『エド・ウッドの牢獄の罠』

Jailbait
『エド・ウッドの牢獄の罠』(1954)エドワード・D・ウッド・Jr(エド・ウッド)
“Jail Bait” (1954) Edward D. Wood Jr. (a.k.a. Ed Wood)
 スティーヴ・リーヴス出演作の日本盤DVDがついに出た〜ッ! ……と思ったら、よりによって “Jail Bait” かよ……(泣)。orz
 ま、これはいちおうリーヴスがテレビや舞台でキャリアを積んだ後、スクリーン・デビューをしてから二作目で、セリフもあれば演技もしてるんですが、正直なところ「スティーヴ・リーヴスのファンの私」にとっては、リーヴスのフィルモグラフィーの中では、もっとも「どーでもいい映画」なんだよなぁ、コレ(笑)。
 でも、「トラッシュ映画好きの私」としては、お楽しみどころがいろいろとありました(笑)。
 映画の序盤は、良くできた親に反発する気弱なダメ息子が、悪い仲間の誘いと、拳銃の魔力で道を踏み外して、ついには人を殺してしまい……という、ある種の社会派(?)的な要素もある犯罪映画風味なんですが、そこはまあ、最低映画監督として名高い、あのエド・ウッドの撮った映画ですから、そうそう一筋縄ではいきません。詳しい内容はネタバレになっちゃうので書きませんが、途中から誰が主人公か判らなくなっちゃうし、ジャンルも、クライム・サスペンスなんだか、ミステリーなんだか、ホラーなんだか判らなくなってくる。
 まあ、エド・ウッドの作品の中では、特に話題にされない作品なので、破綻具合とか破壊力は控えめですけど、それでもやっぱり、マジメに考えると空しくなるような破綻しまくりのストーリーとか、オツムが足りないとしか思えない行動をとる登場人物たちとか、伏線かと思いきや何の意味もないエピソードだったとか、「ありえね〜!」と叫びたくなるような展開とかは、見ていて思わず目が点になっちゃいます(笑)。
 ほとんどのシーンが、俳優がセットに棒立ちになって喋っているだけなのも、カーチェイスとか銃撃とか、たま〜に動きのあるシーンが入っても、全てがユッルユルなのも、全編を通して流れる、シーンに全く合っていない、ギターのトレモロによるミョ〜にうら寂しい音楽と相まって、まったりダウナー気分を醸し出してくれます(笑)。
 そう思って見れば、全体の雰囲気とか、ものすご〜く良く言えば、デヴィッド・リンチみたいな感じのような気もしてくるし、基本のアイデアも、手塚治虫の短編とかにありそうだし……って、やっぱ違うか(笑)。
 で、スティーヴ・リーヴスは、犯人を追う刑事の役。……とはいえ、この映画の場合、誰が何の犯人なんだよって感じですし、更に言えば警察も、おめーら捜査らしい捜査もしてねーだろって感じなんですけどね(笑)。
 とりあえずファンとしては、背広姿で現代劇の演技が見られるってだけで、貴重といえば貴重。何せ彼の18本の出演映画のうち、現代劇はこれと “Athena” だけで、あとはぜ〜んぶコスプレものだから。
 ただ見所も、その「貴重だ」ってことだけで、他はな〜んもなし(笑)。現代劇を演っても、決して下手ではないことが判りますが、かといって、これといった見せ場があるわけでもなし。まあ、上半身裸を見せるサービスカットが、あることはありますが、これもほんの一瞬だしなぁ。
 とゆーわけで、トラッシュ映画好きならともかく、単にリーヴス目当ての場合は……う〜ん、マニアかコレクターでもない限り、やっぱりオススメはしかねるなぁ(笑)。
 まあ私の場合、米盤DVDを注文するほどのもんでもね〜かな〜、と、スルーしてたヤツだったし、トラッシュ系はトラッシュ系で好きなので、国内盤が980円という安価で出たのは嬉しい限り。ホクホクと喜んで購入いたしました。
 あと、こういうPDものとかの廉価DVDって、安価な反面、画質の当たり外れが激しいくて、例えば去年出た、やはり往年のマッスル男優ミッキー・ハージティ主演の拷問映画『美人モデル 惨殺の古城 (The Bloody Pit of Horror)』なんかは、Something Weird Videoから出ている米盤DVDと比べると、かなり残念な画質だったけど、それに比べるとこの『牢獄の罠』は、そこそこ佳良と言える画質だったので、ホッとしました(笑)。
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