Painterによる油彩画風の厚塗り画
STEP 4〜本描き(1)


 それでは、本描きに入ります。

 まず最初に完成した背景を『牛馬の如く』という名前で別名保存、これを本番用の画像にします。そしてクローンソースを『下絵』にして、トレーシングペーパー機能でガイドにしながら、本番画像のキャンバス上に人物を描きます。
 最初は、奥に立つ看守から「陰→明」という手順で、<筆/ブリストル・キャプチャ>で立体感を描き起こしていきます。
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 私の場合、人物はまず最初に顔を描き上げてしまいます。上手い具合に自分で気に入る顔が描ければ、それだけその人物に愛着が沸いて、顔以外の描写にも自然と熱が入るような気がするもので。目などの細部は<筆/ブリストル・キャプチャ>だけで描くのは限界があるので、<エアブラシ/エアブラシ・すじ>や<鉛筆/2B>などを併用します。髭や眉毛は、穂先がバラけたような状態にカスタマイズした<筆/ブリストル・キャプチャ>で描きます。
 
 顔が出来上がったら、胴体に移ります。トレーシング・ペーパーを頻繁に切り替えて、形が狂わないようにチェックしながら描き進めます。
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 量感を作るのと同時に、質感も仕上げていきます。ゴツゴツさせたい筋肉は筆圧の強弱でドライブラシ風に、滑らかにしたい胸板などは<筆/水筆>などを使ってブレンディング風にぼかしていきます。

 こうしてシコシコ描き込んでいくわけですが、このとき明部と暗部のコントラストに気を付けます。というのもこの絵の場合、奥に立つ看守と手前の奴隷がほぼ同一線上に重なっているので、その遠近感を出すには、明暗のコントラストの低いものは奥に引っ込み、高いものが手前に飛び出て見えるというセオリーを利用する必要があるからです。
 よって、看守の肌の明部は、この後に描く予定の囚人のそれよりも明度が低くなるよう、常に意識しながら描きます。今回は3Dで資料を作成した際に、それを考慮してライティングを調整したのが、比較対象のサンプルとして大いに役立ちました。
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 裸身が仕上がったら、続けて腰布、ベルト、鞭という順番で描き進めます。布はハイライトを抑えてマットに、革はややハイライトを立てて(立てすぎると革というよりエナメルっぽい質感になっちゃうので注意)、金属はハイライトとシャドウを隣接させて反射を入れるなど、絵画セオリーを利用したり、写真を参考にしたりして、質感を描き分けていきます。
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