イタリア紀行(3)

6月2日
 フィレンツェ観光スタート。
 まず予定通り、最初にサンタ・マリア・ノヴェッラ教会のツーリスト・インフォメーションへ行き、フィレンツェ・カードを購入。美術館や名所旧跡が予約不要で72時間フリーパス(ただし一ヶ所につき一回のみ)、バスやトラムが無料、市内数カ所にあるフリーWi-Fiスポットの利用も可能になるカード。72ユーロ。
 さっそく買ったその場でアクティベートしてもらい、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のミュージアムへ。
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 続いて堂内も観光。
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 教会前の広場に出て、Wi-Fiが繋がるかどうか実験。
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 前日にホテルで、スマホにフィレンツェ・カードのアプリをインストールして、各名所の営業時間や休館日などを調べて、今日回る場所の目星を付けていたので、まずはサン・マルコ美術館にフラ・アンジェリコを見に行くことにする。
 移動途中にメディチ家礼拝堂があったが、今日は休館日なので場所だけ確認してスルー。

 サン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコを堪能。美しい。
 残念ながら室内は撮影禁止なので、売店で全フレスコ画が収録されているっぽい画集を購入。
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 別室展示のテンペラ画も堪能。こちらは以前、凝った編集の大判輸入画集を購入しているので、ようやく現物が見られたと感激。

 次はバルジェッロ国立博物館へ。ミケランジェロやドナテッロの彫刻を堪能しつつも、こちらも室内撮影禁止。
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 なので、オープンスペースにあった、オケアノスのセクシー彫刻(ジャンボローニャ作)をパチリ。
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 バルジェッロでは、バッチョ・バンディネッリの企画展も開催。彫刻と油彩、どちらも男体表現に奇妙な艶めかしさがあって、不思議と惹かれる。
 売店で売っていたバンディネッリの画集が欲しかったけれど、あまりの大きさと厚さと重さに断念。昔だったら無理してでも買っていたところだけれど、最近は「ま、いいか、帰国してからネットで探そう」とか、つい思ってしまう。

 シニョリーア広場へ移動。セクシーなネプチューンの噴水(バルトロメオ・アンマナーティ作)にご挨拶。
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 そしてヴェッキオ宮殿へ。
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 まずは入り口脇にある、これまたセクシーなヘラクレスとカークスの彫刻(さっき企画展を見たバンディネッリ作)をパチリ。
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 ヴェッキオ宮殿は前に来たときに見ているので、時間がなければスルーしようかとも思っていたけれど、やはり大広間にある、若かりし頃の自分が見て大ショックを受けた《あの彫刻》を再見したかったので入ることにした。
 それがこれ、ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ作、ヘラクレスとディオメデス。
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 やっぱ良いわ〜。帰国してから作者の伊ウィキペディアを見たら、この彫刻について、”permeata di una forte connotazione erotica omosessuale (imbued with a strong erotic homosexual)”と書いてあった。
 この大広間には、他にもステキ彫刻いっぱい。
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 ミケランジェロの「勝利」が色あせて見えるくらい……ってのは、単に私の目がヨコシマなだけだろうが(笑)。
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 その後は、宮殿内部をじっくり堪能。ヘラクレスの間とかがあると、つい歩みも遅く。
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 しかし改めて、壁やら天井やらにヒゲのオッサンのヌードが、至る所に溢れているというのは、つくづく不思議な感じがします。
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 また、ブロンツィーノが壁画を手掛けた部屋にも感心。有名な「愛のアレゴリー」がどうにも好きになれず、自分的にはずっとイマイチな人だったんですが、昨年ニューヨークで、フリック・コレクション収蔵作を見て感心して以来、最近お株が急上昇。
 結果、売店で売っていた画集まで買っちゃったりして(笑)。
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 売店では、こんな絵本も衝動買い。タイトルを訳すと『トスカーナのいたずらっ子』か『茶目っ気のトスカーナ』?
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 シエナにあるフレスコ画に描かれている、この豚(チンタ君)が、同フレスコ画に描かれている当時の生活風俗様々を、豚の視点で面白く解説してくれるというもの。
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 また、ヴェッキオ宮殿ではちょうど、ジャクソン・ポロックの企画展が開催中。場所と作品のミスマッチぶりが興味深い。ポロックがミケランジェロの絵などを模写したデッサンなども展示。この人の描いた具象画って初めて見たかも。

 ヴェッキオ宮殿を出たあと、まだ時間がちょっとありそうだったので、サンタ・クローチェ聖堂へ行くことに。
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 堂内のフレスコ画が美しいけれど、やはり暗い&遠くて良く見えないのが残念。オペラグラスを持ってくるべきだった……と、再び後悔。
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 でも、ミケランジェロのお墓参りはできました。
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 付属ミュージアムでは、再びブロンツィーノに感心。
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 中庭では、Benedetto Robazzaというコンテンポラリー作家の、ダンテ『神曲』をモチーフにした大きなレリーフ連作も展示されていて、これもなかなかの見応え。
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 というところでタイムアップ。
 一日目の観光終了。

6月3日
 まずは、昨日前を通ったメディチ家礼拝堂へ。入り口には既に列ができていたけれど、フィレンツェ・カードを見せると並ぶことなく入場できた。
 内部は一部補修中で足場が組まれている。大理石モザイクの剥落エトセトラを解説しているビデオをちょい見した後、お目当てのミケランジェロの彫刻へ。
 ためすすがめつ眺めつつ、あ〜この角度からの写真を撮りたいけど撮影禁止……と、ちと恨めしい思いに。

 そしてウフィツィ美術館へ移動。
 入り口には長蛇の列。しかしフィレンツェ・カードのおかげで、またもや二分も待たずにするりと入場。
 実は30年前にフィレンツェに来たとき、それは美大主催のヨーロッパの美術館巡りのツアーだったんですが、なんとフィレンツェ滞在がウフィツィ美術館の休館日と重なっており、わざわざ来たのに見られなかったという恨みが。というわけで、私にとっては30年越しのリベンジとなるわけです。
 そんなこんなで、丸一日かけてもいいくらいのペースで、ゆっくりじっくり美術鑑賞。昼食も美術館内のカフェでとりました。
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 でもここも撮影禁止なので、「おっ」と思った作品があっても記録に残せず。残念だな〜と思いつつ、オープンスペースにあった二体のマルシュアス像だけは、どうにも我慢できずにスマホでパシャリ。
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 4〜5時間かけて美術館を堪能した後、ミュージアム・ショップを覗いたら、売られているグッズ類の余りのセンスの酷さに眩暈がする。鉛筆やらハンカチやらTシャツやら、ありとあらゆるものにボッティチェリのビーナスが印刷されていて、いや、こんな世界に誇れるコンテンツを持ちながら、ミュージアム・グッズは安い路上の土産物と大差ないって、ちょっと……と、ウムムな気持ちに。

 ウフィッツィの後は、ヴェッキオ橋を渡ってラ・スペコラへ。Twitterで「フィレンツェだったら、自分はラ・スペコラが好きです」というメンションをいただき、初めて「あ、あれフィレンツェにあるのか、じゃ見に行かなきゃ!」となった次第。
 お目当ては、ここの人体解剖蝋人形なのだが、基本が自然科学博物館なので、蝋人形に辿りつくまでには、とにかく剥製の山、山、山。
 最初のうちは虫の標本だったけれど、やがて世界のありとあらゆる鳥獣の剥製が、陳列ケースにあふれかえった小部屋が、行けども行けども続く。オマケに人はほとんどいない。剥製が嫌いな私には、もう怖すぎ(笑)。
 その最後に、件の蝋人形の展示。学問と芸術と悪趣味の狭間にあるような、なんとも奇っ怪な美。
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 堪能しつつも、いささか毒気に当てられた感じで、ラ・スペコラ退場。

 開館時間中に、もう一ヶ所どっか間に合うかな……と調べたら、ストロッツィ宮殿で開催中の、ポントルモとロッソ・フィオレンティーノの企画展が、遅くまでやっていることが判ったので、それを見に行くことにする。
 二人の師匠でもあるアンドレア・デル・サルトの作品も含め、かたや大胆な作風で好評を博し、メディチ家お抱え絵師としてフィレンツェで名を馳せたポントルモと、かたやサヴォナローラに傾倒して作風も保守的、フィレンツェでは仕事がなく後にフランスで名声を得たロッソという、二人の作品と人生を比較対象させながら展示した内容。
 そういったキュレーション自体は面白く、解説が全て英文併記であったり、子供向けに質問形式で「……ということについて考えてみましょう」といったコーナーが各室にあったりと、展示手法自体は興味深かったんですが、残念ながら作品そのものが、私にはあまりピンと来ず。
 とはいえ何となく、マニエリスムの再評価が今でも進行中なのかな……と思ったり、それと自分の中でのブロンツィーノのお株上昇も重なって、印象深い企画展ではありました。

6月4日
 まずはアカデミア美術館へ。これまた入り口は長蛇の列なれど、フィレンツェ・カードですんなり入場。
 ミケランジェロのダヴィデ像は、展示スペースの効果もあって、流石の神々しさ。当たり前だけど、シニョリーア広場にあるレプリカとは違う。
 また、手前に配置されている「奴隷」の未完成作品群も印象深い。未完というけれど、ひょっとしてこれでOKと思って手を止めたのではないか、などと想像したくなる、モダンな美しさが。これとか、これとか。また、「おそらくミケランジェロ作」のパレストリーナのピエタの、力強い美しさにも感動。
 周囲の絵画、奥の彫刻、上階の中世絵画なども堪能して、美術館を後に。

 お次は考古学博物館へ。
 有名なキメラのブロンズ像は素晴らしかったけれど、他はさほど印象に残らず。また解説文が全て伊語のみなので、墳墓らしきもののレプリカとか、そこからの出土品とかが、どういう背景のものなのかが判らないので、そこいらへんも辛い。

 前二日間ちょっと頑張って回りすぎた疲労と、美術品を見すぎて頭が飽和状態になってきた感もあったので、フィレンツェ観光はこれで早めに切り上げて、後はゆっくりと過ごすことにする。
 明日はピサへ日帰り観光に行きたいので、体力も温存したいし(笑)。

6月5日
 サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から電車に乗ってピサへ。
 ピサ駅に着いたら、こんな看板広告があった(笑)。
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 表示に従ってツーリスト・インフォメーションへ行き、ピサの地図をゲット。散策を兼ねて、歩いて奇跡の広場まで行くことにする。

 途中で立ち寄った、河畔に立つサンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会。とっても小さいけど綺麗。なんか宝石箱みたい。
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 ぶらぶら歩いていくと、屋根の向こうに有名な斜塔が見えてきて、「おっ」と思う。
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 更に進むと視界が開けてドゥオモが見え、「おおっ!」と思う。この瞬間は、ちょっとした感動。
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 そして奇跡の広場に到着。
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 チケットオフィスに行くと、斜塔は別料金でちと高く、それ以外に個別の券と、ドゥオモと洗礼堂、カンポサント、シノピエ美術館、博物館(ただしここだけ閉鎖中)の共通券があったので、共通券だけを買うことにする。斜塔に登るのは大変そうだし(笑)。

 で、私のお目当ては、何と言ってもこの洗礼堂。
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 昔はピサって斜塔しか知らなかったんだけれど、父がピサで撮ってきた写真でこれを見て、「うわスゴい、行きたい!」と思っていたので。
 この洗礼堂の二階から見るドゥオモも、とっても綺麗。
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 ドゥオモと洗礼堂の内外を見た後、カンポサントへ。
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 しかし妙に既視感が……ひょっとしてパゾリーニの『王女メディア』って、一部ここでロケしてた???
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 帰国してから『王女メディア』を再見したら、やっぱそうでした。コリントス王宮の中庭が、ピサの奇跡の広場でロケ。
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 奇跡の広場は観光客で大賑わいだったけれど、カンポサントの中はうって変わって静謐な雰囲気。
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 彫刻に彩られた墓石や剥落したフレスコ画などを眺めながら、暫しの時間旅行気分。
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 シノピエ美術館は、フレスコ画の下絵だけを収めた美術館。ちょうどコンテンポラリー作家の天使をモチーフとした作品とのコラボレーション展示中でした。
 同じ作家の作品で、建物の外に置かれていたものが、こちら。
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 奇跡の広場を後にして、再び街歩きをしながら、騎士団の広場へ。
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 ヴァザーリが手掛けたという、カヴァリエーリ宮殿。
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 快晴で気温もぐんぐん上がり(確か30度超え)、湿気がないから日陰にいる分には過ごしやすいんだけれど、日向を歩くと消耗が激しい感じになってきたので、極力日陰を選びつつ(笑)ぶらぶら散策。
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 夕方の列車でフィレンツェに戻り、明日は再びボローニャへ移動。

イタリア紀行(2)

5月30日
 昼前に電車でボローニャからラヴェンナへ移動。これから約一週間のフリータイムとなるので、あれこれ悩んだあげくラヴェンナとフィレンツェをじっくり楽しむことに。
 普通列車に乗り、一時間ほどでラヴェンナに到着。駅を出て、さて予約したホテルはどこじゃらほいとGoogle Mapを立ち上げ、「スマホ便利ね〜」なんて思っていたら、駅前広場から既にホテルの看板が見えていた(笑)。

 ホテルにチェックインして、昨夜は帰りが遅くてあまり寝ていなかったので、しばし仮眠。
 と、そこにアドリアーノからSMS。個人旅行中に不要な荷物(貰った本とか自分のワークショップ用資料とか)を、彼の家に預かって貰っていたのだが、何とベッドの上にイタリアのガイドブックを忘れているとのこと。あじゃぱ(古い)。まぁ何とでもなるから心配しないでねと返信。
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 夕刻ちょっと前に起きて、街の散策に出掛ける。ホテルのフロントで簡単な地図を貰ったので、それを頼りに旧市街の中心部、ポポロ広場まで行ってみる。
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 こぢんまりと落ち着いた町並みで、人もあまり多すぎず、ぶらぶら散策するにはうってつけ。ちょっと歩いた後、気になる路地に入ってみたら、教会前の居心地の良さそうな広場を見つけたので、そこで一服。
 後で判ったことだが、そこはサン・フランチェスコ聖堂で、すぐ横にはダンテの墓もあり。そうこうしていたら教会の鐘が鳴りはじめ、旅情も抜群。

 それからまた、街をぶらぶら歩き始め、途中あちこち迷子になりながら、ツーリスト・インフォメーションに到着。しかし残念ながら、時間が遅くて既に閉まっていた。
 その近辺にはレストランの類が密集していたので、テキトーなところに入って夕飯をとった後、またぶらぶら歩いて宿に帰る。

5月31日
 今日は本格的にラヴェンナ観光をする予定なので、ホテルで朝食をとった後、まずツーリスト・インフォメーションへ向かう。そこで、より詳細な街の地図や、参考になりそうなパンフレット類をゲット。

 そして最初の目的地、サン・ヴィターレ聖堂へ。すると入り口で、ラヴェンナの見所5ヶ所セットになった入場券を、近くの本屋さんで買えると教えてくれた。

 券をゲットして、再びサン・ヴィターレ聖堂へ。ビザンチン建築は好きなので、入り口からしてワクワク。
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 中に入ると、圧倒的な美しさのモザイク画がお出迎え。
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 聖堂を通り抜けて裏から見たら、建物自体の美しさは、こっち側から見た方が更に良く判る。
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 続けて同じ敷地内にある、ガッラ・プラチーディア廟へ。またもや美麗モザイクがお出迎え。もう、うっとり。
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 同敷地内にある博物館は、改装中か閉じていて見られなかったけれど、ミュージアム・ショップは開いていたので、ちと覗いてみる。すると、ビザンチン・モザイク柄のいい感じのスカーフやトートバッグがあったので、お土産を兼ねて購入。
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 ぶらぶら歩きながら、次はネオニアーノ洗礼堂へ。再び美麗モザイク。
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 すぐ横にドゥオモがあるはずなので、そっちにも回ってみる。本当に気持ちのいい街で、お散歩するにはうってつけ。
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 再びネオニアーノ洗礼堂へ戻り、敷地を通り抜けて、その裏側にあるアルチヴェスコヴィーレ礼拝堂へ。ただしここも改装中。博物館だけ見学。
 博物館を出たら、そろそろお昼時で小腹が空いたので、近くのカフェに入ってサンドイッチなどを注文。

 腹ごしらえ&休憩が終わったところで、今度はサンタ・ポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂へ。
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 中に入ると、またモザイク。荘厳ではあるけれど、後のキリスト教美術のような威圧的な感じはせず、どこか清々しさのようなものが感じられるあたりが、私がビザンチン美術に惹かれる由縁。
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 横の中庭に出てみると、ここがまた気持ちの良い空間だった。
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 お次は、またてくてく歩いて、アリアーニ洗礼堂へ。もう、モザイク三昧。
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 次は、ちょっと離れたところにある、テオドリコ廟へ行ってみることにする。今までは、ラヴェンナの旧市街の中をぐるぐる歩くという感じだったけれど、テオドリコ廟へ行くには駅の反対側に行かなければならない。
 人通りも少なく、昼過ぎのせいか眠ったような静かな町並みを、てくてくと歩いていく。
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 するとその路上に、なんか気になる石垣が。どうやら史跡らしいので、中に入ってみる。
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 中に入ると、気持ちの良い公園。立て看板の説明文を読み、ここがブランカレオーネ城塞という、15世紀の砦跡だと知る。
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 そしてまた歩いて、テオドリコ廟に到着。入場券を買おうとしたら、また他の場所とのセット券もあると聞かされたけれど、そのもう1つの方は、まただいぶ離れたところにあるらしいので、そっちはパスしてここだけの券を買う。
 ただまぁ、てくてく歩いてきたわりには、さほど面白い史跡ではなかった。歴史の知識があれば、また色々と感慨が違うのだろうけれど。
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 さて、テオドリコ廟を見終わったところで、時間がなかったらパスしようかとも思っていた、郊外にあるサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂に、まだ余裕がありそうなので、行ってみることにする。
 そのためには駅まで戻らなければならないのだが、歩き疲れたのと日差しのきつさに、ちょっとげんなりしてきたところだったので、Googleさんにバスで駅まで行くルートを訊いてみる。すると、バスでも徒歩でも変わらず15分程度だったので、だったら歩いていくことに。

 バスの券を買うために、駅前のバス営業所に行ってみると、券は駅構内で販売とのこと。言われて駅に行くと、確かに奥まったところにバスの窓口が。
 そこでサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂行きの往復バス券を買い、乗り場と乗るバスの番号も教えてもらう。

 ローカルバスに15分くらい揺られて、無事にサンタ・ポリナーレ・イン・クラッセ聖堂に到着。
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 中に入ると、またモザイクがお出迎え。しかしここのモザイクは、グリーンが目立つのと動物が多いせいか、何とも愛らしい感じ。
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 遠目に見ると、モザイクとフレスコが混交しているのかと思ったけれど、聖堂内設置の解説モニターを見ると、フレスコに見えていた部分もモザイク。それだけ精緻ということか。

 聖堂前の草地には、コンテンポラリー・アート作品らしき牛の群像が。これまた良きかな。
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 再びバスに乗って、ラヴェンナの街へ戻る。
 時刻は夕刻だけれど、日が暮れるのは夜の八時過ぎなので、まだぜんぜん明るい。
 暗くなるまでホテルで休んで、それから再び夕飯を食べに旧市街へ。

6月1日
 今日はフィレンツェへ移動する日。
 昨日、ボローニャ乗り換えでフィレンツェ行きの、ラヴェンナを正午に出発する列車の券を買っていたので、ホテルをチェックアウトした後、しばらく荷物を預かって貰い、午前中にまた昨日見逃した観光をすることにする。

 まず、ドムス・デイ・タッペーティ・ディ・ピエトラへ。
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 ここのモザイクは建物の内装ではなく、その地下にある。渡り廊下の上から回って見られるようになっており、聖堂のモザイクのような壮麗さはないものの、シンプルな愛らしさがなかなか。
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 続いて、初日に行ったサン・フランチェスコ聖堂の、今度は中を見てみようと向かったが、日曜日のせいかミサか何かをやっており、門外漢が入るのは憚られる。
 そこで、お隣にあるダンテの墓を見学。ちょうど団体ツアーさんとかちあって、大賑わい(笑)。
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 墓の隣の中庭的なスペースが、なかなか良い雰囲気。
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 そうこうしている間にミサも終わった様子なので、サン・フランチェスコ聖堂の中をさっと覗いて、ホテルに戻って荷物をピックアップして、駅へ。

 来たときと同じ普通列車に乗って、ラヴェンナからボローニャへ戻り、そこでイタリア新幹線でフィレンツェへ。乗り継ぎ時間を含めても、全部で二時間程度だったかな?

 約30年ぶりのフィレンツェに到着。
 まず最初に、美術館などがフリーパスになり、しかも予約いらずにもなるという、72時間有効のフィレンツェ・カードなるものを買おうと、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅のツーリスト・インフォメーションへ行こうと思ったが、そこは閉鎖中。
 そこで、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会のツーリスト・インフォメーションに向かうが、一足遅く営業時間が終了。明日の朝になるまで開かないというので、今日のところはカードは諦め、予約しておいた宿に向かう。
 Booking.comとGoogle Mapのおかげで、宿の場所はあっさり見つかり(いやはやまったく便利な世の中になったものだ……)、チェックインして暫し休憩。

 その後、散歩がてらドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂)へ行くことにする。
 30年前の記憶だと、フィレンツェというのはローマとは違い、どこか長閑な雰囲気であったような気がしていたのだが、その頃とはうって変わって、人、人、人。カフェやジェラート屋が至る所に立ち並び、路上には観光客用のお土産や偽ブランド品を売る露天商が。
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 そうは言っても、ドゥオモは記憶に違わぬ美しさ。人が多くないベンチを選んで、そこに座って建物の美しさを堪能。残念ながら洗礼堂は、改装中か何かで丸ごと工事シートに覆われていたけれど。
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 そして、土地勘を掴むために近辺を歩き回った後、適当な店で夕食。
 本格的な観光は明日、まずフィレンツェ・カードをゲットしてから。

イタリア紀行(1)

5月26日
 日本出発。成田から香港乗り継ぎで、翌日ミラノに到着予定。

5月27日
 ミラノ・マルペンサ国際空港に到着。今回参加する、ボローニャのNipPopが手配してくれた女性が出迎えてくれる。
「電車までまだちょっと時間があるので、何かご希望は?」と訊かれたので、とりあえずタバコを吸いたしと返答。すると電車のホームで吸えた。イマドキ珍しい寛容さ。
 マルペンサ・エクスプレスという電車でミラノ中央駅へ。ここでイタリア鉄道AV(アルタヴェロチタ。新幹線みたいなやつ)に乗り換えてボローニャへ行くのだが、またちょっと時間が。
 出迎えてくれた彼女が、「ミラノ中央駅のビュッフェは素敵」と言うので、一緒にそこで軽食をとることに。せっかくイタリアに来たので、カプチーノとパニーニ…にしようと思ったけれど、お腹はあまり空いていなかったのでクロワッサンに変更。
 彼女とは、ボローニャへ向かう電車に乗ったところでバイバイ。

 ボローニャ中央駅に到着。
 出版社Ren Booksのニーノ・ジョルダーノが迎えに来ると言っていたので、ホームに降りてきょろきょろしたけれど見つからず。じゃあ上の階(到着したのは地下のプラットホーム)にいるのかとエスカレーターを上がっていったら、いつの間にか出口に、それもどう見てもメインゲートではない裏口っぽいところに出てしまった。
 はて困ったと思っているところに、ニーノから「今ホームにいるんだけど、もう着いた?」とSMS。こちらも「ごめん、見当たらなかったから上に行ったら、変な出口に出ちゃった」と、そこの写真を添付して返信。スマホ便利(笑)。
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 程なくしてニーノと、彼の友人で今回私が家に泊めて貰うことになっている、映像作家のアドリアーノ・シラヌスがやってくる。ニーノとは「久しぶり〜!」、アドリアーノとは「初めまして、よろしくお願いします!」と、ハグして挨拶。

 アドリアーノの車で彼の家へ。後から判ったことだけれど、駅からはバスで停留所2つ分。歩いても15分かからないくらい。
 アドリアーノの家は、アパートの、あちらで言うところの4階、こちらで言うところの5階にあり、エレベーターなし。ちょっと青くなる(笑)。しかしスーツケースは彼らが運んでくれ、私も喜んでそのサービスをお受けする。
 アドリアーノの家は、整理整頓がきっちりされていて、シンプルだけどものすごく綺麗。長年の私の作品のファンだということで、壁には透明アクリル額に入った、私の作品画像をトレーシングペーパーにプリントしたものが飾られていて、それもとてもおしゃれ。
 夕飯はそこで内輪の食事会で、それまで予定はなしということなので、シャワーを浴びて一眠りさせて貰うことに。
 成田で飛行機に乗ってから、ボローニャ中央駅に到着するまで、乗り継ぎ時間なども含めて、ほぼ24時間が経過。その間ずっと靴を履きっぱなしだったせいもあり、脱いだ靴下がすごく臭い(笑)。

 夕刻。目がさめるとお客さんが。アドリアーノの元彼で、以前は一緒にここに住んでいたという、ボローニャの斜塔近くでレストランをやっているサウロと、そのお母さん。
 しばらくするとお母さんが帰り、入れ替わりにニーノと、そのパートナーで同じくRen Booksスタッフのファビオが到着。面子が揃ったので、ディナー開始。
 まずサウロが調理してくれたパスタを食べ、続いて山盛りの生ハム類とチーズが出てきて、これをピアディーナという薄い円形の、見た目はインドのチャパティに似た焼いた生地に挟んで食べる。
 流石に食の国イタリア、シンプルながらも美味し。
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 幸い皆そこそこ英語を喋るので、あれこれ雑談しながら食事。
 しかしその最中、ニーノから、今回の渡伊に合わせて出版予定だった、イタリア語版『冬の番屋』の単行本が、まだ刷り上がっておらず、印刷屋とも連絡がとれないという話が。だ……大丈夫か?
 食後は定番、エスプレッソ。様々な色のネスプレッソのカプセルを山ほど見せられ、あれこれテイストだかフレーバーだかを説明されるけれど、ナニガナンダカサッパリワカラズなので、テキトーに「一番スタンダードなやつプリーズ」で選んでもらう。

5月28日
 アドリアーノと朝ご飯を食べた後、一緒にバスでマッジョーレ広場へ行き、ニーノと待ち合わせ。
 広場にあるネプチューンの噴水、素敵。制作はジャンボローニャ。
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 ニーノとアドリアーノの案内で、観光開始。
 まず、外壁にパルチザンの遺影が飾られた市庁舎へ。中には図書館やカフェ、展示スペースなどもあり、中央ホールの床がガラス張りになっていて、その下にローマ遺跡があるのが見える。後日、中にも入った。
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 続いて、サン・ペトロニオ聖堂。地獄絵を見ながらアドリアーノが、「あそこに描かれているのが、爆破予告騒ぎを引き起こしたムハンマドの絵だよ」などと教えてくれる。
 ちょっとだけ歩いて、アルキジンナージオ宮(旧ボローニャ大学)へ。世界初の人体解剖が行われたという美しい木造の階段教室や、ロッシーニ『スターバト・マーテル』初演が行われた紋章だらけのホールなどを見学。
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 お次は、サンタ・マリア・デッラ・ヴィータ教会。キリストの死を嘆くテラコッタ群像があるのだが、その表現は15世紀の作品とは思えない驚愕のモダンさ。
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 とは言えゲイ3人組らしく、私「ティルダ・スウィントンに似てない?」、ニーノ「いや、メリル・ストリープに見える」などという戯れ言も飛び出す(笑)。

 そこに、サウロが合流。
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 左から、サウロ、ニーノ、私、アドリアーノ。
 市場らしきところを通り、古い建物の中をモダンな本屋や食品店に改装したオシャレな店などを見つつ、サウロのレストランへ行き昼食。
 せっかくボローニャへ来たので、ボロネーゼ・ソースのパスタ(多分フィトチーネ)を食べる。美味し。
 デザートに頼んだプディングの、カラメル・ソースのあまりの美味しさに、お皿を舐めたくなる衝動をぐっと堪えて、6月6日に出版発表会&サイン会をする予定の、LGBT書店イゴールへ移動。

 店内に入ると、小型犬がもの凄い勢いで吠えまくられる。この犬の名前がイゴール。後で気がついたけど、店の扉には歯を剥き出して吠える彼の写真と一緒に「イゴールは吠えるけど噛みません」という貼り紙があった(笑)。
 じきにイゴールも静かになった店内は、とても綺麗。自分の本や、他の日本人作家の本も陳列。ニーノが店主と打ち合わせをしているのを尻目に、店内をあれこれ物色していたら、アニメ版『風と木の詩』のイタリア版DVDも発見。
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 アドリアーノはここで仕事へ。

 イゴール書店を後にして、今度は明日から拙個展が始まるギャラリー、オノ・アルテへ。
 古い物静かな路地に突然現れる、オシャレなエントランス。複数の展示スペース、バーカウンター、レコード屋などが合わさった施設。
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 私の個展は、地下にあるちょっと洞窟っぽいスペースで。覗いてみたら、展示の準備中。良い雰囲気で、いい感じ。
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 6月7日にNipPopのワークショップを一緒にやる予定の、在ボローニャの日本人マンガ家、市口桂子さんとも、このギャラリーで発対面。ワークショップ用の軽い打ち合わせや、準備伝達事項などをあれこれ。

 オノ・アルテの後は、ニーノの家の前まで行き、そこでファビオに挨拶してから、同じ建物に住んでいるニーノの友人二人(ゲイ男性一人、ヘテロ女性一人)と合流して、どこかの広場に面したレストランのテラス席で4人で夕食。仕事があったファビオは来られず。
 ニーノたちが私のために、イタリア語のメニューを悪戦苦闘して英訳してくれていると(どのくらい悪戦苦闘かというと、野菜は全部『ベジタブル』とまでしか訳してくれず、『いやどんなベジタブルなのさ(笑)』と訊くと、Googleでイメージ検索を始め……といった具合)、店の人があっさり英語のメニューを出してくれて拍子抜け(笑)。
 昨夜はパスタだったので、今度はピザを注文。予想はしていたけれど、デカい。美味しいけど、日本だったら3人前くらいありそう。でも頑張って完食。

 夕食の後は、友人宅でちょっと一服。TVに映っていたラファエラ・カラという女性を、「彼女はイタリアのゲイ・アイコンなんだ」と説明されて、YouTubeで若い頃の映像を見せられる。

 そこで私も、山本リンダ『狙いうち』で対抗(笑)。

 ひとしきり歓談した後、アドリアーノの仕事先へ。例のサウロのレストランを手伝っている。
 仕事が終わるのを待って、アドリアーノ一緒にバスに乗って帰る。

5月29日
 朝。アドリアーノと一緒に朝食をとった後、彼はジムへ。私は昼までフリータイムなので、バスに乗って再びマッジョーレ広場へ。
 広場からそぞろ歩きを兼ねて、まず斜塔へ。いかにも古いわ、けっこうしっかり傾いているわで、けっこう怖い(笑)。
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 斜塔の近くには、先日サウロが教えてくれた、普段は覆われているけれどこの時期だけ公開されているという、聖母子像があるバルコニーなどが。
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 それから、サン・ジャコモ・マッジョーレ教会へ。ボローニャで最も美術品に彩られた13世紀の教会とのことで、確かに内部は絵だらけなのだが、いかんせん暗いわ、絵は高いところにあるので近づいて見られないわで、美術鑑賞をするには不向きな環境。もっともこれは、この教会に限ったことではないけれど。オペラグラスでも持ってくれば良かったな……と、ちと後悔。
 続いてお隣の、サンタ・チェチェリア祈祷堂へ。ここは天井も低くこぢんまりとしたスケールで、堂内も照明で明るいので、三方の壁に描かれた聖チェチェーリアの生涯のフレスコ画を、じっくり堪能できた。BGM的に流れているクラシック声楽も良い雰囲気。撮影は禁止だったので、堂内で売られていた薄いパンフレットを購入。
 祈祷堂から出て、通りとは反対側にちょっと奥に入ると、気持ちの良い中庭が。天気も雰囲気も良く、しばしそこで寛ぐ。
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 通りに戻ると、すぐそこがまた広場。壁の表示を見るとジュゼッペ・ヴェルディ広場とあり、大学が近いのか若者で溢れている。斜め前にはボローニャ歌劇場も。
 ベンチに座って寛いでいると、ニーノからSMS。お昼を一緒に食べようというので、またマッジョーレ広場に引き返し、噴水で待ち合わせ。そこに向かう途中で、高校生くらいの女子集団に「マクドナルドはどこですか?」と道を訊かれる。ゴメン、おじさんはツーリストなんで判らない(笑)。

 ニーノと合流して、近所の店でお昼ご飯。彼と同じ、叩いて平べったく伸ばしたチキンカツ的なものと、チーズのフライを食べてみる。美味しい。
 ここでグッドニュース。先日懸念していた『冬の番屋』イタリア語版、無事に刷り上がってニーノのところに見本が届いたとのこと。サイン会に間に合って良かった(笑)。さっそく一冊貰う。
 ランチが終わったところで、ニーノとはいったんバイバイ。わざわざこのためだけに時間を作ってくれたのかな、ちょっと申し訳ない。
 個展オープニングは、この日の18:00からなので、17:30に直接ギャラリーで待ち合わせることにして、私は観光を続行。さっきの歌劇場のちょっと先に、国立絵画館があるはずなので、また同じ道を引き返してそこへ向かう。
 絵画館はそんな大きくはないけれど、中世からルネッサンス、バロックあたりまでの、なかなか良い作品が揃っているし、人もあまりいないので、ゆっくり美術鑑賞を楽しめた。

 中世絵画。かわいい(笑)。
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 フレスコ画。描きかけなのか、下絵が残っているのが新鮮(……と思っていたら、後日ピサでフレスコ画の下絵だけの美術館に行くわけだが)。
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 このティツァーノの磔刑画は良かった。しばし目が釘付けに。
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 グイド・レーニが充実。
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 グエルチーノも幾つか良い作品があって、いろいろと目の保養に。
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 オノ・アルテ・ギャラリーで、個展のオープニング。
 まずはトークショー的なもの。
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 左から、ラジオ番組のホスト女性、ニーノ、私、通訳の方、NipPopのパオラ。
 話題は色々出たけれど、どちらかというと私個人の作品についてよりも、日本のゲイ文化やゲイマンガ全般に関する質問が多かった。これはこのトークショーに限らず、後日行われたイゴール書店でのトークでも同様。
 事前にメールで質問されていた、イタリア文化からの影響という話で、私がカラヴァッジオやパゾリーニ、グイド・クレパックスなどの名前を挙げていたせいもあって、それ絡みの話題も。パゾリーニの『ソドムの市』をマンガ化しようとは思わないか、なんて質問もあって、同様のことはボローニャ滞在中に何度か訊かれた。
 トークショーが終わると、飲み物が用意されて上階でパーティ。私はサインやら記念撮影に応じていたため、なかなかそっちには参加できず。
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 一段落ついたところで、タバコを吸いに外に出ると、ゲストは路上にも溢れていて、実に賑やか。

 現地のアーティストさんとか、他にも色々な人に紹介されるけれど、いかんせん外国の名前は一発では覚えられない(笑)。

 パーティがひけた後は、ニーノとファビオ他、十人くらいで連れ立って食事に。
 ニーノの説明によると、スペインの居酒屋的な店だそうで、大皿に盛られた料理がドーンと出てきて、それを好きにつまみながらお酒を飲む感じ。ただし私は飲めないので、水ばっか。ここで出てきたブルスケッタが、これまた美味しくて感激。ボウルに山盛りのカルボナーラもすごかった(笑)。
 私のテーブルには、近くにニーノとファビオ、そして日本のマンガとアニメ好きで、去年日本旅行もしたという、レズビアン・カップルが一緒に。英語が堪能でパワフルなヴァレンティーナと、ちょっとシャイなゴリツィア。
 そういう面子なもんだから、自然と話題は日本のアニメとかになり、『セーラームーン』とか『まどマギ』について、熱く語り合う(といっても私は『セーラームーン』には疎いんだけど)という結果に。変な方向で濃い(笑)。

 食事がひけたときには、もう遅い時間。
 バスは動いていないというけれど、ヴァレンティーナが車で送ってくれると。5人で車に乗り込み、まずアドリアーノの家まで行き、先に私だけ降ろしてもらう。
 明日からはしばらくボローニャを離れるので、ニーノたちと「また一週間後にね」とハグしてバイバイ。
 合い鍵を使って家に入ったら、アドリアーノがまだ起きていて、良く眠れるというハーブティーを淹れてくれた。

新単行本『エンドレス・ゲーム』本日発売

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 新単行本『エンドレス・ゲーム』本日発売です。
 とはいえ、先週後半くらいから都内ゲイショップには既に入荷中ですし、ポット出版への先行予約分も発送済み、アマゾンでも発送が始まっている模様なので、既にゲットされた方もいらっしゃるかと。

【書誌情報】
希望小売価格:2,400円+税
ISBN978-4-7808-0207-8 C0979
A5判 / 256ページ /並製・函入

*版元による紹介文
ゲイ・コミックの巨匠にして、世界的なゲイ・エロティック・アーティストである田亀源五郎短編集第五弾。
理想の男性・ケンジに導かれ、自らの快楽を追及していく青年・アキラの物語「エンドレス・ゲーム」。
ホモのサディストに愛人として調教される元プロレスラー・玄龍二郎を描いた「転落の契約」。
中編二作品を収録。

雑誌『バディ』連載をいずれも加筆修正して単行本化。
書き下ろしの「あとがき」も収録しました。

【装丁と造本】
Endless Game
 装丁は、これまでのポット出版からの単行本と同様に、ほぼ無地の外函入り。本を出すと、カラーの表紙絵が出てくるという仕組みです。
Endless Game front coverEndless Game back cover
 今回は収録作品は二作品ということで、収録作品一作ずつのカバー・イラストレーション的なものを、表紙と裏表紙それぞれに一点ずつ掲載してみました。
 表の「エンドレス・ゲーム」は、先行して発売された英語版単行本の表紙絵と同じもの、裏の「転落の契約」は、新規描きおろしです。

【収録作】
*サンプル画像はブログ用にモザイク処理しましたが、実際はいつものポット出版からの単行本と同じ白い細棒タイプの修正です。

「エンドレス・ゲーム」
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 SM抜きのハードエロ。あとがきにも書きましたが、ゲイ・ポルノグラフィの最大公約数的なものを目指しつつ、そこにプラスアルファも盛り込んだ意欲作です。168ページ。

「転落の契約」
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 こちらはガッツリSMもの。私の王道タイプの作品です。68ページ。

 それでは皆様、お買い上げよろしくお願いします!
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イタリア語版『冬の番屋 (L’inverno del pescatore)』単行本、発売です

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L’inverno del pescatore

Paperback: 128 pages
Publisher: Ren Books (June, 2014)
Language: Italian
Product Dimensions: 21 x 15 cm
Price: €9,90

 収録作は「冬の番屋」のみ。
 版元は2011年に出たイタリア語版『ウィルトゥース』と同じRen Books。商品ページはこちら
 表紙イラストは、この単行本用に新規描きおろし。ちょっとエアリーでメロウな雰囲気を狙ってみました。
 下絵をTumblrの方にアップしましたので、興味のある方はどうぞ。こちら
 後は言わずもがな、性器描写は無修正。とはいえ、ここでアップするサンプル画像は、日本向けにモザイク入れますけど。
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 日本からの入手は難しいと思いますが、もしイタリア旅行の際にでも見かけたら、旅の記念に一冊お買い求めくださいまし(笑)。

ゲイ・アート・ブック”Raunch”に作品収録

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 Bruno Gmünder社から出たゲイ・アート・ブック、”Raunch”に作品が収録されました。
 タイトルのRaunchってのは、「卑俗」とか「猥雑」とでも訳せばいいのかな? まぁそんな感じの切り口で、写真やイラストなどのゲイ・アートをまとめたハードカバーのアートブックです。

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 私の作品は、この1点のみ。昔「薔薇族」に描いたやつです。

 他はいろいろ、世界のあちこちから総勢40名近くのアーティストやスタジオの、Raunchな写真やイラストを収録。
 というわけで、内容を少しご紹介。

Kevin D. Hoover(アメリカ/ニューヨーク)
Kevin D. Hoover
この人の作品が、かなり私のテイストにマッチしていて、しかも収録作品数も多くて嬉しかった。

Inkedkenny(カナダ/トロント)
Inkedkenny
この人も好きなアーティスト。収録作品数も多し。

左/George Towne(アメリカ/ニューヨーク)、右/Jeremy Lucido(アメリカ/ロサンゼルス)
George Towne & Jeremy Lucido

Robert W. Richards(アメリカ/ニューヨーク)
Robert W. Richards

左/Strut Walker(アメリカ/ニューヨーク)、右/Darren Ankenbauer(アメリカ)
Strut Walker & Darren Ankenbauer

Grae(アメリカ/ニューヨーク)
Grae
キャラや状況設定に親近感。趣味が合いそう。

左/Andrea Madalena(イタリア)、右/Bearfighter(ドイツ)
Andrea Madalena & Bearfighter
左のAndreaとは、先日イタリアでボローニャの個展オープニングやベアパーティで会いました。モヒカンで笑顔が可愛いオーランド・ブルームって感じのナイスガイ。
with Andrea

Rubén Gauna(アルゼンチン/ブエノスアイレス)
Rubén Gauna
先日ベルリンで、Bruno Gmünderのスタッフに、この人の絵をプリントしたTシャツを見せて貰いました。同社が制作販売するようなことを言っていましたが、ネット上では情報が発見できず……って、良く考えたらお土産に一枚いただいていたんだっけ(笑)。
tshirts

《書誌データ》
RAUNCH / Various Artists

Photo Book
Pages: 160
Size: 21,5 x 28,5 cm / 8,5 x 11,25 inch
Format: Hardcover with dust jaket
Colour: full colour
ISBN 978-3-86787-664-3
May 2014
29,95 €

 残念ながら日本のアマゾンでは取り扱いなし。ご注文はアメリカやイギリスのアマゾンなどからどうぞ。

イタリアのボローニャでイベント参加・個展・サイン会などやります

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 5月末から6月頭にかけて、イタリアのボローニャへ行き、ボローニャ大学で毎年開催されている日本文化のイベントNipPopにゲストとして参加する他、ギャラリーでの作品展示、ゲイ書店でのサイン会などを行います。
 また、『冬の番屋』のイタリア語版単行本、”L’inverno del pescatore”も同時期に発売予定。
 これらについて、現時点で私の手元に届いている情報は少ないんですが、とりあえず判っているものだけでもお知らせします。なにしろ、もう出発が間際に迫っているもんで……(笑)。

《作品展示》
オープニング:5月29日 18:00〜
場所:ONO ARTE(ギャラリー)
Address: via santa margherita 10 I 40123 bologna
Tel. +39 051 262465
Website: http://onoarte.com/
(会期がいつまでかという連絡は未だなし。サイトにもまだ情報がアップされていません)

《出版イベントとサイン会》
6月6日 18:30〜
場所:IGOR Libreria(LGBT書店)
Address: Via San Petronio Vecchio 3 – 40125 Bologna, Italy
Tel. +39 051 229466
Facebook page: https://www.facebook.com/igor.thegaybookshop

《サイン会》
6月6日 23:00〜01:00
Feed the bears(ボローニャで毎月開催されているベアイベントだそうです)
Facebook page: https://www.facebook.com/FeedTheBearsBologna

《ワークショップ》
6月7日 10:00〜
前述のNipPop会場で、マンガ制作に関するワークショップを、マンガ家の市口桂子さんと一緒に行う予定。おそらく内容は、ゲイやエロティック・アートに特化せずに、一般的なマンガ制作の話とかになるのではと予想。
Website: http://www.nippop.it/

 現時点で判っているのはこの程度ですが、もし近在の方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽にお立ち寄りくださいませ!

パリ開催・現代日本のエロティックアート展 Vol.2に参加させていただきます

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 5月22日から始まる、ヴァニラ画廊企画・フランスはパリのエロティック博物館(Musee de l’Erotisme)で開催される企画展、現代日本のエロティックアート展 Vol.2(Japon Erotica: La Nouvelle Generation Vol.2)に、作品数点を出品します。
 同展は、現代日本の様々なアーティスト、総勢32名によるエロティックアート作品を展示する内容で、私もその末席に加えていただいた次第。出品作家リストは、以下になります。

朝倉景龍/荒井良/稲垣征次/沖渉二/笠間しろう/カネオヤサチコ/鏡堂みやび/クロダミサト/小宮山逢邦/小山哲生/Saeborg(サエボーグ)/沙村広明/真珠子/須川まきこ/空山基/多賀新/田亀源五郎/たま/所伸一/中田柾志/野口由里子/林良文/春川ナミオ/泥方陽菜/ぴんから体操/福山フキオ/前田寿安/水元正也/宮西計三/室井亜砂二/森馨/山下昇平(五十音順・敬称略)

 会期は、2014年5月22日〜10月30日。エロティック博物館の場所等は、同博物館のサイトをご覧ください。こちら
 展示期間が比較的長めなので、パリにお住まいでなくても、会期中に旅行やお仕事等で同地を訪れる機会のある方もいらっしゃるかと思います。その際は、ぜひお立ち寄りください。

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 また、同展の図録も出来上がっており、先日手元に届きました。
 日本国内での印刷のため、残念ながら外性器描写がある作品については、該当部分にマスクが被っていたり、そこを避けたトリミングでの収録となっていますが、カタログ自体は大判のフルカラー、様々なアーティストの美麗で個性的なエロティックアートの数々を、存分にご堪能いただけるかと思います。
 こちらの図録は、おそらく現地での販売の他、銀座にあるヴァニラ画廊さんでも取り扱っていると思います。サイトからの通販もできますので、よろしかったらお買い求めください。
 詳しくはヴァニラ画廊のサイトで。こちら

ちょっと宣伝、『奴隷調教合宿』第九話掲載です

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 5月21日発売「バディ」7月号に、マンガ『奴隷調教合宿』第9話掲載です。
 昨日、手元に見本誌が届いたので、おそらく直販のゲイショップでは、もう店頭に並んでいる頃かと。
 元々が「若めのハンサム系キャラで、ガッツリSMやってる長めの話って、そういえば描いたことないなぁ」ってな発想で始めた話なので、内容もタイトル通りストレートアヘッドなSM調教もの。
 前作『転落の契約』(6/17発売の新単行本『エンドレス・ゲーム』に収録)が、プレイの舞台がほぼ焼肉屋店内と固定されていたので、大仕掛けな責め具だの凝った道具だのをあまり出せなかった(リアリティという要因で)反動で、この『奴隷調教合宿』では割とそこいらへんにポイントを置いた展開が多かったですが、そろそろ幕引きへの助走ということもあって、今回は行為自体はちょっと地味目かも。
 で、最終ページにも書いてありますが、来月号は一回お休みさせていただいて、連載再開は7月発売の9月号からになります。
 引き続きよろしくお付き合い下さいませ。
[amazonjs asin=”B00K1J5IVG” locale=”JP” title=”Badi (バディ) 2014年 07月号 雑誌”]