『ザ・ヒル』デヴィッド・デコトー “Leeches!” David DeCoteau |
レンタルDVDで鑑賞
え〜、下心バリバリで借りました。っつーのも、何でも裸のイケメンマッチョが大勢出てきて、そいつらがバタバタ殺されてく映画だっつーし、IMDbでもallchinema Onlineでも「ホモ大喜び」みたいなユーザーズ・コメントが登録されてるし、「やだ、ひょっとして野郎版ジャーロ? 憧れの野郎系スラッシャー?」なんてワクワクしちゃいまして。
んでもって再生。タイトル・デザインはクラシックB級SFみたいなグニャグニャのクリーピー系で、ちょっといい感じ。
そして早速、競泳ビキニ一丁のイケメンが。カメラがスローモーションで、その肉体美を舐めるように追いかける。……どこのゲイビデオですか?
ストーリーは、大会目指して特訓中のカレッジの水泳部部員が、次々に巨大化したモンスター・ヒルに襲われて、その餌食になっていく…というもの。あとはそれにちょっと殺人事件やドーピングが絡んだり、馬鹿馬鹿しい青春映画チックな乱痴気騒ぎがあったり。
まあ、低予算なのには目を瞑りましょう。モンスター・ヒルはどう見ても、ゴム製のスリッパかナベツカミに、人が手を突っ込んでウネウネ動かしてるだけだし、床を這うときは露骨にテグスで引っ張ってるし、身体に吸い付いた小型のヒルは、身動きひとつせずにブラ〜ンとぶら下がってるだけだし、まあローテクと言ったらローテクに失礼なんじゃないかっつーくらい、果てしなく底なしに安い。
で、お目当てのイケメンマッチョの方はというと、これはまあ惜しげなく出てきます。しかも、ほとんど服を着ない。まあ、水泳部だからってのもあるんですが、プール以外でも何のかんのでとにかく脱ぐ。ただ、全員イケメン揃いってのもクセモノでして、とにかくみんな似たタイプなもんだから、誰が誰やら区別が付かない。どーゆーイケメン・マッチョが出てるのかというのは、まあこちらの公式サイトのギャラリーをご覧あれ。……えー、もう一度。どこのゲイビデオですか?
というわけで、こいつらがゴム製のスリッパに襲われて次々とくたばっていくんですが、はっきり言ってスリルもサスペンスも全くない。当然のことながら、恐怖感も皆無。シャワーを浴びたりプールに浸かったりする裸のイケメン相手に、カメラが動いたりスローモーションになったりしても、それはスリルやサスペンスの演出とは全く無関係。安手のイメージビデオよろしく、イケメンの筋肉美を撮すだけ。
……とすると、いささか変態ちっくで面白いかとも思われるけど、残念ながら変態性は「ホモっぽい」だけに留まっていて、それ以上のものは何も無し。襲われるシーンも、派手な音楽が鳴り響いて、色照明の中でアタマを振るイケメンのクローズアップばっかりで、工夫のないことはなはだしい。シャワー室で昏倒したイケメンの口に、件の巨大ヒルが潜り込む……なんてシーンは、ちょいと変態ちっくで期待させられるんですが、それだけ。(だいたい、何でヒルのくせに口に入るんだ???)まあ、撮影の裏側を想像すると、裸のイケメンにスタッフの男たちが群がり、「ヒル手袋」をはめた手で凌辱している……と考えられないわけでもないので、そこんとこは変態っぽいっちゃあ変態っぽいけど。
まあ、こんな具合で、ハラハラドキドキも全くせず、緊張感も微塵もないまま、ダラダラと話が進んでクライマックスへ。ヒルが巨大化した理由が告げられるアタリは、もう突っ込む気力も起きずに乾いた笑いが。ラストのどんでん返しも「ふ〜ん、さいですか」だけ。やれやれ。
なんかな〜、襲われるのが裸の男ばっかりなんつーホラー映画は稀少なんだから、もうちょっと何とかして欲しかった。これで『マニアック・コップ』や『エルム街の悪夢2』ばりの、ステキな惨殺シーンがあれば、もう大絶賛しちゃうし、DVDだって即購入しちゃうんだが……残念。
こうして私のよこしまな期待は、シュウ〜と音を立てて萎んでいきましたとさ。
でも、感想を書いていたら、何だかもう一回見たくなってきた……(笑)。