個展用の描き下ろし連作「七つの大罪」、彩色完了。ちょいと一部分をプレビューしてみませう。
エスタンプ制作用のデータもフランスに送ったし、これで、個展の準備はほぼ完了かな。後は、細かな用件が幾つか残るのみ。額装とかエスタンプへのサイン入れとかは、渡仏後の作業だし。
とはいえノンビリもしておられず、出国までに今月の仕事をキレイに片づけていかなきゃ。
昔、サラリーマンやってた頃、夏休みに仕事が食い込んじゃって、インドネシアはバリ島のウブドゥ村と東京間で、指示書をファックスしたり、送られてきた原稿に朱入れして返したりしたことがありますが、あーゆー事態はできれば避けたい(笑)。オマケにこのときは、夏休みが終わって成田に着いて、そのまま会社に直行、12時間後くらいには再び成田に行き、今度はロケでハワイに飛んだ……なんてスケジュールだった(笑)。
あ、そーいえばフリーになってからも、マレーシアはペナン島のホテルで、「PRIDE」だったか「銀の華」だったかのネームをきったこともあったなぁ(笑)。プールサイドで、はしゃぐリゾート客を横目で見ながら、エロマンガのネームをきるってのは、なかなか辛かった記憶があります。しかし、そのぶん「さっさと終わらせて遊びてェ〜っ!」とエンジンがかかり、普段の半分くらいの時間で仕上がったけど(笑)。
まぁ今回は、半年以上前からこれに併せて予定を組んでいるので、毎日きちんきちんとノルマをこなしていれば、無理なく仕上がるスケジュールです。風邪ひいて寝込んだりしなければ、大丈夫でしょう。
「アート」カテゴリーアーカイブ
サイン会とか画集とか禁書とか
前回の記事で「いつの間にか、パリの本屋でサイン会をすることになっていた」と書きましたが、メールをやりとりするうちに、もう一つ新事実が発覚。
ギャラリー・オーナーのオリヴィエ・セリにメールして、サイン会の予定が入っていることを確認しましたが、そのメールを良く読んでみたら、「サイン会は、H&Oから出る君の新しい本の発売にあわせて開催する」と書いてある。
……新しい本?
実はH&Oとは、次のフランス語版コミックに関する契約を、既に交わしています。翻訳やレイアウト作業も、昨年暮れから進行中ではありますが、今度は短編集ではなく長編なので、いくら何でも3月発売には間に合いそうもない。だいいち、私はまだ表紙イラストのラフすら上げていないし。
そうなると、残る可能性は一つ。一昨年に契約書を交わし、去年の頭にはレイアウトもでき、PDF校正も済ませたものの、発売が延び延びになっていた、”The Art of Gengoroh Tagame” というタイトルの画集。
で、今度はH&Oのアンリに、「オリヴィエ・セリが、H&Oから私の新しい本が出ると言ってるんだけど、そうなの? 本当なら、どの本を出すの?」とメールしました。すると「”The Art of Gengoroh Tagame” を、君の来仏に併せて出すことにしたよ」とゆー返事。
いや、いいけどね、画集が出るのは嬉しいし。でも、発売決定したんなら知らせろよ! って感じではあります(笑)。
そんなこんなで、ここしばらくフランス絡みで、「本人が知らないことを、第三者からの伝聞で知る」ことが、二件連続発生(笑)。
さて、アンリからのメールには、それ以外にも「bad news がある」と書かれていました。カナダ向けに出荷した私の仏語版単行本が、輸入禁止品扱いになってしまったそうな。
調べてみると、カナダはポルノグラフィに関する法規制が厳しく、日本のアダルト・コミックスが、チャイルド・ポルノに引っかかってしまった例が見つかりました。だとすると、”Gunji” には「TRAP」が、”Arena” には「非國民」が収録されているので、それが原因か。
……と思ったんですが、もうちょい調べてみたら、2004年度と2005年度のカナダの輸入禁止品目リストみたいなのを見つけて、それの COMIC BOOKS / Prohibited リストの中に、日本版の『嬲り者』『柔術教師』『銀の華(中・下)』『PRIDE(1・2・3)』を発見。
まぁね、表題作と「俺の先生」で高校生が出てくる『柔術教師』、子供が男女郎を買いにくる『銀の華』、「TRAP」と「非國民」が収録されてる『PRIDE』は判る。しかし『嬲り者』は、チャイルド・ポルノにはかすりもしなさそうなんだが……。
とにかく、どんな理由かは知りませんが、カナダでは私のマンガは禁制品のようです。う〜ん、昔「さぶ」に書いた小説で、伏せ字をくらったことはあるけれど、禁書扱いは初めてかも(笑)。でも、本家サイトのアクセス解析を見ると、カナダからの訪問客数は、日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリアに次いで、今月もちゃっかり6位にランクインしていますが……。
所変われば品変わる、とは言いますが、つい先日新聞の件があっただけに、フランスとフレンチ・カナディアン、ご先祖様は一緒だろうにここまで違うものか……と、何だか驚きも新たです。
個展とか渡仏準備とか
3月2日から、フランスのパリで個展をします。
海外での作品の展示は、1996年にニューヨークでの企画展に、2004年にフランスのリールとアヴィニョンでの企画展に、それぞれ依頼されて作品を提供したことはありますが、自分一人の個展というのは初めてです。
とはいえ、これは急に決まったとことじゃなく、実は去年から動いていた予定。
きっかけは、去年の春。
五年間かけたマンガ『君よ知るや南の獄』の連載を終え、雑誌「ジーメン」の企画編集スタッフからも退陣しました。で、次に何をしようかと考え、久々に個展でもやりたいな〜、なんて思い、じゃあ場所のあたりをつけなきゃ……なんてときに、一通のEメールがきました。
差出人は、パリのギャラリーのオーナーだというオリヴィエ・セリ氏。内容は「ウチで個展をやらないか?」というオファーでした。何とまあグッドタイミング、渡りに舟って感じ。で、何度かやりとりをして、決定したのが初夏の頃。
ただ、この「やりとり」ってのが問題でして。私はフランス語はサッパリだし、英会話だってトラベル・イングリッシュ・レベル。当然のことながら、電話できちんとコミュニケーションをとれる自信なんかありません。でも、テキストなら辞書っつー強〜い味方がいるから、「打ち合わせや問い合わせはメールでしてね」と言っているのに、このオリビエ氏、せっかちなのか何なのか、すぐに電話をかけてくる(笑)。
まぁ、私も電話を受けちゃった以上、何とか英会話を心掛けるんですが、じきにギブアップ。で、私が「そういう細かいことは、メールでコンタクトしてくれ!」とキレると、オリヴィエ、その時は「ソーリー、ソーリー」とか言うくせに、しばらくするとまた性懲りもなく電話してくる(笑)。去年の大晦日、家に友人を招いて年越しパーティーの真っ最中にまで、電話がかかってきた(笑)。欧米人って、年末年始はさほど特別な日じゃないのかしらん。
で、またこのオリヴィエの英語が、実にフランス語風の発音。加えて、喋るスピードはけっこう速いもんだから、あたしゃいっつも「パードン?」の繰り返し(笑)。あと、英語がフランス語風に化けるだけではなく、たまに、思いっきりフランス語そのものが混じったりもする。まあ、同じスペルの単語がフランス語の発音に化けるってのは、その気持も判らなくもないですが、英語で喋ってるのに、いきなり「エスタンプ・ド・ジャポネ」とか言ってくるんじゃね〜よッ(笑)! 一瞬ポカ〜ンとしてしまったが、浮世絵のことを言っているんだと、理解できた自分を褒めてあげたい(笑)。
で、個展にあわせて、私も今月末からちょいとフランスへ行く予定。
フランスは、まだ学生時代に一度行ったきりの、およそ20年振りの訪問なので、ちょいと緊張しています。
個展の開催期間は、丸々2ヶ月間とけっこう長めなんですが、流石にそんな長く滞在するわけではなく、オープニングの数日前に現地入りして、準備やら何やらをしつつ、パリでの滞在は一週間程度を予定しています。
先日、どこから情報が伝わったのか、ここで書いたアニエス・ジアールから、「パリに来るんだって? 嬉しい、サイン会には絶対行くわ!」ってなメールが来ました。これを読んで、私はビックリ。サイン会って、何のこと? 不思議に思ってオリヴィエに問い合わたら、いつの間にか、パリの書店でサイン会をすることになっていた(笑)。
まぁ、現状で判っている予定はそんなもんですが、せっかくの機会だし、差し迫った仕事の予定があるわけでもないので、用事が終わったら、ついでにどっかでブラブラ遊んでこよう、なんて画策中です。こーゆーのが、フリーランス商売のメリット(笑)。
そして現在、パリ行きの準備中。
といっても、パスポートの有効期間はまだあるし、エア・チケットも手配済みなので、旅行自体の準備は何もありません。
今やっているのは、個展用のオリジナル新作絵の制作。最初は、せっかくの個展なので、久々にアナログでデカめの絵を描きたいとか考えていたんですが、いろいろあって、最終的にはギャラリーからの依頼で、毛筆画+デジタル彩色のテーマのある連作ということになりました。
で、そのギャラリーが注文してきたテーマっつーのが、キリスト教の「七つの大罪」。
最初はちょっと戸惑いました。だいいち私の作品は、ぜ〜んぶ大罪の一つである「淫欲」まみれなわけだし(笑)。あと、こーゆーテーマ連作というのは、ある程度の共通フォーマットも持たせないと様にならない以上、二つか三つはネタを出すのが苦しいものもあり、今回もその例外ではなさそうだし。
でもまあ、いざ描き始めると、あれこれ悩むのもまた楽し、ってな具合で、わりとスイスイ筆が進んでくれました。二つほど、なかなか上手くまとまらないネタがあり、ちょいと苦戦しましたが、それも先ほど無事終了。
ってなわけで、これがその「七つの大罪」用の、資料用に引っ張り出してきた本と、サムネール・スケッチと、下絵の一部分。
これで下絵が全部完成したので、明日から本描きに入れます。……が、さっき見たら、毛筆画用の筆がもうボロボロだったので、明日、街に出て買ってこなきゃ。
仏リベラシオン紙に書評とイラスト掲載
先日、サイト宛に「自分はフランスの新聞 "Liberation" の記者で、今度あなたのフランス語版『闘技場〜アリーナ』のレビューを書きたいんだが、誌面にあなたのサイトにある "Parasite" って絵を使いたい。印刷用の高解像度データを送ってくれないか?」という英文メールを貰いました。
で、はて「リベラシオン」って、どっかで聞いたような……とか考えて、思い出してビックリ。リベラシオン紙って、有名なフランスの左派系新聞じゃないっスか! しかも、確か創刊時にはサルトルが関わっていたんじゃなかったっけ?
ひぃ、なぜそんな新聞に私のマンガの紹介が……ひょっとして、フランスには同姓同名……じゃなくって、同じ名前のゲイ向けのフリーペーパーかなんかがあるんじゃない? そーいや手塚治虫の『W3』に、田舎のオバチャンたちが、舟木一夫ならぬ舟本一夫ショーってのに騙されて、ドサまわりの無名歌手にキャーキャー言うシーンがあったような……とか、いらんことまで思い出しちまったりして(笑)。
でもまあ、一般の新聞だろうがゲイ雑誌だろうが、マンガを紹介してくれるのはありがたいんで、「いいけどちゃんとコピーを一部送ってね」と返信したわけです。サイトにアップしている "Parasite" はラフ画だったから、着色して完成したバージョンと二点送って、「好きな方を使っていいよ」とも書き添えました。
で、数日前、フランスから大きな紙封筒が届きました。開けてみたら、新聞が入ってた。見覚えのあるロゴ。やっぱり、あのリベラシオン紙。2007年1月25日号。うむむむ、半信半疑だったから、けっこうビックリ(笑)。
で、例の記事はどこじゃらほいと探して、見つけて更にビックリ。
うん、確かにフランスのH&Oから出ている "Arena" のレビューらしき記事と、私が送った完成版の "Parasite" が載っているんですが……あたしゃてっきり、絵の一部だけを使うとかだと思ってたんですが、ノートリミングの無修正で、しかもけっこうデカデカと載っている。(左上の画像参照。クリックするとデカくなります)
あの……この絵、チンチンもキンタマもモロ出しで、包皮のシワから血管までクッキリ描いているんですけど……オマケにアヌスもこじ開けられていて、直腸の内側の肉ヒダまで描いているんですけど……。
日本の新聞だと、私の本の書評が載ることすら考えられないのに、書評はおろか、この絵がフルカラーでデカデカと掲載されるとは……。う〜ん、ここ数年フランスとのご縁が多くて、何かとリベラルな国だなぁとは思っていたけど、ここまでリベラルだったとは。想像を上回る自由さに、正直ビックリです。
いいなぁフランス。もう二十年も日本の法律や出版社の自主規制のおかげで、絵画における性器の露出やら表現のタブーやら、創作上の制約のアレコレに悩まされてきた身なので、なんだかフランスに移住したくなってきた(笑)。
まあ、例によってテキストの方はフランス語なんでチンプンカンプンなんですが、大見出しはどうやら「とってもスゴいSM」とゆーことらしい(笑)。え〜、小見出しは「全ての男が凌辱されるX指定マンガ」ってこと(笑)?
本文は、どうやらあらすじを紹介しているらしい部分以外は全く判らないんですが、「マルキ・ド・サドのジュスチーヌのように」ってのだけは判って、何か嬉しい(笑)。前に、やはりフランスのアート誌に、これまたH&Oから出た "Gunji" のレビューが載った際、文中にマルセル・プルーストやロマン・ロランの名前を見つけて、「いったい何がどーゆー文脈で、こんな名前が出てくるの?」と、目が点になってしまったことがありますが、マルキ・ド・サドなら納得です(笑)。
ま、サドの小説そのものは、あたしゃジュスチーヌが主役の『美徳の不幸』より、姉のジュリエットが主役の『悪徳の栄え』の方が好きなんですけど(笑)。同作に出てくる食人鬼ミンスキーと、『ソドムの百二十日』に出てくるブランジ公爵と強蔵エルキュールのカップルが、私が十三歳の頃のアイドル兼オナペットでした(笑)。
因みにこの号のリベラシオン紙は、書評がBD(バンド・デシネ=マンガのこと)スペシャルらしく、十ページに渡ってマンガ単行本が二十冊ほど紹介されています。日本のマンガを集中してレビューしてあるページもあって、丸尾末広さん、近藤聡乃さん、福山庸治さん、阿部慎一さん、水木しげるさんの、仏語版単行本が紹介されています。
私のマンガは、それとは別の、ゲイ・マンガ(もしくはゲイ・テイストなマンガ)コーナーでの紹介。ここに掲載されている作家で私が知っていたのは、Ralf Konig だけでしたが、Lepage という作家さんの "Muchacho" というマンガは、ちょっと絵がステキなので気になります。amazonかどっかで、探してみようかな。
で、このゲイ・マンガ・コーナーが、マンガ・スペシャルのトップ記事なもんですから、う〜ん、つくづくリベラルな新聞。……あ、そもそも紙名からして「リベラシオン」だっけ(笑)。
さて、こーなると次に目指すは「ル・モンド」と「フィガロ」ね! ……って、ないない(笑)。
イベントのご案内/伏見憲明さんがゲイバーのママに!?
評論家&作家の伏見憲明さんが、リアルゲイバァを開店することになったそうです。
とはいえこれは、伏見さんの新刊『欲望問題』の刊行記念イベントとして、2月の週末にゲイバー「アイランド」さんのパーティルームを借りての、述べ5日だけ営業だそうです。
では、以下はいただいたメールからの引用。
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●伏見憲明が二丁目でゲイバーを開店!?
新刊『欲望問題』(ポット出版)の刊行を記念して伏見憲明が2月、新宿で「昭和のゲイバァ」を臨時開店します。新宿3丁目のゲイバー、アイランドの4Fを借りた週末のみの営業ですが、伏見ママとお酒を呑みながらおしゃべりしたい人は、老若男女どなたでも大歓迎! 一見さんウェルカム!
古式ゆかしいゲイバーにちなんで、営業ポリシーは「毒舌」「くっつけ」「エロ」の三本柱。昭和の気分を存分に味わってもらいます。
今回は「昭和」をコンセプトに、店内にはまだゲイがアンダーグラウンドだった時代をなつかしむ品々が展示されます。
「薔薇族」以前に一部で流通していた「アドニス」「薔薇」「同行」などのミニコミ誌、初期の「薔薇族」や「青年画報」、伝説のゲイカルチャー誌「MLMW」などの雑誌類、初期のホモ単行本、新聞記事、三島剛などの絵画、地下でやり取りされていたエロ写真、スライドなど、レアなゲイカルチャーを取り揃えた、回顧展でもあります。
伏見憲明が「ゲイの考古学」を執筆するにあたって収拾したものを初公開。温故知新、ぼくらがどこから来たのか、に興味がある人にはうってつけのイベントでもあります。
日時:オープニングパーティ 2/2(金曜日)
以後、2/3(土)、2/10(土)、2/17(土)、2/24(土)
20:00〜
場所:ゲイバー、アイランドのパーティルーム(4F)
03−3359−0540
http://www3.alpha-net.ne.jp/users/islands/
料金:3000円(焼酎割り・ソフトドリンク飲み放題)
*食べ物持ち込みOK
*先着順に古いゲイビデオのプレゼントもあります!
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……ってな感じらしいですが、ノリエ姐さんの色白で柔和な顔に似合わない毒舌シャワーを浴びたい方はもちろん、個人的にはやはり展示物の数々が気になるところ。「アドニス」や「薔薇」や「同行」の現物を見る機会なんて、そうそうあるもんじゃないですよ。
また、伏見さんご所蔵のアンダーグラウンドな写真など、過去のゲイ・エロティック・アートは、私はそのごく一部を拝見させていただく機会がありましたが、これまた時の流れに埋もれてしまった貴重な資料です。過去の日本のゲイ文化史に興味のある方は、足をお運びになってはいかがでしょう?
さて、このイベントのきっかけとなった、伏見さんの新刊『欲望問題』とは何か、というと、これまた頂いたメールから以下引用させていただきます。
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●『欲望問題』専用サイト、「欲望問題プロジェクト」が始動
伏見憲明著『欲望問題』の刊行に合わせて、ポット出版のサイト内で「欲望問題プロジェクト」が公開になります。
『欲望問題』の書評が一ヶ月、毎日アップされていくという、出版界はじまって以来の企画です! 書評執筆者も、中村うさぎ(作家)、遥洋子(タレン ト)、黒川創(作家)、永江朗(ライター)、加藤秀一(社会学者)、橋爪大三郎(社会学者)、藤本由香里(評論家)氏など40名以上の錚々たるメンバー が予定されていて、そこでいったいどんな議論が巻き起こるのかに注目が集まっています。
また「欲望問題プロジェクト」の一環で、すでに伏見憲明サイトなどでネット向けのCMもオンエアされています。
「欲望問題プロジェクト」 2月1日より公開
http://yokuboumondai.pot.co.jp/
伏見憲明サイト
http://www.pot.co.jp/fushimi/
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というわけで、こちらもよろしく。
『欲望問題』伏見憲明(amazon.co.jp)
タコシェさんで『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』原画展開催
今週末12月23日(土)から来年1月10日(水)まで、中野の書店タコシェさんの店内で、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』関連の原画が展示されます。
展示作家は、林月光(石原豪人)をメインに、木村べん、児夢(GYM)、遠山実、倉本彪など。展示作品はタコシェの中山さんが、どうせならば先月のアップリンクでのイベントと、できるだけ重複しないようにと選んでくださったので、原画の公開は今回が初めてという作品も多いです。
中でも注目していただきたいのは、林月光(石原豪人)の作品で、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』への収録候補としてご遺族からお借りしたものの、ページ数の関係で涙をのんで収録を断念した作品も、今回の展示には含まれています。ファンは必見!
あと、この展示と並行して、木村べんさんが生前に刊行された自費出版画集『TAN-PAN-BODY』も、ポストカードセットのオマケ付きで、店内にて販売中。
クリスマスから年末年始、サブカルの聖地詣でも兼ねて、ぜひ足をお運びになっては?
詳しくはこちら。
奥津直道個展、開催中
銀座のヴァニラ画廊にて、奥津直道さんの個展「咲奔〜SAKIBASHIRI」が、12月16日まで開催中です。
直道さんが日本画的な画面構成で描く、時に生々しく時に幻想的な裸の男たちは、その装飾性とシンプルさの絶妙のバランスや、エロスと品格を併せ持つ香気で、常に私を魅了します。
また、私自身が彼の作品のファンだということもあるのですが、個人的に、若手作家の中での最注目株の中のお一人だと、勝手に考えていたりもします。
既に直道さんのファンだという方も、まだ見たことがないという方も、良い機会なので、ぜひ一度足をお運びになっては?
“L’IMAGINAIRE EROTIQUE AU JAPON”
去年取材を受けたフランスの女性ジャーナリスト、アニエス・ジアール (Agnes Giard) が、彼女が書いた本 "L’IMAGINAIRE EROTIQUE AU JAPON" (Albin Michel/ ISBN 2-226-16676-9 / 35,00 EURO) を送ってくれました。
お会いしたときには「今年の暮れに出る予定」と言っていたのに、いっこうに音沙汰がなかったもので、はてどうしたんだろうと思っていましたが、約一年遅れで発売されたってわけですな。まあ、私も『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』が大幅に遅れてしまった前科があるので、人のことは言えません(笑)。
実に立派な本で、造本はセミ・ハードカバー(っつーのかな?)、サイズはB5程度ある大判、本文は330ページ以上で、厚味も3センチくらいあります。例によって、フランス語はさっぱりわややなので、残念ながら読むことはできませんが、全ページフルカラーで、テキストも図版もタップリ。
日本のエロティック文化全般を論じた本らしく、収録されているアーティストは、表紙を飾る山本タカトさんを始め、横尾忠則さん、村上隆さん、会田誠さん、林良文さん、佐伯俊男さん、吉田光彦さん、室井亜砂二さん、丸尾末広さん、駕籠新太郎さん、今泉ゴッホさん……などなど。
私の作品は、"LA CRISE DE LA MASCULINITE"(え〜、これは「男らしさの危機」って意味?)という章の扉を含め、5点ほど1ページ大で使っていただきました。また、嬉しいことに、"GENGOROH TAGAME ET LE FANTASME DU SURMALE" と題された、独立した一章もあり。
でも何よりも嬉しかったのは、この本には昔の浮世絵とかも載っていまして、「自分の作品が、尊敬する月岡芳年と同じ本に載っている!」ってこと。いやもう、クラクラするくらい嬉しいです、マジで。
あ、エロティック・アート以外にも、コスプレ・メイド・ヤマンバ・ラバー・全身タイツ・女王様・やおい・フィギュア・ドール・エロゲー……などなど、実に盛り沢山の内容です。
著者のアニエスとは、去年の四月に東京で会ったんですが、そのときの待ち合わせ場所が新宿二丁目の cocoro cafeでした。「待ち合わせにココロカフェを指定するガイジン? ナニモノだい、そりゃ?」と、驚いたもんです(笑)。
取材は通訳さんも同席で、日本語とフランス語と英語のチャンポンだったんですが、なにしろ私の英語なんてアヤシイコトコノウエナイので、果たしてちゃんと意志が通じていたか、実は今でもちょっと不安だったりする(笑)。本で内容を確認しようにも、フランス語だから読めないし(笑)。
で、そのときに私に関する質問の他にも、アニエスは「フンドシ大好き!」とのことで、褌についても根掘り葉掘り聞かれたんですが、本に載ってる "Les Fundoshi de Gengoroh" っつーコラムは、多分そのときの話が元なんだろうなぁ(笑)。私は文化人類学者でも服飾史の専門家でもないんで、あんまりヘンなコト書いてなきゃいいんだけど、ま、それとは別に "FUNDOSHI : LE DERNIER BASTON DE LA VIRLITE" という独立した一章もあるんで、多分大丈夫でしょう(笑)。
それにしてもアニエス嬢、本当に褌がお好きだとみえて、掲載された私の作品も、彼女がセレクトしたんですが、ぜ〜んぶ褌もの(笑)。
で、取材の後に cocoro cafe の表で写真を撮られまして、そのときの写真が本の巻末のアペンディックスに使われているんですが、これがどーにも顔がマンマルでパンパンに膨れて見える。で、思わず相棒に「この写真、何かすっごく太って見えない?」と愚痴ったら、「だってお前は太ってるだろ?」とゆー、心ない返事が(笑)。
まあ、洋書なんで「買ってね」とは言いづらいですが、前述のようにとっても立派で、しかもキレイな本なので、知り合いに見せたら「この本、欲しい!」という人が、けっこう何人もいました。
とゆーことで、興味のある方やご購入を検討される方がいらっしゃいましたら、amazon.fr あたりで探してみてください。
画集”STRIPPED”に参加
ゲイ・アーティストの画集やメールヌード写真集を数多く出していて、ゲイ向けのワールド・トラベル・ガイド"Spartacus"の版元としても有名な、ドイツのゲイ向け出版社Bruno Gmunderが、創立二十五周年企画として、世界のゲイ・アーティストたちの作品を集めた"STRIPPED – The Illustrated Male"という画集を出版しました。
今年の春頃だったか、私のフランス語版"Gunji"を見た同画集の編集者の方から、メールでオファーをいただきまして、面白そうな企画だったので、作品を五点提供という形で参加しました。
で、昨日、謹呈本が到着。何だかえらく重い小包でビックリしたんですが、開けてみたら納得でした。
版型は、A5より少し横長といった感じでさほど大きくはないんですが、束がムチャクチャ分厚い。定規で測ったら(笑)3センチ5ミリくらいありました。表紙は角背のハードカバーで、マットPP貼りのカバー付き。本文用紙もしっかりしたツヤ紙で、全ページフルカラー。
すンげー頑丈でしっかりとした本で、これが何冊も入ってたんだから、そりゃ重いわけだわ。荷物を受け取ってくれた相棒は(因みに私はまだ寝てたのだ)、おかげで腰を痛めそうになりました(笑)。
ページ数は400ページ近くあり、総勢五十人以上のアーティストの作品が、一作家あたり四〜八点くらいずつ収録されています。因みに、どんな作品を何点提供するかは、基本的に作家が自由に決めることができました。ただ、点数に上限はありましたし、内容的なセンサーコードも皆無ではなかったですけどね。
流石に五十人以上もいると、初めて見る作家も少なくありません。作家名に併記されている出身国も、やはりアメリカが多いとはいえ、それでもイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、オーストリア、カナダ、オーストラリア……と種々様々。
物故している作家やヴィンテージものは含まれていないので、印象はさながら、世界の現役ゲイ・アーティスト目録といった感じ。じっさい、イラストレーターズ・ファイルなどと同様、巻末にはそれぞれの作家の連絡先も記載されています。
また、これだけ色んな国の作家さんたちが一堂に会しているのを見ると、「うんうん、やっぱ絵に国境はないよね〜」と、何とも楽しい気分になります。ビバ、絵描き!
ただ、残念だったのは、日本およびアジアの作家が、私一人だったこと。アジア系作家にまで拡げれば、中国系や日系らしき名前もあるんだけど、ちょっと淋しい。
作風は、ほんと様々。古典的でリアルな油絵あり、ニュー・ペインティング風あり、カートゥーン系あり、アメコミ風あり、日本のマンガやアニメの影響が伺われるHENTAI系もあり。私は、どうせなら目立ってやろうと、浮世絵風とかマンガの一ページとか、他の国の作家さんと作風がかぶらないような作品で参加。上手くいったような気もするけれど、ちょっと浮いているような気も(笑)。
具体的な収録作家は、知人だと、メールを貰ったのをきっかけに知り合ったPlayerや、以前私が紹介してジーメンに作品が載ったこともあるLoganなど。Loganとは掲載ページがお隣同志だったので、何だか知らない人ばっかのパーティー会場で、友人にばったり会ってホッとしたみたいな気分に(笑)。
他には、西洋絵画の伝統的リアリズムの系譜を受け継いでいる作家だと、Douglas Simonson、Beau、Steve Walker、Ross Watsonなんかが有名どころでしょうか。
コミックス系では、Patrick Fillionは本も沢山出している人気作家。
ボンデージ系のIra C. Smithの作品は、80年代のDrummer誌やシスコのセックス・クラブのポスターなんかで見て好きだったので、久々に見られたの嬉しい。
嬉しいといえば、私が個人的に大ファンで、かつてはFury 161というペンネームでも活躍していた、中国系フランス人のMarc Ming Chan。この人の硬質な鉛筆ドローイングは、スーパーリアル的に描き込んだものも、ざっとラフに描いたものも、どっちも本当にセクシーで素晴らしい。以前はサイトもあったんだけど、どうやら閉じちゃったらしく残念に思っていたので、嬉しい再会。
今回初めて知った作家だと、アメコミ調とリアリズムの混淆で描かれるファンタジックなマッチョ・ガイがかっこいいSean Platter、アメコミとウィリアム・ブレイクのミックスみたいな画風が面白いBrad Rader、暴力的なムードを漂わせるスキンズを描くSepp of Vienna、これまたアメコミ調でかっこいいマッチョを描くJJ Kirby、色鉛筆でボリス・バレジョーのゲイ・アダルト版みたいな絵を描くCraig Hamilton、フォービズムみたいなタッチで気持ちのいいポートレイトを描くTom Jones、古典的技法のリアル系の油絵でちょっとラフでダーティーな香りのする男たちを描くJames Huctwithなんかが、新たなお気に入りになりました。
作家ではないんですが、フラップでメッセージを書いているのが、Tom of Finland Foundationのプレジデントで、エロティック・アート・コンテストの主催(このコンテストには、以前に日本からも不破久友さんやKenyaさんといった方が応募して、それぞれ賞を貰っています)もしているDurk Dehnerでした。Tom of Finlandのパートナーだった人で、私は、TomのアトリエでもあったLAのご自宅にお邪魔したり、NYのレザーパーティでご一緒したことがあるので、何とも懐かしい気持に。
まあ、そんなこんなで、ゲイ・アート好きなら買って損はない、納得のヴォリュームの高品質画集。
版元のBruno Gmunderの本は、以前は東京の洋書屋で良く見掛けたので(何で以前かというと、ここんところ洋書はネットで買ってばっかりで、本屋巡りをあんまりしなくなっちゃったのだ)、この"STRIPPED"も上手くすると日本の店頭にも入ってくるかも。
以前だったらこういった本は、amazon.co.jpでも買えたんですが、既に.comでも.co.ukでも.deでも.frでも.caでも既に取り扱っているのに、何故か.co.jpでだけ扱われていない。何かルールが変わっちゃったんですかね? チンポの絵がいっぱい載ってるから? まったく、この文化的後進国め!
ISBNは3-86187-871-2、お値段は$29.95(amazon.comだと、34% OFFで$19.77)。
機会があったら、ぜひお手にとって見て欲しい逸品です。
“Stripped: The Illustrated Male” (amazon.com)
『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』刊行記念イベント、開催決定
『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』の刊行を記念して、11月23日(木曜・祝日)に渋谷にあるアップリンク・ファクトリーさんで、イベントが開催されることになりました。
イベントの内容は、原画展、トークショー、フィルム上映の三部になります。
原画展はもちろん、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』に収録された、長谷川サダオ、林月光(石原豪人)、木村べん、児夢(GYM)、遠山実、倉本彪の、貴重で美麗な原画を展示。印刷物では味わえない、生の迫力を味わえる、またとないチャンスです。入場無料。
トークショーは、日本の現代美術を代表するアーティストである村上隆さんと、わたくし田亀源五郎の取り合わせでお送りいたします。どんなお話が飛び出しますか、私自身も今から楽しみです。……ちょっと緊張もしてますが(笑)。入場料は1000円。
フィルム上映は、日本のゲイ・ポルノ映画の黎明期である80年代の作品から一本、アメリカのゲイ・ポルノ映画の黄金期である70年代の作品から一本、そして、ゲイ・エロティック・アーティストのプライベート・フィルムということで、私自身の映像作品の、計三本をデジタル上映します。
日米ゲイ・ポルノ映画は、まだ選考段階で上映作の最終決定はしていませんが、昨今のゲイAVとは、ひと味もふた味も違うヴィンテージ・ポルノ映画になるはずです。どうぞお楽しみに。……あ、でもお願いだから、会場でハッテンはしないでね(笑)。
私の作品は、趣味で制作してウェブ上で公開している3DCGアニメーションの"Desert Dungeon"です。既に公開終了しているパートはもちろん、未公開新作部分も含めたロング・バージョン。でっかいスクリーンで見られるのは、ひょっとして最初で最後のチャンスかも(笑)。
入場料は一本につき400円。
より詳しい情報は、ポット出版のサイトでどうぞ。
トークショー及びフィルム上映は、先着順で各回定員70名になりますが、11/1から同サイトで予約の受付もスタートするそうです。
で、昨日はポット出版さんとアップリンクさんを交えて、上映するフィルムの選考会をしてきました。入手が間に合わなかったものもあり、まだ完全決定には至りませんでしたが、大まかなアウトラインと候補は絞ることができて、一安心。
今回は残念ながら上映を見送ることにしたフィルムの中にも、佳品あり珍作ありの充実したラインナップでした。まさか、日本のゲイ・ポルノ映画で、パゾリーニのパロディ(それも、すご〜くマニアックな内容)にお目にかかるとは……(笑)。
そんなこんなで面白かったんですが、とはいえさすがに、ゲイ・ポルノ映画を続けて何本も見たら、流石に疲れました(笑)。しかも、男女入り交じってゲイ・ポルノ映画鑑賞って……何だか貴重な体験をしてしまったような気もしますが、でも、イベント当日はそれが70人規模になるんですね。楽しみ(笑)。
かくの如き斬新な(?)イベントですので、性別もセクシュアリティも関係なく、皆様、どうぞふるってご参加ください。
もちろん私も、当日は一日中会場に詰める予定です。特にサイン会等の時間は設けませんが、ご希望の方は、私本人かスタッフに、お気軽にお声をお掛けくださいませ。