“Thickness 3″に英語版『スタンディング・オベーション』掲載

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 アメリカはサンフランシスコを拠点に発行されている、エロティック・コミックのジン(インディペンデント雑誌)”Thickness”の3号に、拙作『スタンディング・オベーション』の英訳版が掲載されました。因みにオリジナルの日本語版は、初出は「バディ」誌で、単行本では『田舎医者/ポチ』に収録されています。

 事の起こりは、エディター氏から本家サイトのメールフォーム経由で「作品を英訳して掲載させてくれないか」という連絡がありまして。で、過去の見本誌を送ってもらったり、お互いの条件をアレコレ詰めたりして、無事掲載に至りました。
 私のマンガは、ネット上では無許可のスキャンレーションが、勝手に海賊翻訳されて(中には翻訳ですらなく、絵から勝手に想像したセリフに差し替えられた、酷いオリジナル・ストーリー版も流布しているとのこと。アメリカ人の友人情報)シェアされている例が多々あるんですが、正式な許可をとってのオフィシャルな英語版は、これが初めてとなります。

 外側のクリアパックを開くと、こんな感じで、中からジン本体と、付録の小冊子が出てきます。
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 収録作品は、センターフォルドのピンナップも含めて全九作。
 私のマンガは、最初は左右反転して開きを他の欧米マンガと合わせたいという話だったんですが、出来れば反転はしないで欲しいと希望したところ、最終的には巻末に逆開きで掲載という形で合意しました。

 エロティック・コミックのジンとはいっても、実はこれゲイものの本というわけではなく、他のマンガは(ピンナップを除いて)皆ヘテロものでした。それも概して、ちょっと奇妙でアングラなテイストで、例えば「ゴキブリを退治してくれた男に、女がビールを振る舞っておスペでいかせてあげる」マンガとか、
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「カブトガニの交尾を見ながら、女が乳首にヒルを付けられ、クリトリスにもヒルを付けて男のアナルを犯し、最終的には膣に入ったザリガニの殻になる」というマンガとか。
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 そんな中、私のマンガもこんな感じに載っているんですが、
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何しろ他が皆、往年の「ガロ」みたいな雰囲気なもんだから、いやまぁ誌面から浮いていること浮いていること(笑)。
 そしてこのジン、実は印刷や製本も自分たちでやっているといて、印刷方法もリソグラフ(プリントゴッコの豪華版みたいなもの)が使われています。
 というわけで、ぶっちゃけディテールの再現性とかは良くないんですが、反面、版画的な存在感やロウファイな猥雑感があって、そこいらへんはなかなかカッコいいテイストに仕上がっています。ちょっと往年の「さぶ」(ザラついた紙に活版印刷でした)に、自分のマンガが載ってたときの味わいなんか思い出したりして。

 編集作業も丁寧で、先方の希望で手書きの擬音を外したデータを渡し、そこに新たに英文の擬音をレタリングしてくれているんですが、配置とか書体とか、かなりオリジナルのテイストを忠実に再現してくれています。ただ、ここは言語感覚の違いの面白さで、例えば勃起したペニスが《ぶるんっ》と頭を振る擬音が、《BOIOIOING》になっていて、つい笑ってしまったり(笑)。
 確か本国アメリカでは、先月にシカゴ(だったかな?)で開催されたインディーズ出版物のフェアで初売りとなったはずですが、流通形態としては日本で言うところの同人誌と同様なので、アマゾンとかでは扱っていません。
 いちおうオフィシャル・サイトでは通販をしていますし、ページ下方には取り扱い書店のリスト(アメリカとカナダだけですけど)がありますので、ご参考までに。