最近DVDで見たTV映画あれこれ

 備忘録を兼ねて、最近見たB級作品のDVDの中で、色々と難はあれども、でも決して嫌いじゃないな〜、ってなヤツを幾つか。

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『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』(2007)ニック・ライオン
"Grendel" (2007) Nick Lyon

 見終わって相棒が一言。
「ホモを騙してやろうと思って、こんなジャケにしたんだね」
 とゆーわけで、こんなステキな肉体美は、映画の中では全く拝めません。主人公は確かにこの顔ですけど、衣装は最初から最後までフル装備、ヌードのヌの字も出てきませんでした(笑)。
 まあ、それは横に置いて、内容は叙事詩『ベーオウルフ』のグレンデル退治モノ。ジャケからはB級の臭いがプンプン漂ってきますが、確かにCGはショボショボで、スケール感も皆無。
 でも、ストーリのポイントが、シンプルな英雄譚に絞られているので、肩の凝らないヒロイック・ファンタジーとしては、そこそこ楽しめます。逆に、今どきこーゆーストレートな英雄譚を作ろうとするあたりが、却って新鮮だった。セリフまわしが、いかにもエピック風なそれだったりするのも楽しいし。
 前述のシャツすら脱がないベオウルフも、お顔はレイフ・ファインズから知性を抜いてジェイソン・ステイサムを振りかけた……みたいな、何とも地味で華のないタイプなんですが、それなりに無骨な魅力はあって、なかなか良きかな。フロースガール王は、ベン・クロス。あたしゃ別に、ファンでも何でもありませんが、何故かこのブログに出てくる頻度高し(笑)。
『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』(amazon.co.jp)

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『ゴーストハンター』(2007)マット・コッド
"Lost Colony" (2007) Matt Codd

 宣伝文句はアクション・スペクタクルみたいだけど、実際は地味系の怪異譚モノ。
 十六世紀、イギリスから新大陸アメリカに渡り、ロアノーク島に植民した開拓団177名が、忽然と姿を消してしまった……という、有名な実話(だそうです)を元にした内容。
 ネタの美味しさのわりには調理が下手で、見ながら「そこはもっとこうしろよ〜!」と言いたくなる部分が頻出だったんですが、時代物っぽい雰囲気は、低予算ながらそこそこ出ている感じ。もうちょいマトモな脚本と監督だったら、けっこう佳品になりそうなのに、勿体ないなぁ。
 まあ、こういう奇譚の類ってのは、真相が判らないから魅力的だったりゾクゾクするわけで、種明かしみたいなことをされても、却って魔法が解けて魅力半減、みたいになっちゃうので、いたしかたない部分はあるかも。正直、真相の解釈部分はイマイチだったけど、怪異譚の無情さに微かな救いをプラスした、ストーリーの方向性自体は好みです。
 主人公は、ちょいコリン・ファレル系のヘナチョコ顔で、けっこうタイプ(笑)。コスチュームもヒゲも、よく似合っています。ヒロインは、ヒラリー・スワンク似のブス(失礼)。
 いちおうホラーなので(ちっとも怖くないけど)、残酷系では、生きながらバケモノに手足をもぎ取られたりするシーンはあり。あと、全て着衣ではあるものの、主人公のボンデージと、悪役三人の首枷晒し刑のシーンもあり。
『ゴーストハンター』(amazon.co.jp)

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『ファイティング・アルティメイタム』(2005)ジェシー・ジョンソン
"Pit Fighter" (2005) Jesse V. Johnson

 これはTV映画じゃなくて、DVDスルーの劇場映画みたい。舞台はメキシコ。地下格闘場で闘犬のように闘っている、記憶喪失のアメリカ人ファイターの話です。
 主人公の正体と、フラッシュパックする記憶という謎を軸に、格闘場を主催しているマフィアとのいざこざ、主人公とコーチの間のバディ・ムービー的な関係などを絡め、更に、人種や経済的格差という要素や、宗教的なモチーフなども合わさって、けっこう重層的な面白さがあります。ただ、ラストに向けて、ちょっとさばききれていないのが残念。
 ファイト・シーンも、かなりの迫力。特に斬新という感じではないものの、アクションやバイオレンスの見せ方には、監督のこだわりが感じられる。ただ、これまたラストの銃撃戦がイマイチだったのが残念。
 あと、この監督(脚本も兼任)、ひょっとしたらマカロニ・ウェスタン好きなんじゃないだろうか。話に無理が生じている部分も、これがもしメキシコ革命時代を背景にしていたら、もっとしっくりくる感じだし、前述したバディものっぽい感じとか、破滅の美学を感じさせるエンディングとか、どうもマカロニ・ウェスタンっぽい香り(あんまり詳しくないですけど)があるような。
 主人公役のドミニク・ヴァンデンバーグというお方は、IMDbに”Free Style ‘Full Combat’ champion”とあるので、どうやら総合格闘技系の人らしいんですが、いかにもそんな身体つきの立派な筋肉。脱ぎっぷりも良く、ファイト・シーンを含め上半身裸のシーン多し。顔は、ちょいテレンス・スタンプっぽくて、さほど好みじゃないんですが、マッチョ+ヒゲ+スキンヘッド+タトゥーという合わせ技と、役柄が好みのキャラだったので、好感度がぐぐっとアップ。他の役者も、ヒゲ、強面、マッチョ、刺青……のオンパレードなので、これまたポイント・アップ(笑)。
 そんなこんなで、半裸のマッチョの血まみれ格闘好きなら、けっこう楽しめると思いますよ。
『ファイティング・アルティメイタム』(amazon.co.jp)

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『ドラゴン・スレイヤー 炎の竜と氷の竜』(2008)ピトフ
"Fire & Ice" (2008) Pitof

 同じ監督の『ヴィドック』が好きなので(あと『キャットウーマン』も、実はけっこう好き)ちょっと期待してたんですが、う〜ん、残念ながら「そこそこ」止まり。
 ストーリーは、ありがちな中世風ファンタジーです。炎の竜に襲われる王国を救うため、お転婆なお姫様が伝説の竜退治の勇者を探し、その息子と出会い……ってな内容。
「竜には竜を!」ってことで、炎の竜に対して氷の竜を目覚めさせ、二匹の竜を闘わせる……ってのが、まあオリジナル要素ではあるんですが、それと並行して語られる、王国を狙っている隣国との確執のエピソードが、オリジナリティもなければ面白いわけでもなく、しかも竜のエピソードと乖離しちゃっているのが痛い。
 ただ、SFXは前述の『ブレイブ・レジェンド 伝説の勇士ベオウルフ』なんかと比べると、ずっとちゃんとしているし、スケール感、セット、衣装なども、一定レベルはクリアしているので、全体の雰囲気は決して悪くない。
 そんな感じで、ウェルメイドなファンタジー映画としては、まあそこそこ楽しめる感じ。怪獣映画っぽい楽しさもあるし。
 ヒーロー役のトム・ウィズダムは、『300』でスパルタの青年兵士を演じていた人らしいですが、そう言われなきゃ判りませんでした(笑)。他には、ジョン・リス=デイヴィスやアーノルド・ヴォスルーなんかも出てます。
『ドラゴン・スレイヤー 炎の竜と氷の竜』(amazon.co.jp)