる娯楽大作で、32年の風雪に立派に耐えている。ノスタルジーも混じって、ところどころでウルウル。

Blu-ray_QueenOfLang
『Queens of Langkasuka』〜台湾盤Blu-ray
 17世紀末、ランカスカ王国(現マレーシア、ランカウイ島)の覇権と、勝敗の鍵を握る海に沈んだオランダ製の巨大な大砲を巡って、様々な勢力と人々の思惑が入り乱れる一大伝奇ロマン。監督は「ナンナーク」のノンスィ・ニミプット。いろいろ思うところはあるけれど、力作には間違いなし。
 設定よし、世界観よし、キャラクターよし。話も面白いし、繰り出されるアイデアの数々も良い。ただし、描かれる「憎しみや戦争は破壊の連鎖しか生まない」というテーマや、それに則したビターな結末は、実にリアルではあるんだけど、カタルシスにはほど遠いので、後味も厭世的な気分に。
 そういった予定調和を排したシビアな視点と、アクション・スペクタクル映画的な要素が、いささか相反してしまっている感はあり。あと、基本的に群像劇なのだが、ちょっと2時間ではそれが描き切れていない感も。ただし、見応えは大いにあります。
 個人的には、戦争を描きながら敵味方という視点を排し、善悪の問題は常に個人単位での問いかけとして描かれ、キャラクターも善玉や悪玉といった様式では描かれないといった、世界観の深さは素晴らしいと思います。
【追記】日本盤DVD出ました!

ランカスカ海戦 ~パイレーツ・ウォー [DVD] ランカスカ海戦 ~パイレーツ・ウォー [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2011-10-07

クォ・ヴァディス [Blu-ray]
『クオ・ヴァディス(51年版)』〜国内盤Blu-ray

 相棒と「長いからインターミッションまで見て、残りは明日にしようね」と言っていたのに、インターミッションがなかったもんだから、うっかり全編通しで見ちまったいw ニュー・デジタル・トランスファーと謳っているものの、レストアではないらしく、色のズレとかがそのままの部分も多少あり。
 IMDbを見ると、「クォ・ヴァディス」の映像化って、9バージョンもあるのね。この51年版とJ・カヴァレロヴィチ監督の2001年版しか見たことないから、他のも見てみたいな。因みに、2001年版は個人的にオススメ作品。

NO RULES ノー・ルール [DVD]
『ノー・ルール』〜国内盤DVD

 失職した元警察官が、別居中の妻と息子のために、違法格闘賭博が行われている刑務所に、囚人になって潜入捜査する…って話。どっかで見たような要素のオンパレードではあるけれど、RHIエンターテイメント製らしく手堅くまとまっていて、そこそこ楽しめます。
 主人公はトーマス・ジェーン似のマッチョ君。フツーにフィットネス雑誌のカバーをとかを飾っていそうなハンク系ビーフケーキで、なかなかイケてる。ただ、基本タンクトップで脱ぎ場がないのは残念。せっかく水責めや電気拷問されるシーンもあるのに、シャツくらい脱がせて欲しいもんだ。
 メインの地下格闘賭博シーンは、アクションを見せるというよりは、暴力性を見せることにフォーカスを合わせているので、ベア・ナックルだけでなく、鉄パイプやらバールやらで殴り合うあたりが佳良。前述の基本タンクトップも、血糊の効果を高めるためと思えば、まあ納得か。
 まあム所ものなんで、イケてる男はイッパイ出てきます。個人的には、サド看守がタイプ。ただまあ全般的に、演出が良くあるタイプの、手持ちカメラの揺れる画面をチカチカと切り替える系で、いーかげんこーゆーのは、それが出てくるだけでイラっとするくらい食傷気味w

Mr Leather (Unrated) (Unrated) (Full) [DVD] [Import]
『Mr Leather』〜アメリカ盤DVD

 ミスター・レザーLA 2003のコンテスト模様を通じて、レザーカルチャーについて触れたドキュメンタリー。
 もともとがフェティッシュな所産であるものなのに、登場するレザー・コミュニティの人々が、自分たちのコミュニティがソーシャルなものに対して果たす役割まで、それぞれきちんと考えているあたりは、流石アメリカといった感じ。
 わりと「この人たち、何でこんなことしてるの?」的な、一般視線からの質問等もあるんだけど、それをサラリと流したり、ドシンと構えて受け止めてみせる様子には、かなりカッコイイし、ちょっと感動もする。
 とはいえ、コスチューム・フェチのコンテスタントが自分のコレクションを披露している際に、「スタートレックのユニフォームはないの?」とか質問するのは、ちょいとビッチだと思うがw
 小ネタでは、ミスター・シスター・レザーの受賞者のバイカーキャップに、ティアラが付いているのに大ウケしてしまいましたw

ミッドナイト・エクスプレス [Blu-ray]
『ミッドナイト・エクスプレス』〜国内盤Blu-ray

 考えてみると、私は中学生のときに見たこの映画で、初めて「裸の男同士がキスをする」シーンを見たような気がする。それに加えて「裸の男が拷問される」とか「男が男に強姦されかかる」なんてシーンもあるもんだから、もう、ものごっつうショーゲキ的であったことよ。
 ただ、この映画ではまだキスどまりだったので、その寸止め感にも悶々としたもんです。後で原作(主人公の自伝)を読んで、実はホントはいくとこまでいっていたのだと知って、「だったらちゃんとそこまで描いてくれよ〜」なんて恨めしく思ったりしたなぁ。
 うろ覚えではあるけれど、実際に彼が性交渉を持った相手は、確か黒人男性だったような。78年当時では、男性同士の性交渉と異人種間の性交渉というダブルの要素で、そのままの映画化は難しかったのかも。今だったら、そのまま事実通りに映像化されるのかなぁ。
 しかし改めて再見してみると、私が主に自分の長編作品で、主人公を徹底的に追い詰めるのは、この「ミッドナイト・エクスプレス」の影響も大きいのかも知れない…なんてことを、ふと思った。少なくとも、指針の一つにはなっていそうだ。
 さて、今回はブルーレイで見たのだが、やはり画質の良さに感激。光と影の演出を多用しているがゆえに、なおさらシャドウ部の階調やディテールが、潰れずに再現されているのがありがたい。逆光のロングでも、表情のニュアンスが見えるもんなぁ、ビックリ。
 そういえば、まだホームビデオですら夢だった時分に、この映画が名画座で掛かると、再見したくて何度か見に行ったものだけど、その中の一回で、同時上映が「タクシー・ドライバー」だったことがあり、2本続けて見たらヘビーさにグッタリ疲れてしまった、なんてこともあったっけw
 というわけで、好き嫌いは別にしても(実際、当時でも批判はあった)、見て損はない1本ですから、お若い方で未見でしたら一度お試しあれ。
 因みに中学の同級生たちは「男が恋人のパイオツをガラス越しに舐めながら、センズリかくシーンがある!」ってな感じでコーフンして盛り上がっていた記憶がw 私はコーフンするよりも「デカい乳輪!」の方が鮮烈だったけどw
 今回再見しても「やっぱ乳輪デカいわ〜」って思ったw
 そう言えば今回初めて気がついたんだけど、このガラス越しの面会シーンで、主人公は恋人(アメリカ人)に、最初トルコ語で話しかけ、それが途中から英語になるんだけど、最期だけ「シルブプレ」とフランス語になってしまう…ということで、主人公の精神状態が限界にあることを表現してるのね。
 特に、この最後の「シルブプレ」は、このちょっと前、狂人から「シガール、シガール、シルブプレ」と仏語で葉巻をせびられるシーンと呼応しているので、それだけ主人公の精神状態が正常と狂気のギリギリの狭間にあることを良く表している。上手いな〜、って感心。

宇宙大戦争 [DVD]
『宇宙大戦争』〜国内盤DVD

 いしかわ先生は正しかった。安西郷子、エキゾチックな美女だけど、もみあげ太ッ!
 というわけで、これからサントラ盤聴くなう。♪ヾ(。・ω・。)ノ゙

風と共に去りぬ [Blu-ray]
『風と共に去りぬ』〜国内盤Blu-ray

「美麗画質で見たい!」という相棒のリクエストで鑑賞。結果、笑っちゃうくらいに画質がいい。クラシック映画が全部この画質になればいいのに。
 内容を良く覚えているのに、それでもやっぱり引き込まれてしまう、つくづく力強い映画だなぁ。
 ただ、自分が年を重ねるにつれて、黒人奴隷制度の上に成り立っていた白人社会の繁栄とその文化を、黄金時代の理想郷のように懐かしむという視点や、明示はされないものの、KKKをヒロイズム的に捕らえているような部分に、見えない不気味さを感じるようになってきた、というのも正直なところ。
 まあ、こういった「その時代における視点の限界」といった要素には、この「風と共に去りぬ」に限らず、クラシック映画ではちょくちょく遭遇するので、いちいち気にしていたらきりがないってな感じではあるんですが。

シーウルフ [DVD]
「シーウルフ」〜国内盤DVD

 ジャック・ロンドン「海の狼」のドイツ製テレビ映画2008年版。ストーリー面白い、画面の雰囲気上々、海のシーンは迫力もあり…なのだが、ドラマ部分の演出がイマイチで、全体的にはエピソードの数々がつらつら流れるだけという、平坦な印象になってしまっているのが残念。
 剣呑な人間関係の緊迫感とか、地獄のような遠洋漁業船という閉鎖空間の圧迫感などが、あまり出せてない感じ。それと役者さんが、皆さんいかにも一筋縄ではいかない海の野郎どもといった感じで、かなり良い雰囲気なのだが、ストーリーの要でもあり、作品を支配する実質的主人公であるラーセン船長が…
 演じるトーマス・クレッチマンは、好きなタイプだし「ゴッド・ディーバ」のニコポル役なんて特に好印象だったのだが、いかんせんラーセン船長役としては線が細すぎる。知的な部分はOKなのだが、悪魔的な存在感とか野獣的な生命感には甚だしく欠けるので、ストーリーの核として弱い。
 とはいえ、全体のクオリティとしては、テレビ映画や未公開映画としては、決して低いものではないので、古典アドベンチャー好き、帆船好き、むさ苦しい野郎どものバーバリックな男のドラマ好き…等々だったら、たっぷり楽しめるのではないかと。
 ところでこの「シーウルフ」、2009年にも同じくドイツでTV映画化されているらしい。そっちのラーセン船長役はセバスチャン・コッホ。「ブラックブック」や「善き人のためのソナタ」などで「いやン、セクシーなおじさま!」と思った方なので(笑)、ぜひ09年版も見てみたいもの。
 更にこの「シーウルフ」、71年版のやはりドイツのTVシリーズもあり(どれだけこの話好きなんだドイツ人)、そのときの船長はご贔屓のライムンド・ハームストロフ。私は字幕なしのDVDで見ただけですが、これがなかなか良かったので、機会があればせめて英語字幕ででも見直したいところ。

西部開拓史 [Blu-ray]
『西部開拓史』〜国内盤Blu-ray

 まあぶっちゃけた話、水平方向の拡がりと奥行きを強調したパノラミックな画面で、スペクタキュラーな見せ場を取り混ぜながら大味な話を綴っただけの映画…という気もするけど、画面のレストア技術がスゴいこともあって、画面は呆然とするほど精彩で美麗。
 元々がシネラマ映画なので、テレビのフラットな画面で見ると、消失点が複数あったり、水平が湾曲していたり、構図的にも中心点が複数あったり…と、見ていて何だか騙し絵でも見ているようで、ちょっとクラクラしてきたりもしますw
 特典ディスクに入っている、シネラマを擬似的に再現したスマイルボック版で見た方が、映像的には自然に見られるってのが面白い。
 画面がスゴいってこと以外には、内容的にはあまり特筆するようなものはないんですが、まあとにかく画面のスゴさは、ホント半端なくスゴいですw
 スペクタクル面だと、バッファローの暴走シーンが、そのド迫力に圧倒されつつ、同時に「お〜、ひょっとして『風の谷のナウシカ』の王蟲の暴走とか『もののけ姫』の猪の暴走とかって、これが元ネタ!?」って感じで面白かった。^^
 役者さんは、豪華キャストなんだけど、サービスで顔出すだけといった感じが殆どだし、ジェームズ・スチュワートとヘンリー・フォンダがワイルドな猟師ってのは、ちょっとどうよ…とかあるんだけど、個人的にはセルマ・リッターが良かった。^^
 あと、この映画って基本的に「我らの勇敢な先祖が、拳銃と鉄拳で西部を征服し、偉大な国アメリカを作ったことを讃えよう!」みたいな内容なんで、当然それ相応の不快さはあります。差別的な要素がさほど見られないのは、救いではありますが。
 私、子供の頃は西部劇って嫌いだったんですが、その理由は「ヒゲ・強面・薄汚れ」が三種の神器だった自分にとって、昔の西部劇で「あ、ステキ!」って思う男は、ほぼ100%ドーデモイイ脇役だったから。もう、ツバ付けた次の瞬間には撃たれて死んじゃうんで、それに懲りて見なくなったw

エスター [Blu-ray]
『エスター』〜国内盤Blu-ray

 いや〜面白かった。この監督、以前の「蝋人形の館」が良かったので期待はしてたんだけど、にぎにぎしいエンタメ系ホラーだった「蝋人形…」に対して、この「エスター」はじっくり描いたスリラーものと、方向性はかなり違うんだけど、どっちもなかなかの腕前。こりゃますます今後が楽しみに。
 もうちょっとだけ刈り込んでタイトにすると、もっと良くなりそうな気はするけど、じっくり描くところは腰を落ち着けて、派手な見せ場は容赦なく…と、ツボはしっかり押さえた作劇。いや、上出来、上出来。 ^^

フロム・ヘル [Blu-ray]
『フロム・ヘル』〜国内盤Blu-ray

 相棒の大好き映画ということもあり、もう何度見たことか。そして今回、アマゾンでブルーレイが約半額だったので再購入。暗いトーンと凝った映像美が見所のひとつなだけに、効果は絶大。アンバーとグレイを基調にしつつ、そこに炸裂する鮮やかな血の赤とアブサンの緑という色彩効果に、改めて感心。
 キャラクターの立ちっぷりと役者さんのハマり具合も良く、この映画を見て以来我が家では、ビアンの娼婦を演じたスーザン・リンチが一躍人気者にw 個人的にはグロテスク美という面でも大いに惹かれる映画。切ない後味も好き。
 ただ原作と比較してアレコレ言われてもいるようなので、う〜ん、やっぱ一度ちゃんと読んでおくべきか。

アズールとアスマール [Blu-ray]
『アズールとアスマール』〜国内盤Blu-ray

 何度見ても、この色彩美には陶然。今回は字幕に邪魔されたくなかったので、吹き替えで鑑賞してみた。なかなか良きかな。主言語(オリジナルは仏語、吹き替えだと日本語)とアラビア語の対比なんかは、その違いが良く判る分、吹き替えで見た方が効果的かも。

パフューム ある人殺しの物語 [Blu-ray]
『パフューム ある人殺しの物語』〜国内盤Blu-ray

 我が偏愛映画の一本。世評はともあれ、これは自分にとっては完璧な映画。汚穢にして美麗、エンタメにして芸術、ヘンタイにして崇高、もう何から何までメチャンコ好きだったりする。幸いにして相棒も大好きなので、我が家でのリピート率は実に高し。
 とゆーわけで、改めてブルーレイで買い直したんだけど、もともと映像のシズル感がスゴいだけに威力も倍増。美麗なシーンは、もちろんより美麗なんだけど、それ以上に、不潔感の表現なんかが更にパワーアップしてるもんだから、思わず見ていて「うぉっぷ」となりそうなくらいw
 それにしても、この「パフューム」と昨夜の「アズールとアスマール」と「300」と「パンズ・ラビリンス」と「ブラック・ブック」が日本公開された2007年は、自分にとって何と至福の一年だったことよw

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『The Siam Renaissance』〜香港盤DVD
 タイ映画。バンコクに来たフランス育ちのタイ人女性が、タイムスリップで現在と100年前のバンコクを行ったり来たりする話。当時のタイ(つまりシャム)は英仏両国の植民地化の危機にさらされており、愛国心に燃える若者たちを見て娘さんは…とゆー展開に、タイム・パラドックスなんかも絡んだり。
 イメージカットを多用した演出が、叙事というよりロマンティック方向に偏っているので、歴史の節目の緊迫感とか、伏線の収束とかパラドックスの解決とかいったロジカルな部分は、正直さほど見応えはない。ただ、叙情的で感傷的なパートは、けっこう盛り上げてくれる。
 映像面では、さほどの予算ではなさそうだけど、100年前のバンコクの風景の古写真に、色が付いて人々が動き始めたりとか、パラドックスの結果、現代のバンコクに巨大なエッフェル塔が聳え立ってしまうとか、わりと面白いイメージが幾つかあった。

稲垣征次さんが個展開催

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 明日4月9日から18日まで、渋谷「マリアの心臓」で稲垣征次さんの個展「金閣寺」が開催されます。
 場所、開館時間、休館日などの詳細は、こちら
 どんな絵でも、印刷物で見るのとオリジナルの原画で見るのとは、天と地ほどの違いがありますが、ここ数年の稲垣さんの作品は、以前と変わらぬ緻密さに加え、金属系顔料の色鉛筆によるテクスチャー表現など、印刷物では絶対に再現不可能なものです。そういった新作に加えて、「薔薇族」時代のモノクローム鉛筆画も多数ご出展予定とのこと。
 因みに、会場の「マリアの心臓」は人形美術館でもあるので、稲垣さんの耽美でエロティックな作品と同時に、天野可淡や恋月姫といった有名な創作人形作家の作品も、併せてお楽しみになれるはず。
 皆様、この機会に、ぜひお出かけくださいませ。

「非実在青少年」規制問題に関する追補と警鐘

 今回は、少し「ゲイ寄り」な内容です。
 前回で終わりにしようと思っていたんですが、エントリーをアップした後に、下のまとめ記事を読んだところ、これはもう一言つけくわえておくべきだと思ったので。
「非実在青少年」問題とは何なのか、そしてどこがどのように問題なのか?まとめ〜Giazine
 とりあえず、私が最も気になったのは、以下の部分。

「マイノリティに配慮し過ぎた挙句、当たり前の事が否定されて通らないというのはどうしても納得出来ない」
「説明や調査データを示す必要も無いくらい規制は当たり前の事だ。正論でガンと言ってやれば良い」

 前のエントリーで私が参照として挙げた、「東京都小学校PTA協議会会長」にして「東京都青少年問題協議会委員」である新谷珠恵氏の発言だ。
 詳細を知りたくなり、実際の原典(第28期東京都青少年問題協議会 第8回専門部会議事録(PDF)/p.26〜27)に当たってみた。 すると、こういう内容だった。

「(前略)何でそういった人のことまでそんなふうに考えなきゃいけないのかなと思います。(中略)マイノリティに配慮しすぎたあげく、当たり前のことが否定されて通らないというのはどうしても私は納得できない。(中略)そういう団体の方たちに対する説明とか調査データもそうなんですが、極論を言うと、示す必要もないくらい当たり前、正論でガンと言っていいのではないかなと、そのくらい強く私は思います」

 婉曲な言い回しと語調のせいで、要約された記事ほどラディカルな印象ではないが、私が「気になった」部分に関しては、全く同じである。
 それは、世界を「当たり前」と「そうでないもの」に分けて考え、何の疑いもなく自分を「当たり前」に属するものとして定義し、その主観に基づく価値観を「正論」と表現することについても、やはり何の疑問も抱いていない、ということである。
 以前のエントリーでも危惧として述べたことではあるが、これははっきりとした言質だったので、改めて紹介してみた。
 こういった「無自覚の正義」による言動が、どれだけ恐ろしい可能性を孕んでいるのか、「当たり前」ではないセクシュアル・マイノリティならば、なおさら良くお判りいただけるのではないだろうか。
 私にとって身近なことろで言えば、以前このブログでも紹介したトルコの青年アーメット・イルディスも、2008年夏、そういう「当たり前」な人々の名誉を傷つけたという理由で、「正論」として実の家族の手で殺害されたのだ。
 元の発言を読むと、その主張をグローバル・スタンダードに基づくもののように言っているが、自分の主張を正当化するために、一部の既成事実を利用しているに過ぎないようにも見える。
 児童の保護というお題目にしても、同様だ。仮に、そもそもの発想の根本はそこにあったとしても、やはり前回のエントリーで私が想像したように、「目的」の達成のための「手段」として、意図的に「実在」と「非実在」の区別を排除した、抽象概念としての「子供のイメージ」を利用しているだけなのではないか。
 それが「教育」や「行政」の現場に存在し、その考えに基づく「法」が、知らないうちに密かに成立しそうになり、そして今も、成立の危機は去っていない……というのが、現状なのだ。
 しかも、幾らでも拡大解釈が可能なやり方で。
 それでもまだ「でもこの規制って、オタクやロリコンの問題でしょ? ゲイには関係ないじゃん」と思われる方には、昨今はネット上のコピペでも良く見かける、反ナチスを謳ったマルティン・ニーメラーの詩をもって、私の言に代えさせてただこう。

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、
(ナチの連中が共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった、)
私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった、
私は社会民主主義ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった、
私は労働組合員ではなかったから。
彼らがユダヤ人たちを連れて行ったとき、私は声をあげなかった、
私はユダヤ人などではなかったから。
そして、彼らが私を攻撃したとき、
私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。
<参照元>〜Wikipedia日本語版

 最後にもう一つ。
 この問題に関して、私はTwitter上で、こんなことを呟いていた。

過去、行政が表現、特に絵画について、主観に基づく「健全・非健全」という定規を用いて介入した先例はと考えると、やはり最初に思い出されるのは、ナチスが唱えた「退廃芸術」かな。(original)
表現活動全般に拡げて、行政が創作物の内容を制限したり、創作者自身をも断罪した例と言えば、旧ソ連のあれこれ(社会主義リアリズムとかジダーノフ批判とかパステルナークとかソルジェニーツィンとかモソロフとかパラジャーノフとか……ああ、きりがない)とか。文革もそうか。(original)
だいたい、あんまり「健全、健全、健全……」と強調されるのを見ていると、「それって優生学?」って感じ。(original)

 いささか軽口めいたものだが、下記の新谷氏の発言を見ると、どうやら冗談ごとではないようにも思えてくる。

「(前略)雑誌・図書業界のためにも、きちんとした規制をしてあげることが、結局、悪質な業者、悪質も出版社が淘汰されていくということにもなるので、(中略)健全な業者、出版社を生かすために、どんどん悪質なものはペナルティーを科して消していくというような仕組みがかえって皆さんのためにもいいのではないかと思いました。(中略)言論の自由とか表現の自由とおっしゃいますけれども、それはプラスα、芸術性のあるときだと思います。(中略)やはり社会としてのモラルとか、品格とか、いろいろなものへの影響、そういったもののマイナスを考えれば、自由とか、そういったものの権利とかプラス、そういったものも減じられるというか、なくなると私は思います。(後略)」(第7回議事録(PDF)/p.35)

 この内容、特に、後半で語られる「モラル」と「芸術性」を念頭に置いて、ぜひもう一度、ここで例に挙げた、ムーアとレイトン、二つのヴィーナス像の逸話を思い出していただきたい。