前にここで「もう絶対に買っちゃうもんね」と書いたGarageBand Jam Pack World Music、だいぶ使い慣れてきたんで、使用感のレポなんぞを書いてみませう。
まず、収録音源のリスト。
Bass〜ラテン・ベイビー・ベース/ギタロン/バラライカ
Choir〜南アフリカのクワイア/南アフリカのクワイア(ヴォイス・エフェクト)
Guitar〜月琴/ウクレレ/ブズーキ/中世のリュート/フラメンコ・ギター/ウード/サズ
Mallet〜カリンバ/アフリカン・マリンバ/ガムラン/チベットのシンギング・ボウル
Piano & Keyboard〜アフロ・キューバン・アップライト・ピアノ/ポルカ・アコーディオン/タンゴ・アコーディオン
Strings〜ハンマー・ダルシマー/ケルティック・ハープ/二胡/古箏/シタール/フィドル/琴/サントゥール
Woodwinds〜ティン・ホイッスル/笛子/洞簫/バグパイプ/バンスリ/シャナイ/尺八/中世のリコーダー/ネイティブ・アメリカン・フルート/パンフルート
Drum〜アフリカン・キット/アジアン・キット/ヨーロピアン・フォーク・キット/インディアン&ミドル・イースタン・キット/ラテン・キット
……とまあ、これだけの音源がマルチサンプルで収録(つまり、好きなように演奏できるってことね)されていて、加えてループも3000以上入っていて、それで\10,800というのは、いつものことながらコストパフォーマンスは良いのでは。
それぞれの音源は、ベロシティの強弱やモジレーションで奏法が変化するものが多いです。
自分がよく使う楽器を例にとると、バンスリはモジュレーションでビブラートの有無、スライドアップ、フラッター・タンギングといった奏法が制御でき、シャナイはモジュレーションで音の長短、ベロシティで音の揺れやトリルなどが変化する……といった感じ。ここいらへん、上手く使うとけっこう生っぽい「味」になるので、ソフト同梱のPDFマニュアルは目を通しておいた方がいいでしょう。
ドラム・キットはそれぞれパーカッションもセットなので、例えばアフリカン・キットにはジェンベやトーキング・ドラム、インディアン&ミドル・イースタン・キットにはタブラやドゥンベック(ダルブッカ)などが、キーの違いや奏法のバリエーションも含めて、キーにマッピングされています。
音色はさほど押しが強くなく、存在感はいささか控えめではありますが、逆に極端に浮くこともないので、アンサンブルとしては使いやすいです。ただ、強烈なリードとして欲しい場合は、ちょっと物足りない場合も。
また、Jam Packシリーズは一様にそうですが、本来の楽器の出せる音域を越えて、低音から高音までくまなく音が入っています。楽器本来の音域を意識して使わないと、音が不自然になってしまう場合もありますが、それを逆手にとって、現実にはありえない楽器として使うのも面白いかも。例えば、ウードをうんと高音にしてみたら、エキゾチックなギターともハープともつかない音になって面白かった。
楽器によっては、キーの高低で音色そのものが異なってマッピングされているものもあります。例えば、南アフリカのクワイアでは、高域は女声、低域は男声に振り分けられていますし、ガムランでは高域はガンサ、低域はレヨンゴングになっています。
というわけで、全体的には「安価・使える・いじれる」と、三拍子揃った好印象。
ループも、リアル音源に加えてソフト音源も多く、後者はピアノロールや楽譜表示を見れば、どういう楽器がどのような使われ方をして「それっぽさ」を出しているのか、目で確認することができるので、なかなか楽しいし参考にもなる。もちろん、違う楽器に演奏させることも可能。
まあ、それでもぜいたくを言い出せばきりがないもので、例えばフィドルの音は、ちょいと擦弦感というかギコギコ感に乏しいのが物足りないし、ガムランもこれだと必要最低限でしかなく、例えばゴン・クビャールとドゥグンとグンデル・ワヤンとかの違いは出せない。
楽器の種類も、これだけあってもまだまだ欲しいものはあるのが人の性で、例えば笛ものだと、アラブのナイやアルメニアのドゥドゥクやインドネシアのスリン、弦ものだとアラブのカーヌーンやミャンマーのサウンなんかが欲しい。アンクルンやジョゲッ・ブンブンやジェゴグやパッタラーといった、竹素材のマレットものも、何か一つ欲しかった。あと、日本の笙かタイのケーンも。
まあ、そんな無い物ねだりはともかく、GarageBandやLogicのユーザーで、ワールド・ミュージック系のインストゥルメンツのコレクションを何か一つというんだったら、充分元を取れておつりもくる内容ですから、最初の購入物としてオススメです。
で、せっかくなので、自分の手による使用例も一つ。
“Steppe” (MP3 file / 4.4MB)
この曲で、Jam Pack World Music収録の音源のうち、パーカションのアフリカン・キット、アフリカン・マリンバ、ウード、チベットのシンギング・ボウル、カリンバ、ケルティック・ハープ、ティン・ホイッスル(登場順)を使っています。
お暇とご興味がおありの方、よろしかったらお聴きください。