最近、オランダ生まれの現代音楽家、シメオン・テン・ホルトの「カント・オスティナート」という曲がお気に入りで、良く聴いています。
どんな曲かというと、叙情的で美しいミニマル・ミュージックといった感じ。
ホルトは、1923年生まれで、ダリウス・ミヨーやアルテュール・オネゲルに師事したというので、世代的には、フィリップ・グラスやスティーブ・ライヒよりは上なんですが、70年代にミニマル・ミュージックに影響を受け、この「カント・オスティナート」のような作風に変化したとのこと。
というわけで、フレーズの反復という意味では、確かにミニマル・ミュージックなんですが、曲自体の印象は、ロジカルでゴリゴリのミニマリズムというわけでもなく、どちらかというと、マイケル・ナイマンやウィム・メルテンのピアノ曲のような叙情性が前面に出ている感じで、ポスト・ミニマル世代の音楽に近いような感じがします。
いささか乱暴に表現しますと、ライヒとナイマンの中間的な味わい、といったところでしょうか。
私が購入して、最近ヘビーローテーションなCDは、以下の二枚。
Simeon Ten Holt “Canto Ostinato” <2台(4手)ピアノ版> |
何でもオランダでベストセラーになったアルバムだそうで、確かに、中盤以降のナイマンの「ピアノ・レッスン」なんかを思い出させるセンチメンタルな旋律なんかは、かなり広い層にアピールできそうなキャッチーさを感じます。
そのパートが、こちら。
曲の序盤は、ここまで感傷的ではなく、もうちょっとタイトな感じで始まります。
繰り返されるシンプルなフレーズは、まるでさざ波のように拡がっていき、そこに音の強弱によるダイナミズムなどが加わって大きなうねりとなり、反復のもたらす酩酊的な快感と叙情的な美しさが一体化して、曲全体がたゆとうような美しさに包まれる。
美麗なピアノ曲として聴いても良し、アンビエントやニューエイジ的に愉しんでも良し。静かで美しい曲が好きな方にはオススメの好盤。
もう一枚は、こちら。
Simeon Ten Holt “Canto Ostinato” <ハープ独奏版> |
曲は同じなんですが、ピアノに比べて音の残響が長いことと、音の強弱によるダイナミズムが弱いこともあって、こちらの方がより静かで内省的な印象を受けます。
また、ハープの音色が典雅なせいか、何だか、古代の秘教儀式で奏でられる音楽ってこんな感じかしらん、みたいな神秘性も感じられたりして、アンビエントや瞑想的に愉しむのなら、こっちのハープ版の方が良いかも知れません。
ハープ版のサンプルは、こちら。
ダンス・パフォーマンスの映像ですが、音楽が「カント・オスティナート(ハープ版)」なので、ピアノ版との雰囲気の違いは掴めるかと。
どちらにせよ、美麗なことに変わりはないので、「夢見るみたいにキレイな音楽を聴きたい!」という方は、ぜひお試しあれ。