つれづれ

 締め切りが重なっていた仕事が、先週末に全て無事終了しました。
 月産枚数的としては、別にキツくもなんともなく、逆に楽なくらいの分量だったんですが、Aの締め切りの二日後がBの締め切り……ってな塩梅だったのと、合間にマンガ以外の用件も入っていたせいで、頭の切り替えとかペース配分が、ちょっと難しかった感じ。
 おかげで、実作業以上に「終わった〜!」感が強い。よく考えると、仕事量としては、大したことないんだけど(笑)。

 で、その締め切り明けと前後して、”Gay Pride Sale! Top 10 Deals of the Week”という件名のメールが来ました。
 パッと見、よくあるエロ系の迷惑メールみたいですが、実はそうではなく、アメリカの大手旅行会社ORBITZのメルマガです。
 中身を見ると、「トロントのゲイ・フレンドリーなホテル、30%OFF。トロント映画祭をプラス・アルファでエンジョイしましょう!」とか、「トラベル・オークションを利用すれば、国際便が40%以上OFFになります。収益はLGBTチャリティに寄付されます」とか、「フォート・ローダーデール(何でも『アメリカのベニス』なんですって)とプエルト・バジャルタ(メキシコのリゾート地だそうな)でゲイ・リゾート。5泊以上で100ドルOFF、2泊でも10%OFF!」とか、「スタイリッシュでラグジュアリーでカルチャーでアドベンチャーなゲイ・ツアー、50ドルOFF!」とかいった惹句と一緒に、キャンペーン商品へのリンクが並んでおります。
 で、これを見ていたら、前にも何度か書いたような、「ゲイの存在が日常化した結果、目に見えるオーバーグラウンドな形としてのゲイ・マーケットが確立し、それが一般企業にとっても、収益およびパブリック・イメージの両方において、プラスになると判断されている状況」の、格好のサンプルだなぁ、なんて思い、ちょっと紹介してみました。
 日本でも、JTBとかHISから、こーゆーキャンペーン・メールが来たら、楽しいのにね。
 周囲を見ると、クラブ・イベントで東京や大阪や北海道や博多なんかを頻繁に行き来していたり、定期的に沖縄に行ったりしているゲイがけっこういるので、ビジネスの可能性としては、決してないわけではなさそう。ただ、そういった「ゲイ向け商品」を堂々と買える層が、果たしてどれだけ存在するのか……というのが、毎度ながらネックになるだろうけど。
 あ、でも大手旅行会社という括りを外せば、日本でもこことかここみたいな、ゲイ向けの旅行業そのものは存在します。

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 映画は、DVDで『アンダーワールド ビギンズ』を鑑賞。
 吸血鬼と狼男の抗争を描いた『アンダーワールド』シリーズの、れっきとした正統の3作目……なんだけど、ジャケが何だか、レンタル屋に大量に並んでいるバッタモンみたい(笑)。
 1作目は、アイデアや世界設定の背景描写や凝った美術なんかが良くて、けっこうお気に入りでした。対して2作目は、そういった特徴があまり見られず、良くある大味なアクション・アドベンチャーといった感じで、イマイチ好きになれなかったんですけど、この3作目は、内容的には時間を遡り、1作目のプリクエル。
 つまり、1作目で私が魅力を感じていた部分を、クローズアップして膨らませた内容なので、かなり満足しました。ただ、「美人でカッコいいオネエチャンがスタイリッシュに戦うアクション映画」としてのファンにとっては、映画の設定が中世ヨーロッパなのでガン・アクションはないし、ストーリーの主眼が狼男側にあるので、ヒロインがちょいサブ的な存在になっているから、イマイチかも知れません。
 で、これって、いわばホラー風味のダーク・ファンタジーなわけですが、ストーリーとしては「奴隷の反乱」と「種族を越えた禁断の恋」なので、実は吸血鬼と狼男という設定を使わないでも、充分に成り立つ内容ではあります。じっさい、DVD収録のメイキングでも、監督が「『スパルタカス』+『ロミオとジュリエット』」とか言ってましたし。
 というわけで、設定の必然性という意味では、この映画単品で考えると苦しいんですけど、まあ、シリーズものなので、そこいらへんも気にはなりません。

 話そのものは良くできていて、シリーズを見ている人間には、結末がどうなるかは既に判っているんですけど、それを「どう持って行くか?」という点で、最後まで興味を削がない筋運びは、なかなか佳良です。スケール感はさほどありませんが、それでも、こぢんまりした範囲内で必要充分なものだけを描くという、全体的にタイトな構成が小気味よく、エピック・アドベンチャーとしては手堅い出来映え。
 美術は、これはもう大健闘。それほど大予算ではないみたいですが、それでここまでしっかり見せてくれるとは。美しさと説得力の両方を兼ね備えた、文句なしの出来映え。で、メイキング見ていたら、美術監督の顔に見覚えが……『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの人でしたか、ナルホド(笑)。
 訳者さんも、いずれも佳良。シリーズ通して、ちゃんと同じ役を同じ人が演じているのは、やっぱりいいですね。シリーズを見てきた人間にとっては、「あ、あいつがこんなところに!」ってなサービスもある。メイン・キャラの内面描写が掘り下げられて、キャラクター像に深みが出ているのもヨロシイ。
 メイン・キャラの新顔、新ヒロインのロナ・ミトゥラは、前にTV版『スパルタカス』のときに好印象でしたが、今回も同様の感想。ただ、役の上で「前2作のヒロイン(を演じていたケイト・ベッキンセール)に似ている」という設定で、確かに雰囲気は似ているんだけど、個人的にはケイト・ベッキンセールよりも、Gacktに似てるな〜、と思いました(笑)。

 さて、嬉しいことにこの映画、やましい部分のお楽しみ(笑)も、ちゃんとありました。
 まず、映画の設定で、この時代、狼男は奴隷にされてるんですが、狼に変身できないように「内側に銀の鋲が突き出た首輪をされた、髭筋肉長髪濃度濃いめの薄汚い野郎ども」なんですな。で、それが貴族的な吸血鬼にこき使われている。
 ……はい、個人的なフェチアイテムと設定系のSM好き心を、何個もまとめてクリア(笑)。
 で、責め場もあります。主人公の鞭打ち。それも2回。
 1回目は、ウィッピング・ポストに両手を拡げて縛られ、上半身裸の背中を、鉤付きの長鞭でフロッギング。もちろん、背中はズタズタに裂けちゃいます。簡単には死なない狼男という設定を上手く使った、ナイス責め場(笑)。
 2回目は、床に跪かされ、両腕を鎖に繋がれて立ち上がれない状態で、やはり背中をフロッギング。ここではシャツを着てるんですが、鞭打たれてちゃんと破けるのでご安心(笑)あれ。
 まあ、主人公の身体自体は、マッチョと呼ぶには細いんですけど、でもちゃんと撮影用に鍛えてはいるので、ナチュラルな感じの筋肉美はあります。とにかく筋肉量が欲しい御用向きには、1作目にも出ていたサブキャラの黒人さんがスゴい身体なので、そちらをオススメしませう(笑)。
 あとは、狼男なんで、変身が解けて人間の姿に戻ったときには、服は破けてスッポンポンになっているわけで、男のフルヌードが何度も出てきますし(ズボンや下着だけ破け残る……なんて、無粋なこともゴザイマセン)、奴隷なんで、鎖に繋がれてたり牢に入れられてたりするし、人間の姿のまま、けっこうエグめに惨殺されていったりもしますんで、ソッチ系目当てでも、けっこうオススメできる内容でした(笑)。
『アンダーワールド ビギンズ』(amazon.co.jp)