フランク・フラゼッタ逝去

 本日、起きてPCの電源を入れ、Twitterにアクセスしたところ、ショッキングな訃報がTLを駆け巡っていました。
 2010年5月10日、フランク・フラゼッタ逝去。享年82。
 ……これはマジで、ちょっとヘコむ。

 このブログでも、過去の記事でその名前を、何度も引き合いに出してきていることからお判りのように、自分が中学生の頃、雑誌「スターログ」やムック「SFファンタジア」で知って、その重厚な筋肉描写とパワフルな画風に惹かれて以来、ずっと好きな画家だったもので……。
 フラゼッタは、一種ファンタジー・アートの1ジャンルの創始者的な部分があるので(厳密に言うと、圧倒的な個性と存在感のある作品であるとはいえ、その画風のルーツは、フラゼッタの先輩にあたるロイ・クレンケルの作品に見ることができますし、そこから更に前の世代のアレン・セント・ジョンへと遡ることができるので、別に突然変異的に突如出現したというわけではないのだけれど)、以降、その作風は作家の個性から、一つの様式になってしまったという部分があります。
 よって、その後続の中には、単純に描写力とか技術力という面を取り出すと、元祖フラゼッタを凌駕する技能の作家も大勢いるんですが、それでもフラゼッタの作品の持つ圧倒的な力強さは、そういったフォロワーたちを遙かに凌駕する孤高のものであるように、個人的には思っています。
 そこいらへんについては、以前この記事の中盤でちょっと触れていますので、興味がある方はどうぞ。

 ともあれ、私にとっては大いにリスペクトしている現代の巨匠のお一人でした。
 謹んでご冥福をお祈りいたします。

 さて、フラゼッタを知らないとか、知ってるけど画集とかは持っていないという方には、現在市販されている画集で、”ICON”、”LEGACY”、”TESTAMENT”という三冊があるので、そのどれかから始められるのが良いかと思います。
 個人的には、出版順にまず”ICON”からゲットし、次に”LEGACY”、そして”TESTAMENT”という順番が良いかとは思うんですが、残念ながら”ICON”は現在品切れの模様。とはいえ、三冊とも充実した内容で、収録作品の重複もないので、とりあえず目に付いたものから買われても、特に問題はないです。

Icon: A Retrospective by the Grand Master of Fantastic Art Icon: A Retrospective by the Grand Master of Fantastic Art
価格:¥ 2,953(税込)
発売日:2003-10
Legacy: Selected Paintings and Drawings by Frank Frazetta Legacy: Selected Paintings and Drawings by Frank Frazetta
価格:¥ 2,707(税込)
発売日:2008-04-28
Testament: A Celebration of The Life & Art of Frank Frazetta Testament: A Celebration of The Life & Art of Frank Frazetta
価格:¥ 2,953(税込)
発売日:2008-04-28

 既にフラゼッタのファンだよという方には、よりマニア向けの”ROUGH WORKS”もオススメ。
 A5程度の小振りな画集ですが、アイデア・スケッチ、フィギュアのラフ・ドローイング、構図用のサムネイル、ペン入れ途中の原稿、有名な作品のカラー・ラフなど、他の本では見られないものがぎっしり。カラー・ラフを見ると、フラゼッタの油彩画作品の背景で良く見られる、渦巻くような「もやもや」が、決して偶発的なものによる効果ではなく、ラフの段階から計算されているということが判ったりもします。

Rough Work: Concept Art, Doodles, and Sketchbook Drawings (Spectrum Presents) Rough Work: Concept Art, Doodles, and Sketchbook Drawings (Spectrum Presents)
価格:¥ 1,967(税込)
発売日:2007-09-28

 因みにこれらの画集なんですが、私が持っているのは旧判で表紙デザインとかが違うんですよね。
book_frazetta_all
 欧米では、どうも画集を増刷するという発送がないのか、よくこういった形で表紙もISBNも変えて、でもタイトルとコンテンツだけはそのままの新判を出すようで。
 これ、どういう理由があるんだろう……と、以前からずっと不思議。