先日、ここでラディスラウ(ヴワディスラフ)・スタレーヴィチの新着DVDの紹介をしましたので、ついでに現在所有している他のスタレーヴィチのDVDもご紹介。
“The Cameraman’s Revenge & Other Fantastic Tales / The Amazing Puppet Animation of Ladislaw Starewicz”
アメリカ盤。
昆虫の死骸をコマ撮りして、男女不倫の艶笑劇を演じさせるという珍作ながら、アニメーション史的には有名な”The Cameraman’s Revenge”と、病気の少女を助けるためにヌイグルミの犬が大活躍し、詩情からアクションからユーモアからホラーまで、全てがギッチリ詰まった問答無用のエンターテイメント大傑作”The Mascot”が収録されているので、スタレーヴィチ入門用にはベストかも。
他の収録作は、やはり昆虫を使ったバーレスクといった趣の”The Insects’ Christmas”、内容はメルヒェンなのに、造形面に感じられる、もう押さえても押さえても指の間から滲み出してくるグロ体質が最高な”The Frogs Who Wanted a King”、”Winter Carousel”、実写との絡みが面白い”Voice of the Nightingale”など。
“Le Monde Magique de Ladislas Starewitch”
フランス盤。
前述の”The Mascot (Fetiche Mascotte)”は、こっちにも収録されていますが、他はダブりなし。
他の収録作は、主演のライオンの造形や表情が素晴らしい、ラ・フォンテーヌの『寓話』を下敷きにした老いたライオン王の悲哀を描いた”Le Lion Devenu Vieux”、イソップの『町のネズミと田舎のネズミ』を下敷きにしつつも、何よりかによりめちゃくちゃグロいネズミの人形が繰り広げる、パーティーの乱痴気騒ぎに目が釘付けになってしまう”Le Rat de Ville et le des Champs”、望みが叶う魔法の花を手に入れる少年の話で、魔法の花が咲く真夜中の森に跋扈するステキなバケモノどもが、もういかにもスタレーヴィチの魅力大爆発な”Fleur de Fougere”。
“Le Roman de Renard”
フランス盤。
中世フランスで大流行した、狐のルナールを主人公とした民話『狐物語』を題材にした長編。キツネ、オオカミ、ライオン、ロバ、ネコ、クマ……などなど、動物キャラクターが勢揃いして、擬人化された中世風の衣装を身に纏い、素晴らしいセットの中で生き生きと動き回ります。美術や画面構成の重厚さや美しさは特筆モノで、その完成度の高さゆえに、マックス・エルンストのコラージュのようなシュールレアリズム美術的な幻想美まで漂う逸品。
ボーナスとして、動物たちのスペクタキュラーな船旅を描いた短編”Fetiche en Voyage de Noces”や、人形用のデッサン、スチル写真などを収録。