最近良く聴いているCD

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“Świadectwo” Vangelis & Robert Janson
 ポーランド映画のサントラ。前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の生涯を、その腹心であった枢機卿の目を通して描いたドキュメンタリー映画らしいです。
 音楽はヴァンゲリスとロベルト・ヤンソン(ポーランド語の発音が判らないので、表記はテキトーです)の二名がクレジットされていますが、合作しているわけではなく、ヴァンゲリスが3曲、ヤンソンが10曲を、それぞれ提供しています。
 私のお目当てはヴァンゲリスでしたが、3曲とも、メロディアスでロマンティックで荘厳で雄大という、いかにもヴァンゲリスらしい内容。
 新味はないですけど、題材が題材なだけに、メイン・テーマらしき”Sanctus”なんか、いかにも宗教的な法悦を誘発しそうで、その高揚感はかなりのもの。2曲目の”In Aeternitatem”は、荘厳なムードの中に複雑な和声が陰影を与えており、二分足らずの短さなのに聴き応えはバッチリ。3曲目の”Humanum Est”は、ちょっとトラジックな感じ。
 ヤンソンの方は、私は寡聞にして何も知らないんですが、優美でちょっと感傷的なオーケストラ曲。スウィートなピアノや暖かな木管や穏やかなクワイヤによる、美麗なリード・メロディーが良く立っていて、なかなかキャッチーな作風です。ただ、個人的な趣味から言うと、ちょいとムードミュージックやニューエイジ音楽的な「甘さ」や「泣き」が目立ちすぎているので、もう少し渋みが欲しい感じもアリ。
 でも、9曲目の”Triumf”なんか、そういった特徴が実に効果的にハマっていて、実に感動的な一曲だし、メイン・モチーフのピアノのフレーズなんかも、好きな人にはタマラナイ感じではないかと思うので、ジョージ・ウィンストンや久石譲のファンだったらオススメです。
 Amazonとかでは取り扱いがないみたいけれど、サントラ専門店の老舗「すみや」さんで購入可能です。
“Świadectwo” Vangelis & Robert Janson (すみや楽天市場店)

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“Partes Extra Partes” Wim Mertens
 ベルギーの作曲家ウィム・メルテンが、自曲を自身でオーケストレーションしたものを、フレミッシュ・ラジオ・オーケストラが演奏(ピアノ演奏は作曲者本人)しているアルバム。
 80年代、クレプスキュール・レーベルで出会って以来、長年追いかけているお気に入りの作曲家の一人ですが、これまでは多くても室内楽規模のアンサンブルだった彼の作品を、こうしてフル・オーケストラで聴けるとは、何だか感慨深いものがあります。
 全11曲のうち、新曲がどの程度入ってのかは、ちょっと判りませんが(何しろ、前にもちょっと書いたことがあるけれど、とにかく出すアルバムの数が膨大なので、とてもじゃないけど私もコンプしてるわけじゃないんで……)、昔からのファンとしては、”Birds For The Mind”(『建築家の腹』)、”Multiple 12″(『フェルゲッセン』)、”Struggle For Pleasure”、”Close Cover”(『ストラグル・フォー・プレジャー』『建築家の腹』両方に収録)といった、往年の名曲がオーケストラ版で聴けるのが、とにかく嬉しい。
 最近作からも、”Often A Bird”(『Jardin Clos』)、”Yes, I Never Did”、”To Ovey”(『To Fill In The Blank』あ〜、これ持ってねェや……)、なんかが、オーケストラ用に編曲されて入ってます。
 全体的には、選曲演奏共に、彼の持ち味の一つである、憂いのある叙情性が前面に出ている感じ。もう一つの持ち味である、ミニマル的なタイト感は、あまりなし。
 というわけで、新星堂のオーマガトキ・レーベルや、ビクターから出ていたクレプスキュールの日本盤、ピーター・グリーナウェイの映画『建築家の腹』のサントラなんかで、彼の音楽が好きだった……てな人には、文句なしにオススメできる内容です。
 因みに、試聴はここでできます。
“Partes Extra Partes” Wim Mertens (amazon.co.jp)

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“Jules Verne’s Master Of The World” + “Goliath And The Barbarians” Les Baxter
 1961年の映画『空飛ぶ戦闘艦』(未見)のサントラ。作曲はレス・バクスター。
 私は、レス・バクスターが大好きなので、とにかくその名前さえあれば、何でもかんでも買っちゃうんですが、実はこのサントラ盤、2 in 1の二枚組でして、そのカップリング作が、なななな何と去年ここで「できればそっちの方も復刻して欲しいな〜」と書いた、『鉄腕ゴライアス 蛮族の恐怖』のアメリカ公開版サントラなのだ!
 で、早速『ゴライアス』の方から聴いてみた。おぉ、メインタイトル「ゴライアスのマーチ」には聞き覚えがあるぞ。これ、何か他のソード&サンダル映画でも、使われていなかったか? 愛のテーマ「ランダ」は、バクスターお得意のエキゾな香りが漂う、ムーディーでロマンティックな美曲。
 その他、いかにもエピックらしきムードの数々で責めてくるんですが、う〜ん、ちょい重厚さに欠けるかな、というのが正直なところ。ハッタリ不足というか。バクスターの音楽の「軽やかさ」や「キャッチーさ」が、ちょい裏目に出ているような。
 エキゾ味とか主題の変奏とか、独立した音楽としては、面白いし聴き応えもあるんですけど、モンドやムードミュージック的な「楽しさ」には欠けるので、劇伴としてもイージーリスニングとしても、虻蜂取らずになってしまっている感あり。
 一方の『空飛ぶ戦闘艦』の方は、にぎにぎしくも楽しいモダニズムが横溢しているので、イージーリスニング的に聴いていても、優美なワルツ、コメディ調にエキゾをまぶした楽しさ、スピーディーで軽やかな展開、ラウンジ調のピアノ……等々、実にヨロシイ。バクスターのオリジナル・アルバムと比較しても、全く遜色のない出来映えかと。
 というわけで、ラウンジ系好きには大いにオススメしたいところなんですが、私は、前述のすみやで購入したんですけど、残念ながら既に売り切れになってます。調べてみたところ、プレス数1000枚の限定版で、メーカーでも発売後数時間で完売してしまったんだそうな。

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“Collected” 10cc
 ポップ・グループ10ccの三枚組ベスト盤。三枚目には、ゴドレイ&クレーム(10ccから脱退したメンバー二人による、音楽や映像のマルチメディア・ユニット)などの作品も収録。
 え〜、10ccというと、ガキの頃に結構好きでして(ご多分に漏れず、名曲「アイム・ノット・イン・ラブ」でトリコになったクチ)、CDになってからも、『オリジナル・サウンドトラック』『びっくり電話』『愛ゆえに』の三枚は買い直しているし、このベスト盤も買ってます。
 それが何で、また別のベスト盤を買ったかというと、女優ファラ・フォーセットの訃報を聞いたせいでして。
 この逝去を知って最初に思ったのが、「あ〜、そういや彼女主演の映画『サンバーン』の主題歌、大好きだったんだよな〜」ということでした。実は、映画自体は未見なんですけど、主題歌だけ、昔ラジオで放送されたのをエアチェックしてまして(そのときに10CCの曲だというアナウンスがあった)、そのカセットテープを何度も聴いてたんです。
 でも、映画を見ていないもんだから、サントラ盤は買わずにいたら、けっきょく入手しそびれてしまい、欲しくなったときには、もう後の祭り。後に、CDになってないかな〜、と、何度か探したものの、結局発見できず。
 で、訃報を聞いて、ふとそんなことを思い出して、ダメモトでまた探してみたら……な、何と、去年発売された、この3枚組ベストに、グラハム・グールドマン名義で『サンバーン』の主題歌が収録されているという情報が! もう、喜びに躍り上がって即注文した……って次第です。
 というわけで、届いてから早速再生。
 大学を卒業して実家を出た際、カセットテープは皆処分してしまったし、CDを探し始めてからも、同じくらい経過しているので、20年越しの念願叶っての再会というわけで……うう、もう感涙。
 というわけで、もし私同様に『サンバーン』の主題歌を探しているという人がいらした場合、「これに入ってますよ〜!」という情報提供ということで(笑)。
“Collected” 10cc (amazon.co.jp)