個展をやったフランスのギャラリーArtMenParisのオーナー、オリヴィエ・セリから、彼の友人のトルコ人青年が、オープンリー・ゲイであったがゆえに殺されたことと、この事件を出来るだけ多くの人に伝えてくれというメールが来ました。
事件のあらましは、The Independent(イギリス)のこの記事で読めます(英語)。
見出しや本文に、gay honour killingとかhomosexual honour killingという言葉が出てきますが、このhonour killing (名誉殺人)とは、婚前交渉や浮気をしたり、あるいは強姦の被害者となった女性が、彼女の属する家や親族の「名誉を汚した」ものとして、その「汚された一族の名誉を回復するため」に、父親・夫・兄弟などの男性親族の手によって殺害されるという慣習を意味する言葉です。
そして、今回殺された青年は、おそらくトルコで最初の「同性愛者であるがゆえの名誉殺人」の犠牲者なのではないか、という疑いが持たれているようです。
イスタンブールにはゲイ・バーもありますし(行ったことはないですけど)、イスタンブール・ベアクラブなんていう組織(これはコンタクトを貰ったことがあります)もあります。記事によると、今年のイスタンブール・ゲイ・プライド・パレードは過去最大規模だったそうですし、ゲイの人権団体もある。
しかし、当然それらに対する反発もあり、記事中にも、「彼は、トルコで現在発達しつつある人権意識と、古い慣習によるメンタリティの、戦いの犠牲者になった」といった談話が載っています。
また、別の談話では、「彼は自分のセクシュアリティを隠すこともできた。しかし彼は、自分自身に正直でありたいと望んだ。殺害の脅迫が始まったとき、彼のボーイフレンドは、彼に国外に逃げるよう説得した。しかし彼は留まった。彼はとても勇敢で、とてもオープンだった」といった経緯を述べています。
つまり、彼はハッテン場などで無差別にゲイを襲うといった、いわゆる「ホモ狩り」のような事件の犠牲者というわけではなく、オープンリー・ゲイであるがゆえに殺されたわけです。
こうしったヘイト・クライムや、ましてやゲイが理由となった名誉殺人などは、日本で暮らしていると、あまりピンとこない話かもしれません。しかし、こうした「ゲイであるというだけで殺される」という悲劇が、世界のどこかで常に起こり続けていることも、また事実です。
それを、自分たちとは関係ないことだと思うか、それとも同じゲイとして、こうした悲劇を何とか食い止めたいと願うのか。
私個人としては、自分自身に正直であることを貫いた、このトルコの青年は、やはり尊敬に値すると思いました。