「映画秘宝」2月号に『クリムゾン・ピーク』評を書きました

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 現在発売中の雑誌「映画秘宝」2016年2月号の、特集「『クリムゾン・ピーク』&ギレルモ・デル・トロ ゴシック世界超研究」の中で、来年1月8日から公開のギレルモ・デル・トロ監督の新作『クリムゾン・ピーク』の感想を書かせていただいております。
 大好きなデル・トロ監督作品について文章を書けて、嬉しい限り。予習として、或いは映画鑑賞後に、是非お読みくださいませ!

 古い記事ですが、デル・トロ監督『デビルズ・バックボーン』公開時に書いた感想が、こちら
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『プラネット・ブロブディンナグ』第3話掲載です

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 12月21日発売の「バディ」2月号に、連載マンガ『プラネット・ブロブディンナグ』第3話掲載です。
 謎の惑星に不時着したマッチョ地球人が、デカい熊系宇宙人のペットにされていくという、自分の趣味丸出しのブッ飛び系マンガ。「月刊アクション」で、『弟の夫』というリアルな日常系マンガを描いている反動が、我ながらモロに出てるな〜という感じ(笑)。
 だいたい私は並行連載をしていると、その二作が互いにネガ/ポジじゃないけれど、何らかの対比っぽい関係になるパターンが多いです。で、今は『弟の夫』でテーマ性や情感などを描いているので、ゲイエロマンガの方はひたすら妄想に徹したい気分(笑)。

 それと今月号では、巻頭のカラーの情報ページで、『弟の夫』文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞についても、取り上げていただいております。
 文字量はそんなにないですが、連載経緯や作品の狙い、裏話など、簡単なインタビュー記事が載っていますので、マンガと一緒にそちらもお楽しみいただければと。
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 さて、そんな感じで楽しく描いてはいるんですが、「バディ」誌のリニューアルに伴い、今後『プラネット・ブロブディンナグ』は隔月連載ペースになります。というわけで、明けて2016年1月発売の3月号はお休み、続きは2月発売の4月号に掲載ということになります。
 なにしろ、今月になってから急に聞かされた話なので、最終ページにはいつもの《to be continued…》があるのみで、次号休載とも何とも書いてありませんが、前述のような事情なのでご了解ください。(因みに『バディ』誌の場合、私は自分でタイトルロゴからセリフから全部入れて入稿しているので、急な変更があるとこんな次第になってしまいます)

 隔月連載というのは、製作モチベーションの維持が難しくなるのと、単行本一冊分原稿が溜まるのにも時間が倍かかる……と、自分的には色々と残念なスタイルなんですが、雑誌の事情ということならばいたしかたなし。
 連載を楽しみに追いかけてくださっている読者の方にも、申し訳ないですがご寛恕ください。
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『弟の夫』2巻は1月12日発売&1月23日に渋谷で発売記念サイン会

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 新刊単行本『弟の夫』2巻(アクションコミックス/双葉社)が、2016年1月12日(火)に発売されます。
 つきましては、1月23日(土)に渋谷TSUTAYAさんで、発売記念サイン会を行います。

「田亀源五郎先生 サイン会 決定!」

2016年1月12日(火)『弟の夫』2巻が発売されます。
これを記念して、サイン会を開催させていただきます。
サイン会の詳細は、下記をご覧ください。

■ 『弟の夫』2巻発売記念 田亀源五郎先生 サイン会
■サイン会日時:2016年1月23日(土) 13:00~
■会場:SHIBUYA TSUTAYA B1Fコミック売場
■整理券配布開始日:2016年1月12日(火)10:00~ 
■対象商品:①発売日:2016年1月12日(火) 『弟の夫』2巻(双葉社)

 詳細は下記のリンクでご確認ください。

【コミック】『弟の夫』2巻発売記念、田亀源五郎先生 サイン会決定!!

 それでは、サインペン片手に皆様のお越しをお待ちしております!

英語版単行本”The Contracts of the Fall”発売

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 Bruno Gmünder社から英語版単行本”The Contracts of the Fall”発売されました。
 先日、パリで先行発売サイン会をやりましたが、正式発売日の12月1日も無事に過ぎ、著者見本20冊も無事到着。
 これで英語版単行本は5冊目、Bruno Gmünder社からは4冊目になります。

 同社から過去に出た本と同様に、表2と表4がフラップという折り込みになっていて、それぞれカラーイラストが掲載。
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 開くとこんな感じで、内側にも横位置でイラストが。
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 内側の絵は、日本のゲイ雑誌に発表した過去作の流用(昔フランスで出た画集にも収録済み)ですが、表側の絵はどちらもこの本で初お披露目。
 さきほどの表2の絵は、表題作を描いた完全新作、下の表3の絵は、以前同人誌のゲスト原稿で描いたモノクロ絵を、今回改めて彩色。
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 収録作は、まず表題作である中編『転落の契約』(日本語版は単行本『エンドレス・ゲーム』に収録)
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 短編『ポチ』(日本語版は単行本『田舎医者/ポチ』に収録)
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 短編『Der Fliegende Holländer』(日本語版は単行本『童地獄・父子地獄』に収録)
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 短編『Lover Boy』(日本語版は単行本『田舎医者/ポチ』に収録)
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 何といっても海外版なので完全無修正(このブログではモザイクかけましたが)ですし、サイズも大判(週刊誌サイズよりちょびっと小さいくらい)で迫力ありますし、ここでしか見られないカラーイラストも載ってますし、ぜひ一冊お買い上げを……とオススメしたいところですが、残念ながら日本ではアマゾンでも取り扱いなし。
 なので、「欲しい!」という方は海外アマゾンなどをご利用くださいませ。

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MASSIVEの新作Tシャツ、BIG GYMに入荷

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 米MASSIVEから拙イラストがプリントされた新作Tシャツ”Collared”(首輪)発売。
 今月Bruno Gmünder社から発売された、新刊英語版単行本”The Conracts Of The Fall”に合わせて、表題作(『転落の契約』〜単行本『エンドレス・ゲーム』収録)の主人公、元プロレスラーの焼肉店店主……で奴隷調教されちゃう、玄龍さんの晴れ姿(?)がプリントされたもの。色はグレーとピンクの二色。

 販売はMASSIVEのサイト(商品ページ:グレーピンク)の他、日本国内でもBIG GYMさんに入荷しております(MASSIVE商品インデックスページ)。

 というわけで、例によって着るのに勇気がいるかとは思いますが(笑)、欲しい方はお早めにゲットしてください!

 着用例(笑)。
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 このイラスト、最初「マンガのこのコマの絵を使いたい」とデザイン案が送られてきたんですが、デザインはOKなんだけど肝心の絵が、一部が途切れていて描き足す必要があった&改めて見るとちょっと形の狂いが気になったので、じゃあどうせなら……と、同じ構図で再度このTシャツ用に描き下ろしたものです。
 原画は、先日のパリ個展に持っていき、もう売れちゃいました。因みにもうちょっと下まで描いてあって、ペニスは奴隷らしく××に×××が××っています(笑)。

 おまけ。
 MASSIVEのCollaredを着て、新刊”The Contracts Of The Fall”を持つ、Bruno Gmünder社の皆さん。
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 左がミーシャ、右がシメオンなのは判るけど、真ん中は誰だろう? (^^;)

『弟の夫』が第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞しました

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 第19回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で、『弟の夫』が優秀賞を受賞しました。
 応援してくださった皆様、機会をくださった皆様、その他諸々の皆様、どうもありがとうございます!
 マンガ家の松田洋子先生が寄せてくださった贈賞理由コメントも、実に素敵で読んで思わずジーンと……いつかそういう世の中になって欲しいです。

 やれ、嬉しや♡
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 2巻は来年の1月12日発売ですので、引き続き応援よろしくお願いいたします!

『弟の夫』第14話掲載です。単行本2巻は来年1/12発売!

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 11月25日発売の「月刊アクション」1月号に、連載マンガ『弟の夫』第14話「ラーメン」掲載です。
 この連載を始めてから、「うわ、これ描くの初めて!」という物がけっこうあるんですが、今回のラーメンもそれ。たぶん今までに、自分のマンガでラーメン描いたことなかったと思う(笑)。

 そしてお知らせ。
 今回の扉ページに記載がありますが、『弟の夫』の単行本第2巻、来年の1月12日に発売です!
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 今までもけっこう、「2巻はいつ出ますか?」というお問い合わせも多かったんですが、お待たせしました、これで公式アナウンスです。

 もう一つお知らせ。
「月刊アクション」誌の連載ですが、次号と次々号の二回、お休みさせていただきます。パリ個展のための渡航と単行本の準備作業のタイミングが、ちょうど続けて重なってしまった次第。
 お待たせしてしまうのは申し訳ないんですが、何しろアシスタント等を使わずに一人で月刊連載2本を回し、その合間に他の様々な単発仕事をこなしていると、どうしても作業量の限界というものがありまして……ご寛恕ください。
 とはいえ、2月発売の4月号から連載再開で、1月には単行本2巻の発売、実質何も出ないのは来月12月のみなので、そう長いブランクという感じではないのでは……と(笑)。
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「映画秘宝」1月号《中つ国キャラ総選挙》に参加しています

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 11月21日発売の雑誌「映画秘宝」1月号の特集《中つ国キャラ総選挙》に参加、投票&コメント掲載されております。
 これで一連の秘宝中つ国特集シリーズは最終回(涙)なので、ぜひ一冊お買い上げを!
 あ、もちろんメイン特集の《『スター・ウォーズ』サーガのすべて》も特濃で見逃せませんよ!
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“Mixed Kebab” (2012) Guy Lee Thys

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“Mixed Kebab” (2012) Guy Lee Thys
(英盤DVDで鑑賞→amazon.co.uk、日本のアマゾンでもマーケットプレイスで取り扱いあり)

 2012年のベルギー/トルコ製ゲイ映画。
 アントワープに住むトルコ系クローゼット・ゲイ男性と、フラマン語系ベルギー青年との恋愛を描きながら、それを通じて、同時に社会が抱える様々な問題も描きだすという内容。

 主人公イブラヒムはベルギーで生まれ育ったトルコ系の青年。自分がゲイだと自覚はしているが、それを表に出すことはなく、名前もベルギー風にブラムと名乗っている。パートタイムのウェイターをしながら、裏ではコカインの売人もし、行きつけのダイナーの一人息子、ケヴィンに惹かれている。
 ケヴィンは、ダイナーの主である母親マリアナと二人暮らし。息子がゲイなのを承知しているマリアナは、ブラムがゲイでケヴィンを好きだというのを見抜き、気を利かせて二人を一緒に夜遊びに行かせる。
 ケヴィンはブラムに「男と女とどっちが好き?」と尋ねるが、ブラムは「自分はトルコに親が決めた婚約者がいて、じきに結婚する予定だ」と答える。一方、ブラムの弟で学校から落ちこぼれてストリートギャングになっているフルカンが、マリアナの店に強盗に入る。
 やがてブラムは、婚約者であり従妹でもあるエリフと、結婚の書類を交わすためにトルコへ行くことになる。ブラムは「一緒に行こう」とケヴィンを誘い、一度は「仕事があるから」と断ったケヴィンも、マリアナに後押しされてブラムと一緒にトルコへ行く。
 トルコでは、エリフに恋する地元の若者ユスフが彼女を口説いているが、彼女は男尊女卑のトルコ社会にうんざりしており、ブラムと結婚してベルギーに行くのを望んでいる。トルコに到着したブラムとケヴィンは、一緒にホテルの同じ部屋に宿をとるが、そのホテルはユスフの職場でもあった。
 一方ベルギーでは、チンピラを仕切るルーマニア人ギャングの裏切りによって、フルカンがダイナーの強盗事件について警察の取り調べを受ける。父親に殴られたのと、警察署内でのアクシデントで、顔に傷を作って警察署から出てきたフルカンは、近くのモスクを拠点とするムスリムの男に声を掛けられる。フルカンは誘われるまま男と一緒にモスクに行き、そこでイスラムの教えを受けるうちに、次第にイスラム原理主義へと傾倒していく。
 一方、トルコのブラムとケヴィンは、次第に関係が接近していき、ついにホテルのハマムで結ばれるのだが、それをユスフに見られてしまい……といった内容。

「ケバブ盛り合わせ」というタイトル通り、まぁとにかく盛り沢山な内容。
 ストーリーはこれでもまだ中盤くらいで、ブラムのゲイばれだの、ケヴィンとの関係だの、家族問題だの、マイノリティ問題だの、名誉問題など……と、色々なエピソードが山のように続く。
 それと同時に、ベルギーにおける移民問題とか、その移民というマイノリティの中で、さらにマイノリティ差別があるとか、ムスリム・コミュニティ内での原理派と世俗派の問題とか、ベルギーのトルコ系コミュニティ内での、身内にLGBTがいる家族への差別とか、とにかく盛り沢山な内容。
 で、そういった諸々は実に興味深いんですが、いかんせんそれだけ盛り沢山で、しかし尺は1時間半強なので、どうも1つ1つが点景でしかなく、それを掘り下げていく方向にはいかないのが、少し残念。
 また人間ドラマの方も、《トルコ系ベルギー人でクローゼット・ゲイで女性との結婚も間近だけどベルギー青年に恋をしてアイデンティティの置き場に彷徨いマイノリティ差別にも会っている男》という主人公だけとっても、キャラとしては充分以上に複雑で盛り沢山。
 そこに更に、《常に兄と比較され学校ではレイシストからいじめられストリートギャングになりやがてイスラム原理主義に傾倒する弟》とか、《初子は生後すぐに死んでしまい次の子を長子として大事にしてきたがゲイだと判って受け入れられない父親》とか、とにかく全員、それ一つで映画一本作れそうなくらいキャラ設定が複雑。
 基本的に、描写やディテールで見せるのではなく、ストーリーを追わせるタイプの作りなので、内容自体は面白いし、因果関係などを良く考えてストーリーが作られているのも判るんだけど、前述したような盛り沢山さ故に、どうしても、どれもこれも描き込み不足という気がしてしまう。
 ただ、まったく予定調和的ではないストーリーの結末なども踏まえると、目指しているのはストーリーやドラマを描くことではなく、それらを並べて見せることで、主人公とその周囲の世界の諸相を見せることにありそうな感じ。
 そうなると、もう少しキャラクターを突き放した、高い視点から描いた方が良いと思うんだけど、いかんせん、大きな軸であるゲイ・ロマンス部分が、ここは普通にムーディ&センチメンタル(&エロス)に描かれるので、そこいらへんがぎくしゃくしてくる。

 というわけで、ストーリーは(いささか作りすぎな感はあるものの)面白いし、ちょっとしたエピソードにも背景となる社会問題が盛り込まれ、そんなテンコモリ具合から感じられる意欲は良しですが、それ故からくる、あちこち物足りない部分もあり……という感じの一本。
 とは言え、ゲイ・ロマンスに社会問題をこれだけ盛り込んだゲイ映画というのは、なかなか珍しいと思いますし、ゲイ的な部分でも社会問題的な部分でも、見ていて色々と思わされる部分は多々あるので、テーマやシチュエーションに興味のある方なら、色々と楽しめると思います。

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パリ紀行(2)〜サイン会編

11月7日(土)

 昨夜の疲れもあって朝寝坊。
 朝食は簡単にパンとチーズで。

 昼はオリヴィエも一緒にケヴィンとランチの約束なので、徒歩でマレ地区へ。
 待ち合わせの店が、以前にも行ったことのある中華料理屋だったので、ちょっとげんなり……というのもこの店、値段が安いのはいいんだけど、味が決して良いとは言えないので(笑)。
 そうこうする間に、ケヴィンも到着。昨日のオープニングでも会った、彼の奴隷とそのパピーも一緒。
 この三人の関係がちょっと面白く、この奴隷氏とパピーはそもそも《マスター/飼い犬》という関係のカップルだったところを、ケヴィンがその《マスター》を《奴隷》に目覚めさせてしまった……ということらしい。マンガのネタになりそうである。

 ランチの後、店を変えてコーヒーを飲んでいたら、オリヴィエの携帯にサイン会をする書店から連絡があり、一つ問題が発覚。
 というのも、サイン会の時間は午後三時〜四時半の予定で、フライヤーにもFacebookのイベントページにも、ちゃんとそう表記されている。にも関わらず、書店が何を勘違いしたのか、開始時間を午後二時からと記載した貼り紙を、ショーウィンドウに貼ってしまっていたのだ。
 結果、本来の開始時間までまだ一時間あるというのに、その貼り紙を信じたファンが既に店の前に行列を作っていると。仕方ないのでコーヒーもそこそこに切り上げて、書店へと移動。
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 書店Les Mots a la Boucheに到着。店の前に行列しているファンに「遅くなってゴメンね〜」と声を掛け、店内に入ってサイン会がスタートしたのは、およそ二時半。
 問題の貼り紙。やっぱ「二時から」になっている。むむむ。
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 この書店でサイン会をするのはもう四回目。手順は判っているので、入り口脇にセッティングされたテーブルについて、さくっとサイン会開始。
 スペリング確認用に、各々紙に名前を書いて貰い、本にサインを入れていく。
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 昨日の記事にも書いたように、Bruno Gmünderからの英語版新刊”The Contracts of the Fall”の初売り先行発売(正式発売日は12月1日)なので、やはりそれを購入していく人が一番多い。それ以外は、仏語版だと『軍次』『君よ知るや南の獄』『ウィルトゥース』、英語版だと”Passion”、日本語版だと『弟の夫(1)』持参の人が目立つ感じ。

 シメオンが撮ってくれた、店の外の動画。彼が到着したのは三時以降なので、その頃の光景かな?

Posted by 田亀 源五郎 on 2015年11月12日

 オープニングのときも感じたのだが、過去にフランスでやったイベント時と比べると、非白人や女性ファンの数が増えてきた印象。白人男性が圧倒的多数なのは変わらないのだが、黒人男性やアジア人男性の姿が、過去のイベントよりは明らかに増えており、女性も同様。
 ひょっとしたらこれは、フライヤーがイベント告知のメインであった従来から、最近はFacebookなどSNSメインに変わってきた影響なのかも。つまり情報伝播において、フライヤーだと「置かれている場所(ゲイバー、クラブ、書店など)」というコミュニティへの依存度が高いのに対して、ネットだと、そういったコミュニティの客層がメインという枠がなくなるという可能性。
 もう一つ、若い世代も着実に増加。最初の仏語版が出たのがもう十年前だし、「(悪いとは知りつつ)14歳のときに初めて読んだんです」なんてファンもいたりして、なるほど納得という感じ。作家としては、若いファンが着実に増えているというのは、ありがたい限り。ただ、2010年を最後に、仏語版出版は途絶えてしまっているので、今後どうなるかを考えると、ちょっと見通しが暗い感もあり。

 そうこうする間に、確か60部だか用意してあった”The Contracts of the Fall”は、じきに売り切れ。となると当然、お客さんは店にある別の拙著の在庫を買って、サインを求めるということになるので、ここはかなり申し訳ない気分。
 開始時間が30分早まったにも関わらず、終了の四時半まで、お客さんは全く途切れず。二年前に行ったサイン会より、来てくれたお客さんは明らかに多かった。

 昨日のオープニングに来てくれた人もいれば、昨日は来られなかった知り合いもあり、ネットで交流はあったけれども会うのは初めてという知り合いもあり。というわけで、例によって記念写真を幾つか。

 グラフィック・デザイナーのティエリー・モロー。会うのは今回が初めてだけれど、彼がアール・ゾイやユニヴェル・ゼロの最近のCDジャケなどを手掛けていたこともあり、以前からネットであれこれやりとりしていた仲。
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 ティエリーのお連れさん。
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 アーティスト/モデルのアルチュール・ジレ。
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 名前を失念してしまったのだが、今度Bruno Gmünderから作品集も出るというカメラマン氏。確認しました。カメラマンのJean-Baptiste Huong(ジャン=バティスト・フォン……でいいのかな?)。サイトはこちら
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 そんなこんなで、サイン会は無事終了。
 パリ在住の日本人の友人、ユージ君とその彼氏と待ち合わせて、一緒にお茶をしにいく。同じマレ地区にあるレストラン……なのかな、ステキなパティオで、お茶やお酒が楽しめるお店。
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 入り口の雰囲気からすると、「え、ここ入って大丈夫なの?」「上着必須とかじゃない?」という感じの、なんかえらい高級そうで敷居の高い雰囲気なんだけど、別に追い返されるでもなく、値段がめちゃくちゃ高いでもなく、雰囲気も実に良くて、また行きたい。
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 フォアグラの白味噌添えという、ちょっと不思議なものも頂きました。白味噌に何かを加えた(私は蜂蜜かと思ったけど、ユージ君の彼氏によるとリンゴとのこと)甘い練り味噌という感じのものなんですが、意外なくらい美味しかった。フォアグラと一緒でも良し、パンに塗っても良しという感じ。

 夜はニコラと待ち合わせて、アートショーをやっているというフェティッシュ・バーへ。
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 今回は会えなかった知り合いのアーティスト、フル・マノなんかが参加しているショーで、そこで前にネットで見て気に入っていた、ペルーズ?という人の作品を発見。小品の販売もしていたので、早速購入。
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 するとニコラから、このアーティストは昨日のオープニングにも来ていたと。うわぁ、会えなくて残念!
 再びケヴィン&彼の奴隷とパピーに会ったので、彼らの関係について色々と話を聞く。オリヴィエはSM素養がないので(笑)頓珍漢なことを言うけれど、私は興味津々、あれこれ話して盛り上がる。

 フェティッシュ・バーの後は、ベア・バーに移動。週末の夜ということもあって、路上にも人がいっぱい。
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 しかしいい加減くたびれたし、そろそろ深夜も回りそうな時間だったので、オリヴィエに「先に帰るね」と声を掛けようと思った矢先、ティエリー・モローと再会。さっきはあまりゆっくり話す時間がなかったので、改めていろいろ話し込む。
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 そうこうしていたら、ニコラもやってきて、バーのオーナーであるサンタクロースみたいなおじさんにも紹介してもらう。そんな皆で記念写真。
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 こちらがオーナー氏。なんでもパリのベア界の親玉的な人ですって。
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 いろいろ耳に快い言葉を囁かれ、私はすっかり良い気分になってしまったんですが、囁きながらずっと私の乳首をいじるのはやめて欲しい……ってか変な気分になる(笑)。まぁ私も負けずといじり返しましたが(笑)。

11月8日(日)

 午後三時にギャラリーでお客と会うまではフリーなので、オープニングで知り合いに薦められた、オルセー美術館で開催中の『壮麗と貧窮 1850年代から1910年代までのフランスにおける売春のイメージ展』を見に行く。
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 これは実に面白い展覧会だった。
 洗濯女、街灯の下、劇場など、テーマ別に同シチュエーションの絵を展示し、その背景をテキストで解説。それに時代的な変遷が加わって、展示を見進めていくと、まるで文化人類学の本でも読んでいるみたいな面白さ。マネの「オランピア」やドガの「アブサン」といったお馴染みの名画も、売春というコンテクストが加わると、今までとは全く違って見えてくる。娼館の女たちを描いたドガ他のデッサンの数々とか、娼妓のレズビアニズムに注目したロートレックの諸作とかも、かなり新鮮。バイロスの絵をたくさん見られたのも収穫。
 18禁コーナーではビンテージの立体エロ写真や、サイレント期のポルノ映画の上映もあり。エロ写真にはゲイものも数点展示されていた。このエロ写真も、写真撮影がまだ専門的なことだった時代(セットや状況を作り込んで演出が施されたもの)から、よりカジュアルなものになった時代(好事家が馴染みの娼妓のヌードを撮ったり、乱交パーティ的なものを記録したもの)への変化などを、テキストと現物で解説してくれるので、これまた実に面白い。
 娼館や娼妓の名刺とか、高級娼婦の寝室や身の回り品など、珍しい文物の展示もあり、小さくて瀟洒な鞭もあった。オランピア以降、モチーフとして主張を始めた娼婦の展開には、クィアに通じる要素も感じられたりして、とにかく興味が尽きない展示だったので、会期中にパリに行かれる方にはお薦めです。来年1月17日まで。
 図録には英語版もあったので、迷わず購入。
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 いったんギャラリーに戻って、お客さんの相手をしたり、新規に頼まれた本にサイン。
 それから、カメラマンのパトリック・サルファーティと一緒にお茶。一昨日のオープニングで撮りそびれた記念写真を一緒に。
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 その後、インディーズ・ゲイ・コミック誌”Dokkun”を出しているファブリスと、そのパートナーのヤンと一緒にディナー。
 メニューはラクレット。チーズを溶かして、ジャガイモや生ハムにかけて食べる料理。初めて食べたけど、すごく美味しい。フォンデュよりこっちの方がずっと好きだなぁ。
 美味しい食事と、あれこれお喋りを楽しんだ後、二人とバイバイ。

 深夜近くになってから再びオリヴィエと会い、今回のあれこれや今後のあれこれについてミーティング。
 なかなか良い結果を出せたと、私は満足、彼も上機嫌。

11月9日(月)

 昼頃の飛行機でパリ出立、アムステルダム経由で日本へ。
 今回の渡航は短かったな…と思ったけど、それでも丸々一週間。いつも二週間以上なので、ちょっと感覚がズレているのかも(笑)。