お絵描き」カテゴリーアーカイブ

つれづれ

 ここのところ連日、『ザ・チャイルド』『ファンタズム』『パンズ・ラビリンス』と、発売を楽しみにしていたDVDが届いてホクホクなんだけど、現在我が家では、HBO&BBCのテレビシリーズ『ROME ローマ』を連夜鑑賞中なので、これらの封を開けるのは、まだまだ先になりそう。
 で、『ROME』ですが、期待に違わぬ面白さですな。歴史ドラマ的な要素と昼ドラ的な要素が、上手い具合にミックスされていて、実にいい塩梅の娯楽作になっている。第一話からいきなり、フロッギングだの、敗将が衆目に晒されながら素っ裸に引ン剥かれて、敵将の前に跪かされるだのといった、美味しいシーンもあるし(笑)。
 まだ第八話までしか見てないので、当分の間は楽しめそう。

 音楽は、ちょっと前まで Social Harp とかShape Notes とか呼ばれる、18世紀アメリカの宗教合唱曲にハマって、良く聴いていました。映画『コールド・マウンテン』で使われていたのを聴いて、宗教曲らしい荘厳さと、民衆的な素朴さが入り交じった美しさが、 すっかり気に入っちゃいまして。
 で、何枚かそれ関連のCDを探して購入してみたんですが、洗練され過ぎていたり荒削り過ぎたりで、どうも帯に短し襷に長しというものばかり。未だに、これといった決定盤に巡り会えないのが残念。

 読書は、オルハン・パムクの『わたしの名は紅』という本を、ちまちまちまちま、ゆっくり時間をかけて読んでいます。オスマン・トルコ時代のイスタンブールを舞台に、一人の細密画家が殺されるところから始まる、ちょっとウンベルト・エーコの『薔薇の名前』みたいな感じの話。
 マンガは、ここんところあまり積極的に読もうという気分にならず、もっぱら献本で戴いた雑誌オンリーだったんですが、久々にガツンと手応えのありそうなものを読みたくなったので、近所の本屋さんの平台に並んでいた中から、江戸川乱歩×丸尾末広の『パノラマ島綺譚』と、沙村広明の『ブラッドハーレーの馬車』を買ってみました。どちらも大いに読み応えありで、大満足の読後感。

 仕事の合間には、息抜きも兼ねて、イタズラ描きなんぞをつらつらと。
 例えば、こんなの。珍しく二次創作で、しかも女性の絵です。
sapphire
 私は、ファンアートは殆ど描くことがないんですけど、先日珍しく、描いてみたい気分になったので、こんな感じになりました。元の作品が何なのかは、まあ言わぬが花ってことで(笑)。
 因みに「あのキャラを、自分のタッチで描くと、どーなるんだろう?」ってな感じで描いていますので、元の絵とは、似ても似つかない造形になっています(笑)。でも、描いてみたら楽しくなっちゃって、ついつい同じキャラの別バージョンと、同じ作品に出てくる別キャラも描いてみたりして。
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 繰り返しますが、元の絵にはちっとも似ていません(笑)。

 さて、オンナノコばかりじゃ色気がないので(……って、どーゆー理屈だって気もしますが)、野郎のイタズラ描きも載っけましょうかね。
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 マンガ用のキャラデザを兼ねた、イタズラ描きいろいろ。この中の一人は、現在作業中の短編マンガの主人公。
 ……とまぁ、こんな感じの毎日を送っております、という近況報告でした。

『七人の侍』より「侍之壱・月」メイキング

 さて、昨日に引き続き、連作『七人の侍』から、第一葉「侍之壱・月」のメイキングなんぞを載っけてみませう。

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 まずは下絵です。手近なコピー用紙に、水色の色芯のシャーペンでざっとアタリをとり、それから鉛筆で描いていきます。
 線画は後で毛筆の白描で仕上げるので、無駄な線を極力入れないよう、この下絵段階から一発描きを心掛けて、迷いを入れずに筆勢を生かす気持ちで、グイグイと描きます。これが、ペン仕上げだと、もうちょい迷い線が増えますし、厚塗り仕上げの場合は、マッスでフォルムを作っていくので、形のとりかた自体が変わったりもします。
 モチーフ的には、オーソドックスな武者絵のイメージ。武者絵というと浮世絵の国芳が有名ですが、私は何と言っても芳年ラブだし、月つながりで芳年の連作『月百姿』へのオマージュにもしたいので、侍のポーズは芳年の『新形六十三怪撰』の「源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」から引用してみました。

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 完成した下図をコンピュータに取り込み、本番サイズに拡大縮小。構図も決めて、それをいったんプリントアウトします。プリントアウトしたものに本描き用の用紙(これも安手のコピー用紙)を重ね、ライトボックスで透かしながら墨と毛筆で、本番の白描を描きます。
 墨は少し薄目にするのが、私流。コンピュータで黒の濃度を上げるのは簡単なので、アナログでは少し薄いくらいで描いておいて、最終的な濃度調節はデジタルで。
 毛筆画は、けっこうコンディションによって出来不出来のムラが出ちゃうので(修行不足です)、時として「ひゃ〜、失敗、描き直し!」なんてこともあるんですが、今回は調子良くスイスイと描けた感じ。
 白描が完成したらスキャナーでコンピュータに取り込んで、Photoshopのレベル補正を使って、余計な紙白を飛ばし、黒の濃度を引き締めます。それが終わったらゴミ取り。ただ、あんまり厳密にはやらず(アナログ風仕上げにしたいので、多少のゴミは味のうち)、目立ったものだけ消していく、という感じです。

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 線画が出来上がったら、それをアルファチャンネルに読み込んで、白い背景の上に透明レイヤーに描かれたセル状の線画が乗っている状態のものを作ります。レイヤーの合成モードは通常で。
 Photoshopを終了してPainterを立ち上げます。そして、さっきのファイルを開いて、白いキャンバス状にデジタル水彩/新シンプル水彩で着色していきます。こうやって縮小しちゃうと判りづらいけど、ある程度の紙目が出た感じにするために、テクスチャをイタリア水彩紙の200%拡大という設定にしてあります。
 デジタル水彩は、全ての色面の着彩が終了するまで乾燥させず、相互のにじみを生かすようにします。水彩消しゴムを使ったり、濃い色の上に薄い色を重ねたりすると、このにじみのニュアンスが変わってしまうので、できるだけ薄い色から濃い色という順番で、細部は筆のサイズを小さくしてチマチマ……ってな感じで塗っていきます。
 色彩設計は、ぶっつけ本番。最初に肌のトーンを決めて、それから衣の色を決めていく。色はくすませ気味にして、寒色系をメインにしながら、刀の緒だけビビッドにして、全体のポイントにしてみました。

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 下塗りが終わったら乾燥させて、キャンバスと線画の間に白で塗りつぶしたレイヤーを一枚作成し、合成モードを乗算にします。このレイヤーに、肌部分の陰影を描いていきます。
 木炭(ソフト)をテクスチャが強めに出るようにカスタマイズしたブラシで、肌に陰影を重ねていきます。ただ、下塗りのときほど紙目の存在感は必要ないので、テクスチャの設定はフランス水彩紙/100%に変更しています。
 陰影は、写実的な立体感ではなく、何となく立体っぽいニュアンスを与える程度にとどめます。このテの作品の場合は、主役はあくまでも毛筆による描線。その味が陰影で殺されないよう、薄い色をざっと筆で刷く感覚で色を乗せていきます。使っている色も一色のみ。濃淡は全て筆圧でコントロールして、ぼかしも筆圧オンリー。水滴ツールとか水刷毛とかの、ぼかし用のブラシもいっさい使いません。
 レイヤーを分けているので、はみ出しも気にせず、とにかく筆勢をいかして、ザックザックと描いていきます。

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 肌の彩色が終わったら、はみ出した部分を消していきます。同じブラシの描画色を白にして、塗り消していきます。

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 気付かない消し残しがないかは、こうやってレイヤーの合成モードを乗算からデフォルトに変えてチェックします。ただ、あんまりきっちりキレイには消しません。だいたい消えてりゃオッケー、って感じ。ちょっとくらい色が互いにかぶってた方が、全体の雰囲気は柔らかく仕上がるので。

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 肌の陰影が終わったら、キャンバスに固定してしまいます。それから、次に唇や乳首(この絵ではないけれど、性器や肛門も)の色を付けます。
 新規マスクを作成して、そこにエアブラシ系のブラシで、唇の色を付ける部分の形を描きます。ベタッと塗るのではなくて、唇の立体を意識しながら、濃淡つけて描くのがコツ。ここもチマチマいじらずに、筆勢を生かした一発描きのニュアンスで。

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 完成した唇マスクを非表示にして、選択範囲として読み込みます。

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 選択範囲内の画像の色相と彩度と明度をいじって、唇をほんのり赤く染めます。

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 染まったら選択範囲を解除して、テクスチャの明暗を反転した後、肌の陰影と同じブラシで、唇にハイライトを入れます。これで出来上がり。
 同じ要領で、乳首にも色を付けます。

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 髪やヒゲを描きます。再度、キャンバスと線画の間に、新規レイヤーを作成します。ただし、今回は白で塗りつぶさずに透明のまま、合成モードもデフォルトです。
 肌の陰影を付けたのと同じブラシで、眉やヒゲを描き込んでいきます。ただ、肌の陰影以上にテクスチャを抑えたいので、設定をベーシックペーパー/100%に変えています。
 色は筆の線から少しはみ出させるように、フワッと柔らかい印象になるように乗せていきます。濃い部分は一気に塗りつぶそうとせず、軽めの筆圧で複数方向からクロスハッチングするように、焦らず丁寧にタッチを重ねていく方が、キレイに仕上がります。アナログの鉛筆画と同じ要領ですな。
 これまた出来上がったら、さっさとキャンバスに固定しちゃいます。

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 衣に柄を入れる準備にかかります。いったんPainterを終了し、再度Photoshopを立ち上げます。
 白描の画像をテンプレートにして、新規レイヤーを作成し、そこにフリーの図案集からとってきた柄を、シアーや自由変形を使って、布の流れに併せて変形させながら張り込んでいきます。
 柄の配置が終わったら、それをさっきまで彩色作業をしていたファイルのアルファチャンネルに読み込んで、マスクとして保存します。

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 再びPainterに戻ります。さっき作った衣の模様を選択範囲に呼び出して、スポンジで塗っていきます。ベタッと潰すのではなくて、ところどころカスレやムラがある感じにします。

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 最後に背景を入れます。衣の模様と同じ要領で、マスクを作ってスポンジでニュアンスを付けながら塗っていきます。この月とススキのパターンは、琳派の図案を用いてみました。
 これで、完成。

 ……とまぁ、こんな感じで、全七点の連作を仕上げたわけです。
 いちおう予定としては、既にフランスにデータを送っているので、それをあちらで枚数限定のエスタンプとして作成、出来たプリントを日本に送ってもらい、私がサインとナンバリングを入れてフランスに送り返し、五月からパリのギャラリーで展示販売……ってなことになるはず。
 ただ、ギャラリーオーナーのオリヴィエの組むスケジュールは、けっこうアバウトっつーか、いい加減なところがあるから(笑)、ホントに五月に展示が始まるかどうか、実はまだ半信半疑なのだ(笑)。そもそもこの連作も、最初の予定では去年の十二月に……という話だったしね(笑)。

連作『七人の侍』

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 去年個展をしたフランスのギャラリーから依頼された連作絵画、さきほど完成。個展の時は『七つの大罪』というオーダーでしたが、今回のお題は『七人の侍』。ニッポン人といたしましては、いささかコテコテ過ぎじゃないかと思いますが、フランス的にはキャッチーなんでしょうね、きっと。

 さて、『七人の侍』というお題はあるものの、テーマ的なオーダーはなかったので、そこいらへんは自分で考えなきゃいけない。連作である以上、通しテーマがあった方が、描く方としても見る人の側に立ってみても面白いし。とはいえ、まさか黒澤映画のキャラクターのポートレートを描くわけにはいかないし、この「全体のくくり」というところで、いささか悩んでしまいました。
 七という数字で、しかも日本文化を踏まえて連想するものは……と考えてみて、最初に浮かんだのは「七福神」ってヤツだったんですが、いかんせん私の男絵のテーマには合いそうにない。亀甲縛りにされている福禄寿……なんて、どう考えてもギャグにしかならないし(笑)で、。次に思いついたのは「春の七草」だったけど、これも……ねぇ(笑)。スズシロ(大根)くらいだったら、まあ何とかネタも浮かぶけど、ナズナ(ぺんぺん草)とかはお手上げ。更にゴギョウだのホトケノザだのになると、もうどんな草かも良く知らない(笑)。
 というわけで、七のつく言葉を探すために、今度は辞書をひいてみました。……どらどら。「七覚/仏教で悟りを得るための七つの要素」……面白いけどテーマとしては私には手強すぎ。「七観音/衆生救済のために七種の姿に変幻した観音」……へぇ〜、千手観音とか馬頭観音とかはこれだったのか、知らんかった。面白いけど、私よりも故・長谷川サダオ先生向きの題材だなぁ。お次は「七去/大載礼。妻を離縁できる七つの事由」……完全にハズレ。……ってな具合で、どうにも上手いネタが見つからず。

 で、きっとこれは下手に背伸びするのがいかんのだろうと思い直し、もっと素直に考えることにしました。で、身近な七というと「一週間」というのがすんなり思い浮かぶ。余りにもヒネリがないような気もするし、あんまり和風という感じもしませんが、ちょっと調べてみたら、一週間という概念が日本に入ってきたのって、平安時代と、いがいと古いんですな。てっきり近世のことかと思っていたので、ちとビックリ。
 でもって、日本における一週間の曜日の呼び方は、易教絡みの七曜(地上から視認できる移動する星)に基づいているらしい。そして、この七曜の名前は、太陽と月に陰陽五行を併せたものになっている。そうなってくると、惑星に神の名前が配されている欧米文化との差もでてくるし、陰陽五行も欧米の四大元素と比較できる面白みがある。
 更にこじつけると、日本における曜日の誕生は、前述したように平安時代。そして武士の誕生も平安時代。まあ、じっさいはこの二つの間は、優に百年以上は離れているようではありますが、細かいことを気にしなけりゃ、共通項はちゃんとあるわけで……なんて感じで、調べているうちに乗り気になったので、「七曜」というテーマで「七人の侍」を描くことに決定しました。

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 テーマさえ決まってしまえば、こっちのもの。後は、それぞれの曜日に併せてどんなネタを描くか、全体の構成とかも踏まえて、楽しくアイデア出ししていきます。
 まず、五行から外れる「月」から始まって「日」で終わる構成にして、この二つにプロローグとエピローグっぽいニュアンスを持たせつつ、間を五行に絡めたバリエーションをつけた男絵で繋いでいく感じにすると決定。それから、五行のキイワードからぱっと思いつく「描きたい」ネタを、優先して先に決めていきます。
 うん、「火」で「箕踊り」を、「土」で「土八付」を描きたいなぁ。どっちも拷問処刑ネタだから、他の曜日には、もうちょっと軽めのネタも混ぜよう。だったら「水」で「河童」ってのはどうだろう。尻子玉を抜かれる侍なんて、絵にしたらフィスト・ファックだから面白いかも。あと、土八付は横位置で描きたいから、あと一点は横位置の絵も欲しいな〜、なんて感じで進めていきます。

 全部ネタが揃ったら、ラフスケッチとかで形にしていくわけですが、今回の連作も、以前の『七つの大罪』同様、フランスのギャラリーでの展示販売のみ。日本での発表は未定なのが残念なので、ちょいとこのブログを使って、下絵を二点ほどお披露目です。

最近試してみた画材とか

 最近、新たに試してみて、なかなか使い心地のよろしかった画材の話なんぞを。

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 *呉竹(くれたけ)/スーパー清書用墨滴(ぼくてき)
 筆と水墨による白描用に購入。本当は開明墨汁を買いに行ったんだけど、近所の文具屋に置いてなくて、代わりにこれを買ってきました。呉竹だったら品質的にも信頼できると思って。
 小皿にとって、水で薄めて使用。紙は普通のコピー用紙。墨がおろしたてということもあるのか、とにかく伸びが良い。用紙の吸い込みとも相性が良いのか、実に気持ちよくスイスイ運筆できる感じ。まだ一枚描いただけだけど、これから愛用品になりそうな予感がします。
 作例は『外道の家・下巻』表紙イラストの一部分。これをパソコンに取り込んで、Painterで彩色しました。

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*三菱鉛筆/uni COLOR(ユニカラー)カラー芯
 シャープペンシル用カラー芯。色は六色あるけれど、私は下絵のアタリ用に使ってみようと思ったので、水色系のミントブルーを購入。家にあった、ステッドラーの製図用シャープペンシルに入れて使ってみました。
 色鉛筆なのに消しゴムで消せる、が謳い文句。ワックスが配合されていないので、描き心地も色鉛筆っぽいツルツル感がないし、筆圧軽めでもしっかり色がのるので、使用感が極めて普通の鉛筆芯に近い。以前、別の色芯(消しゴムで消せないヤツ)を、マンガの下絵用にと思って使ってみたときは、どうにも描き心地が好きになれなくて、数回使っただけでお蔵入りしちゃってたんですけど、今度のは充分使えそう。ざっくり描きたいときは0.7mm、細かく描きたいときは0.5mmと、用途別の使い分けも可能。
 作例のラクガキの、アタリをとっている水色の線が、これを使っています。

*Too/マンガペン
 別の画材を買いに新宿のToolsに行ったとき見つけた、万年筆タイプのマンガ用ペン。ジャンル的には、タチカワの新ペン先なんかと同じタイプ。
 タチカワのものと比べると、インクの出やノビが良く、線は太目。極細と中字の二種類ありますが、極細は付けペンで例えるとカブラペンって感じ。描き心地は、とてもなめらか。素早く走らせると、ヌキもけっこうキレイに出来ます。ペン先のフォルムが、タチカワのものより厚みが薄く角度がシャープなのも、私には使いやすくて合っている感じ。もう一方の中字の方は、線が若干ボタッとした感じで、もうちょっとミリペンっぽい感じになります。
 作例のラクガキの主線は、ほぼこの極細一本で描いています。

*パイロット/HI-TEC-C(ハイテックC) 0.25mm
 ゲルインキ・ボールペン。このシリーズの0.3mmと0.4mmは、既にマンガで良く使っているんですけれど、0.25mmは使ったことがないので買ってみました。
 確かに、0.3mmより細めの線が引けます。でも、描き心地自体は変わらぬなめらかさ。最近、マンガの背景はほとんど0.3mmで描き、細かなタッチのみスクールペンや丸ペンで追加、ってなパターンだったんですが、この0.25mmなら、そーいった細かなタッチを入れるのにも使えそう。
 作例のラクガキでは、顔やボディーに入れたタッチ、枷に落ちた影の斜線、あと汗を描くのに使っています。

*パイロット/小筆軟筆 耐水性顔料インキ
 毛筆ではない、フェルトペンタイプの筆ペン。私は書き文字に使うくらいで、正直あんまり使っていないタイプの画材(ってか文房具か)なんですが……。
 使ってみてビックリ。この手のタイプの筆ペンとしては、驚くほどキレイにヌキができる。筆先が柔軟でインクの出も良く、トメやハライもバッチリ。線の太さも筆圧で自由自在。顔料性なので黒の濃さも充分。ここまでイケてるとは、パイロット小筆軟筆恐るべし。
 作例のラクガキでは、髪とヒゲ全てと、あと首枷もこれで描いています。木目のあたりがいい感じ。

 まあ、こういうのは相性もあるので、私にとって使いやすいものが、イコール他の方にとってもそうだとは限りませんが、機会があったら一度お試しになる価値はあるかと。
 そういう意味で、オススメいろいろでした。

『ウィルトゥース』イラストのメイキング

 単行本『ウィルトゥース』の発売記念に、カバー表4イラストのメイキングなんぞを載っけてみませう。
 今回は、表題作が古代ローマものということもあり、裏表紙や口絵は、遺跡から出土した壁画のようなイメージでいきたいと思い、編集さんにも了承していただけました。
 ローマの壁画というと、ギリシア/ローマ神話モチーフが似合いそうなので、『雄心〜ウィルトゥース』の主人公たち、クレスケンスとガイウスを、アポロンとマルシュアスになぞらえて描くことにしました。
 とはいえ、実際の神話だと、音楽勝負でアポロンに負けたマルシュアスは、生きながら生皮を剥がれてしまいます。このエピソードは大好きなんですけど、流石にそんなのはカバー画にできません(笑)。よって、「二人がデキちゃったとしたら?」ってな感じでいくことにします。
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 紙に鉛筆で、下絵を描きます。
 最終的にタッチや陰影は入れずに、線とフラットな色面を生かした絵にしたいので、下絵もシンプルな白描で描いていきます。
 筋肉や布のドレープの形は、古代ギリシアの壺絵みたいなイメージで。仕事ではあまり使ったことのないスタイルなので、自分で描いていて、なかなか新鮮な気分でした。
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 下絵が出来たら、本描きの線画に入ります。
 今回は、イメージが壁画(フレスコ画)なので、線画にも紙のテクスチャとか、墨の濃淡などのニュアンスは必要ありません。筆致も、墨やインクのような液体を素早く捌いた感じではなく、溶いた顔料をネットリ引っぱった感じにしたいので、線画段階からコンピュータで作業することにします。
 下絵をスキャンしてPainterで開き、グワッシュでトレスしていきます。線画の色は、それぞれのパーツ(色面)ごとに変えますが、全体の色彩設計はPotoshopでする予定なので、この段階では厳密な色味にはこだわりません。ただ、Photoshop上での編集がしやすいように、1色につき1レイヤーを使います。
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 色彩設計に入ります。
 Painterで描いた線画をPSDで保存して、Photoshopで開きます。マジックワンドツールやパスを使って選択範囲をとり、色面ごとに別々のレイヤーで塗りつぶしていきます。
 色面の色彩設計が終わったら、それに併せて、線画の色味を調整します。全て決定したら、線画のレイヤーは一つに統合してしまいます。色面のレイヤーは別々のままで保存します。
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 彩色に入ります。
 ファイルを再びPainterで開きます。
 レイヤーの透明度をロックして、スポンジで色ムラが出るように塗っていきます。どんな感じで、どの程度ムラを出すかは、これはもう感覚勝負ですね。
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 線画の「荒れ」を作ります。
 フレスコ画っぽくするために、線にもちょっとニュアンスが欲しいです。色面のレイヤーを全て捨てて、キャンバスと線画レイヤーだけにしたものを、別名保存して作業用のファイルにします。
 線画レイヤーの透明度をロックして、いったん白で塗りつぶします。次に、描画色を黒にしたスポンジを使って、フロッタージュ(こすり出し)のように線画を浮き上がらせていきます。やりすぎると、ただの真っ黒な線画になっちゃうので、ほどよくかすれた感じになるように作業を進めます。
 いい感じに荒れた線画ができたら、画像を統合して保存します。
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 線画の「荒れ」の続きです。
 Photoshopで、さっきの荒れた線画のファイルを開き、モードをグレースケールに変えます。次に、彩色用のファイルを開き、アルファチャンネルに荒れた線画の画像をペーストします。
 彩色用ファイルの線画レイヤーを選択した状態で、アルファチャンネルの荒れた線画を選択範囲に呼び出し、かすれた白い部分を消去します。これで、色トレスした線画にも、ほどよい「荒れ」ができました。
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 絵の具の剥落の雰囲気を作ります。
 古いフレスコ画っぽく、ところどころ絵の具が剥げた感じを出したいので、漆喰壁や石壁の写真画像を用意します。
 写真をグレースケールにしてから、レベル補正やトーンカーブなどを使って、好みのノイズを作ります。いい感じのものができたら、透明レイヤーに白くノイズが散っている状態にして、それを彩色用ファイルの最上層に配置します。
 ただ、この絵ではかなり控えめなノイズにしたので、こうして縮小してしまうと、残念ながらほとんど判らないですね。実際にどんな感じなのかは、現物(単行本)を見てください。
 また、同様に壁画をイメージした口絵では、もっと大胆にノイズを入れて、剥落やひび割れを作ってみました。よかったら、見比べてみてくださいな。
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 もうちょっとフレスコ画っぽいニュアンスを加えます。
 さきほどのノイズ同様に、写真素材から適当なテクスチャを作ります。
 テクスチャができたら、それを彩色用ファイルの最上層にオーバーレイで重ねます。テクスチャの出具合は、透明度で調整します。
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 仕上げです。
 調整レイヤーを使って、色相や彩度やコントラストなどを整えます。
 これで、できあがり。

準備ほぼ完了

 個展用の描き下ろし連作「七つの大罪」、彩色完了。ちょいと一部分をプレビューしてみませう。
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 エスタンプ制作用のデータもフランスに送ったし、これで、個展の準備はほぼ完了かな。後は、細かな用件が幾つか残るのみ。額装とかエスタンプへのサイン入れとかは、渡仏後の作業だし。
 とはいえノンビリもしておられず、出国までに今月の仕事をキレイに片づけていかなきゃ。
 昔、サラリーマンやってた頃、夏休みに仕事が食い込んじゃって、インドネシアはバリ島のウブドゥ村と東京間で、指示書をファックスしたり、送られてきた原稿に朱入れして返したりしたことがありますが、あーゆー事態はできれば避けたい(笑)。オマケにこのときは、夏休みが終わって成田に着いて、そのまま会社に直行、12時間後くらいには再び成田に行き、今度はロケでハワイに飛んだ……なんてスケジュールだった(笑)。
 あ、そーいえばフリーになってからも、マレーシアはペナン島のホテルで、「PRIDE」だったか「銀の華」だったかのネームをきったこともあったなぁ(笑)。プールサイドで、はしゃぐリゾート客を横目で見ながら、エロマンガのネームをきるってのは、なかなか辛かった記憶があります。しかし、そのぶん「さっさと終わらせて遊びてェ〜っ!」とエンジンがかかり、普段の半分くらいの時間で仕上がったけど(笑)。
 まぁ今回は、半年以上前からこれに併せて予定を組んでいるので、毎日きちんきちんとノルマをこなしていれば、無理なく仕上がるスケジュールです。風邪ひいて寝込んだりしなければ、大丈夫でしょう。

個展とか渡仏準備とか

 3月2日から、フランスのパリで個展をします。
 海外での作品の展示は、1996年にニューヨークでの企画展に、2004年にフランスのリールとアヴィニョンでの企画展に、それぞれ依頼されて作品を提供したことはありますが、自分一人の個展というのは初めてです。
 とはいえ、これは急に決まったとことじゃなく、実は去年から動いていた予定。

 きっかけは、去年の春。
 五年間かけたマンガ『君よ知るや南の獄』の連載を終え、雑誌「ジーメン」の企画編集スタッフからも退陣しました。で、次に何をしようかと考え、久々に個展でもやりたいな〜、なんて思い、じゃあ場所のあたりをつけなきゃ……なんてときに、一通のEメールがきました。
 差出人は、パリのギャラリーのオーナーだというオリヴィエ・セリ氏。内容は「ウチで個展をやらないか?」というオファーでした。何とまあグッドタイミング、渡りに舟って感じ。で、何度かやりとりをして、決定したのが初夏の頃。

 ただ、この「やりとり」ってのが問題でして。私はフランス語はサッパリだし、英会話だってトラベル・イングリッシュ・レベル。当然のことながら、電話できちんとコミュニケーションをとれる自信なんかありません。でも、テキストなら辞書っつー強〜い味方がいるから、「打ち合わせや問い合わせはメールでしてね」と言っているのに、このオリビエ氏、せっかちなのか何なのか、すぐに電話をかけてくる(笑)。
 まぁ、私も電話を受けちゃった以上、何とか英会話を心掛けるんですが、じきにギブアップ。で、私が「そういう細かいことは、メールでコンタクトしてくれ!」とキレると、オリヴィエ、その時は「ソーリー、ソーリー」とか言うくせに、しばらくするとまた性懲りもなく電話してくる(笑)。去年の大晦日、家に友人を招いて年越しパーティーの真っ最中にまで、電話がかかってきた(笑)。欧米人って、年末年始はさほど特別な日じゃないのかしらん。
 で、またこのオリヴィエの英語が、実にフランス語風の発音。加えて、喋るスピードはけっこう速いもんだから、あたしゃいっつも「パードン?」の繰り返し(笑)。あと、英語がフランス語風に化けるだけではなく、たまに、思いっきりフランス語そのものが混じったりもする。まあ、同じスペルの単語がフランス語の発音に化けるってのは、その気持も判らなくもないですが、英語で喋ってるのに、いきなり「エスタンプ・ド・ジャポネ」とか言ってくるんじゃね〜よッ(笑)! 一瞬ポカ〜ンとしてしまったが、浮世絵のことを言っているんだと、理解できた自分を褒めてあげたい(笑)。
 
 で、個展にあわせて、私も今月末からちょいとフランスへ行く予定。
 フランスは、まだ学生時代に一度行ったきりの、およそ20年振りの訪問なので、ちょいと緊張しています。
 個展の開催期間は、丸々2ヶ月間とけっこう長めなんですが、流石にそんな長く滞在するわけではなく、オープニングの数日前に現地入りして、準備やら何やらをしつつ、パリでの滞在は一週間程度を予定しています。
 先日、どこから情報が伝わったのか、ここで書いたアニエス・ジアールから、「パリに来るんだって? 嬉しい、サイン会には絶対行くわ!」ってなメールが来ました。これを読んで、私はビックリ。サイン会って、何のこと? 不思議に思ってオリヴィエに問い合わたら、いつの間にか、パリの書店でサイン会をすることになっていた(笑)。
 まぁ、現状で判っている予定はそんなもんですが、せっかくの機会だし、差し迫った仕事の予定があるわけでもないので、用事が終わったら、ついでにどっかでブラブラ遊んでこよう、なんて画策中です。こーゆーのが、フリーランス商売のメリット(笑)。

 そして現在、パリ行きの準備中。
 といっても、パスポートの有効期間はまだあるし、エア・チケットも手配済みなので、旅行自体の準備は何もありません。
 今やっているのは、個展用のオリジナル新作絵の制作。最初は、せっかくの個展なので、久々にアナログでデカめの絵を描きたいとか考えていたんですが、いろいろあって、最終的にはギャラリーからの依頼で、毛筆画+デジタル彩色のテーマのある連作ということになりました。
 で、そのギャラリーが注文してきたテーマっつーのが、キリスト教の「七つの大罪」。
 最初はちょっと戸惑いました。だいいち私の作品は、ぜ〜んぶ大罪の一つである「淫欲」まみれなわけだし(笑)。あと、こーゆーテーマ連作というのは、ある程度の共通フォーマットも持たせないと様にならない以上、二つか三つはネタを出すのが苦しいものもあり、今回もその例外ではなさそうだし。
 でもまあ、いざ描き始めると、あれこれ悩むのもまた楽し、ってな具合で、わりとスイスイ筆が進んでくれました。二つほど、なかなか上手くまとまらないネタがあり、ちょいと苦戦しましたが、それも先ほど無事終了。
 ってなわけで、これがその「七つの大罪」用の、資料用に引っ張り出してきた本と、サムネール・スケッチと、下絵の一部分。
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 これで下絵が全部完成したので、明日から本描きに入れます。……が、さっき見たら、毛筆画用の筆がもうボロボロだったので、明日、街に出て買ってこなきゃ。

AnimeStudio II とかアニメーションとか

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 先日のFLASHのハナシに引き続き、趣味でシコシコ作ってみたアニメーションの話なんぞを。
 今年の春頃、大きな仕事が一段落したときに、ふと「そういえば、Painterのムービー機能って、一度も使ったことがないなぁ」と思い、ちょいと何か作ってみようかと思ったのが最初のきっかけ。思い立ったが吉日で、幸い時間もあるし、さっそくPainterのマニュアル片手に作業を開始。
 前にも書いたように、切り絵風なら比較的手早くできそうだったので、レイヤーをセル代わりに使って制作開始。しかし、Painterのムービー機能はけっこう制限が多く、動きの仕上がりをテストしたりとか、一度作ってからタイムラインを遡って修正したりとか、そういった細かな調整ができない。
 そんなこんなで、頑張って全体の3/4くらいまでは作ったものの、そこで挫折しちゃいました。
 で、何かアニメーション制作に特化した手頃なものがないかと、探して行き当たったのがぜんまいハウスの AnimeStudio というソフト。これを使えば、やってみたいことは一通りできそうだったので、思い切って購入してみました。
 このAnimeStudioは、パソコン上でセル・アニメーションを制作するためのソフトで、ワークフローも一般的なセル・アニメーションの手順に準拠しています。つまり、動画用のセルを用意して、それをタップにセットし、カメラで撮影するという概念。
 単純な歩行アニメーションを例にとると、まずPhotoshopのレイヤーを使って、歩行の動作に必要な枚数の画像を用意して、それをAnimeStudioにセルとして読み込む。で、タイムラインに沿って、一つのタップ上に各々のセルの表示順番を割り振れば、同一地点で動き続ける基本的な歩行モーションになる。で、その歩行モーションを、セルをセットしたタップごと左に動かせば、キャラクターが画面右から左へ歩行する……ってなわけです。
 後はこの応用で、セルやタップやカメラを必要なだけ追加して、それぞれ目的に従った別々のモーションを振り分けていけばよろしい。セル・アニメーションの概念を把握していれば、ソフトの機能の把握や操作自体は、かなり簡単で馴染みやすい。また、マルチ撮影みたいにフォーカスを外したり、透過光合成なんかもできるし、乗算やスクリーンなどPhotoshopでお馴染みの合成モードもあります。
 また、ムービーファイルを読み込むことも可能なので、単純なセル・アニメーションだけではなく、例えば実写のムービー上にキャラクターを合成して動かすなんてこともできます。インポートやエクスポートも、標準的なフォーマットはカバーしているし、別アプリケーションへのデータの受け渡しも問題なし。因みに私の場合、iMovieでは合成機能が足りない場合、FinalCutを購入するかわりにAnimeStudioを使ったりしてます(笑)。
 このソフト、かなり気に入りました。
ぜんまいハウス AnimeStudio(amazon.co.jp)
 そして、中断していたアニメーション制作を、AnimeStudioを使って再開、残りの1/4を仕上げました。あと、Painterで作ったものの、イマイチ納得がいかなかったカットを、AnimeStudioで手直ししたり作り直したり。
 そんなこんなで、できあがったアニメーションがこれ。
QuickTime版
WindowsMedia版
 長さは5分54秒、秒5コマ(笑)くらいの、パタパタ切り絵アニメーション。
 QuickTimeはバージョン7。WindowsMedia版は、それ用のデータを作るのは初めてで、しかもWindowsマシンがなくて動作確認ができないので、もし上手く再生できなかったらゴメンナサイ。
 ところで、最近になって、アメリカで同じAnime Studioという名前のソフトがあることを知りました。
 もとは「モーホ」とかゆーちょっとイヤな(笑)名前のフリーソフトらしいんですが、これが2Dにボーンを仕込んで動かせるらしく、「あらやだ、じゃあ切り絵アニメにはうってつけ?」と興味シンシン。
 リリース元は米 e frontier なんだけど、イーフロから日本語版も出るのかなぁ?

モデリングの練習とか

 ふと思い立って、モデリングの練習を兼ねて、フィギュアの頭を作ってみることにしました。
 六角大王を立ち上げて、対象モードでポリゴンをペタペタ貼っていきます。
 イメージしたのは文楽人形。文楽の人形の首(かしら)って、個人的には何となくセクシーに感じるもので。ただ、ベースはそれにしつつ、あちらこちらは自分の好みにアレンジしていきます。具体的には、顔全体のシルエットをゴツめに四角くしたり、顎を出し気味にしたり、耳の位置を変えたり。
 形が出来たら、ポリゴンを色分けして、とりあえず完成。
bunraku
 別アプリでレンダリングするとどうなるか、ちょっと見てみたくなったので、3DSで書き出してCarraraにインポート。ライティングしてレンダリングしたら、こんな感じに。
bunraku_car
 坊主頭のせいか昔の軍人さんのようで、なかなか凛々しげで気に入りました。これにガチムチのボディを付けてあげたら、けっこうカッコよくなるかも。
 そう思い付いたら、ちょいと試してみたくなったので、再び六角大王を立ち上げます。
 さっき軍人っぽいと感じたので、その印象をベースに、越中褌(昔の軍人さんの下着は、越中と決まっていたのですよ)が似合いそうな、少しお腹周りに肉が付いた、恰幅のいい体型にすることにしました。とはいえ、私はデブ専ではないので、せいぜい堅太りくらいで。
 あと、あくまでも「人形っぽい」感じにしたいので、ディテールはあまり細かくせずに、デフォルメの雰囲気を頭と合わせて作っていきます。まあ、もっとも私には、リアルな人体をモデリングするほどのスキルもないんですが(笑)。
 トルソを作ったところで、再びCarraraにインポート。今回は色分けはせずに、素焼きや常滑焼きで作った塑像みたいにしてみました。
bunraku_torso
 これはこれで、何だか面白い雰囲気になったような。
 こんな感じで全身仕上げて、ボーン仕込んでポーズとらせて、『夏祭浪花鑑』みたいな絵を作ったら面白そうだな……とか思いつつ、そこに至る作業の面倒くささを思って、とりあえずはここで中断。
 という感じで、トレーニングを兼ねたお遊びのようなモデリングでしたが、こういうのを作っていると、改めて自分の中の人形愛、ピグマリオニズム的な嗜好を感じますね。

FLASHとかアニメーションとか

 FLASHてのは、私にとって「興味はあるんだけど触りそびれている」アプリケーションだったんですが、ひょんなことから「体験版は30日間無制限で使用可」だと知って、これ幸いとダウンロードして使ってみることにしました。
 アニメーション好きな人間の例に漏れず、私も趣味のアニメーションを作ってみたいな〜、なんて想いはありまして。で、動画を一枚一枚描くのは、技術的にも時間的にもハードルが高いけれど、切り絵みたいな手法ならば、比較的短期間で作れるかも知れない。
 また、ウェブ上で見られる各種のFLASHアニメーションには楽しませていただいているし、テレビでやっていた『アークェとガッチンポー』もけっこう好きだったし、そんなこんなでFLASHは、一度いじってみたいアプリケーションだったわけです。
 というわけで、何か一本作ってみたいと考えていたところ、ちょうどその頃、趣味で作った音楽で、自分で聞いていて「何だかコブタがキーキー騒いでるみたいだ」と思った曲があったんで、よし、これにコブタのアニメーションを付けてみようと思い付いた。
 で、出来上がったのがコレ。
pig_icon
 上のブタさんをクリックすると、別ウィンドウが開いてアニメーションがスタートします。
 ま、内容はブタが走り回ったり飛んだりするだけですけど、画面構成のシンプルさとテンポの良さにはこだわったつもり。自分では、ちょっとオスカー・フィッシンガーの影響があるかもと思ってます(どこが!)。
 MTV風にしたかったので、曲との同期を優先しましたから、CPUのパワーによってはコマ落ちする部分もあるかも知れませんが、そこはご容赦を。因みに私の環境だと、1.42GHzのMac miniでは問題なかったんですが、350MHzのPower Macだと部分的にコマ落ちしちゃいました。
 因みに曲の方は、ハイテンションでミニマル・ミュージック風味のテクノです。