“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri
現在におけるペルシア古典声楽家ツートップの一人、シャハラーム・ナーゼリーが、息子ハーフェズ・ナーゼリーと共演したアルバム。
スーフィズムの詩人ルーミーの詩を元に、息子ハーフェズが作曲したもので、小編成のペルシア古典楽器によるアンサンブルの演奏に、父シャハラームの、繊細かつ情熱的な、美しくも力強い歌声が響き渡る。
ハーフェズは、アメリカで西洋クラシック音楽も学んだそうで、なるほど、確かに通常のペルシア古典音楽とは、ちょっと味わいが異なっています。曲調は緩急がはっきりしており、展開もドラマティック。そのせいかシャハラームの歌も、普段より更にエモーショナルな感じもします。
主題の変奏も聴き応えがあるし、西洋的な和声も取り入れられているので、ペルシア古典音楽はもとより、民族音楽全般に馴染みのない方でも、すんなり入り込めそう。神秘的で美しく、哀感を帯びながら情熱的で、ジャンルを問わず、音楽として実に素晴らしい。オススメです。
“Passion of Rumi” Shahram Nazeri + Hafez Nazeri (amazon.co.jp)
“The Art of The Piano” Morteza Mahjubi
1900年生まれのイラン人ピアニスト(1965年没)による、ペルシア古典音楽をピアノで演奏したアルバム。
ピアノが、微分音のある伝統的なペルシア音階(乱暴に言うと、ミとファの間に、もう一つ音があるってこと)に調律されているので、ペルシア音楽やアラブ音楽を聞き慣れない人には、かなり不思議に感じられるかも知れませんが、とにかく優美で美しい音楽。第二集も出ています。
録音が古いので、とうぜん音質もいささかこもり気味ですが、ノイズや歪みは皆無で、逆に、このくぐもったような柔らかさが心地良いくらい。ペルシア古典音楽好きにはもちろん、音響派とか現代音楽、アンビエント好きにもオススメ。
残念ながら、amazon.co.jpやHMVといった大手では、取り扱いがないみたいですが、日本国内で輸入販売しているところも幾つかあるようです。因みに私は、ここで購入。
あと、iTunes Storeでダウンロード購入も可能です。こちら。
“The High Kings” The High Kings
見事なコーラスワークを、アカペラとトラッド楽器のアンサンブルを取り混ぜて聴かせる、アイリッシュ・トラッド、男性4人組。
ケルト的な泣きのたっぷりあるスローバラード、ジグやリールなどの舞曲系、叙事詩的で壮大な曲など、選曲のバランスは申し分なく、演奏も、地味すぎず大仰すぎずといった感じで、実にバランスが良ろしい。
歌い方にグリークラブ的なお行儀の良さがあって、フォークロリックな荒さがないので、トラッドにあまり馴染みのない方でも、すんなりと聴きやすいはず。ケルトっぽいの好きだけど、いっぱいありすぎてどこから手を出していいかワカンナイなんて方には、特にオススメかも。
“The High Kings” The High Kings (amazon.co.jp)
以下三枚は、映画のサントラ。
左が『THE レジェンド 伝説の勇者/Krzesimir Debski』。ハリウッド的なエピック調に、ポーランドっぽい民族性が加味された好スコア。エンドクレジットで流れるポップス調の主題歌も、ちゃんと入っています。
中央が『ファイヤー・アンド・ソード/Krzesimir Debski』。前にここで紹介したサントラ盤と、それとは別売の、劇中歌などを収録した第二集を、一つのパッケージにカップリングした二枚組。
この二つは、日本国内で取り扱っている様子はなし。因みに私は、ポーランドのショップから個人輸入しました。
右が『アラトリステ/Roque Banos』。スパニッシュ・ギターをフィーチャーした哀愁タップリの曲や、宗教歌風の荘厳な曲など、聴き所は様々で聴き応えも大いにありますが、やはり何と言っても、エンディングで流れる”Fanfarre y creditos”が、燃えるわ泣けるわ荘厳だわで、もう最高!
これは、amazon.co.jpでは在庫切れですけれど、タワレコにはまだ在庫があるようなので、欲しい方はお急ぎあれ。こちら。