ゴードン・スコット主演のターザン映画のDVD(アメリカ盤)が届いたので、ご紹介。
ラインナップは、以下の6本。
『ターザンと隠された密林 Tarzan’s Hidden Jungle』(1955)
『ターザンと消えた探検家 Tarzan and the Lost Safari』(1957)
『Tarzan and the Trappers』(1958)
『ターザンの激闘 Tarzan’s Fight for Life』(1958)
『ターザンの決闘 Tarzan’s Greatest Adventure』(1959)
『ターザン大いに怒る Tarzan the Magnificent』(1960)
前に紹介した、レックス・バーカー版DVDと同様に、今回もワーナー・アーカイブ・コレクションというオンデマンド・サービスによるもの。
というわけで、やはり、ジャケは簡素なプリンタ出力、ディスクはDVD-R、メニューはシンプル、チャプターは10分刻みの機械的なもののみ、字幕や音声切り替え等はなし。
ただし、これまたやっぱり、画質は充分以上のクオリティ。オンデマンド・サービスとはいえ、流石に正規盤だけあって、良くあるPDの安価な商品とは雲泥の差。ワイド画面作品は、ちゃんとスクイーズ収録で、退色やディテールのツブレといった劣化は、ほぼ見られず。
どのくらいちゃんとした画質か、サンプルを原寸解像度のキャプチャ画像でお見せしませう。
んでもって、これまた例によって、米ワーナーのサイトからの直接購入は不可能。メーカーから直で買えば、6本パックなら50%offのサービスがあるのに、残念ながらそれは使えず、米アマゾンで割引なしで買うしかなし。
というわけで、とりあえず二本鑑賞しました。
まず、『ターザンと消えた探検家 Tarzan and the Lost Safari』から。
これは何でも、ターザン映画史上初の、ワイドスクリーン&総天然色作品だそうです。というわけで、ゴードン・スコット君はターザン役なので、シャツを着てるシーンなんか一秒たりともなく、徹頭徹尾腰布一丁の半裸でゴザイまして、その滑らかな筋肉や艶やかな肌が、美麗なカラーでたっぷり拝めます。
いや、これ以前の白黒版と比べると、カラーのターザンは何だかなまめかしいなぁ(笑)。
ヘラクレスとかを演ると、ちょい筋量が足りない感じがしちゃうスコット君ですが、ワイズミューラーやバーカーと比べると、やっぱ腕とか太いですね。アスリート系とビルダー系の中間で、ビーフケーキって感じ。
話の方は、いたってシンプル。
ジャングルに墜落した飛行機の乗客が、蛮族に追われながら脱出するのを、ターザンが助ける……ってな内容なんですが、この脱出行、ビックリするくらいマッタリ模様(笑)。危機また危機でスリルとサスペンスがテンコモリかと思いきや、さしたるビッグ・トラブルもなく、ゾウやらカバやらキリンやらを見物しながら、まるでアフリカ観光旅行ハイキングみたいなノンビリさ加減。
人間ドラマも、いちおう悪党がいたりとかもするんですが、メインに描かれるのは、そういった極限状態のヒリヒリ系ではなく、パイロットの夫と不仲だったヒロインが、自分たちを助けてくれた逞しい裸の男に心惹かれてしまい……ってな、ヨロメキ不倫劇だったりするし(笑)。
まあ、現代の目で見てしまうと、何ともノンビリとした映画に見えますが、1950年代だったら、総天然色の大画面で、アフリカの風物とか原住民の踊りなんかを見るだけでも、充分スペクタキュラーで、立派に映画の「売り」になったんでしょうね、きっと。
前述したように、スコット君のヌードはふんだんに拝めますが、責め場はなし。
お次は、『ターザンの激闘 Tarzan’s Fight for Life』。
これは、『消えた探検家』と比べると、ドラマはもうちょっと複雑だし、起伏もあります。
舞台は、ジャングルにある白人医師の診療所。呪術医療に頼る原住民を、近代医学で救おうとしているんですが、呪術医はそれが面白くない。村の女が重傷を負って、診療所に運び込まれたものの、呪術医は親族が輸血に行くのを禁じ、そのため女はあえなく死んでしまう。また、若い酋長が病気になり、その母親が呪術医よりも診療所を頼ろうとしていることを知り、激怒する。
一方ターザンは、チータが体温計に悪戯をしたせいで、ジェーンが瀕死の高熱だと思い込んでしまい、ボーイともどもジェーンを診療所に運ぶ。呪術医は、死んでしまった女性の夫に催眠術をかけ、報復としてジェーンを暗殺するよう命令し、更に、自分の威信を取り戻すために、診療所から薬を盗んで若い酋長を治療しようと企むのだが、間違って治療薬ではなく毒薬を盗んでしまう。
ボーイの機転で、ジェーンは危機一髪で救われるのだが、呪術医は既に毒薬を手に若い酋長の元へ向かっていた。それを止めようと、ターザンは後を追うのだが、呪術師の仕組んだ罠に落ちて捕らえられ、牢獄に入れられライオンの餌にされるか、それとも生きたまま心臓をえぐり取られそうになる……! てな感じで、なかなか楽しめるオハナシです。
ボーイが作ったカヌーでジェーンを診療所に運ぼうとすると、途中に滝で行く手を阻まれたりとか、滝を迂回して途中にジェーンが独りになると、そこに危険な大蛇が現れるとか、若い酋長の家来が呪術医に捕まって拷問されているのを、ボーイが発見してターザンが救出するとか、スリルとアクションをマメに盛り込みつつ、かつチータ絡みで笑いもバッチリとゆー感じで、いかにもプログラム・ピクチャー的な、オーソドックスな娯楽感がイッパイ。
んでもって嬉しいことに、責め場もなかなか良くて、こんな感じ。
ターザンは、滝を昇って疲れたところを、敵に襲われ棍棒で殴られて昏倒。そのまま木枠に縛られてジャングルを運ばれた後、二艘のカヌーの間に磔状態で川下り。ここ、絵面的に、かなりグッときます(笑)。ただ、惜しむらくは、カヌーのシーンで縛られているのは、おそらくスコット君ではなくボディ・ダブルの人。この映画、アフリカのロケシーンでは、どうもスコット君ではなくこの代役さんが、全て演じてるっぽいので。
村に着いたターザンは、そのまま首枷横木両手縛りで引き回し。ここもまた、グッとくる(笑)。
首枷のまま、ライオンのいる檻に入れられた後は、お約束通り、拘束から逃れるための身悶えという名の筋肉ショー。
直截的な拷問こそないものの、この一連のシークエンスを、けっこう時間もタップリとって見せてくれるので、責め場的な満足度はかなり高し。
もう一ヶ所、若い酋長の家来(若い黒人)が捕まって拷問されるシーンもありますが、これは椅子に縛られて焼いた槍の穂先で脅されるのと、殴打されるのをロングで見せる程度。
マッチョでは、悪役の黒人戦士が、カーク・ダグラス版『スパルタクス』にも出ていたウディ・ストロードという男優さんで、これまたなかなか見事な筋肉を見せてくれます。