雑記」カテゴリーアーカイブ

謹賀新年

 あけましておめでとうございます。
 今年も、国内国外とりまぜて、いろいろやると思いますので、また宜しくお付き合い願えればと存じます。
 ちなみに、初詣のおみくじは「末吉」でした……。

もう幾つ寝ると

 お正月目前。
 年内の仕事は済んだんだけど、引き続きまだ仕事中。というのも、正月明け早々に、マンガの締め切りが一本あるもんで。
 そんな感じで、あんまり「暮れ」という実感がないんですけど、それでも振り返って見ると、去年は仕事を減らして休養していた反動もあって、今年は何だか、やたらと盛りだくさんだったような気がします。フランスやチュニジアや北海道に行ったし、トークショー二回にパレード二回、単行本が年間五冊出たのも前代未聞。あんまり色々とありすぎて、気分的にはフランスの個展なんか、もう三年前くらいの感覚(笑)。
 あと、何だか映画も個人的には「当たり年」でしたね。『300』に『ブラック・ブック』に『パフューム』に『パンズ・ラビリンス』に『アズールとアスマール』などなど、どれも甲乙付けがたい。『アポカリプト』や『ザ・シューター 極大射程』や『河童のクゥと夏休み』も面白かった。そういや『ベオウルフ/呪われし勇者』を見たいんだけど、締め切り明けまで上映しているだろうか……。
 かと思えばDVDも、フリッツ・ラングとF・W・ムルナウが立て続けに出たし、オマケに岡本喜八の時代劇もまとめて出たし、『恐怖奇形人間』も衝動買いしちゃったし、何だか余りのリリースラッシュに、ラングの『スピオーネ』とムルナウの『タルチュフ』を買いそびれてしまい、ソクーロフのBOX第二弾もまだ未入手、『ブレードランナー』も早く買わなきゃ……なんて思いつつ、つい歳末バーゲンとかで別のものを買っちゃったり。今日も近所でセールをやっていたので、ふらっと覗いたら、前に買おうと思ったら既に廃盤でガックリきていた『炎のアンダルシア』の、何と店頭在庫を発見したもんだから、また買っちゃった(笑)。
 逆に、本はあまり読まなかったなぁ。仕事の資料用か画集か写真集ばっかで、趣味的な活字本を読んでいない。音楽も、ここのところ刮目するようなものに出会っていないような。これはあまり良くない傾向ですな、来年はそうなりませんように。
 さて、そんな来年ですが、とりあえずお正月早々、1月2日から上野のNETYさんで開催される「あなただけの年賀状展」に出品しています。31日までやっていますので、お近くにおいでのさいにでもお立ち寄りいただければ。入場無料です。

『映画秘宝』とか

Eigahiho 過日、雑誌『映画秘宝』さんからお声を掛けていただき、本日発売された2月号掲載の、通巻100号記念特集「オールタイム・ベストテン」に、アンケートで参加させていただきました。
『映画秘宝』さんには、以前も大西祥平さんのコーナーで、インタビューを載せていただいたことがありますが、うふふ、好きな雑誌からお声を掛けていただけるのは、やっぱり嬉しいものであります。
 ただまあ、テーマ抜きで今まで見た全ての映画の中からベストテンを選ぶってのが、こんなに大変なことだとは、今回やってみて初めて知りました(笑)。
 ゲイ映画ベストテンとかだったら楽勝だろうし、男責めシーンベストテンとかも簡単に決まりそう。でも、ジャンルレスとなると、ベスト3くらいはぱぱっと浮かぶんだけど、残りがもう、あーでもない、こーでもないとさんざん悩みました(笑)。
 ケン・ラッセルとかパラジャーノフとかコクトーとかヘルツォークとか、大好きな監督でも泣く泣く落としたものが多々あるし、今になって雑誌に掲載されたのを改めて見ると、やっぱコレは落として代わりにアレを入れりゃ良かったかもとか、けっこう悶々としちゃいますね〜(笑)。
 とゆーわけで、よろしかったらぜひお買い求めください。お近くの本屋さんでも売ってると思います。
映画秘宝2月号(amazon.co.jp)

カナダでの輸入規制に関する続報

 前に2007年2月16日の記事で、カナダでは私の本が輸入禁制品扱いだということについて触れましたが、先日、アメリカのジャーナリストの方から、このカナダにおける規制に関しての記事を書きたいのだが、意見を聞かせてくれという取材申し込みがありました。
 で、Eメールで質問と回答を何度かやりとりしたり、これに直接関連しているH&Oのエディターを紹介したりした後、EDGEというゲイ情報サイトに、O Canada! Customs Routinely Seizes Gay Material as ’Obscene’というタイトルで記事が掲載されました。
 ざっと目を通してみると、この規制は基本的にobscene(猥褻)の如何を問う性質のものらしいんですが、にも関わらず、アメリカの有名なゲイ向けフリーペーパーで、基本的には非エロ系の情報誌であり、エロティックという点に関して言えば、日本に持ち込んでも全く問題がないような”Advocate”が巻き込まれていたり、規制の対象がLGBTマテリアルに偏っているのではないかという可能性があったりとか、どうも私が想像していた以上に汎的な問題を呼び起こす可能性のある内容のようです。
 興味のある方は、ご一読ください。こちら

自分のダイモン調べてみました

Arphenia 来年の公開が今から待ち遠しい映画『ライラの冒険 黄金の羅針盤』。公式サイトを覗いてみたら「あなたのダイモンは?」なんてのがあったので、ホクホク喜んでやってみたら……こんなん出ました。なんかカッコイイのが出たんで、ちょっと嬉しい(笑)。
 映画本編の方も、予告編を見た限りでは、美術良し、スケール感良し、画面に重厚感あり、クリーチャー無問題と、かなりいい感じですな。
 キャストも、コールター夫人/ニコール・キッドマンとセラフィナ・ペカーラ/エヴァ・グリーンってのは、最初にキャスティングを聞いたときから「グッジョブ!」って感じだったし、アスリエル卿/ダニエル・クレイグってのは、聞いたときはちょいと線が細くないかなんて思いましたが、後に『カジノ・ロワイヤル』のヌードシーンを見たら、もうぜんぜんオッケーに(笑)。ライラ/ダコタ・ブルー・リチャーズは、本編を見るのが楽しみ。あと、予告編を見ると、クリストファー・リーも出てるのね。IMDbによると、ボレアル卿の役……って、どんな人だっけ、覚えてないや(笑)。
 そして、一番ビックラこいたのは、ご贔屓にして最大のお楽しみだったイオレク・バーニソンの声が、イアン・マッケランだってこと。ちょいと声がオジイチャン過ぎやしないかって気がしなくはないですが、改めて考えてみると、外見が白熊で中身がイアン・マッケランって、ひょっとしたら私にとっては理想かも(笑)。

古代ローマ遺跡の写真など

 単行本『ウィルトゥース』発売記念……ってなわけでもないですが、古代ローマつながりで、春にカルタゴに行ったときに撮った、ローマ遺跡(とフェニキア遺跡)の写真を、スライドショー仕立てにしたムービーをアップいたしませう。遺跡とか旅とか歴史とかに興味のある方、よろしかったらご覧くださいませ。

 例によって、ビデオ編集と音楽も手作りでゴザイマス(笑)。
 古代ローマ帝国の遺跡というと、本家本元のローマには、もうかれこれ20年以上前に一度行ったきりなんですが、初めての海外旅行だったせいもあって、コロッセオのスケールには圧倒されたし、フォロ・ロマーノを散策したのがすごく楽しかったことは、今でも良く覚えています。
 イタリア本国以外では、トルコで見たベルガマ(ペルガモン)の円形劇場が、山の斜面に作られていて、急勾配の上に反対側には何にもないもんだから、今にも転がり落ちてしまいそうで超怖かったのと、同じくトルコのエフェス(エフェソス)のやはり円形劇場が、もう余りの巨大さにカメラのフレームにもぜんぜん収まらなかったことなんかが印象深いです。
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 そのとき撮った写真。左がペルガモン、右がエフェソスです。
 あと、ヨルダンのジェラッシュに行ったときは、とにかくどこもかしこも柱だらけで、何だか建物を建てるために柱を立てたんじゃなくって、まるで柱を立てるために建物を建てたみたい……なんて思ったっけ(笑)。
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 左がジェラッシュの列柱通り、右が大神殿(……だったかな?)
 カルタゴのように、ローマに滅ぼされた遺跡や、あるいはローマの支配下にあった遺跡というと、これはやはりシリアのパルミラとヨルダンのペトラが最高だったなぁ。ただ、パルミラでは、砂漠のド真ん中だというのに雨に降られてビックリしました(笑)。
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 これは、二枚ともパルミラ。右の写真、雨で路面が濡れています。
 ペトラは、何と言ってもエル・カズネが有名なので、お目当てはもちろんそれでしたけど、いざ行ってみたら、その奥にまだまだ山ほど遺跡があり、山の上に上るとエル・カズネよりもずっと巨大なエド・ディルなんてものもあるし、山頂から周囲の山々を見回すと、砂漠のあちこちの岩壁に、風化して半ばとろけたような岩窟遺跡が点在してるわで、そのスケールに大興奮しましたっけ。
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 左から、有名なエル・カズネ、その奥の遺跡群、エド・ディル、山頂から見た遺跡群。
 あと、ここいらへんをウロウロしていたときは、私は貧乏気ままなバックパッカーだったもんですから、遺跡とかでボケ〜ッとしていると、現地の人たちに声を掛けられて、ひととき仲良くなったりもするんですな。で、パルミラに行ったときも、そんな感じで、地元のトラック野郎の集団に声を掛けられて、お昼ご飯(アラビアパンと何かの実の漬け物だった)をごちそうしてもらいました。
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 これがそのシリアのトラック野郎どもなんですが、確か「お前の仕事は何だ」と聞かれて、「画家だ」とテキトーに応えたら、「俺の顔を描け」「俺も描け」ってな具合で、こいつら全員の似顔絵を描かさる羽目になってしまった。で、アラブ人って似たような顔つきだから、描きわけが難しくってねぇ(笑)。
 しかし、こうして改めて写真を見ると、自分の若さと細さの方がビックリですな(笑)。誰だこりゃって感じ(笑)。まぁ、まだ20代だったし、体重に関しても、このときは長期の貧乏旅行のおかげで、日ごと自己最低体重を更新してましたから。
 因みに、一番右の写真で私が頭にかぶり物をしているのは、これはこの中の一人が、自分の頭のやつを解いて、「お前もかぶってみろ」と巻いてくれたんです。

『ウィルトゥース』イラストのメイキング

 単行本『ウィルトゥース』の発売記念に、カバー表4イラストのメイキングなんぞを載っけてみませう。
 今回は、表題作が古代ローマものということもあり、裏表紙や口絵は、遺跡から出土した壁画のようなイメージでいきたいと思い、編集さんにも了承していただけました。
 ローマの壁画というと、ギリシア/ローマ神話モチーフが似合いそうなので、『雄心〜ウィルトゥース』の主人公たち、クレスケンスとガイウスを、アポロンとマルシュアスになぞらえて描くことにしました。
 とはいえ、実際の神話だと、音楽勝負でアポロンに負けたマルシュアスは、生きながら生皮を剥がれてしまいます。このエピソードは大好きなんですけど、流石にそんなのはカバー画にできません(笑)。よって、「二人がデキちゃったとしたら?」ってな感じでいくことにします。
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 紙に鉛筆で、下絵を描きます。
 最終的にタッチや陰影は入れずに、線とフラットな色面を生かした絵にしたいので、下絵もシンプルな白描で描いていきます。
 筋肉や布のドレープの形は、古代ギリシアの壺絵みたいなイメージで。仕事ではあまり使ったことのないスタイルなので、自分で描いていて、なかなか新鮮な気分でした。
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 下絵が出来たら、本描きの線画に入ります。
 今回は、イメージが壁画(フレスコ画)なので、線画にも紙のテクスチャとか、墨の濃淡などのニュアンスは必要ありません。筆致も、墨やインクのような液体を素早く捌いた感じではなく、溶いた顔料をネットリ引っぱった感じにしたいので、線画段階からコンピュータで作業することにします。
 下絵をスキャンしてPainterで開き、グワッシュでトレスしていきます。線画の色は、それぞれのパーツ(色面)ごとに変えますが、全体の色彩設計はPotoshopでする予定なので、この段階では厳密な色味にはこだわりません。ただ、Photoshop上での編集がしやすいように、1色につき1レイヤーを使います。
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 色彩設計に入ります。
 Painterで描いた線画をPSDで保存して、Photoshopで開きます。マジックワンドツールやパスを使って選択範囲をとり、色面ごとに別々のレイヤーで塗りつぶしていきます。
 色面の色彩設計が終わったら、それに併せて、線画の色味を調整します。全て決定したら、線画のレイヤーは一つに統合してしまいます。色面のレイヤーは別々のままで保存します。
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 彩色に入ります。
 ファイルを再びPainterで開きます。
 レイヤーの透明度をロックして、スポンジで色ムラが出るように塗っていきます。どんな感じで、どの程度ムラを出すかは、これはもう感覚勝負ですね。
05
 線画の「荒れ」を作ります。
 フレスコ画っぽくするために、線にもちょっとニュアンスが欲しいです。色面のレイヤーを全て捨てて、キャンバスと線画レイヤーだけにしたものを、別名保存して作業用のファイルにします。
 線画レイヤーの透明度をロックして、いったん白で塗りつぶします。次に、描画色を黒にしたスポンジを使って、フロッタージュ(こすり出し)のように線画を浮き上がらせていきます。やりすぎると、ただの真っ黒な線画になっちゃうので、ほどよくかすれた感じになるように作業を進めます。
 いい感じに荒れた線画ができたら、画像を統合して保存します。
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 線画の「荒れ」の続きです。
 Photoshopで、さっきの荒れた線画のファイルを開き、モードをグレースケールに変えます。次に、彩色用のファイルを開き、アルファチャンネルに荒れた線画の画像をペーストします。
 彩色用ファイルの線画レイヤーを選択した状態で、アルファチャンネルの荒れた線画を選択範囲に呼び出し、かすれた白い部分を消去します。これで、色トレスした線画にも、ほどよい「荒れ」ができました。
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 絵の具の剥落の雰囲気を作ります。
 古いフレスコ画っぽく、ところどころ絵の具が剥げた感じを出したいので、漆喰壁や石壁の写真画像を用意します。
 写真をグレースケールにしてから、レベル補正やトーンカーブなどを使って、好みのノイズを作ります。いい感じのものができたら、透明レイヤーに白くノイズが散っている状態にして、それを彩色用ファイルの最上層に配置します。
 ただ、この絵ではかなり控えめなノイズにしたので、こうして縮小してしまうと、残念ながらほとんど判らないですね。実際にどんな感じなのかは、現物(単行本)を見てください。
 また、同様に壁画をイメージした口絵では、もっと大胆にノイズを入れて、剥落やひび割れを作ってみました。よかったら、見比べてみてくださいな。
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 もうちょっとフレスコ画っぽいニュアンスを加えます。
 さきほどのノイズ同様に、写真素材から適当なテクスチャを作ります。
 テクスチャができたら、それを彩色用ファイルの最上層にオーバーレイで重ねます。テクスチャの出具合は、透明度で調整します。
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 仕上げです。
 調整レイヤーを使って、色相や彩度やコントラストなどを整えます。
 これで、できあがり。

札幌旅日記

 前日。
 児雷也画伯から「連絡用に携帯を持ってきてくれ」とメールがきたので、部屋を発掘。というのも私は、携帯は「いちおう持っている」ものの、ほとんど携帯したためしがなく、電源入れることすらめったにないのである。
 で、今回も、最後に使ったのは、下手をすると1年以上前という状態だったので、果たして見つかるかどうか危ぶまれたのだが、何とか無事に発見。ところが、充電器につないだものの、様子が変。ひょっとしたら、もうバッテリーがイカれているのかも。
 とりあえず、明朝まで充電してみて、それでダメなら、早めに家を出て、途中で機種変更することにする。
 夜、現在進行中の仕事を出来るだけ進めておこうと、せっせかマンガなぞ描いていたら、下描きが完成しているにも関わらず、ノンブルを振り間違えていて、なんと4ページ多く描いていたという、ショーゲキの事実が発覚。ページ数が多めで、しかも単行本用の加筆原稿なので、ノンブルもヤヤコシイ状態だったとはいえ、こんなとんでもないミスは初めて。
 パニック状態になりつつも、ワンエピソード削ってしまえば、後は残りのネームで何とか補完できそうな目処がついたので一安心。予定していた就寝時間を過ぎていたけど、修正作業をする。
 一日目。
 やっぱり携帯はお亡くなりになっている様子。というわけで、早めに家を出て、途中のお店に寄って機種変更。ついでに料金も、もっとお得なコースに変更してもらう。
 終わったら、お店の人が「粗品ですが」と、ボールペン一本と、トイレットペーパー(何故??)を2ロールくれた。普段ならありがたくちょうだいするところだけど、これから札幌に行くのに、三日間トイレットペーパー2ロールを抱えて歩くのは、どー考えてもイヤなので、辞退してボールペンだけいただく。
 羽田に向かい、飛行機に乗る。特に遅延もなく順調。でも、国内便に乗るのは久々だったので、ドリンクが有料なことにビックリ。ピーナッツか飴くらいは出るかと思ったら、それもなし。出たのは、おしぼりだけ。でも、飲食抜きでおしぼりだけ貰っても……ねえ(笑)。
 新千歳空港到着。ターミナルから少し離れたところに停まって、建物まではバスで移動。それ自体は珍しくないんだけど、その移動用のバスが、どっかの路線バスの払い下げ車両らしく、区間運賃表やら運賃箱やらが付いたまんまなのには、ちょっとビックリ(笑)。
 で、実は私、ちょいと前に足を痛めてしまい、それに仕事も重なっていたので、この三週間、家から一歩も出ない生活をしていました。一緒に住んでる相棒が心配して、外出禁止令が出てたもんだから、マジで玄関から出たことすらなかったのに、それを、三週間ぶりに家から出たかと思ったら、その足で北海道ってのも、我ながら何だかなぁと可笑しくなったり(笑)。
 札幌駅に、児雷也画伯とイベントスタッフの方がお迎えに来てくれる。車でホテルに移動、フロントでチェックインだけ済ませて、そのまま画伯のお宅に直行。
 部屋にあがって早々に、リビングにあった某有名デザイナーによる超高級アートファニチャーを、猫の運動用器具と勘違いするという大失礼をぶちかましてしまう(笑)。
 座り心地の良さそうなオシャレなソファーの前に、テーブルではなく、ジムにあるみたいなトレーニング・マシーンが置いてあるのが、ファンの期待を裏切らない感じでステキ(笑)。画伯の部屋を覗くと、私の部屋と大差ない、足の踏み場もないカオスっぷりだったので、何だか一安心(笑)。
 一服したあと、まずはチャリティ・オークション用の合作イラストを描くことにする。合作をするのは久しぶりで、かつて「さぶ」時代に、戎橋政造くんや晩三吉先生と一緒にやった以来だから、下手すると15年ぶりくらいかも。
 画伯の提案で、二人のキャラが向かい合ってキスしている絵を描くことにする。代わりばんこに下絵を入れて、マーカーでペン入れ。サイズはB2だったか、とにかく日頃めったに描かない大きいサイズだったので、デッサンの狂いが不安。ついつい、ひっくり返して遠くから眺めたり、姿見で画面の反転チェックをしたりする。
 絵を描く画伯を見るのは初めて。下絵の線からして、何のためらいも迷いもなく、一本線でぐいぐい描いていくのがスゴイ。流石だなぁ、描く前から頭の中に、完全に形があるんだな。下絵の入れ方も形の取り方も、自分とは全く違う。やはり、人のメイキングを見るのは面白い。
 合作イラストが仕上がると、引き続き、サイン会用の色紙の準備。一枚の色紙の左右に、画伯と私が、それぞれサインを入れる。で、白く残した中央に、来てくださった方のお名前を入れるという寸法。しかし、おしゃべりしながらなので、なかなかはかどらない(笑)。
 10枚できたかできないかのうちに電話があり、作業をいったん中断して、イラスト展とサイン会をするEZO cafeの会場を見に行くことになる。
 車で移動、EZO cafeに到着。とてもキレイで、オシャレな雰囲気。使われていない店舗を借りて、自分たちで改装したのだと聞いてビックリ、更に、二日間のイベント終了後には撤去してしまうと聞いて、ダブルビックリ。もったいないなぁ。
 作品の展示も、スッキリとしていてグッド。二人の作品を並べると、私はほぼ100%チンコが描かれているのに対して、画伯はほぼ100%チンコなしというのが、最大の差異かも。作家性の違いだなぁ。
 そうこうしていると、ケースケに会う。東京パレード以来かな、会うたびにどんどん血色が良くなっているような気がする(笑)。明日のトークショーで着るEZO Tシャツを購入した後、再び画伯宅に戻って、サイン色紙の準備の続き。目標は、晩飯までに50枚くらい。しかし、相変わらず、手を動かしている時間より口を動かす時間の方が長い。結果、50枚にはちょっと届かず。
 9時過ぎだったか、打ち合わせを兼ねた夕食に。前に大阪でお会いしたことがある、こーたさんが迎えにきてくれる。料亭っぽい居酒屋のようなところへ移動して、ほどなくブルボンヌも到着。
 ブルちゃんと会うのは久しぶり。でも、私のことを「せんせ〜ぇ」と呼ぶのはやめて欲しい。何だか自分が、杉村春子か淡谷のり子にでもなったような気がするんで(笑)。
 トークショーのメンツが揃ったので、楽しく飲み食いしながら打ち合わせ。流石は北海道、お魚もジャガイモもトウモロコシも美味しい。料理の盛りつけ方に、いちいちツッコミが入るあたりが、いかにもオカマのディナータイム(笑)。
 夕食後、画伯に連れられてゲイバーへ移動。お店の人もお客さんも、あまりにもハイテンションなので、ちょっとビビる(笑)。お店の奥に、城平海センセと岩田巌くんを発見、でも、あまりの人の多さに挨拶するのが精一杯。
 時間が経つにつれ、バーの雰囲気もどんどんカオティックになっていく。ブルボンヌも来て、稚児嵐丸ちゃんとも久々の再会。稚児ちゃんもケースケ同様、以前より血色や肌のツヤが良くなっているのは何故?
 益荒男くんから電話。同じビルの中の別のお店にいるらしいので、合流する。
 疲れてきたので、一足お先にホテルに帰ることにする。前日、ちょっと寝不足だったので、入眠は早かったんだけど、久々のゲイバーで、毒気にあてられたせいか、明け方に悪夢で目が覚めてしまった(笑)。
 二日目。
 午後のサイン会までフリーなので、昼頃まで寝坊してから、パレード見物に大通り公園に。札幌のパレードは良いと、色んな人から聞いていたけど、確かに連帯感が強い感じで雰囲気が上々。工夫を凝らしたフロートや衣装もステキ。
 大塚隆史さんやエスムラルダさんに会ったのでご挨拶。エスムさん、この間まで入院されてたけれど、お元気そうで何より。でも、エスムさんの芸風だと、パレードの途中で血を吐いて倒れるとかでも、絵になりそうだけど(笑)。
 そういえば東京パレードの時にも、小日向くんやサムソン高橋さんとかに久々に会ったっけ。日頃あまり出歩かない私には、こーゆー場は色んな人と再会できるのが楽しい。
 ベア・クラブ・ジャパンのLone Star会長とも久々の再会。一緒にサンフランシスコのゲイ・パレードで歩いたときから、もう10年以上は経ってるのに、あの頃とちっとも変わってない感じ。私の方は、激太りしたのに(笑)。
 パレードの出発をお見送り。みんな行ってしまうと、会場がガランとして寂しくなったので、バディのブースにお邪魔して、みさおはるきちゃんやマツコ・デラックスとお喋り。ついでに販売も手伝い、まだ初々しいお客さんに、六尺褌を締め方のコーチのサービス(?)付きで販売することに成功(笑)。
 みさおちゃんとは、最近は会うたびに、少女マンガの話ばかりしているような気がする(笑)。マツコに会うのは久しぶり。ついつい座り込んで長話してしまう。マツコ、何だかメキシコの宗教画とかフェルナンド・ボテロの描くモナリザみたいな、妙に「母っぽい」オーラが出てきたような(笑)。
 パレード一行が帰ってきて、会場が再びにぎやかになってきた頃、お迎えが来たので、サイン会の会場へ移動。EZO cafeの入り口脇に、パーテーションで仕切られたサイン会コーナーが出来ている。ちょっと、デパートやスーパーの一角にある、占いコーナーっぽい(笑)。
 児雷也画伯もやってきて、サイン会スタート。私は色紙だけだから楽なもんですが、画伯はエゾラTシャツにもサインを入れるので、大忙し。大変そうな画伯を横目に、私はキャラメルコーン喰ったりして、楽をさせていただく(笑)。
 サイン会の後、イベントのリハーサルのためにEZO nightの会場に移動。クラブではなくライブハウスなので、ステージはしっかりしているし、照明設備も充実していているので、ショー映えが良さそう。
 他の出演者の方々も集まっている。きみちゃんに会うのはすごく久しぶりで、ひょっとしたら10年ぶりくらいかも。えらくマッチョになっていてビックリすると同時に、心の中で美味しそうだと舌なめずり(笑)。DJ KUTSUWADAさんとも、下手すると15年ぶりくらいの再会。ただ、皆さん顔なじみなのか、互いの紹介等がいっさいなかったので、私には、最後までお名前が判らない方が多かった(笑)。
 自分たちの出の確認が済んだところで、フリーになったので、児雷也画伯にジンギスカン屋に連れていって貰う。店が混んでいてかなり待ったけど、待つだけのことはある美味しさでした。
 食事を終えて会場に戻ると、もうナイトはスタートしていた。楽屋付近で待機していると、前を通ったキャッツアイのローラさんが、「何だかジンギスカン臭くない?」と一言。すいません、それは私です。
 ここで困ったことが一つ。リハのときは皆さんスッピンだったけど、今はもうメイクで顔がぜんぜん違っているので、もう誰が誰やら判らない。八代亜紀みたいなドラァグ・クイーンに話しかけられても、それがこーたさんだとは、一分くらい判らなかった(笑)。
 そうこうするうちに、トークショーの時間に。画伯指定の、ホイットニー・ヒューストンをBGMに、ステージへ。ホストはブルちゃんとこーたさん。クラブ・イベントなので、あまりマジな話をしてもなんだろうと思い、オネェ・リミッターをオフにしたビッチ系トークでいくことにした。でも、ちょっと飛ばしすぎたかも。
 トーク自体は、時間がえらく短く感じられたけど、クラブで立って聞くには、あれくらいの長さでいいのかな。でも、何だか初体験の話と、合作イラストの制作過程の話しかしなかったような気がする(笑)。
 ビッチ系なので、ついついブルちゃんとかに話を振ってしまって、画伯とあんまり絡めなかったのはマズかった。反省。画伯とは、そのうちもうちょっとゆっくり、落ち着いたトークショーもしてみたい。
 ともあれ、トークショーも無事に終わり、あとはオークションまで出番がないので、知り合いと喋ったりして、会場で適当に過ごす。
 人が多くて、他の人のショーはあまり見られなかったけど、きみちゃんの欧陽菲菲には大爆笑。死ぬ前にもう一回見たいなぁ。あと、ブルちゃんのナウシカ。この時は、ちょっと足が痛かったので、楽屋前の通路に座っていて、ステージは見ずに音だけ聞いていたんだけど、それでも腹筋攣りそうなくらい笑った。ブルちゃん、ショーのみならずトーク全般、まるで剃刀のような切れ味で、やっぱ只者じゃない。
 オークションで、再びステージへ。描いた本人が言うのもなんだけど、この画伯との合作は、かなり良い出来だったと思う(時間的な余裕があれば、分割スキャンかちゃんと複写して、データベースとして手元に残しておきたいくらいだった)ので、良いお値段で落札して貰えたのは嬉しかったな。
 ショーが全て終わったところで、画伯に連れられて、昨日とは別のバーに。こちらも盛況で満員状態。しばらく立ち飲みしていたら、やがて隅の席が開いたので、画伯としっぽり話し込む。
 3時過ぎだったか4時頃だったかにホテルに戻り、シャワーを浴びて爆睡。今度は悪夢は見なかった。
 三日目。
 今日は小樽へ遊びに行く予定。昼前にホテルをチェックアウトして、集合時間まで画伯宅で待機。
 画伯も相方さんも、かなりお疲れの様子なのに、いろいろと気を遣ってくれる。「気を遣わないでいいから」とは言ってみるものの、やはりそうはいかないんだろうなぁ。何だか申し訳ない気分。
 昼頃、何台かの車に分乗して小樽へ。30人近いゲイ(しかもヒゲ面多し)が、徒党を組んで小樽の街を、きゃあきゃあ賑やかに闊歩する。デートで来ているノンケの恋人たちや、明るい家族連れの皆さんが、我ら一行とすれ違うときに、緊張しているのが判る(笑)。
 お寿司、美味し。ソフトクリーム、美味し。蒲鉾を串に刺して、チーズをかけて焼いたもの、美味し。ウチの相棒は練り物好きなので、お土産に蒲鉾と竹輪を購入。ついでに、熊の絵の付いたガラナの缶ジュースも購入。まだ飲んでないけど。「ROYCE’のチョコがけポテチが美味しいよ」と聞き、それも購入。
 ひょんなことから、この30人のゲイで、どうやら自分が一番年上らしいことに気付いて、プチ落ち込む。しかし考えて見りゃ、20代前半の人たちが生まれたときから、こちとらゲイ作家稼業をしているんだから、それもいたしかたないか。
 ひとしきり楽しんだ後、札幌に戻る。飛行機の時間まで、画伯宅で時間を潰させていただく。画伯も相方さんも、もう沈没寸前。にも関わらず、札幌駅まで送ってくれる。何から何まで、お世話になりっぱなし。多謝。
 夜、東京帰着。暑さと湿気に、そのまま札幌にUターンしたくなる(笑)。

札幌でイベントに参加します

 今度の週末(15、16日)、『EZO』というイベントに参加するため、札幌に行って参ります。
 北海道に行くのは生まれて初めて、当然、毎年開催されているパレード『レインボーマーチ札幌』も、まだ見たことがありません。イベントで色んな方々とお会いできるのも楽しみだし、パレード見物(16日開催)も楽しみ。
 さて、イベントの方ですが、私が参加するのは、児雷也画伯と合同のイラスト展と、やはり児雷也画伯と一緒のトークショーになります。
 あとは、サイン会やらチャリティーオークション(合同で色紙を描くんだったかな?)やらもあったような気がしますが、なんせスケジュールとかに関しては、聞いたそばから「はいはいOKです、お任せします」と、完全に主催者様に寄っかかり、煮るなり焼くなり好きにして状態なので、自分でも細かいことが良く把握できていません(笑)。
 詳しいことはEZOのサイトで確認してくださいませ。
 他にも豪華ゲストのショーとか、かわいいオリジナルTシャツの販売とか、いろいろ盛りだくさんのイベントです。
 え〜、因みにイラスト展の方は、先頃フランスで発売された画集の中から、10〜15点が展示される予定です。児雷也画伯の作品も、やはり仏版画集から同点数だとか。
 トークショーの方は、まだお題も何も聞いてません(笑)。勝手に喋らせておくと、STAR WARSや円谷特撮の話とかになっちゃいそうですが、画伯相手だとSM話ができないのが物足りない(笑)。
 それでは皆様、週末に札幌でお会いいたしませう。

トークショー、無事終了

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 昨日のジュンク堂書店新宿店でのトークショー、無事終了しました。
 当初は定員30名を予定していましたが、先日の金曜日の段階で既に予約で満席になってしまったので、急遽10席を追加しました。結局、前日までの予約が38名、当日飛び込みのお客さんも合わせて、用意していた40席は全て満席になりました。
 暑い中、足をお運びくださった皆様、どうもありがとうございました!
 ちなみにこの写真は、「白昼の都内大型書店に出現した百鬼夜行」こと、開場に向かう途中の私とエスムさんの勇姿(笑)。いちおう、「『ローズ・イン・タイドランド』のジェフ・ブリッジス」をイメージして、服を選んだつもりだったんですが、改めてこーやって客観的に見ると、ただの「だらしない太ったオッサン」でした(笑)。

 さて、エスムラルダさんとは業界内で何かと近くにいたものの、きちんとお話ししたのは今回が初めてです。話芸の巧みさはもちろんのこと、ご自分の人生を存分に楽しみつつ、同時に芯の通ったフィロソフィーも持っていらっしゃる、とても魅力的な方でした。
 ショーの後の二次会の席でも、お互いに感じている日本のゲイシーンの特徴や、抱えている問題点、未来への展望などについて、更に突っ込んだお話しができて、有意義で楽しい時間を過ごさせていただきました。

 今回のイベントは、ジュンク堂書店新宿店の方が、東京プライドパレード応援ブックフェアの一環として企画してくださいました。これはいわば、ヘテロセクシュアル社会側からの、ゲイおよびセクシュアル・マイノリティーのムーブメントに対する、リスペクトとエールです。
 イベントを仕切ってくださったポット出版のスタッフや、司会進行をしてくれた沢辺社長も、これもいずれもノンケさんたちです。
 こういった、ヘテロセクシュアル側からのエールに対して、ゲイ側からどのように応えることができるか、それが現在の日本のゲイ・コミュニティーの抱えている大きな課題だという気がします。正直なところ、こういった外側からの期待感と、内側の無自覚さという温度差が、ここのところあちこちで目にとまり気になっています。
 何も考えずに、ただ与えられたものを消費するだけなのか、それともエールに応えて自分もアクティブになるのか。
 とりあえず、本を愛するゲイならば、お気に入りの一冊を見つけるためにも、一度パレード応援ブックフェアに足を運んでいただければと思います。今月末まで開催中。

 さて、余談を一つ。題して『エスムラルダのメイクと田亀マンガの意外な共通点』。
 トークショーが始まる前、控え室でエスムさんがメイクするのを、横で拝見していたんですが、使ってらっしゃるアイライナーが、なんと「ぺんてる筆ペン(顔料)」だった。エスムさん曰く、何でもシモーヌ深雪さん直伝だそうな。
 で、この筆ペン、私がアナログ仕上げをしていた頃は、ベタ塗り用の定番だったんですよね。今でも、書き文字やツヤベタで愛用しています。
 ドラァグ・メイクとゲイエロマンガ、意外なところで同じ道具が。皆さん、エスムさんのアイメイクと、『銀の華』の銀さんの黒髪は、実は同じ材料で出来ているんです(笑)。

 さて、明日はパレードです。
 猛暑が続いていますから、皆さん、熱射病や脱水症状には十分気をつけてください。