前回、新作ロシア版映画のDVDについて書きましたが、それとは別に、これは全くの偶然なんですが、音楽でも最近『隊長ブーリバ』絡みのCDを続けて二枚入手したので、以前から持っていたもう一枚と併せてご紹介しませう。
フランツ・ワックスマンの『隊長ブーリバ』
『隊長ブーリバ/OST』フランツ・ワックスマン |
ユル・ブリンナー主演映画のサウンドトラック。ずっと廃盤状態で入手できずにいたところ、つい先日、リイシューCDが発売されたので、大喜びで購入したばっか。
映画自体、ときおり「ミュージカルですか?」ってな感じがするくらい、音楽の比重が大きい作品なので、当然のごとくサントラも大充実。音楽で映像を饒舌かつ明快に彩ってくる、昔の劇伴の見本みたいな内容。
中でも、この映画一番の見所(だと個人的に思っている)シーンで使われている「ドウブノへの騎行」(この曲自体は、前にここで紹介したオムニバスCDにも入っていましたが)は、やっぱり良いなぁ。ただ、私はワックスマンの音楽だと、その優美さに特に惹かれる(『フランケンシュタインの花嫁』の「創造」とか、『レベッカ』の「メイン・タイトル」とか)んですが、この『隊長ブーリバ』の場合は、そういった要素があまり感じられないのは残念。
このCD、限定1000枚のプレスなので、欲しい方はお早めに。アマゾンでは扱っていないので、リンク先はサントラ専門店すみや楽天市場店です。
レインゴリト・グリエールの『バレエ組曲 タラス・ブーリバ』
Gliere: Taras Bulba/Stankovych: Rasputin |
先日ここで書いたように、グリエールが気に入ったのでイロイロと漁っていたら見つけたCD。早速注文したら、それ以前に注文した他のヤツより先に届いちゃいました(笑)。
先日の映画は、ゴーゴリ生誕200周年でしたが、このバレエ曲は、没後100年記念に作曲されたものらしいです。次に紹介するヤナーチェクと比べるとかなり軽いですが、キャッチーなメロディーラインとカラフルなオーケストレーションが楽しめるのは、先日の『青銅の騎士』と同じ。
民族風味は満載で、中でも、哀愁メロディの第五曲「広大なるウクライナの草原」とか、いかにもな感じの第九曲「ザバロジエ人の踊り」なんかがお気に入り。ただ、ある種の通俗性があるので、好きな人は好き、駄目な人は駄目、と、ハッキリ分かれそう。
カップリングは、イーヴェン・スタンコヴィチの『バレエ組曲 ラスプーチン』。初耳の作曲家(1942年生まれなので現代の人)ですが、これはけっこう拾い物。
現代的な和声を用いた不穏な雰囲気の中に、パッと印象的なメロディが登場する第一曲、ブカブカ鳴る金管に木管の速いフレーズが絡み、打楽器が打ち鳴らされ、一瞬雄叫びみたいなコーラスまで飛び出すという、まるでチェンバー・ロックみたいな第二曲、うって変わって美麗で雄大な第三曲、恐ろしげだけど感動的な第四曲……と、全曲かなり聴き応えあり。
レオシュ・ヤナーチェクの『交響的狂詩曲 タラス・ブーリバ』
ヤナーチェク:シンフォニエッタ/タラス・ブーリバ |
これは以前から持っていたヤツ。カップリングは(っつーかメインは)『シンフォニエッタ』で、演奏はノイマン/チェコフィル。
第一曲のロマンティックとダイナミックの対比、第三曲の民族味とコーダ部分の鐘と金管(ここは何度聴いても感動する)なんかが、それぞれ特に大好きポイント。第二曲は、静かなイントロが一転してテンポアップするところなんかは好きなんですが、最後がちょっと戯画的に過ぎる感じがするのが、個人的なマイナスポイント(って何を偉そうに)。
主要登場人物三名の、それぞれの死の情景に絡めて作曲されているので、キャラクター性やストーリーを把握したうえで聴くと、なおさら興味深いです。
因みに『シンフォニエッタ』の方は、(おそらく)ご多分に漏れず、あのファンファーレが大好きなので、やっぱ第一楽章(もう「おぉ〜、かっちょええ〜!」の一言)と第五楽章(後半で「待ってました〜!」って気分に)がたまりませぬ(笑)。優美さでスリリングさをサンドイッチしたみたいな第三楽章も好きだけど、同じ「好き」でも、その度合いはかなり違うかなぁ。第三楽章が「好き」なら、第一楽章は「チョー好き」ってカンジ(笑)