ちょっと宣伝、男色ヤクザ漫画描きました

koitohanandesyou
 先日お知らせした、私も参加している、筒井康隆氏の小説を16名の作家がマンガ化したアンソロジー単行本『筒井漫画涜本ふたたび』、本日発売です。
 というわけで、私が担当した「恋とは何でしょう(『男たちの風景』より)」から一コマをご紹介。
 ご覧のように、ゲイのヤクザの話で、濡れ場もアリの内容。

 さて、実は最初に編集の方からこのお話しを伺ったとき、お受けするかどうか、ちょっと迷いました。
 というのも、もし最初から「単なる価値観の違いをネタにする」ような作品を求められているのだとしたら、それはやりたくなかったんですな。自分のマンガが、読者によってネタ的に消費されるのは、それは作者の関わる立場ではないけれど、作者みずから進んで露悪趣味的にネタ的な作品を描くのは、ちょっと私の信義に反するので。
 でも、編集氏から「真っ向からゲイのラブストーリーとして描いて欲しい」(因みにマンガ化する小説は最初からご指定がありました)と伺い、それならば……と、喜んでやらせていただいた次第です。
 結果、この作品は筒井康隆氏の短編小説をマンガ化したものですが、同時に、きちんと100%「ゲイのゲイによるゲイのためのゲイマンガ」にもなったと思います。

 前にも書いたように、小説のマンガ化作品なので、今後、私個人名義のマンガ単行本に収録されることも、まずないと思います。
 つまり、これを逃すと後はない(笑)ので、ぜひお買い求めを!
 因みに、収録作のうちゲイマンガは私の作品だけですが、他の収録作品も、明智抄、いがらしみきお、伊藤伸平、折原みと、雷門獅篭、菊池直恵、鈴木みそ、大地丙太郎、高橋葉介、竹本健治、とり・みき、萩原玲二、畑中純、みずしな孝之、Moo.念平(50音順・敬称略)……と、マンガ好きなら買って損はない、錚々たる顔ぶれです。正直、こんなところに混じっちゃっていいのかしらん、と、ちょっとビクビク気分なくらい。
 あと、私の単行本は本棚に並べられないという方でも、この単行本なら、親兄弟や友だちに見られても、ちっともヤバくないですよ〜(笑)。

筒井漫画涜本ふたたび 筒井漫画涜本ふたたび
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2010-04-09

 さて、ちょっと余談。
 短編集『男たちのかいた絵』は、高校時分に読んだことはあったんですが、拷問され好きなマゾのヤクザの話と、せんずり好きのサドのヤクザの話を覚えていただけで、他の話は忘れちゃっていました。
 で、マンガ化のお話しをいただいて改めて再読するまで、この「恋とは何でしょう」の内容も忘れていたんですが、短編とはいえ文庫で30ページ近くある。でも、マンガは16ページで(最終的にはお願いして18ページで)というお話し。もう、マトモに全部描こうとしたら、どう考えても収まりっこない。
 というわけで、マンガ化するにあたって、原作小説を解体・再構成させていただいております。ストーリーの大筋は同じですし、エピソードやセリフもほぼ原作通りなんですが、全体の構成を「マンガ」と「ゲイ」に併せてアレコレいじくっています。
 この作業、けっこう難儀したんですが、それでもやっていて実に面白かった。メディア翻訳みたいな面白さもあるし、腕試しみたいなやりごたえもあるので。
 原作を未読の方でしたら、読み比べることで二度お楽しみいただけると思うので、興味のある方はぜひお試しあれ。

男たちのかいた絵 (新潮文庫) 男たちのかいた絵 (新潮文庫)
価格:¥ 460(税込)
発売日:1978-10