“Maciste en las Minas del Rey Salomon” (1964) Piero Regnoli
前にここで「責め場がなかななか良い」と書いた、レジ・パーク主演のソード&サンダル映画のスペイン盤DVD。伊語原題”Maciste nelle miniere di re Salomone”、英題”Maciste in King Solomon’s Mines” a.k.a. “Samson in King Solomon’s Mines”。
まあ、お話としては、マチステものは大概そうなんですが、この映画もお手軽この上ない内容。悪人によって国を乗っ取られた王子と王女を助けて、筋肉マンが大暴れ、民衆も味方に付けて悪人どもを退治して、いずこへともなく去っていく……ってだけです。新味やら独創性やらは、ほぼ皆無(笑)。私は基本的に、フィクションの「お約束」ってのは好きですし、自分の作品でも、けっこう意図的にクリシェを援用したりするんですが、しかしここまで「お約束オンリー」ってのも、ちょっとねぇ(笑)。
ただまあ、ソロモン王の宝窟ネタなのでアフリカが舞台だから、お話はともかくとしても、雰囲気は何となくマチステ映画とターザン映画が混じったようで、ちょいと独特です。そういや、ターザン映画っつーと、アメリカでワイズミューラーのターザンBOXの第二弾が出たけど、これ日本盤は出ないんだろうか。期待して待ってるんだけど、リリース情報がない。
この映画には関係ないけど、ソロモン王の宝窟ってネタも、ハガードの小説が大好きなので、ここらで最新技術を使ってマジメな映像版を見てみたいもんです。リチャード・チェンバレン主演のヤツは、コメディタッチでそれなりに楽しめたけど、所詮はインディ・ジョーンズのバッタモンって感じで、ぞくぞくやワクワクはしなかったし。最近もホールマーク製のヤツを見たけど、これはイメージのショボさ演出の外しまくりにガッカリだった。ハガードとかメリットとかの秘境探検小説を、正攻法で映像化してくれないもんかなぁ。でも、PC的に引っかかる要素が多すぎるからダメかなぁ。
話がズレましたが、そういうわけでこの映画、内容的にはさほど見るべきものはないですが、モノガタリの構成そのものは緩急があるし、セットのスケール感なんかも、目を見張るほどではないけれどショボ過ぎもしない、といった感じで、肩の凝らない娯楽作としては、そこそこ手堅い出来です。
でもまあ、私にとっての最大の魅力と言えば、やっぱりレジ・パークの責め場なんですけどね(笑)。ヘラクレスものでは責め場がなくて残念だったから、この映画で責め場があるのは、とっても嬉しい(笑)。
ただ、残念ながら今回、ヒゲがないんですな。この人のご面相って、ヒゲがあればそこそこかっこよく見えるし、時にチャーミングだとも思うんだけど、ヒゲがなくなると、どーにもこーにも……(笑)。
それはそれとして、お目当ての責め場はどういうものかというと、善玉を助けに来たマチステが、網をかぶせられて捕まった後、公衆の面前で鳥カゴみたいな檻に入れられて、両腕を馬裂きにかけられる、ってな内容。
まあ、馬裂きそのものは、これはもうソード&サンダル映画のお約束みたいなもんで、もう何回見たか判らないくらい、しょっちゅう出てくるネタ。ホント、当時のボディビルダー男優って、みんな一度は馬裂きを経験してるんじゃないかってくらい定番(笑)。
ただ、今回の馬裂きは、檻の内側に刃物が突き出していて、引っ張られてバランスを崩すとブッスリってなアレンジが加わっていることと、レジ・パークが実に良く熱演しているということと、更にこのシーンの尺がかなり長く、おまけに様々なアングルと丁寧なカット割りで、他の映画の馬裂きと比べると、かなり見応えがあるし満足度も高い。
ホント、これでヒゲ付きだったら最高だったのに(笑)。
そして馬裂きの後は、マチステ君は催眠術だか魔法の足輪だかのせいで、鉱山労働の奴隷にされちゃいます。責め場ってのとはちょっと違いますが、奴隷とか強制労働とか好きの人なら、ここも嬉しいポイント。
あと、この映画は全般的に、レジ・パークの筋肉美を見せるフェティッシュなカットが多くて、責め場でも強制労働でも怪力発揮シーンでも、かなりのクローズアップで筋肉の動きを舐めるように見せてくれたりするんで、ボディビル好きや筋肉マニアだったら、けっこう楽しめるはず。スティーヴ・リーヴスとミスター・ユニバースの覇者を競い、シュワルツェネッガーのアイドルだったボディービルダーの肉体を、タップリ堪能できまっせ。
パーク以外の責め場では、善玉青年が鞭打ちやスパイクの生えた板でプレス責め、なんてシーンもあります。う〜ん、これをヒゲ付きのパークでやってくれたら、どんなに嬉しかったか(笑)。
あ、因みに女責めもあります。ブロンド美女を、ラックに縛って引き延ばし責め。
ってな感じで、責め場とかはけっこう見応えありなんですが、俳優とか演技とかキャラクターとかは印象が薄い。記憶に残るのは、悪の女王のウンコみたいなヘアースタイルくらいで(笑)。
DVDはPAL、リージョン2。スクイーズなしのビスタ。音声はスペイン語とイタリア語、字幕はなし。
アメリカ盤DVDは“Warriors 50 Movie Pack”に収録。色は落ちちゃってるし左右も切られちゃっていますが、ディテールはそれなりに残っているので、アメリカ盤としては画質は悪くないほうかな。