“Aşk Tutulması”

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“Aşk Tutulması” (2008) Murat Şeker
(トルコ盤DVDで鑑賞→amazon.com

 2008年製作のトルコ映画。英語題は”The Goal of My Life”。
 サッカーチームの熱狂的なサポーターの青年と、恋愛にトラウマのあるキャリアウーマンの恋模様を描いた、ロマンチック・コメディ。

 30歳で製薬会社のセールスマンをしているウールは、ハンサムなのにまだ独身で、加えてサッカーチーム、フェネルバチェの熱狂的なサポーター。その熱狂ぶりは、昔ガールフレンドに「チームとあたしとどっちが大事?」と迫られて、チームを選んだほどであり、部屋はグッズで埋め尽くされ、チームの勝利のために様々な変わったジンクスを守っている。
 保険会社のキャリアウーマン、プナルは、ファッションモデルばりの美人だが、29歳でまだ独身。実は過去に恋人に捨てられたトラウマがあり、それも原因してか喘息の発作にも苦しめられている。
 ある日、ウールの運転する車がプナルの車に追突して、この二人は出会う。ウールはプナルの美しさに見とれるが、ある意味で男嫌いになっているプナルはまったく興味なし。しかし、実はウールの母とプナルの母には共通の友人がいて、年頃の息子と娘を持つ二人の母親は、偶然を装って密かに見合いを計画する。しかしプナルは、それをウールの計画だと誤解して「二度と顔を見せないで!」と言い放ってしまう。
 そんなある日、プナルの上司のエロ男が、彼女を騙して夕飯に誘い口説こうとする。プナルは拒絶して立ち去るが、喘息の発作に苦しんでいるところをウールに助けられる。プナルを忘れられないウールは改めて愛を告白し、やがてプナルもそれを受け入れ二人は相思相愛になる。
 こうして目出度く結ばれたかに見える二人だったが、ウールと同じくフェネルバチェのファンだったプナルの父親が、将来の義理の息子と一緒にサッカーの試合を見ようとした際、それがウールの守っているジンクスに触れてしまう。その結果、二人は大喧嘩をしてしまい、二人の婚約も破談。
 じきにウールはそれを悔いて、プナルに赦しを求めるが、プナルは「たかがサッカー」に振り回される男たちの子供っぽさにウンザリ。ウールを拒絶して父親に対しても怒りを爆発させたところ、喘息の発作が起きてそのまま重症化、病院で意識不明の重体になってしまう。
 ウールはプナルを救うため、そして自分が子供から一人前の男になるためにも、フェネルバチェのサポーター仲間に頼んで、一大願掛けをするのだが…といった話。

 まあ、他愛もないと言えば他愛もないロマコメですが、ウールのちょっとイカれた好青年ぶりと、プナルのコケティッシュで溌剌とした魅力もあって、軽く楽しく見られます。
 内容の盛り沢山さという点では、インド映画なんかと同様で、ロマンティックと笑いと人情と涙がテンコモリ。ウールのサッカー狂いのせいで、あちこちでおかしなことになってしまうという部分で笑いをとりながら、それと同時に、何故そんなにフェネルバチェを好きなのかといった理由に、少年時代の父親とのエピソードを絡めて人情味を絡めたり。
 ポップでカラフルな映像や、イタリアン・ポップ風の軽快な劇中歌、コテコテすぎないユーモア感覚も上々。ストーリー的にはもう少し、エピソードにひねりが欲しい感はありますが、人情や泣かせ要素も見せ方がトゥーマッチではないので、全体的に見やすくウェルメイドな印象。テイストとしては、泥臭くないインド映画から歌と踊りを抜いて、更にもうちょいハリウッド映画寄りにした……みたいな感じ。
 後半、ヒロインの生死が危ういという展開にまで至るのは、ちょいとトゥーマッチな感じもあるんですが、サッカーチームの熱狂的なサポーターという要素と、人を愛するというロマンス要素を、《ひたすら捧げる無償の愛》という共通点で重ね合わせて、上手くクライマックスから最後のオチまでを活かしているのが好印象で、さほど鼻白んだ感じにもなりませんでした。
 とはいえ、実は個人的には、とにかくウール役のTolgahan Sayışmanが「カ〜ワイイ !」ので、それだけでもう「全部オッケー!」だったり(笑)。このコを見ているだけでも、一時間半くらい全く苦にならないぞ(笑)。
 キャラクターとしても、ハンサムなんだけどちょっとイカれていて、抜けているところも子供っぽい所もあり、何でもかんでも真っ直ぐで一生懸命で、それが頑張って「男を見せ」て一人前になる……という話なので、もうかなり好みのツボ。かいぐりかいぐりしてやりたい(笑)。

 というわけで、役者の容姿で10点、キャラの魅力でもう10点プラスとなり、個人的には大甘の評価に(笑)。
 でも、罪のないロマンティック・コメディとして、軽く楽しく見られる一本であることは確かです。