“Angel Vioces 2” The St Philips Boy’s Choir
輸入盤CD
先日、ヒュー・ハドソン監督の『グレイストーク』のDVDが発売されまして、私この映画大好きなもんで、早速買ってきて観たわけです。んで、やっぱいいよな〜なんて思いつつ、そうしたら同監督の『炎のランナー』も観たくなりまして、ちょいと調べたら廉価盤DVDが出てたんで、またまた買ってきて観たわけです。
で、この『炎のランナー』の中に、ブレイクの詩にパリーが曲を付けた「イェルサレム “Jerusalem”」を歌うシーンがありまして(そんなシーンがあったこと、すっかり忘れてました)、それ観てたら、今度はEL&Pの「聖地エルサレム」(同曲のプログレ風カバー……とでも申しましょうか、実を言うと私、この曲を最初に知ったのは、このEL&Pのバージョンでした)を無性に聴きたくなりまして。でもアナログ盤、それもLIVEの『レディース&ジェントルマン』しか持ってなくて、まあいい機会だからCDを買い直すかと、同曲のスタジオ録音を収録したアルバム『恐怖の頭脳改革』を買ってきたんですよ。
こうしてホクホクしながら、お目当ての「聖地エルサレム」を聴いたんですが、そこでふと、考えてみりゃ私、まだこの曲の「正調」のバージョンをちゃんと聴いたことがないな〜、と気付いた。で、そうなってみると無性に聴いてみたくなりまして、幾つか物色した結果、”The Last Night Of The Proms Collection” BBC Concert Orchestraってのと、この”Angel Vioces 2″ The St Philips Boy’s Choir”の二枚を買ってみたわけです。
ここまでが前振り。芋蔓式に長くてすいません(笑)。
なぜこの”Angel Voices 2″を買ってみたかというと、「イェルサレム」の少年合唱団バージョンを聴いてみたかったのと、他の収録曲に好きな曲、それもかな〜り好きな曲が幾つか含まれていたから。
例えば、フォーレの『レクイエム』から”Pie Jesu”(この『レクイエム』は、私の好きなクラシックのベストテンの一つ。ガキの頃に父親が良く聴いていて耳に馴染みがあるせいもあるんでしょうが、特にアンドレ・クリュイタンス指揮/パリ音楽院管弦楽団のヤツがお気に入り。”Pie Jesu”はヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレスが歌っております)、またリチャード・アダムス原作の英国製の劇場用長編アニメーション『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の主題歌だった”Bright Eyes”(オリジナルはアート・ガーファンクルが、日本公開版では井上陽水が歌ってました)、それと中世ラテン語の聖歌”Gaudete”(これに関しては後述)。この三つが入っているだけでも、私的にはもう「買い」です。
で、アルバム自体は「天使の声」という謳い文句を裏切らない美しいボーイ・ソプラノを、独唱合唱取り混ぜて、タップリ聴かせてくれます。伴奏は(おそらく)シンセサイザーですが、音の雰囲気はあくまでもナチュラル、アレンジはオーソドックスなクラシック風で、曲によって若干のニューエイジ風味やポップ風味をプラス。まあ、正直なところ私の好みから言うと、ちょいと甘ったるくて苦手な部分もなきにしもあらずですが、それでも演奏自体が控えめで、主役の声を押しのけて目立ったり前面に出たりしないところは好感度大。
収録曲は、前述したものの他に、”All Things Bright And Beautiful”や”Amazing Grace”などの賛美歌やトラッド曲、エンヤの”Evening Falls”、カントルーヴの『オーヴェルーニュの歌』から”Bailero”など、硬軟取り混ぜてイロイロ。メジャーな曲が多いようで、タイトルに見覚えが無くても、曲を聴いたら「ああ、これか!」ってのもけっこうありました。
それ系でちょっと嬉しかったのは、”I Vow To Thee My Country (World In Union)”って曲。曲名には全く馴染みはなかったけど、聴いてみたらホルストの『惑星』の「木星」に歌詞をつけたものでした。つまり平原綾香の「ジュピター」みたいなもんですな……って、ちょっと違うか(笑)。どうやらこっちは、ラグビーのワールドカップ公式ソング(の歌詞)らしいですが、とりあえず原曲が大好きなので嬉しい収穫。でも、考えてみりゃ私、この曲も「イェルサレム」同様に、最初に聴いたのは冨田勲のバージョンだったりするなぁ(笑)。あと、ちょっと面白かったのが、「イェルサレム」目当てで一緒に買った”The Last Night Of The Proms Collection” BBC Concert Orchestraの方にも、聴いてみたら同じ”I Vow To Thee My Country”が入っていてビックリ(笑)。
で、一番のお目当てだったその「イェルサレム」ですが、この雄大で荘厳な曲を少年合唱団で聴くのも、独特の清らかさのようなものがあり、また良きかな。改めて惚れ直しました。加えて、その次の曲が前述のホルストなもんですから、またまた雄大&荘厳つながりで、ここんトコの流れはちょいと感動モン。
まあ、とにかくアルバム全体、ひたすらキレイな曲のオンパレードですし、アレンジも含めて程々にキャッチーで聴きやすく、選曲も含めてなかなか楽しめました。まあ、私の好みから言うと、もうちょっとストイックだったり重かったりする方が好みなんですけど、ポップス感覚やヒーリング/ニューエイジ系の声楽として考えるのなら、文句なしの出来映えでは。実際このグループ、最近では「リベラ」と名前を変えて、私は未聴ですが、そっち系では人気を博しているらしいですし。
さて、このアルバムのラストを締めくくるのが、前述した”Gaudete”なんですが、私がこの曲を初めて知ったのは、イギリスのエレクトリック・トラッド・グループ、スティーライ・スパンのヴァージョンでした。学生時代にトラッド・マニアの友人(私をトラッドの泥沼に引きずり込んだ張本人です)に、ペンタングルとかジョン・レンボーン・グループ(どちらも英国のトラッド系グループです)なんかと一緒に聴かされて、もうすぐにレコ屋に突進したくらい好きになっちゃいまして。
で、この”Angel Voices 2″の”Gaudete”を聴いていたら、無性にまたスティーライ・スパンのヤツを聴きたくてたまらなくなり、早速ベスト盤を引っ張り出してきたわけです。ここで、ふと気が付いた。私、このスティーライ・スパンをベスト盤でしか聴いていない。っつーのも、このベスト盤を買って、お目当てだった”Gaudete”は無伴奏ア・カペラのコーラス曲なんですが、他の曲にはドラムありエレキギターありの、いわゆるトラッドをロック風にアレンジしたものばかりだったんで、あんまり自分の好みじゃなかったんですな。だからアルバム単位で聴いてみようと思わなかった。
でも、今回ふと思い付いてネットで検索してみたら、このスティーライ・スパン、メジャーになった中期以降はロック調になったけれど、初期はもっとストイックなトラッドを演っていた、とあるじゃありませんか。そうなると俄然興味がわいてくる。こりゃ、ぜひ初期のアルバムってヤツを聴いてみなきゃ。
とゆーわけで、今度はスティーライ・スパンの初期作を買いに……ってことで、またまた芋蔓式に「続く」(笑)。