パニック映画大好きな相棒に誘われて、ローランド・エメリッヒ監督の『2012』を鑑賞。
相変わらず、ド派手な特撮シーンで屁みたいなストーリーをサンドイッチしたような映画でした(笑)。
個人的には(以下、ネタバレ部分は反転)、「二人の間に何か溝がある」とか言った瞬間に、地震が起きてホントーに二人の間に巨大な地割れが出来てしまうとゆー、ショーもないギャグとか、飛行機の燃料が足りなくなって「このままだと目的地のチベットに辿り着けない!」という状況だったのが、大陸移動でチベットの方がこっちに来てくれたのでセーフ、しかもピンポイントで目的地の近場だったなんつーバカ展開あたりが、ちょっと好き(笑)。
あと、前半の都市大崩壊シーンは、スペクタクル的な見せ場という点で、トゥー・マッチな感じが楽しかった。こことイエローストーン公園の噴火シーンには、『デイ・アフター・トゥモロー』や『紀元前1万年』では減少しているように感じた、この監督らしいパワフルなハッタリ感が戻っている印象。
因みに相棒は、映画館を出たとき「あ〜、楽しかった!」と言ってました。「面白かった」じゃないのがミソかも(笑)。
で、その小一時間後、ラーメン屋でメシ喰いながら相棒曰く、
「でも、ホンット何も残らないよね、この人(ローランド・エメリッヒ)の映画って」
……オイ、見に行きたいって言ったのはアンタだよ(笑)。
映画が始まる前の時間つぶしに入った本屋で、デアゴスティーニの『モスラ』を買ったので、その晩に鑑賞。
実は私は、小泉博ってけっこうタイプなんですけど、久々に『モスラ』を再見したら、和服姿で無精髭での初登場シーンに、改めて「ステキ!」とか思っちゃったりして。
そんなことを相棒に言ったら、例によって「『サザエさん』のマスオさん役だよ」とオーディオ・コメンタリー(笑)が。「サザエさんは誰?」と聞いたら「江利チエミ。波平が藤原鎌足、舟が清川虹子」だそうな。へ〜、知らんかった、見てみたいかも。
「雑記」カテゴリーアーカイブ
つれづれ
両親の金婚式のお祝いで、久々に実家へ帰省。とはいえ、私は東京在住、実家は神奈川なので、帰省といっても超短距離なんですが。
母と雑談していたら、先日レヴィ=ストロースが100歳で亡くなったという話題になり、私が「死んだことより、まだ生きていたことにビックリした」と言ったら、母も同様で「もっとずっと昔の人だと思ってた」そうな。同じように感じられた方、けっこういらっしゃるのでは。
とはいえ私は、その名前と『悲しき熱帯』の書名を知っているだけで、実際には読んだことがない。で、家にあるかと尋ねたところ、あるとのこと。「もう読まないから、持っていっていいよ」と言われたので、ありがたくいただいてきました。
でも、ハードカバーの上下巻だし、ムズカシソウだし、読了できるか、ちょっと自信なし(笑)。文化人類学には興味があるけど、現代思想とかはサッパリだしなぁ。親にも「けっこう手強いよ」と脅されてしまった(笑)。
別の休日、天気が良かったので、散歩がてら清澄庭園へ。
紅葉が見られるかと思ってたけど、赤くなっていたのは一本だけ。想像していたよりも狭かったし、けっこう人出も多かったし、背景に高層ビルも見えるし……と、日本庭園的な滋味はあまり満喫できず。全国から集めたとかいう名石の数々も、ちょいとスペースに対して数が多すぎる感じで、何だか成金趣味に見えちゃったなぁ。
とはいえ、池の周りをぐるりと散歩するのは気持ちよくて、しかもその池にカモやらカメやらコイやらがウジャウジャいるので、ついつい庭の風情よりも、そっちの生き物たちに目が釘付けに(笑)。
そんなわけで、写真はそんなカモとカメとコイの三位一体図。略してKKK(違う)。三種類同時に1フレームに収まるように、シャッターチャンスを狙うのが、けっこう難しかったです(笑)。
最近買ったマンガ本。
『芋虫』丸尾末広/江戸川乱歩 |
何てったって、乱歩の『芋虫』といえば、私自身も大きく影響された小説だし(で、『闇の中の軍鶏』とか『だるま憲兵』を描いた)、丸尾末広さんのマンガと乱歩といえば、昔の短編でも『芋虫』ネタを扱ったものがあって大好きだったし(『薔薇色ノ怪物』とかあそこいらへんの初期の短編集で読んだんだけど、手元に本がないので、タイトルや収録単行本が判らず)、前の『パノラマ島綺譚』もホント素晴らしかったから、大いに期待して購入しました。
その期待は裏切られず、やはりすごい作品だった。当然のことながら、『パノラマ……』の時の何かを突き抜けたような絢爛豪華さとは異なり、今回は薄暗く閉じた世界で繰り広げられる性的でグロテスクな美の饗宴なので、もう私のハートはますます鷲掴みに。
毎日毎日、繰り返し飽きもせず眺めております。
最近見たDVD。
ロード・オブ・ウォリアーズ(2006)モンス・モーリンド/ビョルン・スタイン “Snapphanar” (2006) Måns Mårlind / Björn Stein |
例によって酷い邦題には閉口しますが、17世紀、スカンジナビア半島南端にあるスコーネ地方の所有権を巡って、デンマークとフィンランドが戦った「スコーネ戦争」を描いた史劇です。スウェーデン/リトアニア/デンマーク/フィンランド/ノルウェー合作のテレビ映画。
北欧史なんて何も知らないので、当然このスコーネ戦争も初耳。加えて映画の主人公たちが、デンマーク軍でもフィンランド軍でもなく、その時点ではフィンランドに属しながらも被差別下にあるスコーネ地方で、自由を求めてデンマーク軍に加わっている義勇軍なので、パワーバランス的にもちとヤヤコシクて、最初のうちはキャラクター配置を掴むのがちょっと難しかったりしましたが、いったん乗ってしまえば後は快調、波瀾万丈の起伏に富んだストーリーをたっぷり楽しめます。
内容的には、娯楽活劇とシビアな歴史劇の折半といった感じで、ちょいとそこいらへんが上手く噛み合っていない感はありますが(IMDbを見ると、どうやらこのDVDはオリジナルより14分短い短縮版のようなので、そのせいもあるのかも)、キャラクター・ドラマとしては個々の登場人物が魅力的だし、それを上手く生かしたグッとくるシーンも多々あるので、見ている間、2時間40分という長さは全く感じさせませんでした。
ただ、本格的な歴史劇を期待してしまうと、フォーカスが施政者ではなく市井の人々なので、国家間のドラマ描写が少なかったり、いささか処理が安易だったりするのが物足りなくはあります。
映像的には、ゲリラ戦的な手法のスコーネ義勇軍がメインなので、大規模な戦闘シーンはないせいもあり、物量感やスケール感はそれほどでもありませんが、いかにも寒々しい北欧の風景とか、貧しい農村とか城塞といったセット(後者は本物かも)とかは、ちゃんと必要充分以上の説得力あって佳良です。
そんなこんなで、まあ何といっても稀少な題材ですし、モノガタリ自体はなかなか面白いので、コスチュームものがお好きだったら見て損はないです。
あ、例によって責め場もあり。上半身裸にされた主人公が、鎖で両腕を左右に引っ張られ、見物人に囲まれて背中をフロッギング。雰囲気はけっこういいです。
でも、主人公がマッチョではなく、どっちかというと優男なのが、私個人にとってはマイナス・ポイントだったり(笑)。ヒゲはあるけど、顔立ち自体はあんまタイプじゃないし(笑)。
下がったり上がったりとか、ハンガリーとか
締め切りが一本片づいて、ホッと一息。
とはいえ、一部並行進行で進めていた次の締め切りが、これまたすぐに迫っているので、このままテンションをキープして突っ走るぞ〜!
と思っていたところ、ちょっとテンション下がるメールが。
うむむ……。
とはいえ、このままテンション下がっていても、仕事は片づかない。
特にこの仕事は、慣れているようで初めてのような、自家薬籠中の物なんだけど未知の経験でもあるみたいな、何とも自分でも不思議な感じがする手応えのシロモノ(よーワカラン説明ですいません、箝口令が敷かれているもんで、具体的なことは書けないんです)なのだ。
というわけで、ネームの段階から既に大苦戦したくらいなので、ここは無理矢理にでもテンションを再アップせねば!
そんなこんなで、昨日からずっと、テンション上げるために聴いているBGMがこちら。
ゾルタン・コダーイ『組曲 ハーリ・ヤーノシュ、他』 ドラティ/フィルハーモニア・フンガリカ |
相変わらずクラシックづいています。ここんところ、名を知るのみで曲は聴いたことがない作曲家の作品とか、今まで名前すら聞いたことがなかった作曲家とか、そんなのを集中的に聴いているんですけど、このコダーイは前者、前回のピエルネやレブエルタスは後者です。
ハンガリーの音楽というと、クラシックでバルトーク、トラッド系でマルタ・セバスチャンおよびムジカーシュくらいしか聴いたことがなかったけど、どっちも大好きなので、このコダーイもちょっと期待して購入しました。
で、結果。
もう、大好き!!!!!!
『組曲 ハーリ・ヤーノシュ』も『ガランタ舞曲』も『ハンガリー民謡<孔雀>による変奏曲』も『マロシュセーク舞曲』も、CDのアタマからシッポまで全部好き! おかげでテンションも上がりまくりです(笑)。
早々に他のアルバムもゲットしたい気分になったので、いろいろ漁った中から、男声合唱曲集のCDをチョイス。でも、品切れお取り寄せだったから、無事入手できるかしらん……。
さて、上で「ゾルタン・コダーイ」とか「マルタ・セバスチャン」とか書きましたが、ハンガリーは日本と同じく、姓を先に名を後に表記するので、厳密には「コダーイ・ゾルターン(Wikipediaによる)」や「セベスチェーン・マールタ(これは確か中村とうよう氏がそう表記していた)」と書くべきなのかも。
些細なことですが、一応追補をば。
マルタ・セバスチャンといえば、その歌がアニメ『おもひでぽろぽろ』で使われていた(外国映画だと、アンソニー・ミンゲラの『イングリッシュ・ペイシェント』でも使われてたっけ)ので、ご存じの方もけっこう多いかも?
私自身は、このアニメはテレビでやっていたときにチラっと見ただけで、未だに通しでちゃんと鑑賞したことがないんですけど、何の予備知識もなく見ていたら、いきなり彼女の音楽が流れたんで、ひどくビックリしました(笑)。確か、カーステか何かで音楽をかけるシーンで、男性キャラが「農民の歌だから俺も好きなんだ」みたいなことを、のたまっていたような記憶が。で、確かそれで興味を惹かれて、そのまま暫く見続けたら、今度は農作業だかのシーンで、ブルガリアン・ヴォイスが流れて、またビックリしたような(笑)。
似たような例で、前に邦画『橋のない川』を見た(東陽一監督のカラー版の方)ときも、日本の農村なのに音楽がフォルクローレだったんで、ビックリしつつも意外とマッチするもんだなぁ、なんて感心しましたっけ。
マルタ・セバスチャンで、もう一つマニアックな話をしますと、彼女がレヴェンテ・セレーニというアーティストと組んだアルバムで”Loverecord”(その昔『愛の歌』というタイトルで日本盤CDも出ました)というのがあります。こちら(ただし、現在amazonなどで売られているCDは、ジャケットが別のものに替わっている模様)。
で、この絵、ずっと好きだったんですけど、ちょっと前に、思わぬところでこの絵と再会しまして。
DVD『ハンガリー・アニメーション傑作選DVD BOX』の、『ムーン・フィルム/ドーラ・ケレステシュ作品集 』に入っていた監督インタビュー映像を見ていたら、喋る監督の背後に、この絵が飾ってありました。
「おや!」と思ってCDを確認したら、裏に「デザイン by ドーラ・ケレステシュ、イシュトヴァーン・オロス」というクレジットが。CDを買ったのが89年、DVDを買ったのが去年ですから、およそ20年を経てのリンクとなります。
オッサンになると、こんな感じで、それぞれ別に好きなものが、意外な形で出会うってなことがままあって、なかなか楽しいです(笑)。
ついでに。
ドーラ・ケレステシュのアニメーションは、YouTubeにアニドウがアップしたPRビデオがあったので、貼ってみませう。
大好き。
も一つ、ついでに。
マルタ・セバスチャンのCD、上では”Loverecord”について書きましたが、これはあんまりビギナー向けのアルバムではない(トラッドにシンセサイザー等を併せた実験作)ので、もし買ってみようという方がおられましたら、何よりかによりオススメなのがこれ。これはホントに傑作。幸い、今なら再プレスされたものが安価で出ているみたい。
プリズナーズ・ソング 価格:¥ 2,000(税込) 発売日:2007-08-08 |
あともう一枚、これもオススメなんだけど、残念ながら廃盤みたい。
Muzsikas 価格:¥ 1,551(税込) 発売日:1991-07-01 |
ちょっとトラッドからポップス寄りになった、こっちも良アルバムです。これは、中古でも良ければ、わりと入手しやすいみたい。
Kismet 価格:¥ 1,129(税込) 発売日:1996-02-06 |
つれづれ
タコシェの中山さんからフランス土産で、毎年発売されているフランスのラグビー選手のヌード・カレンダー、“Dieux Du Stade”の2010年版を戴きました。このブログでも以前に、SMっぽかった2008年版をここで紹介していますが、今回でもう10周年だそうな。
2010年版のカメラマンは、トニー・デュラン(Tony Duran)という人。コマーシャル・アート全般にイマイチ興味を失ってから久しい私には、ちょっと聞き覚えのない名前だけど、ファッション・フォトグラファーとしては有名なのかも。今度、現役のアート・ディレクターやってる友人に聞いてみよう(笑)。
写真の方は、極めて口当たりの良いピンナップ系。あまり、これといった特徴は感じられないけど、逆にクセやアクもないので、カレンダーとして壁に掛けておくには、丁度いい内容かも。ひたすら、美しい筋肉を身に纏ったスポーツ選手の、セクシーでキレイなメールヌード写真のオンパレード、といったカンジです。
ソロやらデュオやらトリオやら、凝ったポーズやら変わったシチュエーションやらもありますが、個人的に最も目を惹かれたのは、ここいらへんの「シンプルなメールヌード+ラグビーボールだけ」というシリーズ。男の裸ってのは、何もせずただそこに在るだけで、それだけで充分美しいもんであります。
ああ、それと今回は、四つ折りのポスターもオマケで付いてました。ただでさえデカいカレンダーなので、ポスターを拡げるとかなりの迫力。
日本での入手先は、残念ながらちょっと判らず。
現在発売中の雑誌『映画秘宝』12月号の、大西祥平さんの連載コーナーで、拙著『髭と肉体』を紹介していただきました。ありがとうございま〜す。
同誌に載っている大西さんのもう一つの連載「評伝・小池一夫伝説 Returns」も、毎回毎回読むのが楽しみなんですけど、え〜、私まさに、『実験人形ダミー・オスカー』って、絵やシーンは良く覚えているけど、んじゃいったいどーゆー話だったのかが判らない……ってなパターンです(笑)。とゆーわけで、来月の後編が楽しみ!
映画秘宝 2009年 12月号 [雑誌] 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2009-10-21 |
そう言えば、この『ダミー・オスカー』が連載されていた頃の『GORO』に、確か西村寿行の『去りなんいざ狂人の国を』が連載されていたんじゃなかったっけか。オンナノコのヌード写真やフツーのエッチ記事はそっちのけで、この小説でコーフンしまくった記憶があって、しかもそれが西村寿行との初邂逅だったような気が。
寿行センセなくしては今の田亀源五郎はいない、ってなくらい、私にとっては、セクシュアルな意味でトラウマ級の作家さんなので、この『去りなん…』も、ものごっつうオカズにさせていただきました。
特に後半の乱痴気パーティーのシーンでの、「マフィアのボスを全裸にして、肛門にローソクを立てて人間燭台にして辱める」とか、「捕らえた刑事二人(だっけか?)に、相互ホモセックスを強要する」シーンなんか、未だに思い出すだけでムラムラくる(笑)。
去りなんいざ狂人の国を (角川文庫) 価格:¥ 652(税込) 発売日:1981-01 |
デアゴスティーニの『三代怪獣 地球最大の決戦』購入。
例によって、隣の相棒の「この人は、往年の大スターだよ」とか「この人は、東映時代劇の悪役ばっか演ってたんだよ」とか「この人は、国策映画で銃後の母を良く演っていたんだよ」とかいったオーディオ・コメンタリー付きで鑑賞(笑)。
ガキの頃は、とにかく特撮と怪獣プロレスに夢中だったけど、改めて見ると、テレビのチャンネルを変えるために、夏木陽介の身体を跨ぐ(ってか覆い被さる)星由里子……とかゆー、些細な日常リアル演出が良いな〜、なんて感じたりして。
二号続けて買っちゃったけど、次回の『海底軍艦』は、既にDVDを購入済みなのでスルー。
いつものようにタバコをカートンで買ったら、こんな箱で渡されてビックリ(笑)。
『ゲイエロ3』打ち合わせ
前回の続き。
上の図版は、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』収録予定作家のお一人、高蔵大介さんの作品(『さぶ』1996年7月号より)。
というわけで、『さぶ』の発掘作業も完了したので、セレクトした分をポットさんに持参して(って、実際は持ち歩ける量ではないので、宅急便で送ったんですけど)、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』の打ち合わせをしてきました。
とりあえず現状の進捗状況は、収録図版の粗セレクトが完了した状態。
集めることのできた全ての図版の中から、最終的に収録できる点数の数倍に相当する量をセレクトした、いわば「一次選考」が終わった状態です。
これで、本の全体像が朧に見えてきた(つまり、出来ることの可能性と限界を、同時に把握できた)ので、それを踏まえて、最終的にどういった構成にするかを話し合います。
今回、作品の収集をしている段階で、過去の既刊二冊とは異なった構成にしたい部分が出てきたので、予算や技術も踏まえて相談したり、本のサブタイトルをどうするか検討したり。
サブタイトルに関しては、自分独りでずっと考えていたときには、かなり煮詰まってしまっていたんですが、今日の打ち合わせで担当編集者さん二人を交えて話し合っていたら、ビックリするほどスンナリと結論を出せました。「うわ〜、やっぱブレーンストーミングって大事!」と、改めて感心したり。
また、実はこのシリーズ、限られた予算内で最良の結果を出すために、画集としては(おそらく)イレギュラーなページ構成になっています。
そのこともあって、今回も、制作費の見積もりを作るために、ラフな台割り(本全体のページ構成を決める表のこと)を用意して、「この折り(一般的に、本は16ページ分を一枚の大きな紙に印刷して、それを折りたたんで裁断して作るので、この16ページを一単位にしたものを『折り』といいます)は、表を四色(カラー)裏を一色(モノクロ)でいきます」とか、「こっちの折りは、両面一色でいけます」とか、説明しながら細部を詰めていきました。
さて、これで最終的に収録可能な図版点数の、ガイドラインができました。
ここまでが、今日の成果です。
この後、仮決定したページ構成を踏まえて、粗セレクトした作品の中から、最終的な掲載作品を絞り込んでいきます。これがまた、楽しくも辛い作業。というのも、どうしても「涙をのんで収録を断念せざるをえない」作品が、多々でてくるので。
掲載作品が決定したら、次は文章原稿の執筆に取りかかります。これがまた、調べ物とか取材とかが必要になるし、そもそも文章書きの専門ではない私にとっては、なかなか厄介な作業です。
文章ができたら、次は翻訳(このシリーズは、日本のゲイ・アートをより海外にも喧伝するために、全テキストを日本語と英語で併記しています)して、これでようやく本に必要な原稿が全て揃うわけです。
こういった一連の作業を、集中して一気呵成に出来ればいいんですが、残念ながら他の仕事の都合もあるので、その合間合間に長いスパンで進めていかなければなりません。事実、今月はもう、これ以上の時間的な余裕がないので、最終的な掲載作品の絞り込みを始められるのは、来月上旬以降になるでしょう。
本の完成までには、まだ時間がかかりそうです。
とはいえ、一番メインの図版収集作業が完了したので、ちょっと一安心。
『さぶ』の山
ここ数日、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.3』の準備で、『さぶ』の山と格闘中。
メインの目的は、高蔵大介さんのイラストのセレクトなんですが、それ以外にも、初期に活躍していらした鈴木節さんの作品とか、幾つか抑えておきたいものがあるので、古くは昭和50年代年代初頭のバックナンバーから紐解いております。
というわけで、薄い中綴じの頃から、平綴じになったけれどまだ薄い頃、厚みを増していった頃、表紙絵が三島剛さんから木村べんさんに変わった頃、本文印刷が活版からオフセットに変わり用紙も変わった頃……と、歴代の『さぶ』を、開いては閉じ、付箋を貼っては積み重ね……といった作業の繰り返し。
しかし、改めて創刊当初の『さぶ』を見ると、ゲイ雑誌誕生以前の「よろず変態雑誌」の頃の香り、つまり『風俗奇譚』とかと同種のテイストが、まだけっこう残っていますね。
最初期の『さぶ』で小説挿絵を描かれている「風間俊一」という人は、おそらく、『日本のゲイ・エロティック・アート vol.1』で採り上げた江戸川重郎や、『vol.2』の天堂寺慎などと同様に、ヘテロ雑誌に描かれていた職業イラストレーターでしょう。イラストレーション的に手慣れたテクニックと、男性のエロティシズムをフェミニンに描写しているという特徴が、全く共通しています。
また、『風俗奇譚』などでは良く見られるものの、私がリアルタイムに親しんだ80年代以降の『さぶ』では全く見られなくなっていた、素人女装の投稿告白などという記事も、この頃の『さぶ』には、まだ僅かながら載っていますし、アメリカのフィジーク誌から転載したと思しき、ブルース・オブ・ロサンジェルスの写真や、エチエンヌやトム・オブ・フィンランドのイラストレーションが載っているのも、やはり『風俗奇譚』と同じです。
とはいえ、そういった記事と並行して、日本のゲイ・エロティック・アーティストたちも、『vol.1』で採り上げた三島剛は、もちろん創刊号から参加していますし(三島剛さんは『さぶ』という誌名の名付け親でもあります)、『vol.2』の林月光、遠山実、児夢(GYM)といった面々も、すぐに誌面に登場します。
また、長らく『さぶ』の名物コーナーだった読者の投稿写真ページ「俺のはだか」や、森本浩史さんの「縄と男たち」なども、中綴じの頃から既にスタートしているし、小説執筆陣にも、花田勇三さん、土師志述さん、愛場幹夫さん、いけはらやすあき&でぶプロさん、真須好雄さん……といった、平綴じになってからの『さぶ』でも見覚えのある名前が、既に登場しています。
こういうのを見ていると、それからおよそ十年後、私がデビューした頃の『さぶ』とも、シームレスな繋がりを感じられて、ちょっと嬉しい気分になりますね。まるで、両親や親戚の若い頃の写真アルバムを見ている気分。
中綴じ時代の『さぶ』は、総ページ数が160ページ程度と、薄い本ですが、中身の方は、本の厚さと反比例するかのように、実に濃厚な印象。
というのも、まず、イラストレーションの扱いが大きい。カラーやモノクロのグラビアページを使って、前述したような錚々たる作家陣が、その腕と妄想力をふんだんに発揮してくれている。
例えば、昭和53年8月号を例にとると、この号だけで、三島剛さんの褌テーマの巻頭カラー口絵4ページ、林月光さんの巻末カラー絵物語「月光・仮面劇場」4ページ、児夢さんの学ランテーマのモノクロ連作口絵4ページ、水影鐐司さんのラグビー部テーマのモノクロ連作口絵4ページというゴージャスさ。
更に、児夢さんと水影さんのカラーイラストも1ページずつ。小説挿絵では、三島さん、林さん、水影さんの他に、前述した『vol.3』収録予定の鈴木節さん、更には吉田光彦さんや渡辺和博さんといった『ガロ』系の方々まで。
男絵好きにとっては、これはもうたまらなく魅力的な誌面。
また、本文に情報ページや広告ページが殆どなく(メイトルームの数も、まだ200そこそこと、決して多くない)、読み物ページは主に小説に占められ、加えて、その小説のラインナップが「濃い」のも、雑誌全体の充実感に繋がっているようです。
この頃の『さぶ』には、現代物の恋愛小説とか、エロな体験告白といった、昨今でも良く見かける「身近」な設定の小説も、もちろんあるんですが、それと同じくらい、いや、ひょっとしたらそれより多いくらいの比率で、時代物、任侠物、軍隊物……といった、今どきでは殆ど見られなくなった、フィクション性の強い設定の小説が掲載されている。中には、時代物伝奇小説の連載まであったり。
これらの小説は、ポルノ的なエロ描写そのものに限って言えば、今読むと実に「大人しい」ものなんですが、反面、情景描写や情緒表現を含めて、しっかり「小説」にしようという心意気の感じられるものが多く、即物的なポルノグラフィーとはまた違った味わいがあります。
そんなこんなで、今回の目的は、あくまでもイラストレーションのセレクトだけのはずなのに、ついつい文章も読みたくなっちゃって、難儀しております。読み始めたらきっと止まらなくなって、作業がぜんぜん進まなくなっちゃいますから、もう、我慢我慢の日々(笑)。
それでもやっぱり、花田勇三さん(叙情的な筆致でホモソーシャル的な世界を薫り高く描いた、「男と男の叙情誌」という『さぶ』のキャッチフレーズを体現するような作家)とか、渚剣さん(任侠や軍隊といった男っぽい世界を舞台に、凌辱・拷問・切腹といった男責め小説を描いた作家)の小説が出てくると、「ちょっと休憩がてら……」とイイワケして、一、二編、読んじゃったり(笑)。
あ〜、作業がはかどらない(笑)。
つれづれ
どうでもいい独り言。
ク○フーとD○Cが、どーしてもアタマの中でスムーズに繋がってくれないんだよね〜。理解はしていても、イメージのギャップを、どーしてもアタマが納得してくれないカンジ。「美」のベクトルの向きが、なんか正反対なんだもん。
……と、あんまり余所様のコメ欄で雑談を続けるのもアレなので、こっちに書きました。判る人だけに判るネタ(笑)。
さて、イタリアの出版社から、以前契約を交わしたイタリア語単行本(短編集です)が、先々週無事に発売されたとの連絡がありました。ただ、まだ見本が届かず。
本のタイトルは”Racconti estremi”で、これは「エクストリーム・ストーリー」という意味だそうな。
詳しい紹介は、実際に本が届いて内容を確認してからにしますが、とりあえず表紙画像だけなら、出版社のサイトで見られます。
DVDネタ。
『ヴァレンティノ』(1977)ケン・ラッセル “Valentino” (1977) Ken Russell |
久々に鑑賞。テレビ放映されたのを見て以来だから、20年ぶりくらい?
この映画あたりから、ラッセルの勢いが衰えてきたという印象があったんですけど、改めて再見すると、これはこれで力もあるし、見所も多いな。
冒頭の、斎場に乱入する群衆のシーンとか、レスリー・キャロン絡みのシーンのブッ飛び具合とか、シンメトリックだったりデコラティブだったりする構図の数々とかは、やっぱり「ラッセル印!」ってカンジの悪趣味スレスレのケレン味が素晴らしい。窓の外でファンたちが、ポエトリー・リーディング(っつーかシュプレヒコールっつーか)するシーンとかも好き。
ただ、留置所のシーンなんかは、これでも充分エグいんですけど、ラッセルにしては物足りない感じがしてしまうのは否めないし、映画のラスト、ボクシングの試合以降の映像力がイマイチ弱いせいで、全体の印象も弱くなってしまった感はあり。
ああ、あとメールヌード絡みで、ルドルフ・ヌレエフのフルヌードが、引き締まった裸身(特にお尻)が美麗極まりない……ってのは記憶通りで嬉しかったんですけど、今回のDVDでは醜いボカシがなくなって、フロント部分がチラチラ「見え」るのも、少し得した気分だった(笑)。
ゲイ絡みだと、男同士でタンゴを踊るシーンがちょっと有名ですけど、実は私は個人的には、こーゆー耽美趣味にはあんまりピンとこない。ホモセクシュアルにデカダンな幻想は抱いていない、とでも言うか。
とはいえ、私は自分のことを「耽美作家」だと思っているんですけどね(笑)。ただ、私にとっての「美の追求」というものが、「体毛を執拗に描き込む」とか「ヒゲのマッチョが苦悶する」とかいった、あまり一般的には共感されにくそうなものだ、というだけで。「道徳的功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く立場」(広辞苑)という点では、耽美主義以外の何者でもない、と、自分では思っています。
閑話休題。
しかし、どーしてラッセルの映画って、比較的どーでもいいものばかりDVD化されて、マジでスゴいヤツは出ないんだろうなぁ。
まあ、『トミー』や『マーラー』が出たのは嬉しいし、『ヴァレンティノ』『アルタード・ステーツ』『クライム・オブ・パッション』もいいんですけど(『サロメ』『レインボウ』『白蛇伝説』になると、私的にはわりと「どーでもいい」部類)、やっぱ『恋する女たち』『恋人たちの曲/悲愴』『肉体の悪魔』『ゴシック』という、個人的に大々々好きな4本を、何とかDVD化して欲しい。
怪現象とか遺失物とか
マンガ作業が佳境に入ってきた最中、不意に天井のシーリングライトが消えるという現象が頻発。
他の電気機器に異常はないので、ブレーカーのせいではないっぽい。
となると、電球が切れたのかと思ったけど、いったんスイッチをオフにしてから、再度オンにすると、何事もなかったかのように点灯する。で、やれ嬉しやとお絵描きを再開すると、また、ちょっと身体を動かしたはずみとかに、消えてしまう。
このクソ忙しいときに……とイライラしつつ、このままでは仕事に支障をきたすので、休憩がてら原因を究明することに。
どうも自分が身体を動かしたときに電気が消えるようなので、椅子に座ったまま、四肢を少しずつ動かしてみて、どう動くと消えるのかを検証してみました。その答えは簡単に出て、どうも左足の先が、テーブルの奥に置いてある空き箱に触れたときに、電気が消えてしまうらしい。
で、その空き箱(ケイタイの空き箱でした)を除けてみる。しかし、何もなし。
はてなと思っていると、テーブルの横に立てかけてあるカッティングマットに、肘が触れた瞬間、また電気が消える。
そんな調子で調べていったところ、じきに原因が判明しました。
こんな感じ。
左足の先が空き箱に触れる→空き箱がカッティングマットに触れる→カッティングマットがたわんで、机と壁の隙間に落っこちていた本の端に当たる→本と壁の隙間に落っこちていた電灯のリモコンに接触→消灯スイッチが押される→電気消える
……ピタゴラスイッチかい(笑)。
てゆーか、このシーリングライトにリモコンがあったなんて、今の今まで忘れてた(そーいえば、確かに取り付けたときに、そんなものを見たような気はするが)。オンオフだけじゃなく、リモコンで省エネだの豆灯だのにもできたのか(笑)。
で、リモコンと一緒に、もうひとつ別のものも発見しました。
これ。
革ケース入り(ベルト通し付き)の手錠。アメリカ製。
アダルトショップで売ってるオモチャじゃないよ、ちゃんと(?)スミス&ウェッソン社のヤツ。
因みにこの手錠、資料と実用を兼ねて買ったものです(笑)。
キズパワーパッドとか
数日前に、足をケガしました。
っても大したことじゃないんですが、素足にサンダル履き(因みに以前某画伯のブログで突っ込まれたのと同じサンダル)でゴミを出しに行こうとしたら、玄関のドアが勝手に閉まってしまい(ドアストッパーがイカれてるんです)、ドアの角にカカトをこすられて、皮(と肉もちょっぴり)を「ぞりっ」と削られてしまいまして。
大きさにして、幅5ミリ、長さ1センチくらい。
で、ゴミ出しは相棒に行ってもらって、自分は、傷口にマキロン吹いてバンドエイド貼りました。
その二日後。
夕飯の買い物に出掛けて薬局の前を通ったとき、前にCMで見て気になっていた、「痛みをやわらげ、キズを早くきれいに治す、バンドエイド・キズパワーパッド」ってヤツ(↓)を、いい機会だから使ってみようと思いまして。
普通のバンドエイドより値段が高かったけど、それで早く治るんならいいかな、と思い、パッケージの裏に印刷されている注意書きもチェックして(↓)、必要なサイズのヤツを選んで買ってきたわけです。
で、家に帰ってから、箱を開けて使い方の説明書を読んだところ、こんな文字(↓)が。
……orz。ダメじゃん。
というわけで、「憧れのキズパワーパッド」は使えないまま、けっきょく、最初から家にあったフツーのバンドエイド貼ってます。
ま、次にケガしたとき使えばいいんですけど、しかし、キズパワーパッドは使ってみたいけど、かといって、別にケガしたいってわけじゃないんで、使うのが楽しみなようなそうでないような……と、何ともビミョーな気分(笑)。
今日も、ネギ切ってる最中に指も切りそうになって(無事でしたけど)、一瞬「あ、これでキズパワーパッドが使える?」とか思ってしまい……何だかなぁ……ヘンな感じ(笑)。