『デッドロック2』+”Undisputed III: Redemption”

デッドロックII [DVD] 『デッドロック2』(2006)アイザック・フロレンティーン
“Undisputed II: Last Man Standing” (2006) Isaac Florentine

 プリズン・ファイトもの。
 ウォルター・ヒル監督の2002年作『デッドロック』の続編だそうですが、そちらは未見。500円DVDで出ているようなので買っちゃってもいいような気はするんですが、どうもウェズリー・スナイプス主演ってのが食指が動かなくて(笑)。

 ストーリーは、マフィアが支配するロシアの刑務所で、囚人同士の格闘技賭博が行われていたが、連戦連勝の囚人チャンプのため儲けが下降線。そこでCM撮影に来ていたアメリカ人の元ボクシングヘビー級チャンプを罠にかけて服役させ、囚人チャンプと対戦させようとするのだが……といったもので、このアメリカ人ボクサーが前作に出てきたキャラ(但し俳優は違う)そうです。
 まあ、特に新味はないですが、ジャンルものの娯楽作品としては手堅い造りで、なかなか楽しめる佳品。
 女っ気は潔いほどゼロ。ひたすら野郎ども、それも強面だったりガラが悪かったりむさ苦しかったりという面々が、いがみ合ったり友情を育んだりプライドを競い合ったり……という、男臭〜い世界。
 ストーリーと共にヒーローがちゃんと成長したり、敵役のロシア人チャンプが魅力的だったりするのもマル。主人公の同房の囚人や、謎めいた老人、マフィアのボスとかいった脇キャラも、しっかり立っていて、人間味や意外性といったお約束を上手く使いこなしている印象。
 結果、ドラマにも感情移入しやすいし、細かなエピソードのさばき方も佳良なので、例えお約束のストーリーであっても、最後まで飽きずに見られます。で、そのラストなんか、ちょっとハートウォーミングだったりして、後味が良いのも全体の印象をアップさせていたり。
 格闘技のシーンも、なかなかの迫力。肉体美も堪能できるので、格闘技映画好きやマッチョの裸好き(笑)なら、手堅く楽しめるのではないかと。
 ただ、監獄ものなので、懲罰シーンとか責め場も幾つかあるんだけれど、着衣だったりヘンタイ性がなかったりと、SM目線で楽しめる要素はないのが残念(笑)。

Blu-ray_undisputed3 “Undisputed III: Redemption” (2010) Isaac Florentine

 で、こちらはその続編。
 主人公は、『2』で魅力的だったライバルのロシア人囚人チャンプで、キャラクターも役者も続投。監督とロシアン・マフィアのボスも『2』と同じ。

 今回の舞台は、グルジアの刑務所。主人公はマフィアのボスに連れられ、クロアチア、北朝鮮、コロンビア等々、世界の刑務所から集められたスゴ腕の囚人ファイターたちが、勝者の座=自由の身を駆けて戦う、プリズン・ファイトの世界大会(笑)に出場することになる。
 そこで主人公は、『2』でライバルだったアメリカ人黒人ボクサーを思い出させる男と出会い、何かと衝突しつつ、昼は採掘場で強制労働をさせられ、1日に1時間だけ許されるトレーニング時間を使いながら、トーナメント戦に臨むことになるのだが、実はこの大会には恐ろしく無情な裏があり……といった内容。

 前作同様、この『3』もウェルメイドな仕上がりで、ストーリーの旨味自体は『2』よりは薄めになっているものの、それでも押さえる所はきっちり押さえた、気持ち良く予定調和を楽しませてくれる、軽い娯楽作として手堅い出来映え。
 もちろん今度も、女っ気の欠片もない男ばかりのムッサい世界で、迫力のある格闘シーン&男泣き系のストーリーが繰り広げられます。
 まあ、私にとってこのテの映画は、半分はノンケさんにとってのグラビアアイドルのイメージビデオみたいなもんですから、カワイコチャン(一般的には「人相の悪いマッチョ」と言いますがw)のヌード(とはいえ格闘技の試合ですけどw)だけでも充分に楽しいんですが、実際その試合のアクション描写もけっこう上手。
 何がどうなっているのか、肉体の動きがしっかり判る撮り方で、その上で撮影スピードの変化やカメラアングル等で迫力を出し、ヘンにトゥー・マッチだったりすることもなく、目がチカチカする効果で誤魔化すこともなし。しかも、この『3』は米盤Blu-rayで鑑賞したので、肌ツヤなど肉体美の魅力も倍増といった感じ(笑)。
 キャラ描写やエピソードのさばき方などの手堅さも、前作と同じ。まあ、テンプレと言えばそうなんですけど、上手い具合にノセてくれるので、1時間半というコンパクトな尺できっちり楽しませてくれて、後味もスッキリ。

 まあ、SM目線的に楽しめる責め場がないという残念ポイント(笑)も前作と同じなんですが、今回は、鎖に繋がれての強制労働とか、屈強な野郎どもが反抗の手段を封じられ、しかも騙されて非情な運命を辿る(前作にはなかった「殺される」という要素がある)という、個人的な萌えツボや、プロット自体のSM味が濃くなっているので、そういう点は『2』よりこの『3』のほうが、偏愛ポイントは高かったりします(笑)。